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第899回 不思議な目
2007年11月30日
百聞は一見にしかずの諺が示すように、目から得られる情報は、極めて重要になっています。そんな目は大切な器官であり、毎日使っていると思いながら目について意外と知られていない事が多くあり、見ているようで見ていないというか、感じていない事の多さに驚いてしまう事があります。
一点を見詰めている時、目は固定されているように感じますが、実は感じない細かな動きを絶えず続けています。その動きを止め、文字通り一点に固定するとどうなるか?目が完全に固定されてしまうと、物が見えなくなってしまいます。
目は光を取り込み、それを電気信号に変えて神経を伝い、脳へ情報を送ります。その際、使われるのがロドプシンという色素で、光を受けたロドプシンが壊れる事によって生じた電気が脳への信号となっています。
壊れたロドプシンは再合成されますが、それまでの間、目は細かく動く事で別なロドプシンに光を当て、継続して物が見えるよう工夫してくれています。
また、レンズの効果によって物が逆さまに見える事がありますが、目の水晶体というレンズによってもそれは起こされていて、我々が見ている光景は、実はもともとは逆さまの状態が正しいと言えます。
上下逆さまに見ているものを、特殊なメガネで元に戻すとどうなるか?体の動きが逆になる事から、最初はふらついてうまく動けなかったり、見ている光景と動きのギャップから船酔いしたような状態になるとも言います。しかし、それでも続けていると、脳の方が対応してくれるようになり、正常に生活ができるようになるそうです。
2週間ほどそのままでいれば、自転車に乗ったりキャッチボールができるほどにはなれると言います。その段階で特殊なメガネを外すと、初めてメガネをかけた時のような逆さま感を味わう事ができるそうです。それも2時間ほどで終わり、正常になるそうです。
日頃から酷使してしまっている感じがする目。常に労わってやらなければと思いながら、なかなか目に良い事はしていないと反省してばかりです。
第898回 遺伝的安泰
2007年11月29日
昔のドラマなどで、血液型の違いから実の親子ではない事に気付くというという展開がありましたが、私の家は父親がA型、母親がB型なので、そのような事はありえないと、遺伝的にも平和な家庭なのだと思っていました。
血液型は1900年にオーストリアのランドシュタイナーが発見したABO式血液型が定着しています。ABO式血液型では、A、B、O、ABといった四種類の血液型に分類され、血液内の抗原の存在によって分けています。
抗原のAを持つ人がA型、Bを持つ人がB型、持たない人がO型、両方持つ人がAB型となる訳ですが、遺伝子が対になっている事から、実際にはA型はAAがAOの抗体を持つ人という事になります。
詳しくは調べていないのですが、父親がAOの抗体を持ち、母親がBOの抗体を持っていた場合、その掛け合わせによってAO、BO、OO、ABといった全ての血液型が生まれる事になります。
父親がAA、母親がBOの場合、可能性としてはA型かAB型が生まれる事になりますが、父親がAO、母親がBBの場合、B型かAB型が生まれる事になります。A型の私の場合、AOとBBなら家族ではない可能性も出てきました。
そうしてある程度の血液型の予想を立てる事ができるのですが、極稀に予想もしない血液型の子供が生まれる事があります。シス型と呼ばれるAB型は、AとBの抗体を一つの遺伝子上に持っています。
片方の遺伝子にAとBの抗体を持っているので、判定上はAB型という事になりますが、本来ならば片方にA、もう片方にBとなるべき部分が、片方にAとB、片方には交代がないという事でOとなっています。
AB型同士の間にできた子供は、通常ならばO型以外の血液型になるはずですが、両方ともがシスAB型だった場合、O型が生まれる可能性があります。AB型の両親の間にO型の子供が生まれても、最近ではDNA鑑定という事もできるので、昔のドラマほどには悩む必要はないのかもしれません。
第897回 入浴禁止
2007年11月28日
寒くなってきて日照時間が短くなり、空気が乾燥してくると風邪の季節が来たと思ってしまいます。事前に予防接種を受けておくという話も聞かされる時期になってきました。
子供の頃から予防接種を受けると、その日は入浴できないというのがとても苦痛でした。注射針を刺されるという事や注射の跡が腫れるという事より、何よりもそれが嫌だった事が思い出されます。一度、予防接種を受けた日に勝手に入浴し、運悪く次の日に熱を出してしまい、決まり事を守らなかったからだと後悔した事があります。
今から思えば潜伏期間を終えたインフルエンザの症状が出てきただけですが、当時は言い付けを守らなかった罰を受けたようで、それなりに反省した事が思い出されます。
予防接種を受けた日に入浴を禁止されるのは、日本固有の習慣と言われます。何故、注射日は入浴が禁止されるのか。聞いたところでは、注射針による傷に入浴による雑菌の侵入が起こらないようにするためと言います。
注射針によって開けられた穴は、確かに刺された針の長さ分、体内に深く傷を作ってしまいます。しかし、すぐに塞がり、その部分から雑菌が入り込み、化膿してしまう事は確率的に非常に僅かではないかと思います。それに免疫力があるので、日常レベルで接する雑菌が問題になるとは考え難いものがあります。
