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第1060回 払いましょう!
2008年07月31日
毎日暑い日が続くと、暑気払いという言葉をよく聞くようになります。夏の暑さや過ごしにくい気候から来るストレスを発散する名目で行われる宴会などを指す事が多くなっていますが、本来は夏場に薬や酒などによって体に溜まった熱気を払うというもので、薬湯などの温かい物を飲むという事も行われていました。
薬湯を飲むのは漢方の考え方が基になっており、熱を冷ます働きがあるとされる生薬が配合されていました。街頭でも熱を冷ましてくれる物が売られていた記録が多く残され、ビワや桃の葉を煎じて冷やした「枇杷葉」や、冷たい甘酒などが売られていたようです。
意外なところでは、「柳蔭」、「直し」と呼ばれるみりんに焼酎を混ぜた物が飲まれていました。以前、昔ながらの作り方をされたこだわりのみりんを購入した際、「疲労時には少量をそのままお飲み下さい」と書いてあった事や、漢方医に聞かされた「焼酎を飲んでも日本酒のようには暖まらない」という事が思い出されます。
暑い日が続く中、どうしてもアイスクリームや炭酸飲料に目が行ってしまいますが、クーラーや冷蔵庫がなかった時代のちょっとした工夫に思いを巡らすのも楽しい事かもしれません。
第1059回 油断禁物
2008年07月30日
高血圧前症・・・あまり聞かない言葉ですが、字の感じからおおよその事は判ります。高血圧症と診断される前の状態で、境界域高血圧とも呼ばれます。
具体的な数値としては、何らかの治療が必要と考えられる最大と最小の血圧が140mmHgと80mmHgには達しておらず、120mmHgを超えていて、最小の血圧が80mmHgを超えている状態を指します。
まだまだ治療を行う数値ではないので大丈夫と考えがちですが、それほど安心できるものではない事が先日行われた研究で明らかにされています。
境界域の高血圧症には、比較的若年層でもなっている事が考えられますが、若年層の境界域高血圧では冠動脈へのカルシウム沈着のリスクが高まる事が冠動脈へのスキャンによって確認されています。
動脈硬化は主に2種類があるとされ、よく知られている悪玉コレステロールが原因となったアテローム性動脈硬化と、カルシウムが沈着する事で石灰化が起こるカルシウム沈着型の動脈硬化が知られています。
現在のところ傾向の一環とした段階ではありますが、カルシウムの血管への沈着は動脈硬化ばかりではなく心筋発作の強い予測因子となるとも言われます。現状では高血圧の治療が動脈硬化の予防に直結するとは考えずらい状態ではありますが、やはり日常を通した健康管理を行う事。しかも数値上の事に安心しない事が重要なのかもしれません。
第1058回 一口鑑定?
2008年07月29日
一年を通して最もうなぎが売れる時期が来ましたが、今年は直前に偽装問題が発覚したり、少し前の事ではありますが、中国産うなぎから薬物の残留が見つかるなどがあった事から、どのような消費動向になるのかと興味深く見ていました。
相変わらずな売れ行きを見ているとあまり影響はないのかと思ってしまうのですが、やはり安全性を求めて国産のうなぎに需要が集中しているようでした。
スーパーや鮮魚店の店頭では、中国産うなぎと国産うなぎを見分ける事は簡単です。ラベルや価格表に産地が明記されていますが、それ以上に明らかに値段が違う事で見分ける事ができます。
専門店などで調理されてしまうと、わざわざ産地を表示してある場合を除き、見分ける事はかなり難しくなってきます。よく言われる事は、中国産うなぎは身が柔らかく、国産うなぎは歯応えがしっかりしているとされます。
そうした違いは品種が違うためとも言われますが、日本で流通しているうなぎのほとんどがジャポニカ種で、一部がアンギラ種。中国で養殖されているうなぎの80%がジャポニカ種、20%がアンギラ種という実情を見ると、品種の違いではないように思えます。
うなぎは調理の過程に蒸すという工程が入ります。この蒸しの工程の有無。有るのであれば、しっかりと蒸すのか軽く済ませるのかで、仕上げられたうなぎの食感は変ってきます。その意味では、食感で産地を見分けるのは困難なのかもしれません。
天然物と養殖物では、同じように固さが違うと言われます。エサを求めて激しく泳ぎ回る天然うなぎと、待つだけでエサが得られる養殖うなぎでは、身の締まり方に違いが出る事は納得できます。
一つ言える事は、うなぎは高い温度で育てた方が成長が早く、出荷までの期間を短縮する事ができ、高温下で促成栽培のように育てられたうなぎの身は柔らかくなるなる傾向があるとされます。
中国でうなぎの養殖が行われているのは、暖かい南部が中心になっています。成長の早さが身の柔らかさに繋がり、国産うなぎとの食感の違いを生じさせているのでしょうか。そう思えなくも無いのですが、国産うなぎでも高い温度で養殖している例も多いので、単純に食感のみで産地を鑑定するのは無理ではないかと思えてしまいます。
第1057回 判定法が教えてくれるもの
2008年07月28日
QOL・・・いわゆる人生の質と言う点で、最後の仕上げと言うべき時期の質を大幅に低下させてしまうものの一つは認知症ではないでしょうか。ある人の意見では、死へと向かう恐怖を和らげる安全装置という見方もありますが、これまで積み上げてきた記憶と現状を分断してしまうという意味では、死に近いという解釈もできると言えるとも考える事ができます。
