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第1195回 GABAと記憶     2009年02月27日

 GABA(ガンマーアミノ酪酸)の言葉を最初に聞いたのは、発芽玄米の中に含まれる血圧を安定させる成分として話題になった事からでしょうか。その後、ストレスに対抗する成分として、カカオに多く含まれるとしてチョコレートにGABAを強化した製品などを見かける事があります。

 そのGABAに関係した事で、老化によって健康な人の脳の中でも「GABA抑制」と呼ばれる神経活動の低下が見られる事が知られています。アルツハイマー病の患者の脳内では、GABA抑制が通常ではありえないほど起きている事が判ってきています。

 GABA抑制を防ぐ薬剤を投与すると記憶障害が改善される事から、アルツハイマー病の記憶障害とGABA抑制とは密接な関係がある事が示唆されています。

 アルツハイマー病の患者の脳内では、アミロイドベータと呼ばれる特殊なタンパク質が集まった老人斑という塊ができています。若年性のアルツハイマー病では、若い頃にも関わらず老人斑が発生していて、記憶障害が起こっています。

 老化とアミロイドベータの複合的な関わりがはっきりしない事から、アルツハイマー病の研究は難しいものとなっていました。両方に共通した記憶低下という事象に焦点を当て、記憶の形成を掌る海馬での神経細胞の活動について調査が行われているうちに、老化とアミロイドベータによる記憶低下の両方においてGABA抑制が著しく進行している事が確認されました。

 GABA抑制によって神経同士の情報伝達異常が起こる事が、記憶障害に繋がる発症機構となっている可能性が考えられ、GABA抑制を制御する事で記憶障害を改善するという新たなアルツハイマー病治療への糸口が掴める事も期待できます。老化による記憶力の低下にも対応できる事でもあるので、高齢者の生活の質を大幅に向上させる事にも繋がる事でもあり、今後の展開を注目していきたい研究成果でもあります。


 



第1194回 左右大移動     2009年02月26日

 ヒラメというと高級魚という感じがします。同じような姿をした魚で、カレイというとそれほど高級魚という感じがしなくなってしまいます。学術的にはどちらも同じカレイ目にまとめられる魚で、「左ヒラメ、右カレイ」と言われるくらい違いしかないように思えますが、両魚の扱いには明確な差を感じてしまいます。

 ヒラメもカレイも生まれたばかりの頃は、普通の魚と同じように体の両側に目があります。成長の途中で変態期と呼ばれる仔魚中期になると、成熟するにつれて眼球が顔の上を移動して体の片側に偏った姿になってしまいます。

 体の左右の非対称性は外見だけに限られた事ではなく、脳をはじめとする臓器も左右非対称となっています。脳の左右非対称性は目と同様に変態期にはじまり、外見が左右非対称になった段階で脳の形も変わってしまっています。

 臓器が左右非対称である事は動物には珍しい事ではなく、私達人間も心臓や消化器官、肝臓など左右はまったく別物となっています。しかし、成長によって外見がまったく左右非対称となっているのはカレイ目以外には知られておらず、顔の上を眼球が移動するというのは驚くべき成長の変化と言えます。

 左右の非対称性はノダル経路と呼ばれる複数の遺伝子の連鎖反応が胚の左側で発生する事によって起こるとされ、ノダル経路が正確に発動しないとヒラメの目が通常とは反対側の右側に移動してしまう事になってしまいます。

 ノダル経路に関係した遺伝子は、胚の中で内臓の左右を決める際に機能を開始し、内臓の左右が決定するとその後は機能する事がありません。カレイ目の魚の中では機能を停止した遺伝子が、変態期にもう一度機能を開始し、目の移動に関与しています。

 進化の過程で獲得したと考えられるこの遺伝子の再起動によってカレイ目の魚は海の底にいながら両目で獲物を確認して捕食するという能力を得ています。

 両目で獲物を確認した後の捕食の仕方、ヒラメが泳いで小魚を捕まえるのに対し、カレイは待ち伏せをしてゴカイなどの底生生物を捕まえるという違いが、筋肉質で刺身が美味しいヒラメと、煮付けにすると柔らかく仕上がるカレイの違いに繋がっています。

 外見的な違いとしては左右の目の位置もありますが、ヒラメは体の色を変えられる事から目が平たく、カレイは体に色を変えられない事から砂に潜るため、目が飛び出した形になっています。最近は切り身としてパック詰めされて売られている事が多くなっていますが、顔を見比べてみると興味深いものがあるのかもしれません。


 



