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第683回 忘年会
2006年12月28日
年の瀬も押し迫ってくると各所で忘年会の声が聞かれ、街中で団体移動をしている人を見かけると、いかにもという感じがしてきます。毎年自然発生的に行われている忘年会ですが、明確に規定すると組織や集団が一年の終りにその年を振り返り、さまざまな苦労をねぎらい、記憶に留めておきたくない事を忘れると共に、新たな一年へ向けて気持ちを切り替えるきっかけとする年中行事であり、成人が大半を占める組織や集団では、酒宴の形式がとられる事が多く、居酒屋や宴会場などで大きな需要を喚起する契機となるとされます。
日本独自の行事とも言われる忘年会ですが、そのルーツは意外と厳かなものであったりします。鎌倉時代、一年の終りに連歌を詠みあう「年忘れ」という行事が行われ、それが忘年会の由来となったと考えられています。貴族や武士の嗜みであった厳かな会が、今日のような賑やかな会に変貌するのは江戸時代に入ってからで、一年間の労をねぎらい、酒を酌み交わす事が庶民の間で流行しています。同様の会は武士階級でも行われていますが、年明けに行われる事が慣習化していたので新年会のルーツと考えられます。
忘年会が年中行事として慣例化するのは明治時代に入ってからで、政府の官僚や学生を中心に行われていた事が当時の風物詩として残されています。官僚はボーナスが支給された事によるもの、学生は年末年始の帰省前に集まった事がこの時期と重なるので慣例化しやすかったという事も、忘年会が定着する理由の一つと思われます。そんな忘年会ですが、意外にも明確に「忘年会」という記載が文献に登場するのは歴史的に浅く、明治の後期になってからの事となります。夏目漱石の著書「我輩は猫である」の文中に書かれているのが初めての事とされ、文中では特別な注釈も添えられていない事から、一般的に普及していた事が伺えます。
忘年会に付物の「無礼講」ですが、こちらの歴史は古く、後醍醐天皇が鎌倉幕府を倒す意志を探るために、当時の武将、土岐頼貞、多治見国長、足助重成らを招いた遊宴が元となっています。遊宴という名目でも集まった人を見れば、その会において何らかの密談に及ぶ可能性が感じられるのですが、それを察知されないために身分関係を抜きにした酒宴が連日繰り広げられ、当時では考えられない常識や礼儀を欠いた様子に驚いた人々が、その遊宴の事を「無礼講」と呼んだと言います。平安時代から公家社会の宴会は席順が決められ、一度着座すると席を立つ事はなく、偉い順に座った上座から盃が回されてそれが一巡する事を「一献」と呼びました。かなり時間をかけて盃が回る中、歌合せが行われるのですが、後醍醐天皇の遊宴ではそのしきたりが無視され、席を立ってそれぞれの席へ行って酌をしながら話をしました。それが「無礼」とされた所以で、今日の挨拶となっている「本日は無礼講で」というのは、本来席を立つべきではない参加者が、それぞれ席を立って酌をして回る自由を与えるという意味に取るべきかもしれません。楽しんでほしいという意図の下に発せられるものではあっても、言葉通りに羽目を外してしまうと、後の人間関係に多大な影響を及ぼすともされる事から注意が必要となっています。
第682回 都市伝説に思う(後)
2006年12月27日
養豚業者の話に限らず、コンビニ弁当への懸念の高さからでしょうか、事の軽微を含めさまざまな都市伝説が語り伝えられています。その多くは幾つかのパターンに分類する事ができ、コンビニ弁当を常食しているコンビニ関係者が体調を崩すもの、製造工場に勤務する人は絶対に食べようとしないというもの、いつまでも腐敗せずに原形を留め続けるものに分ける事ができ、保存料を中心とした添加物への危惧が伝わってくる感じがしてしまいます。
化学物質の危険度は毒性の強さによって判断されますが、その毒性についても単純に摂取する事で害が生じる急性毒性をはじめ、摂取した事で遺伝子レベルでの弊害が生じる催奇形性や発ガン性などがあります。催奇形性や発ガン性については、症状が現れるまである程度の長い時間が必要となるため、急性毒性のようにすぐに危険を察知する事ができません。そのために化学物質への懸念は常に払拭できないものとなってしまいます。
品質を保持するために必要とされる事といえば、腐敗やカビ、油脂類の酸化などを防ぐ事ですが、そのためには殺菌剤や酸化防止剤が不可欠となります。それらの中には催奇形性や発ガン性が疑われている物も少なくはありません。腐敗菌や病原性菌による食中毒が発生した場合、原因となった食品を製造した工場や販売店は、何らかの行政処分を受ける事や顧客離れに繋がる事が考えられますが、催奇形性や発ガン性については、その毒性の発現元を立証する事自体困難である事は容易に想像できます。それが過剰に抗菌剤などの添加物を使用しているとされる論拠ともなっています。
使用が認可されている添加物に関しては、毒性についての検証が行われてはいますが、使用量の問題や毒性の検査が単品でのものとなっているので、他の薬剤と併用した場合の相乗効果やレンジによる加熱などの影響は検証されていません。また、豚肉はトンカツや生姜焼きなど、多くの人気メニューの素材となっています。それが一様に飼料に混入されるという事は、共食いに繋がる事でもあり、狂牛病の際の牛の飼料への肉骨粉の使用を彷彿とさせるものがあります。そうしたさまざまな事象を考えていくと、食料の廃棄を有効に使うという優れたコンセプトも、どことなく賛成しかねるものとなってしまいます。
第681回 都市伝説に思う(前)
2006年12月26日
先日、コンビニエンスストアから出されるお弁当やおにぎり、惣菜などの廃棄食料を飼料へ転用するという事についての記載をしました。元々貧乏性で食品を無駄にする事に大きな抵抗があり、廃棄の実態について知る私としては、食料が無駄に捨てられないという事は本来ならば喜ばしいニュースであるはずなのですが、どことなく諸手を上げて賛成できない部分もあります。これまで通り廃棄するよりは、とかなりトーンダウンしてしまう、それにはある都市伝説の存在があります。
