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第500回 達成!500話     2006年03月31日

 気が付けばこのコラムも500回を迎えました。我ながらよく続くものだと思いながら、実は内心、500回くらいは続くのではとは思っていました。そこまでいけば、私の中のネタが尽きてしまうのではないかとも考えていたのですが、伝えたい事、日々思う事、食や健康に関する情報など、尽きるどころか逆に貯まっていく感じさえしています。

 お暇な時間に軽く目を通していただけるような、軽い読み物をイメージしているのですが、物や言葉の由来、健康情報、学術論文など、つい力が入ってしまう事もあります。読んでいただく際、あまり負担にならないような適度な長さという事も念頭に置いてはますが、先日の「プリオン三部作」のように、かねてより考えてはいても長くなり過ぎる事から、なかなか書けなかった事もあり、だからといって簡潔には済ませられない話も多々あります。

 プリオンと言えば、三部作を書き込んだ翌日、米国の医学誌に新たな論文が掲載され、その中で「変異性CJDにおいてプリオンが持つ意味とは、病原体そのものではなく感染を示すマーカーのようなものかもしれない」とされていました。研究が進めば、私の中で燻っていた疑問、三部作のテーマとしていた事が解き明かされる事となるため、今後の成り行きに大いに注目したいと思っています。

 そのような感じで、新たな事実の発見によって通説が覆る事も珍しくはなく、情報は常に変化を続けています。日々多数の情報を取捨択一して楽しげにお伝えする。このコラムはそういうものとして、これからも続けていきたいと思っています。読んで下さる人がいる限り頑張っていきたい、500回目にして決意を新たにしています。これからも、よろしくお願いします。



第499回 原因変更     2006年03月30日

 免疫の過剰な反応によるアレルギー症状は、最近さまざまな症例が報告され、認知されてきていますが、その中にあって「喘息」は、かなり古くから知られたアレルギー症状の一つではないでしょうか。免疫の働きが詳細に解明される事によって、喘息の原因とメカニズムも細かく知られるようになっていましたが、これまで原因とされてきた「2型ヘルパーT細胞」ではなく、別な免疫細胞が関わっている事が判ってきました。

 米国の医学誌に発表された研究レポートによると、ボストン小児病院のウメツ博士を中心としたハーバード大学医学部との合同研究チームによって、喘息を引き起こす免疫細胞はこれまで考えられていた「2型ヘルパーT細胞」ではなく、ナチュラルキラー様T細胞(NK−T)と呼ばれる細胞であることが明らかになったとしています。NK−T細胞は、新しい細胞識別技術によって最近発見されたばかりのもので、それまでは他の免疫細胞と混同されていました。

 今回の研究は、喘息患者14例、健康な状態にある対照群6例、喘息とは関係のない免疫性肺疾患である「サルコイドーシス」の患者5例から採取した試料を比較して行われました。喘息群に認められたT細胞のうち約60%がNK−T細胞であった事に対し、対照群およびサルコイドーシス群にはNK−T細胞は認められませんでした。T細胞は通常、ウイルスや細菌などの外敵を体内から排除する防御の働きをしていますが、喘息の場合、このNK−T細胞が本来の役割を発揮せず、逆に肺の炎症を引き起こしていた事が考えられます。

 NK−T細胞が本当に疾患の原因であるのか、疾患に反応しているだけなのかなど、今後さらに詳しい調査の必要があるとは思われますが、原因とメカニズムが解明され、ターゲットがはっきりする事によって、これまでよりもはるかに精度の高い治療法の確立に繋がる事と考えられます。免疫細胞は、本来は身体を守る味方です。それが過剰反応してアレルギーを引き起こしてしまうと、治療は容易な事ではなくなってしまいます。今回の発見が大きな一歩となる事を期待しています。



第498回 プリオンに思う 3     2006年03月29日

 現在、BSE(牛海綿状脳症)の最も有効な手立ては、全頭検査と特定危険部位の除去です。それらはプルシナー博士のプリオン説が元になっており、プリオン説に問題があった場合、根底から覆る可能性があります。特にプリオンが病原体ではなく、病原体の足跡となった場合、プリオンの蓄積状況で判断するのは、最も危険な感染力の高い時期を見落とす事にもなりかねません。

 特定危険部位に関しては、英国で行われた実験に基いて設定が行われています。生後4ヶ月の牛30頭を数ヶ月ごとにさまざまな臓器や組織を調べ、感染性を調べるというものですが、感染後6ヶ月で牛の回腸に感染性が認められ、感染性はかなり強い状態が18ヶ月後まで持続した事から、回腸を特定危険部位に指定。その時点では、脳や脊髄には感染性は認められていません。このことから消化管から侵入した病原体は、回腸にとどまり増殖する事が考えられます。

 その後、26ヶ月後まではどこの部位も感染性が認められなかったそうですが、32ヶ月の時点になると脊髄と脳に強い感染性が認められ、36ヶ月後の時点では、再び回腸にも感染性が認められました。消化管から回腸に入り、回腸で増殖した病原体は、いったん全身に移動して広範囲に散らばる事で、限界希釈点近くにまで薄まってしまい、感染性が認められなりますが、やがて散らばっていた病原体は脳や脊髄に移動したと考えられます。

 そうした分析結果を受けて特定危険部位の脳や脊髄、回腸などの設定がなされていますが、検査内容が示している事は、限界希釈点を超えてはいますが、全身を病原体は移動し、各組織に存在する可能性があるという事です。現にプリオンの蓄積はなくても感染力がある事は確認され、微量でも筋肉組織からプリオンの存在が見つかっています。チューリッヒ大学病院の実験では、スクレイピー(羊の海綿状脳症)に感染したマウスの尿中からプリオンが発見され、感染力を持つ事が確認されています。尿中という事であれば、ほぼ全身に病原体が存在する事が考えられます。変異性CJDの問題は、最先端の科学と人の根源的な倫理観が絡む複雑な問題です。後の歴史書に後悔のない記載が行われるよう、一消費者の立場から誤った対応が行われない事を願い、この問題を見守り続けたいと思っています。