認知症のリスクを大幅に向上させてしまうものにアルツハイマー病の存在があるのかもしれません。認知症は年齢的なものとしてつい対処が遅くなりがちではありますが、アルツハイマー病に関しては早期発見、早期対処が重要となります。
先日、アルツハイマー病による認知症のリスク判定を行う為の質問表が開発され、日常的な認知症の測定法の明確な指針となる可能性が検討されていました。
39の質問からなる測定法によって導き出される結論によって、日常生活での補助の必要性や認知症のリスクを洗い出す事が可能とされ、患者本人ではなく患者をよく知る人が回答する事によって正確な判定が行われる事になっています。
その意味では患者と周囲の人との関係が重要と言え、良い関係が築けている事が後の人生の質を決める事となります。認知症はそれまでの周囲との関わりが重要な事を示す傾向が大きいだけに、今回の判定方法もある意味でそれを裏付けたように思えてしまいます。
周囲とのより良い関係が築けていれば、より正確な判定が出来るという事ですが、より良い人間関係を築けていれば認知症リスクも軽減できる可能性が高くなります。人との関わりによって人生が築かれていく、そんな事が改めて提示されたようにも思える測定法ではないでしょうか。
第1056回 臭みの効用
2008年07月25日
高血圧や肩こり、冷え性など、血液の循環、血行に関する悩みに何を食べれば良いかと聞かれると、真っ先に答えるのはニンニクではないでしょうか。
ニンニクが血行を促進してくれる事は既に広く知られ、実際に体感した話や映像に捉えたれたものなど、多くの事象がその効果を伝えています。
しかし、何故?と細かいメカニズムを聞かれると、意外と知られてなかったりします。ニンニクに含まれるさまざまな成分が複雑な相乗効果をもたらしながら、効果を発揮している事は想像がつくのですが、詳細については未解明な部分を多く残していました。
ニンニクが血行を促進する働きの一つとして解明されている事は、ニンニクに含まれる硫黄化合物が赤血球と反応する事で硫化水素が発生し、それによって血管が弛緩されて血液の通りが良くなる事が判ってきています。
赤血球がニンニクに含まれる硫黄化合物に触れると赤血球の細胞膜で化学反応が起こり、硫化水素が放出されます。それほど放出量は多くないとされますが、硫化水素によって血管を構成する平滑筋が弛緩され、血管が広がって血流を促進してくれます。
硫化水素というとニンニクの臭いの一つとして悪者視されてきましたが、重要な役割を果たしていた事になります。臭いと効き目は切り離せないと言われるニンニクですが、その一端を見てしまったようにも思えます。
第1055回 高タンパク低炭水化物?
2008年07月24日
引き続きダイエットについてですが、かつて言われてきたダイエット食の基本、高タンパク低脂肪よりも効果があるものとして、低炭水化物食が言われるようになってきました。
低炭水化物食によるダイエットは、炭水化物の摂取を控える事で血糖値の上昇を抑え、インシュリンの分泌を低い状態にする事が基本になっています。
血糖値が上昇すると身体はインシュリンを分泌して、血糖値を一定の状態に保とうとします。その際、血液中の糖分が脂肪細胞の中へと移動させられる事で、血糖値の低下が行われるので、肥満細胞の成長を促してしまいます。
肥満は摂取するカロリーと消費するカロリーの収支のバランスが狂う事で起こると考えられる事から、よりカロリーの多い脂肪分は敬遠されてきましたが、それよりも脂肪細胞の成長を促す炭水化物の方が問題視される事が、実際の調査でも裏付けられています。
ダイエット中なので蕎麦・・・ありがちなフレーズでしたが、少々考え直さなければいけないのかもしれません。血糖値を上げにくい低GI食品が見られるようになってきましたが、ダイエット方法の移り変わりは相変わらずなものを感じてしまいます。
第1054回 思い出しダイエット
2008年07月23日
食に関する習慣を把握しておく事は、意外とメリットが多い事とされます。何時頃に何をどのように食べたか、結構忘れがちですがしっかり覚えておくと良い事があるかもしれないという調査結果が先日発表されていました。
今回行われた調査の結果によると、どんな食事を摂ったのかを細かく思い出す事でダイエット効果が期待できるとされています。
英国のバーミンガムで行われた調査は、女子大生を2つのグループに分け、同じ食事を提供した上で、片方のグループにはその食事内容について詳しくレポートさせ、もう片方には通学路に関するレポートを作成させました。
レポート作成終了後、ビスケットを食べられるだけ食べさせたところ、食事レポートグループの方が通学路レポートグループよりも明らかに食べる量が少なく、3時間後には両グループの食べる量の差が顕著になっています。
この現象は、脳内で記憶をつかさどる「海馬」がレポート作成のために食事に関する情報を呼び出し、食事を行った際の事を追体験する事から、食欲の抑制が起こるためと考えられ、ダイエットにも繋げる事ができるとされています。
今回の研究については過去に全く逆の結果が得られた研究も行われており、食べ物の事を思う事で食欲が増進し、食事量が増えてしまう傾向があるとされています。
両研究の最大の違いは、食事内容について漠然と考えるか、事細かに考えるかの違いにあると思われます。詳細に思い出そうとする事で海馬の活動をより大きくして、食事の追体験が大切です。食事内容については直前のもので良いとの事なので、昼食前には朝食、夕食前には昼食の事をしっかり考えてみるのも良いかもしれません。
