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第562回 股関節の危機     2006年06月30日

 骨密度が低下して骨がスポンジ状になる骨粗鬆症は、高齢者を中心に世界的に増加傾向にあり、重大な結果に結びつきかねない症状なだけに、今後を危惧する声が多く出されています。英国の医学誌、「ランセット」に掲載された論文によると、現在の発症率が変わらないまま推移すれば、2050年には世界中で630万人が股関節骨折をきたす事が予想され、仮に発症率が1%増大しただけでも患者数は、2050年には820万人にのぼると推定されています。

 今回の研究は、オーストラリア、ノースショア病院のサムブルック博士と英国サザンプトン大学のクーパー博士らによるもので、加齢による骨粗鬆症の増加に伴って世界的に股関節骨折が増えている事に対して行われました。今後適切な予防策が講じられれば、こうした傾向は覆す事が可能としています。

 体内のカルシウム量は、20代という比較的若い時期にピークに達し、その後は減少する傾向にある事が知られており、若年層が食事に気を配り、栄養補助食品などからカルシウムやマグネシウム、亜鉛やビタミンDなど、骨の材料となる栄養素を充分に摂取すれば、股関節骨折の蔓延という事態は避けられると思われます。

 骨粗鬆症が原因と見られる骨折の治療コストは安いものではなく、1997年の時点で世界中で使われた治療費用は、股関節骨折に限っても15兆円に上るという報告もあります。金額的な事よりも股関節を骨折してしまう事は、後に寝たきりになってしまうなど生活の質を大幅に低下させてしまう可能性があります。若い時からの適切な骨の管理に勤めてほしいと思ってしまいます。



第561回 安全確保     2006年06月29日

 BSE(牛海綿状脳症)への関心が薄れたのか、あまりその言葉による騒ぎ自体を聞かなくなり、それでも米国産牛肉の輸入再開が近付いてきているという見方は強まってきています。最新の世論調査では、輸入再開に52%の人が反対し、賛成は37%に留まり、再開されても71%が食べたくないという回答が得られています。米国産牛肉への不信感は、飼育する際の餌をはじめ、処理工程や安全確保のための確認作業などのずさんさに起因していると考えられます。

 それに対し国内産の牛肉は、BSE感染牛の発見以降、さまざまな検査体制が整えられ、安全性が高いと考えられています。しかし、その安全性を疑問視する意見もあり、その一つが「ピッシング」と呼ばれる作業工程の存在に端を発しています。ピッシングとは、死後の痙攣によって足が跳ね上がる事を防止するためのもので、牛の解体作業に従事する作業員の安全確保のために不可欠な工程とされています。

 ピッシングは、牛の前頭骨に開けた穴からピッシングロッドと呼ばれるワイヤーを挿入し、脳や脊髄を破壊するというもので、その際、ロッドは脳から脊髄を貫通し、尾骨にまで達すると言います。これによって破壊された脳と脊髄は、血液によって循環し、枝肉を汚染する可能性が指摘されています。脳や脊髄といえば、BSEへの感染に関わる特定危険部位に指定されている臓器です。微細な粉塵とはいえ、混入する事は大きな不安要素となる事は充分考えられます。

 EU諸国では、消費者の不安も手伝い既に慣習的に行われてきていたピッシングを禁止していますが、日本ではピッシングなしで労働上の安全を確保するのは難しいという業界に配慮して、禁止には踏み切られていません。発表されている資料によると、2004年10月末の時点でピッシングの中止を行っているのは、調査対象となった160施設中、29%にあたる45施設。2006年2月末の時点では、161施設中、49%の79施設に増えているそうです。それでも半数以上の施設でピッシングが行われている事となります。検査体制の確立と特定危険部位の徹底した除去で信頼を高めてきた国産牛ですが、意外なところに盲点がありそうで不安を拭いきれないものがあります。



第560回 ナス科の一年草     2006年06月28日

 人の背丈ほど大きくなり、葉もかなりの面積になる事から、あまり一年草というイメージがなかったのですが、植物のタバコはナス科の一年草です。畑にきれいに並べられて急速に大きくなる、どことなく朝顔に似た花を付ける姿は、農作物の中では目立つ存在ではないでしょうか。大きい朝顔似の花も見事ではありますが、やはりその存在感ゆえに一目でタバコ畑と気付き、特有の雰囲気を感じてしまいます。

 タバコが属しているニコチアナ属には、約50の種が含まれていますが、大規模な栽培が行われているのはその中の2種、タバカム種とルスティカ種に限られ、特にタバカム種は、含まれるニコチンの量が多い事から商業的に価値が高く、ルスティカ種は寒冷地に強いとされます。それをさらに栽培に合わせて葉の産出量、病気への抵抗性、細胞自体の弾力性、香料との親和性などの要因で100近い品種にお分けられます。

 それら100品種を大別すると、火力乾燥を行い葉が黄色くなった状態で使われる黄色種、空気乾燥が行われ、褐色の状態で使われるバーレー種、葉巻種、オリエント種に分けられるそうです。それ以外にも地域の歴史や文化に深いかかわりを持つ地域固有種も数多いそうですが、それらを日本でも在来種と呼ばれる事には、少々疑問がわいてしまいます。

 日本でのタバコ製造は、JT(日本たばこ産業)のみに限られて行われ、葉タバコの栽培には「たばこ事業法」によって定められたJTとの契約が必要になります。JTとの契約に関しては、黄色種は第一から第四、バーレー種では第一、第二という取引体系が定められ、原料として使用できない物を除き、すべての葉タバコを購入する事がJTに義務付けられています。そのため、米のように自主流通する事がなく、価格の統制が取られているのですが、その中には税金が占める部分も多く、タバコの販売価格に影響を与えています。タバコ税を引き上げると禁煙者が増えるそうですが、健康と増税、複雑なものがあります。



第559回 備え当てる     2006年06月27日

 今ほど道路事情や交通手段が整えられ、頻繁に店舗があるという状態は、歴史的に見てもきわめて稀な事と思います。たいして考える事なく出かけても、空腹を感じたらさまざまな選択肢の中から適当な店を選んで食事をする事ができます。当然かつてはそうした事ができないので、移動中に空腹に陥る事、特に人気のない山中などで身動きが取れなくなる事は怖ろしい事でもありました。

