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第741回 妨害特権     2007年03月30日

 この地上にいびきをかく生物が2種類だけいます。それは何でしょう?と問われると、1種類は人間とすぐに判るのですが、もう1種となると考えてしまいます。眠った後のいびきはどんな動物でもありそうですから、あと1種という絞込みが難しく感じます。答えは百獣の王ライオンです。

 いびきの原因は睡眠時に発生する粘膜の振動音で、先天的な咽頭部の形状や肥満、アルコールや薬物、鼻の疾患、アデノイドなどによって発生します。睡眠中に咽頭や舌の筋肉の緊張が低下した時、またはアデノイドなどの鼻疾患によって気道が閉塞した時などに空気の通過に抵抗が生じ、その結果として粘膜が振動して音を出しています。

 そのためいびきは音を立てるという自分がそこにいる事を他のものに知らしめ、しかも寝ているという無防備な状態でいる事をアピールする事になってしまいます。自然界でそれが許されるのは、他に天敵がいない食物連鎖の頂点にいるものだけという、ある程度特権的な事なのかもしれません。

 しかし、その特権によって一緒に寝ているパートナーの安眠を妨害し、トータルでかなりの時間の安眠を奪っているという調査結果が出されていました。英国のいびき及び睡眠時無呼吸協会の成人2000人を対象とした調査によると、3人に1人がいびきをかく人と就寝しており、一晩につき2時間の睡眠が失われていたそうです。

 パートナーとの就寝が平均して24年続くと仮定すると、一晩に2時間の損失はその24年間の中で約2年分の睡眠時間に相当します。この結果を受けて同協会は「いびきが共に生活する人に極めて悪影響を及ぼす」と発表しています。

 睡眠学協会では、睡眠が充分でないと身体、精神、感情面の健康にマイナス効果をもたらし、睡眠不足のリスクは学業成績の低下、肥満、2型糖尿病、離婚、自殺などいくらでも例を挙げる事ができると述べています。

 いびきで人の睡眠を妨げるのは先に眠った人の特権という笑い話もありますが、今回の結果は笑ってすまされるレベルではなく、影響の大きさがはっきりした事に合わせ、自らの睡眠の質にも影響してくる事なので、速やかな対処が必要なのかもしれません。ライオンほど睡眠時間が多いと影響は少ないのかもしれませんが。

 



第740回 転移補助     2007年03月29日

 ガンという病気の厄介な点の一つに「転移」するというのがあります。一か所にできたガンはやがてどこかの組織に転移し、そこで増殖を開始して、また他へと転移するとされ、やがて多臓器不全へと繋がったり、ガン細胞を除去しても他の場所へすでに転移していて、そこで新たに増殖を開始するといった事が、ガンという病気をより怖いものとしています。

 そんな厄介なガンの転移については、未解明な部分が多く残されていましたが、最近、そんな転移に関するメカニズムが徐々に解明されつつあります。悪化する大腸ガンの細胞は、自らサインを出して骨髄の細胞を呼び寄せ、増殖や転移に利用しているという事が明らかにされていました。

 京大大学院医学研究科の武藤教授をはじめとする研究グループによると、大腸ガンの細胞が「CCL9」と呼ばれるタンパク質を大量に放出すると、骨髄の細胞の一種が血液に溶け出し、ガン細胞の周囲に集まる事が判り、集まった骨髄細胞は、ガン細胞の増殖を促進する2種類のタンパク質を出していたそうです。

 ガン細胞が体内の機能をうまく利用して生き延びている事が明らかにされた今回の研究結果は、ガン細胞の転移、増殖のメカニズムの解明に繋がるだけでなく、CCL9の働きを阻害する事でガン細胞の良性化(転移、増殖しない)をはかる事も可能であるという考え方にも繋がります。転移と増殖を抑える事は完治するという事とは違うのですが、治療にかける時間を稼げるという意味もあり、ガンという病と向き合う時間も増やせる事から、今後の研究を期待したいと思います。

 



第739回 蘇生術変更     2007年03月28日

 そんな場面に出くわすという事や、その際、落ち着いて事にあたれるかは別として、緊急時の蘇生術について一通り知っておくべきとは思っています。一緒にいる人が突然心停止を起こした場合、処置の迅速さが後の状態を左右するだけに、正確かつ迅速な対処が必要です。そんな心停止に関する対処法が若干変更される可能性が出てきました。

 心停止が起こった場合、まず心臓を再稼動させるために胸部圧迫を行い、続いて人工呼吸を行います。それを繰返し行う事で蘇生を促すのですが、最近の研究で人工呼吸は行わない、特にマウスツーマウスの人工呼吸は行わない方が良いという結果が出されていました。

 心停止で倒れ、居合わせた人によって応急処置を受けた患者4000人以上について調べたところ、神経機能が比較的良好と判断された人は、心停止から4分以内に胸部圧迫のみを受けた場合、10.1%であったものが、人工呼吸も合わせて受けた人の場合、5.1%に過ぎない事が判ったそうです。

 同じ傾向は心停止のみではなく、心拍異常や呼吸停止の場合でも確認され、胸部圧迫のみで同じ効果が見られた事から、人工呼吸を加える事による利益を示す根拠は認められないとされています。

 人工呼吸を取り入れた場合、接触する事への抵抗感や技術の複雑さから、蘇生そのものに積極的に参加できない事や、人工呼吸を行う間、胸部圧迫が中断されてしまう事、全体的な蘇生術を行使した時間の中で胸部圧迫に時間が短くなる事などが理由として考えられています。

