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第701回 特定食材偏向     2007年01月31日

 フードファディズムという言葉があります。群馬大学教育学部の高橋教授が日本では最初に紹介した言葉で、特定の食材の効能を信じ、その食材に偏った食生活をしてしまう事や、逆に特定の食材が身体に悪いとして、その食材を極端に避けるという行動を指しています。最近話題になっていた健康番組をめぐる騒動もこれに起因するものではないでしょうか。

 健康になりたいという願望は、誰にでもある普通の事です。その健康を確保するために怪しげな薬剤に頼るのではなく、日常の食を通して健康を確保できれば理想的な事だと思います。たくさんの食材をバランスよく摂取して、偏りなく栄養を確保する事の大切さは理解できるのですが、それを実践するとなると大変な事です。栄養価が優れた食材で手軽に補う事ができれば、その方がより生活の質を高める事ができるようにも思えます。

 そうした潜在的な願望が適切な状態を超え、強迫観念化してしまうとフードファディズムの状態に陥ってしまうと考えられます。特に栄養過多、高ストレス、運動不足が日常化している昨今、ダイエットの必要性が広く意識される状況下では、容易に食材の効能によって身体の状態を変えたいとする発想は定着しやすく、提供される情報に左右されてしまう事も理解できます。

 植物はそれだけをエサとする生物が増えないよう、一定の毒を供えている事があります。その毒を上手に利用し、身体に良い変化を起こさせるようにしたものが漢方薬をはじめとする自然療法だと思います。そのように食材の中に確かに効能は存在しています。しかし、漢方薬の例を見ても解るように、ある程度の即効性を期待するには非常に濃く煎じるなどして飲用しにくい味になってしまいます。日常苦もなく愛用できるレベルの物では、即効性を期待する事が難しい事が考えられます。

 そうした観点から日常の食材で健康を確保する事に必要となってくるのは、毎日の積み重ねである事だと思います。体感できるほど体脂肪を減らす事ができるのであれば、それはそのまま生活習慣病を改善する薬となる事ができます。食材に過度の期待をせず、即効果が出るという情報を鵜呑みにしない事が、食とその効能に上手に付き合うという事なのかもしれません。

 



第700回 天ぷら異聞     2007年01月30日

 このコラムも今回で700回を迎えました。毎日の日課として淡々と進めているつもりでも、大好きな食と健康、科学技術などに関する話なのでつい力が入ってしまう事もあります。とりあえず700回という事で、何か700に関わりのある話をしたいのですが、700という数字から考えを巡らせると、今からちょうど700年前、1307年の事を思ってしまいます。

 1307年に起こった事というと、世界史の分野でテンプル騎士団の解散というものがあります。テンプル騎士団は中世のヨーロッパで活躍した騎士修道会で、正式名称を「キリストの貧しき騎士にして、エルサレムなるテンプル騎士修道会」と言います。十字軍活動の中で大きな役割を果たし、王族や貴族の財産を預かる中で独自の金融システムを発達させ、国際銀行の元祖ともなっています。

 聖地がイスラム教徒によって奪還され、本来の目的を失ってしまいますが、その後も活動を続けています。やがてフランス王のフィリップ4世の謀略によって解散させられ、禁止されてしまうのですが、一夜にして異端の汚名を着せられ、壊滅させられた背景については、後の歴史家によって多くの検証が行われています。

 そんなテンプル騎士団について、おもしろい話を聞かされた事があります。当時のヨーロッパにおいて異端者とされる事は、生存の危機でもあります。壊滅させられたテンプル騎士団の団員は世界中に散り散りになり、その中には当時大変な話題となっていたマルコポーロの「東方見聞録」に感化され、黄金の国、ジパングを目指した者もいたと言います。渡来した団員を待ち受けていたのは、初めて見るヨーロッパ人に驚き、鬼として退治しようとする日本人でした。

 今日、鬼退治によって鬼が貯めこんだ財宝を得る話が残されていますが、それは当時の進んだ技術で金鉱を掘り当て、海外へ金銀を持ち出してテンプル騎士団の再興を画策する団員でした。また、彼らの進んだ食文化は、当時日本に存在しなかった油を豊富に使った料理法も確立していて、やがて地域に溶け込んでいく過程でそうした食文化が取り入れられ、その料理法に彼らが名乗っていたコミュニティーの名称が使われ、天ぷらとなったそうです。最近、日本文化をコミカルに映像化した作品が話題となっていましたが、この話も似たようなのりで海外向けに作成されていました。事情を知る者には笑える話ですが、日本文化が誤って伝えられないか、どことなく心配になってしまうものもあります。

 



第699回 ポロニウムの煙     2007年01月29日

 ポロニウム・・・キューリー婦人が発見した最初の放射性物質で、当初はラジウムと呼ばれ、放射線量の単位に使われたキューリーの元になっています。ラジウムが崩壊する事でポロニウム218が生じ、これが更に崩壊するとポロニウム214、ポロニウム210が生じます。人工的に作り出されるポロニウム209の半減期は102年とされますが、自然界に存在する状態ではポロニウム210の138.4日という半減期が最長となっていて、核種として不安定である事を示しています。

