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第241回 柳川って?
2005年02月28日
春が近くなるとドライブ好きの私は、以前訪れた隣県福岡の柳川市を思い出します。春の柔らかな陽にキラキラと輝く運河の水面が、いかにも春という感じがして良い思い出となっています。海に近い汽水域の運河を持ち、その多くが古い石組みによって仕切られているため、名物のうなぎにとっては恰好の棲家となっていた事が想像できます。近隣の年配の方々が幼少の頃、運河でうなぎを捕まえて付近の店に持ち込んで、ご褒美をもらっていた話しは、今でも聞かされる事があります。
うなぎの代用食として「なまず」や「どじょう」を使う例は、幾多もありますが、どじょうをごぼうと煮込んだ料理は、柳川鍋の名称で親しまれています。この柳川鍋の柳川、福岡の柳川なのでしょうか、ふとそんな考えが過った事があります。もしそうであれば、名物のうなぎではなく、どじょうで柳川というのは、少こし違和感があります。まして発祥の地という訳でもなさそうです。
江戸の食文化である柳川鍋は、横山町が発祥の地と言われます。文献によると、最初にどじょうを開いて骨を抜き、下茹でしたものをごぼうと煮た鍋を出した料亭の屋号が柳川だった事が、柳川鍋の由来となっているそうです。どじょうは栄養価が高く、ビタミンB2、D、鉄分は、うなぎよりも多く、カルシウムに至っては、骨ごと食す事もあって10倍にものぼります。そんな栄養豊富などじょうなので、古くから食されてきました。古くは土の中に居て、長い体を持っているので、「土長(どじやう)」と呼んでいました。浅草駒形の越後屋がどじょう鍋を出した際、江戸の大火で店が類焼し、四文字の暖簾が縁起が悪いとして、看板屋に三文字か五文字にしろと注文。苦肉の策で「どぜう」と表記した事が、今日どじょうをどぜうと記載する事の元となっています。
どじょうの本場は関東、特に利根川では、日本中の漁獲高の約半数が獲られています。地域によって品質が異なり、岡山産を青口と呼び最優良品として、愛知産赤口、岐阜産を黒口と呼んで区別しています。最近では輸入物も多く出回っていて、輸入後臭みを消すために清水で泳がせて泥を吐かせます。漢字では「泥鰌」と書くところからも、そうした特長が伺えます。どじょうというと、ユーモラスな「安来節」が連想されますが、ザルを広げてどじょうをすくう様子は、実は砂鉄や砂金を採取していたと言われます。どじょうではなく、土壌すくいという事で、どじょう違いですね。
第240回 高めでOK
2005年02月25日
健康診断の結果で多くの人が該当し、多くの人が気にしている数値。その一つにコレステロール値があると思います。何を隠そう、この私も該当者の一人で、他の数値は全て基準値内にあり健康そのものなのですが、コレステロール値だけは高い状態にあります。食生活やストレスなど、簡単な日常の事を見直せば、そう難しくなく改善できる気もするのですが、全ての数値が健康を示しながら、コレステロール値だけが高いという状態がそれほど悪いとも思っていないので、放置しているというのが現状です。
同じようにコレステロール値が高い方で、私と違いかなり気にされてる言動を見掛ける事があります。中でも卵を敵視する方が多く、私のようにたっぷりと卵を使ったオムレツで朝食というのは、自殺行為のように受け取られる事があります。卵は善玉が多く、摂取制限しなくても大丈夫という事もあるのですが、血中コレステロール値に関し、おもしろい調査結果が出ていましたので、これで少しは見方が変わればと思っています。
大阪府守口市の保健センターで行われた調査では、コレステロール値が高めの人の方が、脳卒中などの発生する確率が少なく、死亡率が少ないという結果が出ていました。実際、コレステロールは細胞膜を作る大切な材料でもあるので、数値が低い場合、材料不足から細胞自体が脆くなり、血管も破れやすい状態に繋がってしまう事が考えられます。そうした事から考えると、納得の行く結果ではあります。
現在の基準値である220という数値は、米国で3、40代の男性で心筋梗塞が増える傾向を元に設定されたもので、女性や高齢者には当てはまらないという考えが根強くありました。全国の健康診断受信者70万人のデータを元に調査すると、健康な状態の人95%が収まる集団の上限を調べてみると、中高年の男性の場合260、女性の場合280が妥当とする数値になるそうです。数値が高い状態が長期にわたって継続し、喫煙や高血圧、糖尿病といった他の因子を持つ人、過去に脳梗塞や心筋梗塞の病歴を持つ人などは、何らかの改善が必要と考えられますが、それ以外の方は、それほどコレステロール値に神経質になる必要は無いと思います。気にし過ぎてしまうとそれがストレスとなり、ストレスはコレステロール値を上昇させる要因の一つでもあります。ご注意下さい。
第239回 喫煙長寿
2005年02月24日
イギリスのケント州ウエストゲートにある老人施設「イートンロッジ」で、105歳の高齢で一人の老婆が亡くなりました。その施設に15年住んだ彼女の名は、マリー・エリスさん。100歳を超える高齢で、一生独身を通し、子供も親戚も無かった事以外に、エリスさんにはもう一つ他のお年寄りとは違ったところがありました。彼女は15歳の時から、一日15本以上のタバコを吸うヘビースモーカーだったのです。