入浴禁止が言われるようになった当時は、日本の住宅事情から家の中にお風呂がある事が少なく、銭湯を利用するか屋外に作られたお風呂場へ行くという事が行われていたので、湯冷めする危険性が高かったという意見もあります。それであれば予防接種当日に限るというのは、少々おかしい気もしてしまいます。
入浴は体力を消耗させるので、摂取したワクチンに対抗する力がそがれるという意見もありますが、生のウィルスを使う訳ではないので、それも納得のいく説明ではありません。
入浴によって体温が上がると免疫力が上がるので、ワクチンの正常な働きを阻害するという事も考えられますが、ウィルスのパターンを学習して備えてもらうのが予防接種なので、免疫力の上昇は関係ないと言えます。
お風呂に入ってさっぱりする・・・精神衛生上も良く、入浴によって新陳代謝も上がるので、風邪をよりひきにくい状態になり、身体が温まる事で眠りの質も良くなります。入浴のメリットは多いように思えてしまいます。結局、入浴禁止の根拠は何だったのだろうと思いながら、最近は予防接種後の入浴禁止を指導されず、頑なに守るのは古い人だと聞かされ、何やら騙されていたような気分になっています。
第896回 抗菌ペプチド
2007年11月27日
ストレスを受けると免疫力が低下してしまう傾向があります。広く知られている事ですが、免疫力を体重計のように数値化して把握するという事ができないので、漠然としていて今一つ理解していても免疫力の低下を実感できるものではありません。
最も目に見える免疫力の低下というと、感染症による皮膚疾患ではないかと考えてしまいます。皮膚への感染症は、表皮の免疫力が低下して、細菌やウィルスの感染を受けるために起こってしまいます。その免疫低下をもたらす一つの原因がストレスとされます。
免疫の最前線で大きな力を発揮しているのは、免疫システムのT細胞と考えられてきました。ストレスによってこのT細胞の働きが低下し、細菌やウィルスの感染を排除できない事が皮膚感染症の原因とされています。
先日、行われた研究では、ストレスを受ける事で表皮で作られる抗菌ペプチドが少なくなる事が突き止められています。抗菌ペプチドは最近注目を集めつつある物質で、抗菌物質として細菌などを殺す強力な働きを持っています。
また、グルココルチコイドと呼ばれる物質が盛んに産出される事も判ってきています。グルココルチコイドが増えると、表皮の脂肪合成が阻害され、抗菌ペプチドが作られにくくなってしまいます。
今回の研究レポートによって、ストレスによる二つの物質の増加、減少によって皮膚は細菌やウィルスに対抗する力を失い、皮膚感染症を起こすと考える事ができます。抗菌ペプチドはウィルスや細菌の攻撃の99.5%を防ぐ力を持つとされる事から、新たな治療法の確立も期待されています。今回の研究によって主役の座を奪われそうなT細胞ですが、やはり元気でいてくれなくては困ります。
第895回 Dの25年
2007年11月26日
ビタミンDというと、骨を形成する働きを助けてくれるという事が真っ先に浮かびます。日光との関わりが深く、ビタミン類にしては珍しく日光を浴びる事で体内でも合成する事ができたり、椎茸に日光を浴びせる事で含有量が飛躍的に向上する事が知られています。
ビタミンが体内では合成できない微量栄養素であり、生命に欠かす事のできない物という意味からは、ビタミンDはビタミン類に含めるべきではないという意見や、生理機能が非常に多彩という事からホルモンに分類するべきだという意見もあるそうですが、生命維持に欠かせないという意味ではビタミンに含めるべきだと思います。
そんなビタミンDですが、この25年ほどの間に急速に研究が進み、見方が少し変わってきています。特に注目すべき点としては、ビタミンDが強力な抗ガン作用を持つ事。そして免疫に関する重要な調節因子となっている事です。
これまで多くのガン研究において日光を浴びる時間が長いほど、一部のガンの発生率が明らかに低くなる事が報告されていました。ビタミンDに関する研究の中で、日光を浴びる事でコレステロールからビタミンDが合成され、発ガン率が下げられていた事が明らかにされています。
また、ビタミンDはさまざまな細菌やウィルス、真菌などに対する天然の抗生物質を作る遺伝子のスイッチを入れる事も判ってきています。日光浴をする事で病気を防げるという民間療法はさまざまな地域で行われていますが、それにはビタミンDが密接に関わっていた事になります。
ビタミンDのそうした働きは、一定以上の量が血液中にあって初めて機能すると言います。その観点から疾患の発生率に季節変動がある事や、感染症の流行などの説明が付き、自己免疫疾患をはじめとする原因不明の疾患がビタミンDの不足によるものであった事などが明らかにされてきています。骨粗鬆症を防ぐ働きもある事から、いつも多めに摂る事を心がけたいものです。
第894回 薬物の歌
2007年11月23日
以前、某国際空港で荷物の検査を受けていた際、何故か話題が音楽の事になり、ヘビメタファンである事を告げると「じゃあ麻薬とか所持していないですか?」と問われ、その「じゃあ」というのは明らかな偏見ではと思ってしまった事があります。
