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第720回 黄鶏     2007年02月28日

 最近はあまり使わなくなった感じがしますが、日常的に「かしわ」という言葉を使っていました。漢字で表記すると「黄鶏」となるそうですが、鶏肉を指す言葉です。部位で表す方が料理がしやすい事もあり、鶏胸肉やささ身などの言い方が増え、自分でもいつの間にか使わない言葉になっていた事に気付きます。

 このかしわという言葉は西日本特有らしく、東日本ではほとんど使われないと聞かされた事があります。かしわの語源に関しては諸説があり、古いところでは聖徳太子の時代にまで遡るという説もあり、それぞれが興味深いものとなっています。

 日本の国教が仏教と定められた際、仏教の教えによって肉食が禁止され、それまでの食生活の大幅な変更が余儀なくされてしまいます。古来から親しんできていた肉食を急に止める事は、魚介類が豊富に確保できる沿岸部を除き、タンパク質の確保という点では大変な問題でもあります。

 そのため植物名を付ける事で禁止された肉食への抵触を回避しようとする生活の知恵が生まれたとされます。猪の肉は赤身が強く牡丹の花に似ているとされる事から「牡丹」、やや色が薄めの馬肉は「桜」、鮮やかな赤い鹿肉は「もみじ」と表され、鶏肉は紅葉した柏の色にたとえられて「柏」となりました。その名残りから鶏肉はかしわと呼ばれるとされます。

 別な説では在来種の鶏は羽毛が茶褐色であった事から、「褐色羽」と書いてかしわと読んだというものもあります。時代的にはかなり後になるのですが、肉食用の鶏として輸入されたブロイラーが一般化しはじめた際、ブロイラーの白い羽毛と区別して在来種の茶褐色の羽毛を柏餅に使われた葉の色に似ている事からかしわと呼んだとも言われます。

 文献によるとかしわが鶏肉のみを指すようになったのは、19世紀の中頃以降とされ、その頃を境に東日本ではかしわという言葉は使われなくなってきています。江戸そばに残された鶏肉の入った「かしわそば」はその名残りとされます。

 現在の漢字表記「黄鶏」を見ると、ブロイラーとの区別説が有力なように思えます。今でも鶏肉の専門店に「○○かしわ店」という名前を見かける事があり、食文化の面からも残っていてほしい言葉ではありますが、かしわだけでは部位が捉えにくい事から、使用頻度はこれからもあまり多くないかもしれないと思ってしまいます。

 



第719回 トウモロコシ攻防     2007年02月27日

 昨今、温室効果ガスの排出規制の動きが急速に高まってきています。今後、発展途上国の産業の急速な発達によって排出量が増え続けるとの予想から、このまま野放しの状態が続けば取り返しの付かない状態になる。既に取り返しの付かない状態の一歩手前にいる、そんな強迫観念にも似たものに追い立てられている感じがしてしまいます。

 地球環境の悪化、特に経済的な理由を最優先にした環境破壊には絶対に賛同する事はできませんので、最近の運動の盛り上がりや個人的な関心の高まりは歓迎しているのですが、そうした中にも手放しでは納得できないものもあります。

 今年1月に行われた米国の年頭教書演説では、温暖化対策としてエタノール開発に言及されていました。トウモロコシを原料としてエタノールを作り、ガソリンの代わりに燃料としたり、ガソリンに添加する事で10年間でガソリンの消費量を20%削減するというもので、エタノールは燃焼しても二酸化炭素を出さないという点と、トウモロコシの成長に二酸化炭素が使われるという点が環境へのメリットとされています。

 それを実現するために、現在、全米で作られているトウモロコシを全てエタノールに変えても、ガソリンの20%を補うには足りていないという現状があるため、今後国策としてトウモロコシの増産を行うという事も言われています。

 成長が早く、背丈も大きくなるトウモロコシは成長に多くの二酸化炭素を使う事や、エタノールの燃焼による二酸化炭素の削減という事は理想的なプランのようにも思えます。しかし、実際の試算では、トウモロコシの育成に必要となる肥料の製造やエタノールへの加工に二酸化炭素を排出してしまう事で、エタノールを取り入れた事によるメリットは、ガソリンを使い続けた場合の5%程度の削減にしかならず、大気中の二酸化炭素を直接除去した場合の16倍ものコストになってしまうとされています。

 また、エタノールを燃焼すると酸性のアセトアルデヒドが発生する事から、現行の車両には対応できない物や改造を必要とする物も出てきます。そうした車両自体の移行に関する二酸化炭素排出まで含めると、エタノール事業の有効性は疑問が伴うものとなってしまい、結果的に下落したトウモロコシ価格の再上昇という経済効果しか発揮できないものとなっているようにも感じてしまいます。

 今回のエタノール計画によってトウモロコシの国際価格が高騰し、トウモロコシを主食とした中南米の人々の生活を直撃しているという論文も掲載されています。トウモロコシという存在は食料に限らず、多くの工業製品の原料でもあります。輸出による外貨の獲得や食料の確保という点から、途上国における畑の確保のための伐採が行われれば、二酸化炭素を巡る問題は大きな後退へと繋がる事が予想されます。あらゆる事を総合的に見つめていかなければならない、何事もそうですが二酸化炭素の問題もそんな難しさをたくさん持っているように思えます。

 



第718回 安全確保危険付与     2007年02月26日

 今年は記録的な暖冬の助けもあって、インフルエンザが猛威を振るうというニュースを聞かずに済んでいます。その代わりといっては変な感じがしますが、ノロウィルスの名前はかなりの頻度で聞かされた感じがしています。