 昔話の中に描かれている「ひだる神」は、突然人に取り付き、強烈な空腹で動けなくしてしまうという、空腹による血糖値の低下という活動不能に陥る状態に対する怖れが現れているようにも思えます。そんな空腹への備えが「弁当」です。弁当とは、外出先でも食事ができるように、容器に入れて携帯する食料、またはその容器を指しています。

 通説では弁当の語源は、南宋時代の中国の言葉、「便当」に由来すると言われ、便当とは「好都合」「便利な事」を意味する俗語と言われています。その「便当」が日本へ入り、当て字として「便道」「弁道」が用いられましたが、「そなえて(弁えて)、必要な用に当てる」という意味から、弁当の字が用いられるようになりました。その弁当に用いられる容器という事で、弁当箱の言葉も生まれています。

 別な説では、ご飯を入れる容器「飯桶(めしおけ)」を意味する言葉に「面桶(めんつう)」というものがある事から、それを漢音読みした「めんとう」が「べんとう」になったというものもあります。しかし、弁当を歴史的に遡っていくと、弁当の仮名遣いは「べんたう」となり、「めんとう」から遠ざかってしまいます。明確な弁当箱は桃山時代からそれらしき物が使われ、弁当という言葉自体は鎌倉時代から見る事ができます。それ以前となると、用意した食事を器の中を小分けする事から「破子、破籠(わりこ)」が使われていました。いつの時代も備えていた事が伺え、弁当という言葉よりも食事を携帯するという行為が自然発生的なものである事が解ります。



第558回 しわ注意     2006年06月26日

 もし貴方が喫煙者で、自分の顔を鏡で見た時、顔にシワが多いと感じたら、健康のためにすぐに禁煙される事をお薦めします。最近の研究で、顔にシワが多い中高年喫煙者は、シワが少ない喫煙者に比べて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)にかかる可能性が5倍も高くなるという事が判ったと報告されていました。COPDは、肺気腫や気管支炎を含む進行性の慢性肺疾患で、世界保健機関(WHO)は2020年までにこの疾患が世界の死亡原因第3位になると予測しているほどです。

 今回の研究は、英王立デボン& エクセター病院のパテル博士によるもので、喫煙者は皮膚の老化が早い事で知られている事から、COPDと皮膚のしわに対する共通の感受性が存在するとの仮説の上に行われました。COPDは、肺気腫や気管支炎を含む進行性の慢性肺疾患で、喫煙がCOPDの主な危険因子である事が判っています。

 研究グループでは、COPD患者を含む多くの中高年喫煙者のデータを分析し、被験者の82%にシワが少なく、17%に多くのシワが見られ、シワが少ない人に比べてシワの多い人は、明らかに肺の強度や機能が低いという結論が得られています。特にCOPDのリスクは5倍もの差となり、重度の肺気腫を発症するリスクも3倍と高くなっている事が明らかにされています。

 今回の研究では、COPDとシワの関連性については解明されていませんが、パテル博士は遺伝的なものではないかと考えているそうです。パテル博士によると、「肺および皮膚の弾性組織であるコラーゲンやエラスチンなどの損失によるものである可能性もあるが、裏付けは得られていない」とコメントしています。喫煙自体が顔に近いところに熱源を置き、シワを誘発しやすい状態にする事でもありますが、シワができやすい=皮膚組織が弱く病変しやすいという見方もできる可能性はあります。シワの程度も含め、難しい部分もありますが、少なくともシワが気になる人は禁煙した方が良いと思われます。



第557回 効能発見     2006年06月23日

 ガン細胞が組織の基底膜を破って外へと出ていく浸潤性乳ガンの治療において、タモキシフェンは30年来効果を上げる薬剤として使われてきました。顔面の紅潮や吐気などの副作用が報告されてからは、使用をためらわれる事も増えてきましたが、そのタモキシフェンとほぼ同様の効果が、これまで骨粗鬆症の治療や予防に用いられてきたラロキシフェンにもある事が、最新の研究によって明らかになってきました。

 女性は閉経後、ホルモンバランスの兼ね合いもあって、乳ガンを発症するリスクが高まる傾向があります。今回の研究では、閉経後の女性2万人をランダムに選び、タモキシフェン20mgかラロキシフェン60mgのいずれかを摂取してもらい、発症リスクに関する統計を取っています。その結果、いずれの場合も1000人につき8人から4人へと乳ガンリスクの50%程度の減少が見られ、ほぼ同様と思われる効果が確認されています。

 非浸潤性乳ガンの予防に関しては、タモキシフェンの方に優れた結果が出ていたので、すぐに薬剤の利用状況の変更とはならない事が考えられますが、同じく閉経後の女性に増える骨粗鬆症を予防しながら、浸潤性の乳ガンを予防できるというのは、とてもお得な感じがします。

 その他のガンや心疾患、脳卒中、骨折や骨壊死などについては、両薬剤に有意な差は見られなかったそうで、とりあえず今回の効能発見は、浸潤性乳ガンに関しての一つだけになります。血管運動症状、脚の痙攣、婦人科症状には、ラロキシフェンの方が優れているという意見もあり、副作用も少ないと言われる事から、今回の発見は朗報となるのではないでしょうか。



第556回 調理進化     2006年06月22日

 食材を調理するという行為の原点は、火の利用による食材を加熱して食べやすくする事にあるように考えられます。加熱する事で食材は余分な水分が失われ、味が濃くなったり、軟らかく食べやすくなったりします。また、含まれている毒素を無害化したり、酵素などの効力を失わせ、保存性を高める働きもあります。

 もともとは、火を利用し始めた際、食材を焙って温めたり、焼けた食材の香ばしい風味を求めたりという事が加熱調理の始まりとなった事が想像する事ができますが、加熱調理を始めた事は、文明の発達に大きく寄与しているとも考えられています。それまで手に入れた食材は、必ずしも食べやすい物ばかりとは限らないので、場合によっては、食べるという事に多くの時間とエネルギーを要していた事が容易に予想されます。

 特に肉類を食す場合、生肉の繊維を噛み砕き、消化を円滑にできる状態にするには、多くの時間とエネルギーを要したと考えられています。そのために顎の骨格は頑丈な作りとなり、それを動かし、大きな力を発生させるために頭を取り巻く筋肉は、頑強なまでに大きくなっていた事が、当時の遺骨から判断する事ができます。それが比較的大きな力を必要としなくなった事で、筋肉を大きく発達させる事が不要となり、頭蓋骨の上部の大型化が可能となり、脳の容量がより大きくなったと考えられています。

