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第997回 メタボの正体?
2008年04月30日
漢字で書くと「内臓脂肪症候群」、メタボシックシンドロームは最近「メタボ」の愛称で親しまれています。親しまれているというのも何だかと思うのですが、メタボ検診も始まり、かなり身近な言葉となっている事は事実ではないでしょうか。
メタボリックシンドロームと言うとウエストの数値が目安にされるだけに肥満と直結した印象があります。日頃の不節制が祟り、肥満が進行する中で血糖値を調整する唯一のホルモンであるインシュリンへの反応が鈍くなり、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝、心疾患、糖尿病などのリスクが高まったのがメタボという印象です。
肥満を解消できればメタボへの懸念もなくなるという意味でダイエットを志す話も多く聞かされますが、実はメタボは肥満が原因ではない可能性があると言われてしまうと、少々戸惑うものを感じてしまいます。
メタボによる健康へのリスク、心臓や肝臓などの臓器が損傷されてしまう原因は、本来エネルギーの蓄積場所である脂肪細胞ではない臓器に脂肪が漏出する事にあると言います。脂肪の分子が脂肪細胞に留まりさえすれば害はないと考えられます。
脂肪細胞以外への蓄積が起こる最大の原因は、肥満ではなく日常を通して行われる過食が原因とされます。過食によって摂取された余剰なカロリーが、心臓や膵臓の細胞といった本来の蓄積器官ではない部分に蓄積される事で起こる機能不全、それがメタボの健康リスクの正体と考える事ができます。
メタボの克服は多くの場面で聞かされる事ではありますが、少々方向性を変える必要があるのかもしれません。腹八分、昔から言われる健康法こそ大事なのかもと言えます。
第996回 小麦粉抜き?
2008年04月28日
最近人気のお菓子という事でマカロンをいただきました。箱の中に色鮮やかな丸くふっくらとした形に焼き上げられたクッキーを張り合わせたような姿が並び、見た目にも人気の理由が解る気がします。
一見、クッキーを二枚合わせ、その間にクリームを挟んだ物に見えるマカロンですが、クッキーとは根本的に違う部分があります。それはマカロンが小麦粉を一切使わないという点で、マカロンの主要な材料は卵白となっています。
卵白を泡立て器で攪拌すると最初は粗い大き目の気泡ができますが、徐々にきめ細かな艶のある泡が立ち始め、メレンゲと呼ばれる状態になります。卵白に含まれるタンパク質が持つ気泡性と空気変性という特徴をうまく利用したもので、長く気泡を保つ事ができます。
卵白に含まれるタンパク質は、独自の粘りによって表面張力を小さくする事ができ、たくさんの気泡を取り込む事ができます。そうして取り込まれた空気に触れる事で、タンパク質自体に変性が起こり、膜状に硬化して気泡を安定させます。
メレンゲに砂糖が加わる事でさらに気泡の安定性が増し、きめ細かいしっかりとした仕上がりになります。砂糖が持つ水を引き付ける強い力を持つお陰ですが、一方で砂糖はタンパク質が空気変性を起こして膜状に固まるのを邪魔する働きを持っているので、メレンゲ作りには砂糖を加えるタイミングが重要になっています。
メレンゲに砂糖が加えられたら、それにアーモンドやクルミなどの粉末が混ぜられ、オーブンで焼き上げて仕上げられます。基本形はそうですが、本場フランスでは各地でさまざまな材料を使ったマカロンが存在しています。
中でもロレーヌ地方で作られるマカロン・ド・ナンシーは変わっていて、砂糖を煮詰めて使う事でカリカリした食感と表面のひび割れが特徴となっています。最近ではその特徴さえ押さえていればマカロン・ド・ナンシーと名乗る事が多くなっていますが、本来のナンシーのマカロンはメレンゲを使わないという事で、他のマカロンとは大きく異なっています。
マカロンの本場はフランスですが、発祥の地はイタリアとされ、有名なメディチ家のカトリーヌ・ド・メディチがフランス王朝に嫁いだ際に持ち込んだお菓子が元になっていると言われます。その点ではフランス料理のナイフとフォークと同じ由来になります。
日本で一般的にマカロンと呼ばれているのは、マカロン・パリジェンヌで、別名、マカロン・リスとも言われる艶のある表面が特徴のマカロンです。ピエ(足)と呼ばれるギザギザの縁がもう一つの特徴で、何百種類もあるとまで言われるマカロンの代表とまでになっています。にんにく卵黄を作ると余ってしまう卵白。そんな時はマカロンでもいかがでしょうか?
第995回 走り処?
2008年04月25日
先日、ハシリドコロによる食中毒のニュースが報じられていました。春が訪れると美味しそうな野草も顔を出す事から、誤食による食中毒も増える傾向にあると言います。中には命に関わる物もあるので、注意が必要です。
今回話題になったハシリドコロは、若芽の頃、柔らかく非常に美味しそうに見えてしまう事も手伝って、誤食が最も多い毒草とも言われています。
ハシリドコロは本州から九州にかけて分布する多年草で、落葉広葉樹林に自生しています。谷底の平坦な場所や傾斜面の比較的下の部分にも見られ、春に柔らかい新芽を出し、新緑が深まる頃には群れを成して花を咲かせます。
梅雨が終わる頃には地上の部分はなくなりますが、地下に太い根茎が残り、毎年そこから力強く芽を出してきます。高さは50cm程度で、産毛のない20cmくらいの葉を付けます。
柔らかく、食べられそうな印象からさっと湯通しなどして、「おひたし」にして食べてしまいそうですが、アルカロイドの一種であるスコポリンやヒヨスチアミン、アトロピンなどを含んでいます。スコポリンは同じく毒草として有名なチョウセンアサガオの毒素で、含有量も比較的多めと言われ、中毒になると重症化するとされています。
毒素の特徴として、中毒になると嘔吐や異常興奮、狂乱状態が続き、激しく走り回る事から「ハシリドコロ」の名前が付いています。同じ仲間に中世の毒薬として知られるベラドンナがいる事からも、毒草としての強力さを伺う事ができます。
新芽が出始める時期や柔らかな印象がいかにもフキノトウに似ている事から、間違えられる事が多く、注意が必要と言われています。春の毒草、秋の毒キノコ、優しげな自然の中にも危険はたくさんあるようです。
第994回 角膜大事!
