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第540回 プリザービング     2006年05月31日

 プリザービング、最近は手芸の一環として草花を加工するプリザービングフラワーなどで聞かれる言葉となり、それが一般的に保存を目的として行われる加工を指すものとして知られてきました。横文字なので、何か新しい技術のように思えてしまいますが、元来日本には食品を保存するための優れた技術がたくさん伝えられていました。高温多湿という本来であれば食品の保存には適さない土地柄でもあるので、自然と保存技術が発展した事は納得のいくところです。

 食品の保存を考える際、最も単純で原始的なのは、「干物にする」という事ではないでしょうか。干す事で水分量が減少し、食品の状態を悪化させる腐敗菌やカビなどの生存ができにくい環境を作り出す事で、食品の保存期間を高める事ができます。同じく塩分を用いる事で保存中の食品の浸透圧を高め、細菌の細胞内の水分を奪い、殺菌したり活動できない状態にするという手法も使われ、浸透圧を利用した方法としては、塩に限らず砂糖を使う事も有効な方法となっています。

 樹木を燃やした際に出る煙に含まれる樹脂には、殺菌力を有する成分が含まれている事から、煙を食品に当てて燻す事で食品で雑菌が繁殖する事を抑え、保存性を付加するという燻製は、殺菌成分を加える以外にも、下味を付ける際、塩に漬ける、燻す事で食品の乾燥が進み水分量が減少するという、保存の基本の多くを踏襲しています。自然発生的に考案されたと考えられていますが、保存性に加え、食品自体の味や食感、風味も良くなる事から、優れた食品加工技術と考える事ができます。

 食品の保存を考える際、雑菌による腐敗、カビの発生、酸化などが問題となりますが、健康志向から合成の保存料が悪者視されるようになり、添加を行わなくなる例も見られるようになってきました。しかし、耳障りの悪い成分でも比較的安全なものもあり、それを使わないが保存性は確保しなくてはならないため、他の毒性の高い保存料を使用してしまう事もあります。食品の保存と安全とは、本来同じ方向のものでもあったので、保存食を見るたびに原点に立ち返る事の大切さを考えてしまいます。



第539回 鬱金?     2006年05月30日

 元々漢字は苦手なのですが、健康食品の素材で絶対に書けない物があります。鬱金・・・よく知られた黄色い粉末、「ウコン」です。おそらくこれ以上はないというくらい難しい字ではないでしょうか。ウコンとは、ショウガ科の多年草の事で、熱帯アジアが原産と考えられています。黄色い塊の根茎ができ、それを粉末にした物が健康食品の素材として使われる他、カレー粉の原料となるターメリックや、沢庵漬けなどの漬物やバターの黄色を発色させる染料にしたり、漢方では止血、健胃薬に使われる事もあります。

 収穫の時期によって春、秋の違いがあり、色によっても紫ウコンの存在が知られ、それぞれ求められる効能に微妙な違いがある事が知られています。中心となる有効成分はクルクミンで、その他の成分との相乗効果によって、多くの効能を発揮してくれます。ターメリックとして香辛料の一環とされていた頃は、それほど効能が意識された事はなかったのですが、カレーに多く使われていた事は、カレーに含まれる多くの刺激物が持つ発ガン性を抑える働きを発揮していたと言われています。

 ウコンがこのような難しい字で表記されるようになった由来は、その黄色い色にあるという説があります。地中に金色と間違うような黄色が籠る事から。鬱と金を合わせて鬱金となったというものですが、実際、ウコンは地中に籠るようにして、時間をかけて根茎が成長します。別な説では、既に存在していた名前、「うつこん、うっこん」が音変化したというもので、そのままの漢字、「鬱」と「根」が当てられています。同じような名称には、チューリップの別名に「鬱金香(うっきんこう)」というのがあります。

 大規模な産地である沖縄では、ウコンは「うっちん」と呼ばれますが、この呼び方も「うっこん」の音変化と考えられます。漢名の「欝金」は、黄金のような鮮やかな黄色を意味し、ウコンの学名「Curcuma(クルクマ)」も、黄色を意味するアラビア語「kurkum」に由来するとされています。その色故に付けられた名前かもしれませんが、できればもう少し易しい漢字にしてほしかったです。



第538回 効能飲酒     2006年05月29日

 赤ワインの健康効果については少し前に話題となり、健康のためと称してワイン派に切り替える人も結構見かけられていました。そうしたワインの健康効果については、さまざまな研究で確認されていますが、新たな利用方法が最近話題となっています。ハンガリーの首都、ブタペスト市内にある動物園では、飼育されているサルの健康を考え、赤ワインが与えられていると言います。頭数は知らされていませんが、年間のワイン消費量が、55リットルに上るという事なので、それなりの量が消費されているのではないでしょうか。

 動物園では、昨年の実績で最も多くのワインを飲んだのは類人猿11匹とされ、全体量の大半を飲んだとされます。しかし、飲み方については、一度に多量に飲ませて酔わせるのではなく、少量をお茶に混ぜて与える事にしているそうで、酔う事によるストレスの軽減といった目的はない事が伺えます。飲ませているのは高級ワインではなく、普通のテーブルワインという事で、主に赤ワインの血流改善効果が期待されていると言います。