 ノロウィルスは冬に流行しやすい傾向を持っています。夏場の暑さの下ではあまり繁殖する事ができず、85度以上の温度で1分も加熱すれば死滅してしまうと言われています。その為、生食を避け、適切に調理すれば感染を防ぐ事が可能と言えます。

 調理するという事は食材を食べやすくするばかりでなく、食品の保存性を高めるという一面も持っています。火を通せば...といった感じの発言は、加熱する事で食品に付着した腐敗菌や病原性菌を殺菌し、安全性を確保する行為でもあります。

 食品の保存性を確保するには、食品に付着した雑菌やカビ、ウィルスなどを排除し、食品に含まれる酵素類の活性を止め、油脂類の酸化を防ぎ、生の穀物類であれば発芽などの生体活動を止める必要があります。そのために高温で加熱調理を行い、必要に応じて薬剤を添加したり、酸素に触れさせないようにする工夫が行われてきました。

 そうした食品の保存性を確保する上で、放射線の照射は手軽に行える手法の一つとして推進しようとする声が上げられています。食品にガンマ線などの強いエネルギーを持つ電離性放射線を照射すると、食品中に含まれる水分が分解され、活性酸素を発生させます。その活性酸素によって菌やウィルス、虫などを殺し、発芽などに必要になるDNAも損傷させます。

 現在、ジャガイモに関しては発芽を防ぐ意味で照射が認められていますが、香辛料に関して出された認可の申請は消費者団体の反発によって検討に入る事ができなかったという経緯があります。しかし、昨年10月、内閣府原子力委員会は「食品への放射線照射について」という資料をまとめ、放射線照射を解禁するよう厚生労働省、農林水産省、文部科学省に通知しています。

 放射線の照射が行われた食品は安全性が疑問視され、損傷した通常の自然界ではありえないDNAを含んでいる可能性や、多くの栄養素まで破壊されている事をはじめ、多くの懸念が残されています。実際、照射食品を与え続けたネズミの骨や生殖器に3世代目で異常が現れた事や、照射によって生成される物質をラットに与えたところ、腸の細胞のDNAが損傷を受け、強い発ガン作用が認められたという研究結果も報告されています。放射線照射の怖さは、残留農薬などのように成分分析などで検出できない、表示されていても小売の段階で小分けされたら判別できなくなるというものがあります。少しでも危険性が懸念されるのであれば、取り入れないで欲しいとひたすら考えてしまいます。

 



第717回 完全再生     2007年02月23日

 自論ですが、いくつまで自前の歯と歩行機能を維持できるかで、その後の寿命が決まると思っています。確実に言える事としては、少なくとも人生の質を維持する上では、それらは必要な事ではないでしょうか。歯に関しては義歯という選択肢もあるのですが、歯は単純に食物を咀嚼して消化の第一歩を担うだけのものではなく、食物の温度や微妙な食感を感じていて、少なからず味に影響を与えているという事を考えるとよりその重要性が理解できます。

 人は成長する事で乳歯から永久歯へと生え変わり、永久歯はその名が示すように失ってしまうと取り戻す事ができなくなっています。これまでは安価な合金製の物から、温度を感じやすいセラミックといったさまざまな素材が義歯として用いられてきましたが、新たな技術が開発され、私の自論もそれほど重要ではない事になってくるような事が先日報告されていました。

 東京理科大と大阪大の共同研究グループが、歯を再生したり、薄くなった毛髪を復活させるという分野に、新たな道を開く技術開発に成功しました。現在はマウスを使った実験の段階ですが、正常な歯と同じ構造の歯を100%の確率で再生し、何度繰り返しても同じ結果が得られていると言います。毛の実験でも発生、成長が確認されているそうです。

 これまで歯の組織を断片的に作ったり、20%程度の確率で歯の再生を行うという技術は開発されていましたが、確実に再生できる技術は初めての事となります。人の歯を再生させるには、まだ時間がかかるそうですが、毛髪の方は5年以内にはできそうだとされているので、育毛剤が不要になる時代が近く訪れるのではないかと期待されます。

 今後、医学系研究機関などと実用に向けた研究に入る計画との事で、歯や毛髪の後は肝臓や腎臓などの臓器に応用し、人工的に臓器が作り出せる再生医療への発展に繋がる事が予想されます。

 生体組織を取り出し、組織を適正な密度と配置に整えて臓器の種にあたる物を作って培養し、新たな臓器を作り出すという今回の技術は、原材料にあたる物が本人に由来し、培養も本人の身体内において行われる事から、安全性の高さも伺えます。先日、発表されていた再生の元になる細胞に「親知らず」の細胞が有効とされていた事から、安易に抜歯しない方が良いと考えてしまいました。いずれにせよ早い実用化を待ちたいと思います。

 



第716回 ブランド志向(思考?)     2007年02月22日

 元々物事にあまり頓着しない質なので、ブランド品というものにも興味はほとんどないのですが、個人的な嗜好は別として、先日報告されていた研究データによると脳の方は知名度の高いブランド品に素早く反応しているのかもしれません。

 ドイツの研究チームによるリアルタイムに機能するMIRを用いた研究では、なじみのあるブランドは、知名度の低いブランドよりも脳が素早く反応し、より前向きな印象を持つ事が明らかにされています。

 健康な男女20人を用いたfMRIと呼ばれるリアルタイム造影機能のある機器を用いた実験を行ったところ、知名度が高い自動車メーカーと保険会社、知名度が低く、あまり知られていない自動車メーカーと保険会社のロゴをそれぞれ見せたところ、両ロゴ間で被験者の脳の活動が著しく異なる事が明らかにされています。