日々、食や健康に関する事をはじめ、多くの情報をインターネットや紙媒体を中心に得ています。その中には一見荒唐無稽でありながら、どことなく真実味のあるものや、かなりの信憑性を備えていながら確信するに至らないものなども多く含まれています。ニュースソースが明らかであったり、ある程度の裏付けが取れるものであれば事実として取り入れるのですが、それ以外のものについては都市伝説として扱う事になってしまいます。
その都市伝説は、新聞社発行の小冊子に掲載されたもので、それなりの信憑性を備えてはいましたが学術的な検証が充分ではなく、部分的に大げさと取れる部分もあった事から、私の中では都市伝説として扱わざるを得ませんでした。内容は簡単なもので、ある養豚業者が近所のコンビニ店主と話し、廃棄されているお弁当類を豚の飼料とします。養豚業者は飼料代を大幅に削減する事ができ、コンビニ側は廃棄にかかるコストを減らせ、食料も無駄にならない事から両者喜んで話を進め、それから毎日養豚業者はコンビニへ廃棄分の回収に通う事になります。
コンビニ弁当の飼料はこれまで使ってきた飼料よりも食い付きが良く、カロリーも高めである事から良好な肥育の兆候が見られ、当初は良い事尽くめに見えます。しかし、それからしばらくして豚たちに死産や奇形の出産が目立つようになり、やっと生まれた子豚も虚弱体質であったり、生後まもなく死んでしまう事が頻発します。本来は透明であるはずの母豚の羊水がコーヒーのように濁っていたという事も見られ、最終的には飼料を元に戻す事になってしまいます。福岡県内の養豚業者という以外、コンビニの店舗などの具体名がなく、もう少し詳細な検証を行った後でなければ素直に受け入れるべきではないと思うのですが、信じてしまう要素は多くあると思います。
第680回 検査妨害
2006年12月25日
男性特有の臓器である前立腺は、40〜50歳くらいから定期的にPSA検査を行う事で、健康状態の把握が行われます。PSA検査は前立腺特異抗体検査とも呼ばれるもので、検出されるPSA値は通常は低い値ですが、前立腺ガンまたは良性の腫瘍などによって上昇します。最近、ある内服薬の使用がPSA値に変化を与え、前立腺ガンの検診を不確かなものとしてしまう事が判ってきました。
その内服薬の名はプリペシア。有効成分としてフィナステリドを含む薬剤で、抜け毛の防止効果があるとして処方薬として使われています。プロペシアは元々前立腺肥大症の治療を目的に開発されました。安全性が確認された後、臨床試験を行う段階で効果が充分に確認されなかった事から、製剤としての開発には失敗と考えられたのですが、意外な副作用、抜け毛の防止効果が知られる事となり、今では開発国の米国だけでも100万人もの人が抜け毛を食い止める目的で使用されています。
以前行われた研究では、プロペシアよりも有効成分フィナステリドが多い含まれる前立腺肥大症治療薬プロスカーを用いる事によって、前立腺ガンの減少が確認され、PSA値にも変化が起こる事は確認されていましたが、プロペシアのフィナステリド含有量はプロスカーの5分の1程度でしかなく、これまではPSA検査数値に影響を与える事は考えられてきませんでした。
今回の研究では男性型脱毛症の40〜60歳の男性355人にプロペシア、もしくは偽薬を服用してもらい、PSA値の変化について調べています。48週間後、40〜49歳のグループで40%、50〜60歳のグループで50%のPSA値の減少が確認され、それに対し偽薬では平均13%の増大が見られています。フィナステリドには男性ホルモンのテストステロンの活性を阻害する働きがありますが、プロペシアによってこのテストステロンの働きが阻害され、前立腺への作用が起こらないためではないかと考えられています。長年プロペシアを使用している男性の場合、事前に聞き取りを行い、検査数値に調整を加える必要があるのではと言われ、日本でもプロペシアは使用されている事から、正確な検査を行うためにも早急な対策が必要なのかもしれません。
第679回 ステロン、スチン?
2006年12月22日
ホルモンは身体の状態をコントロールする重要な物質で、体内の特定の器官から分泌されています。分泌量が何らかの理由で減少してしまうと、当然の事ながら体調に影響が生じてしまう事から、ホルモンの分泌量が減少した場合は、ホルモン量の補充を行う治療が行われます。そうする事で患者の生活の質が向上するとされてきましたが、それを疑問視する声も出てきています。
最近行われた研究では、投薬を受けた女性の生活の質が向上したとされるホルモン剤の組み合わせ投与に関して、効果や施療の継続に関して疑問を投げかける内容の結果が得られています。その結果を受けてホルモン補充療法を行う事でわずかな症状の回復は見られるとされていますが、それによって引き起こされる副作用というリスクを冒すほどのメリットはないとも研究者達は述べています。
今回の発端となったのは、一般的に行われるエストロゲンとプロゲスチンを組み合わせたホルモン補充療法の効果を評価する研究を行っていたところ、心臓の不調や脳卒中、血栓症などの深刻な症状のリスクを高めてしまう事が判明した事で、効果に関してホルモン剤の偽薬を使用してもかなりの効果が認められ、治療を受けた一部の女性が健康面で生活の質が向上したとする報告は、一種のプラセボ(偽薬効果)ではないかと見る事ができます。
また、治療に用いられているプロゲスチンは黄体ホルモンのプロゲステロンとは、呼び名こそ似ていますが分子構造をはじめさまざまな点で異なるもので、乳ガンや子宮ガン、心臓疾患の発症リスクを高めるという批判は早くから出されています。実際、投薬を停止する事で、関連性がある諸病が激減したというレポートもあります。最近の傾向として更年期障害を病気として捉え、ホルモン補充療法で症状の緩和をはかるというものがありますが、できれば薬剤のお世話にならないか、人工物ではないもので対応できればと思ってしまいます。
第678回 悪者?