第1193回 甘い結晶     2009年02月25日

 砂糖は最も身近な調味料であり、直接的な栄養素として身体が求める味覚の一つともなっています。エネルギー源として優れている事から、疲労時には欠かせない物ともなっています。

 私的には摂取したすべて人が等しく血糖値が上昇するという意味では、薬剤と呼べる物ではないか言えない事もないのではとさえ思うのですが、薬剤としての規定に囚われる事なく、馴染み深い食品としての位置付けをしっかりと確保しているように思えてしまいます。

 現在、砂糖と呼ばれる物を得るためには、三つの手法が中心となっていて、それぞれに収穫された原材料の特性を活かした製造法が行われています。

 主流となっている砂糖の原料は良く知られたサトウキビで、沖縄などの温暖な地域を中心に栽培されています。南国の太陽をたくさん浴びて育つサトウキビは、光合成による飽和点が高いために他の植物よりも多くの糖質が得られるという特徴があります。

 サトウキビによる砂糖作りは、基本的には茎の部分を細かく砕いて汁を搾り、不純物を沈殿させて上澄み液を取り、それを煮詰めて砂糖の結晶を得ています。伝統的に行われてきた方法の中には、不純物の沈殿をより良く行うために牡蠣の殻を焼いて砕いた牡蠣灰を使う例もあります。

 サトウキビの上澄み液を煮詰めて得られた結晶は黒砂糖として使い、結晶とならなかった液体は糖蜜と呼ばれて砂糖の原料となります。糖蜜を遠心分離機にかけて粗糖と呼ばれる砂糖の素を取り出し、さらに粗糖の表面を糖蜜で洗ってから遠心分離機で結晶質を取り出し、それを温水に溶かして不純物を除いて真空状態で煮詰め、結晶化させて砂糖が得られています。

 北海道を中心に栽培されるテンサイ(サトウダイコン)から取られる砂糖、テンサイ糖は最近、身体に優しい砂糖として人気が上がってきています。テンサイを千切りにして温水に浸し、糖分を溶かし出して得られる糖液を煮詰め、ろ過して不純物を取り除いた後、真空状態で煮詰めて結晶化させて砂糖が得られています。

 カエデの木から得られるメープルシュガーは、カエデの幹に穴を開け、採取された樹液を煮詰めて濃縮させたメープルシロップをさらに煮詰めていき、結晶化させて作られています。

 砂糖はかつては大変貴重な物として扱われていましたが、工業的にトウモロコシから得られるデンプンを糖化して作るコーンシロップなどの登場もあり、今では安価な物となっています。健康的にマイナスイメージで見られる傾向もある砂糖ですが、やはり塩と同じく付き合い方の問題ではと思ってしまいます。

 日本へは奈良時代に鑑真和尚によって伝えられたとされ、中国では、それまで糖蜜の状態で使っていた物から結晶質を取り出す精糖技術が、唐の時代に西方から伝えられています。当初は輸入でしかもたらされない事から、大変な貴重品として扱われ、文献には医薬品として記載されています。今では貴重品というイメージはまったくありませんが、日常的な物だけに上手に付き合いたいものです。


 



第1192回 代替善玉     2009年02月24日

 コレステロールに善玉と悪玉がある事は広く知られています。善玉とされるコレステロールはHDLと呼ばれるコレステロールで、身体中からコレステロールを回収してくる働きを担い、悪玉とされるコレステロールはLDLと呼ばれて、身体中にコレステロールを配達する役割を担っています。

 現在のように体内にコレステロールが過剰になっている状態では、配達してくれるよりも回収してくれる方がありがたいため、善悪が割り振られて呼ばれてしまいますが、本来はどちらも身体に欠かす事のできない大切な成分となっています。

 健康維持には欠かせないものとはいっても、過剰になって弊害が生じるとなると過剰な状態を放置しておくわけにはいきません。体内の過剰なコレステロールを回収させるためにHDLを増やしておけばと思うのですが、食事療法、有酸素運動、体質改善、良いと言われている事を実践して結果を出すのは難しいものがあります。

 最近開発され、研究が進められている合成のHDLは、大きさや表面組織が天然のHDLに近く、コレステロールを回収して結合すると放さなくなるという性質を持っていると言います。

 金のナノ粒子を芯にして2層の脂質層を形成させて、HDLの主成分であるアポ蛋白で覆う事によって作られる新たな合成HDLは、優れたコレステロール薬が持つ基本的な特性を備えているとされます。

