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第342回 ごった煮?     2005年07月29日

 鍋物は、あまり好まない人なので、ほとんど作る事も食べる機会もありませんが、知り合いにわざわざ下拵えした具材とスープをもらい、ぜひ食べてくださいと「ちゃんこ鍋」をもらった事があります。各種の野菜、キノコ類に魚介、鶏肉のつみれとバラエティーに富む具材に、だしの利いたスープが、いかにも栄養のバランスが良く、繰り返し食べても飽きが来ない秘訣のように思えて、力士の力強さの一端を見た気になった事があります。

 「ちゃんこ」というと、そうした具沢山のごった煮にようなイメージがありますが、実は必ずしもそうとは言えない一面があります。ちゃんこという言葉は、本来は鍋料理のみを指す言葉ではなく、相撲部屋で食べられる食事を総称するものです。相撲部屋で力士が作り、食べる料理は、すべてちゃんこと呼ばれるわけです。そのため、「今日のちゃんこは?」「トマトソースのパスタと小エビのフリッターです」というやり取りもおかしくはない事になります。

 実際、相撲部屋で料理当番はちゃんこ番と呼ばれる事からも、料理=ちゃんこという事が伺えます。このちゃんこという言葉、語源については諸説があり、はっきりしないものがあります。代表的な説としては、江戸時代の長崎に中国から渡来した底の浅い両手鍋「チャンクオウ」が伝えられており、巡業で長崎を訪れた際に取り入れられ、後にちゃんことなったというものがあります。

 また別の説では、昔は現在のように修行の一環としてちゃんこ番が決められいた訳ではなく、引退力士が面倒を見ていた言から、「おじちゃん」「お兄ちゃん」などの呼び方が、いつの間にか「ちゃんこ」となったというものもあります。似たような説では、相撲部屋での師弟関係が、親子関係にも近いものがあるため、父親(ちゃん)と子供(こ)が一緒に摂る食事をちゃんこと称したというものもあります。両手鍋(チャンクオウ)説が有力ですが、親子説の方が温かい感じがします。



第341回 スタミナの素     2005年07月28日

 暑い季節が本格化すると、体力を消耗しやすいわりには、食欲が低下しがちになります。充分な体力を確保するためにも、栄養価が高い食事内容をと考えてみるのですが、スタミナ・・・と名が付くものは、どれも食欲が低下している際には、あまり食指が動く物ではない事が多いと思います。体内に摂取した栄養、特にすぐにエネルギーに変換できる糖質をうまく活用するには、ビタミンB1の存在は不可欠となっています。

 かつて日本では、ビタミンB1の欠乏で起こる脚気は国民病とも言われ、多くの死者を出す怖い病気の一つとなっていました。第二次大戦後、食料が豊富になり、栄養状態が良くなるにつれて脚気の症状は見られなくなり、いつの間にか過去の病気のように考えられるようになっていました。ところが昭和40年代の後半から、青少年といった若い世代に再び脚気の症状が見られるようになってきています。

 日本における脚気の歴史は古く、奈良時代以降の上流階級に流行が見られ、平安時代の初期には、「脚の気」という記述が見られるようになります。江戸時代に入ると、庶民の間でも手足がしびれ、脚がむくみ、よろよろとしか歩けなくなり、最終的には心臓病(脚気衝心)を起こして死亡する奇病を、「江戸煩い」と呼び、江戸の街の風土病として怖れるようになります。白米食の普及と副食の貧弱さという相乗効果で、ビタミンB1不足に陥った典型的な脚気の症状ですが、当時はビタミンB1の存在など知る由もなく、白米食の普及と共に京都、大阪といった都市住民を中心に全国へと広まり、明治時代に入っても患者は続出しました。

 その当時、脚気の発症は日本に限った事ではなく、世界的に症状の発生が見られています。オランダ領インドネシアでも多くの患者が発生し、オランダ人のエイクマンは鶏を白米を中心とした餌で育てると発生する「白米病」が、脚気に酷似している事を発見します。白米病は玄米で飼育すると発生せず、発症した鶏に米ぬかを与えると症状が無くなります。しかし、米ぬかの中に含まれる有効成分については、未知のままでした。20世紀に入ると1910年に日本の鈴木梅太郎によって、多くの物質を含む結晶としてビタミンB1が結晶として取り出され、その存在が知られる事となります。純粋な結晶としてのビタミンB1が得られるには、さらにその後16年を要します。

 こうしてビタミンの中で最も早く発見されたビタミンB1は、体内での働きの解明、栄養学的知識の向上と合せて、脚気を過去のものへとしていきました。既に過去のものとなった感のある脚気ですが、復活してきている背景には、食への無関心が存在します。成長期でビタミンB1の必要量が多めな状態にある青少年に、急速にビタミンB1を消費してしまう糖分が多い清涼飲料水やお菓子類の摂取、ビタミン類が壊れやすい状態にある加工食品の普及という、ビタミンB1を摂取するという観点からは劣悪な食生活が忘れられた病気の復活に繋がっています。自分で予防する事が容易な病気だけに、充分気をつけたいものです。ビタミンB1にはアリシン、これもお薦めです。



第340回 今時の火浣布     2005年07月27日

 この数日、月がとても綺麗で、しばらく何をするでもなく眺めています。月というと「かぐや姫」の物語を思い出してしまうのですが、美しく成長したかぐや姫に求婚者が殺到する場面で、火浣布(かかんふ)という物が出てきます。入手困難な品で、求婚を断る口実のような感じで出てくるのですが、火ねずみの毛で織られた布で、汚れたら火に投じて汚れを落とすという、当時では考えられない特質を備えています。