2006年12月21日
今から21年ほど前、某大手酒造メーカーが新規事業開拓の一環として、京都大学と産学協同研究をスタートさせました。「夢のあぶらプロジェクト」と名付けられた油脂領域に関する研究は、1億個もの微生物が生息する土が研究対象となり、さまざまな条件の下で一つひとつを検証するという地道なものでした。結局、目標とした「夢の新脂質」を作る微生物を発見する事はできなかったのですが、いくつかの脂質を作り出す微生物が発見されています。
その後も発見された微生物と脂肪酸についての研究は続けられ、その中の一つの脂肪酸に脳の機能低下を改善させる働きが見つかっています。被験者に低音の中に時々高音を混ぜた音を聞いてもらい、高い音が聞こえた時にその数を数え、ボタンを押すという課題を実行してもらい、その時の脳波を計ります。P300と呼ばれる認知、応答に特徴的な脳波波形が検出されますが、P300が現れるまでの時間(潜時)は情報処理の速度、波形の深さ(振幅)は集中度を表すと言われ、一般的に加齢と共に潜時は長く、振幅は小さくなるとされます。
ある脂肪酸を含んだカプセルとオリーブ油を含んだカプセルをそれぞれ3ヶ月摂取してもらい、脳の認知機能を調べたところ、オリーブ油と比べ、脳年齢に換算したところ、処理速度で7.6年、集中力で5年ほど若返った事が確認されました。加齢による脳機能の回復に充分な働きを示した事になります。その脂肪酸の名はアラキドン酸、不飽和脂肪酸の一種で肉や魚介類に多く含まれています。必須脂肪酸の一つでもありγーリノレン酸と共にビタミンFと呼ばれる事もあります。
アラキドン酸は動物性脂肪に多く含まれ、植物にはほとんど含まれていません。しかし、植物性脂肪に含まれるリノール酸から、体内の生化学的な変換を経て変化します。これまでアラキドン酸はプロスタグランジン2に変化して、アレルギー症状を助長する事で知られ、皮膚科で処方されるステロイド剤は、副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンを皮膚から吸収させる事で、プロスタグランジン2の元であるアラキドン酸の生成を阻害する事を目的としていました。動物性脂肪や食用油脂に含まれるリノール酸の過剰摂取によって、体内のアラキドン酸量が余剰となる事がアレルギー症状の蔓延に繋がっているとの指摘もあり、常に悪者視されてきたアラキドン酸ですが、脳機能の回復という点で再注目され、サプリメント化されるのは皮肉な感じがしてしまいます。
第677回 感染爆発
2006年12月20日
アウトブレイク・・・感染爆発と訳される事もある言葉ですが、急激に感染者を増やすウィルスや細菌で致死性の高いものは、大きな話題となって多くの人に知られていきますが、その後、急速に話題に上らなくなってしまったりもします。感染者の増加よりも話題として流行する方が、爆発的な感染のようにも思えてしまいます。最近の記憶に新しいところでは、エボラウィルスが最もそれに当てはまるような印象があります。
エボラウィルスの感染症、エボラ出血熱は頭痛や筋肉痛の後に体内で大量の出血が起こり、致死率も非常に高い事でも知られます。主にアフリカのサハラ砂漠より南の地域で流行し、当初はかなりショッキングな話題として取り上げられましたが、その後、徐々に騒ぎも収まり、記憶の片隅に置かれたような感じがしています。しかし、エボラ出血熱は過去のものではありません。継続的に患者は発生し、人以外の存在、ゴリラへの感染爆発が確認されています。
アフリカの中西部、コンゴ共和国ではエボラ出血熱のためにニシローランドゴリラが大量死した事が確認され、ロッシ保護区西部では5000頭以上がこの5年間でほぼ全滅したと見られています。アフリカ中西部という最大のゴリラの生息地における大量感染は、ゴリラの絶滅が急速に近付いてきていると懸念されています。
今回、コンゴ共和国と隣国のガボンの国境付近で住民にエボラ出血熱が流行した2001年以降、人だけでなく周辺の森のゴリラも相次いで死んでいた事から、流行地に近いロッシ保護区やその周辺でゴリラの感染や生息に関する状況を調べ、エボラ出血熱の流行前に1平方キロ当たり約2頭生息していたゴリラが、流行後はほとんど観察できなくなったと言います。また、2002年10月から4カ月間に個体識別できた143頭中、130頭がエボラのため死んだとみられ、計算上の致死率は90%を超えています。ゴリラは森林伐採や農業などの影響で生息地を奪われ、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に登録されています。WWF(世界自然保護基金)の日本支部によると、3種類の亜種の合計で数万頭しかいないとの推計もあり、ロッシ保護区は他の生息域より生息密度が数倍高い地域だったとされています。生息密度の高さが逆に災いした事もありますが、ユーモラスなゴリラの悲しい絶滅は見たくないという気持ちが非常にあります。
第676回 記憶と骨
2006年12月19日
最近、体内の酵素などに新たな働きがある事が発見されるというレポートをよく見かけます。単独での働きが知られていた酵素が、思いもよらないというよりほとんど関連性すらなさそうな働きをしている事が見つかる事があり、今回発表されていた新たな発見もそうした一つと言え、神経細胞で記憶を高める役割をしている事で知られていた酵素が、骨を分解する細胞の形成に重要な役割を果たしていたというものです。
通常、身体の中では、骨を作りカルシウムと貯蔵する骨芽細胞と骨を分解してカルシウムの不足に備える破骨細胞が、相互に作用し合って骨量の均衡を保っています。そのどちらも大切な働きなのですが、高齢などでそのバランスが崩れてしまうと、多くの場合、破骨細胞の働きが強まってしまい、関節リュウマチや骨粗鬆症などを発症してしまう事となってしまいます。
破骨細胞は骨髄中の造血幹細胞から育つと見られています。造血幹細胞から破骨細胞に育つには、一旦前身である前駆細胞で酵素「カルモジュリンキナーゼ4」が活性化される事が重要という事が新たに発見され、この酵素は記憶に深く関わっている事で知られています。