2008年04月24日
直径は12mm程度、厚さはやや薄い中央部分が約0.5mm、周辺部が約0.7mm程度でしょうか。光を取り込むだけでなく、屈折させてピントを合わせやすくしたりもしている角膜は、目から全情報の8割を得ている私達にとって、非常に重要な役割を果たしています。
常に涙によって覆われ、乾燥や細菌感染などから守られていますが、コンタクトレンズの普及に伴い、洗浄や消毒が適切に行われていなかったり、装用時間が守られていなかったりと、最近は過酷な状態にあると言えるのかもしれません。
透明な薄い膜にしか見えない角膜ですが、実際は5層からなる構造を持ち、主成分のコラーゲンが規則正しく配列する事で透明性が保たれています。
角膜の一番外側は、角膜上皮と呼ばれる比較的丈夫な層で、その下に外境界膜があります。外境界膜はボーマン膜とも呼ばれ、再生力を持っていません。しかし、実質的な角膜を保護する以外、何の働きもないと考えられているので、近視の矯正手術などでは取り除かれる事もあります。
その下には固有層や内境界膜、角膜内皮などがありますが、角膜には血管が進入しないため、酸素や栄養分は涙や房水から補給する事が重要になります。コンタクトレンズの不適切な使用などによって、角膜表面が侵されたり、免疫力が低下して感染症を起こす障害が増えてきていると言われます。
再生力が乏しいだけに最悪の場合、移植しか手の施しようがないという事態に陥る事もあります。最近の研究で、角膜のドナーが高齢でも移植後の経過にはなんら問題がないという事が明らかにされていましたが、できれば縁がないまま済ませたいものです。
第993回 菖蒲と蓬と粽と柏餅(2)
2008年04月23日
日本でもファンが多い三国志の時代、それと時を同じくして屈原の物語があり、端午の風習は始まっています。現地中国では邪気を払い、健康を祈願する日とされているので、野原で薬草を摘んだり、菖蒲酒を飲む風習があります。蓬(よもぎ)で作られた人形も飾られ、蓬や菖蒲には邪気を払う力があると考えられています。
日本で行われた軒に菖蒲や蓬を吊るす、束ねてお風呂に入れるという風習は、同じ発想からきているものと考えられます。日本では、そろそろ田植えが始まる時期でもある事から、穢れを祓って身を清める儀式、五月忌み(さつきいみ)が行われていましたが、ちょうど時期が重なる事から端午の風習と結びついていった事が想像されます。
鎌倉時代に入ると武家の文化の影響が大きくなり、端午の節句で使われる菖蒲が「尚武」に通じる事、菖蒲の葉が剣に似ている事から、勇猛な武人に育つようにと端午の節句は男の子の成長と健康を祝うものへと変貌を遂げていきます。
鎧兜や太刀、武者人形や元気な男の子の代表でもある金太郎をモデルにした人形なども飾られています。鎧兜は武将を連想させるだけでなく、男の子を守るという意味もあったとされ、端午の節句に欠かせないものとなっています。
庭先の鯉のぼりもこの頃からと考えられ、男の子の立身出世を願うものとなっています。粽(ちまき)を食べる風習は残されていますが、魚に食べられないように川に投げ込む事から始まった粽と、川魚の鯉、どこか矛盾するものを感じないでもないのですが、主役が屈原から男の子に変わっているので、それは良いのかもしれません。
柏餅を食べる習慣は日本独自のもので、柏は新芽が出るまで古い葉が落ちない事から、「家系が絶えない」という縁起物として食べられるようになっています。
健康で立身出世、家系を絶やさない。端午の節句にかけられたプレッシャーは結構大きなものかもしれません。男の子を健康と成長を祝う日だった端午の節句がこどもの日となり、女の子も加わっています。女の子にも健康と出世、家系の継続、同じプレッシャーがかかるのでしょうか...。
第992回 菖蒲と蓬と粽と柏餅(1)
2008年04月22日
美味しい山菜にきれいな梅や桜をはじめとする花々、春は楽しい事がたくさんあるにも関わらず、春らしさを感じられる期間は結構短い感じがしています。寒さがやっと和らぎ、風も冷たさを感じなくなったと思ったら、日中は暑さを感じる日が増えて、気が付けば初夏を迎えてしまっています。
そんな初夏の訪れを告げてくれる物事の一つに、「端午の節句」があるのではと思っています。端午の節句、言わずと知れた5月5日の事ですが、こどもの日と言った方が馴染みがあるでしょうか。
1948年に祝日法が公布、施行された事に伴って、5月5日はこどもの日に制定されています。漢字で「子供の日」や「子どもの日」と書かれる事もありますが、正式にはひらがなで書かれるこどもの日が正しい表記になっています。
端午の節句とは、端が物事の始まりを指し、午は五を意味しているとされます。端午とは5月の最初の5日という事を意味し、節句は季節の節目を示していて、いかにも夏の始まりという感じです。
古くはこの日に邪気を払うために軒に菖蒲や蓬を挿しておくという事が行われ、時と共に徐々に風習が変化して粽(ちまき)や柏餅を食べ、菖蒲湯に入る日となっています。
元々は武家の習慣として鎧兜や幟(のぼり)、太刀を飾ったものが庶民の間にも広まり、武者人形や刀などを飾り、鯉のぼりを立てる習慣に繋がっています。
端午の節句の由来となるものは、中国東周時代の政治家「屈原(くつげん)」を供養するために始められたと言います。屈原は楚の名門の家の出で、非常に豪放で優れた政治家であったと言われますが、同僚の嫉妬によって不遇の時を過ごしています。