 広く知られた物語に登場する事で、久しく伝説的な品として存在してきた火浣布ですが、明和2年(1765)平賀源内によって現実の物となります。前年、秩父地方の両神山の山中で石綿を発見していた源内は、案内者に伴われて中津川を訪れ、採取した石綿を原料に耐火性に優れた布を織り上げました。火に投じても決して燃えない伝説通りの火浣布の完成です。

 その後、石綿は、燃えないという性質や綿のような質感、耐薬品性、絶縁性に優れる事から、一時は奇跡の鉱物と呼ばれ、さまざまな事に利用されます。壁面や天井に吹き付ける事で、燃えない断熱材として利用したり、熱に強い性質や耐久性が高い事からブレーキパッドの素材にもにも使われていました。今日でこそ健康被害が言われ、使われなくなっていますが、石綿自体は大変古くから知られ、利用されてきました。石綿の事を英語で「アスベスト(asbestos)」と言いますが、ギリシア語の否定を意味するa(しない)と消化を意味するsbestosを合せたのが語源となっています。

 最近、石綿を吸引した事による健康被害が話題になっています。「静かな時限爆弾」とも呼ばれ、1970年代の高度成長期にビルの耐熱、保温を目的として大量に使われていたものが、40年近い時間の中、潜伏期間を経て発症を始めたと言われています。髪の毛の5000分の1の細さという極めて微細な繊維が、吸引されると肺の中で安定して長く留まり、尖った先端で細胞を刺激し続け、ガン化させるのだと言います。これまで幾度と無く便利さの陰に隠れた危険性に気付かず、後になって弊害が生じるという歴史が繰り返されています。有名なローマの水道も、継ぎ目に使われた鉛が原因となる鉛汚染が、広範囲の人々に及んでいたと言われます。アスベストの問題は、2000年を隔てた今日でも、あの頃とそれほど変わらないのでは、そう思わされる事件でもあります。



第339回 天然甘味料     2005年07月26日

 高校で習った古典の中に「付子」という喜劇があり、お気に入りの一つとなっていました。付子とは、トリカブトから得られた毒の事で、物語の中では強力な毒として描かれています。誤って口にする事はもちろん、触れる事でも死の可能性があり、付子の風下にいるだけでも死んでしまうという猛毒です。物語は、隠し持っている黒砂糖を留守中、小坊主に食べられたくないために付子と偽る和尚さんと、好奇心から付子を見ているうちに黒砂糖の甘い香りに負けて食べてしまった小坊主達のユニークなやりとりの話なのですが、当時、いかに甘味が貴重であったかを伺う事ができます。

 今日では、サトウキビや甜菜から得られる砂糖が安価に手に入り、甘味はそれほど貴重なものではなくなりましたが、身体にとって不可欠なものである事には変わりがありません。動物が甘味を求めるという事は、最終的にブドウ糖を得る事を目的としています。ブドウ糖は身体にとって、最も大切な栄養素の一つになっています。脳や赤血球はブドウ糖のみを栄養として活動し、欠乏した際、稀に他の糖質で代替する事が可能ではありますが、やはり最も重要な栄養素である事は事実です。

 動物が糖分を得る場合、植物が作り出す栄養素から摂取する事がほとんどです。植物が栄養として蓄えたデンプンを摂取する事は、体内で分解し最終的にブドウ糖とする事を目的としています。そうした反応は体内へとデンプンを摂取する最初の段階から始められ、唾液中の酵素アミラーゼによってデンプンが分解され糖質が得られる事は、米などを長く噛んでいると甘味が生じてくる事からも確認する事ができます。

 もっと直接的に糖分を得る事は、果実を食す事で行われます。果実に含まれる果糖は、天然の糖分の中では最も甘味が強く、砂糖の1.5倍ほどの甘さがあります。天然に存在する果糖のみを分離、抽出する事は非常に難しく、古くから知られていた果糖が単体の結晶として精製されたのは、1960年代とかなり最近の事となっています。古くから知られ、新しく精製されたという独自の糖分ではありますが、砂糖よりもブドウ糖に近いという点では、疲れた際の栄養補給にも向いています。ちょっとした疲れで甘い物がほしくなったら、お菓子よりも果物がお薦めです。



第338回 マスク違い     2005年07月25日

 夏が近付いてくると、当地熊本の名産「肥後グリーンメロン」を見かける機会が増えてきます。品種としては、新しい部類に入るらしい肥後グリーンメロンは、スイカの出始めと同じくらいの時期に、小玉スイカと同じくらいのやや大きめの姿で、メロン特有のネット状の模様がいかにもという感じがします。このネット状の模様、実はメロンの成長の証でもあります。

 花が咲き、交配が終わると果実ができてきますが、この段階のメロンにはまったく模様らしきものはありません。その後2週間ほどすると、果実の急速な成長に表皮が追い付かなくなり、縦方向に亀裂が生じてしまいます。その亀裂を保護するために染み出した果汁が固まったものが、表面に盛り上がった模様となります。さらに成長が進むと斜めや横方向へも亀裂が生じ、複雑なネット状の模様となるのですが、急激にしっかりと大きくなったという跡がネット模様となり、メロンの成長度合いを示す印となります。

 ネット状の模様が特徴的という点ではマスクメロンが有名ですが、このマスクメロン、ネット状の模様がマスクをかけたみたいなところから、その名が付いたと思われてしまう事があります。英単語での綴りを見ると、「Musk」となっていて、仮面、覆面を意味する「Mask」とは違う事が解ります。Muskとはムスク、香料の麝香の事を指しています。ムスクが元になるという点では、ブドウの一種、マスカットも同じ語源を持つ事になります。