 心停止の現場に居合わせるという事は極めて稀ではありますが、胸部圧迫はすぐに取り掛かれる事であり、その事が浸透すればその後の結果に大きな違いが出る事は容易に想像できます。どのような蘇生術でも何もしないよりは良いとも言われているだけに、その場に居合わせたら積極的に行ってみるべきかもしれません。

 



第738回 検証、必要性(3)     2007年03月27日

 仔牛のお裾分けをもらって牛乳を飲んでいる、そんなイメージがありますが、実際は仔牛の前、妊娠中の母牛からも牛乳は採られています。妊娠中の母牛はたくさんの女性ホルモンを分泌していて、それが血液中から牛乳に入り、牛乳を愛用する事で女性ホルモンを摂取してしまうという考え方があります。

 牛乳に含まれる硫酸エストロンは環境ホルモンとして知られたビスフェノールAよりも強力とする説や、メスのラットに発ガン物質と牛乳を与えたところ、乳腺腫瘍を促進させる作用が認められたという報告もあり、牛乳を飲み続けると発ガンのリスクが高まるのではという懸念も持たれています。

 確かに乳牛の血液中の女性ホルモン量が増えれば、採取される牛乳内に含まれる女性ホルモン量も増える事は考えられます。女性ホルモンはステロイド骨格を持つ事から熱に強く、殺菌用の加熱では壊れずに残っているので、それを飲む事で体内に取り込まれ、吸収される事は充分考えられる事です。

 しかし、牛乳中に含まれる女性ホルモン量、そこから吸収され血液中に入る量を考えるとかなり微々たるものであり、ホルモン自体も微量でも働きの大きいホルモン様体ではなく、天然由来のホルモンである事から、身体への何らかの変化を促すには至らない可能性が高いと考えられ、牛乳をガンやアレルギーの原因とした有害説は説得力を失ってしまいます。

 酪農家が安直に大量の牛乳を生産するために、問題のある飼育法を行っている事や遺伝子組み換えの牛の登場など、現在農産物が置かれている問題が当てはまるという一面はまだ残されていますが、牛乳の必要性に関する論議は自説の説得力を得るために、都合の良い事象のみを持ち出すという昨今話題となっている問題に繋がるものを感じてしまいます。

 逆の立場、牛乳必要論者では牛乳を完全栄養食とする意見もありますが、一つの食品を過信し、フードファディズムに陥らない事。食材の一つとして上手に付き合う事こそが必要な事なのかもしれません。

 



第737回 検証、必要性(2)     2007年03月26日

 牛乳を日常的に愛用する事に関しては、昨今、さまざまな食材から充分な栄養を得られているとされる事から、栄養の補給源としてよりも豊富に含まれるカルシウムに理由の多くが移っているように思えます。骨粗鬆症が広く問題化している中、その対策として最も手軽な物という存在が牛乳ではないでしょうか。

 骨粗鬆症は日本の農地がカルシウムに乏しい事や、魚食中心の食が変化した事によって広く見られるようになったと考えられています。カルシウムを充分に摂る事ができない上にストレスや、加齢に伴うホルモンバランスの崩れなどが引き金となって骨密度を維持できない事が原因と言う事もできます。

 最近の研究で新たな原因とも考えられる事が判明してきています。タンパク質を摂取すると体内でアミノ酸の状態にまで分解してから吸収されます。特に動物性のタンパク質には硫化分が含まれている事から、分解の過程で体内を酸性へと傾かせてしまいます。それを中和して弱アルカリ性に保つために使われるのがカルシウムで、その供給源となるのが骨という訳です。

 また、カルシウムを大量に摂取するとマグネシウムが代謝されるという傾向があると言われます。骨はカルシウムのみでできているのではなく、マグネシウムやカルシウム摂取の大敵とされるリン、コラーゲンなど幅広い栄養が必要とされます。カルシウムに偏った栄養摂取を行う事で、骨の状態が悪化するという皮肉な結果を招く怖れもあると考える事もできます。

 牛乳を愛用する事は、動物性のタンパク質とカルシウムを大量に摂取し、骨粗鬆症を助長してしまうという考え方は、牛乳不要論にそれなりの説得力を与えています。しかし、それらは程度問題を抜きにした上に成り立ち、一見正当なようで整合性に欠ける部分を持ち合わせています。

 タンパク質の摂取が骨に悪影響を与えるのであれば、ヘルシーとされる高タンパク食は弊害を持つ可能性があり、魚食、特に小魚を摂るという事は、内臓も合わせて摂ってしまう事により牛乳の比ではなく身体への酸化弊害を引き起こす事となりかねません。カルシウム摂取によるマグネシウム流出についても、牛乳ほど身体を形作る成分を含まないカルシウム製剤などの弊害が顕著ではない事を考えると、今一つ説得力を失ってしまいます。整合性を欠く論議でなければ、牛乳の存在意義は否定できないのでしょうか...?