 ワイン、特に赤ワインはブドウのほとんどすべてを潰して原料とするので、ブドウの栄養素のすべてが含まれていると言われます。一般的に食品に含まれているビタミン、ミネラル、ポリフェノール等は、通常人体に40%程度しか吸収されないと言われますが、ワインに含まれているこれらの成分は100%に近い量が人体に吸収されると考えられています。アルコールの存在や、発酵によって成分の状態が微妙に変わっている事、水溶性である事などが主な理由とされていますが、効率のよい摂取方法と言う事ができます。

 それだけ吸収に優れたワインなので、決して多くを摂取する必要はなく、人の場合でも一日にグラス一杯程度でよいとされます。ブドウの皮にはアントシアニン色素が含まれ、優れた抗酸化作用を持っています。また、ブドウの種にもプロアントシアニジンが多く含まれ、ビタミンCの50倍という抗酸化作用を持ち、細胞の再生には欠かせない成分と言われています。それらの強力な抗酸化作用を持つ成分が血液中の活性酸素を除去し、コレステロールの酸化から始まる動脈硬化の進行を未然に防ぐと考えられています。健康効果が多くの動物の役に立つ事を願っています。



第537回 論争終結     2006年05月26日

 長年続いてきた論争でもあり、堂々巡りの象徴でもあった鶏の発生に関する「卵が先か、鶏が先か」について、やっと結論らしき答えが見つけられました。個人的には「鶏が先」派だったのですが、私の持論は「負け」のようです。論争の終結点は「卵が先」で、英国の遺伝学者と哲学者、養鶏家の計3人でつくるチームが今回の結論を出したと主張しています。

 生物の遺伝物質は生きている間には変わらないというのがその理由らしく、鶏以外の鳥が成長の途中や環境への適応で鶏になる事はなく、鶏の遺伝物質を持った卵を生む事もないという理屈が根拠とされています。最初の鶏は卵の中で鶏の遺伝物質を持つようになったと主張し、この「進化した卵」が現在数多ある鶏の卵の最初の卵であり、鶏の始まりだったとしています。

 「進化した卵」が鶏以外の鳥から生まれたのであれば、それは鶏の卵ではなく、鶏以外の鳥の卵ではないかと思うのですが、同様の主張は既に行われており、そうした主張に対して「鶏が中にいるのなら、それは鶏の卵だ。カンガルーが温めていた卵からダチョウが生まれたら、それはカンガルーの卵ではなくダチョウの卵だ」と研究チームの哲学者は反論していますが、今ひとつ納得がいかないものは残されます。

 喩えに使われたカンガルーもダチョウも既に存在している動物なので、そのような考え方に繋がってしまいますが、鶏に進化する直前の「プレ鶏」の卵は、やはりプレ鶏であり、孵化して成長した後、その形態から鶏と認定されるものではないでしょうか。持論にこだわるつもりはありませんが、やはり鶏が先にように思えてなりません。



第536回 足百本     2006年05月25日

 健康は毎日の積み重ねから築かれていきます。そのため多くの人がさまざまな努力を行うのですが、事故はそうした努力を一瞬で無駄にしてしまう事でもあります。事故とは当然予期せぬものではありますが、危険生物との遭遇によって引き起こされるものも少なくはなく、最近の都市部の拡大は危険生物との接触の機会を増やしているとも言われます。

 日常的に接する可能性のある危険生物の中でも、蜂と並んで危険性が高い生物の一つとしてムカデを上げる事ができるのではないでしょうか。ムカデは顎肢に毒腺を持ち、その毒腺から分泌される毒で獲物となる昆虫などを捕食してエサとしています。この毒がムカデの主な危険性の元であり、オオムカデなどは、本来も目的である捕食とは関係なくこの毒を用いる事があり、人が被害に遭う事もあります。

 ムカデの毒は、一説にはスズメバチよりも強力とされ、咬まれるとかなりの痛みを伴い、発熱、嘔吐などの症状が出る事もあります。そのようにムカデの毒は強力ではありますが、命を脅かすほどの力は本来はありません。しかし、ムカデに咬まれて死亡した話しは多く残されています。蜂毒によって死に至る場合と同じように、毒への急激なアレルギー症状、アナフラキシーによるショック状態が生命を脅かす結果に繋がっている事が考えられます。

 ムカデの名前の由来については、百本の腕からきている「百手(ももがて)」や「百数多手(ももいかて)」が元になったと考えられています。また、手が向かい合っている感じから「向手(むかいで)」や「対手(むかふて)」が転じたとする説もありますが、正確には判っていません。「六十手」からムカデとなったという説もありますが、多いという事を六、または六十と表記する事は、ほとんどありえない事から、ムカデという言葉に応じて当てられた漢字と思われます。興味深いのは、英語でムカデは「Centipedo」と呼ばれ、ラテン語が語源になっていると言われます。Centipedoとは、「百の足」という意味を持ち、洋の東西を問わず、文化交流もあまり考えられない状態でも「百の足」と名付けてしまうのは、その姿があまりにインパクトがあるからでしょうか。