第1053回 黄色いキャラ由来
2008年07月22日
日頃、私達が触れる情報の8割近くは、見るという事から得られていると言われます。百聞は一見にしかずという言葉が示すように、実際に見た事がもっとも信頼できる情報として認識してしまいます。
見るという情報収集方法は、反射などによる光を目に取り入れ、その光の状態を認識する事で機能しています。目に入り、網膜に投影されるまでは光として伝達されてきますが、網膜から視神経を通り、脳に到達。脳で情報処理される過程は電気信号でなければ伝達する事ができません。
網膜に存在するロドプシンは光を受ける事で壊れ、その際に電気を発します。その電気が信号となって脳へと伝えられる事で、光信号は電気信号へと変換されています。
先日、その電気信号を脳へ効率よく伝達するための特殊なタンパク質が発見されていました。動く物を見る力である動体視力の優劣にも関係していると見られ、網膜色素変性症などの治療にも繋がる可能性があるとされています。
視細胞から脳へ信号を送る神経の繋ぎ目だけに存在する事が確認され、働きが阻害されると正常な繋ぎ目ができなくなり、信号の伝達が3倍近くも遅くなる事が観察されたそのタンパク質は、速い動きに対する眼球の反応にも重要な働きを持ち、素早い動きが特徴な
アニメのキャラクターであるピカチュウに因んでピカチュリンと名付けられました。
今後、さらに研究が進む事で一流のアスリートと普通の人との違いや、視神経に関する疾患の治療に繋がる可能性が感じられますが、ピカチュウ由来というところに変な親近感を感じるのは私だけでしょうか?
第1052回 堅さ自慢
2008年07月18日
加賀の白山麓で作られる堅豆腐は、荒縄で縛って持ち歩いても崩れない、いわゆる堅い豆腐の代表ではないでしょうか。通常の豆腐と比べて非常に多くの大豆を使い、重石をして水分をしっかりと抜くなどして堅さを出しています。
多くの豆腐は、大豆を煮てから漉す「煮絞り」と呼ばれる製法で作られていますが、堅豆腐は大豆に熱を加えない「生絞り」によって作られています。生絞りは煮絞りよりも手間がかかり、絞れる量も少なくなると言われます。
白山麓では大豆が多く採れた事や、山村の暮らしに合わせて持ち歩いても崩れないようにした事が堅い豆腐の起源とも言われますが、もともと中国から伝えられた豆腐は堅い物であり、それが徐々に改良されて今の柔らかい物に変化したものが、山村ゆえにそのまま残されていたという説もあります。
同じく堅い豆腐としては沖縄の島豆腐が有名で、こちらも生絞りで作られています。絞られた豆乳はそれほど濃度が濃くないうちに凝固剤となるにがりを加えますが、時間と荷重をかけて水分を抜き、しっかりとした堅さに仕上げています。
石川県の石豆腐や富山県の岩豆腐、徳島県の石豆腐に熊本県の五木豆腐などは、豆乳の濃度を高くする事で堅さを出している豆腐で、濃厚な味わいが特徴となっています。
また、にがりの代わりに海水を使う事で堅い豆腐を作る事ができる事から、山口県の石豆腐、長崎県の潮豆腐、壱州豆腐、沖縄の糸満豆腐が代表的な海水を使った堅い豆腐となっています。
豆腐は大豆に含まれるタンパク質と凝固剤が反応して固まる際、いかに水分を包み込ませるかで柔らかさや滑らかさが決まります。タンパク質が繋がってできる網目を粗くする事で水分の抜けを良くして、堅い豆腐に仕上げる。柔らかい物の代表のように言われる豆腐も、作り方しだいでは堅くする事ができるという、食の工夫の面白さを感じてしまいます。
第1051回 釣りと網
2008年07月17日
最近は鮮魚もスーパーでパックに詰められ、バーコードが印刷されたラベルが貼られて売られています。魚の姿や鮮度は気にしますが、価格は全体に対する値頃感を見るだけであまりグラム単価にまでは目が行かないのではないでしょうか。
スーパーではそんな場面に出会う事も少ないと思いますが、漁港に隣接した魚屋などでは同じ魚でも全く値段設定が異なる事があります。
詳しく見ても同じ魚で、大きさにもほとんど違いが見られず、それなのに倍ほど値段が違う理由が解りません。魚屋の主人に理由を尋ねてみると、片方は釣り上げられた魚で、もう片方は網で獲られた魚だと言います。
同じ魚なのに獲れ方でそんなにも違いが出るものなのだろうか...?食べてみると、明らかな味の差に値段の違いが納得できます。
魚の美味しさの一つは「イノシン酸」にあります。イノシン酸は旨味を出す成分で、魚の身に含まれるATP(アデノシン3リン酸)が分解する事で生成されます。
動物の筋肉ははATPをエネルギー源にしています。ATPを構成する3つのリンのうち、1つを放してADP(アデノシン2リン酸)に変化する際にエネルギーが発生します。ADPはATPに再合成され、また新たなエネルギー源となります。
釣り上げられた魚は、一気に水の中から引上げられ、延髄の部分に鉤を打ち込んで活きじめにされる事から、ほとんど暴れる事がなく、ATPの消費は最小限に抑えられます。
それに対し網で獲られた魚は、徐々に狭められる網の中で逃げ場を求めて泳ぎ回り、船上に引上げられても激しく跳ねています。その間に大量のATPが消費されてしまいます。
ADPはすぐにATPに再合成されますが、その過程で大量の乳酸を発生させてしまいます。これが一本釣りと網の違いで、美味しさの素となるイノシン酸、風味を悪くしてしまう乳酸の量が大きく違っています。外見は変わらないのに、美味しさが大きく違うという事が価格の違いとなっています。魚の目利きには奥の深い物があります。
第1050回 無煙は無縁?