その後、政界に復帰しますが、既に国内世論は隣国の秦と同盟を結ぼうという屈原の反対派へと傾いていました。秦を信用できない屈原は秦の陰謀を見抜きますが、楚の王は聞く耳を持たず、秦の陰謀に巻き込まれてしまいます。王が捕らえられ、首都が陥落した事で屈原は楚の将来に絶望し、川に身を投げて命を絶っています。
その後、屈原の無念を鎮めるため、人々は川に弔いをする事にしました。屈原への供物として、また、屈原の亡骸が魚に食べられないように、魚の餌になる米のご飯を笹の葉に巻いて川に投げ入れるようになったと言います。これが粽の由来ともされます。
後の世にも愛国者として称えられる屈原ですが、こどもの日とは少々かけ離れた感じがします。日本に端午の祭事が伝えられてから、日本の習慣やさまざまな解釈と結びつき、今日の端午の節句となるのですが、それはまたの機会のお楽しみとしておきましょう...。
第991回 正常体重肥満
2008年04月21日
自分が肥満の状態にあるか、それとも大丈夫なのか。その指標の一つは身長に対する体重の比率で判断する事ができます。最近、よく使われているBMI(ボディマスインデックス)まで詳しく使わなくても、どのくらいの身長なのでこの程度の体重という目安は簡単に意識する事ができます。
最近、身長から割り出した体重は標準的なものであるため、肥満とはみなされない人の中で、体脂肪率で見ると意外と高い数値が測定されてしまういわゆる「隠れ肥満」の人が増えてきていると言われます。
隠れ肥満の比率は意外と高いとされ、隠れ肥満者の多くに代謝異常が見られるとされています。標準体重とは、正に標準的な骨密度、筋肉量などが前提にされているため、骨密度が低く、筋肉量が少ない状態では、それだけ脂肪分を多く持っていても体重増加を招かない事が考えられます。
男性で体脂肪率20%以上、女性で30%以上の場合、標準体重であっても肥満と考えた方が良いとされ、標準体重者の半数以上がそれに該当すると見られています。
また、隠れ肥満者の血液検査を行うと、高コレステロール値や脂肪細胞などに見られる食欲を調整するホルモンであるレプチンの異常が見られる事から、隠れ肥満者は標準体重であっても心疾患や糖尿病のリスクは高い状態にある事が示されています。
運動不足、骨粗鬆症などが日常的に聞かれる中では、標準体重というものは肥満や健康を示す尺度とはなりえないのかもしれません。個人の体質にもよる部分が大きく関わってくるので、単一の指標を出すのも難しいのですが、体重に合わせて体脂肪率、腹部、特に肝臓に脂肪が付きやすい人の場合、ウエスト回りの数値など総合的に判断しなければならないと言えます。健康管理の難しさを感じてしまいます。
第990回 溶けない?
2008年04月18日
動物の組織はコラーゲンによって形作られています。そのため、煮込み料理などにすると「煮凝り」と呼ばれる透明なゼリー状の物が出来て、それがコラーゲンが組織から抽出された物として広く知られています。
正確には煮凝りはコラーゲンの三重螺旋構造が熱によって変性しているので、ゼラチンであると言えます。煮凝り程度の精製度だと、材料由来の臭いや味が充分残されているのですが、精製されて純度が高い状態のゼラチンだと、ほぼ無味無臭となっています。
ゼラチンの歴史は古く、5000年以上も前から膠(にかわ)として接着剤に使われてきました。接着剤や煤と混ぜて書道で使う墨にする事は古くから行われてきましたが、食用への利用の歴史は接着剤ほどには古くはないと考えられます。食用のレベルにまで精製度を高めて、無味無臭化する事が難しかった事が伺えます。
和菓子の歴史などを見ると、ゲル化剤を必要とする物はありますが、寒天や葛粉などの多糖類系の物が早くから発展していて、それほど必要とされなかったと考える事もできます。
食用に使われる例としては、ゼリーやマシュマロ、グミキャンディーなどが代表的で、ヨーグルトやクリームチーズ、ハムやソーセージなど、あまり必要なさそうな物にもゲル化剤として使われています。
医療分野でも幅広く使われ、アレルゲンとなる事が懸念される前は、注射や点滴などの薬剤の粘度を調整するためや、錠剤やトローチを固めるため、カプセルの皮膜にも多用され、喉の動きが弱っている嚥下障害の人に液体を飲ませるために、流動性と粘度の調整にも使われています。
湿布薬にも使われ、止血作用がある事からゼラチンスポンジとして手術にも用いられ、体内で吸収される事から、後になって回収する必要もないので、ゼラチンを加水分解した物を止血剤として注射する事も行われています。
身近なところにたくさん存在するゼラチンですが、含有量によって溶ける温度が違うというユニークな性質を持っています。ゼリーを室温に置いておくと溶けて形が無くなってしまうのですが、同じゼラチンで出来ているグミキャンディは溶け出す気配も見せません。
両者の違いは含まれるゼラチン量で、ゼリーは2%程度と少なく、グミキャンディは7%程度含まれています。作り方によっては、グミキャンディにペクチンを加える事もあり、そうなると夏の暑い日でも平気でしっかりと形を保つグミキャンディとなる事ができます。子供のお菓子と思いがちですが、意外と奥が深いものです。
第989回 草、キノコ?