 大正時代にイギリスからアールス系のメロンが導入され、温室栽培が始まった際、正式名称であるアールス・フェボリット(伯爵のお気に入り)より、麝香のように香り立つ事から、ムスクのような甘い香りのメロン、マスクメロンとなったそうです。店頭では、アールスメロンとマスクメロンは、まったく別物として売られていますが、系統的には同じものという事になります。必ずしもそうとは言えない価格差がありますが...。



第337回 一刺しの恐怖     2005年07月22日

 幼少の頃、休耕田にレンゲが植えられ、その近くに養蜂業者の方がミツバチの巣箱を並べている事があり、子供心に大量のミツバチがいるという事を考え、巣箱への好奇心よりミツバチへの恐怖心で一杯になり、その時期だけその周辺で遊ぶ事ができなくなっていた事があります。刺された経験はなかったのですが、腫れ上がり、激しい痛みを伴うと聞かされた事が怖さを誘っていたようです。

 ミツバチは、蜂蜜や蜜蝋を採取するために飼育され、養蜂業という一つの産業として成り立っています。実はこの養蜂業、紀元前2600年頃のエジプトに始まったと考えられ、養蜂以外でも紀元前6000年頃の洞窟壁画には、蜂の巣から蜜を採取しようとする人の絵が描かれ、人とミツバチの関係の深さを物語っています。幼少の私を恐怖させた巣箱は、19世紀の中頃と、かなり後になってからの発明ですが、それ以降、養蜂業はかなり合理的なものとなりました。

 養蜂に用いられる蜂は大きく分けて2種類があり、通常目にするのは「ミツバチ類」で、もう一つは「ハリナシミツバチ類」です。養蜂に用いられるミツバチ類は、細かく分けると30種類ほどの仲間がいますが、見慣れないハリナシミツバチ類は400種類以上もの仲間がいます。少数派のはずのミツバチ類の方を多く見かけてしまう理由は、ハリナシミツバチ類の生息分布にあります。ハリナシミツバチ類は、亜熱帯を中心に分布しているため、日本へ持ち込んでも定着が難しく、管理に非常に手間がかかってしまいます。

 ミツバチは、蜂蜜や蜜蝋の採取以外にも花粉を運び授粉に用いられます。そうした場合、養蜂業者とは異なり、農家の方ではミツバチの扱いに不慣れな事が考えられ、人を刺すミツバチよりも刺さないハリナシミツバチの方が、格段に扱いやすいという事になります。そのため、この10年ほど研究が進められ、特定の遺伝子にガンマ線を照射して細胞内のDNAに変異を起こさせ、刺さないミツバチの開発が行われてきました。ガンマ線の当て方や変異したDNAを遺伝させる事、女王蜂を用いた育種の方法など、さまざまなノウハウが産業化を可能にするほど進歩してきていますが、最近では巣箱の存在よりも、そうしたDNAへの干渉の方へ恐怖を感じるようになってしまっています。



第336回 怪しい光     2005年07月21日

 一時期、ブラックライトが気に入っていて、実際にそれ用の蛍光管を購入し、部屋の照明の一環として使っていた事があります。ブラックライトは、可視光線をカットするように濃い青色のフィルターガラスを用いた蛍光灯で、管内に塗布する光る素となる蛍光体も近紫外線に合わせてあります。そのためブラックライトを点けても、ほとんど明るくなる事はなく、紫外線を反射するものだけが暗がりの中に煌々と光るかたちになります。

 あまり長時間ブラックライトの中にいると、目が疲れてしまいますが、独特の灯りは気分転換には良い感じがしていました。よく光るものとしては、蛍光剤が入った合成洗剤で洗濯された白いシャツや、蓄光塗料が塗られたポスター、蛍光塗料のシールなどが目立っていました。そんな中に意外な物が光っている事に気が付きました。市販のドリンク剤、タウリン1000mgで知られたあの製品です。

 最初、光を反射しやすいものならば、何でも光ると思っていましたので、白いお米でもと食事の用意をしたのですが、お米はほとんど光りません。シャツの柄の白い部分や、一緒に洗った布きん類、時計の文字盤などが身近なところで光っていたのですが、その中で、わざわざ遮光ビンに入れられたドリンク剤を、透明なグラスに出してみると見事な緑色に光っています。通常は黄色の液体なので、ブラックライトの青系の光を受けて緑色だという事は納得がいくのですが、ちょっと不気味な感じがします。

 一見不思議な感じがするのですが、内容成分を考えると理解ができます。ドリンク剤には、さまざまな栄養素が含まれ、体内でエネルギー変換に関わり、特に脂質のエネルギー代謝に欠かせないビタミンB2も当然含まれています。ビタミンB2(リボフラミン)は構造上紫外線を吸収し、吸収した光エネルギーを可視光線として排出する性質を持っています。そのために、目に見えない波長の光を吸収したビタミンB2が、暗がりのグラスの中で光っていた事になります。入浴剤のような色になっていたので、あまり気持ちの良いものではありませんが、しっかり栄養素が入っている証明でもあり、内容に偽りのなさを示している光でもあるわけです。



第334回 鉄分補給     2005年07月20日

 自分が貧血だからというわけではありませんが、貧血とは、かなり身近な事のように感じています。回りにも貧血だという人が多く、中には自律神経の不調からくる「立ちくらみ」から、自分を貧血と思っている人もいますが、決して少なくはないと思います。以前、知り合いの漢方医が、調理器具、特にフライパンを昔ながらの鉄製の物に変えただけでも、貧血は大いに予防する事ができると断言していた事がとても印象的でした。