最近はミュージシャンも健康的な人が増え、かつてのように麻薬の過剰摂取で亡くなるという話は、あまり聞かなくなってきました。以前、報道されていたところでは、ロックスターは短命な人が多く、平均寿命は一般人と比べてかなり短いという事が言われていました。
先日行われた興味深い分析調査では、2005年に米国でヒットした楽曲、279曲について歌詞の内容を調査したところ、全体の3分の1の曲で薬物の乱用についての言及があったと言います。
ジャンル別の比率からいくとロックは14%の楽曲で薬物やアルコールの乱用に言及していたそうですが、カントリーでは37%での言及があったそうです。ロックよりもカントリーの方が教育上悪い音楽と言えます。
乱用を薬物に限定するとアルコールの登場回数が多かったカントリーの比率は大きく下がり、リズム&ブルースとヒップホップの20%が際立った数値となり、ポップスの9%を大きく上回っています。
8〜18歳の子供は、平均して一日に2時間ほど音楽に接する時間があるとされます。昔と比べて最近の歌詞は婉曲した表現ではなく、直接的なものが多いとされる事から、子供への影響も懸念されています。
視聴する楽曲や番組によって子供の行動が影響される事については、いまだ明らかではない事が言われています。暴力的なテレビ番組を見る事で子供が暴力的になるのか、もともと攻撃的な志向の子供が暴力的なテレビ番組を好むのか。鶏と卵の関係のような議論が続いています。
ロックはメッセージを伝えるための音楽という事を考えると、少なからずそれに触れる事は共感し、影響を受ける可能性はあると思います。価値観の形成にも繋がる事から、有害な楽曲に子供が触れる事は避けるべきだとは思いますが、先入観はいけないと、「じゃあ」と言われた私は思ってしまいます。
第893回 エンプティの危険性
2007年11月21日
エンプティカロリー・・・空っぽのカロリーという事で、カロリーが有るのか無いのか判らない感じがしてしまいます。よく耳にするところでは、お酒はエンプティカロリーだから肥らないというものでしょうか。
エンプティカロリーとは、カロリーとしては高いが他の栄養素をほとんど含んでいない食品の事を指し、ビタミンやミネラルなど必要な栄養素を含んでいない事から、肥らない食品であるかのように言われてしまう事もあります。
概念的には高カロリーで栄養が偏った食品も含む事から、ジャンクフードや清涼飲料水、糖分が多いお菓子などもエンプティカロリーとして見る事ができます。そうやって見ると身体に悪そうな気がしてきます。
先日、報告が行われていたところでは、エンプティカロリー食を多く摂取する食習慣を持つ人は、心疾患に至る前の症状、心疾患前駆症状に陥るリスクが高い事が示されていました。興味深いのは、他の因子とは独立した関係にあるとされていた事です。
心血管に疾患のない女性1300人を対象に心血管疾患の前段階を示す指標として使われる最大頚動脈内膜・中膜脂厚を評価し、食習慣に関する聞き取り調査を行った結果、エンプティカロリーの食習慣を持つ女性は、厚みが1.46mmである事が判り、心臓に良いと言われる食習慣を持つ女性の1.18mm、少食の女性の1.22mm、高脂肪食の女性の1.17mmと比較して明らかに厚くなっていました。
喫煙や血中コレステロール量、肥満指数、最高血圧などの因子についてデータを調整しても、明らかにエンプティカロリー食の弊害は明らかとされていたので、特に注意が必要な食習慣かもしれません。見回してみると、意外とエンプティカロリーの食品は多いので、気を付けなければと思ってしまいました。
第892回 ベストパートナー
2007年11月20日
家庭菜園や花壇などで植物を育てていると、よく起こってしまうトラブルの一つにアブラムシの発生があります。アブラムシというとゴキブリの事を想像してしまいがちですが、植物の茎に取り付き、植物の養分を奪う小さな小虫の存在は、植物だけでなく栽培している者にもストレスを与えてくれます。
アブラムシは取り付く植物がほとんど限定され、一種類かその亜種程度なので、さまざまな植物に取り付いたアブラムシを見るという事は、それだけたくさんの種類がいるという事でもあります。
アブラムシが発生した場合、殺虫剤などの農薬を使って駆除します。一般的なところではマラソンやカルホスなどの接触性の物やオルトランなどの粒剤を用いて駆除しようとするのですが、やがて薬剤に耐性を持つようになり、効果が薄れてきてしまう事があります。
そうした強力な生命力は、アブラムシの特殊なライフサイクルにあると考えられます。アブラムシは卵胎生であり、体内で卵を孵化させて増殖します。アブラムシの親の体内には子供のアブラムシが成長し、その子供の体内には孫にあたるアブラムシが成長しています。孫のアブラムシのお腹には、既に成熟した卵があり孵化の時を待っています。
そのためアブラムシは出生から三日目には出産する事が可能とされ、早いサイクルで世代交代を重ねる事ができ、薬剤耐性もその流れの中で確保しているのだと考える事ができます。
そんなアブラムシに農薬を与え続ける事は、薬剤耐性の獲得を助ける事になり、必要となる農薬の散布量の増大に繋がり、生産コストの上昇ばかりでなく作物の安全性の低下といった弊害が考えられます。
強力な生命力を持つアブラムシに対抗する手法として、ビニールハウス内といった閉鎖された空間を使って、天敵であるマルハナバチなどを放す事で対処するといったものがあります。