2008年04月17日
最近、新手の食材として見かける事が多くなってきた物に、どことなく電話会社のCMを思わせる物があります。最初見た瞬間CMのキャラクター名が書いてあると思ったのですが、そんな物が食品売り場に並んでいるはずがないと思い、よく見てみると一字違いの「マコモダケ」でした。
名前から察するにキノコの一種のように思えるのですが、見た感じはとてもキノコではなく、強いて上げればネギのようでもあります。キノコ部分を除いて考えると、マコモは雑草の一種であり、見た感じから食材になりえるとは思えないものがあります。
マコモの自生する地域は広く、北海道から九州、沖縄とほぼ日本全土をカバーし、東アジアから東南アジアのほぼ全域に分布しています。
草丈は2メートル近くもなる事があり、長くて幅の広い葉を編んで「菰(こも)」が作られていました。菰を作る事に適していた事から、真の菰という事でマコモと呼ばれるようになっています。
そのマコモが黒穂菌に寄生されると新芽の部分が肥大してしまいます。黒穂菌は植物のホルモンであるインドール酢酸を分泌します。その作用によって新芽が異常に肥大してしまうという訳です。
5月の下旬頃に水田に水をはり、マコモを植えておいて水稲と同じように育成しておくと、若い茎のの部分が黒穂菌に感染して肥大成長をはじめると言います。秋を迎える頃には草丈が2メートル近くにもなり、株のあたり20センチほどに成長したマコモダケとなります。
マコモ由来の食材と言うと種子の部分を使うワイルドライスが既に出回っていますが、ワイルドライスは北米系のマコモで、マコモダケは中国系のマコモに由来しています。残念ながら北米系のマコモは黒穂菌に感染しないと言われ、ワイルドライスとマコモダケを同時に収穫する事はできないようです。
もっとも中国系のマコモも、黒穂菌に感染すると種子を付けなくなるので、やはり二度美味しいとはならいようです。和洋中いずれの調理法にもよく合い、淡白な味わいなので、今後、レシピが増えてくるのではと思って楽しみにしている食材でもあります。使える食材が増えるというのは、いつも楽しいものです。
第988回 蘇?
2008年04月16日
阿蘇に引っ越した最初の頃、住所を書く時に「蘇」の字の字画数が多い事から、どうしても大きくなってしまい、住所の記載を求められる事が苦手となっていました。
最近、町村合併によって白水村が南阿蘇村に変わった事から、一度に二回も蘇の字を書く必要が出てしまい、ちょっと迷惑な感じすらしています。
私が苦手とする蘇の字、普段目にする事はあまりない感じはします。日常の中で見かけるとしたら、蘇生、紫蘇といったところでしょうか。
紫蘇の由来は、魚(カニとする説もあり)にあたって死に掛けた人を、紫蘇を食べさせる事で救ったという古事が元になっていると言われ、蘇生に通じるものである事が伺えます。
「蘇る」という意味で使われる漢字ですが、蘇単体である物を指していた事もあります。蘇は非常に古い歴史を持つ乳製品で、奈良時代以前にインドや中国から伝わったとされています。
平安時代には一部の上流階級だけで滋養食として食べられていたとされ、盛大な宴や儀式には欠かせない供物であり、大変な貴重品であった事が当時の文献に記されています。
蘇の作り方は意外とシンプルで、まず最初に「酪」と呼ばれる物を作るところから始まります。酪は牛乳を焦がさないようにゆっくりと煮詰め、お粥のような状態にまで煮詰めた物です。
今日のコンデンスミルクやエバミルクのようですが、どちらかというと砂糖が入らない分、エバミルクに近く、更にそれを濃くした物でしょうか。
酪を更に焦がさないように煮詰め続け、最初の量からすると10分の1くらいになるまで煮詰めます。それを自然に冷まして固めると蘇が出来上がるという訳です。
蘇は薄くスライスしてそのまま食べられます。濃縮された牛乳特有の風味と甘味、コクがあって美味しいと言われます。美味しいだけではなく、「虚労を癒して臓腑を潤し、血を整え、急痛を止め、諸瘡を治し、よく腹中の滞りを除く」と絶大な効果が記されています。
インドのアーユルベーダに使われる「ギー」が、同じように牛乳を煮詰め続けて得られる事から、根幹にあるものは同じなのかもしれません。乳製品好きの私としては、一度試してみたい気はするのですが、根気が続かないように思えて、確かに貴重品だと思えてしまいます。
第987回 絶食元気
2008年04月15日
風邪をひいたとき、食欲がなくなってしまうのはよくある事です。その時、二つの考え方があると思います。一つは食欲はなくても身体に抵抗力を付けるために、少々無理してでも栄養のある物を食べる。もう一つは、食欲がないという事は、身体が栄養を過剰に摂る事を拒否しているのだから、無理してまでは食べないというものです。
どちらかと言えば前者を支持する人が多いのではないかと思いますが、後者もそれなりに頷けるものを多く持っています。消化にはかなり大きなエネルギーを使う事から、そのエネルギーを回復に向ける事や食物の供給が一時的に途絶える事で、腸内細菌の状態が変化し、腸管免疫が向上するというのはしっかりとした説得力を備えています。
伝統的に行われてきた絶食も、そうした一面を持っていると考えられ、身体への負担が懸念されるほどの長い時間ではなく、半日程度の短い絶食を健康法として実践している話はよく聞かされます。
また、身体は消化吸収がない状態に入ると、体内に蓄えた栄養素を使い始めます。その際、溜まった毒素を排出する働きも大きくなる事から、有名なカネミ油症事件の後、油症患者が断食する事によってダイオキシン類の排泄量が増え、症状が軽減するという事も観察されています。