 鉄分は、非常に吸収されにくい性質を持っています。植物由来と動物由来では若干性質が異なりますが、吸収率の悪い植物由来の鉄分では、5%以下しか体内へ吸収されないという状態になっています。これは、人間が動物を捕獲し、血液を多く含む肉類を食していた事から、豊富に鉄分が食物中に含まれていた事に起因すると考えられます。実際、血液に含まれるヘモグロビンやミオグロビン、ヘム酵素に由来する鉄分、ヘム鉄では、吸収率が30%に上る事もあり、ヘム鉄以外の鉄分でも食肉と一緒に摂取する事で、吸収率を倍近くに引き上げる事ができます。

 また、ビタミンCと一緒に摂取する事でも、鉄分がビタミンCの還元作用によって溶けやすい状態にしてくれるので、鉄分を多く含む食材とビタミンCが多い果物のジュースを一緒に摂る事で、鉄分吸収を飛躍的に向上させる事ができます。鉄分が吸収されるには、イオン化している事が大切なので、調理に鉄製のフライパンを用いる事は、理に適っていると思われます。

 そうと解ってはいても、一度慣れてしまったフッ素樹脂加工のフライパンの便利さは手放しにくいものがあります。フッ素樹脂加工のフライパンというと、米国で問題になっているパーフルオロオクタン酸(PFOA)の問題もあり、できれば他の物質でもっと安全な物があればと思い、物色している最中です。鉄製のフライパンは焦げ付きやすく、不便ではありますが、健康的な食生活を考える上では、手間隙を惜しんではいけないと考えています。



第335回 PFOAって?

 前回、名前を出してしまいましたので、PFOA(パーフルオロオクタン酸)について触れてみたいと思います。世界の各地でポリマー蒸気熱という奇妙な風邪に似た症状が報告されています。台所仕事をしているうちに胸が締め付けられるような息苦しさを感じ、激しい咳が出る。脈拍が速くなり、血圧も上昇、呼吸困難の症状になり、緊急入院を余儀なくされてしまいます。血液検査では、白血球値が上昇しているので、何らかの感染症を疑われる事もありますが、一ヶ月しても症状の改善が見られない。そんな奇妙な症状です。

 原因として考えられているのは、使っていた調理器具の表面にコーティングされていたフッ素樹脂が、高温に曝された事で分解して蒸気となり、肺の奥深くまで吸引してしまったためとされています。フッ素樹脂は、きわめて安定性が高く、かなりの高温にならないと分解されないと考えられてきました。しかい、意外と日常的に調理器具が高温に達し、分解、蒸散という事が起こっているという指摘もあります。

 シカゴで獣医を営む獣医の話では、フッ素樹脂の中毒で一日に一羽の割合で、比較的ガスに敏感な生物である鳥が死んでいると言います。ペットとして飼われている鳥の急死は、主にフッ素樹脂の中毒が原因で、年間105件、合計296羽の事故が確認されているそうです。フッ素樹脂の急速な普及が、そうした事故の増加と比例関係にある事も知られています。

 フッ素樹脂は、他の物質と反応しにくく、食品がくっつきにくい性質を持っています。反応性が低い事から、通常調理で使われる200℃くらいの温度では、樹脂の分解は起こらないと考えられています。しかい、フッ素樹脂のフライパンに何も食材を入れない状態で加熱すると、電磁調理器では3分程度で、ガスコンロでも5分ほどで350℃を超える事が確認されています。240度を超えたあたりから樹脂の分解が始まり、340℃にもなると有機フッ素化合物として、発ガン性があるテトラフルオロエチレンが発生し、次にトリフルオロ酢酸、それから問題視されているパーフルオロオクタン酸が発生し、さらに高温となると化学兵器として知られたホスゲンに似た物質が発生するとされています。どれも分解しにくい物質ばかりなので、一度体内に取り込まれると長く残留してしまう可能性があります。フッ素樹脂加工のフライパンを使用する際は、くれぐれも中火以下を守り、絶対に空焚きしない事が大切です。万が一、空焚きをしてしまったら、速やかに換気をする事が大切です。便利な物だけに、充分注意して使いたいものです。



第333回 さくら     2005年07月15日

 結構続いているこのコラム、ついに333回を迎えました。実は個人的に3という数字は、ラッキーナンバーでもあります。その3が三つも並んだ回なので、今回は個人的に大好きな「桜」について話題を展開してみたいと思いました。桜は鑑賞に限らず、花、実、葉といった可食部を持っています。香りも良く、ほんのりとしたピンク色が美しい事から、和菓子や料理の素材として、非常に重宝する存在ともなっています。

 桜の葉は、桜餅の材料として広く知られています。塩漬けにされた葉の香りと、ほんのりとした塩味が、より桜餅の味を引き立てている事は、春になれば多くの方が経験される事と思います。食用に用いられる桜の葉は、主にオオシマザクラの若葉です。全体の80%は伊豆地方で生産され、伊豆半島や伊豆大島では、葉を取るためだけのオオシマザクラが栽培されています。背丈が大きくなると収穫が大変になるので、一定の大きさを基準に幹ごと切り倒されてしまいますが、根のあたりから再生し、数年後にはまた収穫できるというサイクルを繰り返しています。そのため桜畑は、茶畑のような雰囲気になっています。

