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第六十回 血の汗
2004年05月31日
血の汗を流すといっても苦労話ではありません。中国の歴史書に血の汗を流しながら、一日に千里を走るという名馬が出てきます。その速さは飛ぶツバメを踏むほどと言われ、祖先は天馬とされますから、空想の世界の存在のように感じてしまいますが、史記にも血の汗は前肩付近から出ると記載されている事から、ある程度の信憑性はありそうです。
中国周辺のウズベキスタンやタジキスタンには野生の馬がいた事や、トルクメニスタン原産でサラブレッドの元となった希少種、アカール・テケがいた事から、何らかの優れた馬がいた事は事実で、血汗馬の存在もより現実味を帯びています。また、畜産学的には多乳頭糸状虫による寄生虫の感染症が、表皮からの出血の原因となる事が考えられますが、それでは宿主となる馬の能力とは関係がなくなり、優れた馬としての伝説には結びつかなくなってしまいます。
血汗馬の真偽は別として、血の汗を流すと言われる動物が他にいます。とても一日に千里を走れるとは思えない動物、カバです。カバは汗腺が発達していて、特殊な色素分を含んだ汗をかきます。非常に強いアルカリ性で粘着質の汗をかき、最初は無色透明だった汗が、数分後には酸化されて赤い色に発色するため「血の汗を流す」動物と呼ばれていました。
最近の研究で、この赤い汗には皮膚を守る高い効果がある事が判ってきました。粘着質の汗は、赤く発色した後も皮膚表面に長く留まり、やがて水分が蒸発して茶色に変色します。この汗の色素分に地上に届く波長の紫外線を吸収する働きがあり、皮膚に有害な働きを持つ細菌や、傷を化膿させる細菌を殺菌する事が確認されています。
血汗馬からすると幾分ロマンは感じられませんが、カバの優れた防御機能には驚かされてしまいます。強烈な日差しの中を悠然と歩く姿の陰には、そうした保護作用があっての事だった訳です。
第五十九回 バッテラって
2004年05月28日
とりとめも無く話題が展開するこのコラムの中で、健康法と同じくらい情熱を傾けてしまう食べ物の由来ネタ。今回は、関東の方にはあまり馴染みはないかもしれませんが、関西ではお馴染みの「バッテラ」についてです。当地熊本では、話の展開の中で、英語のButと同じような使い方をする「バッテン」という言葉が存在しますが、お寿司とは関係がありません。
結論から言ってしまうと、バッテラとはオランダ語で小舟を意味する言葉が語源になっています。しめ鯖を寿司飯の上に並べた押し寿司を、食べやすい大きさに切ったバッテラ。ぱっと見では箱、どう見ても舟を連想する事はできません。かつては棒状に伸ばしたものを、竹の皮に包んで作られていたので、それならば少しは舟を連想できるかもしれません。しかし、食べる際、切り分けられてしまえば、どちらかといえば蒲鉾のような形状になってしまいます。なぜバッテラの名称が発生したのでしょうか?
答えは、バッテラの歴史の中、明治27年頃にまで遡ります。大阪心斎橋の料亭「矢倉」の板前さんが、長年の修業の甲斐あって暖簾分けをしてもらえる事となりました。順慶町の井戸が辻あたりに「鮮常」という店を出すにあたって、何か看板になるメニューはないかと考え、日夜思案を重ねた末に当時安価で入手しやすかったコノシロを二枚におろし、寿司ネタとすることを思いつきました。狙い通りコノシロのお寿司は評判を呼び、常連客より活きの良い尻尾がピンと伸びた姿に小舟を連想、バッテラの名が与えられたそうです。その後、コノシロが高騰してしまった事から、材料はより安価な鯖に変わり、今日、鯖を使ったものがバッテラとして定着しています。
コノシロに代わり鯖が使われた事で、コスト的面での解決は図られましたが、鯖はコノシロと比べると生臭さがあり、それを解決するために白板昆布が使われ、今日のスタイルになっています。生臭さを抑えるための一工夫であった昆布の起用は、グルタミン酸やマンニットといった旨味成分を加え、寿司ネタの乾燥を防ぎ、透明感のあるきれいな外観を作るといった様々な効果をもたらしてくれています。必要に迫られて積み重ねた工夫が、より完成度の高い製品作りとなる。そんな典型例の一つという事が、このバッテラなのかもしれません。
第五十八回 白身と赤身
2004年05月27日
魚の種類を分けるとき、白身、赤身という分け方があります。白身の代表は鯛、赤身の代表といえばマグロでしょうか。火を通してしまうと、両者の質感はかなり似通ってきて、あまり区別が付けにくくなるのですが、加熱する前は一目で見分けが付いてしまいます。それぞれファンがいて、好みは二手に分かれてしまいます。