 更に食事に要する時間も短くなった事から、余暇を楽しむ時間ができ、身の回りの道具への工夫や他者への配慮、コミュニケーションの発達といった事へと繋がった事が当時の遺物によっても確認されています。神話によると火を持ち出したプロメテウスは、永遠に続く償いをさせられているようですが、その事がもたらした恩恵は計り知れないものがあるのかもしれません。炒め物をしながら、ついそのような事を考えてしまいます。



第555回 生食不可     2006年06月21日

 夏へと向かい日々暑さが増していきます。そんな季節を反映するように、スタミナ関連の食材が賑わいを見せてくるのですが、そんな夏場のスタミナ食の代表の一つにウナギがあります。蒲焼が良く知られた調理法ですが、ウナギ自体の美味しさを楽しむには「白焼き」、少し目先を変えたところでは蒲焼を卵で巻き込んだ「うまき」などもあります。

 ウナギは個性が強い食材でもあるので、調理のパターンがある程度決まってくるのですが、世界的な食材でもあります。川や湖といった淡水から海と川が出会う汽水域までという幅広い生息域を持ち、皮膚呼吸ができる事から体が濡れていれば、水から出ても生きている事ができるという生命力に満ちた一面を持っています。

 そうした生命力もスタミナイメージをより強化してくれるのかもしれませんが、不思議とウナギを生で食べる事はされていません。日本人は鮮度がよければ生食を好む国民です。川や湖で捕まえる事ができ、運搬しやすいウナギは鮮度を保ったまま内陸部の各地へ届ける事ができます。それが日本各地のどこにもウナギの刺身という食べ方は見当たりません。

 ウナギの血液中にはイクシオトキシンという毒素が含まれていて、生の状態で食べるとひどい場合、吐気などの中毒症状が出てしまいます。このイクシオトキシンは熱に非常に弱い事から、加熱調理する事で分解されてしまうので、ウナギは必ず加熱して食べられてきました。最も生に近い状態では、開いたウナギをよく洗って血抜きをし、酢でしめるという食べ方があります。洗って血抜きをする事でイクシオトキシンの含有量を下げ、酢の酸で無力化するという理に適った食べ方ではありますが、ウナギの調理方法としては、極めて稀な事と思われます。最近ではしっかりと洗浄し、刺身で出すという店もあるとの事ですが、やはりウナギは香ばしく焼いてほしいものです。



第554回 新抗生物質発見     2006年06月20日

 乳幼児の発熱から老人介護まで、尿路感染症は広く聞かれる言葉となっています。腎臓でつくられた尿は腎盂、尿管、膀胱、尿道を通って外に出されますが、それら全部を総称して尿路と呼び、細菌がこの尿路の中に入って増殖した状態を尿路感染症と呼びます。例外的に血液中から腎盂へと細菌が入り込む場合もありますが、ほとんどの場合、尿道口から細菌が進入し、上になる腎臓へと向かって増殖する事が原因となっています。

 これまでは、尿が尿路を通過することによって細菌を押し流し、細菌の増殖による蓄積が防がれると考えられていましたが、今回、スウェーデンのカロリンスカ研究所、微生物腫瘍生物学部の研究チームの研究により、体内で生成されている「LL-37」と呼ばれる抗菌性ペプチドが尿路感染症を予防していることが明らかにされていました。

 今回の研究では、健康な小児と尿路感染症の患児の尿中にあるLL-37の濃度を調べ、健康な小児ではLL-37の濃度が極めて低かった事に対し、尿路感染症を起こしている小児の尿には高濃度のLL-37が認められたという結果が得られています。また、LL-37が尿路および腎臓の上皮細胞で生成され、細菌に侵されてから数分以内に合成、分泌が行われる事も判ったといいます。

 研究チームのブラウナー氏によると、「抗生物質の効かない細菌が大きな問題になってきているが、細菌が人体由来の抗生物質に対する耐性をもつことは極めて稀であるため、LL-37 を従来の抗生物質治療の代替または補完として利用できる可能性がある」という事で、単に尿路感染症の治療のみの範囲を超え、幅広い応用が期待されます。感染症と耐性の問題は、出口の見えない闘いのように言われる事があります。耐性のできにくい抗生物質は何より歓迎されるものではないでしょうか。



第553回 フロンとオゾン     2006年06月19日

 まだ本格的な暑さではありませんが、日毎に夏らしさが加わる春の終わりから梅雨の前、この時期が年間を通して最も紫外線量が多い時期と言われます。近年、オゾン層のダメージが話題になるようになって、日光とは昔のように手放しで良いものとは言えなくなってしまっています。印刷に用いられるインクが昔とは違う物だという事はあるのですが、窓辺に置いた雑誌などの色あせ方の顕著さに紫外線の強さを感じてしまいます。

 オゾン層へのダメージに関しては、定説として分子構造の中に塩素を含んだフロンガスが上空へと舞い上がり、紫外線を受ける事によってイオン化し、オゾン層を破壊していると考えられています。最近では法律によって規制されているため、フロンガスを大気中に噴霧する事はありませんが、以前はスプレーなどの身近な製品に用いられていました。そうして身の回りで使われたフロンは一部にすぎず、電子製品の洗浄に使われたフロンは、さらに膨大な量に上るとも言われ、それらはこれから徐々にオゾン層に向けて舞い上がっていくと言われています。そのため、使用を中止していてもこれかもオゾン層の破壊は大規模に進んでいくと言われています。

 しかし、そうした通説に対し、疑問の声もわずかではありますが出されています。フロンは空気よりも比重が重く、いくら風や気圧、上昇気流の影響を受けたとしてもオゾン層ような高空にまで上昇する事が考え難く、また工業的に広く用いられた背景には、非常に安定した性質を持っているという面があります。実際、フロンガスを詰めた風船をいくら頑張っても飛び上がらせる事はできず、オゾン層に降り注ぐ何倍もの紫外線を当てても、フロンの分子は安定していたという実験結果があります。