 このポロニウムが話題となったのは、先日、ロシアの元スパイであるリトビネンコ氏の暗殺に使われた事で、計算上47ng(1億分の4.7g)という計算上の致死量と共に広く知られる事となっています。ウランの300〜330倍の強さの放射能を持つという表現も見られますが、実際はウランの100億倍の比放射能を持っているとされます。それだけ毒性が強そうに感じられるポロニウムですが、特徴としてアルファー線しか出さないというものがあります。アルファー線は透過性が高くなく、皮膚の角質層を透過する事ができないので、身体の外部からの被曝の危険性は低く、致命的な被曝は内部からとされます。

 半減期が短く、昇華性が高いポロニウムは取扱いも困難で、非常に高価とされます。実際、リトビネンコ氏の暗殺に用いられた量を合法的に購入しようとすると、購入金額は46億円にものぼるといわれています。そんなポロニウムに被曝する機会が身近にある事が先日、ニューヨークタイムズの記事に掲載されていました。同紙の記事によると、ポロニウムがタバコに含まれていると一日に1箱半のタバコを吸う喫煙者は、約300回のレントゲン照射を受けている事に等しい状態にあるとしています。

 タバコのポロニウム汚染については、実は以前から噂として伝えられていました。タバコ業界では1960年代から、すでに相当量のポロニウムが含まれているという事を知っていたとされ、タバコによる発ガンの一番の原因とする意見もありました。今回の報道はそれを表に出した感じになるのですが、ポロニウムがタバコに混入する経緯については触れられていません。しかし、ポロニウムはリン酸塩と強い親和性がある事から、タバコがリン酸化学肥料を多く使用する事や、大気中の汚染物質を吸着する部分を持つ事から、大気中のラドンガスがタバコに入り、崩壊してポロニウムになったという考え方もできます。繰り返された核実験や原発、劣化ウラン兵器の影響と考えると怖ろしさを感じずにはいられません。

 



第698回 雑感、小麦粉     2007年01月26日

 小麦粉を空気中に放出して一定の濃度で浮遊させていると、火花などによって引火した場合、大爆発を起こす事があります。粉塵爆発と呼ばれるこの現象は、燃焼が可能で空気中に一定の濃度で舞う事ができる物質なら、何でも起こす可能性があります。小麦粉は粒子の細かさや燃焼性、一般的に広く出回っている事などから考えると、比較的粉塵爆発に繋がりやすい物という事ができるのかもしれません。

 爆発というと化学工場や花火製造所などを連想しますが、そうした施設よりも小麦粉を扱う工場の方が多く爆発事故を起こしているという話や、爆発の規模などを聞かされてからは、私の中では密かに小麦粉は危険物として位置付けられています。

 そんな小麦粉ですが、通常は強力粉、中力粉、薄力粉といった種類が知られています。細かな分野に入り込むと強力粉と中力粉の中間の粘りを持つフランス粉や、準強力粉などの名前が出てはくるのですが、基本的に3種類に分けられ、それらは含まれているタンパク質の量によって分かれてきます。

 穀物を主食とする意味は、植物が蓄えたデンプンをはじめとする炭水化物を摂取する事にあります。主食となる穀物の中で小麦の特徴はタンパク質を含んでいる事で、このタンパク質はグルテンと呼ばれています。グルテンは小麦粉の中に直接は入っておらず、水を加え、よくこねる事で貯蔵タンパクであるグリアジンとグルテニンが反応してグルテンとなります。

 小麦粉に水を加えてよくこねた物を水で洗い流すと、水溶性タンパク質とデンプンなどが流出するので、グルテンのみ取り出す事ができます。小麦粉に水を加え、こねて作られる「麺」は、このグルテンによって生地に粘りが作られた物で、「麩」は洗い流して取り出したグルテンに再度デンプンなどを加えて焼き上げた物。また、酵母エキスやしょうゆで味付けし、肉のように加工されたグルテンミートもこのグルテンから作られ、こうした加工性の高さが小麦を穀物の王様と呼ばれるものにしています。

 



第697回 泡卵     2007年01月25日

 卵料理というと膨大な数が存在していますが、その中で玉子焼きは定番中の定番メニューの一つであり、比較的シンプルな料理ではあるのですが、それだけに難しいものがあります。美味しく作るコツについても諸説が存在し、科学的な検証を行っても今一つ説得力に欠けるものもあります。

 卵料理の有名店や一流料亭の料理人の方に話しを聞いても、卵を混ぜるという出発点から違いがあり、よく混ぜるというやり方から、ほとんど混ぜないというものまであり、玉子焼きをふっくらさせる元を焼き上げる段階で形成されるという星型結晶に求めるのか、取り込んだ空気なのかという点でも意見が分かれてしまいます。

 卵を混ぜると卵白に含まれるタンパク質が空気を取り込み、表面積を小さくしようとする力から球形になって泡を形成します。同時にタンパク質は空気に触れる事で変質し、泡を持続させやすい状態になります。通常ではこのタンパク質の膜は油分が混じると壊れやすくなるのですが、油分を多く含む卵黄にはレシチンが多く含まれているので油分がタンパク質の邪魔をする事がなく、卵黄、卵白が混ざった状態で泡立てる事が可能となっていて、卵は泡立てやすい素材となっています。

