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第856回 酵母の名前     2007年09月28日

 発酵を助けてくれる微生物、酵母菌は、時として加工する製品の名前を付けて呼ばれる事があります。パン生地の中で発酵してパンをふっくらとさせるパン酵母や、ビールを製造する際のビール酵母は日常的に耳にする名前でもあります。

 酵母菌の働きとして糖分を体内に摂り込みながら二酸化炭素とアルコールに分解してくれるので、発生した二酸化炭素を使ってパン生地をふっくらさせてり、ビールにはアルコールと炭酸を供給してくれます。

 それぞれの役割に応じて酵母菌の種類が選ばれ、適材適所な使い方がされているので、パン酵母、ビール酵母、アルコール醸造酵母、ワイン酵母、清酒醸造用酵母は微妙に異なるものとなっています。

 酵母菌にはタンパク質やビタミンB群、ミネラル類などが豊富に含まれ、中でもビール酵母は酵母菌の中で最も栄養価が高いとされ、消化を助け、整腸作用があるとされる事から、健康食品の素材としても使われています。

 ビールの醸造が終わると不要となるビール酵母はろ過されてしまいます。発酵後、ビール酵母を取り除いてしまうのは、残したままでは濁りや沈殿物が出て、品質の保持が難しくなり長期保存に適さなくなってしまうからです。

 取り除かれたビール酵母は、一部が家畜飼料に配合されるなどの利用に留まっていましたが、最近では乾燥させた粉末を打錠してサプリメントにしたり、うどんやそばに混ぜる事で「こし」を出す事にも使われています。意外なところではハムやソーセージのつなぎとしても利用され、料理用素材としても使われてきています。

 新たな使い方としては、強力な消臭作用が発見された事から、臭い消しにも使われるようになってきています。生きたままのビール酵母を摂取すると、にんにくなどをはじめとした強力な臭気成分を吸着し、臭いを抱き込んで分解する働きがあり、腸内の消化酵素も活性化させる事から、口臭から体臭、便臭までも弱めるとして注目されてきています。にんにくの臭い消しに関しては、これまでさまざまな手法が考案されてきましたが、新たな手法が加わる事になるかもしれません。

 



第855回 低カロリー長寿     2007年09月27日

 日常的に摂取するカロリーを制限する事で長寿になる傾向は、以前からラットを使った実験で実証され、人やサルだけでなくもっと小さい単位の酵母菌などでも確認されています。

 明らかな事象として確認されていたこの傾向は、これまで詳細なメカニズムについては不明とされてきていましたが、摂取カロリーが減る事によるストレスが分子レベルでの反応を促し、重要な細胞機能を活性化させて加齢や病気への抵抗力を高めるのではとした仮説を裏付ける研究結果が報告されています。

 今回行われた研究は人の細胞を用いた実験によって、細胞の機能を維持する栄養素は確保した上で摂取するカロリーを減らすと、ミトコンドリアの内部で連鎖反応が始まり、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)と呼ばれる補酵素が増強される事が示されています。

 NADの増加によるエネルギー出力の上昇については、詳細なメカニズムは解明されていませんが、遺伝子から生成されるSIRT3、SIRT4という酵素の活動を活性化し、ミトコンドリアのエネルギー出力を上昇させる事が考えられます。

 細胞内のエネルギー源は細胞核をはじめ他にも存在していますが、それらがすべて消滅してもミトコンドリアさえ機能していれば細胞は行き続ける事が可能とされています。加齢に伴い細胞の死滅が起こる事は、あらかじめ細胞内にプログラムされていると考えられていますが、ミトコンドリアの活性化は、そのプログラムにも対抗するものと考えられます。

 ミトコンドリアが損傷を受けて細胞が死滅する事は、アルツハイマーや卒中、心臓病、糖尿病などさまざまな病気に関係すると見られ、健康維持にミトコンドリアが重要である事は知られていました。そのミトコンドリアを活性化させる一つの方法としてカロリー制限があり、活性化したミトコンドリアが細胞を死滅から守る事が長寿に繋がると考えられ、今後の健康管理の新たな方向性となっていくのではと思われます。必要な栄養素は確保しつつカロリー制限。食の内容が重要となります。

 



第854回 大きな一歩     2007年09月26日

 アルツハイマー病というと、認知症に繋がる代表的な病気でもあります。原因不明とされていた事もあり、不治の病というイメージも定着していました。高齢者特有の病でなく、若年性のアルツハイマー病の存在も知られ、予防法や治療法の解明が急がれている病気でもあります。

 アルツハイマー病患者に共通する特徴として、脳にシミのような老人斑が見られます。老人斑の主成分はアミロイドβと呼ばれるタンパク質で、神経細胞を殺す働きを持っています。それが脳に蓄積して塊となると神経細胞が次々と死滅していき、記憶障害が起こるとされています。

 老人斑を減らす事ができれば神経細胞の死滅を防ぐ事ができるので、アルツハイマー病による認知症の発生を抑える事ができます。今から10年ほど前、マウスにアミロイドβを注射したところ、脳内に抗体ができて老人斑が減る事が米国の研究者によって発見されていました。