 フロンの安定性=分解し難さを思うと大気中に野放図に撒き散らす事は賛成しかねるので、使用を制限している現状には賛成できますが、オゾン層を破壊する可能性がある塩素を含む物であれば、航空燃料の着色料をはじめ、いくつかの可能性が考えられます。オゾンホールをめぐる問題は地球規模に発展してきています。正確な原因の究明と適切な対策を急いでほしいと思ってしまいます。



第552回 老化防止ホルモン     2006年06月16日

 高血圧の研究を行う際、より症状を顕著に発現させる遺伝子の研究も行われていました。その過程で偶然得られた突然変異によって、動脈硬化や骨粗鬆症、肺気腫など、人間の高齢者に特有の症状を示す老化モデルが得られています。その老化モデルとなったマウスの老化症状の原因を探った結果、これまで知られていなかったタンパク質が原因である事が発見され、ギリシア神話にちなんで「クロトー」と名付けられました。

 クロトーは、元々マウスの体内に存在しているタンパク質ですが、人間の体内にもクロトーを生成する遺伝子が存在することが判っています。老化モデルとなったマウスでは、このタンパク質を作り出す遺伝子が破壊されており、体内のクロトーが不足して早い時期から老化が進行している事が確認されています。

 クロトーが不足して老化が進行すると考えられる場合、逆にクロトーが過剰になるとどうなるのか、そう考えた研究者たちはクロトーの血液中濃度が通常の2倍になった状態で、マウスの寿命を調べました。その結果、マウスの寿命は20〜30%近くも寿命が延びていました。マウスの寿命は摂取するカロリーや酸素量で伸び縮みするが知られています。研究者たちはエサを食べる量や酸素消費量を測定して、寿命の延長がそうした要因によるものではなく、純粋にクロトーの量によるものである事を確認しています。

 現在判っているところでは、クロトーは細胞内へのインシュリンの取り込みに関わっていると見られています。インシュリンは血糖値を低下させる働きを持つホルモンですが、血糖値が上昇するとインスリン分泌され、細胞に糖を取り込むように指示を出します。この時インシュリンは細胞膜のインスリン受容体と結合し、細胞内にインシュリン信号が出されますが、このインシュリン信号が作用し過ぎると糖が過剰に細胞内に取り込まれ、細胞の老化が進行してしまいます。その際、クロトーが作用するとインシュリン信号の伝達が途中で遮られてしまい、老化を抑える働きをすると考えられます。インシュリンの作用を抑える事によって、体内の組織が比較的原始的な線虫から高度なマウスまで、様々な動物の寿命が延びる事は既に確認されています。クロトーに関しては作用するための受容体の発見をはじめ、まだまだ研究課題が多く残されていますが、期待されているような老化防止作用があるのであれば、それほど老化しないうちに実用化してほしいと思うのは私だけでしょうか。



第551回 起源諸説     2006年06月15日

 生命の起源については、かなりの謎を秘めた分野でもあり、高い関心が寄せられています。「私達はどこから来たのか?」、そういう問いかけをされると、否応なく興味がかきたてられてしまいます。生命の起源に関する謎は、19世紀中頃、細菌学者パスツールによって生物は自然発生しないことが示された事が、その後の生命誕生の仕組みを解明する事をより困難にしています。昔から言われる「虫が湧く」みたいに、どこからともなく発生するというのであれば、簡単に結論が得られているのかもしれません。

 かつて地球上に生命が誕生した事に関しては、「化学進化説」と呼ばれるものが最も有力とされ、海中で非常に単純な構造の無機物から複雑に結合した有機物が生まれ、この有機物どうしがさらに結合する事によって、大きくて複雑な有機物が形成されていったとする説です。1953年、シカゴ大学の大学院生ミラーによって、後に「ユーリー・ミラーの実験」と呼ばれるようになる当時としては画期的な実験が行われます。原始地球の大気に似せたメタン、水素、アンモニアの混合気体に原始地球上で頻発していたと思われる雷に当る放電を行ったところ、一週間でグリシン、アラニン、アスパラギン酸、バリンという四種のアミノ酸が生成している事が確認されています。当時、生物の体を構成しているアミノ酸が特殊な環境下とはいえ、いとも簡単に作り出された事は非常に驚くべき結果でした。

 その後、原始地球の大気はこの実験で想定した大気とは成分的に大きく異なり、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素を主体とする火山ガスに近い成分だった事が判り、古典的な生命誕生のメカニズムとされていた事には疑問が呈される事となります。それに代わって注目を集めるようになったのがパンスペルミア説と呼ばれるもので、地球の生命は宇宙からやってきたとする説です。1969年、隕石の中に微量ながらアミノ酸が含まれている事が発見され、誕生直後の地球には多数の隕石の落下があったと考えられる事から、隕石によって地球にアミノ酸がもたらされた可能性が高い事を示唆しているとしています。

 パンスペルミアという言葉は、今から2500年も前のギリシアの哲学者アナクサゴラスによって作られたもので、アナクサゴラスは地球上のあらゆる生物は宇宙を漂う命の種の組み合わせからできているとしていました。かつては生命に関連する物質が、過酷な宇宙空間を地球まで移動するのは不可能と考えられていましたが、最近の研究では火星程度の距離であれば、地球へは一年以内で到達する可能性がある事、細胞であっても、わずかに岩石の中に入り込んでいれば、確率は低いながら宇宙空間を一年にわたって旅をすることが可能である事が確認されたと言います。しかし、完全なパンスペルミア説、生命の起源が宇宙から来たという見方については否定的な意見が多く出されています。そのため、アミノ酸やRNAの元になった物質は宇宙から供給されたかもしれないが、それが生命となったのは地球環境においてという、中間的な立場に立つ説も出されています。

 最近有力視されるようになった説では、海底熱水噴出孔周辺で最初の生命が発生したというものがあります。海底熱水噴出孔は現在の地球にも存在していますが、海水は200気圧、水温は最高で400度にも達するという特殊な環境になっています。そうした環境下では、熱水鉱床と呼ばれる金、銀、銅、亜鉛などの金属鉱床が発達することが知られていますが、その中に黄鉄鋼と呼ばれる硫黄と鉄からできた鉱物があります。1988年に発表された「表面代謝説」によると、黄鉄鋼の表面では黄鉄鉱の触媒作用によってさまざまな化学反応がおきる事が判ってきています。無機物リン酸が重なり合ってDNAやRNAの原料であるアミノ酸の生成も確認されています。アメリカの微生物学者ウーズ博士によると、現存する地球上のすべての生物や核酸の配列をもとに、祖先、子孫の関係を調べた結果、すべての生物が一本の系統樹にのる事が示されています。現存するすべての生物の共通の祖先をコモノートと呼ぶことを日本人研究者の山岸博士が提唱しますが、コモノートは輪ゴムのように両端がつながった環状DNAに遺伝情報を持つ高熱性細菌であると考えられています。すべての生物の共通の祖先は熱い海の中で誕生した可能性があると言うことで、よりこの説に説得力が出てきています。諸説ありますが、いずれもそれなりの説得力があり、興味が尽きないものです。