第497回 プリオンに思う 2     2006年03月28日

 プルシナー博士のプリオン説では、コッホの基準を満たせない事を前回書きましたが、その後、長崎大学医学部の片峰博士を中心とした研究グループが興味深い研究結果を発表しています。ヤコブ病に感染した脳をすり潰してマウスに摂取させ、経時変化を見るというものですが、各臓器ごとの感染力とプリオン量の比較が行われています。

 最も感染力が高いと思われる脳では、ほぼ感染力とプリオンの量は比例関係にあったのですが、感染力が大きくなる初期の段階ではプリオンが検出されないという結果が出ています。また、他の臓器、唾液腺や脾臓では、感染力の強い時期にはプリオンの蓄積はほとんど検出されず、感染力が弱くなった時期になってプリオンの蓄積が増えるという結果が得られています。

 通常ならば、感染力が大きくなる時期には病原体の検出量が多くなり、弱まる頃には一定か減少傾向が見られ、感染力と病原体量は比例関係にあるはずです。風邪の引き始めにはウィルスが検出されず、風邪が治り始めてからウィルスが検出され始める。これではウィルスに感染し、ウィルスの増殖によって症状が発現した。ウィルスが風邪の原因であるとする事はできないが明白です。

 そうした結果から、ある一つの仮説が考えられます・・・プリオンは実は病原体ではなく、病原体の足跡ではないのか。変異性CJDの病原体は別に存在し、感染する事によって異常プリオンの蓄積が見られるようになるのではないか・・・実際に異常プリオンが蓄積していないにも関わらず、スポンジ脳症を呈したマウスの例が報告されています。また、感染組織を希釈していくと、やがて病原体の数が薄まりすぎ、感染性のない状態、「限界希釈点」に達します。限界希釈点に達したはずの変異性CJDの感染脳組織から、異常プリオンが大量に見つかったという事例もあります。本当にプリオンは病原体なのでしょうか?



第496回 プリオンに思う 1     2006年03月27日

 その病原体の名は「Proteinaceous infectious particle(タンパク質性感染粒子)」、略してプリオンと呼ばれます。初めてイギリス政府が感染牛肉を食べた事によって、人にも感染する変異性クロイツフェルトヤコブ病(変異型CJD)の存在を公式に認めた翌年(1997年)、スタンリー・プルシナー博士によって伝達性スポンジ脳症の感染源として世界中にプリオンの名は知られる事となりました。プルシナー博士は変異性CJDの原因物質を、未知の「プリオン」というものと特定した業績でノーベル賞を受賞しています。

 プリオンはこれまで知られてきた病原体と比べて、さまざま点で異なる特徴を持っているとされます。ゲノムサイズがウィルスよりも小さく、放射線、熱、殺菌剤にきわめて強く、遺伝子を分解する核酸分解酵素で処理しても壊す事ができません。感染しても発熱などの免疫反応は見られず、潜伏期間も一定ではありません。細菌やウィルス、原虫など、これまで病原体となっていた物には、必ず遺伝子が備わっていました。プリオンは、その遺伝子よりも小さいとされるタンパク質の塊でしかなく、それだけでも、これまでの常識を大きく覆す存在という事ができます。

 工場で物を生産する際、設計図が必要となります。遺伝子はその設計図にあたり、ウィルスは勝手に設計図を入替えて、自分に都合の良い物を作らせ、細菌は工場で作られた物を横取りして栄養とする事で自分の仲間を増やし、ガンなどの突然変異は設計図が読み取れなくなって、間違った製品が大量に作られる事で病気の状態を作りだす病原体となっています。プリオンは製品であるタンパク質でありながら、工場で作られた製品を変質させて病気を起こす、本来なら病原体となる事自体考えられない存在です。

 生命の流れはDNAからRNAへ情報が転写され、タンパク質合成によって連続しています。その流れはセントラルドグマと呼ばれ、プリオンはこの流れを無視、もしくは逆行させている事になります。プリオンの自己増殖は、病原体となる異常プリオンが体内に元々存在している正常なプリオンに接する事で、正常プリオンを異常な形に変えてしまい、増殖するとプルシナー博士は仮説を立てています。病原体を特定するには、コッホが提唱する基準が満たされる必要があります。第一に全ての患者からその病原体が検出される事。これはすでに確認され、すべての患者、感染牛から異常プリオンが検出されています。第二に単離精製された病原体を摂取する事で、同じ病気を起こす事ができる事。これに関しては、現在プリオンの単離には成功しておらず、単離に近いと考えられる手法で抽出したタンパク質や、塩基配列を元に合成したプリオンを用いた実験でも、変異性CJDを発症させる事には成功していません。この時点でコッホの基準を満たす事ができなくなってしまいます。本当にプリオンは病原体なのでしょうか?



第495回 制汗用心     2006年03月24日

 環境ホルモンの怖さは、日常的にその成分が身近にある事、ごく微量でも効果が現れてしまう事、生体を通し濃縮されていく事など、細々上げていくといかにその問題から逃れる事が難しいかを考えさせられてしまいます。先日、米国の医学誌に掲載されたレポートは、既に日常的に用いられている物への新たな危険性と、環境ホルモンという後になって気付く怖さを知らせていました。

 暖かくなり始める春先から肌寒さが本格化する晩秋に限らず、暖房が行われる真冬も汗をかく事から、制汗剤は年間を通して使われています。スプレータイプの物からロールオンタイプ、各種の香料を加えた物などバリエーションも多く、普及率の高さは容易に想像する事ができます。その制汗剤の主成分でもある「アルミニウム塩類」に乳ガンのリスクを増大させる可能性が指摘されています。

 アルミニウム塩の効果は一時的で、副作用はほとんどないと考えられてきました。アルミニウムのイオンが汗中に含まれるタンパク質などと凝固物を形成し、それによって汗孔を塞ぐために制汗作用が発揮されるとされています。制汗剤を用いた際、皮膚に膜が張った感じがするのは、アルミニウム塩による凝固作用が元になっています。そんなアルミニウム塩類が皮膚を通して体内に入り込み、エストロゲンに似た作用を示すという、環境ホルモンとしての働きを示す事が新たに明らかにされています。