 桜の葉特有の香りは、クマリンという成分が元になっていて、生葉にはほとんど含まれない事から、塩漬けに加工しないと味わう事ができません。また、桜の花は葉と同じく塩漬けにして、葉よりもさらに多くの用途に用いられています。和菓子、桜ご飯、お吸い物の浮身、日本酒や焼酎に浮かべるなどの使い方がされますが、最も代表的なのは桜湯ではないでしょうか。軽く水洗いして表面の塩気を落とした桜の花をお湯に浮かべ、香りと色合い、微かな塩味を楽しむ桜湯は、縁起物としても扱われ、めでたい席でその姿を見掛けます。

 ところがこの桜湯、江戸時代の初期までは縁起の悪い物として、婚礼の席などでは特に避けられる風潮がありました。桜は種類によっては、花の盛りを過ぎた後、急速に色があせてしまう事があります。桜ざめと呼ばれたこの現象のために、気持ちがさめる事がないよう、婚礼の席では桜湯を避けていたといいます。同じ理由から、桜の季節には婚礼自体を避ける風習もあった事から、現在とは正反対のものを感じてしまいます。現在でも、お茶を濁すに繋がる事から、婚礼でお茶をださない風習もあるそうなので、縁起物ゆえの難しさがあるのかもしれません。春が終わると、一気に桜餅を見掛けなくなってしまいますが、桜餅ファンの私としては、いつも手元にあってほしい物の一つとなっています。



第332回 繁殖好機です     2005年07月14日

 日本は高温多湿の気候帯にあり、その中でも梅雨の時期となると、かなりの蒸し暑さに悩まされてしまいます。そんな中、勢い付くのがカビではないでしょうか。カビは湿度と栄養、それが揃ったところに胞子があると簡単に繁殖してしまいます。世界中にカビは分布し、一説には10万種ものカビが存在するとさえ言われます。私達の日常生活に関わってくるカビとなると、せいぜい100種類程度ですが、それでもあの強力な繁殖力には、驚かされるというか鬱陶しさを感じてしまうものがあります。

 カビというと、腐敗と同じく食品をダメにする要因の一つとなっています。基本的にカビが生えた物は食べないというのが通常の判断になりますが、中には食品加工に有効な物、食品となりえる物も含まれています。しかし、多くの場合、やはりカビが生えた物は食べないというのが無難ではあると思います。カビに関して最も怖いのが、カビ毒の一つアフラトキシンです。天然に存在する物質の中では、最強の発ガン性を持ち、摂取量しだいでは急性の毒性によって死亡する事もある怖い毒素です。

 また、カビやカビの胞子を体内に吸引した際、アレルギーの素、アレルゲンとなる事があります。カビは花粉と並ぶ主要アレルゲンで、空気中にもカビの菌糸や胞子が飛んでいる事から、知らず知らずのうちにカビのアレルギー疾患を起こしている事があります。春から夏にかけてのアレルギー症状は、花粉よりもカビを疑ってみる方が妥当かもしれません。

 カビは生命力が極めて強く、一旦発生すると絶滅させる事はとても困難です。そのため、カビを繁殖させないのが第一ですが、高温多湿の日本では、それも難しいように思えてしまいます。カビの繁殖には、20〜30℃という温度、80%以上の湿度、タンパク質・糖質・脂質といった栄養、充分な酸素が必要ですが、それらをうまく断ってやればカビを繁殖させずに済む事になります。とにかく風通しを良くする事と、思いがけず湿度を含む埃をよく掃除する事、あまり室内に観葉植物を置かない事が最初の予防策でしょうか。万が一発生してしまったら、消毒用アルコールと市販のカビ取り剤の出番という事になってしまいます。



第331回 ご注意下さい     2005年07月13日

 飲まない私が言うのも何ですが、お酒は上手に付き合うと非常に健康に良いと思います。発酵によって得られるさまざまな成分や、アルコール自体の働き、嗜好品としての一面など、健康に及ぼす良い影響は多数考えられます。実際、長寿の方に秘訣を伺うと、かなり高い頻度でお酒という答えが返ってきます。付き合い方さえ正しければ、文字通り百薬の長なのかもしれません。

 そんなお酒と上手に付き合っていても、健康に悪影響が及んでしまう。ちょっと怖いニュースが報じられていました。中央日報日本語版によると、中国産ビールの95%から発ガン性のあるホルムアルデヒド成分が多量に含まれる事が明らかになったそうです。ホルムアルデヒドというと、発ガン性が疑われる物質で、ヨーロッパをはじめ日本でも使用が禁止されています。禁止される以前は、消毒薬や防腐剤、接着剤や塗料、食器・繊維の加工助剤として広く使われてきました。水によく溶ける事から、水溶液の「ホルマリン」として見掛ける事も多いと思います。

 ホルムアルデヒドは、構造的に非常にシンプルな形状を持ち、炭素・酸素・水素の四つの原子が結合しただけの小さな分子構造をしています。構造は単純ですが働きは複雑で、ホルムアルデヒド自身が繋がり合ったり、他の分子を繋いで橋をかける働きをする性質を持っています。そうした性質を利用して、接着剤として使用された事が、今日シックハウス症候群の原因となり、アセトアルデヒドの毒性を強く印象付ける原因となっています。

 ビールを醸造する際、さまざまな沈殿物が生じます。その沈殿物を取り除く事が製品化の過程の中で必要になるのですが、中国のビール製造業者は沈殿物除去のために、無害なシリカゲルやPVPP(ポリビニルポリピロリドン)を用いず、安価なホルムアルデヒドを使用しているために、中国の国内法で定める1リットルあたり0.2mg以下という数値を大きく超え、6倍にも上る1.2mgもの量が含まれている可能性があり、中国醸造工業協会ビール分科の関係者の話では、一部の高級ビールを除き、95%の中国産ビールにホルムアルデヒドが含まれているとの事です。暑くなるとビールが恋しくなるという声をよく聞かされますが、銘柄は注意深く選んだ方が良いのかもしれません。