2008年07月16日
タバコの害と言うと最初に思い浮かぶのは煙でしょうか。特に喫煙者が吸い込んでいない時に先端から立ち上っている副流煙は、有害物質の含有量が多いという事を聞かされます。
喫煙者が吸入している主流煙は、吸入時に先端の燃焼部に回りの空気と共に酸素が供給される事から、高い温度で燃焼する上、タバコに取り付けられたフィルターを通過する事に対し、副流煙は燃焼温度が低く、直接回りに拡散していきます。
そのため副流煙の方が何倍も健康リスク高く、しかも喫煙を行わない人にまで影響が及ぶ事から、副流煙の存在は禁煙運動の大きな原動力にもなっています。副流煙がなければ、煙が出ないタバコがあればとナンセンスな事を考えてしまうのですが、実はナンセンスな事ではありません。
日本ではほとんど普及していませんが、煙を出さないタバコ、無煙タバコは根強い人気があります。代表的なところでは、乾燥して加工されたタバコの葉を噛んで利用する「噛みタバコ」、粉末のタバコを直接鼻に吸引して鼻粘膜から成分を吸収して楽しむ「嗅ぎタバコ」は、世界中に愛好家がいるとされます。
噛みタバコは、タバコの葉の刺激によって絶えず唾液が分泌され、ニコチンなどの成分が溶け込んでいる唾液を吐き出す必要がある事から、あまり愛好家へのイメージは良くないのですが、嗅ぎタバコは、ヨーロッパの貴族文化との融合により、嗅ぎタバコの粉を入れる鼻煙壷は骨董品としても高い価値が認められる事もあります。
煙を出さない事から回りへの配慮が必要なく、飛行機の機内や最近増えてきている禁煙指定地域での愛用も可能である事から、徐々に愛好家が増えてきているとされます。
煙を吸引しない事から、肺ガンのリスクも少ないと考えられていますが、それ以外の部分への発ガンのリスクを高めてしまう事が、最近の研究で判ってきています。
確かに刺激の強いニコチンを含むタバコの葉を直接粘膜に触れさせる事から、何らかの障害がある事は容易に想像できますが、それ以外にも強力な発ガン物質であるニトロソアミンをはじめ、金属類を含む30種類以上の発ガン物質が確認されています。
以前から無煙タバコの愛好者に口腔ガンや食道ガンの発生が多いという傾向は言われていましたが、今回の研究では口腔ガンのリスクが80%、食道ガンのリスクが60%も増大している事が判っています。
また、別な研究では肺ガンのリスクも高まる事が判ってきていて、無煙であるがゆえに安全であるとは言えない事が理解できます。喫煙者と比べると無煙タバコの愛好者の方がリスクは低いとされますが、健康を考えた上で切替をお薦めするレベルではないようです。健康のためには吸わない、噛まない、嗅がないが良いのかもしれません。
第1049回 ムスクは危険な香り
2008年07月15日
ムスク・・・麝香(じゃこう)は広く知られた香料の一つで、漢方薬の原料の一つとしても使われています。雄のジャコウジカの腹部にあるジャコウ腺と呼ばれる香嚢から得られる分泌物を乾燥したもので、インドや中国では有史以前から薫香や薬剤、香油として使われていたと言われます。
甘く粉っぽい特有の香りを持ち、香水の香りを長く持続させる効果がある事から、香水の素材として極めて重要な位置を占め、興奮作用や強心作用などの薬理効果も持つとされる事から、古くから知られた売薬などにも使われています。
かつては採取する際、ジャコウジカを殺して腹部の香嚢を切り取り、乾燥させていましたが、最盛期は年間1万頭とも5万頭とも言われる数のジャコウジカが殺されたため、ジャコウジカは絶滅の危機に瀕し、現在ではジャコウジカの商業目的での取引は禁止されています。
近年、中国ではジャコウジカを飼育して殺す事無く麝香の継続的採取を行っていますが、商業的な需要を満たすには程遠いと言われ、そのためほとんどの麝香は人工的に合成された物が使われています。
以前から人工の麝香には、生物のホルモンの働きを阻害する内分泌撹乱作用がある事が指摘されていました。先日、その人工麝香が脂肪組織中や母乳などの中に残留している事が佐賀大、愛媛大、熊本大の共同研究グループによって突き止められていました。
今回検出された量は、母乳の濃度から推定した乳児の摂取量的には、何らかの影響が心配される摂取量の100分の1から1000分の1と少なく、現状では問題にならないとされていますが、胎児や乳児は化学物質の影響を受けやすいので、妊娠中や授乳期には香料を使った製品の使用は控えるなどして、摂取量をできるだけ減らすのが望ましいだろうとしています。
もともと麝香はジャコウジカが縄張りを主張し、雌を呼び寄せるための物である事を考えると、ホルモンに影響を与える目的もあった事が考えられ、それを化学的に再現した物であれば、何らかの影響を及ぼす物となりえるのもありがちな感じがしてしまいます。少なくとも母乳には似合わない香料とだけは言えそうです。
第1048回 尻尾鑑定
2008年07月14日
外で天ぷらをご馳走になる際、思わず海老の尻尾を見てしまいます。天ぷらを上手に仕上げるには、さまざまな下ごしらえが必要になりますが、海老の尻尾もその一つで作り手の神経の細かさが見て取れるような気がしてしまいます。