実に喫煙暦90年。一日15本の換算でも、生涯に50万本ものタバコを吸った事になります。彼女の死因は、老齢による心臓機能の停止。完全な老衰です。たった一つの事例で、定説のすべてを否定する事はできませんが、彼女の存在は「喫煙は寿命を縮める」という事を疑問視しかねないものでもありました。生前、彼女は病気らしい病気もせず、自分の歯で噛み、自分の足で歩いていたと言います。
エリスさんの亡骸は火葬されたとの事ですが、その手にはお気に入りのブランドのタバコが握らされ、棺に入れられた花束の中には、タバコを模った物もあったそうです。葬送にはプラターズの「Smoke gets in your eyes(煙が目に沁みる)」が流され、参列者の一部には、弔いも兼ねたタバコを楽しむ人もいたそうです。
エリスさんが入居していたイートン・ロッジでは、彼女の遺灰を埋めた所に、彼女を偲んで灰皿のた形をした鳥のエサ台を設置する事を予定しているそうです。喫煙が及ぼす健康への影響は、これまで行く通りも研究され、医学常識とさえなっています。しかし、健康への懸念から強制的に嗜好品を取り上げるというストレスを与えなかった事が、エリスさんの場合、良い方向へ働いたように思われます。彼女に肖って、喫煙で長寿をという考え方は、絶対にお薦めできません。
第238回 締切り後、24時間
2005年02月23日
最近はそんな事もなくなってしまいましたが、かつては締切りに追われる仕事をしていました。今から思うと、「よくやれたな」とか、「もう一度同じ事をやっても、今度はうまくいかないだろうな」そう思う事も多々あります。うまくクリアできた後は、自分なりに達成感や満足感でいっぱいになり、それが次への原動力にもなっていたような気がしています。仕事を終えて家へ帰り、自分へのご褒美とささやかな事で喜んでいるその時、実は危険の真っ只中にいたのです。
最近のイギリスでの研究で、締切り間際に焦って仕事をすると、次の24時間以内に心臓発作を起す危険性が6倍にも高まるという結果が報告されていました。これまで、長期にわたって少しずつ積み重ねられていくストレスが、健康に対して重大な影響を及ぼすと考えられてきましたが、一時的に集中して心臓に大きな負担をかけるストレスも、充分に危険であるという事が証明された事となります。
今回の研究結果は、45〜70歳の男女3500人を対象に、最初の心臓発作が起こるタイミングを分析した研究において、過去一年間の血圧と共に、発作を起した前の週に何をしていたかを記録させたところ、仕事のストレスが心臓発作を引き起こす危険性に大きな影響を与え、締切りに追われて仕事をするような状況にある人に関して、このリスクが特に高く出ている事が判ったとしています。
心臓発作に先立って、仕事に関する激しいプレッシャーを感じたとする人は全体の10%にのぼり、男性では特に自分の意思に反して、ストレスが増幅されるような仕事を強いられる事で、心臓発作を起す危険性は約6倍になり、女性では、自らの意思に反した仕事をさせられる事で約3倍にもなります、ストレスとは上手に付き合えといわれますが、こうした事実を目の当たりにすると、やはり無い方が良いと思ってしまいます。「よくやれたな」ではなく、「よく生きていたな」そう大袈裟に思ってしまいます。
第237回 損傷修復
2005年02月22日
お気に入りのアイテムの中に、ちょっと変わった腕時計があります。一見何の変哲も無いというか、地味で目立ったところのないデザインなのですが、他の時計と大きく違うのは、内部の機構。心臓に埋め込まれるペースメーカーの技術をフィードバックしたもので、メーカー側が言うには、最低でも20年の電池寿命があるそうです。手に入れたのが10年ほど前ですから、少なくともあと10年は動き続けてくれる事でしょう。その時計が止まる頃、ペースメーカーは過去の遺物になっているかもしれない、そんな見通しがオーストラリアの研究者から発表されました。
心臓発作、心筋梗塞は心臓の血管が血栓によって塞がれ、心筋細胞に酸素が供給されず、心筋細胞を壊死してしまうという生命に関わる症状です。一命を取り留めても心筋細胞が壊死してしまった事により、心臓の正常な活動が得られないという後遺症が残る事があり、それを補佐するためにペースメーカーが使われています。
オーストラリア、シドニーの小児医療研究所の研究によると、心臓発作によって壊死してしまった後にできる瘢痕細胞に、患者の自己遺伝子2個を含むウィルスを注入する事によって、瘢痕細胞の電気経路が修復され、健常心筋細胞のように収縮を再開したとの事です。
この新たな遺伝子治療は、まだ実験段階との事ですが、「心臓発作による瘢痕や手術、先天性心疾患により、幼少期に電気経路に損傷をきたしている患者に遭遇する可能性が充分に考えられる。心機能を修復するのに有用な細胞型とするために、損傷に介入し遺伝子学的に再度プログラムする事が可能となる」と研究者は述べ、この治療法への期待を伺わせていました。心筋細胞は、一旦動き始めると、死ぬまで動きを止めない細胞です。非常に長期にわたり安定した稼動が行えるとはいえ、有限な電源を用い、交換の必要という不便さを持つペースメーカーから開放されるという事以上の意味を持つ研究成果だと感じています。