酵素を作る遺伝子の働きを止めてしまうと、破骨細胞の数がほぼ半減し、骨量が2倍に増える事が確認されています。また、骨粗鬆症を起こしたマウスに酵素の働きを阻害する薬剤を投与すると、骨の量と破骨細胞の数は正常なマウスと同じになったそうです。この酵素は人にも存在し、同様の仕組みが働いている事が考えられます。酵素の働きを止めるか生成を抑えれば、骨粗鬆症の有効な治療に繋がる事が考えられますが、単純に酵素の働きを阻害してしまうだけでは記憶障害が起こる可能性が出てしまうので注意が必要となります。記憶と骨、高齢になったとき、私自身はどちらを選択するのでしょうか。
第675回 ビーフからミートへ
2006年12月18日
初めて見たとき、それはサンドウィッチの具材としてほぐしたものがマヨネーズに和えられていました。どのような加工を施せば、このような物になるのか子供心に不思議に思えた加工食品、それがコンビーフでした。加熱されているのでそのまま食べる事もできますが、脂肪分が多く、どちらかと言えば加熱した方が美味しく食べられる感じがして、それほど料理に使う事はありませんでした。それがある日、脂肪分が少ない製品がある事に気付き、ジャガイモ等と炒めて使う事がお気に入りとなってしまいます。その製品には「ニュービーフ」と書かれていました。
コンビーフとニュービーフの違いは原料にあり、コンビーフが牛肉100%なのに対し、ニュービーフは牛肉に馬肉が加えられていました。脂身が少ない馬肉の影響で脂肪分が少なく、あっさりした仕上がりになり、食べやすい印象と3割ほど価格も安くなっているという製品的に優れた面を多く持っています。馬肉が含まれる事で新たなビーフなのだと勝手に考え、ニュービーフという名前に親しんでいたのですが、その後、JAS法の改正に伴って名称表示が厳しく制限される事となってしまいました。
コンビーフは本来、コーンドビーフと呼ばれるもので、粒状(Corn)の粗塩を用いて牛肉の塊を塩漬けにした物を指します。今日、一般的に見られる缶詰製品は、牛肉に食塩と硝酸塩、または亜硝酸塩などをすり込み、数日間かけて塩漬けにした後、よく煮込んで細かくほぐし、調味料、香辛料、食用油脂などを混ぜて缶詰にしてあります。日本では、ほとんど缶詰ですが、欧米では脂肪分の多い塩漬け肉を調味液に浸して茹でたシンプルなものが主流で、缶詰ではありません。
硝酸塩や亜硝酸塩が加工に使われる事から、肉の発色は良くなるのですが、長期保存にはやはり酸素を弊害となるので、よく見かける台形の缶を用いる事で充填と同時に空気抜きができ、缶切りを使わなくても帯状に側面の一部を巻き取る事で開ける事ができるという合理的な理由が今日のスタイルを決定しています。名称としては、原料の食肉に牛肉のみを使用したものをコンビーフと限定し、牛肉以外を含むものをコーンドミート、牛肉と馬肉を併用したもので、牛肉の重量が馬肉との合計重量の20%以上のものをニューコーンドミート、またはニューコンミートと定められています。久しく購入していなかったのですが、先日、表示を確認するために売り場へ行ってみると、お気に入りのニュービーフはパッケージデザインはそのままで、ニューコンミートと表記されていました。
第674回 要見直し
2006年12月15日
メタボリックシンドローム・・・このどことなくアカデミックな響きのある言葉は、健康管理という点から最近急速に意識されるようになってきました。血中のコレステロール値や血圧、血糖値など、個々の検査数値は異常とされるほどの高さではなく、要注意程度の状態でも、それが重なり相乗効果を及ぼす事で動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などを発症する危険が急激に高まる事を言います。また、一見肥満と判断されない程度でも内臓の周りに脂肪が付いた内臓脂肪型肥満は、糖尿病や高脂血症、高血圧などの症状を起こし易い事から、メタボリックシンドロームへの警戒が必要とされます。
厚生労働省から「平成16年国民健康、栄養調査」の結果が発表されましたが、それに先立って4月8日に日本肥満学会や日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会など8学会が合同で、日本におけるメタボリックシンドロームの診断基準を公表しています。その事が大きく報道された事もあって、メタボリックシンドロームは広く意識されるようになり、厚生労働省が医療費削減の切り札として生活習慣病の予防を上げている事も、それに拍車をかけていると思われます。
そうしたメタボリックシンドロームを柱とする生活習慣病への対策に疑問の声が上げられています。現在、米国でのメタボリックシンドロームの基準は男性がウエスト103センチ、女性が89センチとされています。米国人は大柄なのでという見方もできますが、中国での基準は男性90センチ、女性が80センチとされており、日本の男性85センチ、女性90センチよりもかなり緩やかなものとなっています。この基準を適合すると1000万人以上がメタボリックシンドロームを警戒しなければならなくなってしまいます。
実際、メタボリックシンドロームを最も意識しなければならない年代である40〜69歳の日本人男性のウエストの平均値84.7センチとされ、85センチであればほとんど平均的という標準範囲の真ん中に位置する事になります。女性は男性よりもウエストが細い事もあり、平均値は男性よりも5センチ細い79.3センチとなり、基準が他国の例と異なり、男性よりも大きい事に疑問が生じてしまいます。また、ウエストの基準値を算定する際に用いられる危険因子の一つ、総コレステロールの値についても問題があるとされ、諸外国の260〜270という上限値に対し、220と極端に低く設定されています。女性は閉経後コレステロール値が自然に高くなる事が知られていますが、220という上限では55%もの人が基準値を超えてしまう事になり、大元の設定自体から見直すべきではないかと思えてきます。各国の基準について検証した論文には、「奇妙な結果が出るので、日本のウエスト基準は使わない事を推奨する」とまで書かれていると言います。病気を未然に防ぐ事は大切ですが、空騒ぎにならないように事前に検証し直す必要があるのかもしれません。
第673回 風が吹けば...?