実践した農家では、確かに農薬を使用せずにアブラムシの数を減らす事に成功したと言います。しかし、根絶には至らなかった事から、別な手法に切り替える事にし、作物の間に一定の間隔をおいてアブラムシが嫌いそうな植物を植えるという事を試みたそうです。
共栄作物(コンパニオンプランツ)と呼ばれる手法ですが、相性の良い植物を合せる事で効果的に農薬の使用量を減らす事ができる栽培方法で、さまざまな組み合わせが報告されています。
その農家ではイチゴに対してにんにくを合せたところ、効果的にアブラムシを撃退する事ができ、それまで何をやっても根絶できなかったアブラムシを見かける事がなくなったと言います。
にんにくの強烈な刺激とにおいを伴う成分アリシンは、元々にんにくが外敵から身を守るためのものです。共生する他の植物も守り、食の安全にも貢献するというのは、非常にありがたい話ではないでしょうか。
第891回 イカ墨、タコ墨
2007年11月19日
黒豚、黒ゴマ、黒毛和牛、黒麹。本来は食欲をそそる色ではなさそうなのに、黒い食材は高い人気を誇っています。素材の一部であったり、実際には料理全体を黒くしてしまう物ではないので、それで良いのだろうかと思ってしまうのですが、料理全体を黒くしてしまう人気の食材としてイカ墨の存在があります。
イカ墨の利用法としてベネチア料理が紹介されて以来、殆ど使われる事なく廃棄されていたイカ墨は、パンやラーメン、カレー、リゾット、中華まん、ポテトチップ、アイスクリームと利用の幅を広げています。
イカ墨を入れる事で料理自体は真っ黒になってしまいますが、旨味が増して美味しくなる事が知られています。同じ墨を吐く生き物にタコの存在がありますが、タコ墨を使った料理はタコ墨の天ぷら程度で、ほとんど見かける事がありません。
イカとタコ、雰囲気的に似ているのですが、何故タコ墨は使われないのか。理由は簡単で美味しくないからです。旨味は墨に含まれるアミノ酸によって作り出されていますが、タコ墨のアミノ酸量はイカ墨の30分の1と少なく、水っぽくて、素材に絡みつく粘り気も低くなっています。
タコは墨を煙幕として使うため、すぐに水中に広がらせて目くらましをする必要があるので、墨の粘り気を低くしています。それに対しイカは墨を塊りで吐き出して自分の身代わりとして逃げる習性があるので、墨には粘りと美味しそうな風味が必要となっています。
そうした利用法の違いが墨自体の美味しさに関係しているのですが、そんなイカ墨に最近新たに付加価値が加わろうとしています。イカ墨の粘りの元はムコ多糖類と呼ばれる物で、成分分析を行った結果、コンドロイチン硫酸が豊富に含まれている事が判りました。
コンドロイチン硫酸と言えば、軟骨の素となって関節炎を緩和したり、骨を作る材料として骨粗鬆症を防いだりする上、免疫細胞を活性化して免疫力を向上させる働きも供えていると言われます。イカ墨人気が続きそうです。
第890回 桑原、桑原
2007年11月16日
子供の頃、既に古い言葉となっていましたので、今ではお年寄りか古いドラマの中でしか聞かれない言葉かもしれません。何か怖い場面に出くわしたとき、「クワバラクワバラ」と何かの呪文のように言います。
クワバラとは桑原の事で、桑の畑には雷が落ち難い事から、クワバラを繰り返す事で、ここは桑の畑ですよと雷神に言い聞かせ、かつての四大恐怖の対象だった地震、雷、火事、オヤジの一つ、雷を封じようとしたのが元になっていると教えられました。
成長するにつれてもう少し詳しい事を知るようになり、桑の葉をエサとするカイコは非常に価値の高い絹糸を生産してくれる事から、お蚕様と呼ばれるほど神聖視されるようになり、そのカイコにエサを提供する桑自体も霊木と見られるようになって、桑畑には雷が落ちないと考えられたようです。
桑原には別な説もあり、大阪の和泉市にある地名が元となっているというものもあります。桑原には西福寺というお寺があり、奈良時代には道行というお坊さんがいました。ある時、雷に遭遇した道行が大般若経を浄写して雷を封じた事から、ここは道行がいる桑原ですよという意味で唱えるようになったとされています。
今でも桑畑を見かける事があるのですが、桑自体があまり高く成長していない事からも落雷しそうにない感じがします。クワバラクワバラは、今でも有効なのかもしれません。
第889回 始まりの日
2007年11月15日
一週間が始まる日、何曜日から始めていますか?よく言われる事に日本人はしっかり頑張った後に休憩を取るため、月曜が始まりとし、欧米人は先に楽しんだ後、仕事を始める事から日曜を一週間の始まりと考える傾向があると言います。
日曜日から土曜日までを七曜と呼びます。それぞれの日には太陽の日曜、月の月曜に加え、火曜から土曜までは惑星の名前が割り当てられています。
太陽系の中を回っている惑星であれば順番が決まっているので、日、月、水、金、火、木、土となりそうで、天王や海王などもあった方がと考えてしまいます。
曜日の由来については、それらの惑星がよく輝いて見え、それぞれの星がその日の守護神になると考えられ、守護神であるその星が、その日の始まりの時間にくるとという事から現在に伝えられる曜日の順番が決められています。七曜の順番に関しては、七曜星と地球の自転の兼ね合いから生まれたとされ、科学的根拠があると言います。