 これまで毒性のない状態にしたウィルスや細菌を注射する事で体内に免疫反応を起こさせ、抗体を形成して病気に対処するワクチン療法が行われてきました。アミロイドβを注射する手法はこれと同じやり方で、アルツハイマー病にもワクチン療法が通用する可能性を示唆しています。

 そうした可能性を元に1999年には製薬会社が約300人の患者に対し、アミロイドβを注射するという臨床試験が開始されています。途中で脳炎の副作用が約6%の患者に見られた事で、試験は中止されましたが、後の研究で試験に参加した多くの患者に老人斑の減少、認知機能低下の抑制などが確認されています。

 その後、研究は「脳炎を起こさないワクチン作り」に焦点が当てられ、血管に直接アミロイドβを注射するのではなく、アミロイドβを作り出す遺伝子を組み入れた遺伝子の運び役を口から摂取して、腸管内で抗体を作らせる事で安全性を確保するという方法が日本で開発されています。

 安全性を確認する日本の臨床試験はハードルが高いとされているため、導入には時間と費用が必要となる事が考えられる事から、ワクチン開発に賛同する日本国内の企業はなく、興味を示しているのは米国の企業のみとされています。米国からの逆輸入の形となっても、治療法の確立は何よりの朗報となる事と思います。あと数年もあれば治療法の糸口が生まれるところまできていると言われているだけに、今後に期待したいと思っています。

 



第853回 美味しい秘密     2007年09月25日

 以前、小用で訪れた街で、いつものようにホテルに着くなりうがいをしたのですが、口にわずかに残った水の不味さに驚いた事があります。その後、その街の自治体が「水道水が美味しくなりました」という発表をしているのを見かけたのですが、あの水がどう変わるのだろうと不思議に思った事があります。

 水道水は殺菌剤として塩素を添加してあります。この塩素が水を美味しくなくしている要素の一つとなっています。塩素は微生物の細胞壁を通過して中へ侵入し、細胞内の酵素を損傷させる事によって生体活動を継続できないようにして殺菌しています。

 同じく殺菌剤として知られる抗生物質のメチシリンなどは、細胞壁合成酵素の活性部分に作用して、合成酵素の活性を止めるという機能破壊を行って殺菌効果を発揮します。

 それに対しオゾンによる殺菌は、オゾンが微生物の細胞壁や細胞壁の機能を破壊し、さらに細胞内へ侵入して内部の酵素の活性を奪い、やがては核酸の活性自体も不活性化し、細胞の表層から内部まで破壊して殺菌するという多面的な殺菌を行ってくれます。

 そのためオゾンを殺菌剤として多用しても耐性菌ができにくく、すぐに薬剤耐性を持つ大腸菌やサルモネラ菌、ビブリオ菌などのグラム陰性菌の殺菌にも向いています。

 しかもオゾンは不安定であり、乾燥空気中でも12時間程度。水に溶ける事でさらに不安定になり20度の蒸留水中では、165分とい短い半減期となっています。自然に分解されたオゾンは酸素分子となり、残留による弊害もほとんどあり得ない事と言われています。

 水道水の殺菌を従来の塩素からオゾンへ変えた事が、その自治体の言う「美味しくなった」の正体のようですが、確かに塩素臭さがなくなり、殺菌もより確実に行われ、残留した塩素による弊害なども考えなくて良いというのは、幾重にも美味しい話なのかもしれません。

 



第852回 今時の酒造     2007年09月21日

 熊本の南、鹿児島県との県境近くに日本最南端の清酒のメーカーがあります。それより南になると同じ酒でも焼酎のメーカーとなってしまうとの事です。今ほど温度管理技術が発達していなかった時代には、酒造りにとってその土地の気候は非常に重要な要素であった事が伺えます。

 清酒の酒造りは冬場に行われる事がほとんどで、杜氏と呼ばれる技能者が稲刈りが終わり、秋風が冷たさを増す頃に酒蔵に呼ばれ、それから桜の時期まで酒造り一色の生活が続けられると言います。伝統一色の世界のように思えるのですが、最近では効率化が進み、酒造りも変化を遂げてきています。

 原則的には原料となる米、米麹、水を使う事は変わらないのですが、近代的な工場ではより効率化された新技術が投入されています。

 融米づくりと呼ばれる手法は液化仕込みとも呼ばれ、お湯の中に米を入れ、デンプン液化酵素を作用させて米を溶かし、糖化液を作り、発酵タンクで米麹と酵母によって発酵させます。この方法だと酒造りの中で固形物を扱う事がなくなるので、運搬の手間や温度管理が格段に容易になります。

 焙炒仕込みは、300度くらいの高温の熱風を米に吹きつけ、短時間で一気に米のタンパク質を変化させて従来の蒸し米の代わりに使います。蒸し米に比べて米の扱いが容易になり、保存性も高くなる事から工程管理の簡略化が図れます。

 最も進んだ方法としては、バイオリアクターを使うものが行われており、たくさんの小さな穴が開いたセラミックに酵母を固定し、固定化された酵母の層に融米づくりと同じ糖化液を通して、短時間で連続的に清酒を作り出します、この方法だと完全に機械化、自動化する事ができます。

 清酒作りは伝統イメージが強いので、バイオリアクターが宣伝文句になる事はないのですが、融米づくり、焙炒仕込みは聞かされた事があります。こだわりの酒造りのように感じられるのですが、内容的には最新技術なのかもしれません。