第236回 SPAM
2005年02月21日
SPAM、スパムと言うと勝手に送られてくる迷惑メールを思い出してしまいますが、それではこのコラムにはそぐわない内容になってしまいます。今回取り上げるスパムは、缶詰の加工食品の事です。私が初めてスパムの事を知ったのは、沖縄の食に関する情報を集めている時でした。沖縄では広く普及しているらしく、独自の食材のような感じの印象を受けていました。
最近は、沖縄の食材が一般のスーパーでも見掛けるようになり、スパムも数種類がある事を確認したのですが、その後、詳しく調べてみると、スパムが普及しているのは沖縄に限った事ではなく、米国で作られ世界規模で販売されている、長い歴史を持つ食品である事を知りました。米国内でも特にハワイの普及率が高く、学校の給食でも使われるほどにハワイの食文化に溶け込み、沖縄と似たような状況にあります。
元々スパムとは、ポークランチョンミートのブランドで、ホーメル社によって作られています。ホーメル社は、既に80年ほど前から缶入りポークランチョンミートの生産を始め、1937年には、保管を冷蔵でなくてもよくした製品を作り出しました。豚肩肉と腿肉を使ったハムをミンチにして、スパイスで味付けし、缶に流し込んだ後、密閉して加圧加熱滅菌釜で高温で処理して仕上げます。発売当時は、「ホーメル スパイス ハム」という名称でしたが、より憶えやすい名前を目指し、一般公募によって「SPAM」が採用されました。スパイスのspとハムのamが重ねられた造語ですが、今日まで引き継がれています。
第二次世界大戦が始まると、スパムの需要は急増します。軍用食として採用され、また救援物資としても使われるようになったため、同盟国のイギリスやロシアへも大量に輸出されています。ハワイへは、真珠湾攻撃の復興支援のために送られ、常温で保存が利く貴重なタンパク源という事で重宝されています。それが後の普及に繋がり、沖縄も同様に戦後復興の支援物資として持ち込まれ、現地の食に肉の食文化、特に豚肉を好む傾向があった事が、ポークランチョンミートへの馴染みを良くし、食文化への浸透を容易にしていました。ハワイではスパムを具材としたおにぎりも見られるそうですが、急速な食文化への浸透事例としての興味に留めておきたいと思ってしまいました。
第235回 アブラとタラバ2
2005年02月18日
以前のコラムでタラバガニとアブラガニに関する話をさせていただきました。その際、良く似た姿の両者を簡単に見分ける方法として、甲羅の中央部分にある突起の数を上げていました。タラバガニは6本、アブラガニは4本となっています。実は、それが当てにならないという、ちょっと困った事態が報告されてきました。
タラバガニは、鱈が取れる漁場で取れる事から、その名前が付けられました。辞書的説明では鱈の漁場近くで取れ、姿が蟹に似ている事からその名が付けられた。肉は食用にされ、非常に美味とされる、という事になっており、実際は蟹ではない事が伺えます。タラバガニは蟹ではなく、ヤドカリの仲間なのです。
そのタラバガニに姿が良く似ていて、市場での価値が低く、安価に入手できる事からアブラガニがタラバガニとして流通していました。姿は似ていますが、アミノ酸の組成が違うのでタラバガニより味が落ち、タラバガニと信じて食べるとがっかりさせられる事があります。だまされないように確認すべき最も特徴的な部分は、背中の突起だったのですが、アブラガニにもタラバガニと同じ6本の突起を持つ物がいる事が、独立法人北海道区水産研究所の柳本卓研究員の調査捕獲で判りました。
発見された6本突起のアブラガニはDNA鑑定の結果、タラバガニとの交配種ではなく、純粋なアブラガニという事です。4本と思われていた突起が6本という事ですが、甲羅全体ではタラバガニの方が遥かに突起が多く、両者を並べてみると一目瞭然です。足の裏側が白っぽかったり、足の先端にある爪が非常に長く、最も長い節の半分以上もある場合は、アブラガニと思って差し支えないようです。アブラガニは、水に油を落としたときのような、独特の光沢を持っているのですが、調理されてしまうと見分けにくくなってしまいます。甲羅全体の突起の数にしても、比較検討すべき物がなければ判り辛く、最後の有効な見分ける手立ては爪の長さだけになります。DNA鑑定をすれば、すぐに見分けが付くそうですが、テーブルの上でできる事ではないので、爪の長さを注意深く眺めるしかなさそうです。
第234回 縁起担ぎ
2005年02月17日
受験シーズンが始まると、さまざまな合格グッズが巷に溢れてきます。今年は、お気に入りのスナック菓子も受験用の物が売られていましたので、関係ない私も購入する事となってしまいました。内容的には何も変わったものではないので、普通に食べてしまうのですが、何故か縁起物としてデザインされたパッケージは、捨ててはいけないような変な抵抗感を覚えてしまいます。結局捨ててしまうのですが、その後不運な事でもあれば、多分そのせいにしてしまいそうな自分を小心者と思ってしまいます。