 知名度が高いブランドのロゴでは、脳皮質や肯定的な感情をつかさどる部位、自己認識に関係する部位での活性化が見られ、脳内でのそれらの部位に関わる処理が短時間に行われていました。あまり知られていないブランドのロゴでは、まず記憶の作動から始まり、作動自体にも多くの時間が費やされる事が判ったと言います。

 ブランドの持つ意味として商品への安心感というものがある事は、多くのマーケティング理論の中で語られてきました。実験で明らかにされたより前向きな印象を持つ事や、記憶の作動時間の短縮はそうしたブランドの安心感が影響している事も考えられます。消費者の好みや消費行動について確定的な事を明らかにしたものではないとされる今回の研究結果は、神経経済学という新たな分野への大きな話題提起になった事と思います。

 



第715回 体重と細菌     2007年02月21日

 先日行われた肥満に関する研究結果を巡って、面白い論争が起こっていました。元となった研究は、肥満が消化管内の健康な細菌構成を乱す可能性を示唆したもので、肥満に関する新たな切り口からの治療法確立の可能性に繋がるものとされています。

 ワシントン大学医学部の研究チームによって行われた研究は、腸内細菌の構成が痩せた人と肥満の人とでは異なるかどうかに着目したもので、被験者の腸内細菌を1年間にわたって調査、その間、被験者には徹底したダイエットに努めてもらっています。

 その結果、肥満の人は痩せた人に比べてバクテロイデテス類と呼ばれる細菌が少なく、その代わりにファーミキューテス類が多い事が判ってきました。関連した研究では、ファーミキューテス類が多く、バクテロイデテス類が少ない腸内細菌構成を持つマウスは、食物からカロリーを効率よく取り出す事ができ、より体重を増加させやすい状態にある事が知られています。

 研究を通し被験者がダイエットを進めていくとバクテロイデテス類が増え始め、ファーミキューテス類が減って細菌構成が痩せた人に近付いたとされますが、この結果について元々ファーミキューテス類が多い事が肥満に繋がっていたのか、肥満によってファーミキューテス類が増えたのか、ファーミキューテス類が多い状態を肥満と定義付けてよいのか、ファーミキューテス類の増加を肥満リスクの増加と捉えてよいのか、腸内細菌を意図的に操作してファーミキューテス類を減少させれば肥満治療が行えるのかなど、さまざまな疑問の声が上げられています。

 確かに腸内細菌は消化活動の手助けをしています。そのため腸内細菌が肥満体質の原因にもなりうる事は充分考えられます。今回の研究でダイエットによって腸内細菌の構成まで変化してしまった事が、腸内細菌ゆえに肥満、肥満ゆえに腸内細菌の構成変化、どちらでも取れる結論に繋がってしまい、にわとりと卵の論争のような状態に陥ってしまっています。現在知られているデータでは、腸内細菌と体重の関連は示されていますが、腸内細菌が体重の調節に関与しているかは不明となっています。すっきりしない論争なだけに、今後の研究に期待したいと思います。

 



第714回 テラの時代?     2007年02月20日

 最近の急激な技術開発のお陰で、パソコンに内蔵されるハードディスクなどの容量は急速に大きくなり、それまでのメガという単位からギガ、やがてはテラといったより大きな単位が聞かれるようになってきました。初めてメガという単位に接したときは、かなり大きなものであるという印象が強く、ポーリング博士の「メガビタミン」という言葉には、尋常ではない大量摂取というイメージを持ってしまいました。

 ポーリング博士が提唱したビタミン類の大量摂取による健康法の中でも重要な位置付けとなるものにビタミンCの摂取があり、実際に博士はガン患者にビタミンCの投与を行い、延命効果がある事を発表しています。しかし、当時の医学界では大きく評価される事はなく、そのままビタミンCの抗ガン作用については封印されてしまっています。

 ビタミンCには強力な抗酸化作用があり、ガン細胞が発生する原因の一つとして考えられている活性酸素の除去に役立つ事や、免疫力を強化する事から発生した初期のガン細胞の排除に有効という、どちらかと言えば予防という点に働きかける事が知られ、積極的にガン治療に用いるという事は行われていませんでした。しかし、最近になって相次いでガン治療のビタミンCが有効であるという報告が行われています。

 高濃度のビタミンCを用いた抗ガン効果に関する研究では、主に大腸ガン、肺ガン、膵臓ガン、腎臓ガンなどに有効とされ、すでに臨床研究も進められています。具体的な方法としては点滴を使って直接血管内にビタミンCを取り込むというもので、1回の投与量は60g程度とされます。容量が過剰になっても水溶性のビタミンCは体外に排出されてしまうので、副作用はないというのも大きなメリットとされています。

 これまでの抗ガン剤の中には、酸化作用を用いてガン細胞を攻撃する物もあった事から、ビタミンCの大量摂取は抗ガン剤の効き目を阻害する可能性が指摘されていました。今回はその強力な抗酸化作用が逆に利用されている点に特徴があります。ビタミンCは酸化される事で抗酸化作用を発揮しますが、その際に発生する過酸化水素をガン攻撃に用いるというもので、正常な細胞には過酸化水素を無害化する酵素が備わっていますが、ガン細胞にはその酵素がない事から、ガン細胞だけを選んで攻撃する事が可能となっています。

 1回60g、あまり大量という感じはしませんが、みかん1個に含まれるビタミンCは約30mg。しかも腸管から吸収される前に壊れてしまったり、100%は吸収されない事、吸収されてから細胞に到達する前に代謝される事を考えると食品から摂るというのは、非常に困難である事が解ります。効率よくサプリメントでと考えても、メガどころかギガ、またはテラの域に入ってしまうかもしれません。テラビタミンといきたいところですが、過剰にとるとビタミンCの酸によって胃壁が荒れる事や、緩下作用もある事からあまりお薦めはできません。