第330回 検査数値への疑問     2005年07月12日

 以前、入院中の父に関して、検査の結果、PSI値が高いとの事で、前立腺ガンの疑いが高く、ホルモン療法を開始したい旨の連絡を受けた事があります。その際、実際の数値とガン発症に至った判断根拠などを、連絡をいただいた医師と電話口で話し合ったのですが、それ以降、一向に何らかの施療が行われた話は耳にしませんでした。とりあえず...というレベルだったのでしょうか。ガン発症を診断するには、幾つかの数値が参考にされます。その中の一つ、PSA値について、その有効性に疑問が生じています。

 前立腺特異抗体(PSA)検査は、前立腺ガンの早期発見や悪性度の把握に役立つ検査方法として、日本でも広く普及しています。このPSA検査値に関して、米国テキサス大学の研究チームが、約2万人に対する疫学調査を行ったところ、ガンの発見には効果的な目安とならないという結論に達しています。PSAの数値は、血液1mlあたりのナノグラム数が「4」以下である事が正常とされるが、同研究チームでは、この線引き自体にも有効性がなく、4以上の数値を示した人でも実際に前立腺ガンが見つかるのは2割程度、6以上でも4割にすぎないとしています。

 既に故人となられたリー博士によると、PSAはガンが自己を肥大・増殖させるために栄養を確保する新たな血管を作る事に対抗する働きがあり、正常細胞が増殖する事によって作り出され、新生血管の形成を妨げる働きがあるされていました。そうであるのならば、PSA値が高い事は、身体がガンと闘い、正常細胞が増えている状態と考えられます。

 PSAは乳房組織でも作られる事から、前立腺のみのトラブル判断要因として見る事は困難という考え方もあります。ガンに関しては、検査数値のみで一喜一憂すべきではないのでは?そう考えさせられる研究結果でした。



第329回 眠り誘う粉     2005年07月11日

 自然界には、約500種類ものアミノ酸が存在する事が知られています。その中で私達の身体を形作っているのは、わずか20種類にすぎません。この20種類が複雑に組み合わさって10万種類ものタンパク質が合成されているのです。食物を通して摂取されたタンパク質は体内で分解され、20種類のアミノ酸としてタンパク質へと組み換えられています。最近、アミノ酸を使ったダイエット飲料が話題になっていますが、それらはアミノ酸自体の働きや、不足しがちで働きが低下しているものを補う事によって、身体の代謝を活性化させる働きが主体となっています。身体を形作るアミノ酸の一つに睡眠の質を向上させる働きがある事が発見されました。

 グリシンは、ゼラチンの中から発見されたアミノ酸で、分子量が一番小さく、構造が最も簡単なアミノ酸です。甘味がある事から、ギリシャ語の甘味を示す言葉から名付けられ、体内でも合成する事のできる非必須アミノ酸でもあります。体内では、保湿、酸化防止作用を持ち、肌に潤いを持たせる働きや、血中コレステロール濃度の上昇を抑制する働きが知られています。

 また、エビやカニの風味を付けるために食品添加物として使用される事もあるのですが、アミノ酸製品の大手、味の素の研究で、「すっきり起床できない」「日中眠い」「作業効率が上がらない」などの状態改善や、深い眠りへのすみやかな移行を促す効果など、睡眠の質を改善させる作用がある事が明らかにされています。研究では、日常の睡眠に問題を感じている男女44人のうち、毎日問題を感じている21人に対し、就寝30分前にグリシン3gを摂取してもらう事で行われ、翌日の疲労感や全般的な気分の向上が認められました。

 また、東京慈恵会医科大学、太田睡眠科学センターの協力を得た脳波測定検査でも、睡眠に問題を感じている男女11人にグリシンを摂取させたところ、就寝後、ノンレム睡眠の中の深い睡眠ステージである徐波睡眠に達するまでの時間が短縮する事が判ったとして、グリシンが深い眠りへとすみやかに導く事が確認されています。睡眠障害は、現代人の多くが抱える問題でもあります。私もその一人でもありますので、グリシンを摂取してみたいと思っています。そんな時、なぜか机の上にグリシンの結晶粉末が一袋...。



第328回 侮れない微生物     2005年07月08日

 歯周病は、最も広範囲におよぶ感染症ではないかと思います。地球上のほとんどの地域で、感染時期も乳幼児の頃と早く、一旦感染すると生涯に及び有効な殺菌方法も存在しない事から、感染者数は、極めて莫大になるのではないかと、容易に想像する事ができます。そんな歯周病菌、口内で悪さをするだけでなく、怖ろしい病気を引き起こす事が新たに判明しました。

 ビュルガー病は、ドイツ人医師ビュルガーによって初めて報告された事から、その名を取ってビュルガー病、もしくは英語読みしてバージャー病と呼ばれる事がある、四肢の末梢血管に閉塞が起こる病気です。閉塞性血栓血管炎、略してT.A.Oと呼ばれる事もあり、その名の通り四肢に血液が充分に供給されない状態が起こる事から、最悪の場合、四肢が壊死して失われる事もある怖い病気です。