語呂のせいか受験に限らず、勝負事に際して「カツ」を食べる話しを聞くのですが、このカツという言葉、少し不思議なものを感じてしまいます。何故、「フライ」ではなく、「カツ」なのでしょうか。カツはカツレツの短縮形というのは、良く知られています。カツレツは、英語のCutletからきていると言われ、元々は、肉を切り分けた切り身を指す言葉ですが、語源は骨付きの背肉を意味するフランス語、Cotelette(コートレット)だと言われています。
日本に肉の切り身に衣を付けて揚げる料理「カツレツ」が入ってきたのは、近代初頭、明治初期と考えられ、福沢諭吉の著書「華英通語」には、「吉列(Cutlet)」と記されています。当時は牛肉を使ったビーフカツレツや鶏肉を使ったチキンカツレツが主流でした。豚肉を使ったポークカツレツが発売されたのは、1895年(明治28年)銀座「煉瓦亭」の木田元次郎が最初だと言われます。
その後、昭和の初頭になって、上野「元祖とんかつぽん多」の創業者である島田信二郎が、豚肉を使ったポークカツレツを「豚カツ」と名付け、徐々にカツレツではなくカツと省略した名称が一般的になっていったとされます。素材に衣を付けて油で揚げる料理、カツとフライの違いは明確には定義されていませんが、元々の語源である肉の切り身がカツ、それ以外の食材がフライと呼ばれている、そう考えても良いのではないでしょうか。
第233回 赤いセラチア
2005年02月16日
昨年、循環型の温泉や病院など、さまざまな施設内での細菌感染が話題になっていました。お陰で聞きなれない細菌名が多数見られ、そんな中にユニークな経歴を持つセラチア菌の名前も含まれていました。セラチア菌は、大腸菌や赤痢菌と同じく腸内細菌科に属する桿菌(棒のような形状の菌)で、洗面所やキッチンなど、湿気の多い所に広く分布しています。赤い色素を作るのが特徴で、湿気のある場所で赤いシミが見られたら、セラチア菌のコロニーである事がほとんどです。
一般的に病原性は低く、健康な人なら感染する事もなく、問題にならない菌です。そのため、毒性自体が知られず、赤い色素という便利な特徴もあった事から、さまざまな細菌に関する研究に用いられてきました。赤い色を活かして、手にセラチア菌を塗り、握手をして、それをリレーしながら、どれだけの回数まで接触感染が起こる可能性があるか、という実験を行ったり、セラチア菌を水に混ぜてうがいをさせ、シェークスピアを朗読させて、菌が飛散する距離を測ったりしたそうです。
また、赤い色が血液に似ている事から、食品にセラチア菌が繁殖した状態を神罰と勘違いした例も多く残されています。特にキリスト教では、パンはキリストの肉と考えられていたので、そのパンが突然血まみれになっているというのは、かなりの衝撃があったと言われています。
免疫機能が正常であれば、それほど気にする必要もない菌ですが、体力が落ちている病中や術後、免疫抑制剤を服用している場合に感染すると、意外なほど大事に至る事があります。一旦感染してしまうと、尿路系や呼吸器系に障害が及び、重症化してしまい、最悪の状態を迎える事があります。最近では、多剤耐性化したセラチア菌も発見されています。免疫機能がしっかりしていれば、それほど怖れる必要はないのだと思いますが、耐性菌化した事で、充分注意が必要な存在となったと思っています。
第232回 種の壁を越えて
2005年02月15日
先日、イギリス食品規格庁(FSA)によって、1990年に死亡したスコットランドのヤギ一頭から採取したサンプルが、BSE(牛海綿状脳症)に感染している疑いを示したと発表されました。BSEの感染を確認するには、更に検査が必要としていますが、スコットランド産ヤギのBSE感染が陽性と判断されれば、フランス産ヤギに次ぐ2例目の牛以外の感染例となります。
先月、最初のヤギの感染が確認され、発表された際、何となく意味不明なものを感じてしまいました。BSEは脳が冒され、異常な行動を示す羊の病気、スクレイピーが始まりとなっています。スクレイピーで死亡した羊を処理して作られた肉骨粉を牛に与えたところ、牛に運動障害を起すものが確認され、調べてみると脳が冒されてスポンジ状になっていた事が、「牛海綿状脳症」と呼ばれる所以ともなっています。
原因として考えられているのは、非常に小さなタンパク質でプリオンと呼ばれる物です。羊の体内に生じた異常なプリオンが、周りの正常なプリオンに働きかけ、異常な状態に変えてしまう。その繰り返しで脳細胞が冒され、スポンジ状になって、やがては死亡してしまいます。死亡した羊を処理して飼料とした事が、牛への異常プリオン感染を広げ、死亡した牛を処理して飼料にするというサイクルの中で、更に感染は拡大されてしまいました。それが牛肉を摂取する事で、人にも拡大し、今日の牛肉の不安・不信へと繋がっています。