 乳ガンの発症と進行にエストロゲンが関与している事は既に知られており、エストロゲン様の作用をもつ成分も乳ガンのリスクに影響する可能性は充分に考えられます。制汗剤によっては用量の25%をアルミニウム塩類が占める物もあり、それが脇の下という比較的皮膚が弱く薄い位置に直接使われる事や、脇の下を剃る事によって皮膚を傷付け、より浸透しやすい状況下で使用される事。それが乳房に近い位置である事を考えると、より危険な状況が重なっている事が判ります。また今回の研究では、懸念要因として喫煙によって体内に取り込まれるカドミウムが、脂肪が多い乳房組織に集積する事にも言及しています。カドミウムはエストロゲン受容体に結合する事で、その作用に影響を及ぼす事が知られています。カドミウムの蓄積とアルミニウム塩が乳ガンリスクを高めるという証拠も示されているので、今後、大いに注意すべき事ではないでしょうか。便利さと引き換えのリスク、歓迎できるものではありません。



第494回 世界的降下傾向     2006年03月23日

 世界的に降下傾向が見られるというと、景気の事や新生児の出生率を考えてしまいますが、日本の景気は上向いているそうだし、小子化は先進国に顕著な傾向で世界中には当てはまりません。何が共通して降下傾向にあるかというと、意外なもの・・・血圧です。世界21カ国38地域を対象とした人口ベースの研究によると、世界的に血圧下降の傾向がみられ、1980年代半ばから1990年代半ばにわたって収集したデータでは、血圧は平均2.26mmHg下降しており、その傾向は男性よりも女性の方が顕著だったそうです。

 高血圧は生活習慣病の中でも、比較的よく見かける症状で、一定の年齢を境に多くの方が抱えているようにも思えます。それゆえに世界的に血圧が降下傾向と言われると不思議な感じがしてしまい、すぐに良い薬の開発、もしくは血圧降圧剤の氾濫を考えてしまいますが、降圧薬などの薬物治療によるものではない事が考えられます。治療の必要な高血圧症患者だけではなく、治療を受けていない人、治療の必要ない人といった全体にわたって血圧下降が認められているからです。

 世界的な規模で、医師の力よりもむしろ大衆的なものが要因となっている事が考えられますが、どのような説明も、今一つ決め手に欠けると言われています。少なくともテレビ番組の影響ではなさそうです。肥満やインシュリン抵抗性などにも低下が見られていれば、医療技術の向上や、それに伴った健康への意識の高まりによって、食事や運動へ取り組みが行われ、功を奏したと考える事もできますが、それらは逆に進む傾向が見られている事から、世界的な健康ブームの結果とも考えにくい状況です。

 その他の要因として考えられるのは、食料の生産技術や流通の向上から、野菜や果物が一年中安価に手に入るようになり、食生活の多様化が進んだ事や、サプリメントの発達によって葉酸、カルシウムなどの栄養強化食品の消費量の増加も考えられます。また、各地域で喫煙への規制が増加している事も好条件の一つとして考える事ができます。奇妙な研究結果ですが、健康的な事ではありますので、世界的な良い傾向と考えたいと思っています。



第493回 危険?アトキンス     2006年03月22日

 アトキンスダイエットというと、一頃米国で大ブームとなり、現在も引き続き実践している人は多いのではないでしょうか。単純に言ってしまうと、炭水化物を控えてタンパク質を多く摂る事で体脂肪を減少させるというもので、繊維質(=炭水化物)の多い菜食を中心としたそれまでのダイエット法とは正反対のやり方のように感じられ、肉食を否定していない事など、実際に理論的な部分に触れなければ信じがたい事でもあります。

 アトキンスダイエットは、医者でもあるロバート・アトキンス博士が自らのダイエットのために考案したもので、実際に本人が実践しダイエットに成功。1970年代初頭に「アトキンス博士のダイエット革命」として著書を出版、一大ブームとなりました。その後、「アトキンス博士の新ダイエット革命」が出版され、有名俳優、女優が実践している事でも話題となり、今日の成功に繋がっています。

 中心となる理論は、アトキンス博士が考えた画期的な体内のエネルギー燃焼理論が基本となっています。人のエネルギーは炭水化物から作られる「糖質」と「脂質」の2つのエネルギー源から作られており、一方のエネルギー源をなくしてしまえば、もう一方のエネルギー源が完全燃焼する効率が高くなるので、そうして肥満の元でもある使われにくいエネルギー源の燃焼効率が高くなれば、結果としてダイエットに繋がる訳です。

 カロリーが低く、お腹にたまりやすい穀物や野菜類といった炭水化物の摂取をできるだけ削減し、それまでのダイエットでは摂取が制限されていた肉や魚、チーズや卵などの高タンパク、高脂肪のものを中心にエネルギー源とするダイエット手法は、日本では「ローカーボ(低炭水化物)ダイエット」の名前でも紹介され、それまでのダイエットよりも取り組みやすいものとして多くの支持者を得ています。しかし、このアトキンスダイエットには、大きな危険が潜んでいる事が、最近明らかになってきています。

 エネルギー源となるべき糖質が不足すると、代わりに脂質が燃焼されてエネルギー生産が行われるようになります。そうした脂質代謝が行われる事で、代謝の過程において「ケトン体」という物質が体脂肪から作られ、血液中のケトン量が増加します。正常な状態では、その時点でインシュリンが分泌されて糖質をエネルギー源とする事が促進されるのですが、極端に糖質の元となる炭水化物の摂取が控えられた状態では、正常な血糖コントロールができないため、ケトン体が増え続けるという悪循環に陥ってしまいます。その結果、血液中にケトン体が溜まり、酸性に偏る事で体内の各組織が壊され、最悪の場合、死に繋がる事も考えられます。実際にケトン体の増加によって生命が脅かされる、ケトアシドーシスを起こした事例も報告されています。何かをひかえてバランスを崩し、痩せるというダイエット方法には、やはり何らかの弊害が付いてくるものです。健康的なダイエットとはすぐには効果が現れにくく、なかなか難しいものかもしれません。