2006年12月14日
諺で「風が吹けば桶屋が儲かる」というものがあります。物事が回りまわって影響し合い、思わぬ結果を生むというものですが、実際に日常的な事を見回しても、非常に納得のいく事だと思えます。先日、地球温暖化や森林伐採に関するレポートを見ていると、森林資源の減少に意外な事が影響している様子が伺えます。
2004年に発表されたCIFOR(国際森林研究所)の報告書によると、ブラジルのアマゾン川流域での森林伐採面積は、1990年には4150万ヘクタールだったものが、10年後の2000年には5870万ヘクタールに拡大しています。急激な伐採面積の拡大には、家畜の放牧地の拡大が関係していると見られ、アマゾン川流域の牛の飼育数は、調査が行われた1990年には2600万頭だったものが2002年には5700万頭に増加しています。
また、熱帯雨林の森林を切り開き、大豆を大量に生産する事で安価な飼料が供給される事も、大量かつ安定的、安価な畜肉の供給を支えられています。そうした大規模な畜産活動によってファーストフードを中心とした安価な食材の確保が可能となり、某大手ハンバーガーチェーンのグローバルパーチェシング(世界一括購入)と呼ばれる食糧調達法に象徴されるような、インターネット等を駆使した瞬時に世界中で最も安い食材を確保する合理的な仕入れ方法が、いっそう熱帯雨林の伐採速度を速めている事が考えられます。
ハンバーガーや牛丼、ファーストフードで人気の食材、牛肉は元々環境負荷の大きな食材とされています。単純なデータの比較では、穀物を1キロ作るために必要な水は1000リットルとされ、鶏肉1キロのためには4500リットルが必要とされます。それに対し牛肉は20000リットルと桁外れに大量の水を必要とする事が判ります。それだけでもいかに牛肉が突出した存在かが伺え、その牛肉の増産が環境にかける負担は想像できる事と思われます。最近、ファーストフード店でも注文を受けてから作りはじめ、作り置きによる廃棄ロスを減らして環境配慮を行うという動きも見られてはいますが、食材自体の環境負荷の大きさは否定できない部分ではあります。人、食、環境、さまざまな物事の関連性を大切にしなければならない時代に生きていると実感してしまいます。
第672回 有効廃棄
2006年12月13日
子供の頃から食べ物は大切に扱い、無駄のないようにしなければと言われて育ったからというわけではないかもしれませんが、食べ物を捨てるという事には抵抗があります。最近ではスーパーなどでも賞味期限が迫ってきた物を、「おつとめ品」などと表示して格安で販売しているところを見かけ、惣菜売り場のタイムセールと合せて廃棄を減らす努力には、思わず賛同してしまいたくなります。
スーパーでは時間帯によって順次格安販売が行われていますが、同じ小売業でもコンビニエンスストアでは、販売の設定時間いっぱいまで価格は均一に保たれ、時間と共に一斉に廃棄されてしまいます。特にコンビニでの売上の多くを占める弁当やおにぎり、惣菜などが賞味期限の短さもあって、時間の経過による廃棄の対象となりやすいのですが、この廃棄をめぐってさまざまな動きが伝えられてきています。
直接消費者とは関係なく、見えない部分ではありますが、これまでとは廃棄の扱いを変え、廃棄寸前に一旦弁当などを1円に値下げして店主自らが全部を購入、その後廃棄へ回すという帳簿上の処理が行われているそうです。そうする事で単純に廃棄するより、全品が一旦廃棄とはならず、新たな仕入れも発生する事で売上の扱いが変わり、本部へのロイヤリティを低く抑える事ができると言います。1円という価格は不当廉売に当たるおそれがありますが、確実に廃棄されるという事で抵触を免れ、単純に廃棄するのではなく、コンビニ運営上の経費削減に役立つそうです。
また、実際に廃棄する分に関しても某大手コンビニチェーンでは、廃棄食料を回収して家畜の飼料として再利用する事で、廃棄量を減らすという取り組みがはじめられています。食品廃棄物の排出削減に繋がる上に、海外からの輸入に頼っている家畜飼料の国内自給率を高める効果も期待できるとされています。すでに回収された弁当を堆肥として再資源化したり、一部地域で豚の飼料として用いる実験を済ませているという事で、作物の収量アップや豚の肉質向上という良い結果が得られているそうです。今後は加工工場で発生する野菜くずや系列のスーパーからでる食品廃棄物なども活用するという事で、食品の無駄をなくす活動としては、良い方向と言えるのかもしれないと考えています。
第671回 減点1
2006年12月12日
今年も健康診断の時期がやってきて、まるでゲームのスコアを見るように検査結果を見ている自分がいます。例年通り、ほとんど理想的とも言える各項目の数値が並び、今年も変わらず健康体である事が伺えます。しかし、相変わらずの一項目だけが健康とはかけ離れた数値を示しています。その検査項目とはコレステロール。すでに正常値とされる数値を超えています。
毎年、検査毎にコレステロールの数値は要再検査とされ、正常値を超えている事が明記されています。今年の特徴は前年までと比べて中性脂肪の数値が正常値を下回り、善玉コレステロール(HDL)の数値が正常値を超えています。総コレステロール量が多いので、必然的にHDLの量も多くなる事は判りますが、中性脂肪量が基準値を超えて少ないというのは、脂質系の栄養が不足しているという事でしょうか。