 



第851回 電気パン     2007年09月20日

 突然、「電気パン」と言われても変なパン、または電気屋で売られているパンとしか思えませんが、一定の年齢の方の中には懐かしさを感じられる方もいらっしゃるかもしれません。戦後、実際に電気パン焼き器が売られていたと聞かされた事があります。

 電気パン焼き器は、木箱の内側の向かい合った面に金属製の板が張られただけという、至ってシンプルな物ですが、小麦粉と膨らし粉などを水で練ったパン種を流し込み、100Vの電流を流してやるとパンが焼き上がるという物で、パンが焼き上がったら自動的に電流が停止し、焼き過ぎになる事がないという優れものでもあります。

 パン種の状態から言って、正確には蒸しパンに近い物であると考えられるのですが、水分が多いパン種に不思議な電気パン焼き器の秘密が隠されています。物に電流を流すと電気抵抗によって熱を発します。この原理を利用した加熱方法は「通電ジュール加熱」と呼ばれ、食材であってもそれは例外ではありません。

 水分が多いパン種は電気を通し、電気抵抗によって一気に熱を帯びます。その熱によって小麦粉が熱せられ、膨らし粉が膨らみパンが焼きあがります。パン種の中の水分は焼き上がりと共に外へ蒸発してしまうため、焼き上がりの状態になると電気が流れなくなって焼き過ぎになる事がありません。

 通電加熱は従来の加熱方法と比べ、外部からではなく内部から発熱するため内部加熱とも呼ばれ、急速な加熱が可能である事や電気的な制御が容易である事。食品の形状に関係なく均一な加熱ができ、何より熱変換効率が高く省エネルギーであるなどのメリットを多く持っています。

 戦後すぐに姿を消し、一部の理科の実験で再現される事はあっても、その存在を忘れ去られつつあった電気パンですが、その大元となる通電加熱の原理は食品加工の分野で、再び注目されるものとなってきています。

 



第850回 渋味利用     2007年09月19日

 秋の深まりと共に色付く柿の色は、いかにも日本の赤色という感じがします。柿は赤くなりながら、中に含まれるタンニンが水に溶ける水溶性から、水に溶けない不溶性へと性質が変化する事で渋い味を感じなくなっていきます。

 タンニンは非常に渋い味を持ち、その不味さは水溶性のタンニンを豊富に含む渋柿を誤って食べた事のある人なら容易に理解できるものと思います。そんな渋い味から食用には向かないタンニンですが、意外と利用範囲が広く、伝統的に柿渋という形で利用されてきました。

 柿渋はまだ青い渋柿を収穫し、砕いて挽き、圧搾して得られた液体を桶に入れ1〜3年発酵させて作ります。発酵させる方法によって用途が分かれ、自然発酵させてできる赤紫の柿渋は民族工芸や染織工芸などに用いられ、素材の防水性、対候性、耐久性を高めながら、独特の色合いを出す事に使われます。

 発酵させるために酵母を使う酵母発酵は、柿酵母と呼ばれる柿渋専用の酵母を加えて発酵させ、日本酒を作る工程で透明する清澄剤や漢方薬に使われています。

 柿渋は水によく溶けますが、乾くと強い皮膜を作ってくれ防水性を発揮するという特徴を持っています。柿渋に含まれるタンニンが塗布する素材のタンパク質やコラーゲンと結合して不溶性物質となり、強力な皮膜を形成しています。この特徴を利用して網や釣り糸、傘、団扇の保護に使われています。

 似たような働きとして、酸化した鉄と反応して紫色を帯びた黒い色に変化し、錆が付きにくくなる事から、鉄の表面に均一に赤錆を生じさせて、柿渋で黒錆に変えて表面を保護する事にも使われています。

 最近ではオーガニックな木材の保護剤として、床や壁の建材に塗布する例も増えてきています。意外な利用例としては、蜂に刺された際、蜂の毒を中和する事ができ、通説となっているアンモニアよりもはるかに効果が有るとされます。青い柿が目立つ時期、自分で作っておけば重宝しそうなのですが、発酵時にかなり強烈な臭いを出すので、あまりお薦めはできないかもしれません。

 



第849回 危険?安全?     2007年09月18日

 子供の頃、中国地方と言った場合、隣国の中華人民共和国の事を指しているのか、本州西部の中国地方を指しているのかよく判らなかった事がありました。今から思うと子供ゆえの事と笑え、広大な中国を地方で呼ぶ事があり得ない事は充分に理解しています。

 しかし、昨今の中国産製品への不安の前では、そうした子供じみたわずかな判り難さも大変な事へと発展する可能性を秘めているらしく、先日、中国地方の岡山に本社がある食品会社、中国食品工業が急激な顧客離れによって倒産していました。

 中国産というだけでどことなく「いんちき」「危険」といった感じを抱いてしまいます。事の起こりは何処にあるのか、振り返ってみると昨年春に導入された「ポジティブリスト制度」のあたりではないかと思えてしまいます。

 食品に含まれる残留農薬や食品添加物を規制して安全性を確保する場合、基本的に二つの考え方をする事ができます。一つは原則的にすべてを自由として残留してはならない物だけをリストアップし、それが含まれていれば流通を禁止するというやり方。