よくいわれる事ですが、関東は赤身を好む人が多く、関西は白身を好む人が多いという傾向があるそうです。これは、それぞれの文化の担い手が、関東は武士、関西は商人という事に影響されているとも言われます。武士は赤い色を血の象徴として、勇壮な色と考え、商人達は恵比寿様への信仰から白身魚である鯛を好んだともいわれます。また、商人に限らず、公家の間でも白は晴れやかな色とされていましたので、白身を好む傾向があったそうです。
白身魚というと鯛に限らず、ヒラメ、フグと高級魚のイメージがあり、赤身魚もマグロ、カツオと値の張る魚がいます。味は好みとして、栄養価的には大差なく、大型魚に赤身、比較的大きくならない魚に白身という傾向があります。そうした肉質の違いは、どこから生じるものでしょうか?白身、赤身の違いは、筋肉の性質の違い、そうした筋肉を必要とするライフスタイルの違いから生じています。
データファイルのページにも掲載したのですが、筋肉には白筋と赤筋があります。白筋は速筋といわれるほど瞬発力に優れ、その反面持続力が劣ります。それに対し赤筋は遅筋と呼ばれ瞬発力は劣りますが、持続力に優れています。そうした筋肉の違いは、筋肉の中に含まれるミオグロビンという筋肉細胞に酸素を供給する色素タンパク質の量で決まります。このミオグロビンの色が赤いために、長い距離を回遊するマグロやカツオといった魚には、酸素を供給するミオグロビンが多く赤身となり、近海に住み、外敵に襲われた際、一気に逃げる瞬発力が必要で、あまり長い距離を泳がない鯛やヒラメ、フグなどではミオグロビン量が少ない白身となっています。
ちょうど中間のピンクで表される鮭もいますが、こちらは筋肉の質的な事ではなく、本来白身であるはずの肉質に、主食となっているエビなどに含まれる色素アスタキサンチンが蓄積され、あのような色合いとなっています。鮭も長い旅をする魚ですが、遡上する際に瞬発力が必要となるため、白筋を備えているようです。
第五十七回 多様性の消失
2004年05月26日
FAO(国連食料農業機関)が発表した声明によると、農産物のうち4分の3の品種がこの100年間で失われ、生物の多様性が失われる事で、食の安全性も脅かされるという警告がなされていました。
品種の減少は、森林伐採や都市化、環境破壊といった原因に限らず、機械化や生産の合理化、付加価値の高い傾向がある農産物への偏った生産があり、それに我々の食生活の変化という要因も重なるのだそうです。すでに世界中で生産されていた家畜の6300種のうち1350種は存続の危機にさらされているか、絶滅しているとの事で、事態の緊急性が窺えます。食生活にしても、私達が摂取する動物性タンパク質の90%は、10種類程度の動物から摂取され、植物から得るカロリーの半分は、わずか4種類の作物から摂られています。
以前、農家の方にルネッサンスという品種の非常に美味しいトマトの品種があったが、先端が尖る品種なので、パック詰めした際、ラップを破いてしまうので流通業者から嫌われ、今ではだれも作っていないと聞かされた事があります。また、勉強会に参加させていただいた水産関係の会合でも、特定の高値が付く魚種のみが漁の対象となり、魚の個体数はそれほど変化していないのに、対象魚だけが減少するという傾向があり、魚食栄えて、漁業滅ぶと教えられました。
現在、選ばれない品種の減少という形で、多様性の消失が懸念されますが、今後は、遺伝子操作されたGM農産物の普及が進むと、気付かないうちに交配が起こり、目に見えない種の絶滅という事態も懸念されます。そろそろ合理性だけの追求を、抜本的に見直さなければならない時期にきているのかもしれません。
第五十六回 寝る子は育つ
2004年05月25日
昔から寝る子は育つといいますが、実際はどうでしょうか?幼少の頃、多量に睡眠を摂っていた私は...。と言ってしまうと、あまり根拠が無いように感じてしまいますが、実はキチンと根拠がある事です。睡眠という夜の目に見えない動きが、昼間の目に見える動きを支えています。
眠りに入ると1時間ほどで成長ホルモンが分泌を開始し、骨格や筋肉が成長し、脳細胞のミエリンも成熟します。4時間ほど経つとメラトニンが分泌され、脳の視床下部の機能が調整され、情緒を安定させ、心を成長させます。6時間を経過する頃になるとACTHと呼ばれるホルモンが分泌され、集中力、学習力、意欲を高め、副腎皮質を刺激して、次に分泌されるコルチゾールの分泌を促します。8時間を経過し、ACTHの働きかけもあって、コルチゾールの分泌が開始され、エネルギー生産の向上が準備され、体温が上昇を開始します。体温が高まった事で、目覚めやすくなり、すみやかな目覚めが訪れます。
眠り始めてから、すべての行程が順調に行われるのに約10時間。子供達が多くの睡眠を必要とするのには、こうしたプロセスの要求があります。ところが社会が夜型になるにつれ、朝目覚める事が苦手な子供達が増えてきています。それは、単なる朝寝坊に見えるかもしれませんが、その背後には、起立性調節障害という自律神経失調症の一種が潜んでいる事があります。
