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第622回 選択材料     2006年09月29日

 多くの消費者が不安を感じ、さまざまなアンケートによっても反対の声が大勢を占めているにも関わらず、米国産牛肉の輸入は再開されました。BSE検査の実施や検査そのものへの疑問、管理体制への不安など、安心安全と確信するには程遠い状態にあるのではないかと考えられます。「消費者がどう判断するかだ」という乱暴な自己責任論が強調されていましたが、それは充分な判断材料が与えられた後の事ではないかと思います。

 最近、小売店では生鮮品の生肉に関して、原産地表示の義務化がはじまっていますが、除外品に関するルールなど不明確な部分が多く、不安を拭いきれるものではありません。加工品や外食産業は原産地表示の義務はなく、一部の加工品には表示の義務が課せられますが、「加工度の低い生鮮品に近い加工品」という非常に解りにくい基準になっています。焼肉用にタレをからめた肉や「牛タタキ」は表示の対象となりますが、牛タタキでもタレをからめた物や牛タタキに似ているローストビーフは表示対象外となります。

 牛肉の加工品としては「コンビーフ」も対象外となり、合いびき肉も豚肉の比率が50%を超えれば豚肉の原産地を表示する必要は出ますが、牛肉の原産地を表示する必要はなくなります。また、パックなどの容器包装販売品に限られるので、裸売りすれば対象外となり、容器包装販売の場合でも店舗内で加工したものは表示対象外となってしまいます。

 米国産牛肉が店頭に並び、消費者がそれを購入しなかったとします。売れ残った肉を店主がひき肉にすれば、店内加工品として表示の対象から外れる事になり、加熱して惣菜の具にしてしまっても原産地表示なしで販売する事ができてしまいます。これでは「消費者が判断」というには程遠い状態にあり、「トレーサビリティー法」の観点から個体識別管理が厳しい国産と偽って表示する事は難しくても、対象外であるオーストラリア産と表示する事は明らかな違法ですが、発覚しにくく不可能な事ではありません。知らないうちに購入させられてしまう、そうした流通によって販売数量が安定的多数に上る事から、安全と思わされてしまう、そのような事態だけは避けたいと思っています。

 



第621回 発ガン新説     2006年09月28日

 物事の原因を的確に捉える事は、的確な対処に欠かせない事です。その意味では、発ガンのメカニズムを正確に解明する事が、ガンの治療法開発の重要な位置を占めるという考え方もできます。これまでガンは突然起こった遺伝子の変異が積み重なって、ガン細胞が発生、増殖して起こると考えられてきました。半ば定説化しているこの考え方に新たな発症メカニズムが解明されてきています。

 これまでガンは遺伝子の突然変異が積み重なって起きるとされてきましたが、突然変異が積み重なる以前に、細胞内のタンパク質が損傷することで、細胞がガンとしての特有の性質を持つようになるとする新たな説を、京都大学原子炉実験所の渡辺正己博士らがまとめています。

 ガン細胞は死なずに無限に増殖するという特徴を持っています。ガンが発生する原因を遺伝子の変異と考えた場合、突然変異が起こる頻度と細胞がガン細胞の特徴である「不死化」する頻度は比例する関係にあるずだなのですが、必ずしも両者の頻度は一致しない場合が多いとされます。細胞に放射線を当てて実験した結果、細胞が不死化する頻度は、遺伝子変異が起こる頻度より500〜1000倍も高く、明らかな頻度の不一致が見られたそうです。

 紫外線や放射線などさまざまな要因で細胞内にできる有害物質、活性酸素が主にタンパク質を傷つける原因として考えられています。今回、渡辺教授らは、寿命の長いタイプの活性酸素を培養細胞から化学的に除去するという実験を行い、細胞が不死化する頻度が減る事を確認し、活性酸素とタンパク質の障害、それによる細胞の不死化に関連が示唆される事を確認しています。渡辺教授は「ガンの大半は、染色体に関わるタンパク質が傷付き、染色体が異常化して細胞分裂が正常に行えない細胞から生まれると考えた方が矛盾がない」と話しています。これまでは突然変異という事で納得していましたが、より正確なメカニズムが判る事で新たな予防、治療法の確立に繋がる事と期待したいと思っています。

 



第620回 ナノの手軽な検査     2006年09月27日

 繊維業界の不況はこの数年継続したニュースとして聞かされていますが、逆に繊維業界の進んだ技術に関するニュースも定期的に耳にする事でもあります。中には応用のイメージすら湧かないような進んだ特許もあるという事で、これからも驚かされるような新技術が開発され続ける事と思っています。そんな繊維業界からまた新たな技術が開発されていました。

 細菌やウィルスは培養を行い、その存在を検出するのが一般的な検査方法ですが、危険な細菌やウィルスの存在を簡単に検出するハイテクナプキンが開発を進められています。このハイテクナプキンは、さまざまな種類の生体有害物質に対応した抗体をナノ繊維に含ませ、それを織り込む事で一拭きするだけで病原体の存在を検出する仕組みになっているそうです。

 このナプキンが実用化されれば、病院や食肉加工場、レストランの厨房や大量輸送機関などの汚染されやすい場所で、誰でも簡単に病原体の検査ができるようになります。同時に拭き取りもできる事から、日常的な清掃を行いながら安全面も大いに高める事ができるようになるという訳です。