 コレステロールが慢性的に過剰になると、プラークと呼ばれる血管壁に沈着した脂肪の塊が形成されます。HDLはコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きがある事から、動脈硬化症などの血管障害を防いでくれると考えられます。新たに開発された合成HDLが、増やす事が難しいHDLの代わりになる事を期待したいと思ってしまいます。


 



第1191回 糖尿病3型?     2009年02月23日

 もともと好奇心旺盛な方なので、さまざまな情報に触れる事に喜びを感じてしまうのですが、その中でも特に食や健康、医療などの情報にはつい目が行ってしまいます。

 そんな中の一つの情報で、気になっていた研究論文の一つにアルツハイマー病や認知症などは、脳内の糖代謝が円滑に行われないために起こる、いわば第3の形の糖尿病ではないのかというものがありました。

 糖尿病は血糖値を下げる唯一のホルモンであるインシュリンを作る機能が破壊されるか、分泌量が減少したり、インシュリンに反応できなくなっているかで1型、2型という分け方が行われています。糖代謝の異状によって脳細胞が破壊される3型が存在するとなると、ただでさえ怖い糖尿病はさらに怖ろしい病気と言えます。

 先日、インシュリンによってアルツハイマー病の記憶障害を遅らせたり、予防したりする事ができるとした研究結果が報告され、インシュリンへの感受性は年齢と共に低下し、それがアルツハイマー病を発症する危険因子となりえる事や、インシュリンを効果的に使う事で脳の神経細胞を損傷から守る事ができる可能性が言われていました。

 アルツハイマー病が糖尿病の一種であるとする考え方をさらに後押しするもので、治療法や予防法の開発に繋がるものと言う事ができます。

 今回の研究ではインシュリンやインシュリンへの反応を正常化させる薬剤が、脳の重要な記憶中枢である海馬の神経細胞を、アルツハイマー病の症状発生に関与している特殊なタンパク質、アミロイドベータによる損傷から保護する事が明らかにされています。

 アミロイドベータは記憶に関わる神経細胞を攻撃したり働きを阻害する事で、記憶の低下などのアルツハイマー病の症状発生に関与しているとされます。最近行われた別の研究では、アミロイドベータは神経細胞に取り付く事で、神経細胞のインシュリン受容体を取り除き、インシュリンに反応できない状態を作り出している事が突き止められていました。

 合併症を引き起こしやすくなる事から、病気のデパートとまで言われる糖尿病ですが、最新の研究はそのデパートの品揃えをさらに増やしてくれそうな気味の悪さを感じさせてくれます。


 



第1190回 牛の血液検査     2009年02月20日

 はじめて国内でBSE(ウシ海綿状脳症)、いわゆる狂牛病の牛が発見された際、牛肉への過剰な恐怖感から街の焼肉屋が閉店に追い込まれる程の騒ぎになった事が思い出されます。その後、安全の確保から全頭検査が行われるようになり、幾度か新たな狂牛病に感染した牛が発見されましたが、いつの頃からか大きな騒ぎになる事もなくなり、全頭検査の継続の是非という話題も出てきてはいます。

 現在、狂牛病の診断は脳検体による検査しか方法がないため、牛を殺してからしか行う事ができません。検査に対する負担も決して小さいものではない事から、簡便で安価な方法の開発は常に求められてきました。最近、カナダの研究チームに報告された新たな検査方法では牛を殺す事もなく、臨床的な症状が表れる数ヶ月前には狂牛病への感染が検出できる可能性があるとされます。

 血液のDNAを検査する事によって狂牛病への感染を検出する新たな検査方法は、狂牛病に良く似た病気とされるエルク(オオジカ)のCWD(慢性消耗性疾患)を検出する事も可能と言います。

 狂牛病に感染した牛と感染していない牛、CWDに感染したエルクと感染していないエルクを分析し、感染した動物には特定のDNA配列が見られる事が突き止められています。

 感染した牛の時間的経過の分析やさまざまな牛の血統についての配列パターン、脳腫瘍や脳の外傷、別の脳に関する感染症についての配列の変化についても検証を行う事で、今後、さらに検査の精度を向上させて低価格化をはかれば、業務用の標準検査キットの開発に繋がる事が期待されます。

 昨年は狂牛病に感染した牛は尿中のタンパク質の濃度が高い傾向がある事が報告され、尿検査による狂牛病の検査方法確立の可能性も示唆されていました。今回の血液検査と併せる事でより精度の高い検査が確率される事も考えられます。人間のクロイツフェルトヤコブ病との共通性も言われている事から、人への応用も期待されてはいますが、とにかく食の安全を確保するための技術でもあるので、いち早く実現化する事を願いたいと思います。


 