再検査を行う病院の案内もいただきましたが、行った先に予定されているのは詳細な血液検査、肝機能の検査に生活習慣の聞き取り調査といったところで、コレステロールの抑制剤を処方され、3300億円市場の顧客の一人となる事確定です。日本のコレステロール値に関する基準は低く、諸外国に比べて厳しいものとなっています。実際に健康診断受診者約70万人のデータを元に、健康的な集団の95%が集まる範囲の上限値を算出すると、高コレステロールとされる基準値は中年の男性で260台、女性で280台となり、現行の基準からはかなり高めの設定となります。
現在の基準値は、米国での調査でコレステロール値220以上の人に心筋梗塞が多かったという報告が元になっているとも、統計的な分布を元に算定された240という数値を10%ほど引き下げて設定したとも言われ、実際に中年男女の間で心筋梗塞が増えはじめる数値、280以上とはかけ離れたものとなっています。また、260近い数値の人でも遺伝的にコレステロール値が高くなる家族性高コレステロール血症や心筋梗塞、脳梗塞などの病歴がある人、高い数値が数年にわたり継続し、高血圧、糖尿病、喫煙などの要因を併せ持つ人を除き、急な投薬の必要はないと思います。すべての数値が健康を示し、コレステロール値だけが高いという自分が気に入っているのですが、現実的な算定値から考えるとまだ健康の範囲内にあるみたいです。
第670回 胃ホルモン
2006年12月11日
1999年12月にアミノ酸がいくつか繋がったペプチドという状態のホルモンが、ラットの胃から発見されました。「グレリン」と名付けられたそのホルモンは、脳下垂体を刺激して強力な成長ホルモン分泌促進作用がある事が確認され、その作用は抹消投与でも中枢投与でも変わらない事も確認されています。今後の研究次第では、成長促進剤としての有効性が期待できると言います。
1996年に成長ホルモンを調節する新たな受容体が発見され、それに結合する物質があるはずと、各国の研究者が競って研究を行いましたが、当初、脳内にあると予測されていた事や、特定の場所に特定の脂肪酸が結合してはじめて機能する状態になるという珍しい構造をしていて、その上非常に壊れやすいという性質を持っていたため発見には困難を要しました。ラットの胃で発見された後、人の胃にも産生細胞がある事が発見され、胃で作られた後、血流に乗って脳下垂体へと到達し、作用する事が解明されています。
また、グレリンには成長促進以外にも心機能の改善や、食欲を増進する「摂食促進」という一面がある事が知られ、食事時になるとグレリンの血中濃度が上がり、満腹になるにつれて濃度は下がっていきます。グレリンを投与する事で食事量は30%も増えるという研究結果が得られており、心機能を改善しながら闘病中の食欲を確保できるとして応用が期待されています。その研究の途中、新たなグレリンの働きが判ってきました。グレリンにはインシュリンの分泌を抑制する働きがあるというのです。
グレリンの分泌を減らす事でインシュリンの分泌が活性化され、血糖値の上昇を平均30%以上も抑える事ができるという事が、マウスを使った実験で新たに確認されています。すい臓周辺の血液を調べ、グレリンがすい臓からも分泌される事も確認され、これまで胃とされてきた分泌がすい臓でも行われていた事も判っています。これまで糖尿病の治療として、薬物でインシュリンの分泌を促す事が行われていましたが、すい臓への負担が大きく、長期の治療には不安が付物でした。今回の発見でグレリンを有効にコントロールできれば、より負担の少ない治療法の確立が行われる事と期待できます。成長、心機能、糖尿病、今後の展開を大いに期待したいと思います。
第669回 視界注意
2006年12月08日
薬剤に関する話をする際、よく話題にするのが砂糖で、「摂取する事で、ほとんどの人に等しく同じ身体反応が発現するもの」という薬剤の規定に合致するという一面の話をします。砂糖は摂取する事で確実に血糖値を上げてくれ、その効き目は薬剤の中でも評価できるものがあり、キッチンに置かれているからという事だけでは侮れないものがあります。
砂糖を含む飲料やお菓子を食べたり、食事を摂ったり、緊張したりと、一日を通して血糖値が上がる場面は多く存在しています。健康な人ならそれほど問題にする事はないのですが、厳しい血糖値のコントロールを行っている人には、一日の中で起こる血糖値の変動にも注意を払う必要があり、血糖値の増減をリアルタイムで知る事ができれば、より健康管理がしやすくなります。
これまで血液検査が中心となっていた血糖値の検査に、画期的な製品が登場しそうという技術開発が発表されていました。メリーランド大学の研究チームが先日開発したという新技術は、涙の中に含まれているグルコースの量によって血糖値の状態を知るというもので、コンタクトレンズに応用する事で常に血糖値を把握する事ができるようになります。
今回開発された技術は、涙の中のグルコースと反応して色が変わるというもので、コンタクトレンズ全体に用いるより視界の中で邪魔にならない場所に半透明のドットを用意し、その状態で血糖値の判断をするというものです。可逆性があるので血糖値が上がっても下がっても、危険度に応じて色を変える事ができ、コンタクトレンズをしている間は血糖値の状態が把握ができるようになっています。糖尿病の患者では、血糖値の急速な低下から意識障害に陥るという危険性がありますが、それを事前に知る事ができるというのは患者にとっては非常に安心できる事ではないでしょうか。今後は血中コレステロールについての応用を開発するという事で、今のところコンタクトレンズとは縁が無い私です、少し気になってしまいました。