 現段階でもかなりの低コストでできるという事なので、現在使われているウェットティッシュのような利用法ができれば、広範囲な利用法が考えられます。排水を減らしたり、より汚染の少ない状態で排出するには、洗浄の前に拭き取る事と言われます。その際に病原体が検出できたり、もっと身近なところでは、調理の合間に手を拭いたりしただけで病原体が検出でき、病原体が検出された場合は、再度洗浄をした後に検査するといった使い方ができます。今のところ、病原体の特定には、別途手順を踏む必要があるそうですが、将来的には繊維の色の変化などで即座に病原体の特定ができるようにするとの事で、実現に数年を要すると見られています。期待したい技術の一つとなっています。

 



第619回 海藻ダイエット     2006年09月26日

 海藻類は海のミネラルが凝縮されている上、食物繊維も豊富で、乾燥物などの塩分に気を付ければ、ダイエットに良い食材といえます。さらに最近ではフコイダンなどの効能が広く知られるようになり、健康に良い食材としても認知されてきています。脂質が少なく、含まれている脂質も不飽和脂肪酸が多い事からも、健康に良い食材である事は明らかなのかもしれません。

 そんな海藻類の中で、これまで特に注目を集めてきていたのは、昆布やモズク、海苔などでしたが、もっと一般的に食べれらているワカメにも、美味しさだけではなく身体に良い働きがある事が判ってきました。最近では日本に限らず欧米でもワカメは食べられるようになってきているそうですが、さらにワカメの普及が進みそうです。

 北海道大学大学院水産科学研究院教授の宮下和夫氏を中心とした研究によると、ワカメには余分な脂肪を燃焼させる働きのある事が判ったそうです。ワカメに含まれる褐色の色素フコキサンチンによって腹部脂肪が縮小し、体重が5〜10%減少する可能性が突き止められたというもので、腹部の白色脂肪組織に含まれ、脂肪を酸化させてエネルギーの熱への変換を促すタンパク質を、フコキサンチンが刺激している事が関係しているのではと考えられています。また、フコキサンチンには、オメガー3系の脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)の産生を促す働きがある事も判ったそうで、DHAはアテローム性動脈硬化症の一因となるLDL(悪玉コレステロール)を減少させる働きがある事でも知られています。

 今回の研究は動物を用いた予備段階のもので、そのまま人に当てはめる事はできないという専門家の指摘もあり、フコキサンチンが体重減少に役立つ可能性があるといっても、これは体重管理に関する数ある研究の一つにすぎず、正しい食品の選択、適正な食事量、定期的な運動など、これまでしてきたことを止めるべきではないとしています。研究グループは、フコキサンチンを含む錠剤の開発を目指してさらに研究を続ける意向と伝えられ、人を対象とした研究も計画されているそうですが、フコキサンチンによる抗肥満薬が市販されるまでには少なくとも5年くらいはかかる事が考えられ、それまではバランスのよい食事と十分な運動を心がける必要があるという事です。ワカメをしっかり食べて、ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂っておけば、フコキサンチンの錠剤が発売される頃には、必要なくなっているかもしれません。

 



第618回 依存性解明     2006年09月25日

 天ぷら、フライ、霜降り肉。高カロリーな油脂を含む料理は、なぜか美味しく感じてしまいます。カロリーが気になるので、あまり食べ過ぎてはと思うのですが、つい美味しくて食べる量が増えてしまう、そんな事はありませんか。進化の過程を考えると少量で高いエネルギー価を得られる油脂を含む食材に出会う事は稀なため、それを求める傾向にあるというのは納得がいく事だと思います。

 油脂を単体で味わってみると、それほど美味しいとは感じないのですが、料理に含まれる事でコクが増し、より美味しくしてくれる事は確実なのですが、それ以上に油脂を求めてしまうのには、特別な理由がある事が判ってきました。それによると油脂には依存性がある事さえ考えられてきます。

 京都大大学院農学研究科の伏木亨教授らの研究グループによると、高カロリーの油脂を多く含む食べ物がやめられない原因として、摂取直後に大量の脳内麻薬が分泌され、快感を感じる仕組みがある事が判ったそうです。食事などの際、脳内で「β−エンドルフィン」と呼ばれるホルモン物質が分泌される事で快感が感じられますが、同様に油脂を摂取する事で、この脳内麻薬の一種が麻薬として知られたモルヒネと同様の作用を持つとされます。

 今回の研究は、油脂類とエンドルフィンの関係に注目したもので、生後9週目の雄ラットに4時間前から水やエサを投与しない状態で、濃度5%のコーン油を5日間与えたところ、油の摂取量は日ごとに増加し、5日目には初日の約2倍を取る依存性がある事が分かりました。エンドルフィンの前段階の物質について、油の摂取前後の体内での変化量を比較したところ、摂取後は最大で約1.7倍になり、5日間油を飲ませ続けたラットに、油の飲み口を近づけると、前段階物質は全く飲ませない状態の約2.5倍になったそうです。摂取できると期待しただけでも、分泌が盛んになる予兆がある事が判明した事で、依存性の高さも確認できます。同じようなメカニズムに繋がる低カロリーの油脂が見つかれば、満足感の高いダイエット食を開発できる事にもなります。研究の新たな展開に期待したいと思います。

 



第617回 恵みの秋の注意事項     2006年09月22日

 秋は収穫の時期という事もあり、たくさんの美味しい食材に恵まれる時期でもあります。最近は人工栽培も盛んになったので、キノコを見てもあまり旬を意識する事はなくなってきましたが、栽培されていない種類のキノコとなると、この秋の時期に収穫されるものが多くなってきて、恵みの秋という言葉を意識してしまいます。