 卵が泡立てやすい性質を持っているとしても、しっかりと泡立ててしまうと卵白が細かく切れてしまい、焼き上げた際にタンパク質による星型の結晶構造ができなくなってしまいます。この星型結晶にダシや旨味が取り込まれて、玉子焼きがふっくらと美味しく仕上がると言いわれているので、この星型結晶を最大限に形成させるには、卵は一旦箸で卵黄をほぐし、全体を5回程度しか混ぜない事とされます。

 ふっくらの元を泡とする意見では、しっかりと卵白と卵黄が混ざった状態に混ぜる事が多く、混ぜる道具も箸より泡だて器によるものが多く見られ、しっかりと空気を全体に含ませています。泡によるふっくらの確保は、泡立てが不均一だと冷めた際に大きい泡が玉子焼き自体の重みで潰れ、ダシや旨味を放出してしまったり、食感が悪くなったりしてしまう事が考えられるので、泡立ては乱雑にならないように、細かな泡が全体に均等にいきわたるように気を使う必要があります。そのような感じで、卵の混ぜ方一つにもいろいろな事が考えられるところが、卵料理の奥深さなのかもしれません。

 



第696回 高騰影響     2007年01月24日

 原油は単に燃料としてだけではなく、原材料でもあるという一面を持つ事から、原油が高騰する事はさまざま影響を及ぼす事は想像に難しい事ではありません。そんな原油高騰が続く中、代替燃料への転換が模索されていますが、その中で重要な位置を占めるものにエチルアルコールの存在があります。

 これまで日常的に接してきていたエチルアルコールと言えば、お酒か消毒、化粧品程度のものでしたが、代替燃料を考える上では欠かす事のできないものとなってきています。アルコールを燃料とする事は、化学の実験で使うアルコールランプや、コーヒーを入れるサイフォンで使用する程度しかなじみがありませんが、日本でも広く知られた米国のレース、インディで使われているレースカーはアルコールを燃料としています。

 すぐにアルコールを燃料とした車に切り替わる事は現実的な事としては捉えにくいものがありますが、実際、原油の使用量を減らすためにガソリンにアルコールを添加する案が検討されており、環境に優しいとされる廃油を使ったディーゼル燃料を作る際にも、触媒としてアルコールは不可欠なものとなっています。

 そうしたアルコールの需要が高まる中、その主要な原料としてトウモロコシの値段が高騰をはじめ、先物取引所ではこの10年で最高値を記録しており、今後も高値は続くと考えられています。トウモロコシが高騰しても年間を通して食べる機会と言えば、夏場の焼きトウモロコシや冷凍食品や缶詰の水煮コーン、スナック菓子の原料に滅多に使わないコーンスターチ程度しか思い浮かばず、大した影響はなさそうな感じがするのですが、食という分野には非常に大きな影響が考えられます。

 トウモロコシは直接食べるよりも、飼料として食に関わっているという一面があります。牛や豚、鶏の配合飼料として使われている事から、関連した肉、乳製品や卵の価格にも少なからず影響し、甘味を作り出すシロップもトウモロコシから作られています。意外なところでは食品を運搬するために使われているダンボールを製造する際、紙を貼り付ける糊の原料にもトウモロコシは使われています。

 アルコールを100リットル製造するのに使われるトウモロコシの量は、一人の人を1年間充分に養う事ができるのに相当すると言われ、今後の燃料への転換によって食糧事情の悪化、生産力向上のみに主眼を置いた原生林の伐採など、今後多くの問題に発展するのではないか、トウモロコシ高騰のニュースにそんな事を考えてしまいました。

 



第695回 犬用肥満薬     2007年01月23日

 最近、広告を興味深く見ていたのは、大手食品メーカーのペットフード市場への参入でした。特に犬の肥満に対応したダイエットフードの広告が面白く、以前から懸念されていたペットの過体重の問題も一つの市場を形成するほどにまで深刻化したのかと、興味深い中にも嘆かわしいものを感じつつ見ています。

 過体重の犬や猫のためのダイエットフードは、ドライフードを中心にこれまでも多数存在していました。特に健康を気遣うプレミアムフードは、割高にも関わらず販売数を伸ばし、飼い主の関心の高さが伺えます。しかし、そうした低カロリーのドライフードは、あまり食べる側には好まれないという傾向があり、人もペットもダイエットは難しいものという印象があります。

 通常、ドライフードは本来犬や猫が好まない穀物を主原料に作られています。それに味や香りを吹き付けて好まれるようにしているので、ちょうど私達が日常接しているスナック菓子の製法と同じと言えます。味付けに使われるシーズニングの部分である程度のカロリーを調整する事ができるのですが、この部分を低カロリー化する事は味に影響が出てしまい、コクの無いパサついた感じの仕上がりになってしまいます。

 せっかくのダイエットフードも受け入れられないと意味がないので、既に米国では犬用の肥満薬が承認されています。ファイザー社による処方薬、ステントロールは犬の食欲や脂肪吸収能力を抑制する働きがあり、通常の食事を与えながら投与する事ができます。米国でも過体重のペットが問題となっており、飼犬の30%が過体重の状態で、特に5%は理想体重を20%も上回る肥満の状態にあると言われます。飼い主の中には過体重である事に危機感が薄く、逆にその状態を好む傾向がありますが、過体重は人の場合と同じように心血管疾患をはじめ関節障害、糖尿病などの発症リスクを高めてしまいます。安易に薬剤で解決しようとする事には疑問がありますが、健康に直結する事でもあり、良い方向へ向かう事を期待したいと思います。