第492回 安息できない問題      2006年03月20日

 安息香酸ナトリウムは一般的に見られる食品添加物で、マーガリンや清涼飲料水、シロップ類、しょうゆ、お菓子、キャビアなど、幅広く主にカビ、酵母、好気性細菌類の繁殖を抑える目的で用いられています。食品に用いられる物は白色の結晶で、粉末もしくは粒状の水によく溶ける性質を持ち、pHが低い方が効果がよく発揮される事から、どちらかと言えば酸味を持つ食品への添加が向いているとも考えられます。

 一部、天然にも存在し、エゴノキ科アンソクコウノキの樹脂にも含まれているとされますが、天然由来の物よりも、フタル酸を分解して得られる安息香酸に、食品に用いる際の事を考慮して炭酸ナトリウムで中和を行い製造されます。また、薬品として用いられる事もあり、カフェインを加えた安息香酸ナトリウムカフェインは、脳の神経に興奮的に作用して精神活動を活性化し、眠気や疲労感をとったり、頭をスッキリさせる、または他の頭痛薬の鎮痛効果を助ける働きする成分として用いられます。

 最近、この安息香酸ナトリウムが少し話題になってきています。清涼飲料水に広く発ガン性のあるベンゼンが含まれている可能性が指摘され、その原因物質として考えられているからです。実はこの問題は目新しい事ではなく、既に16年前には海外では大変な問題となり、1億6000万本もの製品が回収されています。厚生労働省では、情報収集を進め、検査するかどうかも含めて検討している段階とされ、衛生科学の専門家は、安息香酸と合成ビタミンCという二つの添加物の作用によってベンゼンが生成されている可能性がある。早急に調査し実態を明らかにし、規制を導入することが必要というコメントも出ています。

 先進的立場にあるドイツでは、BfR(ドイツ連邦リスク評価研究所)の報告によって、清涼飲料水中に安息香酸とアスコルビン酸(合成ビタミンC)が共存する場合には、微量のベンゼンが生成する可能性があり、生成量はpH,温度、他の不純物(主に金属イオンが影響するものと思われる)、紫外線の影響を受けるとしています。ただしBfRの報告では、そうして生成されるベンゼンの量は、直ちにリスク評価できるほどのものではないとしていますが、ベンゼンへの暴露は各種のガンや骨髄性白血病のリスクを高めるものである事もあり、あまり楽観しできないものと考えられます。細菌の増殖を抑える安息香酸、酸化を抑える合成ビタミンC、食品の品質保持を考える上では非常に良い取り合わせです。それだけに広範囲に使われている可能性があり、気になる問題となっています。



第491回 稲妻豊穣     2006年03月17日

 春は気圧の谷の移動に伴い、気候が周期的に変化します。喉かな季節とは対照的に天気が崩れて、激しい雨に突風や雷が鳴り、まさに春の嵐と呼べる天候が見られ、注意深く空を見上げていると、雲を背景に稲光を見る事ができて自然の持つ激しいエネルギーを感じてしまいます。

 そんな激しい自然現象である雷を「稲妻」「稲光」などと表記します。この稲妻という言葉は、文字通り稲の「妻」という意味から付けられ、古代信仰によると、稲が結実する時期に雷が多い事から、雷が稲を実らせると考えられた事が元になっています。そのため、稲妻は「稲光」「稲魂」「稲交接」と呼ばれる事もあり、頭に「稲」を付ける事で密接な関係が示されています。

 稲妻の「妻(つま)」という言葉は、元々は夫婦や恋人が互いに相手を呼ぶ言葉とされ、男女に関係なく使われていました。「妻」「夫」とも「つま」と言い、夫と書いて「つま」と読んでいます。稲と共に有り、欠かす事のできないものという意味でしょうか。古くは「稲の夫」の意味で稲夫と書かれる事もあったそうですが、現代では「つま」という語に「妻」が用いられているために、「稲妻」になったと考えられています。

 実際に稲妻が多い年は稲の生育が良いとされ、古代の信仰が経験に基いたものである事が確認できます。空気中には多くの窒素があり、通常はイオン化した状態で大気中にある窒素が、稲妻が放電する電子を受けてイオンの状態を保てなくなると、大気中から地表に落ちてしまいます。その窒素が植物にとって重要な栄養素となり、植物を育てます。肥料の成分を見ると、窒素が利用されやすくしてある事からも、稲妻は天然の肥料生産機という事が解り、経験に基いた確かな観察に驚かされてしまいます。



第490回 葉の新効能     2006年03月16日

 公孫樹と書いて読める人は、それなりに植物通ではないでしょうか。銀杏と書くと「ギンナン」または「イチョウ」と出てきます。イチョウは成長が早く、公害に強い性質が評価され、また刈り込みに耐える事から街路樹として見かける事も多い樹木です。非常に古い植物でもあり、世界中で盛んに見られたのは1億5000年以上も前の事で、巨大な恐竜が繁栄していた時代とされます。その頃は種類も多く、17属はあったと言われています。

 その後、氷河期を迎えると、各地で見られたイチョウは絶滅し、中国に1種類のみが残りました。それが今日のイチョウの原種となっています。他の樹木より圧倒的な歴史を誇るだけに、数々の独特な特徴を持ち、一目でそれと判る葉には、痴呆症を緩和させる働きがあるとして注目された事もあります。そんなイチョウの葉に新たな効能が発見されました。

 米国ジョージタウン大学メディカルセンターの研究チームによると、マウスにヒト脳腫瘍または乳ガン組織を移植して、移植前と後にイチョウ葉抽出物を投与したところ、ガン細胞と関連が深いPBR(末梢型ベンゾジアゼピン受容体)の低下がみられたと言います。PBRの量的低下によって、イチョウ葉を投与されたマウスでは、投与されなかったマウスに比べて、乳ガンの増殖が80%遅くなり、その効果は投与を続ける限り持続したという。脳腫瘍関しても縮小が認められましたが、一時的なものに留まり、それほど著しいものではなかったそうです。

 今回の研究結果は、あくまでもマウスを対象とした研究であり、人に用いられた場合のガン予防効果についてはまだ不明な部分が残されていると考えられますが、早期腫瘍の悪性化や進展を抑制するのにイチョウ葉が有用である可能性を示している事は確認された事になります。イチョウ葉については、痴呆症の緩和効果については疑問視された事もありましたが、まだまだサプリメントの素材としては、将来的な部分を多く残している素材と言えるのかもしれません。古い歴史を持つだけに、侮りがたい相手です。