海老の下ごしらえは、足を取り、殻を剥く事から始まります。鮮度の良い有頭の海老だとそっと頭を外しますが、その際、一緒に背ワタも取れてしまいます。
無頭の海老の場合、丸めて持ち背ワタ、腹ワタを竹串などで抜き、腹を上に向けてまな板に置き、包丁で3分の1くらいの深さまで5mm間隔で斜めに切り込みを入れて、揚げ上がりが丸くなってしまわないように筋を切ります。
更に腹を下にして指でまな板に押し付け、プチプチと音がするまで押さえて筋を切ります。筋切りは上手に行わないと丸くなり、逆に切り込みが深かったり、押さえ過ぎると身にダメージを与えて旨味を逃がしやすくしてしまいます。
その後、尻尾を斜めに切り、真ん中の剣も先端を切ってしごき、中の水分を除きます。この尻尾の処理を行う意味は、中の水分による油はねを防ぐ事と、充分に加熱できていなかった場合、中の水分に繁殖した雑菌による食中毒を防ぐ事にあるとされます。
尻尾の先端を切るので、切り過ぎてしまうと不恰好になったり、鋭角に雑に切ってしまうと、食べる際に危険だったりもします。この尻尾の処理は意外と行われていない事が多く、尻尾がそのままの形で出される事の方が普通なように思えます。
尻尾が形良く切り揃えられ、抵抗無く食べてしまえるほどにパリっと揚げてあると、さすがと思いながら尻尾も残さず食べてしまうのですが、海老の尻尾にはキチン質が多く...と言われていますが、キチン質はキトサンの状態に加工しないとほとんど消化吸収されないので、栄養的にはあまり期待できないのかなどと余計な事まで考えてしまいます。
第1047回 話題復活?
2008年07月11日
今朝、一番最初に見たポリカーボネート製品は何でしょうか?時計、コップ、CD、歯ブラシ・・・、ポリカーボネートは最も広く使われているプラスティック製品として、私達の極めて身近なところにあります。
軽くて強度が高く、透明で安価である事から、非常に多くの用途を持っていて、優れた光学的透明性や堅牢さは、メガネのレンズや光ファイバーに使われるほどでもあります。
そうした特性を物語る有名な話として、映画「ターミネーター」の中で主人公が使うサングラスの原料としても使われているらしく、メーカーであるガーゴイル社によると散弾銃や22口径のピストルの弾を防ぐ強度があると言われています。
ポリカーボネートの開発は偶然による部分が多く、研究者同士の雑談から初まっています。米国、GE社の研究員、フォックス博士が、「加水分解を受けないポリエステルがあれば」という発言を聞いて、思い当たるところを実験してみた事が開発に繋がっています。
博士は、少し前の実験でカーボネートと呼ばれる炭酸エステルが、意外なほど分解されにくい事をしっていたので、それを再現してみる事にしました。しかし、前の実験で使った試薬、グアイアコールが見つからないので、非常に良く似た構造を持ち、在庫も余っていたビスフェノールAを代わりに使う事にしました。
ビスフェノールAを使って得られた物質、それが世界初のポリカーボネートで、予想をはるかに超えた頑丈さとガラスのような透明性を持ち、熱にも強いという優れた性質を持ち合わせていました。
耐衝撃性や絶縁性にも優れていた事から、車のバンパーをはじめ、非常に多くの物に使われるようになっています。そんな優れた素材、ポリカーボネートに転機が訪れたのは、偶然の開発の元となったビスフェノールAによります。
ポリカーボネートの食器などを使用中、原料であるビスフェノールAが溶け出して体内に摂り込まれる可能性が言われるようになり、体内でビスフェノールは構造が似ているエストロゲンと誤認され、内分泌をかく乱してしまう可能性が言われるようになりました。
一時期、環境ホルモンとして話題となりましたが、最近その言葉自体、あまり聞かなくなってきたように思えます。そんなビスフェノールAですが、先日、国の安全基準値よりも低い摂取量でも、胎児や新生児の健康に影響を及ぼす可能性があるという研究報告を受けて、厚生労働省が内閣府の食品安全委員会に評価を依頼する事が発表され、また話題となってくるのではと思います。
環境ホルモンとして騒がれた頃、さまざまな影響について研究が始められましたが、その結果もそろそろ出始めると言われています。いろいろな面で再び話題になりそうな感じですが、今度こそ明確な答えがほしいものです。
第1046回 開発と検査
2008年07月10日
日頃からあまりスポーツ観戦とは縁がないのですが、それでも毎年のツール・ド・フランスは結果が気になってしまいます。ヨーロッパの美しい景色の中を、常人離れした選手が自転車で駆け抜けて行く姿は、思わず見ていて力が入ってしまう事もあります。
そんなツール・ド・フランスもここ数年、ドーピングの問題でさまざまな話題が飛び交っています。ヨーロッパにおける自転車ロードレースの最高峰であり、3週間以上にわたって約3500km、高低差2000m以上という起伏に富んだコースを走り切るには、かなりの強靭な肉体が要求され、その中で勝ち抜いて行くために何らかの薬剤によって身体機能を向上させようと考えてしまう事は想像できない事ではありません。