 



第736回 検証、必要性(1)     2007年03月23日

 あまり飲まない方なので、牛乳の必要性については強く感じる事はないのですが、インターネットを中心に「牛乳不要論」というものが提唱されていると、本当はどちらなのかと考え込んでしまいます。牛乳不要論についてはかなり前からあったのですが、一昨年米国在住の医師、新谷弘実氏の著書「病気にならない生き方」がベストセラーになって以降、盛り上がってきています。

 それまでの牛乳不要論では、牛乳の成分が血液に近い事から牛乳を飲むという事は、牛の血液を飲用するものという感情論によるものや、成長に伴って乳糖を分解できなくなる事が、身体が牛乳を不要としているためだとする科学的根拠に乏しいものでした。新谷医師の著書では、それらとは異なり、統計的なデータや環境ホルモンとしての新たな視点が加えられている事も、より説得力を大きくしています。

 牛乳が必要とされた理由の一つに、日本の農地にカルシウム分が少ないという事情があります。カルシウム分が少ない農地から取れる作物には、当然カルシウム分が少なく、それを主食としている日本人は深刻なカルシウム不足にあると考えられています。それを補うのが牛乳で、高齢化社会を迎えた現在、骨粗鬆症という大きな問題の手軽な解決法と考えられています。

 特に骨粗鬆症などで骨の強度が下がると、上半身の大きな荷重を受ける大腿骨の付け根の部分を骨折する可能性が高まり、高齢者の寝たきりに繋がる深刻な障害となってしまいます。それを防ぐために日常生活で牛乳をという発想なのですが、最近の研究によると日本人の平均、年間3.5リットルに対し年間100リットルも消費し、チーズをはじめとした乳製品の消費量も含めると、莫大な量の牛乳を消費している北欧諸国の高齢者の方が大腿骨の付け根、「大腿骨頚部骨折」の発生率が高くなっていると言います。

 そのため牛乳には、骨を強化して大腿骨頚部骨折を予防する力はないとされるのですが、骨密度を検証してみると北欧諸国の人の方が日本人よりも高い状態を示している事が判ります。そのため北欧での大腿骨頚部骨折の発生は別な要因が考えられ、一見して解る体格の違いやライフスタイル自体に問題があり、牛乳の摂取量が日本人並みで骨密度が日本人と同じであった場合、大腿骨頚部骨折の発生率は今よりはるかに高い物になる事が考えられます。その意味では牛乳を摂取する事は、有効な対策となりえると言う事ができます。

 



第735回 自己原料調達     2007年03月22日

 身体の組織に修復不可能な障害が生じた場合、移植によってその機能を確保するという施療が行われる事がありますが、機能的に必要な物であり、それなしでは生存が難しいにも関わらず、本来の自己組織ではない事から免疫系の攻撃対象となってしまい、最悪の場合、拒絶反応によって危険な状態に陥る事があります。

 それが移植される組織が自己由来のものであった場合、他のドナーから提供されたものとは異なり免疫系の攻撃を免れ、拒絶反応の心配を最小にしてくれる可能性がある事は容易に想像する事ができます。自己由来の細胞から組織を再生し、移植を行うという再生医療に新たな技術が開発され、注目を集めています。

 国立がんセンター研究所と国立国際医療センターの研究チームによる最新の研究によると、人体の皮下脂肪から肝臓の細胞を作成する事に成功したと言います。皮下脂肪に含まれる「間葉系幹細胞」という細胞に着目し、間葉系幹細胞がさまざまな臓器や組織の細胞に変化する可能性を利用し、肝細胞へと変化させています。

 研究チームでは、腹部の手術を受けた患者7人から皮下脂肪を5gずつ採取し、間葉系幹細胞を分離。成長を促す3種類のタンパク質を加えて約40日間培養したところ、ほぼ全てが肝細胞に変化したそうです。肝細胞としての性質を調査したところ、血液の主成分であるアルブミンをはじめ、薬物代謝酵素などの肝臓特有のタンパク質が14種類以上も検出されています。

 研究にあたった落合がん転移研究室長は、今回の肝細胞の出来を機能などの点からぎりぎり合格点と言える60点と評価し、より本物に近い機能を持った肝細胞の生成を目指すとしていますが、これまでの胚性幹細胞(ES細胞)による再生医療が受精卵を壊して作る事から、倫理的な面からの批判が多かった事を考えると、かなりの進歩ではないかと思えます。皮下脂肪の10%が間葉系幹細胞という事なのですが、最近増え気味なのでいくらでも提供できますと考えてしまうのは、健康な証拠でしょうか。

 



第734回 不安定ゆえのメリット     2007年03月20日

 先日、少し遅めにホテルをチェックアウトした際、すでに宿泊していたフロアでは清掃作業が始められていて、独特な臭いがした事からオゾンが使われている事に気付きました。オゾンは酸素の原子が通常では二つ結合する事で酸素分子となっているところが、高電圧などにさらされるという特殊な状況下で三つが結合してできています。

 そのためオゾンは自然界では非常に不安定で、通常の環境下では三つの原子うち二つは結合して酸素分子となり、残る一つが回りに結合する物を求めそれが強力な酸化作用となります。その強力な酸化力が殺菌や消臭など、幅広い用途に利用されるようになってきています。

 オゾンの強力な酸化力はカビ取り剤として広く使われている次亜塩素酸よりも強力な殺菌力を持つとされ、除菌、ウィルスの不活性化や脱臭、脱色、有機物の除去などに利用されますが、最も良い点は塩素系と比べると有機塩素化合物を生成しないために、処理後に残留する事がなく、余剰分は酸素となって大気中に放出されてしまいます。

 オゾンは毒性があるので、高度な濃度管理が求められます。そのためオゾンをミキシングやバブリングと呼ばれる手法で水に溶け込ませた「オゾン水」として活用する例が増えていますが、オゾン水の状態でも通常に環境下では数十分で普通の水に戻ってしまいます。残留性のない殺菌水として有効な事から、塩素系殺菌剤やエタノール系殺菌剤が使えない部分での使用が可能で、今後食品への応用も期待されています。東京都や大阪府の水道局で水道水の殺菌方法として採られているそうですが、塩素の弊害が言われているだけに全国的に広がる事を期待したいと思っています。

 