第535回 最中、もうなか     2006年05月24日

 餅を薄く切って焼いた皮に餡を詰めた和菓子。餡の風味付けにさまざまな素材を用いる事で、多くのバリエーションを生んでいる物・・・「もなか」の事です。もなかの語源については、子供の頃に聞かされた民話が印象深く、かなり大きくなるまでそれ、もしくはそれに似たエピソードが語源にあると思い込んでいました。

 それは、主人公から見て大分の民話だと思います。ユーモラスな主人公、「きっちょむ」さんが出てくる話で、きっちょむさんがいる藩の殿様が美味しいお菓子を食べたいと思い、藩内にお菓子のコンテストのお触れを出します。お菓子作りなど経験のないきっちょむさんですが、賞金が欲しくなったのか、ただ単に参加してみたくなったのか、餅を切って焼いた物に台所にあった素材を適当に混ぜ合わせて作った物を詰め、お城へ持参します。

 殿様がそれを食べて、甚く気に入り、「これは何というお菓子だ?もっとないのか?」と尋ねられるのですが、そこで惜しくなったきっちょむさんは、「もうなか、もうなか(もうありません、もうありません)」と答えたので、「もなか」の名が付いたというものです。実際のもなかは、「最中」と書き、江戸吉原の菓子屋「竹村伊勢」が、満月をかたどった「最中の月(もなかのつき)」という煎餅のようなお菓子を作り、それが省略されて「最中」となったと言われています。

 「最中の月」とは、陰暦の十五夜の月、いわゆる中秋の名月のことで、平安時代の歌集「拾遺集」に、「水の面に 照る月なみを かぞふれば 今宵ぞ秋の もなかなりける」と記載されています。それに対し、真ん中に餡が入っているため、中央を意味する「最中(さいちゅう)」から名付けられたとする説もあるとの事ですが、もなかに餡が入れられるようになったのは、「最中の月」が作られた以降の事となっているので、やはり最中の月説が正しいように思われます。



第534回 更年期ドライアイ      2006年05月23日

 ドライアイというと、パソコンに向かっている時間の長い人という事で、若年層を思い浮かべてしまいます。36時間の連続使用で涙腺は機能を停止し、目が潤いを失った状態になる、もしくは同様の疲労の蓄積によって機能が低下する事がドライアイの原因と思われていますが、それ以外の思わぬ原因、閉経と関連している事は、あまり知られている事ではありません。

 高齢女性の6割以上がドライアイを経験しているそうですが、ドライアイに閉経が関連していることを認識している人は2割もいないという調査結果があります。ドライアイを経験した女性のうち59%が医師に相談し、主な治療法としては、58%が症状緩和の目的で市販の点眼薬を使用していると言います。閉経によるホルモン値の変化がドライアイに関与しているそうで、ドライアイになるリスクは加齢と共に上昇する傾向があるため、昨今の高齢化により罹患者も増加傾向にあるそうです。また、ホルモン値の大きな変化が少ない男性に比べ、女性の方がドライアイを経験する確立が2〜3倍多いという結果も得られています。

 ドライアイは、単純に目が乾く不快感として安易に捉えるのではなく、加齢の過程で発生する複雑な進行性の疾患と考えるべきで、原因や関連因子は多い事から、より細かく対処する必要があります。放置しておくと、視力障害が生じて日常生活にも影響する事もあり、注意が必要です。ドライアイ専用の点眼薬の使用や、炎症に対抗して涙液分泌を増加させるオメガ-3脂肪酸の摂取量を増やすのが理想的な治療とされています。EPA、DHAがここでも役に立つという訳です。



第533回 作用副作用     2006年05月22日

 薬というと副作用が気になってしまいます。大本を辿ってみると生薬の効能である「作用」は、本来、薬草たちが自分達を好んで食べる生物が増えない、または自分達が食物として好まれないようにするために備えた防御法が元になっています。その意味では、すでに薬草の効能自体が副作用であると考える事ができます。

 元から意図していた反応が得られる事を薬の作用とし、それ以外の反応を副作用としている訳ですが、稀にその副作用が別な意味で好ましい作用をもたらしてくれる事があります。最近では、薄毛の改善薬として登場した「プロペシア」や、EDの改善薬「バイアグラ」などは、そうした予期せぬ作用による新薬開発の顕著な例ではないでしょうか。先日、そうした「好ましい」副作用に関する新たな報告が行われていました。

 気管支拡張作用をもつ喘息治療薬、β2アドレナリン受容体刺激薬「クレンブテロール」は、以前から筋肉増強作用がある事でも知られていましたが、そうした筋肉増強作用が重度心不全患者の骨格筋容量と強度を増加させる効果に繋がる事が判り、人工心臓ポンプを用いた治療の代替医療となる可能性が注目される事となりました。今回の発見の元になったのは、英国の研究で心移植待機中の人工心臓ポンプ装着の心不全患者に、クレンブテロールを与える事が有意に心機能改善をもたらしたとの報告で、米国で未承認となっているクレンブテロールに対して、FDA(米国食品医薬品局)から高用量を用いた予備的研究の許諾を得て行われた臨床試験によるものです。