第1189回 マヨネーズ好き     2009年02月19日

 マヨネーズを常に携帯し、何にでもかけて使うといういわゆる「マヨラー」の方々ほどではありませんが、マヨネーズは大好きな調味料で比較的多めに使っている方ではないかと思います。

 血液検査を行うと、ほとんどの数値は正常値にあるのですが、血中コレステロール値だけが基準値を超えた値を示すので、マヨネーズは気を付けた方が良いのではという事を言われてしまいます。

 マヨネーズは卵、油、酢、塩で作られています。その中で卵、油はコレステロール値を、塩は血圧の数値を悪化させてしまうと考えられる事から、マヨネーズのイメージを悪くしてしまうと言えなく、またカロリーも決して低いとは言えません。

 特にマヨネーズの主原料ともいえる卵はコレステロールの含有量が多い食材として知られる事から、マヨネーズの使い過ぎは血中コレステロール値を高めてしまうと思われがちです。

 コレステロールは体内では余分な物で、健康を害するイメージが定着していますが、本来は細胞やホルモンを作る材料となる物で、健康を維持する上では欠かす事のできないものです。

 そのため、コレステロールの多くは体内で合成されていて、健康な人の体内では一日に約1〜1.5gほどが作られていると言われます。それに対し食事から摂取されている量は0.3〜0.5g程度と全体の量からは少なく、肝臓のコレステロール量を基準に一定量が保たれるようになっています。

 マヨネーズはエマルジョンと呼ばれる水と油がうまく混ざり合った状態になっています。油と酢、本来であればどれだけかき混ぜても混ざり合わない二つの素材を結び付けているのは卵に含まれるレシチンで、マヨネーズは卵に豊富に含まれるレシチンの界面活性作用によって油と酢が混ざり合った状態になっています。レシチンによってマヨネーズが成り立っていると言えるほどマヨネーズにレシチンは重要な成分となっていますが、そのレシチンには血中のコレステロール値を低くする働きがある事が知られています。

 また、魚の油に多く含まれる事で知られるDHA(ドコサヘキサエン酸)が卵には多く、DHAもコレステロール値を低く抑えてくれる成分として知られ、マヨネーズに使われる植物油に多く含まれるオレイン酸は血液中のコレステロールのうち、悪玉と呼ばれている低比重のコレステロール、LDLコレステロールの比率を低くしてくれる働きを持っています。

 そうしたさまざまな成分の働きによって、一日15g(大さじ一杯)程度であればマヨネーズはコレステロール値に影響を与えない調味料と言われるのですが、コレステロールのイメージを回避するためか、含まれるコレステロールの量を低く抑えたり、まったく含まなくした製品や、体内のコレステロール排出を助ける植物性ステロールを含ませる事でコレステロール値を改善してくれる製品が出回ると、余計に普通のマヨネーズのコレステロールへの影響を疑ってしまうという皮肉な結果を生んでいるようにも思えてしまいます。


 



第1188回 海と塩     2009年02月18日

 塩は料理の味付けとなるだけでなく、生命の維持に欠かせない物です。岩塩がほとんど採れない日本では、海水から作る海洋塩が主流となっていて、海に面した領地を持たない武田信玄に対し、上杉謙信が塩を贈った事は「敵に塩を贈る」という伝説的なエピソードとして語り伝えられ、いかに塩が重要な物であるかを知らせてくれています。

 しかし、いつの頃からか塩は悪者として見られるようになってしまいました。漬物や魚の干物など塩分の摂取量が多かった日本人の食生活を、塩分摂取量を控える事で高血圧対策が一定の効果を上げたと見られる事が元になっていると言えます。

 かつて30gを軽く超えるとまで言われた塩分摂取を、20gにまで制限する事で高血圧症の患者を減少させる事ができた事から、塩分=高血圧という考え方が生まれ、最近では10g以下と言われてきていますが、20gを10gにしてもそれほど効果は上がっていないという見方もあります。

 塩は平成9年まで専売制がしかれていて、自由に製造・売買する事ができませんでした。明治38年(1905年)に日露戦争の戦費調達のため、塩に課税する案が出されます。課税に反対する側の意見として塩の専売制が主張され、塩を専売化する事で上がる利益を増税で得ようとした税収に当てるという意図から専売制が法制化されています。

 塩が専売化された事で塩の価格が高騰し、世論の非難を浴びてしまう事となってしまいますが、大正7年には収益を上げる目的から価格の安定を目的としたものへと専売制の口実が切り替えられ、塩の専売制は確立されたものへとなっていきます。