起立性調節障害は低血圧がベースにあり、10歳から18歳が特に多く、4月から7月、休み明けに症状の悪化が見られるという特徴を持っているそうです。また、ホルモンの分泌には、多くのエネルギーが必要となりますので、睡眠が不足する事は若年性の肥満の一員としても考えられます。睡眠は、いくつになっても健康の基本でもあります。大切に考えたいものです。
第五十五回 ウィルス発見
2004年05月24日
糖尿病というと、長年の糖分の摂り過ぎによってインシュリンを分泌する膵臓が疲弊して、インシュリンの分泌量が減ったり、インシュリンへの反応が低下した為に血液中の糖分量をコントロールできなくなる疾患というイメージがあります。膵臓はそれほど弱い器官でもありませんので、かなり長い期間が疲弊してしまうまでに必要な感じがして、高齢者の疾病と思われがちですが、食生活の変化、糖分を多く含む食品の氾濫によって、若年性の糖尿病も増加傾向にあります。
そうした生活習慣病、糖尿病に劇症型がある事をご存知ですか。まったくの健康体だった人が、突然重症の糖尿病の症状を示し、血液検査を行うとインシュリンがまったく分泌されていない、劇症1型糖尿病と呼ばれる疾患の典型的症状となります。症状や経過がいかにもウィルス感染を思わせるのですが、これまでウィルスを検出した報告はほとんどありませんでした。
今回、愛媛大学医学部臨床検査医学の西田教授によって、エンテロウィルスの一種であるコクサッキーウィルスを検出したとの報告がなされました。コクサッキーウィルス自体は、咽頭炎などの比較的ありふれた小児感染症の原因ウィルスとして検出されますが、心筋障害を引き起こす事でも知られています。劇症1型糖尿病の患者は、致死性の不整脈が認められることから、コクサッキーウィルスの劇症1型糖尿病への関与が指摘されています。
最近、これまで良く知られたウィルスが、意外な疾患の原因となっている事が判明する事がありますが、今回の報告もそうしたウィルスの一面が表わされていると思います。人の間では、それほど劇症1型糖尿病については知られていませんが、先日お話しをさせていただいた獣医によると、ペットの間では急増しているとの事です。日ごろから人に限らずペットまで、免疫力を高める努力が必要と考えさせられてしまいました。
第五十四回 油?脂?
2004年05月21日
植物性、動物性、私達の日常には様々な油脂が存在し、いろいろな特徴によって分けられています。時間の経過によって乾燥状態になるかで分ける「乾性・不乾性」や、最近よく耳にする含有脂肪酸による「オメガ・・・」という分け方。でも一番判りやすい分け方は、「油」と「脂」の違いじゃないでしょうか。
油分は常温において液体である場合、「油」という字をあて、常温で固まってしまっている場合、「脂」という字をあてます。体温を持ち、寒冷下でも一定の温度を保つ事のできる動物由来の油脂は、体温よりも低い温度では固まるものが多く、体内での発熱器官を持たない植物由来の油脂には、常温でも液体のままというのが通常になっています。
常温では液体であるはずの植物性油脂が、固体になっているものがあります。お馴染みのマーガリンやお菓子作りに使うショートニングです。どちらも植物性の油脂から作られ、水分や乳成分を含むものがマーガリン、100%油脂のみとなるのがショートニングで、マーガリンがバターと同じように使われるのに対し、ショートニングは直接パンに塗る事はありません。
本来は液体であるはずの油が、なぜ常温で固体となっているのでしょうか?水素を添加する事で植物油の脂肪酸がトランス脂肪酸へと変化し、常温でも固形の状態を作り出す事ができるためです。このトランス脂肪酸の弊害が最近特に問題となりつつあります。トランス脂肪酸は、自然界でもわずかに存在しますが、我々が口にするほとんどは、マーガリンやショートニングといった加工油脂が中心となっています。
油を分ける際、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸という分け方をします。飽和脂肪酸は血液中のコレステロールを増やす事が知られてますが、本来はコレステロールを増やす事がないはずの不飽和脂肪酸であるトランス脂肪酸は、コレステロールを増やす働きを持っている事が判り、動脈硬化や心臓病への懸念がいわれるようになっていましたが、さらに最近、トランス脂肪酸を多く摂る事で、認知能力が低下し、痴呆の症状を引き起こす可能性も示唆されてくるようになりました。米国健康加齢研究所のモリス博士による疫学調査の結果、トランス脂肪酸の摂取量が多い人ほど認知能力が早く低下する事が確認されたそうです。
米国では、消費者団体によるトランス脂肪酸を含む油脂製品の使用禁止の提訴も起こっているそうです。私達も身の回りに使われているさまざまな油脂類に関して、もう少し関心を持つ必要があるのかもしれません。
第五十三回 塩は友達?