しかし、体内に蓄えられている栄養素は、さまざまな器官となっている事もあるので、むやみに栄養の摂取を断つ事は危険でもあります。脂肪だけなら歓迎できる部分もありますが、タンパク質は筋肉、カルシウムは骨といった感じで、重要な器官に影響が及ぶ事も考えられます。
食欲という原始的欲求に関係し、身体の維持という大切な部分にも影響するだけに、どことなく難しげな感じはしてしまいますが、最も手軽で安価にできる健康法の一つなのかもしれません。
第986回 筋力維持
2008年04月14日
ダイエットという言葉は、年代を問わずに聞かれるようになってきています。高齢の女性の間でもダイエットを志す人は少なくはなく、高血圧との関係で薦められる事もあります。しかし、高齢の女性の場合、無闇に体重を落とすと困った問題が生じる事があります。
ダイエットに成功して体重が軽くなる事で、それまで体を支えるために必要とされていた筋力が不要となり、筋肉の量が急速に減ってしまう傾向があります。加齢に伴って筋肉量は自然に失われていきますが、特に女性の場合、失われていく筋肉を補う事が難しいため、急速に筋肉量を失ってしまう事は大きな損失ともいえます。
食物に対する男女の反応の大きな違いとして、女性は筋肉を増強するためのタンパク質利用効率が低いとされています。骨密度を維持するために必要とされているホルモンとしてエストロゲンの存在が知られていますが、筋肉の維持にもエストロゲンは関係していると考えられます。
高齢になる事でホルモンのバランスが崩れ、特にエストロゲンの分泌量の低下が骨粗鬆症の原因とされていますが、同じ事が筋肉にも起こっていた事になります。
筋肉の増強は、筋肉を動かして筋繊維を補強する事で行われます。その際に必要とされるのが良質なタンパク質です。卵や魚、脂身の少ない鶏肉や赤身肉といった高タンパク低脂肪の食を積極的に摂る事、継続的な筋力トレーニングが必要な事は明白ですが、ホルモンが関係している事が判っている以上、ホルモンの補充療法も有効な手段となるのかもしれません。
筋肉量の減少は、高齢者の運動機能に低下させるだけでなく、代謝機能にも関わり、転倒のリスクを高める事にもなりかねません。転倒は高齢者の死期を早める主な原因の一つとされるだけでなく、人生の質を大幅に低下させる事にも繋がりかねません。見えないうちに進行する事だけに、気を付けたい事の一つではないでしょうか?
第985回 不備解析?
2008年04月11日
ありがちな事ではありますが、研究を裏付けるために用いられる臨床試験などにおいて、統計的解析に不適切な意思が働き、誇張されているという過去の論文を再検証した研究結果が報告されていました。
過去の論文を再検証しなおす事で明らかになってきた事ですが、不適切な解析によってより効果などが誇張されているケースが多いとされています。具体的にどの研究に問題があるかについては言及されていませんが、データの評価次第で効果の受け取り方に大きな違いが生じる事も考えられます。
今回の検証では、75件の臨床試験のうち3分の1以上で不適切と思われる統計的解析が行われていたとされています。統計的に有意とされる結果が得られたと報告されていても、実際には解析に不備があると指摘せざるを得ないものが多く、正しく評価すれば結果の受け止め方が違ってしまうものも出てきてしまいます。
実際には効果がないものが、誤った解析によって有効と評価されてしまうと、当事者においても時間や費用、資材が無駄に費やされて誤った方向へと進んでしまっている事になってしまいます。
今回検証された論文では、75件中の34件が適切な方法で結果を解析していましたが、26件では不適切な解析方法のみが行われ、6件では適切な方法と不適切な方法の併用、9件では解析方法を正しく評価するだけの情報すら提示されてなかったと言います。
研究結果を歪曲するために意図的に不適切な解析方法が用いられている訳ではないとコメントされていましたが、最近流行りの言葉、「偽装」の一言を思い出さずにはいられません。長い時間をかけて研究を行い、自説を裏付ける結果を得られる事は何より報われる事ではありますが、解析方法に不備がある事は、それを否定する事にもなりまねません。重く受け止めるべき検証かもしれません。
第984回 蛇行の理由
2008年04月10日
この時期、隠れたヒット商品として売り上げを伸ばすのが、「抗ヒスタミン剤」ではないかと密かに思っています。抗ヒスタミン剤は、アレルギー症状に関係したヒスタミンがヒスタミンの受容体と反応する事を妨害して、ヒスタミンが働けない状態を作り出し、アレルギーの症状を緩和させています。
初期の抗ヒスタミン剤には、ヒスタミンの働きを抑える働き以外に、中枢神経や副交感神経を抑制する働きもありました。そうした働きを利用して嘔吐中枢を抑制する事で、乗り物酔いを防ぐ薬として利用されていたので、使った事のある方も多いのではないでしょうか。
抗ヒスタミン剤による中枢神経抑制作用は、眠気という副作用に繋がってしまいます。アレルギー性鼻炎などのように、症状を抑えたいのが昼間に集中している場合、この眠気という副作用は大いに困ったものとなってしまいます。
最近では、そうした中枢神経抑制作用を抑えた抗ヒスタミン剤も登場し、眠気はかなり抑えられていると言います。いわゆる第二世代と呼ばれる抗ヒスタミン剤ですが、それでも抗ヒスタミン剤の飲用によって自動車の蛇行運転をしてしまう頻度が増加するという報告はされています。