第733回 麦踏     2007年03月19日

 先日、麦畑にふと目をやると農家の方がトラクターのタイヤの代わりに幅広い筒状の物を取り付け、同じようなタイヤ代わりの物が付いた車を引いている光景を目撃してしまいました。これまで麦踏というものが概念的には解っていたのですが、現場を見るのは初めてで、少々感激してしまいました。

 麦踏は年内に一回、年が明けてから2月中旬までに三回行うのが理想とされ、一回の麦踏から次の麦踏までの間隔は10日以上開ける必要があると言います。そうしてみると一回の収穫までにに四回は見るチャンスがあるので、これまで見た事がないというのは、かなり縁が無かった事と思えます。

 晩秋に蒔かれた麦は芽を出し、そのままでは茎と葉ばかりが成長して根の発育が遅れてしまいます。麦を踏み付けると茎や葉の成長は一時的に止まり、その間に根の発育が良くなって霜害への抵抗力も増すとされます。昔は地下足袋などで直接ゆっくりと時間をかけて踏み付けていましたが、最近では目撃した通りのローラーを用いるのがほとんどとなっています。

 麦踏を行う時期は農閑期にあたるそうで、あまり根を詰めてやらない事から見かける機会が少ないなどと考えているのですが、踏み付ける事で成長の調整を行うという知恵には驚かされてしまいます。踏み付けられてもたくましく育つという事で、人材育成にも喩えられる麦踏ですが、一旦目に見える部分の成長が止まり、その間に根が育つというプロセスを考えると、何となく好ましい事のように思えないのはひねくれた捉え方でしょうか。

 



第732回 橘代々     2007年03月16日

 大きめの実にきれいなオレンジ色、あまり滑らかな表面ではないのですが、冬場に熟す果実、「橙(だいだい)」は酸味が強く、風味の良さから酢の物に使われたりもします。色そのものも橙色として使われる馴染み深い柑橘類の橙は、かつては橘と呼ばれていました。

 古い時代、日本にある柑橘類は全般的に橘と呼ばれていたらしく、食用にも使われていなかった事から、西暦297年に晋の陳寿が書いた「魏志倭人伝」には、日本にはショウガ、橘、ゴマ、ミョウガなどが自生しているが、その滋味については知らない(食べられていない)と記載されています。

 日本書紀には垂仁天皇が但馬の国出石の住人、田道間守に命じて遥かな南方にある常世国へ行かせ、「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」という年中実っている果物を取ってこさせたという記載があります。田道間守は無事、それと思える果物「橘」を持ち帰るのですが、大変な旅となってしまった事から、出発から10年を要してしまい、帝はすでに亡くなっていました。

 その事を残念に思った田道間守は、帝の墓に無事に入手できた事を報告すると常世の国に気候風土が似た土地を探し求め、橘を植えています。田道間守は死後、その地に祀られて「蜜柑の始祖」として今も崇拝されていますが、一説にはこの橘が垂仁天皇の病気療養のいために探させている事から、漢方薬の素材でもある橙ではないかと言われています。

 非時香菓の特徴は、年中実っていて延命長寿の効果があるというもので、冬に熟した果実が年を越しても落ちず、2〜3年成り続けるというあたりは橙に似ています。橙の名前の由来は、この実が落ちず代々残るというところから来ていて、別名の「回青橙」は冬に黄色く熟した果実が、翌春にはまた青緑色に戻るという事を示しています。

 橙の古名は「阿部橘」で、阿部は現在の奈良県桜井市阿部の辺りを指します。阿部で採れる橘という意味ですが、そのルーツは10年にも及ぶ苦難の旅の末に持ち帰られた延命長寿の果実にあると考えたい、蜜柑の歴史を調べながらそう思ってしまいました。

 



第731回 継続使用リスク     2007年03月15日

 手足や首の関節痛に頭痛、腰痛など年齢と共に毎日継続して痛みを感じる疾患のリスクは高まる傾向にあります。特に身の回りでは頭痛と腰痛を訴える人が多いようで、中には鎮痛剤が手放せないという人も少なくはないようです。

 一般的な鎮痛剤といえば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンといったところですが、継続して定期的に使用する事で高血圧の発症リスクが高まるという報告が米国の医学誌に掲載されていました。

 アスピリンや非ステロイド性の抗炎症薬には出血リスクがある事は以前から知られていましたが、専門家の中には実際、使用者が思っているほど安全なものではないという意見もありました。女性を対象とした大規模調査では、鎮痛剤と高血圧との関連が示唆されていましたが、女性に限られ、健康な男性では高血圧リスクは増大しないとされていました。

 今回の研究では、高血圧の病歴のない男性医療従事者1万6千人以上を対象に調査を実施し、各自にアセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリンなどの使用状況について4年間の追跡調査を行ったところ、1968人が高血圧を発症し、鎮痛剤を週6〜7回使用する場合、まったく使用しない人に比べてアセトアミノフェンで34%、イブプロフェンで38%、アスピリンで26%も高血圧発症リスクが高かったと言います。

 また、いずれかの錠剤を週15錠以上服用する人は、まったく使用しない人に比べて48%も高血圧リスクが高かったそうです。3つのタイプの鎮痛剤は、それぞれ血管を弛緩させて血圧を低下させる化学物質の働きを阻害する事があるのではと考えられていますが、今後服用を中止する事で血圧が低下するか更に研究を重ねる必要があるとされています。鎮痛剤を使用する事で確実に高血圧になるという事でもない事から、リスクを負い易い集団の特定も課題とされ、鎮痛剤が身近な薬剤である事からも詳細なメカニズムの解明を含めた研究が待たれます。

 