 



第713回 新感覚技術     2007年02月19日

 最近、コンピューターグラフィックス技術の発達で、これまではアニメーションの一環として捉えられていた動画表現がほとんど実写と同じ感覚で見る事ができるようになってきました。実際の社会ではいまだに実現していないようなサイボーグなどのサイバネティックス技術も、日常的に目にする事によって容易に視覚的なイメージとして想像する事ができます。

 常に言われてきた事ですがSFの中に登場する技術は、いずれ実現化するとされています。あまりに荒唐無稽なものを除けば、多くは現在の技術の中から発展、創造されるからでしょうか。SFの物語中に出てくるような技術の中で、義手義足といったサイバネティック技術は特に現実化が待たれる分野ではないかと考えています。

 先日、新たな神経再生技術を用いる事によって、義腕を使用する患者がより鮮明にその動きを感じる事ができる事が可能になったという報告が行われていました。この技術を使えば、事故などによって腕を失った患者が義腕を装着した際、より本来の腕に近い感覚で操作する事ができると言います。

 米国シカゴにあるリハビリテーション研究所人工四肢神経工学センターのキューケン博士による今回の報告では、最も顕著な機能改善が見られた例として、24歳のオートバイ事故で腕を失った女性の例を挙げ、標的筋肉神経再支配と呼ばれる新技術について触れています。

 切断前に腕に使用されていた神経には、切断後も元の腕の感覚が残っていると言います。その神経を胸部にある筋肉と皮膚に移植することによって患者が「手を握ろう」という意志を持つと、その信号が脳から脊髄を通って伝わり、手の代わりに神経を移植された胸部の筋肉の一部が収縮します。また胸部の皮膚に触れると、患者は手を触られているかのような感覚を持つ事も可能になっています。

 義手にあらかじめセンサーを取り付け、センサーが何かに触れたという事を胸部の皮膚に情報として送る事により、患者は何かに触っているという感覚や、どのくらいの強さで触れているか、どのくらいの温度の物に触れているかなど、義手であっても圧力や温度を感じる事が可能とされます。

 義肢に関しては、多くの患者が重さと使用の難しさのために使用に対し積極的になれないと言います。今回の技術報告は、感覚が伴う事から使用が容易になる事が予想されてます。今後、義肢の軽量化が進めば、さらに総合的な大きな進歩に繋がる事が予想されています。映画のような世界が身近になってきている、そんな感じがしてしまいます。

 



第712回 人畜同病     2007年02月16日

 動物の研究をする際、付き合いの悪い猫は非常にやり難いという話を聞かされた事があります。そんな猫について人間と同じような認知症が存在する事は、以前から研究者の間では知られていました。しかし、認知症を発症しているかについて、さまざまなテストを行おうとしても人が意図するように協力してくれない事は、猫と暮らした事のある人なら容易に理解できる事と思います。

 そんな猫の認知症について、猫もアルツハイマー病を発症する事が英国と米国の研究によって明らかにされていました。研究グループによると、猫の脳細胞に形成され、知的機能の低下をもたらすタンパクを特定し、このタンパクを研究する事で猫の老化プロセスを理解する事に繋がるとしています。

 今回の研究では、猫の神経系が傷付いていく過程が人のアルツハイマー病とよく似ている事が明らかにされています。過去の研究で高齢になった猫の脳に砂状のまだら模様が認められていた事から、猫もアルツハイマー病を発症する可能性が示唆されていましたが、今回、それが人のアルツハイマー病と同じである事が確認された事になります。

 猫の平均寿命は伸びる傾向にあります。かつては8年とも10年とも言われていたものが、20年を超えて健在な例も多く見られています。それに伴い認知症を発症する猫も増えてきているそうですが、人の場合と同じように良い食事、精神的刺激、飼い主との良好な関係などが認知症発症のリスクを減らすと言います。過剰に干渉される事を嫌う傾向があるように言われますが、良好な関係を築いて長生きさせてあげたいものです。

 



第711回 大人の証明?     2007年02月15日

 牛乳を飲むとお腹がごろごろする・・・どことなく子供っぽい感じがしてしまうのですが、実は子供よりも大人によく見られる症状です。冷たい牛乳を一気に飲んだ事でお腹が冷え、症状が起こっていると思われがちですが、実際は牛乳に含まれる乳糖をうまく分解する事ができないために、消化不良からお腹が張る、引きつるように痛む、気分が悪くなる、お腹を下すといった症状が見られています。

 小腸内にはラクターゼと呼ばれる乳糖を分解する酵素が存在していますが、このラクターゼが不足する事によって乳糖の分解ができない乳糖不耐症になってしまいます。乳糖は消化される事で体内のエネルギー源として欠かせないブドウ糖と、中枢神経系の成長に欠かせないガラクトースになるので、特に必要とされる乳児期には小腸の粘膜から盛んにラクターゼが作られ、母乳やミルクに含まれる乳糖を分解してくれています。

 離乳期以降、乳糖不耐症の素因がある場合、ラクターゼの生成量が成長と共に減少してしまい、乳糖を分解する事ができなくなってしまいます。代々乳製品を摂り続けてきた欧米人のでは、乳糖不耐症の素因がある人は1割程度ですが、アジアやアフリカ、アメリカ先住民、ヨーロッパでも地中海沿岸の人では7〜9割の人が素因を持っているとされます。世界全体では、約8割の人が素因を持っている事になります。