BSEの怖さは、発症した場合の致死性の高さと種の壁を越えて感染が起こる事、そして、これまでは感染とは無縁と思われていたタンパク質が原因となっていて、根本的な治療法が確立されていない事にあります。羊が出発点と目されていただけに、遺伝的に近いヤギへの感染というのは、それほど衝撃的な事ではないと思ったのですが、羊から始まり牛へと感染、それが更に人ばかりでなくヤギにもとなると、完全に種の壁を乗り越える感染という事で、BSEという病気の特異性が際立ち、気味の悪い思いが強く感じられてしまいます。国内での死亡者の確認と合せて、牛肉の輸入再開へと前進しているニュースに一抹の不安を感じてしまいます。
第231回 ピロリ菌の効用
2005年02月14日
ヘリコバクター・ピロリ菌は、全国で人口の約半数にあたる6000万人が陽性を示すと言われ、60歳以上では80%もの人が保持しているとされています。経口感染する事から、水や食物を介して体内へ侵入し、かつては一切の細菌が生存できないと考えられていた胃に生息しています。強力な酸である胃酸にも溶かされる事なく生きられるのは、ピロリ菌自身がアンモニアを出し、胃酸を中和する事で体を守っているからです。
胃・十二指腸潰瘍の原因因子の一つと考えられ、潰瘍を繰り返す、出血性の潰瘍を起す場合は、ピロリ菌の除菌が必要とされ、専用の抗生物質で比較的簡単に除菌する事ができると言います。また、食品に含まれる成分にもフコイダンやアリシンなどのように、ピロリ菌に対し効力を発揮するものがあると言われ、日常生活の中でも除菌を試みる話が聞かされます。
一切の細菌が生息していないと考えられた胃の中にいて、潰瘍を引き起こしたり、場合によってはガンにも繋がるという事で、ピロリ菌は当初、強力な悪玉菌として考えられていました。そんなピロリ菌に効用がある事が、最近の研究で少しずつ判ってきました。ピロリ菌を除菌した患者の間で、体重が増加するという傾向が見られています。胃酸の働きが正常化される事で、消化が円滑に行われる事や、それによって食欲が亢進される事が原因と考えられますが、BMIで0.8程度と言われますので、2kgくらいの増加と考える事ができます。
また、体内の免疫系等がピロリ菌という難しい相手を失うためか、アレルギーの症状が酷くなる、アレルギーが出やすくなるという傾向も報告されています。昨今の過剰なアレルギー反応の中には、除菌グッズの普及によって、免疫細胞の一部が攻撃する相手を失い、異常な働きをしてしまう事が原因と考えられています。ピロリ菌の除菌は、それと同じ状態を体内に作り出してしまう事となっているのです。悪役として考えられていたピロリ菌ですが、うまく付き合う事ができれば、意外と良い相手なのかもしれません。
第230回 何の期限?
2005年02月10日
卵を購入した際、パックに賞味期限が記載されています。この賞味期限、本来は何を表しているのか、あまり一般的に知られていない事が、札幌市消費者協会の一般消費者向けアンケート調査で判明しました。950人を対象に行なわれた調査では、約4割の人が卵の賞味期限を「生、もしくは加熱調理して食べられる期間」と答え、本来の設定である「安心して生食できる期間」と答えた人は6割に過ぎなかったそうです。
卵が生食できる期間は、食中毒菌である「サルモネラ菌」の増殖が起こらない期間を元に、卵のメーカーにおいて季節などの要因を考慮し、短めに設定されているそうです。サルモネラ菌の増殖には、温度が非常に重要な要因となるので、冬場の平均温度を10℃とすると57日、夏場の平均温度を28℃とすると16日と大きく違いが出てしまいます。それ以外の時期では、平均気温を23℃と設定すると25日ほど持つのだそうですが、安全性を考慮して2週間程度の設定が中心となっています。
あらかじめ設定された賞味期限が短めな事を考えると、賞味期限を多少過ぎてしまっても大丈夫な感じがします。生で食べない、充分な加熱を行う事を前提にすると、どのくらいの期間、卵は保存しておく事ができるのでしょうか?卵の保存状況によって、その期間は大幅に違いが生じてしまいます。代々養鶏を営まれてきた方によると、卵は洗わない状態で、ヒビとかがなければ、半年たっても腐る事はないそうです。卵の表面にあるクチクラ層が、水分の蒸発を抑えて卵の乾燥を防ぎ、酵素の働きで雑菌の侵入を阻害したり、万が一侵入されても増殖を抑えてしまいます。
雑菌の事を心配するあまり、購入した卵をすぐに洗ってしまう事は、表面のクチクラ層を剥がし、水の浸透圧によってかえって雑菌が卵の内部に入りやすい状態を作ってしまいます。購入した卵は、表面にヒビが入っていないか確認し、ヒビが入っていた場合、生食は避けて充分加熱調理するようにして、早めに使ってしまいましょう。状態を整えれば、かなり長く保存できる食品ではありますが、外気の臭いを吸収しやすい性質も持っているので、あまり長く冷蔵庫に保管する事は、美味しさという点からもお薦めできない事と考えています。
第229回 にんにく注射
2005年02月09日
229回目という事で、にんにくに関する話をしたいと思ってしまいました。最も個性的な食材で、機能性も優れています。デザイナーフーズのピラミッドを描くと必ず頂点に置かれ、それ以下の食材の順位が微妙に変動するのに対し、にんにくだけは不動の地位を築いています。話題にも事欠く事がなく、定期的ににんにくの効果効能に関する特集が行われる事でも、人気の高さを伺う事ができます。