2004年05月20日
塩、正式には塩化ナトリウム。私達人類が最も古くから接してきた調味料ではないでしょうか。最近では高血圧の原因として、あまりありがたくないイメージが定着しつつあり、減塩と表示された食品を見る事も珍しくなくなってきました。
塩には、食品中の水分の活性を阻害し、有害な細菌類の増殖を抑える働きがあり、保存料としても古くから使われてきました。また、タンパク質の凝固を促進する働きがある事から、魚や肉の表面に塩をふっておく事で、比較的低い温度でタンパク質が固まり始め、旨味を逃がさず調理する事ができるようになります。魚の干物は、そうした塩の特性をうまく利用している優れた食品という事ができます。ところが最近、その干物の塩分も少なくなってきていると思いませんか?食品の流通が整えられ、保存性をそれ程意識しなくても済むようになった事や、消費者の減塩指向が影響しての事です。
塩の摂取は高血圧に直結すると考えられているので、表面に塩分が集中して付着した干物は、より強くしょっぱさを感じてしまい、不健康なイメージを持たれたり、敬遠されたりしてしまいます。そこで減塩となったのですが、実際に減塩は血圧の降下に成果を上げているのでしょうか。実は減塩によって高血圧改善の効果があるのは、高血圧の方の一部だけだといわれます。
1970年、米国のダールによって、北米、日本、マーシャル諸島、アラスカで調査が行われ、塩の摂取と高血圧発生頻度とは相関関係があると発表されました。この事が今日、高血圧と塩分を結びつける根拠となっています。高血圧症の方の約9割は、原因がはっきりしない「本態性高血圧症」といわれます。本態性高血圧症の方は、さらに食塩感受性と食塩非感受性に分けられ、食塩感受性の方のみが減塩による高血圧改善の効果が期待できる事になります。高血圧症の方の約6割は食塩非感受性ですので、それらの方では減塩の必要はなく、日本人全体では、8割の人が減塩とは無縁となってしまいます。
しかし、だからといってまったく塩分を意識しないというのも、少々怖い気がします。外食などで出される料理の塩分量は、かなりの量になるといわれ、できれば塩分は控えめにしたいものです。推奨されている一日13gを守って、味気ない食生活を送るというのは極端ですが、過度にならない程度に薄味にして、塩分の摂取量が気になる場合は、塩分の排出を促すカリウムを多く含む食材を摂る事、そして軽い運度で汗をかく事が大切です。汗による塩分流出は、減塩食よりも効果的ともいわれています。塩は、古くから調味料として親しんできただけに、上手に付き合いたいものです。
第五十二回 楽園の果実
2004年05月19日
西インド諸島の原産で、学名が Citrus Paradici (楽園の木になる実)、文字通り楽園を思わせる爽やかな香りが珍重された果物をご存知ですか?と、改めて問い掛けられると知らない様な感じがしますが、実はお馴染みのグレープフルーツの事です。20世紀にはフロリダやカリフォルニアで栽培が開始された事から、一気に知名度が上がり、今日では世界中の温暖な地域で栽培されています。
一般的に知られたグレープフルーツの名前の由来は、独特な爽やかな香りがブドウに似ているからというものと、実のなり方がブドウのように重なって見えるからという説があります。さっぱりとした甘味とかすかな苦味が特徴的なグレープフルーツは、柑橘系の果実の特徴でもあるビタミンCやクエン酸を豊富に含んでいます。またカリウム、ビタミンP、葉酸も多く含まれ、糖分は少なめである事から、ダイエットにもお薦めの果物でもあります。
また、グレープフルーツの香りには、ストレスを和らげたり、イライラを抑え、リフレッシュする効果があるといわれ、グレープフルーツの香りを嗅ぐ事で交感神経が刺激され、脂肪の分解が促進される事が判っています。糖分が少なめで、各種栄養素が多く、イライラを抑えて脂肪の分解も促進してくれる。グレープフルーツはダイエットの強い味方という事ができます。
そんなグレープフルーツですが、特有の苦味の中に含まれるフラボノイドの一種であるナリンジンが、カルシウム拮抗剤の一部の効果を強力にしてしまう事から、降圧剤や狭心症の薬等の効き目を強化してしまうので、薬剤との併用に注意が必要となっています。最近では、濃縮還元の安価なグレープフルーツジュースも出回っていますので、薬を飲用する際は、くれぐれもご注意下さい。
第五十一回 シソ油について
2004年05月18日