 男女比は、10対1と圧倒的に男性患者が多く、年齢としては20〜40歳台を中心に青年・壮年世代に多く発生し、職業歴や生活環境との関連性は不明、遺伝性はなく、原因は不明とされてきました。このビュルガー病の原因として、歯周病菌が有力視されてきています。東京医科歯科大大学院の岩井尚武教授らの研究グループによる、歯周病菌が体内の細胞に侵入して血栓作る働きにヒントを得た調査によって、歯周病菌が末梢動脈に血栓を作る働きが解明されています。

 細菌感染となると免疫力が大きく関わってくるので、ストレスや生活習慣に注意が必要です。また、ビュルガー病の発症には喫煙が大きく関係しているとされ、非喫煙者でも受動喫煙の可能性を考えると、ほぼ発症者の全体が何らかの形で喫煙の経験があるとされます。歯周病菌、喫煙、あまりに身近な存在ですが、そこから発症に繋がるには怖すぎる病気なので、注意が必要と思います。



第327回 お若いのに     2005年07月07日

 脳卒中というと、気性の激しい高齢者の病と、勝手に思い込んでしまいます。老化して弾力を失った血管や、粘度の高まった血液が固まった血栓が、前段階で潜んでいるようなイメージが大きいからです。しかし、そんな状態とは程遠い存在、新生児にも脳卒中は発生し、しかもその発症頻度は高齢者とそれほど変わらないという研究結果が出されていました。

 米国立神経疾患・脳卒中研究所のリンチ博士によると、生後1ヶ月までの新生児における脳卒中発生の割合は4000〜5000例に1件で、生後1ヶ月〜18歳までの乳幼児以降の3万例に1件という比率を大きく上回り、死亡率は最大で12%になるそうです。突然発症するのが一般的で、原因は不明、診断が遅れるか不可能な事が多く、有効な治療法がないのが現状とされています。

 基本的に健康な新生児が発症する事が多く、母親が妊娠合併症を有している事が多い事から、血液の凝固異常や、何らかの要因で形成された血塊が胎児に移行する事が原因の一環ではないかと考えられています。確実な発症原因が未解明なので、新生児に限った特異的な治療法は確立されていないとの事で、脳卒中の引き金となる発熱の緩和や感染症の予防に努める必要があります。

 成人の場合と比べ、予兆を感じる事や、日頃の生活を通した予防など、事前に策を講じる事は非常に困難ですが、一つだけ幸いな事は、新生児の場合、回復がおおむね良好な事です。早期診断が重要で、早く発見できれば早いほど良く、その後の理学療法、作業療法、言語療法を充分行えば、高い可能性で適応能力を獲得するそうです。早期発見のためにも、スキンシップが大切かもしれません。



第326回 発芽パワー     2005年07月06日

 発芽玄米がしばらくブームでしたが、わざわざ高いお金を出さなくても普通の玄米を一晩水に漬けておけば...、というちょっと意地悪な目で見ていました。発芽玄米で注目されたGABA(γ−アミノ酪酸)は、玄米の発芽と共に増える成分です。玄米は水を得ると発芽の準備をはじめ、一晩ほどでGABAを作り出しますので、前の日に研いでおけば、ちょうど良い具合になるという訳です。同じような仕組みで、植物は発芽の際にこれまでにない成分を作り出したりします。

 よく知られたところでは大麦が発芽する際、糖質を多く作り出す事を利用してウィスキーの原料とします。酵母は糖質をアルコールと炭酸ガスに分解するので、酵母によるアルコール発酵を行わせるためには、分解するための糖質が不可欠となります。より効率よく糖質を得るために最も含有量が高まる若干発芽した状態にする必要があるのです。しかし、大麦自体も発芽するための大きなエネルギーの源として糖質を用意しているため、発芽が一定以上進めば糖質は消費されてしまいます。そのために発芽を途中で止める作業が行われるのですが、その際、スコットランド地方では、地中に埋蔵された泥炭を使い、発芽直後の大麦を燻す事で発芽をそれ以上進ませないようにします。この燻す工程がスコッチウィスキー独特の風味となっていると言われます。

 興味深いのは、同じウィスキーの一種であるバーボンは、トウモロコシを主原料としている事から、充分な糖質が最初から含まれているので、あえて発芽させる必要がない事です。そのため、燻しの工程が入らないのでバーボン製造の際は、ウィスキーらしい独特の風味を出すために樽の内側を焦がし、香りを付けています。

 発芽は、双葉が出て光合成を始めるまでの栄養をタネの中から得て行われます。さまざまな酵素が乾燥する事で活性を止められ、やがて水分を得た事で再活性化し、活動が始まります。乾燥や冷害を越えて、植物の生育に適した時期の到来を待つ合理的なシステムなのですが、そのためのエネルギーを得るために栄養成分が濃い状態が作り出されます。食、健康という観点からは、結構ありがたい状態ではないかと考えています。



第325回 儚い辛味     2005年07月05日

 以前、唐辛子やコショウなどの刺激物がマイブームとなり、かなり量を使っていた事があります。そんな時でもワサビは別格で、少量でも涙と後頭部へ抜ける痛みに襲われていました。その後、飽きてしまったのか、刺激物を摂る事自体少なくなり、最近、ほとんど刺激のある香辛料を使わないのですが、ワサビだけはその頃と同じ、変わらない使い方をしています。辛味よりも風味の方が勝っているからかもしれません。

 ワサビはニンニクと同じく、何もない状態ではほとんど辛味を出す事はありません。畑から採ったワサビを丸かじりしても、涙が出る事すらありませんが、結構な苦味を感じる事になると思います。これはワサビの細胞に含まれるシニグリンという苦味成分によるもので、このシニグリンが辛味の素となっています。ワサビを摩り下ろすと、細胞が壊れてシニグリンと酵素が出会う事になり、酵素の働きによってシニグリンは強い辛味を持つアリルカラシ油に変わります。