七曜の英語名の由来については、北欧の神話が元になっていると言われ、火曜は軍神チュール(Tiw)の日、水曜は主神オーディン(Woden)の日、木曜は雷神トール(Thor)の日、金曜は豊穣の女神フレイア(Freya)の日、土曜は農耕の神サトゥルヌス(Saturnus)の日という考え方からきています。
それに太陽と月を加えて七曜が成り立ちますが、そうやって考えると太陽が中心であり、主という事から日曜が一週間の始まりというのが正しく感じられてきます。しかし、学校も仕事も月曜から始まるので、日常生活の面からいうと月曜が始まりとするのが適切なようにも思えます。考えてみれば私も月曜に今週も一緒に頑張りましょうと声をかけていました。
第888回 8について
2007年11月14日
今回でこのコラムも888回を迎えました。8が三つも並び、何となく縁起が良さそうな感じがする回なので、8についての話にしたいと思います。
紀元前8年、ローマ皇帝アウグストゥスは、それまで誤った運用が行われていたユリウス暦の修正を行いました。ユリウス暦は現在使用している暦の元になったものですが、紀元前45年に当時の皇帝、ユリウス・カエサルによって制定され、使用されていましたが、4年に一度と定めた閏年が何故か3年に一度で運用されていました。
アウグストゥスはそれを正常に戻すため、紀元前8年からの数年間、閏年を停止する事で暦を正常化させ、紀元8年から4年毎の閏年の挿入が行われるようにしました。
暦の正常化に合せてアウグストゥスは8月に自分の名前を付け、それが今も残されています。その当時の暦では2月の例外を除き、1月から12月まで規則正しく大の月と小の月という31日と30日の月が規則正しく並んでいました。
自分の名前が付いた8月が小の月にあたる事が不満だったアウグストゥスは、強引に2月から一日減らし、8月も大の月としています。この強引な8月の日数増やしの背景には、大の月7月に名を残したカエサルへのライバル心があったとも伝えられています。
その後、多くのローマ皇帝が二人の皇帝のように月に自分の名前を残そうとしますが、その皇帝の死と共に月の名前は元に戻され、結局、皇帝の名前が残る月は7月のユリウスと8月のアウグストゥスだけとなっています。
紀元前8年に始まり、紀元8年に終了するユリウス暦の誤運用の修正。その完了と同時に行われた8月の名称と日数の変更。ちょうど8が三つ登場してくれました。
第887回 享年?
2007年11月13日
自他共に認める時代劇ファンなのですが、たまに見ていて変な言葉などに出会って、時代考証がお座成りにされている事を感じてしまう事があります。娯楽の一環なので楽しければ良いのかもしれませんが、やはり伝統ある文化は大切にしてほしいものがあります。
伝統のある藩主や公家などの家系では、比較的病弱な子供が生まれる確率が高いのか、若くして病気などによって命を落としてしまう事があります。その際に使われる言葉、「享年10歳・・・」。馴染んだ言葉ではありますが、実は本来の使い方から大きく外れている事になります。
享年とは人や動物が天から授かった(享けた)年数という意味で、ほぼ年齢と同じ時間を指します。しかし、厳密には現世に存在した年数の事なので、年齢と同じ単位で数えるのはおかしいとされます。そのため、享年に歳を付けて数えるのは間違いで、「享年10・・・」でなくてはいけません。
また、享年は天から授かった年数の事を指すので、10歳で亡くなっている場合、天が本来授けるはずの年数にしては少な過ぎると考えられ、享年には当らないと考えられます。
基本的には仏教用語が元になっている事から、キリスト教徒やイスラム教徒にも使わないとされるので、戦国時代のキリシタン大名が天寿を全うした場合でも、「享年・・・」という使い方をするのは言われた本人の方が違和感を感じてしまうのかもしれません。
第886回 すべすべまんじゅう
2007年11月12日
スベスベマンジュウガニ・・・最初にその名を聞いたときは、その場で勝手に考案されたものという感じがしたのですが、ここまで変だとかえって正式な名称かもしれないと思ってしまいました。
オウギガニ科マンジュウガ二属のスベスベマンジュウガニは、その名の通り突起物が目立たず全体的に滑らかで、艶のあるふっくらと丸みを帯びた甲羅を持っています。
温かい海を好む事から、神奈川県の三浦半島のあたりが北限と見られ、海藻や貝類、ゴカイなどを食料として、潮干帯から水深100mくらいまでの浅い海に生息しています。
名前の通りの艶やかでふっくらとしている事から、どことなく美味しそうに見えてしまうのですが、実はスベスベマンジュウガニは毒を持っているので食べる事ができません。
スベスベマンジュウガニからこれまでに検出された毒の成分は、麻痺性貝毒のゴニオトキシンやサキシトキシン、ネオサキシトキシン、フグ毒のテトロドトキシンなどが確認されています。
自分自身で毒を作り出しているのではなく、エサにした物からくる毒が体内に蓄積されているので、生息地によって成分の構成比や毒の量が大きく異なっているという厄介な一面を供えています。
北限の三浦半島ではフグ毒が多く、沖縄では麻痺性貝毒が多いとされますが、個体によっても構成比や毒量に違いがあり、両方の毒素を合せ持っている事も珍しくありません。