料理に油分を加えると、意外と美味しくなってくれます。カップ麺に付いている後入れの油を入れるか、入れないかで味の感じ方にかなりの違いがある事でもご理解いただけると思います。人は進化の過程で、エネルギーに変わりやすいもの、貯蔵に適しているものを美味しいと感じ、求める傾向があります。糖分や脂肪分はその典型であり、油分が加わる事で美味しく感じてしまうのは、当然の事となっているのです。
脂肪分は体内に入ると、体内で利用されるための状態、脂肪酸に分解されます。脂肪酸はそれぞれの系統によって働きが異なり、体内で合成する事ができず、欠かす事のできない働きを持つものを「必須脂肪酸」と呼び、食を通してバランス良く摂取する事が大切な栄養素となっています。最近の食生活では、脂肪分自体は充分に摂取されているのですが、この必須脂肪酸の一部が不足してしまう傾向があります。
その為、不足しがちな脂肪酸を多く含む油分を摂取する事が奨励され、オリーブ油やDHA、EPA等の油脂の利用は、そうした脂肪酸の摂取という目的があります。そんな中、注目を集めていた油脂に「シソ油・エゴマ油」があります。シソ油はα−リノレン酸が多く、体内で血栓の予防や血液をサラサラにする働き、アレルギー症状の緩和に役立つという事から、利用者を増やしてきていました。あまりクセも強くない事から、わざわざカプセル化して製品化するより、ビン入りで料理等に利用できる様にした商品を多く見かけます。手元に置いて、様々な料理に少量加えて、毎日の食から自然に脂肪酸のバランスを取るという利用法です。ところが、利用法によっては弊害というか、事故に繋がる可能性が報告され、利用法に注意が呼びかけられています。
カップ麺を作る際、少量のシソ油を加えておくと味にコクが出て美味しくなるばかりか、必須脂肪酸のバランスを取る事もできる様になります。そうした発想からカップ麺への添加を行う利用者が比較的多かったとの事ですが、カップ容器が溶かされて変形したり、最悪の場合、穴が開いて内容物が漏出するという事例が報告されています。シソ油に含まれるテルペン系の製油成分が原因と見られていますが、加えるシソ油の量やお湯の温度にも左右されるとの事で、たくさんシソ油を入れて、高い温度のお湯で調理した方が、より容器への影響が顕著に出るそうですが、わずかな溶けでも環境ホルモンという観点からは、結構怖いものがあります。健康のための一工夫が、思わぬ弊害を生じる事もあるという事で、食材とや容器、様々な観点から注意しないと、健康的な食は実現できないと教えられた様にも思えます。
第五十回 とりあえず...。
2004年05月17日
毎日更新のこのコラムも、ついに五十回目を迎える事となりました。ネタが大変でしょう?とか言われながら、まだまだ語り尽くせないものも感じつつ、我ながらよく頑張ってきました。五十回という事で、五十にちなんだ事を...。
歴史ファンなせいか五十というと、織田信長公がよく舞われたという「敦盛」を思い出してしまいます。いわゆる「人間五十年...」という節ですが、当時の人生観が伺えます。信長公当人は、志半ばで討たれたとはいえ、五十歳目前、太閤秀吉は63歳、家康公にいたっては享年75歳、50年よりは長生きです。しかし、江戸時代の平均寿命は40歳以下と推定される事から考えると、やはり人間五十年だったのかもしれません。
今日も平均寿命は、延び続けています。栄養学や医療技術、社会環境の整備などがその要因として考えられます。これに予防医学や代替医療、事故を防ぐ技術開発、環境保全など、様々なプラス要素を加えていくと、さらに延び続ける事が考えられますが、それも無限ではないと言われています。
最新の学説で、人の寿命は125歳とする説があります。その根拠の一つが「テロメア説」です。テロメアは、人の染色体の末端部を指します。細胞分裂の際、ほどけて二つに分かれた染色体が、再び絡み合い特有の二重螺旋構造を作るために、このテロメアによってからむ事が必要になります。しかし、テロメアは染色体が分かれるときに末端が切れてしまうために、細胞分裂を繰り返すたびに短くなり、一定以上の長さがなくなった時点で機能しなくなり、細胞の寿命を迎えてしまうという性質を持っています。いわゆる細胞分裂の回数券、それがテロメアです。人によって長さが異なり、長い人は、比較的多くの細胞分裂が可能であり、その分、長生きに対し有利な条件ともいえます。無限に細胞分裂を繰り返すガン細胞は、テロメアを再生する酵素を備えています。
以前、アメリカの製薬会社でテロメアを再生する酵素の抽出に成功し、一晩でその会社の株価が暴騰するという事件が起こりました。ガン細胞と同じように無限に細胞分裂を行えるようになると、少なくとも老化によって訪れる様々な機能低下を防ぐ事ができ、場合によっては不老不死を実現する事ができます。実際、そのような事は可能なのでしょうか?