 



第694回 三文の得     2007年01月22日

 昔から「早起きは三文の得」という諺があります。早寝早起きを心がける事で、さまざまな利益がある事を示したものですが、実際はどうなのでしょうか。最近儲かっている業界といえばIT産業ですが、こちらは夜が遅く、結果的に朝も遅いイメージがあります。

 人間には体内時計が備わっていて、12時以前に眠ると成長ホルモンの分泌が円滑にいく事が知られています。成長ホルモンとは無縁な年齢になっても、成長ホルモンの分泌にはかなりのカロリーを必要とする事から、ダイエットには有効と考える事ができ、ダイエットに要するエネルギーやコストを考えると、確かに早寝早起きは得がある感じがします。

 実際に早寝早起きを実践しようと思っても、難しいものがあるのですが、家族性睡眠相前進症候群(FASPS)は一種の睡眠障害として早寝早起きが行われてしまいます。最も極端な症例では午後4〜5時に眠りにつき、午前1時に目覚めてしまうとう事が恒常的に続けられています。原因は遺伝子の突然変異で、人口の約0.3%がこの突然変異を持っているとされます。

 この遺伝子は、体が朝の光に反応して中枢時計をリセットするのに必要な遺伝子とされ、突然変異体では、この遺伝子が酵素による化学変化を受けることができない事が突き止められています。そのためこの遺伝子の発現コピー数が減少すると、睡眠パターンが変化してしまうとされ、より詳細なメカニズムが解明されれば最終的には体内時計をリセットする方法の特定に繋がり、交代勤務や時差による睡眠障害を治療する新しい薬剤の開発の可能性が出てくるとされます。体内時計については未解明な部分も多く、研究は難航しそうですが、睡眠に関する関心は非常に高いので、今後の展開に期待したいと思います。

 



第693回 悪夢問診     2007年01月19日

 世界中にさまざまな医学誌が存在し、それぞれの分野に分かれて専門性を特化したものが発行されています。「Sleep」はそんな中でも睡眠に特化した内容で、この分野の関心の高さを伺う事ができるものとなっています。

 そんなSleepの新年号に興味深い記事が掲載されていました。スウェーデンの大学病院に勤務するシプトロム博士による研究で、睡眠障害や悪夢が自殺未遂と強く関連している事が示されていました。

 シプトロム博士による研究は、自殺未遂で同病院に入院した患者165人について調べたもので、対象者の89%が何らかの睡眠障害を訴えており、なかでも睡眠継続困難、悪夢および早朝覚醒が最もよくみられたそうです。悪夢があると、自殺傾向が高まるリスクが通常の5倍にも高まる事が判ったと言います。

 今回の研究結果は、悪夢と自殺未遂の因果関係を証明する類のものではありませんが、自殺傾向のある患者を診察する際に、睡眠障害、特に悪夢の存在について尋ねる必要がある事は確かにしています。

 悪夢は誰にでもありえる事で、少なくとも時々は見るものです。年齢とともに見る頻度は少なくなると言いますが、悪夢があり、それによって長期にわたる不安や頻繁な睡眠の妨げが生じる場合は、身体が何らかのサインを出しているという事も考えられます。生きる意欲が失われないよう、早めに注意する事が必要なのかもしれません。

 



第692回 園芸肺炎     2007年01月18日

 ガーデニングがブームとなり、既にかなりのレベルで定着しているように思えます。中には単にホームセンターで購入した物ばかりでなく、さまざまな素材を自分で用意されるという方もおられ、本格的に取り組みが行われている事と思います。

 植物に与える肥料についても自ら手作りした有機肥料を使うという方も増え、庭に積もった落ち葉を集めて作る事ができる腐葉土などは、最も手軽な手作り肥料となっているのではないでしょうか。

 腐葉土を使うという事は、植物が取り込んでくれた二酸化炭素を、落ち葉を燃焼させる事で大気中に再放出することを防ぎ、地球温暖化という観点からも良い事であり、化学合成された肥料よりも安心して使える物でもあります。

 しかし、単純に落ち葉を集めて自然に腐敗させただけの物であっても、意外な危険が潜んでいる事があります。最近、腐葉土のレジオネラ菌による汚染の懸念が聞かれるようになってきました。

 多くは海外から輸入された粗悪な腐葉土ですが、国内で自作した腐葉土にもレジオネラ菌による細菌汚染の懸念はあります。レジオネラ菌というと、循環型銭湯やクーラーの室外機の問題などで身近な病原性菌として知られています。ガーデニングの後せきや高熱に加えて、衰弱が激しく、病院で集中治療を受けたが、回復しなかったという死亡例も報告されているので、充分な注意も必要です。

 レジオネラ菌は日和見感染菌という性質でも知られ、免疫力が下がっている際に感染が起こってしまいます。充分な体調管理と事前に土壌中の病原性菌の存在について注意が必要なのかもしれません。