 もう一つは原則的にすべてを禁止し、残留を認める物だけをリストアップして、それ以外の物が含まれていれば流通を禁止するというやり方。残留が許される成分とその基準値を明確にする事で、予期せぬ成分の混入を防ぐ事ができます。

 この二つの方法の前者をネガティブリスト制度、後者をポジティブリスト制度と呼びます。農産物を作る際、必要となる農薬は知られているので、それら使う可能性のある農薬をピンポイントで検出すればネガティブリストの制度下で残留農薬の危険を察知する事ができます。

 しかし、隣接する畑でまったく違う農産物が生産されており、飛散した農薬が畑に入り込んでいた場合、その作物とは縁がない農薬の残留が起こる可能性があります。その危険性を察知するためには従来のネガティブリストでは対応できない部分があり、ポジティブリストでなければ見逃してしまう可能性もあります。

 そうして導入されたポジティブリスト制度下での輸入食品検査によって、前年度91件だった残留農薬の検出件数は761件と8倍以上にまで増えています。件数的には中国が最も多く、2位のベトナムを倍近くまで引き離し、全体の3分の1になっています。

 数字だけを見ていると圧倒的な検出件数のように感じられてしまいますが、元々中国からの輸入は件数が多く、比率にすると0.6%に過ぎず、米国の20分の1程度となっています。

 中国での生産の現場を知る人からは、現地の農家は経済的にそれほど豊かではなく、残留させられるほど農薬を使えないという意見もあります。残留農薬の検査基準が日本の3倍くらい高めで緩いものである事や、その後続いたダンボール肉まん、人口卵、模造臭豆腐などの情報によってマイナスイメージが植え付けられてしまったように思えます。

 極度に神経質になり、怖がる背景には情報不足がある事も明白です。良くない物を市場から締め出す事は大切な事ですが、一連の騒動の方向が少しだけ変わり、消費者が自らの判断で安全を確保できるような情報入手が可能となるように意見が高まる事を願っています。

 



第848回 怪奇現象?     2007年09月14日

 CCDというとデジタルカメラやパソコンを思い浮かべてしまいますが、最近注目しているある現象があります。CCD(蜂群崩壊症候群)と呼ばれるもので、ミツバチが忽然と姿を消してしまうというものです。

 最初に報告された米国ではごく短期間のうちに数十億匹のミツバチが姿を消し、特に被害はトラックに巣箱を載せて各地を回り、農産物の受粉を行う養蜂業者の間で報告され、養蜂業だけでなく農産物にも打撃を与えています。

 ミツバチの巣箱には数千匹のミツバチがいますが、天敵であるスズメバチ数匹で絶滅させられてしまう事があります。その場合、現場に大量の死骸が残されるのですが、CCDは忽然と姿を消し、何の形跡も残らないという特徴があります。

 これまで諸説が原因として挙げられ、安価な輸入ハチミツが流通した事で、それに対抗するために蜂もフル稼働を強いられていた事から、オーバーワークのストレスによる帰巣拒否や、携帯電話の電波によって方向感覚の消失説。巣箱のダニを駆除するための殺虫剤の弊害説などが有力視されていました。

 最近、新たな原因説が浮上してきています。オーストラリアから輸入されたミツバチまたは中国から輸入されたローヤルゼリーに混入していたIAPV(イスラエル急性麻痺ウィルス)が、群を崩壊させる原因の可能性が高いと見られています。

 ミツバチがIAPVに感染すると羽が震える症状が出て、通常であれば巣箱を出たところで全身が麻痺して死に至ります。ウィルスが突然変異を起こして、これまで知られた症状の経過とは違う状況を生み出している事が、CCDの原因究明を難しくしているのではとも考えられています。

 実際、養蜂場からウィルスが検出されると9割以上の確立でCCDが発生するとされています。しかし、健全な養蜂場からもウィルスが検出されている事から、ウィルスだけでCCDが発生しているのではなく、複数の要因が絡んで原因となっている事が考えられます。

 巣箱にいるダニの中には、ミツバチに寄生してミツバチの免疫力を下げるものがいます。そうした寄生虫の存在や、働きすぎによるストレスなどがウィルスの被害を大きくしているように思えます。


 



第847回 食べ方違い     2007年09月13日

 冷たく透明感があって、ほどよい酸味が食欲のない夏場でも美味しくいただけるところてんは、おやつなのか食事の一環なのか不思議な存在感を持っています。カロリーが低い事からダイエットにも最適とされ、ところてんの原料となる寒天はしばらくブームになって品薄になった事も、記憶に新しいところではあります。

 以前、ところてんを出されて、何も考えずにいつものようにいただこうとしたところ、慣れ親しんだ二杯酢ではなく黒蜜である事に、地域によってずいぶんと食べ方が違うものだと驚かされた事があります。

 最近はノンオイルの青シソドレッシングなどが添付されてくる事もあるのですが、伝統的には関東以北は二杯酢、中部地方は三杯酢、四国地方はだし汁、関西が黒蜜とされています。