第730回 修復タンパク     2007年03月14日

 人の細胞は、どのような理想的な環境下においても無限に細胞分裂を行う事はできず、50〜70回も分裂すればそれ以上の分裂をする事はできなくなります。そんな細胞分裂の回数を決めているのがDNAの末端にあるテロメアと呼ばれる部分で、二重螺旋構造が解けるたびに千切れて短くなり、やがて機能しなくなるところから「分裂時計」「分裂回数券」と呼ばれています。

 かつてベンチャー企業がこのテロメアを再生させる酵素を発見しましたが、正常なDNA以外の切れて損傷したDNAにもテロメアを再生させてしまう事が判り、不老不死技術の開発成功というニュースの盛り上がりが一気に沈静化した事があります。

 DNAの損傷というとあまり起こりえないような感じがするのですが、実際は頻繁に起こっていることで、軽微な損傷も含めると一日に一つの細胞で5万〜50万回にも達する事があると言います。一旦、損傷が生じると細胞は1分以内に損傷箇所を探し出し、修復する機能を持っています。

 これまでATMと呼ばれるタンパク質が損傷を感知し、修復システムの発動を促している事は知られていましたが、先日、UCB13という別のタンパク質が修復の要となっている事が突き止められていました。UCB13は酵母菌に耐性を持たせるタンパク質として知られていましたが、UCB13の働きを止めた細胞では、放射線照射によるDNA損傷が起こった際、細胞レベルでの生存率が10分の1に下がり、損傷の修復にも2倍程度の時間がかかった事から、修復システムにおいていかに重要な部分を占めているかが判ります。

 今回の発見は今後、UBC13の研究を進める事で、ガン細胞だけUBC13の働きを止めて放射線治療を行い、より効率よく治療効果を発揮させるなどの応用にも利用できるとされているだけに、期待が高まる発見となっています。

 



第729回 新種ラッシュ     2007年03月13日

 子供の頃のイチゴといえば酸味が強く、粒もあまり大きくはありませんでした。砂糖や練乳をかけたりして、かるく潰して食べるのが好きでした。それがいつの頃かそのままでも充分な甘味が感じられるようになり、粒も大きい物ではそれまでのイチゴの数倍もある物が不通に出回り、とてもショートケーキの上の飾りには使えない雰囲気の物が売られています。

 一時期は東の女峰、西のとよのかと言われた時期もあり、一斉に全国の農家が生産した最盛期は、市場で扱われるイチゴの9割は両品種が占めていたと言われます。確かに最初に大粒のとよのかを見て、大きさに似合わず甘味が強く、大味になっていない事を知った時は驚かされた覚えがあります。

 その後、イチゴは消費者の認識をはるかに超えて新品種の開発ラッシュが続いています。甘味と粒の大きさに関する競争が激しく、かつては平均的な粒の大きさが30g程度だったものが、今では倍近くの50〜60g、糖度もかつての主流だった9度から13度を超える物まで出てきています。

 新品種の開発に要する時間も通常13年以上とされていたものが、8年ほどで出荷可能となる体制が採られ、スーパーの果物売り場で聞いたような聞いた事のないような新品種の名前を目にする事も珍しくはなくなっています。

 生産者側でも品種の選定は大きな賭けになってきているらしく、従来の知られた品種では採算性が低く、新品種に賭けてみても色が薄めに出たり、赤さに黒みが加わったりすると消費者に敬遠される事から事前の調査が重要になり、かつてのような売れた品種の後追いでは採算性が上がり難くなっていると言います。

 消費者の間でも品種に対するブランディングが進み、それぞれに指定ブランドが出てきていると言います。そのためには従来の工業製品のようにマーケティングをはじめとした綿密なセールスプランが必要になってきます。そうしたブランディングの妨げとならないように、産地を限定し単県ブランドとなる品種も増えてきています。気候風土や厳密な生産方法が守られず、大きさや甘さが不適格な物が出回る事によって評判を落とす事を防ぐためという事ですが、甘くない現実だけが甘いイチゴの背景に見え隠れしてしまいます。

 



第728回 身体の入り口     2007年03月12日

 小学生の頃、担任の先生が繰り返し「虫歯は全身に影響する」と言っていた事をいまだに覚えています。当時は、あまり意味がよく判らず、とにかく虫歯にならないよう気を付けなければと思っただけなのですが、当時、先生が何を元にそのような発言をされていたかは、今となっては知る事はできません。しかし、その後の研究で虫歯がまるで関係のないような疾患にまで影響を与えている事が明らかになってきています。

 先日、米国の医学誌に掲載されていたレポートによると、歯周病の治療によって、血流や動脈の弾力性が改善されたという知見が報告されていました。血流や動脈の弾力性というと、生活習慣に直結したものとされ、ドロドロの血や動脈硬化と言えば、生活習慣病の最たるものと考えられ、治療は難しいものとされてきました。

 英国ロンドンのイーストマン歯科病院で重症の歯周病患者120人を対象に研究を実施したところ、歯周病の治療を集中的に行ったグループでは、当初炎症が悪化するという事も見られましたが、半年後には血管の内側を被う内皮細胞の機能改善が認められたそうです。血管が拡張して血流が改善された事も確認され、内皮細胞の健康状態を示す分子マーカーも改善が示されていたと言います。

 集中治療を行ったグループでは、動脈の内腔が通常の治療を行ったグループより2%も拡張している事が確認され、歯周病の治療と血管の改善との間に相関関係がある事が確認されています。これまで局所炎症と冠動脈の炎症の関連が示唆されていましたが、今回の研究結果はそれを裏付けるものとなっています。