 



第691回 考察、減量薬     2007年01月17日

 最近、健康に関する話題になると、特に男性が多いのですが会う人毎にメタボリックシンドロームの話になってしまいます。私的には基準が適正とは思えないので、それほど気にする必要はないと思うのですが、定期的な健康診断によって検査数値に異常が示される事は、あまり気分が良い事でないのは確かだと思えます。それほど大きく検査数値を超えているのでなければ、体重を少し減らす事でそうした数値的な異常は大幅に解消できる事から、ダイエットの薦めとなるのですが。各個人差があり、一様に推奨できる方法がない事が、ある意味ダイエットの難しさなのかもしれません。

 一般的に摂取するカロリーを制限し、消費するカロリーを大きくする事で脂肪を減らす事は可能なのですが、それが長期にわたると身体の方がそれに対応するようになり、一定の状態から進まなくなってしまう事が起こってきます。そのためにダイエットの恒常的な成功というのは難しく、さまざま手法が氾濫する事となっています。

 日本ではダイエットというと食品やお茶、サプリメントが多く用いられているのですが、ダイエット先進国の米国では処方薬が用いられる例が多いようです。そうした処方薬の使用に関して、長期的なリスクとメリットについての再検証が行われていました。

 英国の医学誌「ランセット」に掲載されたレポートでは、現在使われている減量薬の多くにいくつかの心血管系危険因子を改善させる効果がみられたものの、一部の患者では血圧が上昇する事などが判ったそうで、穏やかな減量効果はみられるもののそれによって過体重や肥満による心臓発作、脳卒中および糖尿病のリスクが本当に軽減するかを判断するには、さらに長期的な研究が必要だと報告されています。

 また、レポートの作成にあたったパドウェル博士は、減量薬を処方する最終目標は美容的なものではなく、健康状態を改善させ心血管疾患のリスクを低下させることだと指摘し、医師は処方にあたってそれが患者にとって有益か、リスクを高める事に繋がるのかを充分検討する必要があると述べています。一部の薬剤には重大な副作用の懸念もあり、肥満は薬剤で解決できるものではなく、毒性や副作用による大きな犠牲なくしては、薬剤でヒトの代謝作用を根本的に変えることができるとは考えられないという意見もある事から、やはりダイエットは薬剤によって楽にできるものではなく、何らかの努力を必要とするものだという事でしょうか。

 



第690回 安全?牛     2007年01月16日

 BSE(牛海綿状脳症)は1988年の発症確認以来、多くの問題を提起してきたように思えます。合理性という名の下に牛由来の飼料を牛に与えるという不自然な肥育を行ってきた事や、流通の検査体制、輸出入をめぐる政治問題、企業倫理など日常的な食というものを離れたところへも波及していった事からも、BSEの問題の多様性が伺えると思います。

 現在、完全な定説とはなっていませんがBSEの発症には、プリオン説が最も有力な原因説とされ、感染能を持った異常プリオンが体内に取り込まれ、正常なプリオンを変質させる事が発症のメカニズムと考えられています。この異常プリオンは非常に頑丈で、国際基準による不活性化には、133℃の高温で3気圧、20分のオートクレーブによる熱処理が必要とされています。

 オートクレーブは実験用の殺菌などを行う機材で、構造的には圧力鍋と同じなのですが、家庭にある圧力鍋ではかなり性能の良い物でも2.45気圧で128℃というのが限界となっている事から、通常の調理で異常プリオンを不活性化させて安全な状態にする事は不可能と考えられます。

 プリオン自体にも未解明な部分がある事から、BSEの治療や予防法の開発を含め、さらに研究を進める必要があり、そうした研究のために遺伝子操作とクローン技術の併用によってプリオンを持たない牛が開発され、生後19ヶ月の段階でも健康でいかなる外見上の発達異常も認められない事から、実用化の段階に入ってきています。

 すでに専門家の間ではBSEを起こさない牛として産業的な生産への言及もあり、コスト的な面をクリアできるのであれば将来的な可能性としては充分にありえる事ではないかと思われえます。そうなった場合、遺伝子組み換え、クローニングに伴う安全性の問題、プリオン原因説の正当性、感染に注意する必要が無くなる事から肉骨粉飼料の使用再開など、新たな多くの問題が発生してくる事も考えられます。ラットを用いた実験では、プリオンを持たない個体では脳神経細胞の発達に影響が見られた事から、19ヶ月という月齢の適切性も含め、やはりBSEは今後も多くの問題を提起し続けるのかもしれません。

 



第689回 25年史(後)     2007年01月15日

 1981年に正式に報告されたAIDS(後天性免疫不全症候群)は、その4年後に米国アトランタで第一回国際エイズ会議が開かれる頃には、世界のあらゆる地域でHIV感染者が確認され、広く世界中に知られた感染症となっています。それからはさまざまな対策会議や研究者のネットワークが組織され、未知の病への対策が急速に進められていきます。