 関西だけが甘味となっているのは、形状や質感が葛に似ている事から葛と同じように黒蜜をなった事が元となっています。また名古屋などの中部地方の一部では、ところてんを食べるのに箸を一本しか使わないという習慣が残されています。

 理由については諸説があり、食事とおやつを区別するため、箸でつまんでところてんを切ってしまわないため、箸が貴重であったためなど、さまざまないわれが伝えられています。

 かつて貴族の食べ物とされていた物が、江戸時代に入ってから庶民に普及し、今日に至っています。その過程で地域性も加わり、さまざまに変化した事がところてんというシンプルな食べ物にも変化を持たせているのかもしれません。後から観察するには非常に面白いものがあります。

 



第846回 第3の因子発見     2007年09月12日

 夏場は清涼飲料水やアイスクリームの消費量が増える事や、消耗した体力を回復するために糖分を摂取する機会も増えるので、体内の糖代謝は酷使されている事が予想され、生活習慣病としての糖尿病が心配になります。

 糖尿病は体内の細胞が血糖値を適切にコントロールする事ができなくなる疾患で、血糖値を下げる働きを持つホルモン、インシュリンを分泌する膵臓の機能不全。肝臓、脂肪細胞、筋などの血糖値を下げる役割を担う器官がインシュリンに反応しなくなる事が原因とされています。

 最近、新たな研究で糖尿病に関する別の発症因子が確認されました。脳のニューロンが血液中のブドウ糖に適切な反応ができない事が、血糖値の有効なコントロールを失う原因となり、糖尿病を発症させてしまいます。

 ブドウ糖が供給されると脳のニューロンの一部が興奮する事は以前から知られていました。今回の研究では細かなメカニズムについては解明されていませんが、この反応によってブドウ糖の増大が感知され、血糖値を正常に戻す指令が出される事が明らかにされています。

 脳のニューロンがブドウ糖を感知する働きによって血糖値がコントロールされるので、ニューロンがブドウ糖を感知する能力が低下すると血糖値を適正に保つ事ができなくなってしまいます。症状的にはインシュリンの代謝が行われない事から2型糖尿病と同じなのですが、新たな因子の発見によって治療法確立への新たなアプローチができる事と期待されます。

 



第845回 家屋内の湿気     2007年09月11日

 子供の頃、夏休みになると普段は学校へ行っている時間のため見る事ができない昼のワイドショーを見る事ができ、そんな子供の視聴者が増える事を予想したのか、心霊関係の特集が組まれる事が多く、怖い物見たさで毎回楽しみにしていた事があります。

 その当時、最も気に入っていた特集は、不幸や怪奇現象が相次ぐ家を家相学的に分析するもので、立派なヒゲを蓄えた解説者がお気に入りでした。その解説者がしきりに主張していたのが、使わなくなった古井戸の上に家を建ててはいけないという事でした。

 使わなくなった古井戸に板などで蓋をして、そのまま普通の宅地のように家を建ててしまう。家相学や怪奇現象の発生は別として、井戸から上がる湿気によってさまざまな弊害が出る事が予想されます。

 特に湿気によって家屋内に発生するカビの影響は、見過ごす事ができないほど大きなものがあります。カビの弊害は直接的な食品に発生してカビ毒で汚染するというもの以外に、胞子を撒き散らし、それを吸入する事によって呼吸器系のアレルギーを誘発したり、喘息、息切れ、肺の感染症や鼻炎、咳、頭痛、身体各所の炎症といった多くの疾患に繋がる可能性があるとされます。

 カビの胞子による弊害がどの程度にまで及ぶのかについては、これまでそれ程認識されてきてはいませんでした。しかし、意外な部分にまで影響を与えている事がWHO(世界保健機構)の調査で明らかにされてきています。

 2002年から2003年にかけてヨーロッパの8都市、約3000世帯から収集したデータの解析によると、精神衛生面での問題にもカビの存在が関連している可能性が示唆されています。

 18〜108歳、6000人から問診された調査では、過去1年間にうつ病と診断されたかどうかの質問に加え、過去2年間の睡眠障害、自尊心の低下、食欲不振、活動への興味の減退といった項目と、住居の状態に関する質問。湿気やカビの発生に関する視察による評価。住居者自身の住宅環境の管理能力。カビの胞子による呼吸器系症状、疲労感、頭痛の有無などを調査しています。

 その結果、被験者の9%がうつ病と診断され、その他のさまざまな因子を考慮に入れてもカビとうつ病には明確な関連性が見られ、カビが発生している家で暮らす人は、うつ病を罹患するリスクが約40%ほど高まるとしています。

 まだ研究途中である事から、現段階では因果関係が明確にされていないため、どちらが原因でどちらが結果かという疑問も出てこないではないですが、いずれにしても家屋内でのカビの発生は良くない事です。

 



第844回 迷惑悪用     2007年09月10日

 芸能関係の情報に詳しくないというか、むしろ疎い方だと思います。先日、有名なミュージシャンの奥様が麻薬所持で逮捕というニュースを見たのですが、それが誰で何をしている人かという事はまるで判らないのですが、所持していた麻薬「ケタミン」には、少々複雑な思いがあります。

 ケタミンの所持は昨年までなら違法行為ではなく、所持していても使用していても逮捕される事はありませんでした。それどころか非常に安全性の高い物とされ、頻繁に利用されていました。