そんなにんにくを取り巻く状況の中で、一際目立った話題となったものとして「にんにく注射」が上げられます。某スポーツ選手や芸能人が愛用した事で話題となり、その名の通り疲労が重なった人の強力な味方という印象が強いのではないでしょうか。実際、にんにく注射を受けた人の多くが、かなり即効的に疲労感や倦怠感の緩和、活力が湧く感覚を体感していると言います。
忙しくて、早く疲労を取りたい人、過労が辛いが休めない人、慢性的な疲労が抜けない人、冷え性がひどく、風邪を引きやすい人にお薦めとの事ですが、名前の感じからにんにく由来の成分が含まれているようで、それを直接血管内に入れる事には、それなりの抵抗感を覚えてしまいます。ところが、実はにんにく注射というのは俗称で、実際にはにんにくから抽出された成分は含まれていません。にんにくに含まれるビタミンB1に類似した合成のビタミンB1誘導体が主成分となり、それが血液を介して全身を回る際、鼻の嗅覚細胞を通る時ににんにくのような臭いを自覚させるために、その名前で呼ばれるようになったと言われます。
にんにくの中で、ビタミンB1とアリシンが結合してアリチアミンとなります。アリチアミンは、消化器官の中で安定した状態を保ち、吸収されやすく、血液中に長く留まって、必要に応じてビタミンB1を放出して疲労回復に効力を発揮します。アリチアミンからビタミンB1を放出した後には、アリシンが残されます。アリシンはにんにくの臭みの素でもあるので、より臭みの少ない成分が求められました。その結果合成されたのがアリチアミン類似物質のプロスルチアミン(アリナミン)です。その後、更に改良が加えられフルスルチアミン(アリナミンF)が開発され、これがにんにく注射の主成分となっています。より臭みの少ない物へと改良が行われていますが、基本となるのはアリチアミンなので、やはり紛れもない「にんにく注射」なのだなと思ってしまいました。
第228回 ガルム
2005年02月08日
古代ローマの美食家アピキウスが記した料理に関する本の中に、「ガルム」という名前の調味料の作り方や、ガルムを使った料理のレシピが数多く出てきます。当時ガルムは、食べ物に塩味を付ける調味料として、日常的に使われていたようです。その後、古代ローマの滅亡と共にガルムも姿を消し、食べ物への味付けにはソースが主流になります。
作り方から考えられるガルムの起源は、イワシの塩辛であるアンチョビーと考えられます。イワシや小魚、小エビなどを塩漬けにして、長期にわたって保存しておくと、発酵が進んでタンパク質がグルタミン酸をはじめとするアミノ酸に分解され、旨味を含んだ液体に変化します。それがガルムで、日本にも同様の調味料「しょっつる」が存在しています。
しょっつるやナンプラー、ニョクマム。魚介類を発酵させた魚醤は、アジア特有の発酵調味料と思われがちですが、かつてはヨーロッパでも作られていたというわけです。日本で魚醤が使われ始めたのが、約2000年ほど前と考えられていますので、ほぼ同時期に存在していたという事になります。
塩が調味料としてだけでなく保存料としても使用されるようになって、自然発生的に発酵調味料である「醤」が生まれたと考えられます。奈良時代には、醤のバリエーションも増え、原料によって穀物を用いた「穀醤」、魚介を使う「魚醤」、肉を使った「肉醤」、野草を使った「草醤」が作られていました。穀醤は、米、麦、豆を用いた物で、後の味噌、醤油へと発展していきます。魚醤に関しては、日本全国規模では普及していませんが、誰しも一度は口にした事があると思います。そんな事はないと思われがちですが、インスタントラーメン、めんつゆ、おせんべい、注意深く原料表示のラベルを眺めると、意外と幅広く使われている事を発見する事と思います。
第227回 上海出身
2005年02月07日
上海に近い河川や湖沼で多く獲れる体長8cm程度の小ぶりのカニで、和名を中国モクズガニ。深緑色の甲羅に、ハサミの部分に藻のような毛が生えています、というと高級食材の上海ガニの事と判ってしまいます。デパートやスーパーの輸入食材のコーナーで見かける事も多くなってきました。小さな体の割りには獰猛で、ハサミを使って暴れる事があり、ハサミが取れてしまうと価値が下がるので、全身を頑丈な紐で十文字に縛った特徴的な姿で販売されています。
冬眠を前に栄養を蓄えるとされる9月から11月にかけてが旬とされ、特に10月の雌、11月の雄が美味しいとされます。調理した際の姿が重要視される事から、ハサミの扱いに注意しますが、上海ガニの美味しさは甲羅の中にびっしりと詰まった「味噌」や、ゼラチン質の「子」にあると言われます。
そのため上海ガニを調理する際は、熱くなった味噌が滴り落ちないように気を使うそうで、旬の時期になると、地元では「今年は何匹食べましたか?」という挨拶が交わされる事もあるそうです。相変わらずの高級食材ではありますが、世界各地で養殖が行われるようになってからは、比較的安定した流通が行われています。しかい、この養殖が困った問題を引き起こしています。