 HIVに感染すると、本来感染症から身体を守る免疫機能が役に立たなくなり、風邪などの一般的な他の感染症に罹っただけでも死に至る可能性が極めて大きくなります。致死率が高く、治療法もない病気として各国で研究が進められる中、1987年に世界初のエイズ治療薬が承認されます。AZTと呼ばれる新しい治療薬は、HIVが体内で免疫に関係したT4細胞に特異的に感染して破壊し、免疫不全を起こしている事に着目したもので、HIVが逆転写酵素を使って自らのRNAをDNAに変換する事を阻害する作用があります。

 その後、抗レトロウィルス薬としてDNAの中へ取り込まれ、DNAへの転写を不可能にする核酸系逆転写酵素阻害剤をはじめ、細胞内で逆転写酵素と結合して逆転写酵素を使えない構造に変えてしまう非核酸系転写酵素阻害剤。HIVの構造タンパクと酵素を作らせないようにしてしまうHIVプロテアーゼ阻害剤などが相次いで開発され、それらを効果的に組み合わせて使うHAART(多剤併用療法)の登場で、エイズは死の病から不治の病へと変わっていき、発症率と致死率が大幅に抑えられていきます。

 HIVは怖ろしいウィルスではありますが、非常に抵抗力自体は弱く、56℃で3分も茹でると感染力を失い、80℃で死滅します。梅酒などに使われるホワイトリカーくらいの濃度のアルコールでも消毒でき、カビ取り剤の次亜塩素酸Naでも対処できます。しかし、一旦体内に侵入させてしまうと、HAARTによって発症を抑える事が治療の中心となり、ウィルス自体を根絶する事はいまだ難しい事となっています。

 そのため、一刻も早い新たな治療法の確立が待たれるのですが、エイズの25年はさまざまな問題を浮き彫りにした時間だったようにも思えます。当初の感染者が同性愛や麻薬中毒に関連していた事による病気自体への偏見や、感染症への怖れからくる無理解や薬害の問題。中でも最も懸念されるのは、新薬開発という多大なコストを投入して開発を行ってもすぐにコピー薬が作られ、人道上の観点や経済的な理由から特許による充分な権益が得られないという図式が定着してしまった事です。せっかく多大な費用と時間を投入して開発しても、すぐにコピーされてしまうのでは、企業の開発意欲自体が低下してしまう事は容易に想像できます。知的所有権に関する問題化はグローバル化が進む中、薬剤に限らず多くの場面で見られてきましたが、多くの人命に関わる事だけに良い解決の糸口が見つかる事を祈りたいと思っています。

 



第688回 25年史(前)     2007年01月12日

 昨年、ある病気が正式に報告されてから25年が経過しました。1981年に初めて報告されたこれまでの常識を覆すその病気は、翌年1982年「後天性免疫不全症候群(AIDS)」と銘々され、正式に症例の定義が定められます。それから25年、昨年提出された国連のアナン事務総長の報告書では、これまでに6500万人がHIVに感染し、そのうち2500万人が死亡したとされています。この2500万人という数字については、20世紀最大の悲劇とされる第一次、第二次世界大戦の戦死者数の合計よりも多い死亡者数となっています。

 報告書にも書かれているように25年前にエイズの流行が初めて確認された当時、これほど甚大な被害を世界に与える事になると想像する人はほとんどいなかったでしょう。1981年6月、米国で感染症への対策などを統括する米国疾病対策センター(CDC)が毎週発行しているレポートに、カリフォルニア州で5名が感染したとする奇妙な症例が報告され、これがエイズに関する最初の公式な症例報告となります。

 実際にはヒト免疫不全ウィルス(HIV)の最も古い発見は1959年にまで遡る事ができます。コンゴ共和国のキンシャサ(当時のレオポルドビル)で男性から提供された血液サンプルから見つかった物が最初のHIVとされています。それが海を渡り22年後の1981年に正式に米国で症例として報告され、翌年には世界的に知られる事となるエイズの名前が付けられる事となりますが、この時点では誰も世界的な流行となる事は想像もできず、奇妙な病気として一部の話題に上る程度に留まっていました。

 1983年、フランスのモンタニエ博士の研究グループがLAウィルスの分離に成功し、このウィルスが後にヒト免疫不全ウィルス(HIV)として知られる事となります。この時点で発見地のアメリカから遠く離れた中部アフリカでは、主に異性間性感染症としてエイズの流行が明らかとなり、1984年には米国のギャロ博士によってHIVがエイズの原因として特定され、1985年には世界の全ての地域で最低1件の感染症例報告がされた事で、エイズの流行が世界規模で拡大している事が確認されます。米国とヨーロッパでHIV抗体検査が認可され、献血血液に対するHIVスクリーニング検査が始まり、米国ジョージア州アトランタで第一回国際エイズ会議が開催されたこの1985年が、広く知られたエイズ元年という感じがしてしまいます。

 



第687回 針の追放     2007年01月11日

 病院という事からイメージする事に注射というものは欠かせない事のように思えてしまいます。子供の頃なら恐怖の対象であり、病院に行きたくない理由の上位にランクされるのですが、大人になってくるとそれだけですめばと安直に安心できる医療行為の一つになってくるのではないでしょうか。実際、注射、特に皮下注射針を用いるのは、とにかく安価である事や医療現場での定着もある事から日常的に行われています。