主催者側でもドーピングに関する対策をかなり厳格に定めていて、常にトップチームのアスリートは、何処にいてどんなトレーニングを行っているのかを報告する義務があったり、カフェインの検出でも興奮剤使用とみなされる可能性があるあたりは、厳しすぎるという意見もありました。
ツール・ド・フランスに限らずスポーツ界全般におけるドーピングの問題は、これまでの検査では検出されない新型の薬剤の開発、薬剤を検出して禁止薬物に指定という繰り返しに終始し、いたちごっこの様相を呈しています。
最近、デンマークのコペンハーゲン筋肉研究センターが発表したレポートでは、現在行われているドーピング検査では見落としが多すぎる可能性が高いとされていました。
実際にアマチュアスポーツの選手に禁止薬物である運動機能の向上剤を注射し、注射の前後で3回ずつ尿検体の採取、それを世界アンチドーピング機構が認証する2ヶ所の検査機関に送って検査を実施しています。その結果、大幅な不一致が見られ、片方では陽性が多数検出された事に対し、もう片方では陽性の結果が認められていなかったと言います。
今回の研究に当たったスタッフからは、早急に検査方法の見直しを行うか、別な検査に切り替えるべきと指摘していますが、今年行われる大きなスポーツイベントには間に合わない公算が高いとも言われています。あくまでもフェアな競技に期待したいものです。
第1045回 新食感は水晶?
2008年07月09日
先日、新しい食材という事で、バラフを試食してみました。バラフとはスワヒリ語で「水晶」を意味するらしく、確かにその名が示すように葉の表面に水晶を思わせるような小さく透明な粒がたくさん付いています。
最初見た際は、冷凍された物が充分に解凍されていないのか、解凍途中で結露がたくさん付いているのかと思ったのですが、手で触れるとすぐにそれが葉にしっかりとくっついていて、バラフの一部である事が判ります。
葉の表面に付着した無数の小さな透明の粒は、ブラッダーセルと呼ばれる塩類を隔離するための細胞が発達した物という事で、塩類の隔離能力が優れている事から、バラフは海水と同じ濃度の塩水でも水耕栽培を行う事ができます。
一見するといかにもサラダ用の西洋野菜で、厚ぼったく育てたホウレンソウのように見えなくもない感じがします。手に持ってみると柔らかく弾力のある質感は、野菜というとりも海藻に近いようにも思えます。
口に含んだ際も海藻のような食感と、わずかな青臭さが感じられるのですが、やはりブラッダーセルの独特な粒々感と、噛んでみて初めて判る塩味に驚かされます。
塩ストレスに強い特性を活かし、塩分の多い水や土壌で育てる事によって、しっかりとした塩味が付いて成長する事になり、食感を楽しくしてくれるブラッダーセルもたくさん付く事になります。
今後、独自の食感や味を活かしたレシピ開発や、生産数を増やして流通に乗せて一般化する事が試みられる事と思いますが、言われているような地球温暖化による海水面の上昇が起こり、海の面積が増えた場合は有効な食料となるのではと考えてしまいます。
多肉植物好きの私としては、栽培しやすく短期間で収穫できると聞かされ、思わず栽培してみようかという気になってしまいます。水耕栽培になるので水やりにジョーロは使わないのですが、ジョーロで塩水というのも面白いのかもしれません。
第1044回 七夕の食
2008年07月08日
七夕の夜、何かいつもと違った料理でもと思うのですが、七夕の食として思い付く物がありません。由来を考えてみると、牽牛と織姫が結婚し、新婚生活があまりに楽しすぎて二人とも仕事をしなくなり、怒った天帝によって天の川の両岸に引き裂かれてしまうというものなので、確かに食とは関係ないものかもしれません。
私が子供の頃に読んでいた絵本では、織姫との結婚を求めた牽牛は、結婚を許可するための試練として畑を寝ずの番をするように命じられます。決して居眠りをせず、畑の作物にも手を付けないように言われるのですが、夜になっても下がらない高い気温に喉が渇いて耐えられなくなり、つい目の前のスイカに手を付けてしまいます。
スイカに切り目を入れると、そこからたくさんの水が溢れてきて川となり、牽牛と織姫は引き裂かれてしまうというものだったので、スイカでも供えてみようかとも思うのですが、それもちょっと違う気がします。
古い中国の言い伝えでは、七夕に索餅を食べると熱病に罹らないというものがあります。索餅とは古代中国の後漢や唐の文献に多く見られる食品とされ、日本では長屋王の邸宅跡から出土した木簡にも記載があると言われます。
作り方としては、もち米と小麦粉を細長く練ってより合わせて油で揚げるとされ、お菓子の一環として千切って食べたのではと考えられています。
詳細に不明な部分がありますが、平安時代中期に書かれた「延喜式」に作り方が書かれており、小麦粉と米粉に塩を加えて作る麺の一種である事が判ります。
この索餅が発展した物が素麺と言われ、室町時代には現在の形になったとされています。少々強引ではありますが、七夕の夜、余分な灯りを消して、天の川でも眺めながら素麺でも如何でしょうか?