第489回 微量毒性     2006年03月15日

 DEHP・・・フタル酸ジエチルヘキシルはフタル酸エステルと呼ばれる化学薬品の一種で、プラスティックを柔らかく、加工しやすいようにする「可塑剤」として使われています。カップ麺の容器や弁当の容器、使い捨ての食器やトレーなどにも使われ、ビニールハウスや雑草避けなどの農業用ビニールからおもちゃまで、幅広いプラスチック製品に混ぜて使われています。

 これまで健康への影響は肝臓への毒性が指標とされ、摂取しても健康に影響が出ない最大量として、体重1キログラムあたり1日に19ミリグラムとされてきました。体重50キログラムの成人の場合、950ミリグラム、ほぼ1グラムを摂取しても大丈夫という計算になります。ところが、このDEHPが極めて微量でもアトピー性皮膚炎を悪化させるなどの健康被害を助長するという研究結果が得られていました。

 国立環境研究所の高野裕久環境健康研究領域長を中心とした研究チームによる今回の研究は、生まれつきアレルギー疾患を起こしやすい性質を持ったマウスに、ダニからの抽出物などのアレルギーの原因となる物質を注射して、アトピー性皮膚炎を起こさせ、フタル酸エステルがどのように影響を与えるかというかたちで調べられました。量的には100万分の1グラムである「マイクログラム」単位で投与が行われ、最少で0.8マイクログラム、4マイクログラム、20マイクログラム、100マイクログラムという微量での調査となります。

 結果として、最も強く症状が表れたのは、20マイクログラム投与したマウスのグループとされ、DEHPの量がより少ないグループでは症状は若干弱めとなりましたが、DEHPを投与されないグループよりは、明らかに症状の現れ方が強かったという結果が得られています。100マイクログラムのグループでは、逆に20マイクログラムのグループより軽い症状となっていますが、内分泌かく乱作用のある物質では摂取量が多くなったとき、表れる影響が小さくなるという現象がしばしば見られ、特徴の一つとなっている事から、DEHPが内分泌かく乱化学物質と類似したしくみで作用している可能性があると考えられます。今回の実験での摂取量は、体重1キログラム、1日当たりの摂取量に直すと0.0048ミリグラムから0.6ミリグラムに相当し、これまで影響が出るとされていた量より、はるかに微量で影響が出る可能性のあることが示された事になります。内分泌かく乱となると極めて微量でも作用してしまう事が知られています。今後、安全基準の見直しを含め、早急な取り組みを期待したいと思います。



第488回 情報小粒     2006年03月14日

 Verichip(べりチップ)・・・米粒ほど大きさの極めて小さなマイクロチップで、先進的な立場にある米国では既に1000人以上の人が埋設していると言います。緊急時、たとえ意識がなくても正確な電子データとして、より詳細なカルテや医療記録が現場の医師に提供されるという有効性が期待されての事です。

 費用的には200ドル程度と安価で、20分以内の簡単な処置によってべりチップは皮下に埋め込む事ができます。この小さなチップ自体に記録されているのは任意に設定された16桁のコード番号のみで、これをもとにコンピューターを通じて登録された医療記録を検索することができます。

 気になるのは個人情報の保護に関する事で、コード番号が知られ、個人のデータが登録されている事で、医療情報や病歴にアクセスされたりする事も考えられます。そうした懸念に対し開発メーカーでは、チップの埋め込みは任意であり、後になって気が変われば簡単に取り外すこともできると指摘しています。また、スキャナーがチップを読み取れる距離は1メートル以内で、コード番号以外は記録される事はなく、GPS機能も持っていないので、人工衛星に追跡されるようなこともないと説明しています。

 何らかの理由によって意識を失ったままの状態で、救急治療を受けなくてはならなくなり、その患者が重篤なアレルギー症状を起こす可能性がある場合、特にこうしたシステムは功を奏する事が考えられます。開発メーカーでは、この技術が患者にもたらす利益がいずれ充分に理解されることを信じて動向を見守りながら、「世間がもつ認識に充分配慮する必要がある。急ぐつもりはない」と述べ、やはり個人情報に関する部分が普及の大きな障壁となる事を認めています。個人情報の保護にはパスワードの設定が基本となるのですが、それでは緊急時に役立たないシステムになってしまいます。適切な医療を受けるための優れたシステムですが、とりあえず施療に当って特段の注意など必要ない私としては、動向を見守る程度にしておきたいと思っています。



第487回 ココア健康法     2006年03月13日

 一年中で最もチョコレートに関心が集まる日は過ぎてしまいましたが、もう一度注目したくなる研究結果が出されていました。チョコレートの原料となるカカオ、特にカカオから脂肪分であるカカオバターを分離した後のココアが心臓の健康管理に一役買ってくれるという事で、特に高齢の男性にお薦めという事でした。チョコ好きの私としても、大変嬉しいニュースです。

 ココアの健康効果についての歴史は古く、1700年代にまで遡ると言われ、今回の研究はそれに新たな科学的裏付けを与えた事になります。この研究は、オランダ国立公衆衛生環境研究所のビュッセ博士を中心とした研究チームによるのもで、65〜84歳の男性470人を対象にココアと心血管疾患の関連を調べたもので、対象者は1985年に身体検査と食生活についての問診を受け、その後1990年と1995年に同じ調査を受けてもらうというものです。その結果、日常的にチョコレートを含むココア製品を摂っている男性は、そうでない人に比べ血圧が有意に低いという結果が得られています。

 今回の研究では、ココアの摂取量が特に高い男性は心血管疾患による死亡率が、ココアを全く摂取しない、またはほとんど摂取しない男性の半分であるという結果が得られ、さらに、どの死因においても、ココアを多く摂る男性の死亡率は低くなっていたと言います。肥満、喫煙、運動、摂取カロリー、飲酒などのさまざまな因子を考慮に入れても、この死亡リスクの低さは変わらなかったそうで、ココアの健康効果の高さを示しています。