 専門家の間では今回の研究を歯周病と心血管疾患の関連を示しているが、各危険因子の相対的な重要度については示されておらず、その他の生活習慣などの関与が考慮されていないとしていますが、歯周病による炎症と血管の疾患を示唆してきたこれまでの研究を補強し、歯周病を治療する事で血管内皮細胞の機能が改善されるという二次的な効果がある事を示した事にもなります。歯周病は自己治癒力の及ぶ範囲を超えているものでもあるので、速やかな治療をする事がいかに大切であるかが、またこれで強く印象付けられた事でもあります。

 



第727回 佃、時雨、甘露     2007年03月09日

 材料に浸るくらいの水、砂糖、しょうゆ、みりん、酒等を加え、材料が柔らかく煮汁がなくなるまで煮込んで作られる料理といえば佃煮です。同じような作り方をするものに時雨煮、甘露煮などがあり、甘露煮は飴煮とも呼ばれる事がありますが、一応同じ物とされます。佃煮、時雨煮、甘露煮に関しては同一視されがちですが、実は別物と言う事ができます。

 佃煮は「佃」は、江戸の地名である「佃島」の事を指し、徳川家康の招きによって摂津国西成郡佃村の漁民が移住した事に端を発します。佃島の漁民が、江戸幕府へ献上した残りの雑魚を塩やしょうゆなどで煮込み、保存食とした物が江戸市中に広まり、佃煮と呼ばれるようになりましたが、後に同様の調理法で作られた物は同じく佃煮と呼ばれるようになっています。

 時雨煮は焼きハマグリで知られた桑名にルーツがあるとされ、ショウガの風味を聞かせて砂糖としょうゆで煮込んだ料理に、松尾芭蕉の高弟である俳人、各務支考(かがみしこう)が名付け「時雨蛤」が元とされます。さまざまな風味が通り雨のように口の中を通り過ぎる事や、時雨の降る季節のハマグリが美味しいとされる事、すぐに調理できる事がすぐに止む通り雨に似ている事が語源として伝えられています。

 甘露煮は、本来は鮎や鯉、ニジマス、ワカサギなどの淡水性の魚を甘辛く、骨まで柔らかくなるまで煮込んだ物ですが、栗や金柑などの果物を甘く煮た物も同じく甘露煮と呼ぶ事があります。飴煮と呼ばれる事からも想像できる事ですが、照りがしっかり出る事が美味しい仕上がりとなっています。

 佃煮と時雨煮は、現在ではほとんど同じ作り方をして、素材や地域によって使い分けられる調理名とされがちですが、本来の作り方をした場合、大きな違いとしては仕上げに水飴を加えるかどうかという点で分かれます。庶民の間で発達してきた佃煮は、こってりとした味に仕上げる事から水飴が加えられ、時雨煮は殿様にも献上されていた事から水飴を加えず、あっさりと仕上げるそうです。水飴を使う点では甘露煮も佃煮と同じですが、甘露煮は一旦素材に焼き目を付けるという工程が最初に入る点で違いが生じています。

 最近では、どれも同じ作り方になってきているようですが、せっかくなので微妙な違いはしっかり残してほしいと思ってしまいます。

 



第726回 脈は語る     2007年03月08日

 以前、かなり大きな病院で、幾つかの科の診察を受ける事にしていたのですが、言われた通りに待っていると、後で診察を予定していた内科の看護士の方が内科に空き時間ができたのか、「先生が待っています。急いで下さい」と急かし、少し離れた階下の診察室まで走って連れていかれました。

 診察室へ到着するとすぐに血圧が測られ、血圧が高い事を指摘されて、帰りに処方された薬にはしっかり降圧剤が入れられていた事があります。血圧は内科の診察の基本でもある事から、もう少し真面目にできないものかと思ってしまいました。実際、血圧を細かく見る事で多くの疾患を事前に知る事ができます。

 先日、米国の医学誌に掲載されていた報告によると、最大血圧と最小血圧の差(最大血圧-最小血圧)で簡単に求められる脈圧の増大で、異常な心拍であり危険度の高い心房細動の発症リスクを知る事ができるとしています。

 大規模心臓研究であるフラミンガム心臓研究に参加した5300人を超えるデータを、平均16年にわたり追跡した今回の研究では、脈圧が20増大する事で、心房細動発症のリスクが34%増大することが判明したと言います。心房細動は心房に震えが生じて、血流に微細な異常が生じる事から、血栓が形成されやすくなり、脳卒中や心筋梗塞の原因となる事や、心不全などの大きな障害にも関連するとされています。

 心房細動の発症に繋がるものとして動脈硬化が上げられています。動脈硬化の尺度として脈圧が考えられる事や、脈圧の増大は最小血圧の低下によるものがほとんどない事から、心房細動のリスクを増大させる高血圧の存在も脈圧の増大、心房細動のリスク増加となる事が考えられます。

 現段階では脈圧を低下させる事が心房細動の罹患率を下げる事に繋がるかについては不明とされ、今後も研究を重ねる必要があるそうですが、脈圧を下げる事に繋がるのは、体重の管理や適度な運動、食事内容の管理など生活習慣の改善による部分が大きいので、それらは心房細動のリスクも下げてくれる事が考えられます。健康は自分の力で確保しなければと思ってしまいます。

 



第725回 術後の気分     2007年03月07日

 最近は黄色いドナーカードの普及も進み、臓器移植という事自体も一般化してきたように思えます。機能不全に陥り、回復の見込みがない臓器をドナーより提供を受けて移植するという事は、選択の余地がない中からの有効な治療法と言う事ができます。