第1043回 王妃の気鬱
2008年07月07日
「アルタイの王妃」は、最も美しいミイラの一つとされ、1993年に旧ソ連のアルタイ共和国の永久凍土の中から発見されました。丁重に埋葬されたその女性は、175cmと長身の体で30歳前後と推定され、腕には鹿の刺青、数々の黄金の副葬品に馬までもが一緒に埋葬され、その身分の高さが伺えます。
副葬品の内容から、ユーラシア大陸を東西に駆け巡っていた遊牧民の高度な文明が垣間見られる貴重な資料とも言われ、推定されている埋葬時期である約2500年前の世界へのロマンをかきたてられるものでもあります。
王妃のミイラが発見された古墳は、中国やモンゴルとの国境にも近いウコウ高原にあり、その辺り一帯はユネスコの世界自然遺産にも登録されています。しかし、付近の遺跡は盗掘の跡が著しいともされ、ソ連時代には盗掘が相次いだとも言われます。
そんな状況の中、王妃の眠る遺跡は幸運にも自然の要塞、永久凍土に守られ、盗掘ばかりでなく風化などの難からも逃れる事ができたため、ほぼ完璧に近い状態で発見されています。
近年、地球規模で問題視されている温暖化は、そんな王妃の要塞とも言える永久凍土にも被害を与えつつあります。現在、真夏でも溶けない北極の氷が徐々に溶け始めています。
北極の氷は、太陽からのエネルギーと地球が放出するエネルギーのバランスによって決まるとされる地球の気候の放出側の大きな役割を担ってきました。太陽光を反射して気温の上昇を妨げる事や、海水の温度上昇を抑制する作用を持ち、北極の氷が失われる事は、地球の熱収支のバランスを崩し、一気に地球温暖化を加速してしまう事にも繋がると考えられます。
そうした永久凍土消失の被害を受ける事が必至とされるのが王妃の遺跡で、永久凍土の溶け出しによって大きなダメージを受ける事が予想され、遺跡自体の消失も懸念されています。
既に「気候変動が脅かす世界遺産リスト」に記載されていますが、有効な手立てを打つ事はできていません。埋葬後、すぐに凍結した事で美しさを保ち、時を超えて盗掘などの心無い被害から守られてきた王妃。ここにきて世界的規模で進行を続ける気温上昇に何を思うのでしょうか。
第1042回 求オーガニック!
2008年07月04日
綿というと何故か古くなった布団や座布団の中から出てくる堅くなって、ボコボコした感じの物が思い浮かんでしまいます。一般的に綿というと木綿の綿を指し、英語でコットンと言われてしまうと急にフワフワした感じがしてきます。
最近ではポリエステルやアクリルの物が増えてきて、かなりの弾力性を持ったクッションなども売られていますが、木綿の綿と比べると吸湿性などの点で、快適さが大きく違うように思えます。
かなり古くから使われていた感じがする木綿の綿ですが、実は普及するのは戦国時代以降の事で、それまでは真綿が主流となっていたため、綿はかなりの高級品でもありました。
真綿は絹の繊維を用いた物で、生糸を作る事に適さない蚕の繭から作られています。繊細な繊維である事から肌触りが良く、光沢があって保温、通気性、吸放湿性が高く、軽いという特徴があり、高級品となるに相応しい感じがします。
そんな高級品から綿という存在を一般的に使われる物に変えてくれた木綿ですが、意外と栽培には農薬を使うと言います。特に虫に好まれる事から殺虫剤の使用量が多いとされ、色素が綿に入る事を防ぐために不自然に葉を落とす薬剤も使われています。
食品であれば残留農薬や、栽培途中で使われる農薬に一定の基準が存在したりしますが、木綿は食べ物ではないため、ほとんど農薬について意識されていません。
吸収性が高い粘膜に触れる物に使用される事や、綿実油などで身体への影響も考えられる上に、綿実は飼料として使われている事から、もう少し気を使ってほしい気もします。オーガニックコットンとして出回ってはいますが、色合いや割高な価格のため、今一つ一般的ではない感じがします。
かつては主要輸出品でもあった事から、あらためて世界へ向けて高品質のコットンの提案ができる生産国となる事を願っています。
第1041回 予定より習慣
2008年07月03日
ゲノム・・・遺伝子全情報の解析以来、さまざまな疾患は予め発症する事が予定されているような意見に出会う事が多くなってきました。確かに疾患を起こしやすい傾向は遺伝子によって決定付けられているのかもしれませんが、それ以外の部分も大きく関わっているように思えて、毎日の生活を大切にする事が一番大事と思っています。
最近の研究でガンを引き起こすガン遺伝子の存在が明らかになってからは、一定の年齢になるとガンを発症する予定が組まれているような印象すらあります。将来的にゲノムの調査が手軽になれば、ガン遺伝子の保有者は保険に入れなくなるのではといった、遺伝子差別の懸念も出てきています。
しかし、実際は生活習慣が関係している部分がおおきく、遺伝子のみが発症の鍵を握っているのではないという意見もあります。特に植物性の低脂肪食を多く摂る地域では、有意に前立腺ガンの発症率が低い事の理由を求めた研究で、遺伝情報よりも生活習慣が重要である事が明らかにされてきています。
研究は早期前立腺ガンと診断された30人を対象に行われ、いずれの被験者も外科手術、ホルモン療法、放射線治療などを拒否し、腫瘍は定期的に監視される形で行われ、3日間の宿泊療法を行った後、毎週の電話相談、週一回のグループサポート集会、植物性食品を主体とした食事の指導が行われています。
3ヵ月後に採取された検体の遺伝子発現では、500を超える遺伝子に好ましい変化が見られ、遺伝子によってのみ疾患が発現するものではない事が判ったと言います。年齢が若く、疾患が軽度であるほど改善は大きいとされますが、健康のために生活習慣を改めるのに遅すぎる事はない事が示されています。
遺伝子発現への変化という事で、ガンリスクにどの程度影響するのかという意見もあるそうですが、自らの力で健康を確保するのは、何より大事なように思えます。
第1040回 大朝食?