 ケタミンは副作用が少なく安全性が高い麻酔薬、鎮痛剤として知られ、人に対してよりも獣医師がペットに対して手術や検査の際に使う事が多く、傷みをコントロールするペインクリニックなどでも使われています。麻酔から覚醒した後でも鎮痛効果が持続する事や、麻酔が効いている間でも呼吸を抑制する作用が低い事からも安全で使いやすく、しかも価格が安いという良い特徴を多く持っています。

 そのケタミンが何故かクラブに出入りする若者達に間で取引されるようになり、合法ドラッグとして扱われるようになっています。ケタミンに抗欝作用がある事や、鼻孔吸入した場合に臨死体験に似た作用が得られるからでしょうか。

 2007年1月1日からケタミンは麻薬指定が行われ、麻薬取扱い免許なしには取り扱う事ができなくなっています。麻薬指定を受けたという事は、末端の獣医師だけが免許を取得しているだけではなく、製造から販売、使用という関係する全ての人が免許を取得する必要があります。

 国内で流通するケタミンの約9割を生産するメーカーでは、免許を持つ卸業者は少なく、従来の流通体制が取れないとして、指定後の製造を中止する決定をしています。

 ケタミンは全身麻酔に使用しても数十分で覚醒するという利点があり、筋肉注射としても使用できる事から、暴れる動物の治療を行う場合の事を考え、常備薬としている獣医も少なくはありませんでした。代替品として使用できる薬剤でもケタミンほど安全な物はないとされます。

 指定後、ケタミンが使用できない事で麻酔の安全性が下がり、仮に獣医師がケタミンを用意できたにしても管理が非常に厳密になる事から、施療費用の値上がりが必至と考えられます。麻酔、鎮痛剤として安心、安全で安価。悪用者のとばっちりを受けたにしては、あまりにも大きな損失のように思えてしまいます。

 



第843回 存在と原因と検証     2007年09月07日

 ADHD、注意欠陥他動性障害は、注意力を維持しにくい、時間の感覚に独自のものがある、さまざまな情報をまとめる事が苦手という特徴があり、ADHDがあると通常では無視すべき刺激にすぐに反応してしまい、目新しいものに飛びつき続ける事で、日常生活に支障をきたす事もあるとされます。

 外見的な特徴は落ち着きがない人という感じで、ADHDという概念がなかった頃は、親のしつけや子供の性格の問題とされていました。当初は子供の障害とされていましたが、完治できないまま成人する事で大人のADHDも増えてきています、

 ADHDについては、その存在自体を肯定する意見と否定する意見の両方が存在しています。脳名物質のドーパミンの代謝に関する機能不全によって引き起こされるという説や、新たな病名を作り出す事で薬剤の市場を作り出しているという両極端な説もあり、いずれもそれなりの説得力を持った話として語られています。

 先日、英国の食品基準庁の調査で、一般的に食品の保存料として使われている安息香酸ナトリウムと黄色、赤系の一部の合成色素を合せて摂取する事がADHDの原因となっている可能性が示唆されていました。黄色系色素というと、黄色4号と代替甘味料アスパルテームを合せて摂取する事で、いわゆるきれやすくなるという行動異常が起きる事も言われています。

 日常レベルの摂取量を基準に行われた調査という事で、食品添加物の新たな弊害として認識すべき調査内容ではありますが、前提にADHDの存在という問題があり、どことなく複雑なものを感じてしまいます。

 ADHDの実在については、脳内で分泌されたドーパミンを受け取る受容体の部分に特定の変異がある事で発症のリスクが高まるとした研究報告や、治療薬であるリタリンを与えた後の脳の状態をスキャンし、ADHD患者のドーパミンに関する機能低下が症状の発生に関与しているとした研究報告が行われ、実在する疾患である事を示していると研究に携わった研究者は述べています。

 前者の研究は分泌されたドーパミンを受け取れない、後者は受け取られるべきドーパミンが分泌されていないという、それぞれ逆の原因が語られてはいますが、ドーパミンの機能不全が症状の発生に関与している事は示しています。しかし、それだけを持って実在を確認してよいものか、どこか躊躇われるものもあります。

 現在、特に効果があるとされている薬剤の多くは、ドーパミンの分泌量を増やすといった対症療法を行うだけの物であり、覚醒剤の類であり依存性や身体への負担を伴う物である事を考えると、ADHDと診断される事が増えてきている昨今、一刻も早い確実な実在の証明と理由の解明、治療法または対処法の確立を願いたいと思います。

 



第842回 白い粉の思い出     2007年09月06日

 戦後の話として、列に並んで髪の毛と下着の中に大量の白い粉(殺虫剤DDT)を噴霧してもらったと聞かされた事があります。当時DDTは安全と考えられ、大戦後の衛生状態が悪化した日本で、ノミやシラミを駆除して衛生的な生活を確保する薬剤とされていました。

 当時の映像として教室全体に煙のように押し寄せるDDTの中で、にこやかに給食を食べている小学生の姿がDDTの安全性を示すプロモーションフィルムとして残され、どれだけDDTが安全と考えられていたかを伺う事ができます。