 ココアはフラバン-3-オール類と呼ばれる血圧を下げ血管内面の細胞機能を改善させる成分が含まれていると言われ、非常に優れた抗酸化作用を持つ成分も多く含んでいます。その反面、ココアを含む食品はカロリーが高いという欠点もあると言われ、摂り過ぎは抗酸化物質の効果を打ち消す事に繋がるという意見もあります。抗酸化物質をはじめ健康効果の高い物質を手軽に、効率よく摂取できる食品なので、上手に付き合えという事でしょうか。



第486回 汚染繰返     2006年03月10日

 先日の子供用アクセサリーの鉛問題は、あらためて鉛の怖さとその身近さを再認識させてくれました。実際、鉛という金属は便利な性質を持つ事から鉛単体、または合金というかたちで身近に存在し、古くから広範囲に使われています。そのため鉛による汚染の歴史もかなり古いものとなっていて、有名なところでは古代ローマが鉛汚染の典型的な例となると思います。

 今日でも古代ローマの遺跡は多く残され、高い文明の証明として評価されています。中でも大規模な上水道や浴場の跡は、古代ローマの都市建設の高度さを示す資料となっていますが、それらの水に関する設備に多くの鉛が使われていました。柔らかく、低温で溶かす事ができる鉛は、加工しやすい素材として石を組み合わせた後の防水処理に使われていました。また鍋や皿などの日常食器にも多用され、ローマ市民は恒常的に鉛の汚染に曝されていたと考えられています。今日でも当時の遺跡から発見される人骨に鉛汚染を示す形跡が残されている事から、一部の学者の間では古代ローマを滅ぼした原因の一つに鉛汚染が上げられる事もあります。

 その後、古代ローマほど大々的ではないにしても、食器に使われていた事やステンドグラスのガラスの接合部に使われ、職業的な汚染に繋がった例も見られています。日本でも白粉に含まれていた事から、化粧の頻度が高い女性や役者の間で鉛の中毒症状が見られた事や、世界的な産出を誇っていた銀を精製する技術「灰吹法」でも鉛を使用する事から、銀山周辺での中毒や土壌汚染が起こっていた事は、今日の資料から確認する事ができます。

 近代に入ると他の金属と混ぜ合わせて合金とする事で、素材としての性質が良くなる事から水道管に使われたり、戦後の高度成長期にはガソリンに添加する事でエンジンの出力が上がる事から、有鉛ガソリンというかたちで広く販売されています。特に有鉛ガソリンによる大気中への鉛の拡散は、大気から陸上、河川、海洋と広範囲に及び、生態系そのものに影響を与えています。それまでの大気への鉛の拡散は火山の噴火などによる年間6000トン程度だったものが、有鉛ガソリンの最盛期には年間200万トンにも上ったと言われます。便利さを優先し、毒性への意識が薄いという例は鉛に限らず、今日多く見られている事です。いまだ論議が続く電磁波の事を思いながら、建設が続く電波塔を見るたびに複雑な心境になります。



第485回 グル曹高騰     2006年03月09日

 グルタミン酸ナトリウム、業界用語ではグル曹と呼ばれる事もあり、よく知られたところでは味の素などの化学調味料として使われています。アミノ酸の一種であるグルタミン酸自体は酸性である事から、中和したナトリウム塩の形であるグルタミン酸ナトリウムが一般的な調味料として使われています。糖蜜を元に微生物の発酵を利用して生成されていますが、最近、このグルタミン酸ナトリウムが徐々に値上げされてきています。

 原因は主原料となる糖蜜の高騰で、数年来の深刻な供給不足が続いていると言われます。不作に端を発した原料相場の高騰は、以前に比べ2〜3倍の高値となり、それに石油製品の高騰が加わって、製造に必要な光熱費や輸送費などの費用増加が製品原価の上昇を加速しています。一説にはコストの増大幅は40%にも上ると言われ、今後、関連した製品の値上げに繋がる事も予想されています。

 家庭での化学調味料の使用はそれほど多い事ではなく、使わないという家庭も多い事が予想され、値上げはそれほど影響のある事とは思えませんが、グルタミン酸ナトリウムが広く食品添加物として使われ、味噌や醤油といった一般的な調味料や加工食品の多くに添加されている事を考えると、微妙に身近な問題に思えてきます。

 供給不足にはそれなりの理由となる需要が存在するのですが、グルタミン酸ナトリウム自体の需要が世界的に増加したのではなく、実は同じ糖蜜から作られる別の物、アルコールの需要増大が最大の高騰要因となっています。原油の高騰に伴った代替燃料への関心がアルコールの市場拡大に繋がり、主要な供給国であるブラジルでは、サトウキビの刈り入れを早める農相令まで発せられています。代替燃料というと日本では、植物油脂から作られる軽油や灯油の代替燃料、BDFが知られていますが、BDFの製造にもアルコールは欠かす事ができません。あまりイメージの良くない化学調味料ですが、高値が続く事はしばらく収まりそうもありません。



第484回 親の知らない再生     2006年03月08日

 産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門によると、大阪大学と共同で「親知らず」の元になる歯の細胞、「歯胚(しはい)」を使って、肝臓、骨などに効率よく変化する「幹細胞」を取り出すことに成功したと発表していました。傷んだ肝臓や骨が再生することを実験で確認しており、親知らずの歯胚を使った再生医療に道を開く事が大いに期待されます。

 歯胚は歯が形成される事によって消失しますが、成長が遅い親知らずの歯胚は、10〜16歳ごろまであごの骨の中に埋まっています。研究グループでは、この歯胚の増殖能力に着目し、細胞1個を取り出し培養してみたところ、短期間で急速に増殖する事が判明しました。ホルモンを投与する事で刺激を与えると、骨細胞や神経細胞、肝細胞に変化する事も明らかになっています。

 これまで研究グループでは、骨髄から採取した幹細胞で骨や心筋細胞などのさまざまな組織の細胞を作っていたそうですが、今回の歯胚を使った方法は、骨細胞、肝細胞などの増殖効率がはるかに高く、実際に人の歯胚から採った細胞を、肝臓障害を起こしたラットに移植したところ、3週間で障害が治癒したそうです。