 注射は、注射針によって意図する場所に小さいとはいえ穴を開ける事から、患者の苦痛を伴うものであり、できれば避けたいという思いは誰にでも共通する事かもしれません。そのため、皮下注射を行わない技術というものが、さまざまな製薬会社で研究されていますが、経口薬ではどうしても難しい部分が生じてしまうというが現状のようです。最も難しいのは、インシュリンや成長ホルモン、モルヒネ、ワクチンなどの比較的大きな分子構造を持つ薬剤は、体内に留めておく事が非常に難しいという事があります。

 経口薬として飲用した場合、吸収されて血流に乗る前に消化されてしまったり、分解されてしまいます。吸引法を用いても多くが肺から吐き出されてしまい、充分な投薬のコントロールを行う事ができません。それに対し、薬剤を肺の上部を通過して吐き出せないくらいの小さな微粉末にまで凍結乾燥した粒子として、吐き出してしまう事を防ぎ、肺の深部で破裂してインシュリンを放出するという技術が開発されています。同じような技術では、凍結乾燥末ではなく霧状にした薬剤を集積回路を装備した吸入器で、投与量の微調整を行いながら断続的に行うというものもあります。

 興味深いところでは、食品に粘りやクリームなどの泡状食品にふんわり感を出すために用いられている食品添加物の増粘多糖類を使用したもので、小さな錠剤を飲用すると胃の中で膨らみ、500円玉くらいの大きさになります。そこまで大きくなるとほとんどの薬剤が吸収される胃腸管の上部を通過する事ができなくなり、その部分に留まる事となります。その状態でゆっくりと薬剤を放出するので、薬剤の分量と副作用をより少なくする事ができ、直接吸収される部位で薬剤の投与が行える事から、通常は静脈注射を行わなければ血流に乗せる事が不可能とされてきたペプチドやプロテインでも血液中に投与する事ができるようになります。錠剤が詰まる感じで、想像すると少々気持ちの悪いものはあるのですが、静脈注射の不快感よりはましかもしれないと、実用化に期待してしまいました。

 



第686回 魚油推奨     2007年01月10日

 魚由来の油、魚油にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富で、健康に有意に働くという事は非常に良く知られた事です。血液中のコレステロール値を改善し、血液関連の疾患を予防したり、神経細胞の細胞膜を柔軟にして繋がりを良くし、記憶力を向上させるなどが特に話題になった事から、生活習慣病が気になりだしたら日頃から魚食を心がけるという話も聞かされます。そんな魚油の健康効果は、既に妊娠中から始まっている事が先日発表されていました。

 針の穴に糸を通すという作業は人によって程度の差はありますが、日常的に行われる事でもあります。普段何気なくやってはいますが、実は非常に複雑なプロセスを経て行われています。対象の針と糸に対して、左右の目というわずかに位置関係が異なる器官による微妙な差から距離感を得て、極小の針の穴にほぼ同じくらいの太さの糸を通す事ができています。妊娠中に魚油のサプリメントを多く摂取する事で、生まれてくる子供にこの針に糸を通す視覚と手の動きの協調関係が優れた子供が多くなるという研究結果が得られています。

 一般的に魚油にはオメガー3系の脂肪酸が多く、オメガー6系の脂肪酸と同様に体内で欠かす事のできない必須栄養素となっています。特にオメガー3系の脂肪酸は、ホルモンバランスから免疫機能まであらゆる健康面で影響を及ぼすとされ、胎児の眼や脳の発達にも大量に使われ、小児の初期の発達にも重要と考えられています。今回の研究はそうしたオメガー3系脂肪酸の胎児の視神経や脳細胞形成への影響を示したものと考えられ、生涯を通して魚油を愛用する必要性を認識させてくれます。

 今回の研究結果について専門家は視力、協調運動、認知力のいずれに対する効果を示すものなのかは未だ明確ではないとしていますが、乳幼児の健康にオメガ−3系脂肪酸が重要であることは確かだと述べ、適用量や妊娠中の摂取による長期的な影響を明らかにするにはさらに研究を重ねる必要があるとしています。しかし、今回の研究データは妊娠後期20週に比較的高用量の魚油を摂取しても安全であるばかりでなく、有益な効果が得られる可能性を示しており、研究にあたったオーストラリアのウェスタンオーストラリア大学の研究スタッフでは、既に妊婦にも妊婦でない患者にも1gの魚油を含むサプリメントを1日2回摂取するよう勧めるそうです。脂肪酸がおよぼす身体的な影響については、ビタミンほどには知られていない事から、どちらかといえば遅れた感があるだけに今後、さらに研究が進められる事を期待したいと思います。

 



第685回 30種改名     2007年01月09日

 先日、日本魚類学会より差別的な言葉を含む魚の標準和名を改名する旨の発表が行われていました。見聞きした人を精神的に傷付けたり、不快感を与えたりする事が考えられる事や、それを配慮した博物館や水族館などで別名への言い換えが行われる際、統一されたものがないために混乱が生じる事を防ぐためという判断からで、今月中にも正式な発表が行われるそうです。今回の発表では詳細について触れてはなかったのですが、日本魚類学会標準和名検討委員会が差別的な言葉と判断した「メクラ」「オシ」「ミツクチ」などの9つの単語を含む魚で、日本産の魚類約3900種のうち30種が対象となると言います。