 クレンブテロールは骨格筋容量と強度の増加をもたらし、喘息治療や筋肉増強に用いられる常用量の10〜15倍量でも安全であることが確認されています。心機能の変動に関しては、有意な変化は認められなかったそうですが、今回の研究は心機能を検討するようにはデザインされていなかったと言います。低用量についての結果は、盲検化がまだ継続中のため、明らかでないとされていますが、移植臓器の不足も言われる中、代替医療の開発は歓迎されるべきものかもしれません。



第532回 予防ガイドライン     2006年05月19日

 先日、医学誌「ストローク」に掲載された米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)による新しい「一次予防ガイドライン」では、脳卒中を予防するための健康的な生活習慣と適切な治療を強く呼びかけていました。脳卒中は直接命に関わる危険性が高いばかりではなく、生還してもひどい後遺症を伴う可能性が高い、怖ろしい疾患でもあるので、そうしたガイドラインには常に気を配り、実践する必要があります。

 ガイドラインでは、個人でも実践できる事として、まず血圧の管理を呼びかけています。最低でも年2回、糖尿病患者の場合、より厳密に血圧の検査を受け、血圧の把握と管理が重要としています。血圧の検査に関しては、個人でも正確な測定方法を把握しておいて、より正確な数値を検査できるように気がけておけば良いと思います。

 喫煙に関しても言及してあり、禁煙を心がけ、受動喫煙も極力避けるべきとしています。食事に関しては、減塩に努め、カリウムを多く摂る事を薦めています。カリウムの摂取目安は、一日に4.7g以上とし、ナトリウムの摂取量を一日に2.3g以下としています。カリウムを摂取する事でナトリウムの排出も促されるのですが、ナトリウムほどにはカリウムは体内で吸収されないので、やはり努めて多く摂る必要があるのかもしれません。

 また、肥満の軽減によって血圧を下げる事や、一日30分程度の軽い運動、果物、野菜や乳製品、高タンパク低脂肪の食材を中心とした食生活の実践など、定番のものも言われ、興味深いところでは、日中の過度の眠気や大きないびき、睡眠中の息切れといった睡眠障害の兆候が見られる場合、専門医による診療を受けるといった事も薦められていました。健康的な生活を心がける事が基本という訳です。



第531回 発見、はさみ酵素     2006年05月18日

 脂肪というと、最近では完全に悪者として扱われていますが、本来は体内で欠かす事のできない栄養素の一つであり、タンパク質、糖質と並ぶ大切な栄養となっています。大切な栄養であるために、まとまった量が確保できた場合、不足した際の事を考えて身体は貯蔵にかかってしまいます。食糧事情が良くなり、それまで貴重だった脂肪分が手軽に充分摂れるようになっても、身体は進化の中で獲得してきた機能、貯蔵を行ってしまいます。それが度を超えてしまうと脂肪が嫌がられる状態、肥満となってしまいます。

 そうした肥満へと繋がる体内のメカニズムが、偶然の発見から明らかにされようとしています。脂肪を摂るとなぜ肥るのか。その答えの一つは、脂肪細胞が周囲の組織へ膨張していくのを助ける酵素が存在する事にあるというのです。現在、マウスを用いた予備段階の研究が行われていますが、この酵素がマウスに限らず人間でもでも同じような働きをもつかについては不明な状態ですが、可能性は極めて高いと考えられています。

 事の発端は、ある一定の酵素が血管の形成に及ぼす影響についての研究が行われていた際、遺伝子組み換えによってこの酵素をもたないマウスを作ったところ、このマウスがすべて痩せていて肥らない事によります。MT1-MMP(膜結合型メタロプロテイナーゼ)と呼ばれるこの酵素は、脂肪細胞を取り囲むコラーゲン線維の網をはさみのように切り開く働きを持っていて、この酵素の働きのおかげで脂肪細胞は膨張し、周囲へ広がる事ができるようになります。

 この酵素を持たないマウスでは、脂肪細胞の占める量が通常のマウスの5%と極めて低かった事から、MT1-MMPを阻害する事で、理論上は脂肪を95%減らすことができる計算になると言います。しかし、ヒトを対象とする研究はまだ何年も先になる見通しで、この酵素を阻害する薬剤も見つかってはいません。今後、さまざまな研究が進めば、やがてはこの酵素がキーワードとなって、ダイエットに絡んでくる事と思います。その日を楽しみに待ちたいと思っています。



第530回 アレルギーの勝ち負け     2006年05月17日

 以前、大変お世話になった方に面白い話を伺った事があります。幼少の頃、櫨の木の下で遊んでいたところ、櫨に被れてしまったそうで、「櫨に負けた(被れた)」と言って帰宅すると、それを聞きつけた母親が、「負けたまま終ってはいけない。男の子なんだから、もう一回行って噛み付いてきなさい」と言い、素直に従って櫨の幹に噛み付くと口の回りまで被れて大変な事になったそうです。