 一旦、ドナーが見つかり、移植手術を終えてしまうと、新たな臓器がこれまでの臓器に代わって健全な働きをはじめてくれる事から、全てがそこで解決してしまうように思われがちですが、実はそこで全てが終りという訳ではありません。

 必要に迫られて移植し、それなしでは生存に支障が出る重要な臓器であっても、本来の自らの臓器ではないために体内の免疫システムの攻撃対象となってしまいます。そのため、移植手術後は免疫の攻撃を和らげ、移植した臓器を守るために免疫抑制剤を飲用し続ける必要が生じてしまいます。

 これまで臓器の移植を受けた患者の間に、高い比率で鬱状態に陥る例が見られていました。鬱病と診断されないまでも、落ち込みがちになったり、気分が低迷を続けるという事が目立つ背景には、移植手術を受けたという心理的な影響が大きいと考えられてきましたが、先日、それが移植後に投与される免疫抑制剤の副作用の可能性が高い事が明らかになってきました。

 シクロスポリンは代表的な免疫抑制剤であり、臓器移植の普及に繋がった製剤とも言われます。そのシクロスポリンを投与すると通常、互いに体を寄せ合って眠るマウスが、互いを警戒し、一定の距離を保って眠るようになり、高さ1メートルに設置した一部に壁のない通路を歩けなくなり、怯えた様子を見せるようになる事が観察されました。

 鬱の状態では、ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の働きが低下している事が関与しているとされますが、シクロスポリンを投与したマウスはドーパミンとセロトニンの分泌量が、投与していないマウスの半分以下に低下していました。今後、投与方法を工夫する事で鬱状態の発生を未然に防げる可能性があるという事なので、術後、避けられない投与だけに研究が進む事を期待したいと思っています。

 



第724回 郷土食?     2007年03月06日

 「柚餅子(ゆべし)」は柚子を用いた伝統的な加工食品で、その歴史は鎌倉時代とも平安時代後期とも言われ、お菓子というより保存性を重視した携帯食に近いものであったとされます。各地へ伝えられ時代と共に変化が加わり、今日ではいくつかに分類する事ができるようになっています。

 作り方は、柚子の上部を切り取って中身をくり抜き、中に味噌、山椒、クルミなどを詰めて蓋をします。ワラで巻いて風通しの良い日陰で1ヶ月から半年ほど乾燥させれば出来上がりで、この製法は江戸時代の料理書「料理物語」にも、酒の肴として登場してきます。

 また、柚子の上部を切り取って中身をくり抜き、柚子の果肉、もち米粉、上新粉、白味噌、砂糖などを混ぜた物を入れ、蒸し上げて乾燥させます。蒸しと乾燥という工程を幾度となく繰返し、あめ色になるまで手間をかけて仕上げるという贅沢な作り方も柚餅子の一つではあります。

 柚子の皮を刻んでもち米、上新粉、白味噌、しょうゆ、砂糖などと混ぜ合わせ、蒸し上げて竹の皮に巻いた「棒柚餅子(ぼうゆべし)」、求肥や羊羹に柚子の香りを付けた物を「柚餅子」と称する事もあり、同じ柚餅子と言っても多彩なバリエーションが各地の郷土食として残されているようです。

 特に棒柚餅子はバリエーションが多く、各地で微妙な違いはありますが伝承され、国内に限らずトルコの「ロクム」など酷似したものがあります。香り豊かな柑橘類を香り付けに使い、穀物の粉を練った中に甘辛い味付けをしてナッツ類をアクセントにする。材料が揃えば自然に発生する可能性がある食べ物ですが、由来や歴史は深いものがあり、詳細な系統付けがいまだに私の中ではできていません。高級和菓子から餅菓子、味噌のようなペースト状の調味料まで、柚餅子という存在には食の世界の興味深さを感じずにはいられません。

 



第723回 冬魚の旬     2007年03月05日

 寿司屋の店内には魚の名前が漢字で書かれたものが置かれている事が多く、読めないものの多さに驚いてしまう事があります。中には1匹で成長と共に名前が変わり、幾つかの漢字を独り占めしている魚もいて、興味深く見てしまいます。成長に伴い名前が変わる魚は出世魚と呼ばれ、縁起が良いとされますが、中には成長と共に名前は変わりますが、価値が下がっていくという可哀相な逆出世魚もいます。

 コノシロは関東の市場では入荷しない日はないと言われるほど重要な魚とされますが、5cm程度のシンコからはじまり、10cmまでがコハダ、14cm以下をナカズミ、それ以上をコノシロと呼んでいます。早春に生まれたシンコのはしりのものなど、キロあたりの単価が25000円もする事があり、初夏にはそれがキロ単価2000円に下がってしまいます。更に成長が進みナカズミ以降はキロ単価800円にまで下落してしまうそうなので、かなりの逆出世となります。

 江戸前の寿司にはコハダは欠かす事ができない魚で、他のにぎり寿司よりも下ごしらえに手間がかかる割には評価が低く、しかし、最初に出される事が多い事から寿司職人の腕が試される寿司ネタとも言われます。

 コノシロは生食される事が少なく、酢でしめたり焼き物にするなどして食べられます。特に焼き物にした際の美味しさは特筆するものがあるとされますが、焼いている時に出る匂いが人を焼いた時に出る匂いに似ているとされ、そこから名前に纏わる物語が伝えられています。

 娘の嫁入りをやめさせようとする親が、娘が死んだ事にしてコノシロを焼き、棺に入れて欺く話や、子供が生贄にされないようにコノシロを焼いてごまかす話など微妙な違いがありながら、身代わりという点で一致したものが残されています。そこから子の身代わり、「子の代」と書いてコノシロの語源となったとされています。