第668回 甘い血液
2006年12月07日
血液中の糖分、エネルギー源となるブドウ糖が余分にある状態の高血糖は、健康診断などの血液検査の後に気付く事が多いほとんど自覚の無い症状です。人をはじめ生物のほとんどは、現在のように食べ過ぎに困ったという経験が無い中で進化してきた事から、血液中の糖質が多い状態に対処する方法を一つしか持っていないと言います。
通常の状態では血糖値を上げるグルカゴンと血糖値を下げるインシュリンによって、血糖値は一定に保たれていますが、他にもアドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなど血糖値を上げるホルモンが複数存在するのに対して、血糖値を下げる働きのホルモンはインシュリンしか準備されていません。今日のように身の回りに糖分が溢れている中では、血糖値を下げるためにインシュリンは絶えず大量に分泌されている事が想像できます。
膵臓にあるインシュリンを分泌する器官がそうして酷使されてくるうちに分泌する力が衰えて、インシュリンの分泌量が減少したり、絶えずインシュリンが体内に存在している事で、身体がインシュリンに反応しなくなると、高血糖、やがては糖尿病に陥ってしまいます。糖尿病は多くの合併症を併発しやすい事をはじめ、その怖さは広く知られていますが、糖尿病となる前、それほど顕著に血糖値が高くない状態でも、死亡リスクとしては見過ごす事ができないものがある事が判ってきています。
血糖値が心疾患や脳卒中による死亡におよぼす影響を調べたところ、2001年の一年間に高血糖に起因する死亡者は、糖尿病のみでは95万9000人とされますが、高血糖による心疾患が149万人、脳卒中が70万9000人とされ、合計すると軽く300万人を超えてしまいます。心疾患では21%、脳卒中では13%の人が高血糖が死亡の原因となってしまい、死亡原因の1位となる喫煙の480万人、2位の高コレステロールの390万人に次ぐ順位となり、これまで3位とされてきた肥満の240万人を軽く上回る事になります。高血圧、高コレステロールと同じく、早い時期から気にしておかなければならない、高血糖はそんな怖い状態と考えられます。
第667回 何の数?
2006年12月06日
前回でこのコラムも666回を迎えました。「666」というとホラー映画「オーメン」のヒット以降、聖書に縁の無い人でも「獣の数字」として広く知られる数となっています。私個人としては、ラッキーナンバーである「6」が三つも続く縁起の良い数と思っているのですが、やはり世間的には禍々しいイメージの方が勝っているかもしれません。
666が獣の数字とされるのは、新約聖書の中で預言書として語られる事の多い「ヨハネの黙示録」の13章18節の「ここに知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は666である」という記載が元になっており、ローマ皇帝のネロを指すというのが定説になっていますが、写本によっては616と書かれているものもあり諸説が語られています。先日、エジプトのオクシリンクスの遺跡から発見された最古のギリシャ語による紙片には616と書かれていたそうで、いずれ616が定説となるのではという意見もあります。
聖書ほど大きな話ではなくても、666という数字はユニークな一面を持っているらしく、1の6乗、2の6乗、3の6乗を足すと666になり、最初の7つの素数の2条を足すとやはり666。0から666までの全ての数を足すと222111、偶数だけを足すと111222とになるという数字遊びもできます。また、ローカルな話題としては、兵庫県川西市の郵便番号にあたり、NHK大阪放送のラジオ第一放送の周波数も666kHzとなっています。
身近なところではインターネットのURLで使われるwwwが、wがヘブライ文字の数価で6にあたる事から、666を示しているというオカルトめいた話もありますが、最も私的に身近なのは、日常生活で使っている硬貨を全部足すと666円になるという事でしょうか。さまざまな数字遊びができる点や、同じ数字が繰り返されるという不気味さもあるので、やはり616では666の代わりにはなり得ないような、そんな事を666回目を迎えて考えてしまいました。
第666回 再生最先端
2006年12月05日
進歩が著しく、期待も大きな医療分野の一つが再生医療ではないでしょうか。これまでは事故や病気などで失われ、取り戻す事ができないと考えられていた機能が医療の発達によって、回復する見通しが付くのは何より喜ばしいものです。脳細胞や神経細胞など、これまでは再生不可のとされてきたものが、ES細胞の発見によって補完する事が可能と考えられるようになった事や、他の細胞が機能を肩代わりする事の発見は、大きな進歩として歓迎できるものです。
先日、京都大学の研究チームが、まったく新しい方法で、損傷した神経細胞を再生させる治療技術を開発したと発表していました。事故などで大幅に損傷した手足の神経を元通りに繋ぐというもので、特殊な管を使い、切れた神経細胞を患者の体内で培養して結合しています。腕の神経を切断した切断した患者では、神経を9センチにまで成長させる事に成功し、腕のまひや痛みをなくす事に成功しています。