抗ヒスタミン剤と偽薬をそれぞれ別のグループに分けて飲用してもらって眠気を比較しても、それほど第二世代の抗ヒスタミン剤では眠気の強さに違いが生じないとされます。
しかし、自動車の運転シミュレーターを使って車を運転している状態を試してもらうと、約3分間の運転中に斜線をはみ出してしまう回数が、抗ヒスタミン剤飲用グループとそうでない偽薬グループでは、体感している眠気に違いこそありませんが倍以上の開きが生じていました。
その際の脳の働きも分析されていますが、視覚野や前頭葉といった情報処理をつかさどる部分の機能が抑制されて、運動動作の低下を招いた事が確認されています。これまで眠気のせいにされ、眠くならないなら大丈夫と思われていましたが、運転や大事な作業の前、飲用の時期には充分に気を付けたいものです。
第983回 植物製油
2008年04月09日
ピークオイルという考え方があります。埋蔵量に限界があると考えられる原油は、やがて生産量の頂点を迎え、それを境に産出量が下がっていって採掘し尽されてしまうというものです。
子供の頃、あと30年か40年もすれば原油は枯渇してしまうと聞かされていました。それから時は流れ、幾つになっても原油の残り年数は変わっていない事に気が付いてしまいます。あの頃言われていた埋蔵量なら、今頃はそれなりに世界的な大騒ぎになっていないとおかしい気はするのですが...。
時は流れ、休みなく採掘が行われているのに、石油の採掘ができる残り時間が変わらない理由の一つに技術の進歩があります。石油が埋蔵されている場所を見付け出す技術や、砂などの地層に混ざり込んだ石油の分離採取、かつてとは比べものにならないくらい効率よく採掘が行われているとい言います。
しかし、それとはまったく異なる別な意見もあります。石油は思われているような化石の一環ではなく、何か別な仕組みによって現在も作られ続けているというものです。
実際、日本の相良油田は小規模な油田なので、すぐに掘り尽くされてしまうのですが、しばらくすると復活してきます。しかも通常、石油が埋蔵されている地層よりもはるかに浅い深さで採掘されています。
微生物が地中で何らかの働きをしていて、石油を作り出しているのではとされる事もあります。石油そのものではありませんが、車を動かす事のできる油を作り出す植物は見付かってきています。
植物を原料としたバイオ燃料が注目されていますが、主要な原料とみなされているトウモロコシや小麦は、バイオ燃料への注目が集まるにつれ高騰という副作用を起こし、世界に食糧難や穀物高騰といった懸念を生み出しています。
先日、新たに開発されたバイオ燃料の抽出技術は、世界中の池や湖に生息していて、自ら油を生成する事のできる藻の一種、「ボトリオコッカス」を用いたもので、元々がトウモロコシや小麦のように食用にされていなかった事から、食料問題へと発展する可能性が極めて低いと考える事ができます。
ボトリオコッカスは藻類の中でも飛び抜けて油の生成力に富、光合成によって二酸化炭素を摂り込んで炭水化物を生成して細胞内に分泌します。生成された炭水化物は重油に似た組成を持ち、そのままでも船の燃料に使えるほど質が高いと言います。
現在、約150種類のボトリオコッカスを集め、油を効率よく生成し、増殖しやすい株を見つけ、窒素やリンといった有機物を多く含む生活排水や、工場から排出されるアルカリ性のを薄めて与えると効率よく増殖する株が見付けられています。
エネルギー問題に限らず食料問題、公害、二酸化炭素による温暖化、さまざまな問題を解決してくれそうで、ありふれていれう藻という事ですが、逞しいヒーローのように思えてしまうのは私だけでしょうか。
第982回 飛来毒
2008年04月08日
春になるとあまり遠くが見渡せない日が増えて、ぼんやりと霞が掛かったようになっています。春霞かと思うのですが、どことなく黄ばんだ感じがするのは黄砂の影響でした。子供の頃、そんな日の夕方、帰途に着くために自転車のサドルをさっと手でなぞると、決まってざらついていた事を思い出してしまいます。
黄砂はゴビ砂漠や黄河上流の乾いた砂が強い偏西風に乗って飛来するものですが、春になると中国大陸が雪解けなどで乾燥してくる事から、春になると多く見られるようになります。
かつては春の風物詩などと呼ばれる事もあったのですが、最近では砂漠化が進んだ影響からか、飛来する期間、量ともに大幅に増えてしまっています。
あまり意識はされておらず、殊更言われる事はありませんが、黄砂が飛来する事によって体調不良を訴える人も増えてきています。春の花粉症は広く認識されていますが、やがては黄砂症も言われてくるようになるのかもしれません。
先日行われた調査では、日本国内で3月中旬に観測された黄砂に、中国や韓国の工業地帯が発生源と見られる有害物質が付着していた事が判ったとされていました。
東京大学環境安全研究センターの分析によるものですが、3月の17日から19日にかけて東大の構内で大気中から採取された約5万個の土壌粒子を、一粒ごとの組成を調べる事のできる装置で分析しています。
その結果、粒子の2割程度が中国から飛来した黄砂と見られ、その大半に硫酸塩や硝酸塩といった化学物質が付着している事が確認されています。
黄砂は偏西風によって日本国内に移動してきますが、その途中には中国や韓国の工業地帯があります。以前から黄砂が飛来する季節には、大気中の有害物質の濃度が上がる事が知られていました。
石炭や石油を多量に燃焼させる工場から排ガスとして排出された窒素酸化物が、大気中で黄砂に付着し、上空で変化して有害物質となっている可能性が高いと考えられています。