各地の河川で養殖場から逃げ出し、自生する上海ガニが確認され、生態系への影響が懸念されています。日本にも「山太郎」の名で親しまれたモクズガニが生息しています。野生のモクズガニが成長に二年を要するのに対し、品種改良された養殖の上海ガニは一年で成長してしまいます。そうした成長による優位性以上に、遺伝子的に近い存在である事が交配を可能にし、在来種の変質という静かな絶滅に繋がるという事が懸念されています。美味しい物が手軽で安価に入手できるようになるのは、大変ありがたい事ですが、気付かないうちに起こる環境破壊にも気を配りたいと思います。
第226回 併用不可
2005年02月04日
強力な作用を持つ薬剤を飲用する場合、グレープフルーツジュースと一緒に飲む事を避けるよう指導される事があります。特に高血圧の方に処方される降圧剤の場合、薬剤の効果が過度に出てしまう可能性があり、立ちくらみや失神を引き起こす事さえあると言われ、飲用を避けるように指導されます。
最近、グレープフルーツは、一日一個半程度の摂取で、体重減少に繋がる効果を発揮するとして、脂肪と闘う果物という位置付けを得てきています。そのため、手軽に摂れるグレープフルーツジュースを常備する人や、グレープフルーツ自体を食事に取り入れる人も増えているそうですが、グレープフルーツの摂取によって、さまざまな薬剤の代謝に関して深刻な影響を与える可能性がある事が報告されていました。
米国の看護学関連誌に掲載された論文によると、グレープフルーツジュースの摂取によって、体内の代謝システムの一つある肝臓での酵素産生が影響を受け、特定の処方箋薬服用者の体内薬剤濃度が上下し、大きな問題に繋がりかねないと警告を発していました。希釈、冷凍、生と、ジュースの状態によって薬剤の濃度に対する多少の影響の違いはあるとしていますが、飲用直後に限らず、その効果は5時間から、長い場合は12時間にも及ぶとされています。
影響が懸念される特定の処方箋薬としては、良く知られた降圧剤の他にエイズ治療薬や抗凝固薬のワーファリン、抗生物質のエリスロマイシン、ホルモンのエストロゲン、テストステロン、有名なバイアグラなどが上げられています。それらは、多数の薬剤の中のごく一部で、大半の薬剤にはグレープフルーツとの相互作用はなく、指摘された薬剤も他の薬剤での代用が可能なので、それほど過剰反応を示す必要はないとしていますが、米国ロチェスター大学医療センターのカーチ博士によると、こうした危険性は、患者の側では見落としやすく、情報提供者である医師も目まぐるしく変化する薬剤の情報に、充分対応できていない可能性があると警告しています。日常の中に潜む危険な事ですから、充分な注意、そのための情報収集が大切と考えさせられてしまいました。
第225回 タンパク結合
2005年02月03日
にんにくという食材は、その特異な個性から、好まれながら敬遠される物という、変わった扱いを受けていると思います。加熱した際の香ばしい風味は、多くの人の食欲を刺激し、実際少量を加えただけでも、料理を美味しくしてくれます。しかし、食後に発生する臭みは、にんにくという食材を料理に使うかどうかさえ迷わせてしまうほどのインパクトを持っています。「一害あって、百利あり」と言われるにんにくの唯一の害、それが独特にして強烈な臭みだと言われています。
そんなにんにくの臭みに対抗する手段は、洋の東西を問わず経験的に多くの手法が蓄えられてきています。芳香成分を含む物を摂り、臭みをカバーしたり、臭みの分解酵素を含む物と合わせる、カバー効果を持つタンパク質を摂るといったものが、一般的ではないでしょうか。中でもタンパク質と結合させて臭みを封じるやり方は、臭みを発生させないだけでなく、にんにくの効能も壊さずに済むという、大変ありがたい一面を持っています。にんにくの後の牛乳がそれにあたり、にんにくと卵の黄身を練り合わせて炒り上げる「にんにく卵黄」は、その強化版と考える事ができます。
にんにくとタンパク質を合せて加熱する。かなり有効な手段ですが、臭みを封じ込める手段としては、確認できるところでは意外と少数派で、二例ほどしかありません。一つは「にんにく卵黄」、もう一つはイタリア料理の「バーニャカウダ」です。バーニャカウダは、イタリア語で「温かいソース」という意味で、にんにくを牛乳で煮る事によって、臭みを封じ込めてしまいます。牛乳のタンパク質で臭みを封じ込められたにんにくとアンチョビ、オリーブオイルが合せられた香り高いソースは、北イタリアで収穫を祝う祭りの必需品となっているそうです。
作り方は意外と簡単で、にんにくを二片を二つに切って芯を取り、鍋に入れて浸るくらいの牛乳を入れます。串がすっと通るくらい柔らかくなるまで煮ますが、にんにくの香りが苦手という方の場合、途中で茹でこぼせば、よりマイルドに仕上がります。アンチョビ50gをほぐし、鍋にオリーブオイル150mlを熱し、煮上がったにんにくとアンチョビを入れて潰します。仕上げにバター30gを落として混ぜ合わせれば出来上がりです。スティック状に切った野菜を、鍋に熱したソースに漬けたり、パスタに絡めたりとさまざまな使い方ができます。オリーブオイルの量を100ml減らし、代わりに生クリーム100mlを使っても美味しくいただけます。にんにく好きの方は、お試し下さい。
第224回 何故、河の?