 口の回りが被れた姿でもう一度帰宅すると、「櫨をやっつけてきたから、もう大丈夫だよ」と褒められたそうですが、後にその行為は経験に基づいた正しいものであった事を知ったそうです。漆を扱う職人は作業をする際、漆を舐めながら作業を行う事で、漆に被れる事を防ぐと言います。また、下剤として用いられるひまし油は、エンジン用の潤滑油としても優れている事からエンジンオイルとして使われていましたが、エンジンの製造工場では気化したひまし油のためにお腹を壊す人が出る可能性が高かったそうです。

 そのためエンジン工場では、新人が入ると歓迎会と称して食事会が開かれ、こっそりとひまし油で揚げた天ぷらが出されたそうです。ひまし油に免疫のない新人は、次の日大変な事になるそうですが、それ以降、工場内でお腹を壊す事はなかったそうです。本来ならば被れてしまうような物を、少量経口摂取する事で、身体に対処する事を憶えさせる。最近、花粉症などの対処法としても使われる事が見られるようになってきました。

 少量、または微量のアレルゲンを経口に限らず皮下やパッチなどで表皮から摂取する事で、アレルゲンをそれまで身体が感じていたほど危険な物ではないという事を認識させ、アレルギーを緩和させる手法は、アレルゲンを遠ざけたり、抗ヒスタミン剤などで炎症を抑えるといった手法よりも手軽で危険性が少なく、日常の生活に即したものと考えられます。新しい療法の一つではありますが、昔から行われてきた事と原理的に同一である事は、非常に興味深い事でもあります。



第529回 激辛受容体     2006年05月16日

 以前、辛い物が好きで、かなりの辛さでも平気だった事があります。唐辛子やコショウ、わさびにからし。さまざまな刺激を楽しんでいました。あまり身体には良い事ではないので、やめてしまった今では、ほとんど辛い物自体食べなくなり、辛さに対する耐性もなくなってしまいました。

 辛さの元、唐辛子とコショウ、わさび、からしなどは、辛さの質が異なり、辛さの感じ方にも違いがあるように思えるのですが、意外と感じる受容体は共通の一つであるとされています。その受容体は最近発見されたもので、「TRPA1」と呼ばれています。

 TRPA1欠損マウスから採取した神経細胞で、ニンニクやからし油に対する感受性が全く認められなかった事や、TRPA1欠損マウスは正常なマウスと異なり、からし油を足に塗布しても刺激を感じる様子がなく、舐めようとする動作もみられませんでした。からし油の刺激に対する足の腫れも少なく、痛みの感じ方も鈍かったと言います。

 TRPA1欠損マウスにおけるこのような特徴から、組織損傷や不快感、痛みを起こす神経細胞において、からし油やニンニクなどの刺激作用が及ぶのは、TRPA1単独の部位であることが示されていたそうです。TRPA1についての新知見が、新しい消炎鎮痛薬の開発にも役立つと考えられているので、興味深い発見ではあるのですが、何となく唐辛子とわさびの辛さの感じ方は違うような気がして、納得いかない感じがしてしまいます。



第528回 マグネシウム予防法     2006年05月15日

 メタボリック症候群は、原因となる症状が単体ではすぐに治療を要するほどではないものが複数重なる事によって、やがて心筋梗塞や脳梗塞といった重大な症状に繋がるところにその怖ろしさがあります。影響の大きさに関わらず身近な症状である事も、さらに怖さを助長している事と思います。明確な対策としては、肥満の軽減と各検査数値の異常を是正する事でしたが、ミネラル分であるマグネシウムを摂取する事が効果的な予防法となる事が、最近の研究によって明らかになってきました。

 医学誌「サーキュレーション」に掲載された報告によると、マグネシウム摂取量の多い人はメタボリックシンドローム発症リスクが31%程低いことが明らかになったという事です。メタボリック症候群の症状は、内臓肥満に合わせ、高血圧、高血糖、高脂血症のほかに、善玉コレステロールとされるHDLコレステロールの比率の低下などが含まれ、このうち3つ以上が重なると、心血管疾患や糖尿病のリスクが増大するとされます。

 マグネシウムとメタボリック症候群の関係に関する研究はこれまでにも行われていましたが、ノースウェスタン大学医学部の研究チームによると、今回の研究では新たにマグネシウムを多く摂取する事で、メタボリック症候群の個々の症状のリスクが低下する事がわかったそうです。マグネシウムの供給源としては、一般的な食品がメインとなっていましたが、一部サプリメントの利用者もいて、サプリメントによる摂取の有効性も確認された事になります。

 今回の研究の特色としては、開始時点で20歳代という若年者を主に対象としている点で、健康に比較的無関心な若い人が、健康的な食生活に関心をもつべきである事が示されています。常に10年先を見据えた健康管理が重要なのかもしれません。マグネシウムと言うと、以前人気のあった苦汁=塩化マグネシウムが思い出されます。最近下火なようですが、また脚光を浴びる事になるのかもしれません。