 しかし、この「子の代」説には異論が多く、コノシロの名前を元に後から作られたというのが定説となっています。魚類の命名は外観の特徴からくるものが多い事から、コノシロの糸状の長い背びれから「此の後ろ」が語源となったというものが妥当なようです。

 コノシロは魚偏に冬と書く「鮗」が使われていますが、冬に旬を迎えるというところからきています。本当の旬は秋とされますので、美味しさを若干逃しているような、そのせいで逆出世の傾向が顕著になっているような、そんな不憫なものを感じてしまいます。また、名前の響きから「この城を焼く」に通じるという事で、武士は食べない魚とも言われ、ますます気の毒になってしまいます。

 



第722回 必要?     2007年03月02日

 学校を休んでいた女子中学生がベランダから転落、当初自殺の可能性が考えられましたが、いじめの事実や悩み事などが確認されず、動機については不明とされていました。男子中学生がトイレへ行くと自宅ドアから出て行き、そのまま壁を乗り越えて転落。先月、2つの似たようなニュースが伝えられていました。共通点はマンションの高い階に住んでいる事、14歳の中学生、数日前から風邪をひき抗インフルエンザウィルス薬タミフルを処方されていた事です。

 タミフルは正式な名称をリン酸オセルタミビル製剤と言い、ウィルスの増殖を抑える働きがある薬剤です。ウィルス感染後48時間内に飲用すれば、体内でのウィルスの増殖を抑え、発熱の抑制や回復するまでの期間を1日ほど短縮する働きがあるとされます。

 これまでインフルエンザウィルスに対抗する直接の手段となる飲み薬がなかった事から、タミフルの出現はインフルエンザの特効薬の登場として広く認識される事となりましたが、実際はインフルエンザウィルスの活動を鈍らせるだけで、発熱が抑えられる事から身体がウィルスに対抗する働きを邪魔するという懸念もされていました。

 そうした懸念以上にタミフルには呼吸抑制や異常行動といった副作用がある事が、一部の医療機関からの報告によって知られるようになり、タミフルによって治癒期間の短縮というメリットと、副作用というデメリットのどちらが勝るのかといった論議も行われています。

 タミフルのメリットはインフルエンザの症状が消えるまでの期間が、平均して1日程度短くなる事で、併用して非ステロイド抗炎症剤を解熱剤として使うと、その効果も失われてしまいます。逆にデメリットは死に至る可能性まで示唆されています。現在、明確な因果関係は確定されていませんが、服用後死亡した事例が06年10月まででも54件報告されています。

 日本では全世界のタミフルの7割以上を消費しているとされ、今後、鳥インフルエンザに対抗するために国と都道府県で2500万人分を備蓄するとされています。風邪で診察を受けた際、インフルエンザの予防にもなるからと処方される例も多く聞かされます。遺族団体からは使用に際しての注意を喚起する事を要望していますが、各国の研究機関をはじめ、厚生労働省でも因果関係は否定され、注意喚起には否定的な見解が示されています。明確にこそされていませんが、予防的な意味といった安易な使用は避けたいと感じてしまっています。

 



第721回 胡麻差異     2007年03月01日

 以前、台湾の方に健康の秘訣として、毎日年齢と同じ数のゴマを食べると良いと聞かされた事があります。ゴマにはさまざま健康に良い成分が含まれ、薬味としての風味も良い事から、毎日摂る事は健康に非常に良い事だと思います。年齢と同じ数で足りるかについては疑問がありますが...。

 数の問題は別として、ゴマを毎日の生活に取り入れ、継続的に愛用する事は健康作りにお薦めの事でもあります。そう思ってみたとき、ゴマにはたくさんの種類があって、どれを選ぶか戸惑ってしまう事があります。

 健康素材としてさまざまなサプリメントの素材として使われるゴマとして、黒ゴマがあります。それに対し色違いのような感じで白ゴマ、茶ゴマがあり、黄ゴマ、金ゴマといった名前も見かけます。それにすりゴマ、炒りゴマ、練りゴマ、剥きゴマ、ひねりゴマ、切りゴマ、洗いゴマといったものもあります。

 黒ゴマは文字通り黒いゴマで、粒が大きく香りも強めです。油分は少な目なのですが、存在感があるので薬味や飾り付けなどに向いています。白ゴマは白というか薄い茶色で、黒ゴマより粒が小さく香りも弱めなのですが油分が多く、絞ってゴマ油にする事をはじめ加工用の素材に向いているとされます。茶ゴマは白ゴマより色が濃く香りも強め、油分は黒ゴマよりは多めで高級食材として扱われる事もあります。黄ゴマ、金ゴマはこの茶ゴマの事で、地方によって呼び名が異なっています。

 それ以外の名前は主に加工法を示したもので、生のゴマを水に漬けて洗ったものが洗いゴマ。白ゴマの皮を剥いた剥きゴマは磨きゴマとも呼ばれ、炒って乾燥させたものが炒りゴマ、炒りゴマをすり鉢で潰したすりゴマ、炒りゴマを包丁で叩き、刻んで香りを出した切りゴマ、指先でひねって潰したひねりゴマ、ペースト状になるまでよくすったものが練りゴマとなっています。

 それぞれ用途や好みに合わせて選択すると、よりゴマと親しむ事ができ、楽しく健康管理ができるようになると思うのですが、ゴマも健康を意識し過ぎて大量に摂るようになると、その油分から意外なほどカロリーが高かったりするので、愛用する量には注意が必要かもしれません。年齢分では少ないかもしれませんが...。

 



 

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