第550回 睡眠は基本     2006年06月14日

 睡眠は健康の基本というか、代謝機能のことを考えると、あらゆる事の基本のように思えます。代謝が関わるとなると、当然ダイエットの基本でもあります。夜きちんと睡眠を摂る事で、体力的な回復がはかられるばかりでなく、加齢に伴う体重増加を抑える事ができるという研究結果が、サンディエゴで開催された米国胸部学会(ATS)国際会議で報告されました。米ケースウエスタンリザーブ大学医学部のパテル博士らによる研究で、明確な因果関係こそ示されていませんが、睡眠不足と体重増加との間に有意な関連性がみられると言います。

 今回の研究は6万8千人以上の女性を16年間追跡し、2年ごとに各自の体重と生活習慣について報告してもらった結果、睡眠時間が5時間の女性は、7時間の女性に比べ、約15キロ以上の大幅な体重増加が認められた率が32%も高く、肥満になった率は15%ほど高かったそうです。また、睡眠時間が6時間の女性は、7時間睡眠の女性よりも大幅な体重増加が12%も多く、肥満は6%多いという結果が得られています。

 パテル博士によると、「睡眠不足の人は概して健康に対する意識が低い事は確かだが、食生活の貧しさや運動不足など、いずれの因子についてもこの体重差の原因になっているという根拠はみられない」という事で、実際、毎日7時間以上睡眠をとる女性は5時間しかとらない女性よりも食事量が多く、運動の習慣については、両グループの間にほとんど差がみられなかったそうです。

 睡眠不足によって体のカロリー代謝効率が低下する事が考えられるほか、両グループ間の運動の方法や食事の傾向に実際には差があった可能性や、睡眠にあてる時間の少なさが、例えば子どもを持つというような大きな生活上の変化を反映している事も考えられ、子供の数が多いほど睡眠時間は少なくなり、雑事に追われてファストフードなど便利さ優先の食生活になりやすいと、今回の研究結果を肯定、否定する両方の要因が考えられます。また別の研究では、強いいびきや夜間覚醒などの睡眠障害が体重に影響している事も示唆されているので、やはり睡眠と体重は密接な関係がある事が想像できます。睡眠不足という大きなストレスを補うため、栄養素の補給を多めにする事も考えられるので、やはり睡眠はしっかり摂りたいものです。



第549回 サリドマイド再び     2006年06月13日

 サリドマイドは、かつては安全な睡眠薬として広く用いられていました。もともとは癲癇の症状を緩和する抗痙攣剤として開発されましたが、副作用も少なく、安心して使える睡眠薬として市販されています。日本でも大日本製薬が独自の製法を開発し、1958年には、「イソミン」の名称で市販が開始されていました。翌1959年から1961年にかけて独特の特徴を持った先天性欠損症が報告され、開発国のドイツでは、サリドマイド製品の回収が行われたにも関わらず、日本では継続して販売が行われた事も被害の拡大の一因となったと言われています。

 サリドマイドは分子の構造上、鏡に写したような左右が対象となった「鏡像異性体」と呼ばれる物が存在します。R体とS体と呼ばれるそれらの分子は、製造時には同量が混ざった「ラセミ体」と呼ばれる状態で合成され、開発当時は分離する事は非常に困難であったとされます。そのためラセミ体のまま発売される事となったのですが、後にR体は無害であるが、S体には非常に高い催奇性があり、高い頻度で胎児に異常を引き起こし、流産防止作用もある事が判明しました。R体のみを分離して服用しても比較的速やかに体内でS体に変化する事が確認されています。そのため、単純にR体が催眠作用のみを持ち、S体が催奇性だけを現すという当初の報告には近年疑問が持たれ、サリドマイドの安全性そのものが否定的に見られています。

 最近、そのサリドマイドが、骨髄腫の治療薬として米食品医薬品局(FDA)により承認されました。FDAは、1960年代当時、睡眠薬としてのサリドマイドの安全性には否定的な立場を採っていました。今回の承認でサリドマイドは、新たに多発性骨髄腫と診断された患者に使用することができるようになります。多発性骨髄腫は、感染症を防ぐ上で重要な役割を持つ骨髄細胞が侵される怖ろしい疾患で、サリドマイドは骨髄腫の標準的な化学療法で使われる「デキサメタゾン」と併用して用いられる事になるそうです。

 既にFDAは、1998年にハンセン病治療薬としてサリドマイドを承認しています。今回の承認が行われる以前にも、サリドマイドは多発性骨髄腫の治療にいわゆる「適応外」使用の形で広く処方されていました。FDAは現在、サリドマイドのラベル表示に先天性欠損症のリスクに関する厳重な警告を入れる事を義務付けています。また、サリドマイドとデキサメタゾンを併用する場合、骨髄腫患者の脚および肺の血栓症リスクに関する警告も表示される予定だとAP通信は報じていました。役に立つ薬かもしれませんが、あまりにイメージが悪く、サリドマイドという名前だけでもアレルギーが出そうなのは、薬害の見過ぎでしょうか。




第548回 スタチン論争     2006年06月12日

 コレステロールというと、いかにも健康を阻害するものとして悪者視されます。最近では善玉、悪玉の違いが言われるようにはなってきていますが、やはりコレステロールの一言は健康へのマイナス要因として感じられてしまいます。コレステロール値が一定のレベルを超えてしまうと、まず食事療法や運動療法が指導されますが、それでも改善が見られず、さらに数値が悪化した場合は、医師の処方によって薬剤の投与を受ける事となります。そうして医師によって処方されるコレステロール低下薬の中で、スタチン系コレステロール低下薬は、最も広く使われている薬剤の一つとなっています。最近、このスタチン系コレステロール低下薬をめぐって、その危険性が論議を呼んでいます。