 8割もの人がと言うとあまりに多すぎる感じがしますが、学校給食などで日常的に牛乳に接している場合、酵素量の急激な低下が起こりにくい事や、症状が認識できないほど軽い人も含まれるので少ない印象があり、はっきりと認識している人は2割程度とされます。

 牛乳を飲む事で症状が出る事から牛乳アレルギーと思われがちですが、牛乳アレルギーは牛乳に含まれるタンパク質に対するアレルギーなので、乳糖を分解できない乳糖不耐症とは別な症状として分けられます。牛乳アレルギーは乳幼児にい生じる事に対し、乳糖不耐症は成長を続ける中、特に牛乳に接する機会が減る給食卒業後に生じる事が多いと定義されています。

 乳糖不耐症は主に消化器系に症状が出る事に対し、牛乳アレルギーは皮膚や呼吸器系にも症状が出る事があり、生命にも関わる事があるので注意が必要です。症状は不快ではあるものの、乳糖不耐症は成長の証と言えなくもありません。しかし、食べられる食材が一つ減る事だけに寂しい事ではあります。どうしてもという場合は、栄養的に似ている豆乳を代用するか、既に乳糖が分解されているヨーグルトや乳酸飲料といった乳加工品を利用する。または、少しずつ繰返し摂る事で、症状が緩和される可能性もあります。

 



第710回 健康10か条     2007年02月14日

 正月気分も既に過去のものとなっていますが、年の初めに健やかな一年を願われた方も多いのではないでしょうか。そんな健やかな一年を実現するための10か条が、先日、米国の高齢者健康教育機関であるICAAの専門家によってコメントされていました。

・履き心地の良い靴を購入する事・・・足に合った靴が基本となり、足の痛みは加齢とは関係しない

・頭の鋭さを維持するためにゲームをする事・・・他人と交わる良い機会ともなる

・散歩をする事・・・下半身が強化され、運動能力が維持されて認知能力の低下を防ぐ

・バランス運動を日常生活に取り入れる事・・・バランスが良くなれば、転倒を避けられる

・眼科検診を受ける事・・・60歳以上の視覚障害者の多くが補正レンズの使用で改善される

・庭の手入れや近所の店までの買出し、週単位のウォーキングデーを決めるなど、身体活動を増やす事

・家族、友人、隣人との人間関係を育む事・・・社会的繋がりは精神衛生面に良い影響を与える

・果物や野菜を多く摂る事

・たくさん笑う事・・・笑う事で血液循環や免疫システム、精神機能が向上する

・毎晩7〜8時間の睡眠を摂る事・・・入眠困難などがある場合、昼寝を止めたり定期的な運動を行い、生活習慣を改善する事は薬よりも効果がある

 その他にも1日15分を次の4日間をどのようにスタートするかを計画する時間にあてる事や、友人と気持ちを分かち合い、さまざまな事にモチベーションを高めあう事などが上げられていましたが、全てを同時に実行する必要はなく、かえって実施を徹底する事がストレスとならない事が大事ではないかと思ってしまいました。

 



第709回 予期せぬ効能     2007年02月13日

 豊胸を目的としたサプリメントは多数存在し、それなりの市場を形成しています。目的が美容の範疇に留まるためか、ホルモン剤を使用する事はなく、あくまでもハーブなどの抽出成分によって作られている事がほとんどのようです。そのためホルモン剤を使用した場合のような確実な効能はないような気がするのですが、それでも理論的な裏付けにはしっかりした説得力を感じてしまうものがあります。

 元々がそれを意図した製品を利用している場合は良いのですが、まったく予想していない、しかもそれが青少年だった場合、非常に困った事態に発展してしまいます。先日、医学専門誌に掲載されていた記事によると、シャンプーや石鹸、ローションなどに含まれるラベンダーやティーツリーのエッセンシャルオイルによって、きわめて稀な事ではありますがホルモンのバランスが崩れ、「女性化乳房」と呼ばれる現象が起こる事がコロラド大学と米国国立衛生研究所の調査によって明らかになったとされています。

 ラベンダーやティーツリーのエッセンシャルオイルを含んだスキンローション、ヘアジェル、シャンプー、石鹸を使用していた4歳と7歳、10歳の少年の胸部が思春期初期の少女と同様に発育をはじめ、中には傷みを訴える少年もいた事から、幾つかの原因に関する考察の過程で、それらの製品の使用を停止したところ症状の改善が見られた事から、体内での作用について検証が行われています。

 その結果、それらのエッセンシャルオイルには、体内で女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをし、男性ホルモンのアンドロゲンの働きを阻害する事が明らかになってきています。エッセンシャルオイルは芳香性に優れ、安価で扱いやすいという便利な面を多く持ち、特にラベンダーのオイルは多くの製品の香り付けに用いられ、ティーツリーのオイルも香りや衛生面から広く利用されています。

 ホルモンの専門家で、少年達の治療にあたったブロッホ医師によると、過去にもラベンダーの香りの洗剤で哺乳ビンを洗っている家庭で、生後間もない赤ちゃんに同様の症状が見られた事例もあるそうで、子供はホルモン剤に対する影響が顕著に出やすく、摂取期間が短ければすぐに回復するという声もありますが、単に一時的な問題として考えて良いのか、発ガン、環境ホルモンといった問題の一環として捉えるべきなのか判断に迷う部分が多く残されています。

 



第708回 濃縮弊害     2007年02月09日

 お茶が好きで食事の度に飲んでいますが、いつの間にか使用する茶葉の量が多くなっていて、気が付くと胃が重いという不快感を味わってしまう事があります。お茶に含まれる茶カテキンの刺激によるものですが、日常のレベルでもそれだけの事が生じるので濃縮された茶カテキンを含む製品となると、それなりに警戒感が出てしまいます。