 最近は山登りをする人も増えてきたとの事なので、野生のキノコを見かける機会も増えてきたのではと思いますが、素人目にキノコを判断するのは怖い気がして、今一つ手が伸びない気がしています。慣れ親しんだキノコでも安心できない事例として、一昨年以降、スギヒラタケによる原因不明の脳症で死者が出てしまった事が記憶に新しい事となっています。

 スギヒラタケはそれまで無毒なキノコとして親しまれ、自生するものを収穫しては食材とされてきました。それがスギヒラタケが原因と見られる中毒症状によって死亡した人が出て、元々スギヒラタケに毒性があったのか、環境などの変化によって毒性を持つようになったのかを含め、原因となる成分の検出や脳症を起こすメカニズムなど、さまざまな観点から研究が行われています。共通するのは、急性脳症を起こした人は腎障害を持っていたという事で、腎臓の機能と毒性との関連性がキーワードとなる事が考えられています。

 最近の研究によるとスギヒラタケに筋肉の細胞を壊す毒性がある可能性が示唆されており、筋肉細胞の破壊は腎不全や脳症との関連性もある事から、毒性解明に繋がるのではと期待されています。筋肉の細胞が破壊されると、細胞内から流れ出た成分が腎臓に負担をかけ、腎不全を併発する事が多く、腎臓の機能が低下すると毒素の代謝ができない事から脳症を起こす可能性が高くなってしまいます。フランスやポーランドでは、野生のキノコでスギヒラタケと同じキシメジ科に属する「キシメジ」の毒素によって、筋細胞が融解する「横紋筋融解症」を起こし、死亡した例が実際に報告されています。一昨年、去年とスギヒラタケからは毒性が報告されています。今年も避けた方がよいのかもしれません。
 



第616回 削った効果     2006年09月21日

 恥ずかしい話ですが、結構大きくなるまで「とろろ昆布」は、そういう種類の昆布が存在すると思っていました。色合いと質感の違いから、全くの別物と思い込んだ事が原因ですが、昆布を実際に削る場面を見せられ、鉋が往復する度に見慣れたとろろ昆布ができてくるところを確認し、変に納得してしまった事を思い出します。

 昆布が初めて日本の文献に出てくるのは「続日本紀」で、記載されている事によると、当時から既に献上品として納められていた事が伺えます。その後、室町時代になると乾燥技術が大幅に発達し、長期にわたって保存する事が可能となったので、経済の中心であった大阪をはじめ、さまざまな港町へと陸揚げされるになり、江戸時代に蝦夷(当時の北海道)の開発が進むと出荷量が増加し、全国へ急速に広まっていきました。

 そんな昆布の加工品の一つとしてとろろ昆布は作られ、マコンブやリシリコンブといった肉厚のコンブを酢に漬け込んで柔らかくし、薄く削る事で独特の食感と風味を出しています。薄く削る事で昆布の組織が壊される事から、内容成分が出やすく、昆布の旨味を加工していない昆布の状態よりも出してくれるので、薬味のような使い方ができる事も特徴の一つとなっています。

 美味しさだけに限らず、とろろ昆布は健康面でも優れた働きを持っている事が知られるようになってきています。薄く削るという事で、昆布の細胞が細かく切断されるので、水溶性食物繊維として吸収が良く、血液中の中性脂肪の値を低く抑える事ができるというのです。実験でもそれは明らかにされており、「水」、「昆布の粉末」、「とろろ昆布」をそれぞれ与えると、水だけを与えた際の血中中性脂肪の総量に比べ、昆布の粉末を与えたグループでは半分に低下し、とろろ昆布を与えたグループでは3分の1にまで下がったそうです。昆布によって血液中の中性脂肪やコレステロール値が下がる事は以前より知られていましたが、とろろ昆布はその効果をより大きくしていると言えます。薄く削った事に合わせ、前処理として酢に漬け込んだ事も硬い細胞壁を柔らかくし、吸収しやすい状態にしている事などが考えられ、とろろ昆布の健康効果をより大きくしていると考えられます。身近な食材でもあるので、健康メニューに取り入れたいと思ってしまいました。

 



第615回 柔らかい塊の危機     2006年09月20日

 アマルガム・・・水銀と他の金属との合金の総称で、金属を加工しやすくする事から、古くからさまざまな事に使われてきました。広義では混合物を指す言葉で、ギリシャ語の「やわらかい塊」という意味を持つ言葉を語源としています。水銀は他の金属とくっつき、合金を作りやすい性質があるため、原始的な金の採取方法として使われてきましたが、1826年のフランスで歯科治療用の修復材として利用する方法が考案されて以降、虫歯の治療を通して広く接する事となっています。

 現在使われている歯科修復材は銀スズアマルガムと呼ばれるもので、銀と鈴の合金に銅や亜鉛を添加した粉末を水銀で練ったものが使われています。歯は金属ではないので銀スズアマルガムと歯質の接着性はありませんが、固まる際に膨張する性質があるので、患部を塞ぎ抜け落ちない形状になる利便性と、価格が安価であるという優れた面を持っているため、見た目が歯とはまるで異なる光沢のない暗い銀色にも関わらず、歯科治療では欠かせない素材となっています。

 健康保険の適用素材でもある事から、一般的に用いられる補修材として過去に虫歯などの治療を行い、その部分に銀色の詰め物がある場合は、ほぼ間違いなく銀スズアマルガムが使用されていると考えられます。以前から歯科用アマルガムの安全性には疑問視する声があり、唾液が電解液として作用する事や、食材の酸やアルカリにさらされる事もアマルガムの中に50%近くも含まれている水銀の溶出を懸念させる事に繋がっています。