 スタチン系コレステロール低下薬は、肝臓でのコレステロールの合成に関係する酵素の作用を阻害する事によって、コレステロールの生成を抑制する薬で、肝臓内のコレステロール量を減らし、血中にあるコレステロールが主成分のリポタンパクを肝臓内へ取り込む事を促します。それによって血中のコレステロール量を減らし、高コレステロール血症の治療を行い、体内からコレステロールを回収する働きを持つ善玉コレステロールを増やす効果もあります。

 本来、コレステロールは組織やホルモンを作るために必要な成分であり、コレステロールが不足する事は組織の強度が低下したり、免疫力が低下する事に繋がる可能性を持っています。心疾患のリスクを低減させるためには、コレステロール値を低いレベルに抑える事が必要とされますが、そのために高用量のスタチンを用いる事は、心不全、神経障害、ガンや筋肉組織が破壊される横紋筋変性などの副作用リスクを上昇させるという懸念がなされています。

 そうした懸念に対し、米国心臓病学会のニッセン会長は、副作用に関するデータ不足を指摘し、真っ向からスタチンの安全性について反論を行っています。しかし、カナダのブリティッシュコロンビア大学のサッター薬学部名誉教授は、スタチンの過度な使用は、肝臓、筋肉の他、脳機能へもダメージを与える可能性があると指摘し、予防目的のスタチン使用に否定的な発言を行い、スタチンが世界的に最も売れている薬剤である事から、商業的利害のために危険性が無視されている事にまで言及しています。どちらももっともらしい論戦ですが、過度に検査数値に反応し、安易に薬剤に頼る事には気を付けた方が良いように思えてしまいます。



第547回 新感覚?     2006年06月09日

 コンフィチュール、最近よく聞く言葉です。「コンフィチュールとは、フランス語でジャムの事」、そうした解説が添えられていますが、何か少し違う感じがします。ジャムと言われると、果物に砂糖を加えて、熱を加え、濃縮する事によって果物の水分を除きながら果物内に糖分を浸透させ、果物本来の酸とペクチンの力によってゼリー化させたものです。果物によっては、含まれるペクチンの量が少なかったり、酸味が弱い物があるので、ペクチンや酸を加えてバランスを整えたりもします。果物本来のフレーバーを生かした嗜好品であり、保存方法の一つでもあると考えられます。

 最近では、健康志向やダイエットなどの影響もあって、微糖など、糖分の含有量を抑えた製品も多く見られますが、素材の風味がよく味わえる半面、封を開けた後の日持ちが極端に短い事から、本来の目的の一つである「保存」の役目は果たせていない事が解り、日本の漬物に似た役割を持つというジャムの一面が伺えます。

 アメリカでのジャムの糖度は65度以上、ヨーロッパでは60度以上とされています。それに対し、日本では昭和63年のJAS法改正以降、ジャムの糖度は40度以上と、かなり低めに設定されています。ジャムの糖度を減らした低糖度ジャムにするという事は、常温流通が行われる商品である事を考えると、大量生産、大量仕入れ、大量在庫といった大型の販売手法上では、保存料や着色料の力を借りなければ難しくなってきます。ジャムの美味しさを甘さに求めるか、ベースとなる果物の味に求めるかというジャムその物への考え方の違いと、流通や販売の事情、ジャムという食文化への伝統、少容量の商品を早めに使い切るという消費スタイルの違いなどが関係してくるのではないでしょうか。

 そうして低糖度ジャムの土壌ができあがっていた事も、最近のコンフィチュール流行の要因の一つではと思っています。実際、ジャムと同じとしながらもコンフィチュールと銘打った物は、季節の果物に野菜やワイン、ハーブやスパイスなどが加えられ、比較的サラサラした新たな感覚のソースといった感じに仕上げられた物が多い印象があります。そのまま肉料理などに使われるところも、従来のジャムとの大きな違いではないかと思います。本来は同じ物なのかもしれませんが、違った接し方で新たな食文化が形成されればと期待しています。



第546回 ディーゼル懸念     2006年06月08日

 先日、BDF(バイオディーゼル燃料)に関する話題を取り上げました。BDFを燃料とする事ができるディーゼル機関は、今から100年以上も前、1892年にドイツの技術者ルドルフ・ディーゼルによって発明され、翌年には特許が取得されています。現在主流となっているガソリンエンジンと比べると、燃料を安価な軽油にできる事や燃焼効率が良いなどの多くのメリットを持っています。しかし、エンジン自体の強度が要求されるために、装置自体が大掛かりになってしまう事や、圧縮して高温になった空気に燃料を吹き込んで発火させるため、混合気が均一とならないので、黒煙や炭化水素、窒素酸化物、一酸化炭素といった環境へのデメリットも持つ事から、最近では悪者視されるようになってきています。

 特に不完全燃焼が起こった際の黒煙の毒性については、アレルギーの症状を悪化させる可能性があるとして、大都市圏から締め出しすら行われています。そんなディーゼル機関の出す排ガスに関して、新たな毒性の懸念が示唆されていました。ディーゼル機関が出す排ガスにさらされる事によって、胎児に影響が及び、自閉症を発症する可能性が疑われています。

 ディーゼル機関の排ガスを妊娠中のマウスに吸わせると、生まれた子供の小脳の神経細胞「プルキンエ細胞」が消失して少なくなる事が、栃木臨床病理研究所と東京理科大の研究グループによって明らかにされています。自閉症では小脳にプルキンエ細胞の減少が見られるとの報告もあるため、ディーゼル機関の排ガスが自閉症の発症につながる可能性を示す初めての研究でもあります。研究グループは、大都市の重汚染地域の2倍の濃度にあたる1立方メートル当たり0.3ミリグラムの濃度のディーゼル排ガスを使い、細胞の自殺とされる「アポトーシス」と呼ばれる状態になったプルキンエ細胞の割合が、ディーゼル排ガスを浴びた親マウスから生まれた子マウスが57.5%だったのに対し、きれいな空気の下で生まれた子マウスは2.4%だったという結果を得ています。また、雄は雌に比べ、この割合が高かった事も、人間の自閉症発症率は男性が女性より高い傾向がある事を裏付け、プルキンエ細胞の数自体も、排ガスを浴びたマウスから生まれた子マウスに比べ、きれいな空気下で生まれた子マウスは約1.7倍と多かったという結果が得られています。