生息域でのエサによる影響と考えられていますが、体内での合成や共生する微生物の影響など未解明の部分も多く残されています。沖縄で捕獲された標本では、筋肉中に充分に致死量となる毒を含んでいた事も報告されているので、油断できないものがあります。
毒は特にハサミのある脚の太くなった部分の筋肉に多く分布しているそうなので、敵に対してハサミを振りかざして防御し、ハサミを奪われた際の報復のようにも考えられます。
毒の分布は、体の表面と脚の筋肉全般にも及んでいるので、海水浴などで5cmくらいの小さな艶のあるカニを見かけたからといって、触ったり、たくさん捕まえたからといってカニ鍋などにしない方が良いかもしれません。毒は熱にも強く、カニ鍋などはまさに毒素抽出そのもので、実際に死亡事故も過去に起きています。かわいいと侮れない存在、それがスベスベマンジュウガニです。
第885回 旬到来
2007年11月09日
食材には旬があり、その時期に食べるのが最も美味しい事は明白なのですが、何故か旬の正反対の時期に需要が高まる物もあり、うなぎはその一つと言えます。夏のスタミナ源として食べられるうなぎの本当の旬は、寒さが増してくる冬の時期で、夏のうなぎは冬に比べると味が落ちてしまいます。
土用の丑の日にうなぎというのは、平賀源内の仕掛けによるものだと広く知られていますが、それよりも遥かに古い万葉集の中にも夏痩せに良い物としてうなぎの名前が出てきます。
それだけ古くから親しまれていたうなぎは、日本で食べられている物は日本の在来種であるジャポニカ種で、和名もニホンウナギ、ヤマトウナギとなっています。輸入量が増えてきているヨーロッパ産のうなぎは、近似種ではありますがアンギラ種と呼ばれるもので、若干違う物になります。
アメリカ産のうなぎはロストラータ種で、ヨーロッパのうなぎとも異なっています。日本にいても暖流に面した本州、四国、九州、南西諸島にいるミナミオオウナギはマルモラータ種と呼ばれる物で、太平洋、インド洋に面した熱帯、亜熱帯やオセアニアといった広い地域に分布しています。
オーストラリアにもうなぎはいて、マルモラータ種の仲間のオーストラリス種に分類されています。先住民族のアボリジニでは、このうなぎを食べる習慣はなかったそうですが、ヨーロッパからの移民が増えるにつれ市場に出回るようになったと言います。
世界中に仲間が分布するうなぎですが、最も洗練された食べ方はやはり日本の調理法ではないかと思います。うなぎの調理法は大きく分けて腹側から開く関西風と背開きにする関東風の違いがありますが、うなぎを調理する専用の包丁には江戸風(関東風)、京風、上方風(関東風)、中京風(名古屋風)といった地域による違いがあるそうです。
どうしても夏の暑さを乗り切るスタミナ源というイメージが強すぎるのですが、寒風吹き荒ぶ中、旬のうなぎを楽しむのも良いかもしれません。
第884回 強い塩?
2007年11月08日
強塩と書いて「ごうじお」と読みます。あまり使わない言葉ですが、反対の言葉、弱塩ではなく「薄塩」はよく見かけるので、料理の塩加減を指す言葉だとすぐに判ってしまいます。
塩は人や動物には欠かす事のできない物で、他に代用できる物がありません。最も身近で最も古くから使われてきた調味料という事もでき、給料を意味するサラリーの語源でもあります。
天然の塩を得る場合、岩塩として固形で存在している物と、海などに水溶性の状態で存在している物があります。日本では岩塩がほとんど取れない事から、海水を塩田に取り入れて日光や風で水分をとばして濃縮させ、釜で煮詰めるなどして結晶化させた物を使ってきました。
古くから、「塩を制せば料理に長ず」と言われるくらい塩加減が大切とされ、塩加減を示す言葉が多く使われてきました。強塩はその中にあって、最大の塩分量を示す言葉となっています。
鯖などの下処理を行う際、表面が見えなくなるくらいたくさんの塩にまぶす事で、塩味を付けるだけでなく、生臭みを除いて身を締めるという使い方をします。その際の塩の加減が強塩と表現されます。
塩を料理に使う場合、単に塩味を加えるだけでなく、さまざまな目的が存在しています。魚の干物や塩鮭、塩辛、塩昆布などの塩蔵品は、腐敗を起こす細菌を塩の作用で殺菌して長期保存を可能にしてくれます。
また、タンパク質を固める作用がある事から、ゆで卵を茹でる際に塩を入れるのは、卵の殻にひびが生じて中の白身が染み出すのを固めて防ぐ目的があります。比較的不安定な色素である葉緑素を安定させる働きもあり、ホウレン草などを茹でる際に塩を加える事で、きれいな緑色に茹で上げる事ができます。
浸透圧を利用して水分量を調節する事にも使われ、魚の塩締めや漬物には欠かす事ができない塩の作用となっています。小麦粉に含まれるグルテンの粘性と弾性を高める働きもあり、麺打ちやパンを作る際に塩を加える事で、より粘りのある生地を作る事ができます。
食材に含まれる酵素の働きを抑制する作用もあるので、食材の褐変を防いだり、サトイモなどのぬめりを抑えたりもしてくれます。舌の表面にある味蕾の感受性を高める事から、微量の塩を入れる事で甘味や酸味をより強調する事にも使われています。
減塩という言葉が一般化してから、いつも塩は健康を害するイメージで捉えられがちですが、美味しさだけでなく、生きていく上で欠かせない物でもあるので、上手に付き合っていきたいものです。塩を制して料理上手になりたいと思ってしまいます
第883回 重金属?