答えは、その会社の株価に反映されています。テロメアを再生させる酵素は、染色体の末端に正常な状態のテロメアを再生させてくれます。しかし、人の体内には、様々な状態の染色体が存在しています。活性酸素によって切れてしまった染色体は、本来そのまま機能する事なく排出されてしまうのですが、テロメアを再生された事によって新たなタイプの染色体として機能してしまう事になります。大半は遺伝情報が中途半端なので、細胞の構成はできませんが、中にはそれなりに機能し、突然変異の細胞を形作ってしまう可能性が出てきてしまいます。その事が判ると、不老不死の夢から冷めたかの様に株価も下がり、それまで通りの価格となってしまったそうです。
これからも平均寿命は延び続ける可能性は大いにありますが、不老不死はまだまだ先の事の様です。私の話のテロメアは、まだ充分な長さがありそうなので、これからもお付き合いのほど、よろしくお願い致します。
第四十九回 冬の眠り
2004年05月14日
通勤路の路面が凍結し、事故の危険が生じる土地への転居をきっかけに、冬という季節がちょっと苦手になってしまいましたが、それまでは大好きな季節でした。しかし、一般的に「冬を迎える」というと、物事の活性がそがれたような、寂しい状態を指すものが多いようです。実際、冬はクリスマスや忘年会、お正月に新年会と、何かと楽しいイベントが多いのに、なぜか気分が塞ぎ込んでしまう、そんな事ないですか?それは多分、冬の不眠症によるものかもしれません。
冬の不眠症は、冬独特のメカニズムで発生します。人には体内時計と呼ばれる機能があります。しかし、なぜか一日が24時間とされていないために、毎日時間のズレを補正する必要があります。眠りに関するシステムには、脳の松果体と呼ばれる部分から分泌されるメラトニンというホルモンが重要な関わりを持っています。メラトニンの量によって睡眠と覚醒を調節するのですが、このメラトニンの分泌量や分泌のリズムに異常が生じると、正常な睡眠を維持する事ができなくなります。
通常メラトニンは、夕方になると分泌量が増え始め、深く眠っている午前2時から3時くらいにかけて最大になります。朝が近付いてくると、急激に分泌量が減少し、朝、自然に目覚められるようになります。そうした24時間周期を適切に行なうために、朝日や日中の強い光を網膜で受け、昼と夜の分泌リズムを調整します。冬場になると、日照時間が少なくなる事や、日照自体も弱まっているので、脳がメラトニンの分泌リズムを決定する機会が減り、分泌リズムのズレが生じた事によって不眠の症状を起こしてしまいます。これが冬の不眠の原因となっています。
冬の不眠を克服し、正しい生活リズムを取り戻すためには、とにかく「光に当たる事」です。メラトニンの分泌量は、年齢と共に低下する事が知られていますが、光に当たる事で再び増加する事が確認されています。冬になると、なかなか外出しなくなってしまいますが、できれば一日数回は日光に当たるようにしましょう。
第四十八回 諸刃の剣
2004年05月13日
ビタミンCは壊れやすく、水溶性なので体内に貯蔵・蓄積できない補酵素で、体内でコラーゲンというタンパク質を合成する為に必要な成分です。大量に摂取しても過剰症の心配はなく、せいぜいお腹を壊す程度の心配しかない為、とにかくビタミンCは日頃から多量に摂取しようという風潮があります。
最近では、さまざまな病気の原因として考えられる活性酸素を除去する働きもある事から、ビタミンCの出番はますます増えてきています。ところが、そのビタミンCについて意外な弊害があるとしたら...。
ほとんどの動物はブドウ糖からビタミンCを作る事ができます。しかし、人間はその機能を進化の過程で失ったため、食物からビタミンCを摂取する必要があります。ビタミンCが不足すると結合組織が弱体化し、壊血病等の病気を起こしてしまいます。大航海時代に新鮮な野菜や果物が摂れず、多くの船乗りが壊血病になった事は、ビタミンCの大切さを物語っています。またビタミンCには、白血球を活性化させて免疫力を高める働きもある事から、病気予防には欠かす事のできないものでもあります。
激しい運動や体内に最近やウィルス等が侵入したとき、酸素が少ない場所から多い場所へと移動したとき、紫外線や放射線を浴びたとき等に活性酸素が発生します。活性酸素は細胞膜の脂質部分を酸化して、細胞の老化を引き起こし、DNAを攻撃して一部を酸化したり、切断するといった弊害を及ぼします。それに対し、体内にはSODと呼ばれる酵素を備え、活性酸素の発生を抑えていますが、年齢と共にその働きは低下してしまいます。
ビタミンCやポリフェノールといった抗酸化物質は、そうした身体の活性酸素除去能を補うものとして、日常の生活の中で摂取する事が推奨されています。抗酸化物質は体内で活性酸素に出会い、自らが酸化される事で活性酸素を無害化します。実際、ビタミンCを大量に投与すると、DNA中の塩基の一つでありるグアニンが酸化された酸化型グアニンの量が半数程度に減少します。しかし、逆にアデニンが酸化された酸化型アデニンの量は倍になる事が確認されています。この事は、一旦酸化される事で活性酸素の毒性を除去したビタミンC自体が、今度は酸化物質として他の部分で弊害を生じている事を示しています。
やはり健康のためには、何事も適度にというのが基本ですが、今回、この実験には、500mgものビタミンCが投与されていたという事ですから、目安となる摂取量の5倍にもなってしまい、ちょっと極端な感じもしますが、最近の清涼飲料水には1ビンあたり1000mgというものもありますので、摂取量には注意が必要かもしれません。
第四十七回 筋肉の記憶
2004年05月12日
筋肉の記憶といっても行き着けの店や友達の名前を憶えてくれる訳ではありません。でも、学生の頃、部活で鍛えていた人が、かなりの期間何もしてなかったのに、また鍛え始めたらすぐに元の体形に戻った。鍛えてこなかった人と比べると、筋肉の付きが早い。そんな話を聞いた事、ありませんか?