2008年07月02日
大朝食・・・直訳するとそうなってしまいます。新しいダイエット法として、炭水化物とタンパク質を朝食で多めに取る事で、空腹感が適度に抑えられて体重を減少させる事に有効という研究結果が出されていました。
ビッグブレッグファストと研究者が呼んでいる新たなダイエット手法は、朝、目が覚めると身体はエネルギー源を求めて食べ物を摂る事を要求しますが、その際、食べる量が充分じゃないと、脳が非常システムを作動させて別なエネルギー源を求めます。
その後、食事を摂ると脳だけでなく身体も非常モードのままになっている事から、エネルギーの取り込み量が多くなり、脂肪にエネルギーを蓄える事となってしまという肥満理論に基いています。
朝起きると脳内の伝達物質の一つであるセロトニンの作用によって、食欲は抑えられています。時間が経つにつれて体内のセロトニン値が下がってくると、身体は糖分や脂肪分といったエネルギー量の多い食品を求め、食べる事によってセロトニン値は上げられます。下がっていたセロトニン値が上げられる際に感じる快感を身体は覚えているので、それ以降もセロトニン値が下がりはじめるとまた上げる事を求めるようになって悪循環に陥ります。
そうした悪循環は依存症に近いものがあり、肥満への対処を難しくしていると考えられます。それに対処するのがビッグブレッグファストと言われ、朝食で1日の摂取カロリーの半分を占めるという内容になっています。
食事内容としては、牛乳、赤身の肉、チーズ、未精白の穀類、適度な脂肪分、チョコレートやキャンディなどと、かなりしっかりとしたものになり、その分、昼と夜の食事は炭水化物とタンパク質の複合的な軽いものとなります。
重要視されているのはタンパク質で、緩やかに消化される事から空腹を感じにくく、セロトニン値も下がりにくい事から、間食をしてもあまり美味しく感じないと言います。臨床試験でも体重の有効な低下が確認されているので、
食欲の制御や脂肪細胞の代謝に関わるホルモン、レプチンの量を測定すると、過体重の人は運動後に見られるレプチン値の低下が見られない事が判っています。身体が一度過体重になると、身体はそれを維持する事に努め、肥満の克服を難しくする事が確認できます。なかなか上手に痩せるという事は難しいのかもしれません。
第1039回 デザイン事始め?
2008年07月01日
遺伝子に関する研究が進むにつれて、特に遺伝子の情報解明や組み換え技術が発達してくると、特定の疾患を患い難い、身長が高くて太り難い、知能指数が高いといった人為的に操作されたスーパーベビーの誕生が噂されてしまいます。
最近、人の胚を使った遺伝子操作を試みる研究が始まった事もあって、人の都合に合わせてデザインされた赤ん坊、デザイナーベビーの誕生が現実味を帯びてきています。
研究に携わるスタッフの間では、今回の研究をあくまで幹細胞に焦点を当てたものであり、胎児に成長する可能性の無い異常胚を用いているので、デザイナーベビーに繋がる心配は無いとしていますが、一旦技術は確立されてしまうと応用が伴う事から、懸念を払拭するには至っていません。
実際、今回研究されている技術は、遺伝子組み換えを施された人の製作に利用可能な技術であり、公の議論が行われないまま開発が進められているという事自体にも専門家の間で批判が高まってきています。
しかし、その一方で今回の研究を問題視しない声もあります。遺伝子の人為的な導入による人の作り変えには、依然として多数の技術的な壁が残されており、その技術を手に入れるにはまだ程遠く、安全性すら確認されていないという指摘もあります。
今のところ身近なデザイン行為、美容整形は結果が似通ったりしています。遺伝子操作によるデザインもそれに似た状況になるのでしょうか。やはり怖い気がしてしまいます。
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