2007年11月07日
大好きなヘビーメタルは直訳すると重金属です。急に体に悪い感じが溢れてくるのですが、そもそも重金属とは何をもって重金属なのか。逆の言葉、軽金属は存在するのか。ふとそんな事を考えてしまいます。
重金属とは文字通り重い金属。よく知られたところではカドミウムやクロム、水銀などがあります。一般的に鉄よりも比重が重い金属を指し、鉄より比重の軽い金属、アルミやマグネシウム、チタンなどは軽金属と呼ばれています。
軽金属に対して重金属は数が多く、鉛、銀、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、錫、ビスマスなどが重金属に分類され、とても有害なイメージからはほど遠い金やプラチナも重金属の仲間となっています。
汚染イメージが強くありますが、本来は微量であれば必須元素である物もあり、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、モリブデンなどは必須元素となって健康を支えています。
重金属が有害とされる原因は、体内に多く存在する酵素が中心部分に金属を持っていて、一定の金属がそれと結合したり、置き換わってしまう性質があるためです。一旦、結合や置き換わりが起こってしまうと、その酵素はもう元のような働きをする事ができなくなってしまいます。
カドミウムは毒素として知られていますが、カドミウムが酵素の中の亜鉛と置き換わってしまう事がカドミウムの毒性の元となっています。また、一般的に毒物として知られた鉛、カドミウム、水銀といった重金属は体内の硫黄を組成としたタンパク質と結合しやすい性質を持っています。
逆に結合したり置き換わったりする性質を持たない物は毒性がないとされます。金やプラチナも重金属ではありますが、毒性のなさ、安全性は広く知られています。ヘビーメタルも結合や置き換わりはしませんが、聞いていると疲れるという人がいるので、毒性があるのでしょうか?私には必須となっているのですが。
第882回 発症要因
2007年11月06日
エイズ(後天性免疫不全症候群)の存在が知られるようになって、さまざまな研究が進められる中、ある特定の患者が注目を集めていました。彼等は「ロングタームサバイバー」と呼ばれ、エイズに感染しながらも長期にわたって発症せず、生存を続けている感染者です。
エイズに関する研究の中で、エイズの発症には血液中のHIV(エイズウィルス)の量が密接に関わっていると考えられてきました。HIVに感染した後、体内でHIVが増大して免疫システムを破壊してしまう事が発症の原因とされてきたからです。
しかし、最近の研究で個人の遺伝子特性がHIVの複製とHIVへの反応に影響を及ぼす事が明らかになり、発症メカニズムへの考え方に若干の修正を加える必要が問われています。
「CCR5」と呼ばれる遺伝子は、HIVがとりつく事で知られた免疫細胞「CD4」の表面の主要な受容体を制御しています。「CCL3L1」と呼ばれる遺伝子は、HIVが受容体に付着するのを阻止する物質、ケモカインという分子に信号を送る免疫システムを制御しています。
以前の研究によってCCR5の変異体は、HIVの侵入を阻止する防御を担っている事が明らかにされ、CCL3L1の遺伝子の複製の数も影響している事が知られていました。複製の数が多いほどHIVに感染しにくい傾向がある事も知られています。
感染の初期段階では、HIV感染者がエイズを発症する速度に血液中のウィルス量が及ぼす影響は9%程度とされ、ウィルス量と同じくらい重要なのは、CCD5とCCL3L1の組み合わせのあり方だと言います。
今回の研究を元に個人の遺伝子的特徴に合せたHIVの薬品とワクチンを作る必要性がより重要となり、エイズを治療できるかもしれない可能性が上がった事と、前提として個人レベルでの詳細な検査が必要で、エイズに悩まされる地域への画一的な治療では対応できないかもしれないという両面が考えられて複雑な気持ちになってしまいます。
第881回 関門突破
2007年11月05日
季節が移ろい、また回りに風邪をひいた人が増えてきた感じがしています。どことなく調子悪そうな人は年中見掛けはするのですが、空気が乾燥して強い風が吹く季節がくると、毎年インフルエンザの流行が気になってしまいます。
インフルエンザの治療に関しては、有効な治療薬がほとんどないとされる中、タミフル(リン酸オセルタミビル)の存在は感染の初期であればウィルスの増殖を抑える事ができるとされる事から、処方されている例を多く見ます。
そんなタミフルに関して、昨年、投与後の異常行動が報告され、異常行動の末に死亡した例もある事から、何らかの危険が隠されているのではと疑問視されつつあります。