 茶カテキンについては、当初知られていた殺菌力以外に体内でのエネルギー消費に関する働きがあるとされ、フランスの学術誌に掲載されたレポートでは、健康な成人男性10人に24時間連続して呼吸による酸素、二酸化炭素の吸入、排出量、尿の内容成分などについて分析を行い、茶カテキンがエネルギー消費に与える影響について行われています。

 24時間の連続した研究の中で、朝昼晩の食事に茶カテキンとカフェイン、カフェインのみ、何も入れないという3グループに分け、24時間の間に放出した二酸化炭素からエネルギー消費量を算出すると、茶カテキンを摂取したグループでは、平均して4%ほどエネルギー消費が増加し、尿中の窒素量が変わらなかった事からエネルギー源となったのは脂肪と判断されます。茶カテキンを摂取する事でエネルギー消費が増大し、主に脂肪が燃焼された事と結論付けられました。

 こうした研究を受けて茶カテキンを抽出して濃縮し、サプリメントにしてダイエットに役立てようと茶カテキン製品の発売が相次ぎました。また、スイスの研究者によるレポートでは、毎日一定の量のカテキンを摂り続ける事で血中コレステロール値を下げる事ができるという報告が行われ、茶カテキンを高濃度に含む製品は広く用いられるようになってきました。

 そんな中、高濃度の茶カテキンを摂取する事で、肝臓の機能に障害が生じるという事例が報告されるようになってきました。先日もカナダでダイエット目的で茶カテキンを高濃度に含むサプリメントを愛用していた女性が肝機能障害を起こした事が報じられていました。この女性は600mgの茶カテキン含有のサプリメントを6ヶ月にわたって愛用し、黄疸と腹部の痛みを訴えて入院。肝機能検査の結果、異常な値を示していたそうです。

 入院後も状態は悪化を続け、錯乱と脳症を起こして入院9日目には昏睡状態に陥ったと言います。ダイエット用サプリというと限られた人しか愛用していない気がしますが、普通に売られている体脂肪が気になる人へという謳い文句のペットボトル入りのお茶にも、ほぼ同様の茶カテキンが含まれているので、毎日継続して愛用している場合は、肝機能の数値に注意した方が良いのかもしれません。

 



第707回 似て非なる物     2007年02月08日

 食品を選ぶ際、一部の成分を除きそれほど大きく内容に左右される事はないのですが、記載されている内容が楽しく思えて、つい足を止めて眺めてしまう事があります。最近は入っている量の多さ順に並べてあったり、表示の仕方に決まりがあったりするので、以前よりかなり見やすくなっています。

 そんな中、一文字違いで微妙に異なる物があり、表示の印字ミスではないかと見直してしまう物もあります。年末年始は多くのスーパーで特設の「お餅」売り場を見かけますが、餅のパッケージの裏面にある表示を見ると、「もち米」または「もち米粉」と記載されている物があり、何となく解るような解らないような気がしてしまいます。

 もち米を原料として表示しているものは、文字通りもち米を精米して蒸し、杵でついて仕上げています。それに対しもち米粉原料の物は、一旦もち米を粉にした物にお湯を加えて練ったり、水で練り、加熱して餅の状態にしています。もち米粉は、輸入関税が割安な米加工品に入る事から輸入原料である事も多く、どちらかというともち米を原料とした物の方が高価で、もち米粉の方が安価な製品が多くなっています。食べ比べるとこしの強さや焼いた際の膨れ具合、伸びや粘りに違いがあると言われます。

 似たような感じで、「かつお削り節」と「かつお節削り節」があります。こちらは原料というより品名表示になりますが、一見すると同じパック入りかつお節なだけに、単なる呼び方の違いだけのような感じがして解りにくいものがあります。どちらも同じと思えるのですが、実は農水省のJAS規格によって明確に区分が行われています。

 かつお削り節は原材料として「ふし」と呼ばれる頭や内臓を取り除いたかつおを煮て、水分が26%以下になるように燻して乾燥させた物が使われ、かつお節削り節はかつおを煮て燻し、優良なカビを2回以上付けて作られる「枯れ節」が使われています。そのためかつお削り節は白っぽく、かつお節削り節は黒っぽい色をしているという外見的な特長を持っています。

 味的にはカビが付けが行われている分、カツオに含まれるタンパク質が旨味に変わっている事から、かつお節削り節の方が深みのある味わいで、だしを取ったりする事に向いているとされ、かつお削り節は色合いと風味が淡白なので、冷奴などの薬味に向いているとされます。言葉的にはわずかな違いでも、物としては大きく違う事になるだけに興味深いものがあります。

 



第706回 真犯人発見?     2007年02月07日

 最近では新たな感染牛が発見されても、それほど大きな話題になる事はなくなってきました。一頃の捨て牛まで出た事態が随分と昔の事のように思えてきます。物事に神経質に反応し過ぎるのはよくない事ですが、食の安全を考える上では問題に慣れてくるというのは危険な事かもしれないと考えてしまいます。

 現在、BSE(牛海綿状脳症)への対策は、感染検査と特定危険部位の排除という形で行われています。目的は異常プリオンの排除。BSEの原因として考えられている通常とは形状が異なるプリオンを、極力排除する事で危険性を取り去り安全を確保しています。

 しかし、異常プリオンが原因ではない可能性については、以前このコラムでも取り上げてきました。異常プリオンに関しては、異常プリオンのみを取り出して移植する事によって感染症を再現するという事ができていない事から、感染原因を特定する際の「コッホの三原則」をいまだに満たしていないままになっています。そのため異常プリオンに関しては、それが原因ではなく結果ではないのかという根強い懸念が続いています。