 先日、FDA(米国食品医薬品局)の諮問委員会は、水銀を含有するアマルガム歯科充填材を安全とする政府の報告書に対し、2度の投票の結果として安全性否認の勧告を提出していました。最近では樹脂複合材を用いる事が増えてきているそうですが、奥歯にかかる高い圧力を考えると、アマルガム充填材の方が優れているという意見もあり、追跡調査でもアマルガム充填材をもちいた小児と複合材を用いた小児の間では、IQ、記憶力、注意力、腎機能などに明確な差は認められないとされていて、判断に迷うところが大きくあります。疑わしきは...という考え方もありますが、アマルガムを使用しなくなる事は、歯科治療のコストを大幅に上昇させるという見方もあり、歯科治療を受けにくくなる事で、咀嚼力に問題が生じると身体全体の健康にも影響が出る可能性もあります。健康に直結する問題でもあるので、今後の経過を見守りたいと思っています。

 



第614回 基本の解明     2006年09月19日

 高タンパク質低脂肪、ダイエット食の基本として定着しています。身体はタンパク質、脂質、糖質の3大栄養素を使っていますが、その中で糖質と脂質の比率が増え、タンパク質を含めた摂取バランスが崩れる事で円滑な代謝ができなくなり、栄養の蓄積が過剰になる事を是正するという意味でも良質なタンパク質は必要だと思われます。

 一時期注目を集めた低炭水化物ダイエットも、注意深く見てみれば本質的には高タンパク質ダイエットであるという事ができます。脂肪の蓄積に繋がるブドウ糖の生成を、直接的な原料となる炭水化物(糖質)を摂取しない事で防ぐのですが、ブドウ糖は脳や赤血球といった重要な器官の活動に必要なエネルギー源でもあるため、必要なブドウ糖は肝臓でアミノ酸から作ってもらう。そのアミノ酸の素が良質なタンパク質という理論展開になっています。

 最近、更にそのタンパク質にダイエットに繋がる働きがある事が判ってきています。以前からペプチドYY(PYY)と呼ばれるタンパク質が飢餓抑制ホルモンの働きを増大させる事が知られ、PYYを注射する事で食物の摂取量が抑制できる事は知られていました。最近、新たに判ってきた事は、摂取するタンパク質の量を増やす事で、PYYの産生が促され、空腹感も大幅に抑えられるというのです。

 実験では高タンパク食によってPYYレベルが増え、摂取するカロリーが減少し、通常食よりも体重増加が抑えられた事。PYYの産生を抑制すると肥満化する傾向が顕著となり、PYYを投与する事で体重減少が見られたそうです。この結果を受けてPYYの欠乏が肥満の原因となり、PYY産生を促すタンパク質の摂取が高タンパク食の有効性に繋がっていた事が確認された事になります。単純にタンパク質のみを高比率で摂取するという事だけでは、良好なダイエット結果を得られるとは考えにくい部分もありますが、有効なダイエット手法の開発に繋がる研究結果ではないかと思い、少々タンパク質不足を反省しています。

 



第613回 遺伝子治療成功?     2006年09月15日

 子供の頃の話ですが、大人になる頃にはガンは治療法の発達によって、盲腸などのように大して怖くない病気となっているだろうと聞かされていました。しかし、実際はどうでしょう。現在、ガンは死亡原因のトップとなり、ガンは相変わらず怖い病気として認識され続けています。その間、休む事なく、多くの治療法が開発されてきてはいますが、いまだ決定的なものが得られていません。

 ガンの治療に関しては、さまざまな角度からのアプローチが行われ、遺伝子治療もその一つとして期待されています。その遺伝子治療が実際に成果を上げつつあります。メラノーマ(黒色腫)の患者2人に18ヶ月にわたって充分な効果が見られたという報告が行われています。遺伝子治療によって実際にガンが食い止められた実績としては、これが最初のものとなります。

 今回の研究は、米国立ガン研究所のローゼンバーグ博士を中心とした研究チームによるもので、ガンなどの異質な細胞を検知し破壊する働きをもつTリンパ球と呼ばれる白血球の能力を高める事に焦点を当てたものとされ、研究グループは進行した転移性メラノーマ患者17人から正常なTリンパ細胞を採取し、遺伝子操作によってメラノーマ細胞の認識を助ける受容体を持たせ、その後、それぞれの患者の血液中に戻しました。その結果、17人中2人がすぐに治療効果が見られ、1年以上経った現在も無病状態が続いていると言います。

 他の患者については思わしい効果は得られなかったそうですが、多くは遺伝子操作されたT細胞が免疫システム内に長く残り、少なくとも処置後2カ月の時点で血液中のリンパ球の10%以上を占めていたそうです。治療効果がみられなかった理由については、今回の方法にはまだ粗さが残っており、使用する受容体やそれを細胞に組み入れる方法などが最適とはいえないものであったためではないかと、ローゼンバーグ博士は分析しています。数カ月以内には、肺癌、乳癌、結腸癌などの認識に適した受容体を用いて、臨床試験を開始する予定だという事で、今後の研究は何年にもわたる長い道のりになるそうですが、今回の成果はその始まりにすぎず、それでも数十年の苦労が報われる功績で、患者に希望を与えるものだと専門家は述べています。いつの日か実を結ぶ事を期待したいと思っています。

 



第612回 飲料予防法     2006年09月14日

 最近はお茶の売上が伸びていた関係もあって、コンビニエンスストアの飲料売り場を覗くとお茶系の飲み物の陳列が目立ちます。その分、炭酸飲料や果物や野菜を使ったジュースの選択の幅が減ったようでさびしい感じがしています。日常の嗜好品としてであれば、意図する物がなくてさびしいというだけかもしれませんが、健康が絡んでくるとそれだけでは済まない感じがしてきます。