第527回 苦味制限     2006年05月12日

 大豆に含まれる苦味成分で、ポリフェノールの一種であるイソフラボン。最近、急速に名前を知られる事となった成分の一つではないでしょうか。糖類が結合したタイプと結合していないタイプが存在し、結合したタイプは「配糖体」、結合していないタイプは「アグリコン」と呼ばれています。味噌や納豆といった大豆発酵食品にはアグリコンが多く含まれ、他の大豆食品には配糖体が多く含まれるという傾向があります。

 アグリコンは、女性ホルモンであるエストロゲンに構造的に似ている事から、体内では同様の働きをするものとして考えられています。そのため、エストロゲンの不足によって起こる骨粗鬆症や更年期障害、その他の体調不良の予防に役立つとして、大豆由来のイソフラボン含有食品が多く発売され、人気となっています。そんなイソフラボンの摂取に関して、摂取の上限値が設定されました。

 今回の設定では、アグリコンの状態で一日の摂取目安を70〜75mg以下としていますが、納豆1パック(50g)には37mgのアグリコンが含まれ、豆腐一丁(300g)には61mgのアグリコンが含まれています。食品安全委員会のコメントとしては、95%の人が、1日にこれらの大豆食品から摂取しているアグリコンは70mg以下であり、健康被害は出ていないとし、大豆由来食品でこの値を超えたからといってすぐに健康被害に結びつくものではなく、イソフラボンを強化した食品を追加摂取する場合に気をつけてほしいとしています。

 ホルモンは身体にさまざまな命令を出し、作用させるもので、それが体外から多く取り込まれる事には、ある程度の弊害も予想されます。特にエストロゲンは過剰になると乳ガンや子宮ガンのリスクを高めてしまうという考え方や、完全に構造が一致していない事が内分泌を撹乱するという環境ホルモン的な考え方も存在しています。少なくともイソフラボン量を強化した食品を、摂れば摂るほど健康に良いという考え方はやめておいた方が良いのかもしれません。



第526回 症候群増加     2006年05月11日

 メタボリックシンドローム(症候群)、最初にその言葉に接したとき、古典的なドーピング薬であるアナボリックステロイドと響きが似ている事から、ホルモン関連の事柄と思ってしまいました。メタボリックとは代謝を指す言葉なので、代謝症候群というところでしょうか。一つ一つはそれほど深刻ではないにしても、肥満、特に内臓肥満、高血圧、高血糖などが重なり、心筋梗塞や脳梗塞になりやすい状態、それがメタボリック症候群と呼ばれる状態です。

 個々の検査数値はすぐに治療を要するレベルではなくても、危険因子が重複する事が問題とする考え方が元になっていて、かつては「死の四重奏」という呼び方をしていた事もありました。危険性を強調する考え方の中では、「心筋梗塞などを招く動脈硬化を進行させやすく、一つの病気と言える」とさえ言われています。先日の調査で、このメタボリック症候群の患者が予想外に多い事が判り、1300万人にも上る事が報告されていました。

 今回行われたような大規模な調査は初めての試みで、予備軍1400万人を含めると2700万人もの人がメタボリック症候群の危険にさらされている事になります。年齢的には、高年齢となるほど患者となる率が高く、40歳を境に急激に増加する傾向があり、それに関しては30代のライフスタイルに問題があると考えられています。代謝機能がしっかりしている30代は、多少の不健康な日常も身体機能でカバーできますが、代謝が急激に落ち込む40代にそのツケが回るという事は充分想像できる事でもあります。

 メタボリック症候群に関する基準は、WHO(世界保健機構)、NPEC(米国コレステロール教育プログラム)で設定されていますが、日本人は軽度の肥満でも健康上の問題が生じやすいという意見もあり、生活習慣の早急な改善が求められています。高血圧や高血糖、高脂血症などは、多少肥満を解消するだけで、数値的にも大きく改善されると言います。検査数値に一喜一憂するだけ、大丈夫と安易に考える、すぐに治療薬に頼る、ではなく、手近なウェイトコントロールから始められては如何でしょうか。



第525回 水銀議論     2006年05月10日

 歯の治療に使われる充填剤に銀が用いられる事は広く知られています。銀単体では加工しにくいので、他の金属が混ぜられたアマルガムと呼ばれる合金の状態にしてあります。このアマルガム充填剤には加工を容易にする目的で水銀が使われており、その含有率は50%近くという銀を上回る量になっている事もあります。最近、アマルガム充填材は安全とする欧米での2件の研究結果が発表され、一貫してアマルガム充填剤の危険性を主張してきた消費者団体との論議が再燃しています。

 今回の研究によって導き出された結論として、水銀は他の材料と混ぜ合わせる事によって被包化され、健康に及ぼすリスクはないと主張する一方で、消費者団体は神経毒性を有する水銀は、水銀蒸気の形で漏れ出し、血流に入り込むと主張して意見が対立しています。