 おろし方によって細胞の壊れ方が違うために、伝統的な鮫皮を使う方がおろし金よりも辛味の立ち上がりが早く、香りも良く出る事になります。しかし、アリルカラシ油による辛味は長続きしないので、すぐに辛さは失われてしまいます。鮫皮を使った場合、約30秒〜1分ほどで辛味はピークを迎え、香りは若干遅めで、1〜2分ほどがピークとなるため、辛味と香りを楽しむためには、おろしてから約1分くらいが食べ頃という事になります。

 最近では、チューブ入りの練りワサビ、おろしワサビが主流となっていますが、チューブ入りワサビの方が生のワサビをおろして使うよりも辛味や香りが長続きします。これは添加されたデキストリンというデンプンを分解して作られた食物繊維によるもので、デキストリンの輪状の構造の中に辛味成分を長く保存する働きがあるためです。一旦辛味が失われたワサビは、その後辛さが復活する事はありませんが、レモン汁を少量加えて練ってみると、若干辛味が復活する事があります。これはビタミンCの効果で酵素が復活し、残っていたシニグリンをアリルカラシ油に変えてくれるからですが、できればそうなる前には使い切ってしまいたいものです。



第324回 ホモ、ジャージ?     2005年07月04日

 牛乳を注意深く見ると、意外と種類がある事に気が付いてしまいます。成分無調整牛乳や、加工乳、低脂肪乳など、一見して内容が判るものは良いのですが、いま一つ名称だけでは判りにくいものもあります。何事もないように書かれている名称ですが、ホモ牛乳、ジャージ牛乳というのは、子供の頃の私にとって、何を指し示す言葉なのか不明なものとなっていました。ある時、たまたま傍に居た大人に問い合わせたのですが、「ジャージ牛乳は、農家の方がジャージをはいて搾ったもの、ホモ牛乳は、オスの牛から搾ったものだよ」という回答を得ました。

 子供心にも明らかに違うものを感じていたのですが、後に真実が判ってくると牛乳の名前一つにも、奥の深いものを感じてしまいます。ジャージ牛乳とは正式にはジャージー牛乳で、ジャージー種の牛から搾られた牛乳です。一般的なホルスタイン種の牛乳より乳脂肪分が多く、黄みがかった色をしています。コクのある味わいとカルシウムが多い事も特徴となっています。

 ホモ牛乳は牛種の事ではなく、加工法による銘々となります。牛乳に含まれる脂肪分のほとんどは、脂肪球と呼ばれる小さな粒状で入っています。脂肪球の大きさは、直径で0.1〜10ミクロンまでと大きさにばらつきがあり、比重の関係から大きいものほど浮上しやすい傾向があるので、静かに置いておくと分離してクリーム層と脱脂乳層に分かれてしまいます。そのため、市販の牛乳では、脂肪球を機械的に細かく砕き、2ミクロン以下に均質化してしまいます。この均質化の作業がホモジナイズと呼ばれるもので、これがホモ牛乳の名前の由来となっています。

 均質化する事でクリーム分が分離して固まる事が少なくなり、成分が安定した状態になります。また、脂肪球が細かい事から、消化吸収が良く、カゼインなどのタンパク質も吸収されやすくなるという利点を持っています。均質化はあくまでも物理的な処理なので、栄養成分的には変化する事がないのですが、脂肪分が細かく分散してしまっている事から、味が薄く、サラっとした感じが口当たりに感じてしまう事があります。最近、料理に使うばかりで、直接飲むという事が少なくなっていたので、久々に冷たく冷やして飲んでみようという気になってしまいました。



第323回 性格遺伝     2005年07月01日

 明るい性格、暗い性格、そうした性格の違いは、生活環境によって後天的に形作られると考えられてきました。それがもし親から一部が受け継がれるとしたら...。そんな興味深い研究結果が発表されていました。DNAとしての機能性が低いと考えられ、ジャンクDNAとさえ呼ばれていたマイクロサテライトDNAの長さの差によって、外交的な性格と内向的な性格の違いが説明される事が、動物での研究によって示唆されています。この研究結果は、自閉症などの疾患を含めて、人の社会的行動を理解する上で有用なものとなると考えられています。

 今回の研究は、米国エモリー大学ヤーキス霊長類研究センターおよび行動神経科学研究センターの研究チームによる研究で、科学誌サイエンスにも掲載されています。草原ハタネズミを用いた研究で、ジャンクDNAの長短2つのグループを選び出して対象としたところ、成熟後のオスの子孫を比較した場合、ジャンクDNAの長さは脳での遺伝子発現パターンに影響をおよぼしている事が判明しました。

 また、ジャンクDNAが長いオスは、社会的行動および子の世話に関わる脳領域の受容体の作動頻度が高い事から、初対面のネズミに対し、すばやく近付き、時間をかけて社会的な気配を読み取って、相手との絆を築く可能性が高く、子育てに費やす時間が長い傾向が生まれやすい事が明らかにされています。

 今回の研究は、マイクロサテライトDNAの長さ、脳内の遺伝子発現パターンと数種類の種にまたがる社会的行動との間における関係を明らかにした最初の研究と位置付けられ、DNAの差が個々の性格に対して実際に影響をおよぼし、社交的な人と内向的な人がいる理由が理解されると述べられていますが、内向的な父、おとなしい母の間に生まれた私としては、少々疑問が残る研究結果だと思っています。



 

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