また、同じく京都大学の別な研究チームでは、右脳に電流を流す事で、左脳の機能を向上させる事を突き止め、脳梗塞などで起こる失語症などのリハビリに応用できるものとしています。この研究は健康な右利きの10人を対象に、左下側頭葉の上に強力な電磁石を当てて脳に電流を流しながら、モニター上に「てがみ」というひらがなを写して見せ、漢字で「手紙」と書き終えるまでの時間を測定します。電磁石を当てていない場合と、左側に当てた場合、右側に当てた場合で計測した結果、今回の機能向上が発見されています。
以前からまひした手足に電気刺激を与え続ける事で、機能回復を促すという治療法が行われ、東洋医学の「鍼」と融合し、鍼を電極として使う低周波通電療法も行われていました。ES細胞を用いた研究も発展し続け、将来的にはさまざまな応用によって機能損失が今よりも怖ろしくなくなる事も考えられます。その後の生活の質に関わる分野だけに、今後の発展に大いに期待したいと考えています。
第665回 大足歩行
2006年12月04日
子供の頃読んでいた時代物の推理小説に、犯人の足跡が左足が際立って大きかった事から、左側に重量が常にかかっている、刀という重量物を腰から下げている侍が犯人というものがありました。日常生活の中で常に重量がかかるという事が、体形に影響を与える事として、当時興味深く読んでいた事を思い出します。実際、成長期の子供の場合、自らの体重が足の大きさに影響を与えるというデータが先日発表されていました。
今回の発表は英国のブライトンで開催された英国足専門医協会の年次集会で発表されたもので、スコットランドの小児200人について検査を実施したもので、54人が肥満、15人が重度の肥満、30人が過体重という内容だったそうです。その中で、重度の肥満の小児は正常体重の小児に比べて足の大きさが横15ミリ、縦18ミリも大きかったそうです。
また、別の研究でも9〜11歳の小児44人のうち半数が肥満という対象で行われた調査で、肥満の状態にある小児は正常体重児に比べて、歩行の際に両足でバランスを保つ時間が長く、片足で保つ時間が短い事が明らかになっています。歩行のパターンが違う事から、肥満児は歩行速度も遅い事が判っています。
こうした足の違いは運動への参加に制限を加える形となり、必ずしも運動をさせる事が良い事ではない、運動を強要すべきではないという事も示唆されています。歩行という機能は、単純に移動に為ばかりに行われるのではなく、足の筋肉の収縮による全身への血液循環という事も考慮に入れると、代謝の低下による消費カロリーの減少という悪循環へ陥る可能性も強く考えられます。成長期の肥満について、改めて考え直さなければならない、そんなメッセージにも取れる研究発表となりました。
第664回 25時
2006年12月01日
最近、季節柄夜明けが遅い事もあって、目が覚める時間になっても日が昇っていません。そうなるとまるで眠気が覚めず、あと1時間あればと思ってしまいます。睡眠時間に限らず忙しくしていると、一日がもっと長ければと思う事は誰にでもある事ではないでしょうか。しかし、どうやりくりしても一日は24時間、それ以上の時間を捻出する事はできません。あと1時間くらい長くても充分対応できるのにと考えてしまうのですが、実際、人間は一日が24時間より1時間長い25時間の方が都合よくできています。
時計がなくても一日のリズムはほぼ一定に保たれ、就寝、起床、食事とある程度決まった時間に行う習慣を維持します。体内時計と呼ばれる仕組みによるものですが、この体内時計、実は25時間の周期で動いています。体内時計に基づいて生活していると、ほぼ一定の日常をおくる事ができますが、微妙なズレが生じてきます。そのズレについてドイツのアショフという学者が研究を行い、外界から遮断された部屋で26人の人に生活を行ってもらい、1ヶ月にわたってデータを取り続け、結果として体内時計の周期が実際に一日にあたる24時間ではなく、25時間であるという結論を得ています。
余分な1時間の存在については謎とされたままですが、現実問題、我々はこの1時間を毎日修正しながら生活する必要があります。体内時計の正体は目の裏側に位置する視床下部の視交叉上核と呼ばれる部分にあります。神経ネットワークによって脳の中心部にある松果体お呼ばれる器官と結ばれ、網膜からの光情報を元に朝の訪れを判断して25時間の一日周期を24時間に習性をかけ、夜になると松果体を刺激してメラトニンを分泌させて、身体に夜がきたという事を知らせて一日周期のリズムを作り出しています。
メラトニンは一日のリズムを作り出す事に欠かせない物質ですが、年齢と共に分泌量の減少が見られます。そのためメラトニンを補う事で一日の周期調整を円滑に行えるようになるのですが、年齢と共に量が減るものを補うという事や、免疫システムを回復させる事で老化を遅らせる事ができるのではという事で、メラトニンは若返りの薬として捉えられ、騒がれた事があります。最近では作用と効能についての理解が進み、睡眠リズム障害や時差ぼけの解消に役立つという認識が広まっています。日本では未認可のため、米国のようにサプリメントとして買う事や、処方薬としても入手する事はできないのですが、米国ではスーパーマーケットでも大量に販売されていますので、旅行者のお土産という形で見かけた方も多いのではと思います。睡眠障害を訴える人は増加する傾向にあり、リズム障害も増えてきている状況の中、まずは朝、毎日決まった時間に起きて強めの光を浴びる。それが大切と明日も起床します。
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