 研究に当たった菅又昌雄栃木臨床病理研究所長は「プルキンエ細胞の消失などは、精神神経疾患につながる可能性がある。ヒトはマウスに比べ胎盤にある“フィルター”の数が少ないため、ディーゼル排ガスの影響を受けやすいと考えられる。現在、防御方法を研究中だ」と話しているそうで、ディーゼル機関への大きな逆風となる事が考えられます。自閉症に関しては、水銀の弊害を疑う説もあり、実際、体内の水銀を除去するキレート療法が効果を上げているとされており、複合的な原因が存在する可能性を感じます。経済性やエコ、毒性などさまざまな要素が複雑に絡む問題ではありますが、早急な研究と対策を期待したいと思います。



第545回 反撃、ミルクチョコ     2006年06月07日

 チョコレート、特に原料となっているカカオの健康効果が話題になって以来、カカオ分を増強した製品が目立つようになりました。中にはカカオ分99%という高含有率の製品もあり、既にお菓子の範疇をはみ出してしまった感じすらしています。パッケージや形こそ従来のチョコですが、苦味と渋味が強く、一度に一枚全部を食べてしまう人がいるのか、食べてしまった場合の身体への負担など、さまざまな事が心配になってしまいます。本来はお菓子であった事を考えると、ある程度ミルクによる乳脂肪分がしっかりしている物の方が、美味しく正しいチョコのような気がします。

 効能という点からはカカオ分が多いビターチョコレートの方が有効性が高い感じですが、最近の研究で脳の機能を高め、記憶力を向上させるにはミルクチョコレートの方が優れている事が、米国ウィーリング・ジェスイット大学の研究チームによって明らかにされていました。チョコ好きとしては、非常に嬉しい研究結果です。

 今回の研究では、参加者にコンピューターを使った検査を行ってもらい、記憶力や反応速度、注意力の持続性、問題解決能力などのテストが4回にわたって繰り返し行われました。参加者には、3回のテストの15分前にミルクチョコレート、ダークチョコレート、カカオの代わりの食品としてイナゴマメを食べてもらい、1回は何も食べずに臨んでもらっています。その結果、ミルクチョコを食べた後のテストでは、言語、視覚の記憶を示す結果がかなり高くなることが判明し、反応の速さはミルクチョコ、ダークチョコを食べた場合に向上することが分かったそうです。

 研究チームを率いるローデンブッシュ博士は、チョコレートにはカフェインをはじめ、テオブロミン、フェネチルアミンなど、覚せい効果のある成分が含まれることが知られているとした上で、「われわれの研究では、実際にチョコレートを食べることによって注意力や集中力などに効果が現れ、頭の働きがよくなることが立証された」と話しています。チョコレートは、油分と水分が繊維分の媒介によって共存しています。それを助けているのがレシチンで、やはり脳の働きに役立つものです。最近では、GABA(γ−アミノ酪酸)の抗ストレス作用も話題になっています。そうした成分たちの相乗効果が、記憶をはじめとする脳の機能向上に役立っているのかもしれません。チョコ好きとしては、嬉しい限りです。



第544回 代替危惧?(その2)     2006年06月06日

 BDF(バイオディーゼル燃料)は、家庭でもある程度の知識があれば、そう難しくなく作る事ができます。水酸化ナトリウムの入手と扱いが面倒というのはありますが、身分証明と印鑑を片手に薬局へ行けば普通に購入でき、ついでに無水アルコールを買ってくれば、後は使い古しの天ぷら油だけで材料は揃います。無ければちょっともったいない感じはしますが、新しい油を買ってくれば充分で、設備的には、ある程度反応速度を速めるために50℃くらいの一定温度に保つ必要があるので、大きめの鍋を使い、水分と油分を分液する必要があるので、ポリ缶などがあれば事足ります。

 ほとんど身の回り品だけでも作り出す事ができますが、よく考えてみると鍋の容量が5リットルと仮定すると、30リットル車の燃料タンクを満タンにするには6回も作業を行う必要があり、作業に要する手間、光熱費、主原料の油が家庭から廃油ではまかないきれない事から、新しい油を購入した場合の油の購入費などを考えると、ガソリンスタンドで軽油を購入した方が安上がりになってしまいます。

 そのため家庭での製造には現実味が感じられなくなってしまうのですが、大規模な事業として取り組めば、各工程の効率化や材料の購入費の低下などで合理化を図る事ができます。実際、販売を目的としてBDFの製造を行っている事業所も出てきています。そうした事業所で聞かされえる事は、原材料となる食廃油の確保が困難という事です。30リットルの給油を行う車が一日に10台来たと考えると、一日の必要量が300リットル、一月では9000リットルのBDFが必要となり、原料の食廃油もロス分を考慮に入れると10000リットル近い量が必要と考えられます。それだけの量を安定的に確保するとなると、提携する食廃油の供給元もそれなりの数が必要になります。

 供給元が多岐にわたると、供給される油の内容も複雑になり、水分や酸化率、塩分をはじめとした雑多な成分も含有量に大きなばらつきが出てしまいます。そのため、前処理に有する手間が多くなり、製造コストの上昇や品質の均一性がとれなくなる可能性も浮上してきます。その点を考慮した動きが、食用として搾油した菜種油の二番、三番搾りを使うプロジェクトとして稼動しています。米を精米すると糠が残されますが、糠にも油分が多く含まれ、有望な油脂原料とする事が考えられます。廃棄物である食廃油を使う事は、環境問題という点では重要な事ではありますが、視点を少し広げて広範囲に安価で安定した供給元を確保し、化石燃料に依存しない燃料の確保として根付いてほしいものです。



第543回 代替危惧?(その1)     2006年06月05日

 最近、原油の高騰を受けて、ガソリンの店頭価格が上がってきています。ガソリンは車を動かす上で必要不可欠な物であり、我々の食事のように一食抜く、量を減らして辛抱するなどができない事から、生活に限らずさまざまな面での影響が懸念される事でもいあります。そんなガソリンの高騰を受けて、代替燃料への期待が高まってきています。環境への負担が少ないと言われる燃料電池や水素燃料、従来のエンジンに自家発電機能と電動モーターを組み込んだハイブリッド車など、新たなテクノロジーに基づいた技術が次々と現実の物となってきています。