 DDTは1873年に初めて合成されました。1939年にスイスの科学者ミュラーによって殺虫剤としての効果が発見され、ミュラーは後にその功績によってノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

 実用化され爆発的に広まった原因は、第二次大戦によって日本からの除虫菊の供給が途絶えた米国で、非常に安価で大量生産が可能であり、少量で効果があり、人や家畜にも無害と考えられた事によります。

 その後、衛生状態の改善に伴い、人への散布は行われなくなりますが、安価な農業用の殺虫剤として利用が続けられています。環境中で分解されにくい事から長期にわたって土壌や水の中に残留し、食物連鎖を通してさまざまな動物の体内に入り込み、生体濃縮されると考えられ、その危険性を訴えたレイチェル・カーソンの「沈黙の春」はあまりにも有名です。

 やがて危険性が認識されるようになってから世界的に規制が行われ、DDTの使用が禁止されていきます。DDTは安価で大量生産ができ、少量でも効果的である事から、経済的、工業的に豊かでない国にとっては非常に有効な殺虫剤となっており、DDTに替わる殺虫剤を確保する事自体が困難となっています。

 DDTを使えなくなった事による損失は、極めて大きなものであるという指摘もあります。スリランカでは年間250万人を数えていたマラリア患者を、DDTの定期散布を行う事で31人にまで激減させ、使用禁止後はわずか5年で年間250万人に逆戻りしたと言われます。

 一時期、極めて危険な発ガン物質という評価を受けていたDDTですが、最新の研究では発ガン性が否定され、当初「人に対して発ガン性があるかもしれない物質」というグループ2Bに分類されていたていたDDTは、現在「発ガン性の評価ができない物質」というグループ3に変更されています。

 当初言われていたほどの発ガン性があったとしても、DDTを禁止した事によるマラリア患者は1000万人を超えるとも言われ、DDTを使い続けた事によってガンになり、命を落としたであろう人を5桁も上回ると言われています。

 そうした理由から一部の発展途上国では、マラリアの予防のためにDDTの使用が認められるようになってきています。生態系への影響など、他の問題も多く残されてはいますが、悪名高いDDTも見方を変えるとどれだけ必要とされる物か、物事への評価の難しさを感じてしまいます。

 



第841回 感染予測ツール     2007年09月05日

 年がばれてしまいそうですが、1980年にWHO(世界保健機構)より天然痘の根絶宣言が行われた際、大変な偉業が行われたという気持ちでそのニュースを聞いていました。人類が根絶した最初で唯一の感染症であり、研究用に米国とロシアのレベル4施設で厳重に保管された研究用のサンプル以外はこの地上にはウィルスが存在せず、致死性の高い感染症の脅威を一つ取り除いた事になります。

 しかし、それから時を経て世界的にテロの脅威が語られるようになると、天然痘の名前が再び出てくるようになりました。天然痘ウィルスを更に強化したウィルスによって、バイオテロが引き起こされる可能性が専門家によって語られ、既にウィルス自体が存在しないと思っていた身としては納得のいかないものを多く感じてしまいます。

 天然痘ウィルスが保管されているレベル4施設は、非常に厳重なセキュリティが施され、万が一にも事故が起こらないようにしてあります。レベル4よりも危険度が下がるレベル3やレベル2も同様に厳重な管理体制が施され、実際に研究者やスタッフが施設内で感染し、一般社会に病原体を撒き散らしたという事例は過去40年間確認されていないと言います。

 ところがそうしたレベル3、2の施設への事故報告規定はそれほど厳格ではなく、充分に守られていないという意見もあります。保護服を着用せずにレベル3実験室を掃除した学生の感染例や、無害化した菌と勘違いして実際の病原菌を扱い感染したレベル2施設の例などもあり、それらは氷山の一角とも言われています。

 研究助成金を受ける以上は、そうした事故に関しても報告をきちんと行う義務がありますが、報告を怠った場合の罰則がない事や、事故によって悪評が広がる事を怖れたり、感染症の症状自体を重篤になるまで他の病気と勝手に思い込んでしまうなどが事故が発覚しにくい原因として考えられます。

 鳥インフルエンザなどの世界的な流行が懸念される中、感染症の広がりをシミュレートするコンピュータープログラムが重要な研究ツールとなってきていますが、個人の感情的な部分や偶発的な思い込みなどの思いもよらない行動を予測する事が困難となっています。

 先日、人気のあるオンラインゲームの仮想空間内で伝染性のあるプログラミングエラーが発生しました。ゲームの開発メーカーはすぐにエラーに感染したキャラクターの隔離などの措置を試みましたが、感染性が高く、感染者がいる一区画を効果的に封鎖できなかった上に、プレーヤー自体もメーカーからの措置に従わなかった事もあり、最終的にはゲーム全体をリセットするしかなくなってしまいました。

 こうしたさまざまなプレーヤーが介在する事で起こる予測不能な行動は、伝染性疾患の流行モデルのプログラミングには欠けている部分であり、オンラインゲームという仮想空間内の事であっても現実世界の疾患に対する反応に酷似していると考えられます。伝染性疾患の流行を予測する事は、疫学上非常に困難とされますが、意外と便利で正確なツールが身近なところにあったのかもしれません。


 