お隣の韓国では、黄砂が発生すると死亡率が2.2%増加し、特に心臓血管や気管支の疾患が原因となる死亡率が4.1%も高くなったという調査結果も報告されています。春の風物詩として暢気に眺める事が難しくなってきています。
第981回 酸蝕過敏
2008年04月07日
冷たい食べ物や熱い飲み物を口に含んだ際、歯がしみて驚かされる事があります。虫歯ではないはずなのにと思いながら、注意深く見ても確かに思い当たる部分はありません。そんな知覚過敏を感じている方は意外と多いのではないでしょうか。
歯を傷める原因と言うと、歯磨きを怠り、虫歯菌を繁殖させてしまう事。そのように考えられていますが、それ以外にもっと大きく意外な原因が隠れている事は意識されていません。
顔を洗う際や歯磨きの時に鏡に映して、自分の歯をよく観察してみます。特に判りやすいのは前歯ですが、先端が透き通って見える事があります。大丈夫と思っても、小さな鏡やライトなどを使って裏側から光を当てて見ると、ガラス製品のように透き通って見えるとしたらそれは酸蝕歯になっている可能性があります。
酸蝕歯・・・最近耳にする機会も増えてきた言葉のように思えます。文字通り酸に蝕まれた歯で、食物に含まれる酸が原因となっています。酸味が強い食べ物、果物やドレッシング、ジュースにワイン、酢の物。身近な多くの食べ物で起こる可能性があります。
歯の表面は硬いエナメル質で覆われています。硬い食べ物でも全然平気なエナメル質は、相当強力で堅牢なイメージがあり、実際一生を通して使い続けられるだけの頑丈さを備えています。しかし、エナメル質は食物に含まれる酸に触れる事で一時的に表面が柔らかくなり、傷付きやすい状態になってしまいます。
その状態で更に硬い物を食べたり、不必要に力を加えて歯磨きをしてしまうと歯の表面が削られてしまいます。それが酸蝕歯で、症状が進んで知覚過敏を起こすまでは、意外と気付きにくいものです。特に初期の頃は、歯の表面が削られる事から艶が出て、歯はより良い状態にあるようにすら見えてしまいます。
歯は食べる事でエナメル質が傷付きやすい状態になり、削られてしまいますが、唾液によって修復が進められ、元の状態に近付いていきます。間食が良くないとされる理由は、そのサイクルが崩され、歯の磨耗を修復する時間が与えられない事にあるとも言えます。
また、酸を多く含む清涼飲料水が身近にある事も酸蝕歯を増やしている原因とも言われ、硬い食べ物を口にする機会が減った事で顎の筋肉の発達が遅れ、普段から口が開いている事で口の中が乾燥し、唾液が歯を修復できない。酸蝕歯に繋がる原因が溢れているように思えます。
第980回 田んぼのアメリカ人
2008年04月04日
春が本格的になってくると、子供の頃、田んぼや小川へ行ってオタマジャクシやサワガニを捕まえる事を楽しみにしていたのを思い出してしまいます。
フナやドジョウなどの小魚もいたのですが泳ぎが速く、とても捕まえられるものではありませんでした。稀にザリガニを見つける事があると、かなり大物の獲物のように感じられていた事も今となっては微笑ましく思えてしまいます。
当時からザリガニは食用としてアメリカから持ち込まれ、寄生虫が見つかった事で食用にできないため、小川に増えているという認識で、田んぼに棲んでいてもアメリカザリガニとはと名前と生息環境のギャップに違和感を感じていました。
ザリガニはカニの名前が付いてはいますが、姿はエビに近く、親戚のロブスターがエビとして扱われている事を考えるとザリエビと呼ばれる方が妥当な気がします。
「ザリ」に関しては生息環境の砂利から来ているという説もありますが、どちらかといえば砂利よりも微細な泥が堆積した潟の方に多くいる印象なので、生息環境が元になるのであれば「ガタカニ」の方が適切なように思えます。
這うように歩くという事から、「いざる」カニのイザリガニから「イ」が抜け落ちたとする説もありますが、同じ文字の脱落説では、高速で移動する際、後ろに下がりながら移動する事から、退くの「しざる」から来たシザリガニの「シ」が脱落したとする説もあります。
ザリガニの動きを考えた場合、人の印象にはエビのように勢い良く後ろへ下がる姿がより鮮烈に残ると思うので、シザリガニ説が有力なように思えますが、すでに頭の文字が抜け落ちた後では確たるものとは言えません。
少なくともイザリガニであった場合、先日の名称改定の際、イザリウオの名前が変えられていた事から、イザリガニも確実に変えさせられていた事が予想されるので、イであれシであれ、失われていて良かったと思わざるを得ません。
ザリガニの寄生虫については、肺臓ジストマの一種、ベルツ肺吸虫の中間宿主となると言われますが、同じ事は上海カニや川カニとして食べられているモクズガ二にも言える事なので、きれいな小川などで獲られたものならしっかりと加熱する事で食べる事ができます。あえて食べる気にはなれませんが...。
第979回 当たり外れ
2008年04月03日
あまり居酒屋と縁がないためか、最初に居酒屋の定番メニューと言われる「あたりめ」という言葉に出会った際は、それが何を指しているのか戸惑った事があります。とりあえず何かを把握するために注文してみると、焙ったスルメに小鉢にしょうゆとマヨネーズが入れられた物が出てきます。
何か特殊な加工や調理がしてあるのか、それとも七味がふりかけられたマヨネーズとしょうゆが伴うと、食べ方のスタイルが変わるため、またはイカの種類でも違うのかと少々考えてしまった事があります。
何も変化が感じられないので、それなら素直にスルメと書いてくれればと思うのですが、わざわざ呼び方を変えている事には、それなりの意味があります。