 そんな技術の中で、一見地味ですがすぐにでも取り組めそうなものとして、BDF(バイオディーゼル燃料)の存在があります。BDFはその名の通りディーゼルエンジン用の代替燃料なのですが、従来のディーゼル燃料よりも燃焼させた際に発生する有害な窒素酸化物の量が少なく、原料が産業廃棄物でもある食用として使用した天ぷら油などの食廃油という利点を持っています。

 BDFは食廃油と水酸化ナトリウム、アルコール、これだけで作られているのですが、どことなくこの原料は手作り石けんに似ています。BDFはアルコールに水酸化ナトリウムを溶かした「メトキサイト」と呼ばれる物を触媒にしてエステル反応を起こし、食廃油を燃料とできる状態にします。石けんは水酸化ナトリウムを水に溶かした物を使って、油脂を「鹸化」という反応を起こし、作られています。両者の違いは水分の存在で、BDFも事前にしっかり食廃油の水抜きをしておかないと、石けんになってしまうと言われます。

 メトキサイトは大きな腐食性が持ち、取り扱いが危険である事や、食廃油はさまざまな調理に使われている事から、内部に水分をはじめ、多くの雑多な成分を含んでいるので、できあがりの均一性に欠ける事、実際に使用して路上を走るには、陸運局で使用燃料に関する登録の変更を行う必要がある事など、一般的な普及には障害となる事が多く、家庭で使用する分を用意するという事は、程遠い事と思われます。廃棄物を使い、燃焼効率が良くてパワーも上がり、しかも特有の黒煙も減らせるという利点を多く持つ燃料ではあるので、このまま埋もれない事を願っています。排気ガスから使い古した天ぷら油の臭いがする事も普及を妨げる障害の一つでしょうか。



第542回 争奪戦?     2006年06月02日

 シカゴ市場の先物取引で大豆が急騰・・・それが大豆に対する危機感を持つ最初のきっかけとなりました。大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価に富み、味噌、しょうゆ、豆腐といった身近な食品の素材でもあります。最近では大豆に含まれるレシチンやイソフラボンなどの健康効果が話題となり、一般食品の枠を超えた需要へと繋がっています。また、レシチンには界面活性作用があり、食品由来の安全な水と油を混ぜ合わせる添加物としても利用され、業務用に使われる白絞油も大豆由来の油である事から、いかに大豆が直接食べる以外にも重要な原料であるかは容易に想像する事ができます。

 世界的に大豆が高騰する背景には、急激な経済発展を遂げる中国があるとされ、13億人の食をまかなうため、世界の生産量の40%近くを買い占めるに至ったと言われています。経済的に豊かになった事で食の内容も変化し、肉の消費量が上がった事で、飼料として直接食するより多くの量を消費する事に繋がり、今後も穀物消費量は増大を続けると考えられ、工業製品の輸出量が増えた事で海上輸送の運賃が高騰している事も高騰に追風となっています。

 そうして相場が大きく動き、それをビジネスチャンスとして捉える穀物メジャーの動きが加わり、大豆増産の新拠点としてアマゾンの熱帯域がターゲットにされています。この10年でアマゾンを抱えるブラジルの大豆輸出量は増加の一途をたどり、今年ついに世界一を占めていた米国の輸出量を超え、世界一の輸出国となると見られています。急激に輸出量が増大する一方、強引とも言える作付けが行われている事から、伐採による熱帯雨林の消失は一昨年だけでも東京都の12倍の面積に相当したと言われ、いずれ深刻な事態へと繋がる事が懸念されます。

 日本では、「国産丸大豆使用」という記載のされた商品を多く見かけますが、大豆の実に97%は輸入に頼っている事から、実際に使用されている量には疑問が生じてしまいます。まずは量ありきという事で、遺伝子組み換え大豆の横行や、発展途上国へのしわ寄せなど、大豆をめぐる争奪戦にはさまざまな心配が付きまとい、これからも目が離せない問題だと思っています。



第541回 高級化進行中     2006年06月01日

 熊本は東にそびえる阿蘇と良質な漁港である牛深を抱え、海と山に恵まれた土地柄と言われていました。牛深で獲れる魚は首都圏をはじめ全国へ送られ、特に鰯は最盛期には無料配布されて豊かな漁港である牛深のイメージ作りに貢献していました。牛深に限らず鰯の漁獲高は高く、食用以外にも肥料や飼料をはじめ、さまざまな加工品に使われてきていました。そんな鰯の漁獲量が激減してきています。このままでは、下魚とさえ言われてきた鰯が、高級魚となる日も遠くないと考えられています。

 最近、東京の築地市場では20cmを超える大振りの鰯の値段が、1キロ5000円を超える日が続出し、都内の百貨店では1尾あたり1000円程度の値段が付けられる事も珍しくないと言います。最高値が付いた日には、1キロが5775円を記録したそうで、その日の高級魚、天然真鯛の活魚の値段が1キロ7665円、天然ヒラメが3675円であったと言いますから、すでに高級魚の域に達しています。

 鰯の漁獲量の減少は、ピークを迎えた昭和63年を境に始まり、年々留まる事なく続いています。地球温暖化の影響が第一に考えられますが、実際にはそれだけでは説明できない部分が多いと言います。捕鯨の禁止によってクジラの個体数が増え過ぎた事に原因を求める意見もありますが、クジラが好んで食べるカタクチイワシは増加傾向にあると言われるので、クジラは関係ないと思われます。

 鰯の漁獲量は、前年の冬に生後1年の小さい鰯の量で推測を行うそうですが、鰯の漁獲量がピークを迎えた昭和63年の小鰯の数は記録的に少なかったそうで、鰯の生態と漁獲量との間に深い関わりが感じられます。一時期増え過ぎた事に対し本能的に分布域を広げすぎた事や、成長を遅くした事、それに気圧配置による親潮の偏重も考えられます。また、これまで多く獲られてきた事で、鰯を利用するラインは確立されていますが、鰯の漁獲量と反比例の関係にある鯵を利用するラインが整っていない事も、漁業資源の減少感を助長させ、高値の原因の一つになっているとも言われます。鰯の豊漁、不漁は周期的なものとも言われ、本格的な回復は2020年以降という意見もあります。まだまだ高級魚でい続けるのかもしれません。



 

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