 最近の研究で果物や野菜のジュースをよく飲む人は、飲まない人に比べてアルツハイマー病の発症リスクが大幅に低くなる傾向があるという研究結果が発表されていました。ジュースをほとんど飲まない人に比べ、週3回以上飲む人ではアルツハイマー病の発症率が76%も低く、週1、2回程度でも16%近く下がるという事です。

 今回の研究はバンダービルト大学医学部キダイ博士によるもので、果物や野菜に含まれる強力な抗酸化物質であるポリフェノールによる効果と考えられます。ポリフェノールは皮の部分に多く含まれる傾向があるので、どちらかというと皮をむいて調理される通常の食べ方よりも、丸ごと粉砕して絞られるジュースの方が効率的に摂取する事ができます。これまで果物や野菜に含まれる抗酸化作用を持つ物質としてはβーカロチンが広く知られていましたが、アルツハイマー病で脳に形成される特殊なタンパク質であるアミロイドーβの蓄積を防ぐ意味では、βーカロチンには充分な効果が認められてはいませんでした。

 キダイ博士は、亀が長寿であるという事にちなんでカメプロジェクトと名づけられた研究において、約1800人の追跡調査を行い、果物や野菜のジュースの摂取量を報告、2年ごとに精神機能の検査を実施しました。その結果に合わせ、他に関与すると思われる因子(交絡因子)について調整した後でも、ジュースを多く摂取する人ではアルツハイマー病の発症率低下が認められたそうです。現在、どの素材のポリフェノールがより有効に作用するのかについて研究中との事ですが、毎朝ジュースを飲む事で、発症リスクを大きく減らせるのであれば、非常に手軽で安価な予防法という事になります。一定の果物や野菜のジュースを飲み続けるというのも飽きがきてしまうので、ポリフェノールの種類が特定されなくても幅広く愛用すればよいように思えてしまいます。

 



第611回 毒性評価     2006年09月13日

 人類が作り出した史上最強の猛毒、ダイオキシンは地上に存在するあらゆる毒物の頂点といった認識が定着しています。毒物の強度、いわゆる毒性は急性毒性、慢性毒性、発ガン性、生殖毒性、内分泌撹乱作用などが上げられますが、中でも即死に至る急性毒性が毒性の強さを印象的なものにします。急性毒性は文字通りどのくらいの量で死に至るかという数値で測る事ができ、通常はLD50と呼ばれる数値で表し、LD50が100mg/kgと表示される場合、体重1kgあたり100mgの量を摂取する事で半数(50%)が死ぬという毒性になります。

 ダイオキシンのLD50は0.6μg/kgで、体重60kgを成人として考えると致死量は36μg、1gのダイオキシンは1万7千人分の致死量に相当すると考える事ができます。この数値を基本に考えるとダイオキシンの毒性は、毒物として広く知られた青酸カリの1万倍、サリンの17倍という事になります。かなりの毒性で猛毒である事は確実なのですが、最強の毒薬という事には若干の疑問が出てきます。

 これまで人為的や事故などによってダイオキシンが大量にばらまかれた事があります。しかし、その事が原因で死亡したという例はほとんど見られていないと言います。顕著な例では北イタリアで1976年、農薬工場の事故により130kgものダイオキシンが噴出し、周辺数キロにわたり1万7千人がダイオキシンにさらされるという事故が起こっています。しかも対応の遅れから、事故から1週間も避難できないという状況のために、住民の血中ダイオキシン濃度は通常の2000〜5000倍にはね上がってしまいました。噴出したダイオキシンは、LD50では22億人分にもなります。

 この事故では一人の死者も出ていないとされ、ダイオキシンの催奇形性を心配して中絶する妊婦もたくさんでましたが、胎児に特別な異常は見られなかったそうです。出産に踏み切った女性の子供達や直接ダイオキシンを浴びた住民にも、長い時間をかけて追加調査が行われましたが、一部の人に数ヶ月程度で治る吹き出物に似た皮膚病が出た程度で、特別な病気や死亡率の異常は見られていません。LD50だけを見てもボツリヌス菌が作るベロ毒素や破傷風菌が作るテタヌストキシンなどはダイオキシンの1000倍の毒性を持っています。内分泌撹乱作用という点では、強力な毒性を持っている事は確実ですが、報道が先行しダイオキシンを過剰に怖れていたという事は言えるかもしれません。毒物なので怖れるに越した事はありませんが、メディアが伝える情報のみを鵜呑みにしてはいけない、ダイオキシンに関する評価はそれを強く感じさせてくれます。

 



第610回 通説疑問     2006年09月12日

 子供の頃見ていたアニメに、キッチンに置かれたいくつもの穴が開いた黄色っぽい色のチーズが出ていた事がとても印象深く残っています。今から思うとチェダーチーズの事だと思うのですが、食生活の大きな違いが見るたびに感じられ、元々は円形のものが4分割されたと思われる大きな塊が日常的に置かれている事に、外国の食生活の豊かさの象徴として感じられていた事が今も思い出されます。

 そんなチーズはネズミの主人公の好物として登場し、飼い主の手前、それを守る猫との争いを描くシーンに登場していました。そのシーンに象徴されるように長い間、チーズはネズミの好物として考えられてきました。しかし、その通説が揺らいできています。実はネズミはチーズが嫌いというのです。