最近の研究で、細胞には、それぞれ中心となる核が備わっていますが、一つの核が支配できる体積には上限がある事が解ってきました。筋線維は、一つの長さが数センチにも及ぶ巨大な細胞です。そのため核を複数持つ多核体になっています。しかし、多核体といえども筋線維の肥大=体積増には核の支配体積と核数という上限が生じてしまうため、より太い強力な筋繊維を作るには核数自体が増える必要があります。
継続的なトレーニングを行なっていると、筋肉細胞内の核数は増加します。その後、何もしない状態を続けると、核数は本来の状態まで減少するという説と、減少はせず残るとする二つの説が存在しています。表題にも書いた筋肉の記憶というのは、核数が減少せずに残った場合、簡単に説明する事ができる様になります。担当核が多い事が筋線維の肥大化を容易にしてくれるからです。
核数が減少し、元の状態に戻ってしまうとしたら、筋肉の速やかな肥大化は説明し辛くなります。しかし、実際に筋肉量は速やかに増えます。この場合、筋線維の数が増えている事が、筋肉量の増加に関わっていると考えられます。そうした筋線維になったり、筋肉細胞に核を供給する元となるのが、筋線維と筋線維と包む「基底膜」と呼ばれる膜の間にあり、筋肉に寄り添うように存在している「サテライト細胞」です。
サテライト細胞は、本来筋肉細胞にはならず、傷ついた筋線維の修復や欠損を補う役割を持っているのですが、筋繊維自体から出される酵素の働きによって筋線維となり、筋線維の本数を増やす事に貢献していると考えられます。一旦増えた筋線維は、トレーニングの中止によって細くなりはしますが、本数自体は変化しない事から、再度トレーニングを始めた際、速やかな筋肉量の回復に繋がるというのが、核数減少下での筋肉量の増大を説明する根拠とされています。
こうして見ると、核数残存説、筋線維増加説共にどちらが正しいのか判断に困るところですが、おそらく両者は正しく、その中間の様な状態で身体作りが行なわれている様に思われます。とにかく、身体を鍛える事は決して無駄にはならない、というのが結論の様です。
第四十六回 ぽっくり病の原因究明
2004年05月11日
30〜40代の働き盛りの人が、何の前兆もなく睡眠中に苦しみ出し、死亡する「ぽっくり病」は、アジア人男性に多い謎の奇病とされてきました。心臓が原因で亡くなる突然死の1割程度を占めるといわれ、事前の血液検査等でも心臓にダメージを与える要因となる数値に、それ程大きな異常がない場合が多いため、予測不能という事がよりこの病気の怖さを引き立てていました。
今回の研究発表では、東海大学医学部の武市早苗教授よりぽっくり病の疑いが大きい約300人の解剖例の分析として、心臓の冠状動脈が激しく収縮した為に心筋に血液が流れなくなった事が原因とする推測が立てられ、死者は食物中の脂肪分が分解される過程で発生するレムナントリポタンパク(RLP)の数値が高いという傾向がある事が報告されました。
続いて九州大学医学部の下川宏明助教授によって、ぽっくり病による死者から抽出したRLPを含む成分と含まない成分をガーゼに染込ませ、6頭の豚の心臓冠状動脈にそれぞれ異なる部位に巻き付け、一週間後、冠状動脈に軽い収縮刺激を与えたところ、6頭すべてにRLPを含む成分を作用させた部分だけに冠状動脈の激しい痙攣、収縮が見られ、心筋への血流が阻害される事が確認されました。また、培養した人の血液細胞にRLPを加えたところ、筋肉を収縮させる酵素が増加する事も確認されています。
RLPは、食物中の脂肪分が分解される途中で発生する燃えカスの様な脂肪とタンパク質の塊なので、暴飲暴食を行なうと増えてしまいます。また、血液中の中性脂肪が多い人もRLPが増えやすい傾向があるので、注意が必要です。昔から言われる様に、腹八分目が大切かもしれません。
第四十五回 危ない眠り
2004年05月10日
睡眠時無呼吸症候群、いまさら説明の必要がないくらいよく知られた症状になってしまいました。重大な事故に繋がる可能性がある事や、強力な眠気のために充分に能力を発揮できない、とても困った症状です。いや、それ以上に死の危険や老人性痴呆の原因の一つとしても考えられる、とても怖い症状なのです。
眠り・・・身体を休め、状態を整えるためのもの。とても身体に悪いものとは思えません。その常識を覆したのが、睡眠時無呼吸症候群ではないでしょうか。眠りはじめるとすぐに30秒から1分程度の無呼吸がはじまり、何とか息を吐き出そうとして大きないびきや唸り声となります。心臓の拍動がゆっくりとなり、ときには停止してしまう事もあります。そこで一旦目が覚め、寝返りをうったりして深い息をし、また眠りに就く。これを幾度も繰り返すのですが、何度も起きていた事をおぼえていない人がほとんどとも言われ、自覚症状は日中の眠気や無気力だけなので、ストレスによる慢性疲労と勘違いされる事も多いといわれます。
眠りが浅いのでは?と就寝前に飲酒を行なう人もいるそうですが、アルコールの作用によって喉や鼻の粘膜が充血・弛緩され、より無呼吸状態を悪化させてしまう事もあります。それ以上に危険なのが、眠りの質を改善する意味で睡眠薬を飲用し、無呼吸状態が続いても目が覚めない状態になる事です。この状態が長く続くと脳への酸素供給が急激に減少し、痴呆の症状を促進したり、脳細胞が無酸素状態となるため、脳梗塞と同じ様な障害が生じる事もあります。また、心停止に陥る事もあり、突然死の重要な原因となってしまう事もあります。