第840回 原因?     2007年09月04日

 肥満の原因というとエネルギーの取り込み量と消費量のバランスにあると言えます。しかし実際はそんな単純な事ではなく、極めて複雑なメカニズムが絡み合って成り立っていて、それがダイエットの難しさに繋がっています。

 単一の原因で肥満が成り立っていない事は、単純に生活改善や栄養のバランスを取っただけで克服できない事に表れていますが、肥満に繋がる複雑な要因の一つを解き明かすかもしれない新たな研究結果が発表されていました。

 アデノウィルス36(Ad−36)は、呼吸器や眼に感染症を引き起こすウィルスとして知られていますが、さまざまな細胞の元となる幹細胞に働きかけて、脂肪細胞への発達を促す事が新たに発見されています。

 過去の研究においてやせた人と比べて肥満の人には、Ad−36の感染が広く見られる事が示されていました。今回の研究ではさらに一歩踏み込み、成人の幹細胞を採取してそのうちの半分をAd−36に感染させ、残り半分はそのまま1週間培養を行っています。

 Ad−36に感染した細胞の多くは、脂肪細胞の元でもある前脂肪細胞に変化していたのに対し、感染していない細胞には前脂肪細胞に変化したものは見られませんでした。細胞に投与したウィルスが多いほど脂肪の成長も大きく、男女の細胞に差は見られなかったと言います。

 また、ウィルスに感染して変化した前脂肪細胞は通常よりも早い速度で脂肪を集め、より大きな脂肪細胞になる事が明らかにされ、Ad−36のどの遺伝子が脂肪の成長促進に関与するのかも判ったと言います。

 ウィルス感染が原因であるのならワクチンや抗ウィルス剤で治療する事が可能と考えられます。Ad−36が肥満を引き起こす詳細なメカニズムは、今後の研究課題となるそうですが、ウィルスに感染して影響が及び続ける期間についても謎とされ、単純に肥満治療へと繋げる事は難しい感じがします。それでも複合的な要因の一つを治療できるかもしれない事は、肥満の克服という難しい課題の解決への一歩となるのかもしれません。

 



第839回 身近で意外な割り箸問題(下)     2007年09月03日

 かつての廃物利用、間伐材の付加価値創出といった一面を持っていた割り箸が、森林伐採という環境破壊へと変わっていたのに合せて、別な問題も浮上してきています。しかもそれは遠い異国の環境問題ではなく、私たちの健康という極めて身近な問題です。

 割り箸には、木材で作られた物と竹材で作られた物という二種類があります。木製の割り箸に使われる木材のほとんどはシラカバやアスペンで作られ、両木材とも冷涼な環境を好む事から中国の北部に原料確保、生産の場が集中しています。

 比較的早くから安価な木材に注目が集まり、割り箸の製造工場が整備されていた中国北部では、伐採された木材を一定の長さの切り、ちょうど大根の「かつら剥き」のようにシート状にして、成形、漂白して乾燥させるという大規模な製造が行われています。この製造工程で行われている漂白が割り箸への漂白剤の残留、漂白液の垂れ流しによる水質汚濁などへと繋がっています。

 竹製の割り箸は、材料となる孟宗竹の分布から中国の南部で作られています。竹は繁殖力が強く、そのままでは森林を荒らして竹林化してしまう事から環境問題化するので、竹を伐採する事は北部の森林の伐採とは意味合いが若干違っています。

 しかし、竹を素材として伐採する際は時期が指定されているほど、竹に含まれる水分量に神経を使う必要があります。水分量が多い竹は、伐採後すぐにカビが生えてしまうからです。

 中国南部で行われている竹製の割り箸製造には、それほど大掛かりな規模ではなく、小規模な工場の集合体のような状態で製造が行われています。その為、大規模な乾燥施設を備えていないため、竹製の割り箸には防カビ剤を使う必要があります。また、竹をより白く見せて高級感を出すには漂白が必要となり、漂白剤、防カビ剤の残留が懸念される事となってしまいます。

 北部での木製、南部での竹製ともに製造後、コンテナに詰められ、船便で輸送されてきます。コンテナの中は高温多湿になる事から、何もしなければ木材や竹材にはカビが発生してしまいます。

 中国などの開発途上国からの輸入は、一定の数量までは関税が免除される事から、輸入解禁日には輸入が殺到し、大部分が倉庫へ保管、そのままの状態が長く続く事もあります。そうした中、カビが発生しないという割り箸には、どれだけの薬剤が残留しているか想像するだけでも怖いものがります。

 これまで幾度となく有毒な防カビ剤が話題になる事がありましたが、公式な検査は行われていませんでした。割り箸は食品ではないため、防カビ剤や漂白剤に関する基準が定められていなかったからです。

 ようやく2003年1月になって安全基準が定められますが、基準値がその他食品と比べると非常に甘く、全体の5%のモニタリング調査のみという運営方法にも不安が残るという指摘もあります。しかも水際での検査のため、薬剤が基準値を超えて残留している事が判明しても、既に使ってしまっている可能性もあります。

 確かに食べ物ではありませんが、確実に口に入れる物であり、料理に触れるものです。そろそろさまざまな点からそのあり方について、見直しを考えなければならない物の一つではないでしょうか。

 



 

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