 そんな中、イエール大学の研究チームによってBSEの原因となる病原体らしきウィルスの発見が報じられていました。BSEに類似した2つの脳変性疾患に感染したネズミの神経細胞からウィルスのような分子が見つかり、感染していない細胞の中にはそうした分子は見られない事から、このウィルスこそがBSEの原因ではないかとされています。

 研究にあたったマヌエリディス博士の実験では、海綿状脳症の後期まで細胞内の異常プリオンは現れない事から、早期段階に現れる物質の発見を目指し、BSEに感染したネズミの脳を培養した神経細胞に注入したところ、ウィルスが密集したように見える球体のみしか発見できなかったと言います。

 今後、ウィルスと見られる分子が感染源であるかを確認するため、分子を隔離し、健康な細胞において感染が起こるかの確認が急がれます。その結果としてこのウィルスがBSEの原因である事が特定されれば、プリオンは感染源ではなく、感染した事を示す足跡のようなものとなってしまいます。プリオンを主眼に置いた現在の検査体制を覆すものとなりかねないだけに、今後の経過に注目したいと思っています。

 



第705回 投与注意     2007年02月06日

 日本で最も売れている処方薬といえば、抗コレステロール薬の「メバロチン」です。以前、日本のコレステロール値の基準が欧米に比べて低すぎるとして、240mg/dlに変更された際、医療現場や製薬メーカーからのクレームによって元の220mg/dlに戻された事も、売上の安定的な推移に貢献しています。メバロチンはスタチン系コレステロール薬に分類され、そのスタチン系コレステロール薬の利用に関する研究論文が英国医学誌「ランセット」に掲載されていました。

 スタチンはコレステロール生成に関わる酵素の働きを阻害し、血液中から肝臓へのコレステロールの取り込みを促進する事で、強力に血中コレステロール濃度を低下させる働きを持つ薬剤です。1973年日本の遠藤博士によって、アオカビの一種から初のスタチンであるメバロスタチンが発見され、その後、メバロスタチンを投与された犬の尿から、より安全性と効果が高いプラバスタチンが発見されました。長年の研究と安全性の試験の末に1987年以降、世界中で広く愛用される抗コレステロール薬となっています。

 米国とカナダの研究チームが心疾患疾患リスクの高い人を対象にして行われた過去8件のスタチン系薬剤と偽薬を用いたデータを比較したところ、スタチンは心疾患および脳卒中のリスクを軽減させはするが、全体の死亡リスクには変化がない事が明らかになったと言います。

 更に研究チームが特定のグループ別にデータ分析を行ったところ、健康な女性および70歳以上の健康な男性では、心疾患リスクの軽減は認められなかった事が判明しています。この結果を受けて全年齢の健康な女性、70歳以上の男性への一次予防を目的としたスタチン系薬剤の処方は行うべきではないとしています。

 研究にあたったカナダ、ブリティッシュコロンビア大学のライト博士は、スタチン系薬剤によって血中コレステロール濃度の改善が行われ、寿命が延びると考えている人が多いが、一次予防としては、延命効果は示されていないとしています。極めて稀な事とされますがスタチン系薬剤によって筋肉や神経が損傷され、痛み、脱力、麻痺などが生じるという副作用も報告されています。予防的な意味で服用した事から、筋肉が破壊されるといった横紋筋融解症になり、死に瀕した経験を持を記した著作も出版されているだけに、充分な注意が必要だと考えられます。

 



第704回 暖冬に思う     2007年02月05日

 各地で記録的な暖冬、そういう言葉をこの冬はよく聞かされています。寒さは苦手ではないのですが、できれば快適に越した事はないのであまり暖冬も悪くはないと思ってしまいます。それにしても暖かい冬、最近勢いを増した感のある地球温暖化防止キャンペーンの説得力をより大きく感じてしまいます。

 市民生活や産業の急速な発展に伴い、近代以降、排出量が急激に増大した二酸化炭素による温室効果が、地球全体の気温をかつてない勢いで急速に温暖化させている、そう聞かされて久しい感じがします。地球規模での気温の上昇は、炭酸飲料を熱した際のように海洋に溶け込んだ二酸化炭素の放出を促進し、さらに温室効果を加速するとさえ言われています。

 いつもそこで不思議になってしまうのですが、二酸化炭素は比重が重く、低い位置に滞留してしまいます。温暖化のモデルとして上空の高い位置で地球全体をカバーして、太陽光による気温上昇を助長する図を教え込まれてきたのですが、二酸化炭素がその位置にまで上昇する事は考えにくいものがあり、どことなく昨今の二酸化炭素が全ての原因とする説には疑問が生じてしまいます。

 地球温暖化の起源は今から一世紀以上も前、1896年にスウェーデンのアリーニアスによって提唱されたものがはじまりとされます。大気中の二酸化炭素の増加によって、この一世紀で地球表面の気温は0.5度上昇したと言われます。その気温上昇のほとんどの部分は1940年までの40年間に起こり、その後の排出の激しさを増したとされる第二次大戦以降の世界的な工業化の中では、むしろ気温は下がる傾向があり、1970年代初頭には小規模な氷河期の到来も提唱されていたほどです。

 石炭や石油といった化石燃料の燃焼が温暖化を促進しているとされますが、燃焼によって大気中に放出される亜硫酸ガスなどの微細な粒子は太陽光線を遮り、地表の加熱を妨げる事で冷却化を助けているとする説もあり、温暖化の影響の最たるものとして言われている北極、南極の氷が溶け、沿岸の多くの都市が水没するとした危機的な未来図にしても、コップの氷が溶けてもコップから水が溢れる事がないように、水面の上昇は見られない。温暖化で各地の氷が溶けても、同時に水蒸気の量も増える事から、それらは極点に集まり冷却されて氷結するので、かえって南極の氷は増えるとする考え方もあります。