睡眠時無呼吸症候群の診察、治療は保険の適応でもありますので、日中、あまりに眠気を強く感じた場合や、倦怠感や無気力が続く場合は速やかに診断してもらう事をお薦め致します。自分で出来る対策としては、とにかく気道を確保する事です。気道を狭める要因は、肥満、加齢、飲酒、喫煙等と言われます。特に肥満と飲酒、喫煙は、比較的対策を取りやすいので、すぐに取り組む事が大切です。飲酒は眠りに入るきっかけを作る事には有効ですが、後の事を考えると思い切って量を減らすか止めてしまう方が、疲れをとるという意味からは有効です。少し体重を落とす事でも効果的に気道が確保されるので、他の血液に関する検査数値の改善にもなりますので、ダイエットも健康的な眠りのためには必要になります。
また、固すぎたり、高すぎる枕は首のカーブを強調し、気道を変形させる要因となりますので、自分に合った枕選びも大切な要因となります。眠りというと、どうしても簡単に考えてしまいがちですが、命やその後の人生の展望にも関わる大事な事ですので、一度ゆっくり見直してみて下さい。
第四十四回 これからのお薦め
2004年05月07日
私がお薦めする健康法は、いつもお金がかからず、比較的手軽にできるのですが、格好が悪いものが多い、そう思っていませんか?というと、今回は格好悪くないもの、と思われてしまいそうですが、今回はお金がかかるものを紹介致します。
これからの時期、スイカが本番を向かえます。スイカというと夏の果物。水分ばかりであまり栄養はない、そんな事はありません。スイカは、漢方薬の世界では、「西瓜」として渇きを止め、暑を消し、酒毒を解し、小水を利する、といわれる効能を持っています。栄養学的には、シトルリンやアルギニンといったアミノ酸が多く、カリウムを豊富に含む事は、体内のナトリウムを排出し、むくみを取るという働きに繋がります。
老廃物の排出を促す働きもあり、腎臓を保護したり、膀胱での結石の発生も抑えてくれます。そんなスイカですが、最近では小玉タイプの品種もよく売られているのですが、やはり果物の中では、格別に大きい。一個丸ごと買ってしまうと、大家族でもない限り冷蔵庫へ収めるのが大変になってしまいます。
スイカを買って、家族全員で食べた。でも、まだたくさん残っている。家族も食傷しているようだ。という状態になったとき、そのときこそ、この今回お薦めの健康法を実践するときです。
まず残ったスイカをすりおろします。おろしたスイカを鍋に入れ、中火で30分ほど煮詰めます。煮詰めている過程で、オレンジ色のアクが浮かんできますが、これも大事な成分を含んでいますので、鍋にこびりつかないよう、よくかき混ぜます。それで出来上がり。
冷めたら密閉ビンなどに入れ、冷蔵庫で保存して、なるべく早く(一種間以内)お召し上がり下さい。一日の目安は、約100cc。味は保障しかねますが、水分代謝を整える働きがお薦めです。
水分代謝が悪くなるとむくみの原因となり、めまいやだるさ、頭痛の原因ともなります。また血液の流れも悪くなるので、循環器系の疾患も起こりやすくなります。これからの季節、スイカが余ったらお試し下さい。
第四十三回 水は健康基本です
2004年05月06日
お隣、中国の事ですが、急激な経済成長の弊害というべきか、水事情が悪くなってきています。
国家環境保護総局が2003年に発表したところによると、中国全土の河川のうち約40%に深刻な汚染が見られ、建設部によると90%以上の都市が水質汚染による問題を抱え、生態系や農産物、飲料水への深刻な影響が懸念されるとしています。
一般市民の間でも水の汚染に関する意識は、かなり広く浸透してきており、すでに2001年の段階で、中国環境ジャーナリスト協会が行なったアンケート調査にも、56%の市民が「自分の住む地域の水と大気の汚染は、深刻な状況にある」と答えています。
経済成長の影響もあるのでしょうが、都市部の住民の間でも飲料水は、水道水をそのまま使用するのではなく、販売されているものを購入するという意識が浸透してきています。「消費指南」雑誌社が北京市で行なった調査でも、「よく水を買う」「ときどき買う」派が96%にのぼり、「まったく買わない」派は4%とわずかな数字となっていたそうです。
販売されている水に関しても安全性は万全ではなく、国家質検総局が7つの都市にある142の製造、流通企業に対して行なった抽出検査では、146種の水製品のうち36種で衛生や安全面で不合格とされました。
また、消費者間でも逆浸透膜を使う高度なろ過を行なった製品「純浄水」は、必要な成分までも除いてしまってはいないか、ミネラルウォーターを日常愛用すると、豊富なミネラル分が結石に繋がるのでは、といった水製品そのものや水の健康への影響といった事に関心が高まってきています。
日常の食を通した健康管理というと、何となく中国は先進国という感じがしてしまいますが、急激な経済成長は市民の健康という大切なものを置き去りにして勢いを増している、そんな感じが様々なレポートから見えてしまいます。
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