 幹細胞とは、自己複製によって一定の能力を維持する事が可能で、複数種類の前駆細胞や分化細胞になる事も可能な能力を持つ細胞の事と定義されます。移植用の細胞、組織、臓器の作成を通じて医療に貢献することが期待され、クローン技術と組み合わせる事で、個人別の拒絶反応のない臓器を作る可能性も示唆されています。幹細胞を用いた再生医療は、拒絶反応やそれを抑えるための免疫抑制、組織の欠損といった問題を、より完璧に近いかたちで解決してくれます。さらに、その後の継続した治療の必要もない事から、医療費の抑制効果も期待されるという優れた面を多く持っています。今後、さらに発展する事を願いたいと思います。将来を見据えて、親知らずは安易に抜かない方が良いかもしれません。



第483回 毒性注意     2006年03月07日

 先日、子供用の安価なアクセサリーに鉛が含まれていた事が報道されていました。東京都が行った調査によると、スーパーや100円ショップなどで安価な価格で販売されているネックレスや指輪、イヤリング、携帯電話のストラップなど、「3歳以上」などと表示された子供用アクセサリーも対象に含めた76品目のうち57品目で鉛が検出され、含有濃度が50%以上という「高濃度」の製品は32品目に上りました。91%が鉛で占められたのブレスレットもあったと言います。

 鉛というとイメージが悪く、毒物のような印象がありますが、生命を維持する上で重要な栄養素の一つで、成長の維持、生殖、血液産生に不可欠なものとなっています。しかし、過剰な鉛の摂取は、脳、神経、腎臓、肝臓、血液、消化管、生殖器官など体のさまざまな部分に影響を与え、特に発達中の神経系は最も障害を受けやすいため、小児の鉛への感受性は高くなっています。

 正常な成人の場合、特別な鉛にさらされる環境にない人でも、食物や水から1日に平均300μgの鉛を摂取するとされ、大気から30μgの鉛を摂取すると言われるので、一日に合わせて330μg の鉛を摂取していると考えられます。体内に吸収される鉛の量は侵入経路により異なるとされ、経口摂取では約8%程度しか吸収されません。経口摂取された鉛はまず大部分が十二指腸で吸収され、門脈より肝臓に運ばれ、肝臓より胆管を通って胆汁とともに再び腸管へ排泄されます。8%程度の吸収率なので、330μgの摂取でも27μg程度しか吸収されず、血液中の鉛含有の上限である40μgを超えない計算になり、問題はありません。

 鉛は急性毒性としては比較的弱い毒物で、致死量は10〜15gとされます。しかし、鉛の本来の毒性は蓄積毒である事にあり、非常に微量でも連続して摂取すると慢性中毒を起こします。毎日数mgの鉛を吸入した場合、中毒症状は数週間から数カ月を経て現れ血液、神経、平滑筋などに障害が現れるとされ、血色素の合成を妨げるので、赤血球中のヘモグロビンが減少して貧血をおこしたり、細かい黒色粒を持つ「塩基性顆粒赤血球」と呼ばれるものが血液中に見られるようになります。この現象は鉛中毒に特有なものではありませんが、鉛中毒の早期診断法として重要視されます。また、統計的に鉛の摂取量と知能の発達は反比例関係にあるとされ、脳、神経系統の発達を妨げる事を裏付ける形になっています。子供は身の回りの物を口に運んだり、汗によって溶け出した鉛が柔らかい皮膚から吸収される事も考えられます。安価な金属製品には注意が必要です。



第482回 地域名保護     2006年03月06日

 この4月から地名と商品名を組み合わせた商標登録を、JAや事業協同組合などの地域団体に認めて、商標法でしっかり守っていこうというのだ新たな制度がスタートします。地名を商品に付けられれば商品の産地が明確になって、消費者により商品の内容に関するイメージが湧きやすく、商品の信頼性の向上にも繋がり、地域の特性や民話などのストーリーを付加する事も可能となります。今後、商品開発がより意欲的となり、個性的な出願が期待されます。

 4月からスタートする商標法の改正は地域団体商標制度と呼ばれるもので、これまで法的に保護することが極めて難しかった地名を付けたブランドについて、地域団体が出願登録する場合に限って認めようというものです。これまでの制度では全国的に知名度を獲得し、特定事業者の商品であることが識別できる場合か、地名と図形などを組み合わせた場合に限って地名入り商標の登録が認められていました。

 そうした法制度上、「夕張メロン」や「西陣織」「信州味噌」などの商標が登録され、親しまれていますが、地域興し運動の中で開発されたようなこれから売り出しを予定している商品に関しては、知名度が確立されていない事から登録はほとんど無理に近いものがあります。そうした実状を考慮して、今回の制度改正は、JAなどの地域団体が商品、主原料の産地、漁獲場所などといった地名と商品名を団体として登録し、構成員に自由に使わせるかわりに、知名度に関する要件を全国レベルから都度府県レベルにまで緩めたのが大きな特徴となっています。

 地域に根ざした商品を開発し、それを核にした地域興しは全国にかなりの数が存在します。今回の改正はそれを後押しするもので、地域が独自に開発した商品の信用力を一層高めることが可能になるばかりか、地域経済の活性化にも繋がる事が予想され、良い適応例ができる事で産地の積極的な活用も期待されます。そうした地域団体商標制度に関して残念な事を上げるとすれば、地域ブランドという意味合いでEU(ヨーロッパ連合)の「地理的表示」と似ていますが、あくまで一地域の商品と、他の商品とを識別する商標を保護するにすぎないので、「地理的表示」のように商品の品質、内容まで踏み込んで保証するものではない事と、地域の独自性が提唱できるようになったのに、地域の名称の多くが町村合併で既に消えてしまっている事でしょうか。今回の改正を受けた地域の活性化を見守りたいと思っています。



第481回 超個性     2006年03月03日

 原材料は、唐辛子、岩塩、酢。すり潰した唐辛子に岩塩と酢を加え、樽で長期にわたって熟成させて作られます。少量で強い刺激があることから調味料としての応用性が高く、様々な料理に活用されるペッパーソースの代名詞と言えば、世界的に有名な「タバスコ」の事です。アメリカのルイジアナ州で作られているにもかかわらず、その名はメキシコのタバスコ州、そこを流れるタバスコ川、または名産の唐辛子の品種「タバスコ」から取られていると言われ、激辛ブーム以降、常備する家庭も増えたと言われます。