厚生労働省の作業部会などでは、タミフルの服用と異常行動の因果関係について否定的な見方が出されていましたが、それを覆しかねない研究結果が報告されていました。
脳には異物の侵入を防ぐ「血液脳関門」という防御機能が備えられ、タミフルも本来は体内に存在しない異物である事から、それを通過できないと考えられていました。脳内に入る事ができなければ、報告されているような異常行動を起こす事はできません。
タミフルを摂取すると、消化器官から血液中へとタミフルが吸収され、肝臓の酵素によって「活性体」に変化させられます。活性体となる事でタミフルは、ウィルスの増殖を抑えるという力を発揮します。その一方で血液を介して全身を回るタミフルは、血液脳関門で「P糖タンパク質」と呼ばれる物質によって排除されてしまいます。
P糖タンパク質の量については個人差がある事が知られています。P糖タンパク質を持たないマウスにタミフルを投与すると、通常のマウスの5倍近くも脳内のタミフル濃度が上がる事が今回の研究では明らかにされています。
また、直接血液に活性体のタミフルを投与すると、いずれのマウスでも血中の1%程度しか脳には届いておらず、活性前のタミフルが脳に達しやすく、活性体となったタミフルは脳に達しにくい事が判ってきています。
タミフルを活性体へと変化させる肝臓の酵素量にも個人差があります。今回の実験を当てはめて考えると、肝臓の活性体変化酵素量が少なく、P糖タンパク質も少ない人であれば、脳内へタミフルが入り込む可能性は否定できないかもしれません。異常行動の発生について、相関関係が不明のままではありますが、P糖タンパク質が青年期を過ぎてから急増する事を考えると、何か符合するものを感じてしまいます。
第880回 自然産物
2007年11月02日
落ち葉が舞う季節がやってきました。街路樹の葉が枯れて落ち、それを踏みしめて歩くと秋の音がするような気がします。自然の森の中では、夏の間、勢いよく広がった葉が落ちて重なり、やがて腐敗していきます。その腐敗した葉が腐葉土と呼ばれるもので、優れた地質改良剤となっています。
園芸用としてホームセンターなどで大量に売られている腐葉土は、工場などで大量に生産された物ですが、一歩森へ踏み込めば天然の腐葉土を得る事ができます。
植物は根から養分を吸収し、太陽の光を浴びる事で光合成を行い、エネルギーを生産しています。根から吸収する養分は無機質でなくては吸収できず、有機肥料などに代表される有機質では吸収する事ができません。
有機質を無機質に分解する働きを持つ仲介者が必要になるのですが、それが地中の微生物という事になっています。腐葉土は枯れ葉が腐敗という分解の過程で微生物を増殖させ、大量に含んでいます。
腐葉土を土壌に与えると同時に大量の微生物も供給されるので、土壌中の有機質が植物の栄養となる無機質へと分解されていきます。分解が進む中で粘りのある成分が発生し、土を団粒化して土が固くなったり、通気性や保水性が低下する事も防いでくれます。
植物は二酸化炭素を取り込んで光合成を行います。せっかく葉を成長させる際も二酸化炭素を使っているので、それを燃やして大気中に放出するのではなく、腐葉土にして利用し、植物を育てれば、よりエコになるのではと思ってしまいます。
第879回 大食い遺伝子
2007年11月01日
「Taq1A1」・・・あまり耳慣れないというか、ほとんどそれが何に当るのかよく判らない遺伝子の名前です。しかし、この遺伝子はある大変な事に関わっています。
先天的に脳内の伝達物質、ドーパミンが少ない人は大食いになる傾向が強い事は、以前から示唆されてきていました。細胞内のドーパミン受容体の数が脳の活動に差を生み出す事から、Taq1A1の保有者はドーパミンの量が少なくなり、食欲が旺盛になる可能性が高い事が考えられます。
その事を裏付けるため、肥満の火と29人と肥満でない人45人を対象に味覚テストと称して、6種類のスナックを出して議論を行わせ、議論終了まで食べ放題にする実験。パソコンのマウスをクリックさせて数に応じて食べ物を与える実験などの複数の実験によると、Taq1A1を保有していない人の場合、食べ物への執着が低く、実際に食べる量も少なかったと言います。
そのためドーパミンの調整が減量に有効な手段となる事が考えられますが、ドーパミンの分泌に影響を与える薬剤は、先日乱用や依存性などが問題となり、処方が最も多かったうつ病への効能が削除されたあの薬剤では...。ちょっと複雑なものを感じてしまいます。
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