 無軌道な産業の発展による環境破壊への歯止めとして、二酸化炭素排出抑制は賛同できるものがあります。間違いに対する軌道修正は早い方が良いように、環境への配慮に早すぎるというものもないように思えます。世界的な排出量削減の盛り上がりも歓迎できるものです。しかし、検証が不充分なまま、温暖化説に否定的な見解を提出する学者を、皆、石油業界の回し者として頭ごなしに否定する事だけはしてはいけない。両面からの検証は常にしておかなければならないと、真冬の暖かな陽射しの中でふと考えてしまいました。

 



第703回 寄生?共生?     2007年02月02日

 最近はパラサイトというちょっと耳障りの良い言葉が定着した感がありますが、寄生というと非常に禍々しい感じがしてしまいます。寄生とはある種の生物が、他の生物が得るべき栄養を一方的に奪ったり、利用したりして、その関係が一定期間、または永続的に続けられる事を指し、応用的には片方の利益に依存し続ける関係を意味する事もあります。

 寄生を充分に定義するのは難しいとされ、片方のみが利益を得て、もう片方は不利益のみを被る事というのが、最も理解しやすい定義の仕方かもしれません。それ以外の場合、双方に利益が得られる場合や片方のみが利益を得、片方に不利益は生じない場合、片方に利益は生じないが、もう片方に不利益が生じる場合などは共生と呼ばれ、寄生よりも建設的な関係のような印象を受けてしまいます。

 動物が捕食し、消化して吸収するための状態にした栄養を腸内で奪って成長する生物、寄生虫は長らく自らが栄養を利益として得、宿主の動物に不利益をもたらす最たる例とされてきました。しかし、そんな寄生虫の存在も最近見直されつつあり、宿主に利益を与えていた可能性が指摘されてきています。

 過去の研究では、寄生虫に感染する事で動物の自己免疫疾患の経過に影響が生じる事が指摘され、体内の寄生虫に対抗するために免疫がそれまで攻撃対象としていた自己への攻撃を止めるために、免疫疾患が軽減される例が多数報告されています。最近の研究で自己免疫疾患が原因とされる多発性硬化症の経過にも良い影響を与える事が判ってきました。

 研究は寄生虫に感染している多発性硬化症患者12人と、感染していない多発性硬化症患者12人を対象として行われ、両グループの患者の疾患経過はいずれも類似するものであったとしながら、約5年に及ぶ追跡期間中、寄生虫感染群では3回の症状の再発がみられたのに対し、非感染群では56回もの再発がみられました。また、感染群の患者は、多発性硬化症による身体障害が悪化する比率も低かったといいます。

 多発性硬化症には、免疫を調節するタンパク質であるサイトカインの産生による炎症反応が関与しているとされますが、寄生虫感染群ではサイトカイン抑制物質を産生する細胞の数が大幅に増大していることが突き止められています。そうした事実を前にすると、寄生虫が一方的な利益を得ているだけとは言えないと思います。やがて名称が寄生虫から共生虫へと変えられる日が来るのでしょうか。

 



第702回 増量セール     2007年02月01日

 日頃からまったく縁が無い身なのでよく解らないのですが、タバコについて不思議に思っている事があります。農産物であるタバコの葉を収穫して乾燥させて粉砕し、紙で巻いて成型した物がタバコだと思うのですが、ワインのようにその年の日照や気候条件によるタバコのでき具合が話題になる事がありません。ワインであればブドウのできばかりでなく、コルクのできにも味や風味が左右され、それによる評価や価格差が生じるのに、それがまったく聞かれないという事には納得がいかないものさえ感じてしまいます。

 ワインのように直接舌に乗せる物ではなく、燃やしてしまうので違いが出難いという見方もできますが、タバコという製品は食品とは違い、内容成分や原材料に関する詳細な記載を行う義務がないので、各製品に関する正確な情報は謎に包まれており、おそらく香料や何かで産地や収穫時期、保存状態などの変化要因に対する均一性を計っているのではと勝手に結論付けています。そうであれば加工品としての側面が強過ぎるという事でしょうか。

 先日、そんなタバコの内容に関して、気になる分析結果が出されていました。大手ブランドのタバコが1998年から2005年にかけて、年平均1.6%、7年間で11%も1本あたりの煙中ニコチン量を増大させていた事が、ハーバード大学公衆衛生部の研究グループの分析によって明らかになっています。ニコチンの増量については、大手4メーカー全ての製品に見られ、本来ならばニコチン量が低い事が売りであるはずのライト、ウルトラライトなどの品種にも及んでいたと言います。

 ニコチンには明らかな依存性がある事で知られ、最も身近な依存性薬物の一種とされます。ニコチン量を増加させる事は、それだけ依存状態になりやすくする事であり、禁煙を難しくする事でもあります。かつて調味料メーカーが調味料が出る穴を大きくした事で、売上を上げたという話を聞かされた事がありますが、健康に明らかに悪影響があり、依存性まである物を調味料のレベルでは考えられないのではないかと思います。研究にあたったコー教授は、「紙巻タバコは、タバコの蔓延を永続させるように精密に調整された薬物送達装置」とまで発言しています。今回の件に関しては、タバコ業界に対して他の薬物製造業と同じ規制を課す連邦法案の提出が行われているとされ、今後の展開が注目されます。

 



 

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