 英国マンチェスターのメトロポリタン大学動物の行動心理学を研究するホームズ博士による実験では、ネズミは穀類や果物のような糖分の多い物を好み、チーズのように匂いも味も濃い食べ物は嫌う傾向があるという意外な結果が得られています。ホームズ博士によると、「一般的にネズミはチーズが好きだと思われているが、ネズミはほとんどチーズやそれに類する食べ物と無縁で進化してきた」と指摘し、ネズミは食べ物の匂いや食感、味などに反応するが、チーズは自然の環境では入手できないものなので、反応しないのだろうと分析しています。

 確かにチーズは自然界には存在しない食べ物ですが、日本の猫が畜肉よりも魚食によってタンパク質を摂取してきたという、日本独自の食文化の中で淘汰された結果、魚をより好むようになったという例を考えると、ネズミの住処である倉庫の中で、良質な栄養源であるチーズの存在に触れ、それに適応するようになっていったと考えれば、ネズミのチーズ好きには辻褄が合う気がしてしまいます。糖分の方が直接的なエネルギー源となるので、より好む傾向がある事は納得がいくのですが、食料が必ずしも豊富ではない環境下と飼育されて豊富な食料の中から選択を迫られた結果では...。私の中では、少々疑問が残る研究結果となっています。

 



第609回 正常異常     2006年09月11日

 正常というと基準が存在し、それに適うものという感じですが、規定があいまいではっきりしない場合、数の多さをもって判断される事もあります。その意味では圧倒的に大多数となった結果が正常なように思えて、少数派は異常であると感じられてしまいます。先日、日本人間ドック学会が発表したところによると、2005年に人間ドックを受けた人の約88%に何らかの異常が見つかったそうです。人間ドックを受けるという対象は、一定以上の年齢という事は考えられますが、まったくの健康体が10人に1人というのは大変な事のように思えてしまいます。

 今回の集計は同学会が指定する全国の病院や施設で人間ドックを受信した約270万人が対象となり、「異常なし」と判断されたのは全体の12.3%に過ぎず、87.7%の人が何らかの異常を抱えていると診断されました。この結果は、前年とまったく同じ結果であり、異常ありと診断された人の中でも約70%の人は、今すぐ治療を行う必要はなく、生活習慣の変更などで改善できるとされています。

 異常があった項目としては肝機能の異常が目立ち、全体の26.6%を占めています。二位に高コレステロールが入ってきていますが、これも肝臓に関連する事でもあると考えられない事もないので、そうするとかなりの原因を肝臓が関わっている事になります。三位の肥満にも関係してきそうです。

 肝臓はタンパク質を合成したり、エネルギーを蓄えたりという働き以上に解毒を行うという大切な役割を持っています。本来自然界には存在しないような化学物質が蔓延する現代では、古代の人と比べて肝臓自体が大きくなってきているという説もあり、肝臓にかかる負担の大きさを伺う事ができます。肝炎ウィルスの問題や脂肪肝、肝臓の受難はまだまだ続きそうです。9割近い人が異常な数値という事で、1割の少数派が異常なようにも思えてきます。毎日の生活を通した健康増進に努めなければならないと思います。

 



第608回 新利用法     2006年09月08日

 「食用植物油脂と醸造酢またはかんきつ類の果汁を主原料として、食塩、砂糖類、香辛料などを加えて 調製し、水中油滴型に乳化するか、または分離した状態の調味料、さらにこれにピクルスなど酢漬け野菜等 を加えたもの」・・・難解な言い回しですが、全国マヨネーズ・ドレッシング類協会が定めるドレッシングの定義です。ドレッシングと言うと水と油が二層になった液体のものを連想するのですが、乳化してクリーム状になったものも含まれる事から、マヨネーズもこの範疇に含まれています。

 マヨネーズは非常に優れた食品で、酸化しやすいサラダ油に腐敗しやすい卵を主原料としながら、調味料である塩、酢などの抗酸化作用、殺菌作用によって長時間にわたって安定した品質を保持する事ができます。食中毒菌であるサルモネラ菌や病原性大腸菌のO−157を混入させても、時間と共に菌数が減少していき、高い安全性を持っている事が確認できます。

 本来、水分である酢と油分であるサラダ油が交じり合う事はないのですが、卵黄に含まれるレシチンの作用で水分と油分が上手に混じった乳化された状態になっています。そうした状態がうまく作用するのか、マヨネーズには直接調味料として使う以外にも素材に少量加える事で、仕上がりの状態が良くなるという利用法があります。よく聞くところでは、オムレツに加える事でふっくらと焼き上がるという事が言われます。

 先日、そんなマヨネーズの利用法として、「ホットケーキ」への添加という面白い利用が考案されていました。大手マヨネーズメーカーによる研究成果ですが、市販のホットケーキ生地に2.5%から12.5%まで5段階に分けてマヨネーズを加え、焼き上がりの体積や硬さについて測定を行った結果、マヨネーズの分量が増加するほど体積が増え、硬さが減少してさくっとした食感が増す事が判ったそうです。仕上がりに影響を与える成分について調べたところ、サラダ油の影響が一番大きいという事で、ホットケーキ生地に含まれる小麦粉が練られて弾性の元となるグルテンを形成してしまう事に影響を与え、食感の違いを出していると考えられていました。ただし、最大添加量は7.5%程度とされ、それ以上入れると風味に関わってくるそうです。何事もほどほどという事ですね。

 