スルメは昔から縁起が良い食べ物とされてきました。海に囲まれた日本と言っても内陸部では新鮮な魚介類に恵まれているわけではありません。海産物を保存性の高い干物にして贈る事は、大変喜ばれる事でもありました。
ところがスルメの「スル」という部分が、博打などで負けてしまう「擦る」やお金を盗まれる「掏る」に通じるという事で縁起が悪いとされ、「スル」の部分を縁起のよい「当たる」に置き換えて「あたりめ」と呼ぶようになっています。
同じような言い換えは多く見られ、「すり鉢」の事を「あたり鉢」、すりあげてできるゴマを「すりゴマ」ではなく「あたりゴマ」と呼んだり、ヒゲを剃る事を「ヒゲをあたる」というのは、たまに目にする言葉でもあります。
似たような発想でも、果物の梨の実を「無し」とならないように「ありの実」と言い換えたり、川原に生える葦をを「あし(悪し)」ではなく「よし」と言ってしまうのは、少々行き過ぎな気はします。
そう思いながら閉会する事を「閉める」ではなく、あえて「お開き」と呼んでしまう事もあり、意外と言い換えが身近な事であると思ってしまいます。スルメも「寿留女(するめ)」と表記する事があるらしく、かなり縁起のよい言葉になるだけに言い換えは不要ではと思うのは私だけでしょうか。
第978回 ホルモン長寿
2008年04月02日
インシュリンと言うと、すぐに糖尿病というキーワードが浮かんでしまいます。すい臓から分泌されるホルモンで、炭水化物の代謝を調節する働きがあり、血糖値を下げる唯一のホルモンとしての働きを担っています。
インシュリンは体内の血糖値を調整する働きがある事から、糖尿病の治療に使われている事は広く知られています。最近の研究では、細胞によるエネルギー産出を調節する働きや、細胞に指示を送って栄養源であるブドウ糖の処理を促す働きがある事から、腫瘍の成長を抑える作用なども知られてきています。
そして、また新たなインシュリンの働きが解明されてきています。まだ線虫を使った研究の段階ですが、人に応用されるようになるとインシュリンのイメージが大幅に変わってしまうかもしれません。
線虫のインシュリンレベルの変動による影響を調べた際、インシュリンが増大するとSKN−1と呼ばれる遺伝子制御タンパクの活性が低下する事が発見されています。インシュリンレベルを下げる事によってこのSKN−1のレベルを引上げる事で、線虫の寿命を明らかに延ばす事に成功しています。
生きている事はエネルギーを絶えず作り出している事であり、それは副作用としての活性酸素を作り出してしまいます。身体は活性酸素による障害から身を守るための抗酸化システムを備えていますが、それを活性化させる事で寿命を延ばす事ができると考えられています。
活性酸素による障害は老化にも直接影響していると考えられるので、今後、効果的にインシュリンを調整できればアンチエイジングの有効な手法が確立される事になります。今後、解明されるべき課題は多く残されますが、興味深い研究テーマになるのかもしれません。
第977回 競技食?
2008年04月01日
古代ギリシャにトリヨンと呼ばれる食べ物がありました。神の授け物とまで言われて珍重されたチーズに卵、胚芽、ラード、ミルクなどを混ぜ合わせ、いちじくの葉で包んで茹で上げて作られ、蜂蜜をかけて食べていたと言います。
どちらかと言えばプディングのような印象があるのですが、このトリヨンがチーズケーキの原型と言われています。驚くべきことにトリヨンはオリンピックに出場する選手、アスリート達の食として用意され、開催期間中毎日アスリート達に振舞われています。
チーズにミルク、卵といった完全栄養食とまで言われる事の多い食材に繊維質、ビタミン、ミネラルが豊富な胚芽、脂質の供給源ラードにオリゴ糖が多い蜂蜜。トリヨンは競技に必要な栄養素を効率よく供給してくれていたように思えます。
その後、チーズがさまざまな地に伝わり、その土地で独自の発展を遂げるのに合わせるようにチーズを使ったお菓子も、多くのバリエーションを生んでいきます。
今日見られるようなチーズケーキの起源は、中世のポーランド、ポドハレ地方にあると言われ、フレッシュチーズをふんだんに使ったセルニックという郷土のお茶菓子が元になっていると言われます。
セルニックはオーブンで焼き上げて仕上げる事から、今日の「ベイクドチーズケーキ」に分類され、ポドハレ地方からの移民が郷土の事を思い、アメリカで作ったニューヨークチーズケーキの原型にもなっています。
それに対し火を通さずに作られる「レアチーズケーキ」の歴史は浅く、レアチーズケーキに欠かせないクリームチーズの登場を待たなければいけません。
クリームチーズなどに生クリームを混ぜ合わせて冷やして固めるレアチーズケーキに欠かせない材料、クリームチーズは、1872年にフランスのヌーシャテルチーズを再現しようとした牛乳の販売業者の手によって開発されています。
レアチーズケーキの基本形としては、クッキーを砕いて作ったクラスト生地を敷いた上に流し込まれますが、グラスなどの容器に注いで見栄えを良くした物や、ガーゼなどで包んだ物などさまざまなバリエーションが増えてきています。
素朴な感じのベイクドチーズケーキ、高級感が演出できるレアチーズケーキ。人によって好みは大きく分かれますが、両者ともあまり滋養食とは言われる事はありません。オリンピック開催中に何人のアスリートが口にするのでしょうか。
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