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第1127回 ウィルスの作用検証     2008年11月12日

 最近は年中という感じですが、やはり寒さが日毎に増してくると風邪の流行が気になってしまいます。多くの場合、風邪と呼ばれる病気はライノウィルスによる感染症で、咳やくしゃみ、鼻水などの不快な症状は、ライノウィルスによって作り出されると考えられてきました。

 しかし、最新の研究によるとライノウィルス自体が不快な症状を引き起こしているのではなく、ライノウィルスによって体内の遺伝子活性が変化した事が症状を引き起こしているという事が明らかにされてきました。

 35人のボランティアにライノウィルスか偽のウィルスのどちらかを注入し、感染前、感染後を通して鼻の粘膜を採取してDNAの状態を観察します。感染8時間まではDNAに大きな変化見られませんが、2日後には多数のDNAに変化が見られ、活性が異常に高まるものもあれば逆に鈍るものもある事が観察されています。

 中でも抗ウィルス蛋白、炎症性化学物質を作る遺伝子に大きな活性が見られ、最も活性が高まる抗ウィルス蛋白では通常の2倍以上もの活性が確認され、ライノウィルスの複製を妨げている事が示されています。

 そうした反応は、人体がウィルスから身を守るためのメカニズムとしてすでに知られた事ではありますが、抗ウィルス蛋白は気道炎症の症状を引き起こす一因でもあります。身体を守るための働きが風邪特有の不快な症状の原因となっていた事になります。

 今回の研究を受けて、風邪の症状を引き起こす炎症性遺伝子を特定し、異常な活性を阻害する事で風邪の治療に繋げられると考えられています。風邪の不快な症状を軽減するという意味では良さそうな感じですが、感染したウィルスに対処し、増殖を抑えるという本来の働きへの影響が少し心配ではあります。根本的な原因が判る事で正しい対処法が見付けられるという事もあるので、対症療法以外の対処方法がなかった風邪に新たな療法が確立される事を期待したいと思います。


 


 

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