2005年02月02日
鍋物が美味しい季節です。鍋物の良さは、家族や親しい人と囲む事ができ、さまざまな食材を楽しめる事ではないかと思います。定番の食材から、目先の変わった物まで、いろんなバリエーションが考えられます。そんな鍋物の素材の中で、定番という地位を確立はしていても、なかなか登場回数が多くない食材の中に、「ふぐ」は入るのではないでしょうか。
ふぐは、フグ目フグ科の海水魚の総称で、外敵に遭うと、大きく腹部を膨らませて威嚇するという特徴を持ったものがいます。卵巣や肝臓にテトロドトキシンという猛毒を持つものもいる事から、当ると死ぬという事で、「鉄砲魚」という呼び方をされる事もあります。この猛毒ゆえにふぐを扱うには、特殊な免許が必要とされ、その取得には最低でも2年以上の修行が必要とされます。
ふぐは漢字で「河豚」、河の豚と書きます。何故、海に住むのに河?といつも思ってしまいます。豚というのは、膨らんだ姿からの連想かと思うのですが、河は謎です。海の豚と書くとイルカになるので、すでにイルカに海を取られてしまったので、しかたなく河となったと、子供の頃は勝手に思っていました。実は、ふぐの漢字表記は中国に由来し、中国では揚子江や黄河に生息する淡水性のふぐの方が親しまれていたために、河の豚という名前になったそうです。
ふぐという呼び方については、諸説があり、定かではないそうです。平安時代には、「布久(ふく)」「布久閉(ふくべ)」と呼ばれており、海底のゴカイ類を食べるために、砂を吹く習性がある事や、瓢箪をかつては、「ふくべ」と呼び、その姿が似ているためという説もあり、単純なところでは、袋に似ている事や、膨れるから、ふくよかな感じだからというものもあります。下関ふく連盟によると、2月9日はふぐの日に制定されているそうです。その日のメニューは...、多分違いますね。
第223回 朝メイク
2005年02月01日
朝のメイクと言っても日常的な化粧の事ではなく、ベッドの方、ベッドメイキングについてです。朝起きて、寝ている間に乱れたベッドをきちんと整えておく事は、一日のはじまりとしては気持ちの良いものです。朝の忙しい中、それなりに時間がかかるベッドメイキング、それをしない方が良かったとしたら、喜びますか、それとも気持ち悪いですか?
英国キングストン大学建築学部のブレットラブ博士による室内のダニに関する研究によると、朝起きてすぐのベッドメイキングは、ダニの繁殖を助けている事が示唆されています。この研究は、ロンドンとケンブリッジの昆虫学者や動物学者と協力し、室内の換気状況や熱遮断、暖房といった諸条件が、家の中に生息するダニの生息数への影響を調査したものです。全国各地からボランティアを募り、様々な種類のダニを絶対に逃げ出さないティーバッグの様な入れ物に入れて持ち帰ってもらい、生息に関する状況を調べました。
その結果として、毎日きちんと整えられるベッドは、適度な湿度と温度が確保され、ダニが生息しやすい状況に保たれ、乱れたままのベッドでは、シーツの表面やシワになって浮き上がった裏面が空気に触れて乾燥し、ダニを干からびさせるため、生息しにくい状況を作り出しているそうです。
一般的なベッドでは、最大で150万匹のダニが生息していると言われます。そうしたダニは、人間の古くなって剥がれた皮膚を食料に生息するため、ベッドは最適な生活環境となっています。特に重要なのが湿度で、人が眠った後の汗は水分の供給源となります。ダニやその死骸は、喘息や慢性鼻炎といったアレルギー障害の原因として考えられています。少しでも健康的な毎日を確保するためにも、明日の朝からベッドはほったらかしにしましょう。
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