 ハーバード大学医学部の研究では、半数をアマルガム、半数を樹脂複合材を用いた平均15箇所の充填治療を行い、5年間の追跡調査の結果、小児の尿から高レベルの水銀が検出されたが、定期的に実施した知能指数と腎機能検査の結果では、アマルガム群においてわずかに知能指数の低下が認められたものの、両グループの間に統計的有意差は認められなかったとしています。また、ポルトガルの研究でも、米国の研究と同様にアマルガム群と樹脂群に無作為に割り付け、アマルガム群では平均18箇所、樹脂群では21箇所の修復治療が行い、7年間にわたって定期的に記憶力、集中力、運動能、神経伝道速度を測定しました。やはり2つのグループに統計的有意差は認められなかったと言います。

 両研究の結果に対して、アマルガム充填材に使用されている量よりも高用量の水銀に毒性があるのはすでに証明済みの事で、低用量でも悪影響があることは当然疑われるという指摘があり、水銀が多発性硬化症やアルツハイマー病の危険因子となりえる事を示唆する研究も存在します。また神経毒性を検討するには、今回の研究は期間が短すぎる事も言及され、研究資金の出所を含めさまざまな指摘がある事から、研究の正当性にまで発展しかねない展開を見せています。論争も結構ですが、事が治療法の確立されていない神経毒に関した事でもあるので、患者の利益が優先される事を願っています。



第524回 予測ツール開発     2006年05月09日

 前立腺特異抗原、そのイニシャルを取って「PSA」と呼ばれ、前立腺ガンの発症リスクの判定に用いられています。本来は前立腺の腺腔内に分泌されるものですが、血液検査で測定される数値は血液中に漏れ出したもので、検査数値が高いという事は、血液中に漏れやすい状況になっていると判断され、前立腺の細胞に何らかの異常、ガンの発症が予想されると考えられています。

 PSAは前立腺特有の物質なので、前立腺の状態を把握するための指標とはなりますが、そのものが前立腺ガンの発症を示すものではありません。前立腺肥大症や、前立腺炎、尿道にカテーテルなどがはいった物理的な刺激が発生している状態、尿が全くでない尿閉塞などの排尿状態の極端な変化の下では、PSAの値に影響が出る可能性があります。

 先日、そんなPSA単独検査よりも遥かに正確な前立腺ガン発症リスクの判定ツールが、テキサス大学保健科学センター泌尿器科教授のトンプソン博士を中心とした研究チームによって開発され、医学誌への報告が行われていました。PSA値はリスクが「高い」か「正常」かの判定を行う指標とされていますが、実際にはPSA値に応じて徐々にリスクが増大するので、トンプソン博士はPSA値をほかの因子と組み合わせて判断する方が有用であるとしています。

 トンプソン博士は、前立腺癌予防に関する大規模試験に参加した健康な男性約5500人のデータを集め、7年間、全員に年1回のPSAおよびDRE検査、期間中に最低1回の前立腺生検を行い、期間終了までに、対象者の約22%が前立腺癌を発症し、5%が高悪性度の癌を発症したというデータを得ました。蓄積されたデータを独自の統計リスクモデルに入力し、前立腺癌の家族歴があったりPSA値やDRE所見に異常がみられたりすると、リスクが大幅に増大するという結論が得られ、人種や年齢もこの数式に組み込まれる事で、黒人および高齢男性ではリスクが比較的高い事が判りました。過去の生検結果が陰性であった場合、リスクが低下することも判ってきているので、この計算ツールで、リスクをより正確に予測できるとしています。この方法では重篤なガンの程度が重篤か、そうでないかが区別されていないため、不十分であるとの指摘もされていますが、長期的な患者の生存率の代わりにこの指標を用いることによって、治療効果をはるかに早く評価できると考えられる事から、早く一般的な普及が行われる事を期待したいと思います。



第523回 新説原因     2006年05月08日

 アルツハイマー病は認知症の主な原因の一つとして広く知られてはいますが、原因については不明な部分を多く残したままになっています。脳内に起こる病変については、さまざまな角度から検証が行われ、原因の究明、治療法の確立が急がれています。そんなアルツハイマー病の原因について、新たな説が発表されていました。

 アルツハイマー病の権威であり、イギリスの大手製薬会社「グラクソ・スミスクライン」のアレン・ローゼス博士の研究によると、アルツハイマー病の1つの原因が糖尿病と関連しているとの事で、すでに予備試験において、ある種のアルツハイマー病患者への糖尿病薬の効果が見られている事が、医学誌アルツハイマーズ&ディメンシアに発表されています。

 今年の夏には、同社の糖尿病薬「アバンディア」をアルツハイマー病患者に投薬する試験が実施される見通しという事で、アレン博士によると、脳の神経細胞においてミトコンドリアの代謝が阻害されると、神経細胞に必要不可欠なブドウ糖が不足してしまい、ベータアミロイドと呼ばれる異常なタンパク質が沈着するなど、神経細胞の破壊につながるとの仮説を立て、この神経細胞の変化が糖尿病の病変に類似している事を指摘しています。