 タバスコは1868年、アメリカルのイジアナ州でエドムンド・マキルヘニーによって発明され、南北戦争直後の混乱期に「タバスコ」の商標で「マキルヘニー社」から販売されています。その後、1905年には商標登録を得ていますが、「タバスコ」という名称はメキシコの州名、または河川名であり、トウガラシの種名でもあるため、1909年には連邦当局の異議申立てが行われ、商標権を取り消されています。

 一旦商標権を失ったマキルヘニー社ですが、商標権の反論闘争を繰り広げ、1920年代初頭にはニューオリンズの連邦巡回控訴裁判所において、「タバスコ・ソース」という名はマキルヘニー社のペッパーソースを意味するとして商標登録が許可され、再度商標権を得ています。現在でも創業当時からの基本的な製法は変わっていないとされ、伝統的、世界的な調味料となっています。

 日本では、調味料としてピザやスパゲティなどのイタリア料理に主に用いられていますが、本国イタリアではそのような習慣がなく、奇異に受け取られる事があると言われます。世界でタバスコをピザに振りかける習慣がある国は日本の他にドイツ、オーストリア、ノルウェー、スロヴェニア、カナダとされ、意外と少数派とされます。料理にさまざまなバリエーションがあるように、調味料にもさまざまな種類がありますが、一つの会社の一つのブランドがこれだけ際立って使われる事は、非常に稀な事ではないでしょうか。ブランド戦略というよりも、商品個性の勝利ではないかと思えてしまいます。



第480回 リスク増減     2006年03月02日

 先日、厚生労働省研究班が行った大規模疫学調査の結果、週1回以上飲酒し、1日当たりのアルコール摂取量が日本酒3合以上に相当する男性は、時々(月に1〜3回程度)飲酒するという男性に比べ自殺の危険性が2.3倍に上るという結果が得られ、イギリスの医学誌に掲載されていました。

 日本酒のアルコール度数は15度(15%)程度なので、日本酒3合という量はアルコール摂取量に換算すると59グラムとなり、、ビールなら大瓶3本、ウイスキーなら水割りで5杯程度に相当します。久しくブームとされている焼酎の場合、6:4(焼酎6にお湯を4)のお湯割りで2杯程度でしょうか。自殺リスクは飲酒量が多いほど高まる傾向がある一方、全く飲まない男性のリスクも2.3倍だったと言います。

 研究班では、飲まない人でもリスクが高い理由は不明としながら、酒量を適度に減らすことが自殺防止に役立つということは言えそうだとしていますが、アルコールの摂取量が自殺リスクそのものを高めるというより、アルコール摂取量を増やしてしまう背景、心理的要因の方がリスクの増大に関係しているように思えます。

 昔から「酒に逃げる」という言い方が存在しますが、逃げなければならない何らかの理由が存在する事、アルコールの摂取によって一時的に気が大きくなる事が、自殺行動へ繋がっていくように考えられます。同様の状態はうつ病の治療の中、薬剤で気分が高揚した際に見られます。飲まない人のリスクに関しては、生真面目な性格や飲酒という適度な逃げ場が存在しない事などが原因でしょうか。昔から適度な付き合いが良いとされてきている飲酒なだけに、今回の調査結果はそれを裏付けるもののように思えてしまいます。



第479回 結晶蜂蜜     2006年03月01日

 空気中の窒素を地中に固定して畑を肥やすという働きがある事から、春の訪えれと共にレンゲの花が畑一面を覆っているのを見かけます。その光景に幼少の頃、養蜂業者の方が巣箱を持って移動している姿を思い出してしまいます。一般的に販売されているレンゲの蜂蜜は、こうやって採取されていたのかと、恐るおそる巣箱に近寄った記憶があります。同級生の家が養蜂業を営んでいたので、彼女の父親もそうして移動しながら蜂蜜を集めているのか。大変な作業の末に蜂蜜は得られるのだなという思いと、彼女の家の裏手に山積みされた水飴の業務用缶を見た時の思いが交錯してしまいます。

 蜂蜜は低温下におくと結晶化する性質を持っています。かつては蜂蜜の結晶化した状態を見て、混ぜ物がしてある、してないといった勝手な判断をしていましたが、あまり根拠がある事ではありません。蜂蜜の結晶は、蜂蜜の中に含まれる花粉などの不純物をタネに成長するので、不純物が多い蜂蜜は結晶しやすい性質を持ちます。蜂蜜にシロップなどの混ぜ物をすると、結果的に不純物の比率が少なくなるので結晶化しにくくなりますが、貯蔵しているうちに不純物が沈殿したり、フィルターをかけて不純物を取り除いた蜂蜜では、結晶化しにくい状態になっています。

 また、蜜を採取する花の種類によっても結晶化しやすさに違いが生じます。特に自然に近い状態の蜂蜜であれば、受粉を目的とするミカンの蜂蜜などは花粉の含有率が高く、結晶化しやすい蜂蜜という事ができます。蜂蜜の結晶は、そのままだと徐々に成長を続け、容器の中の蜂蜜全体に及びます。湯煎などにかけて温度を上げれば元に戻りますが、一度結晶化した蜂蜜の中には結晶がわずかに残り、それが再度結晶化する際のタネになる事から、結晶化しやすくなる事が考えられます。

 蜂蜜はミツバチが一旦体内に花の蜜を取り込んだ後、巣へと運び貯蔵します。巣へと搬入した蜜は、蜂の羽ばたきによって更に水分を飛ばし、より純粋な糖分に近付ける事で保存性を高め、ミツロウで蓋をして貯蔵します。主成分は「果糖」で、果糖の性質として砂糖とは逆に温度が低いほど甘味を強く感じるというものがあります。蜂蜜を温かい飲み物に入れると、かなりの量を入れても甘さがたいして感じられないという事がありますが、それは主成分である果糖の性質によるものです。摂取した後、血糖値がゆっくりと上がる身体に優しい糖分ではありますが、カロリー的には砂糖とそれほど変わらないものがありますので、温かくして使う事は控えた方が良いのかもしれません。



 

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