第607回 G型?A型?     2006年09月07日

 ミトコンドリアというと細胞の中にある楕円球の小さな器官で、エネルギー生産という重要な役割を担っています。細胞の種類によってミトコンドリアの数は異なり、1つの場合もあれば多いものでは数千個にもなる場合もあります。その細胞がどれだけのエネルギーを必要とするのか、それがミトコンドリアの数を決めているとも言えます。

 マーギュリスの提唱する「細胞内共生説」によると、ミトコンドリアはかつては別な好気的バクテリア細胞であったものが真核細胞に取り込まれ、共生するようになったものとされています。その当時の生物には有害なものであった酸素が、ミトコンドリアを取り込み、共生する事でエネルギー源とする事が可能になったというのです。

 ミトコンドリアのDNAは、必ず母親のミトコンドリアDNAを引き継ぐという特徴があります。卵子に入った精子のミトコンドリアが選択的に排除されてしまうためで、その特徴ゆえに世界中の人のミトコンドリアDNAを追跡調査すると、どこの誰が人類の母親かが判ると言います。最近、このミトコンドリアDNAを調べる事で、長寿かどうかが判るという研究結果が出されていました。

 100歳以上の高齢者のDNAを研究していたところ、大半の高齢者に共通する特徴があり、ミトコンドリアDNAの特定の一ヶ所の塩基配列がグアニンかアデニンかでG型、A型に分けると大半がG型であったそうです。また、G型はアルツハイマー病などに繋がる神経細胞の壊死が起こりにくい環境を作り出す傾向があったと言います。長寿に関係するDNAは1000ほどあると予想されていますが、その全容解明の一端となればと期待される研究結果であり、日本人の多くがG型であった事から、食事などの生活環境に合わせ、遺伝的にも長寿である可能性を示す結果となった事が考えられます。

 



第606回 残留危惧     2006年09月06日

 本来抗生物質は、微生物が産出する他の微生物の増殖を抑制する物質の総称で、生存に関する条件が限られた環境の中で、より良く子孫を残す工夫の一つという考え方もできます。1941年にワクスマンによって定義された抗生物質は、「微生物によって作られ、微生物の発育を阻止する物質」とされています。フレミングによって最初の抗生物質であるペニシリンの発見以来、化学療法に大きな革命をもたらし、抗腫瘍性抗生物質のように必ずしも微生物相手ではない薬剤もその範疇に含まれるようになってきています。

 抗生物質を含む抗菌剤の特徴は、細菌が増殖するのに必要な代謝経路に作用する事で、選択的に細菌にのみ毒性を示すというものです。アルコールやオキシドール、ヨードなどのように化学的な作用で細菌を死滅させる殺菌剤とは異なり、人体への毒性は遥かに小さいものとなっているため、この点で感染症を防ぎ、治療する薬剤として優れています。しかし、逆に殺菌剤にはない、濫用する事で細菌が抗生物質を分解したり、無毒化してしまう因子を獲得して抗生物質が効かなくなる耐性菌を生むという危険性も持っています。

 抗生物質への耐性菌が問題化するようになってから、抗生物質の濫用を懸念されるようになりましたが、依然としてさまざまな場面で多くの量が使われており、家畜への抗生物質の投与も濫用が懸念される使用法の一つとなっています。家畜への抗生物質の使用は、成長促進、感染症の予防という目的から使われています。抗生物質と成長促進はあまり関係がない感じがしますが、エサに抗生物質を混ぜて与える事で腸内の細菌類が死滅し、栄養を横取りされない事から肥育に役立つという一面があります。

 腸内細菌は栄養の効率的な吸収という点では邪魔者かもしれませんが、免疫にも関わる存在であり、腸内細菌がいない事で免疫力が下がってしまう事が考えられます。更に飼育環境からくるストレスのために感染症に罹りやすくなる事から、抗生物質によって感染症を防ぐという必要性が出てくる事が抗生物質の家畜への大量投与となっています。そうして多量に投与された抗生物質の相当量が糞尿に残留し、有機肥料の原料となる事で野菜類の中から抗生物質が検出されるという事態も起こっています。こうしたサイクルが続く事は、環境中や人体内でも抗生物質が溢れる事となり、薬剤耐性菌による直りにくい感染症という新たな脅威を生み出す事となってしまいます。効率のみを追求した結果ではありますが、ここらで見直しを図れないものでしょうか。

 



第605回 地中海予防法     2006年09月05日

 先日、英国でフィットネス担当大臣が選任されていました。その事に象徴されるように先進諸国で、国民の健康を阻害する大きな要因として、喫煙と肥満が上げられます。肥満は消費を上回るカロリーを摂取してしまい、脂肪が蓄積されてしまう状態ですが、ストレスや生活習慣による代謝の低下、カロリーのみに限らず食事内容の不適切さなども原因として考えられます。

 和食はそうした肥満に対抗し、健康的な生活を送るのに適した食事とされてきましたが、その和食と並んで健康的な食事として地中海料理が上げられています。肉類や乳製品の比率が少なく、魚介類や野菜、果物を多用し、不飽和脂肪酸を豊富に含むオリーブオイルを大量に使うという特徴が評価されています。

 地中海料理によって循環器系疾患、特に心臓病のリスクが低くなる事は既に広く知られていましたが、最近、アルツハイマー病の予防に有効であるという報告が行われ、注目を集めています。2258人の平均年齢77歳の高齢者を対象に、地中海料理を日常的に食べるように指導を行い、その人達が地中海料理をどの程度忠実に食べているかによって3段階に分け、4年間の経過を追ってみると、4年間の経過として262人がアルツハイマー病を発症しました。アルツハイマー病の発症と地中海料理摂取の忠実度との相関を見たところ、地中海料理を忠実に食べた人たちは、地中海料理を食べなかった人たちや地中海料理を適当にしか食べなかった人達に比べて、アルツハイマー病になった割合が食べなかった人達より40%、適当に食べていた人達より20%低かったそうです。