 先日、東京都臨床医学総合研究所を中心とする2つの研究チームの発表によって、脳内に異常なタンパク質、いわゆる細胞内のゴミが脳神経細胞に溜まり過ぎる事によって、さまざまな神経変性疾患の原因となる事が発表されていました。両研究が内容的に近いものである事が、より原因説としての信憑性を高いものにしているように思えます。一刻も早い原因の確定、治療法の確立を期待したいと思っています。



第522回 河の豚?     2006年05月02日

 いつも原稿は「Word」か「Excel」で書いているのですが、どちらのソフトも画面の右隅にヘルプ役のイルカがいて、結構、愛嬌のある動作をしてくれる事が気に入っています。イルカは漢字で表記すると海豚となり、あまり似ている気はしないのですが、海の豚という事になります。似たような漢字で河の豚と書くと「フグ」になり、海に棲んでいるのに何故「河」?と思ってしまいます。

 フグは、フグ目フグ科の海水魚を総称する名前で、卵巣や肝臓などにエサに由来するテトロドトキシンという猛毒を持つ事で知られています。特徴の一つとして、外敵に対し大きく腹を膨らませて威嚇する事でも知られ、通常の状態よりもむしろ膨らんだ姿の方が良く知られています。平安時代には既に「布久(ふく)」「布久閉(ふくべ)」と呼ばれ、現在のような「フグ」という呼び名は、江戸時代中頃、関東で始まり、全国へ広がったと言われます。その頃の名残や、「福」に繋がるという縁起の良さもあって、現在でも下関や中国地方の一部では「ふく」と呼んでいる事もあります。

 「ふく」と呼ばれるに至った語源については、ふぐが海底の砂を吹き、出てくるゴカイ類を食べる性質があるので、吹く(ふく)からきたとする説や、「ふく」という言葉に、膨らむ物という意味があり、そこから「ふく」と呼ばれるようになったとする説があります。実際、「袋(ふくろ)」、「脹脛(ふくらはぎ)」、「ふくよか」、「膨れる(ふくれる)」など、膨らむものには「ふく」という言葉が多用されています。「ふく」はその代表というところでしょうか。

 「ひょうたん」に形が似ている事から、ひょうたんの別名である「瓠瓢(ふくべ)」から、フグの事を「ふくべ」と呼び、「ふく」になったとする説もありますが、「瓠瓢」は膨らむものという意味があり、「ふく」と同じ由来になるので、この説に関しては違うと見られています。河の豚と書く事については、中国では揚子江や黄河など、海よりも河(汽水域)に生息するフグの方が親しまれていた事から「河」が使われ、膨れた姿が豚に似ている事と、釣り上げた際に豚の鳴き声に似ている音を発する事から、「豚」が使われるようになったとされます。子供心に海を先にイルカに取られてしまったので、仕方なく同じ水中である河を選んだというものではなかったようです...。



第521回 青柳?姫?バカ?     2006年05月01日

 青柳は江戸前の寿司、天ぷらには欠かす事のできない食材と言われ、東京湾埋め立て後の生態系の変化、汚染の進行によって多くの魚介類が減少を続ける中、変わらず多くの漁獲高を誇っている貝と言われます。今でも船橋、木更津、富津といった江戸前から届けられ、足の部分は寿司ネタに、前後で大きさの異なる貝柱は、それぞれ「大ぼし」「小ぼし」と呼ばれて、江戸前の天ぷらネタでは最も人気の高いかき揚の材料となります。

 瀬戸内海や有明海でも昔から獲られており、こちらは干して「姫貝」と呼んで取引されています。この青柳、別にもう一つ「バカガイ」というありがたくない名前を持っています。食材としては不向きな感じの名前ですが、むしろこちらの方が広く通っているようで、少々気の毒でもあります。

 このバカガイという名前の由来は、大きさこそ異なりますが姿がアサリと似ていて、同じ水域で獲れますが、アサリよりも青柳の方が弱く、持ち帰りの際に死んでしまう事がよくあります。青柳は死んでしまうと、殻の隙間から朱色の足をだらりと出した姿になってしまいます。その様が馬鹿者がだらしなく舌を出した姿に見える事から、「バカガイ」の名が付けられたというのが有力な説となっています。

 それ以外にも、よく似た「旨貝」から転じたという説や、貝柱は美味しいのに、身の方は味が落ちる事から、間が抜けた感じがしてその名が付いたという説もあります。バカガイ以外の呼び名としては、馬珂貝、クツワガイ、カムリカイの名前がありますが、あまり広くは使われていません。青柳と呼ばれる由来については謎とされていますが、現在の千葉県市原市青柳、当時は千葉県青柳村でよく獲れたからというのが有力視されています。現地では「バカ」と呼ばれているらしいのですが、主要な産地が名前の由来となる事は、充分に考えられる事です。また、青柳の足が細く長い事から、柳の葉に似ているとして、「青柳」と付けたという説もあり、いかにも和食の食材という感じもします。青柳という名前は、厳密にはバカガイの剥き身という考え方もありますが、バカガイでは可哀相なので、できれば青柳と呼んでやりたいと思っています。



 

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