 生物の分類を行う際、「属」「科」「種」と細分化されていくので、対象は30種でも最終的には49の標準和名が改名されるとされています。改名に関する拘束力は学会内部にしかないため、博物館や水族館などへは新しい標準和名を使用するよう呼びかける程度になってしまいますが、改名に至った趣旨から考えるとすぐに採り入れられていくのではと考えられ、動物や昆虫の仲間にも同じように差別的な言葉を含む標準和名がある事から、魚類学会内部に留まらず、さまざまな学会への影響も及ぶ事と思われます。

 一例として「バカジャコ」「イザリウオ」の名前が挙げられていましたが、どちらかと言うとバカジャコでは聞いた人に精神的な苦痛を与えるより、その名で呼ばれるジャコの方がかわいそうになってしまう事や、イザリウオでは「いざる」という言葉に日常的に接していなければピンとこないものがあります。いざるは「居去る」が元となると言われ、本来は肯定的な意味で用いられてきました。居ながらにして去るという文字が示すように、立ち上がって歩く訳でもなく、中腰や這う訳でもない移動を指す言葉ですが、動作が明確ではない事から膝で移動する事や這う事と混同される事もあり、「膝行」と当て字を用いたりする事もあります。

 膝を使って移動する事に関しては、居合いの流派によっては座った状態から移動し、その気配を悟られないまま間合いを詰める手立てという有効な手段の一つとされる事さえあり、やはり肯定的な意味合いを持っています。また、イザリウオの語源に関しては、吻の上部のルアーに似た部分を使って小魚などを引き寄せ、文字通り漁を行う事から漁(いさり)魚が語源となったとする説もあり、一様に改名してよいものか語源を知るという楽しみを持つ私からは疑問が生じてしまう事もあります。

 以前、知り合いが差別的とされる言葉が置き換えられていく事で、古典落語に支障が出るとして、文化の保護という意味から嘆いていた事が少し頭を過ったので、今回の改名発表に関しても思わず小姑のような突っ込みが浮かんでしまったのですが、確かにその言葉によって不快感が生じる可能性があるのであれば改名するというのも良い事かもしれません。できれば旧名称とその由来が図鑑には付記されていれば、より楽しめるのではと考えてしまうのですが...。

 



第684回 新年の食     2007年01月05日

 無事に新年を迎え・・・子供の頃は時間さえ経てば新年など巡ってくるのだから、無事に迎えられるのは当然と思っていましたが、年を重ねるにつれ何事もなく健康で新年を迎える事のありがたさが解ってきた気がします。そんな新年を迎える準備、そして新年を迎えられた感謝や新しい一年を良い年にするために、暮れから新年にかけては年越しそばやおせち料理など、定番の料理がたくさん並んでいます。各地方によって差異はありますが、新年の食といえばある程度の想像が付きます。それ以外で何か変わった物をと見回してみると、スーパーのバイヤーの方から聞かされたところでは、某食品メーカーのキャッチコピー「おせちもいいけど・・・」が定着しているとかで、この時期カレーの売上が大きく伸びるとの事で、新年の準備としてカレーの仕入れを増やすそうです。

 新年に関する食べ物で、日本でもなじみの深い物で何か意外な物はと見てみると、新年とはかなり結びつきにくい感じですが、餃子などいかがでしょうか。中国では餃子は新年になくてはならない食べ物とされています。テーブルの上の物は食器以外、すべて食べてしまうと評される中国で、「餃子ほど美味しい物はない」と俗話があるほど餃子は好まれ、縁起も良いとされる事から、新年には不可欠な食べ物としてかなりの歴史を持っています。

 餃子が最初に文献に登場するのは、三国時代、魏の張揖着が書いた「広雅」に「餛飩」という三日月の形をした食べ物が登場し、それが現在の餃子のルーツと見られています。南北の時代には「雲呑は半月形で、天下共通の食べ物」という記載が現れ、広く庶民の間でも食べられていた事が確認できます。但し、この時代の餃子は、現在のような焼いて調味料を付けて食べるというより、お湯に入れて茹で上げ、そのまま味付けをして食べるという水餃子に近い物であったようです。そのため、餛(混)飩という名称が使われていました。

 餃子が現在のスタイルになるのは唐の時代に入ってからで、お湯で茹でた物を取り出し、調味料を付けて食べるようになります。その後、宋の時代に入ると「角児」という呼び方がされるようになり、餃子の名前の元とも言われています。元、明、清と角児は受け継がれていきますが、元の時代には「扁食」という呼び名も使われ、沈榜の著書、「宛署雑記」に「元旦に新年の挨拶をし、扁食を作る」という一文が登場し、劉若愚の「酌中志」にも「正月一日は元旦であり、果物、点心、即ち扁食を食べる」とある事から、新年の食として定着していた事が伺え、清の時代以降、餃児、水点心、餑餑と呼び名が急速に増える事から、餃子がより広い地域に普及した事も確認できます。餃子の餃の字は年の交代である「更歳交子」を表し、子は子の刻(夜12時)を示しているので、文字通り新年の食を表していると言えます。年越しそばを食べて除夜の鐘を聞き、日付が変わったら餃子、いかがでしょうか?

 



 

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