 地中海料理は血栓を防ぐ働きがある事から、脳の血管の閉塞を防ぎ、小規模な脳梗塞を起こさないように働いた事や、地中海料理中の抗酸化物質が有効だった事。または地中海料理の抗炎症効果がアルツハイマー病の予防という結果に繋がった事が考えられ、それらの相乗効果が功を奏したと思われます。和食との共通点として魚介類が動物性タンパクの中心となっている事や、季節を意識した旬の素材が用いられる事があり、優れている点として脂肪酸のバランスが取れた素材や、抗酸化作用の高い素材が多用されています。将来の健康は今日の食から、それが伺える研究結果です。

 



第604回 温かい危険     2006年09月04日

 暑い夏がくる度に「地球温暖化」という言葉が頭を過ってしまいます。夏の暑さとは直接関係ないにしても、年毎に暑くなっていっているようで、確実に進行している温暖化を意識するには充分な感じがしてしまいます。温暖化の原因というと諸説がありますが、二酸化炭素による温室効果が一番ではないでしょうか。オゾン層の破壊によって強化された陽射しも、気温が上昇する事を助けているようにも思えます。

 そんな温暖化の影響に関しては、世界各国の研究機関が高性能のコンピューターを使ったり、世界各地のパソコンをインターネットを経由して繋ぎ、高度な計算能力を確保するなどのさまざまな試みで影響と未来像が予測されています。広く知られたところでは、極地の氷が解ける事で海面が上昇し、沿岸都市が失われるなどの弊害がありますが、それと同等に怖いのは新たな疾患リスクの発生ではないでしょうか。

 温暖化する事で熱帯、亜熱帯地域が拡大する事は、その地域に特有の疾病を広める事にも繋がります。このままの状況が続けば、近い将来日本でもマラリアの感染が一般化するとも言われています。そうした現存するリスクの地域的拡大以外にも懸念されている事があり、より問題の深刻さが伺えます。世界的な気温の上昇は病原性細菌の増殖を助け、感染症の発生リスクを押し上げるという事が考えられています。

 1949年以来、カザフスタンでは国家計画としてネズミを監視し、データ化してきました。それらのデータと樹木の年輪から推定される平均気温のデータと比較した結果、気温のわずかな上昇も疫病リスクの非常に大きな増加要因となる事が判りました。春季の気温が1度上昇するだけでも、病原性細菌の50%の増加を引き起こすとされています。そうした気温と病原性細菌の発生率の相関関係によって、疫病患者数の変動も説明でき、カザフスタンの樹木の年輪のサンプルによって、14世紀にペストが大流行した際には、春が温暖で夏は湿度が高かった事が明らかになっています。同じ地域で19世紀に疫病が発生したときの条件も同様だったそうで、気候変動が疫病を引き起こす病原性細菌の発生に影響を与えたと結論付ける事ができるそうです。台風の巨大化をはじめ、明るい未来に繋がる話が聞かれない温暖化だけに、何とかくい止めたいものです。

 



第603回 腸管呼吸?     2006年09月01日

 私たちは呼吸によって酸素を吸入し、二酸化炭素を排出しています。これは血液中のヘモグロビンの性質で、酸素濃度が高い所では酸素と結合し、二酸化炭素の濃度が高い所では二酸化炭素と結合するというものを利用したもので、酸素の濃度が高い肺の中で酸素と結合させ、二酸化炭素の濃度が高い身体の内部では酸素を放してその代わりに二酸化炭素と結合するという働きを利用しガス運搬が行われています。

 酸素は体内でエネルギーを生産する際の「燃焼」に不可欠なもので、エネルギー源となるブドウ糖を構成する炭素、水素、酸素の炭素と結びついて二酸化炭素となり、水素と結びついたものは水になります。ブドウ糖自体の炭素と水素、酸素の比率は1:2:1なので、激しくエネルギーが燃焼している際は、体内で酸素が欠乏した状態になってしまう事があります。そんな不足しがちな酸素を供給するものとして、最近、「酸素入りの水」が急激に売上を伸ばしています。

 二酸化炭素は非常に水に溶けやすく、二酸化炭素が溶け込んだ水は「炭酸」として清涼飲料水をはじめ、広く親しまれています。それに対し酸素は水に溶けにくく、炭酸のようにする事は非常に難しい事となっています。通常の状態では溶け込む量が少ない事もあるのですが、市販の「酸素入りの水」は通常の水の酸素含有量の数倍から数十倍の濃度の酸素をミネラルウォーターに溶かし込んで作ってあります。

 一見、この数字は膨大な量が溶かし込んである感じがしますが、平均的な「酸素入りの水」500ml中に含まれる酸素の量は約30mgとされ、これは成人男性が一回の呼吸で肺に取り入れる酸素の約5分の1の量にしかなりません。また、量的な問題よりも、本来、呼吸で体内に入れるべき酸素が、消化器系に取り込まれて役に立つ事ができるのかという疑問も残ります。その点に関しては、酸素が腸管からも吸収されるという研究論文が存在するので、何らかの役に立つ事は考えられます。臨床的には、「酸素入りの水」を摂る事で心拍数や持久力が若干向上したとされるので、何らかの良い働きを持つものとして、今後の研究を待ちたいと思います。少なくとも、気分転換には効果が大きいようにも思えます。



 

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