 昭和46年以降、専売公社は日本中に出回るほとんどすべての塩をイオン交換膜法によって得られた精製塩としました。イオン交換膜によって塩を得る事は非常に効率がよく、得られる塩は極度に精製された純度の高い塩化ナトリウムで、海水に含まれるミネラル分はほとんど残されていません。

 本来、海水はミネラル分が豊富で、海水から作られる海洋塩にはカリウム、カルシウム、マグネシウムなどの血圧を下げる効果を持つ成分が含まれます。精製塩にはそうした成分が含まれない事から、血圧を上げてしまう物として扱われるようになりました。

 健康維持に役立つとして「にがり」が販売されていますが、もともと海洋塩に含まれていた物である事を考えると少々複雑なものを感じます。精製の過程で抜き取られた物を加えてはじめて生命の源、海へと繋がるという事でしょうか。


 



第1187回 砂糖の効果     2009年02月17日

 摂取したすべて、またはほとんどの人に等しく身体的な変化を生じさせる事ができる物と言えば、それは薬ではないかと思います。その意味から砂糖は摂取したすべての人の血糖値を上げる事ができるので、薬の範疇に入れられてもおかしくないと考えてしまいます。

 砂糖の効果と言うと、そうした血糖値の上昇や疲労回復などを思ってしまいますが、それ以外の部分、特に料理の分野で必要となる効果については、「浸透圧」と「親水性」ではないかと思います。

 浸透圧は水分が多い素材から水分を抜き取る働きの事で、身近な例としては梅酒をはじめとした果実酒を作る際、砂糖を入れないと果実から水分がうまく抜け出て来ない事から、果実の香りやエキス分がいつまでも果実に閉じ込められたままとなってしまいます。果実酒の場合は浸透圧を徐々に高めていくために、すぐに溶ける粉砂糖ではなく氷砂糖が使われています。

 また煮物を作る際に、最初から砂糖をたくさん入れてしまうと上手にできないのは、浸透圧が高まって素材の水分が抜き取られてしまう事によります。

 親水性は水に馴染みやすくする効果の事で、素材に水分をすばやく染み込ませる働きを言います。生活の知恵として干しシイタケを早く戻したい時、水ではなく砂糖水を使うというものがありますが、砂糖の親水性を利用した例と言えます。

 煮物でだしの旨味を素材に上手に染み込ませたい場合、少量の砂糖を加える事で水分と共に旨味が染み込みやすくなるという働きもあります。

 浸透圧と親水性、相反する効果のような感じがしないでもないですが、上手に使う事で美味しさを引き立てる事ができます。塩を制する者は料理を制すると言われますが、砂糖も同じように制しておかないと料理は美味しくできないものだと難しさを感じてしまいます。


 



第1186回 テトリスの効用     2009年02月16日

 PTSD(心的外傷後ストレス障害)の存在は広く認識されるようになり、衝撃的な出来事の後のケアの重要性が言われるようになってきています。心に関わる部分でもあるので、非常に難しいケアとなる事が考えられますが、テレビゲームが役立つ事が新しい研究によって示されてきています。

 世界的に知られたゲームに、カラフルなさまざまな形のブロックを隙間なく並べていくテトリスがあります。英国で行われた予備研究では、健康的な被験者に衝撃的な映像を見せ、その後でテトリスをしてもらうと、しなかったグループと比べてその後、一週間に起こる衝撃的な映像を突然鮮明に思い出すフラッシュバックの回数が少ない事が確認されています。

 トラウマとなる体験の直後、テトリスのカラフルなブロックを認識しながら動かし、ゲームを進めていくうちに脳内ではゲームの映像とトラウマとなった映像との競合が生じている可能性が考えられ、テトリスによって感覚情報に使用される脳の容量が奪われ、トラウマとなる体験が一定の期間内に感覚的記憶に定着される事を妨げる事で、後から起こるフラッシュバックの回数を減らしているとされます。

 フラッシュバックはトラウマとなる体験の生の感覚像で、記憶の中で過度に描写されているため、それを軽減する事がPTSDのケアを行う上では重要になります。

 今回の研究は純粋な科学実験であり、今回の結果によって治療の可能性に結び付いていくのはまだ先の事と説明されていますが、出来事が起きた状況や起こった意味については、テトリスを行っていても記憶は残されるため、体験を理解する能力を減退させる事なく、フラッシュバックに繋がる記憶だけを減じる事ができるとして、今後のPTSDの症状緩和へ期待が持たれています。テレビゲームは時間つぶしのように言われてしまいますが、意外な効果もあるものだと驚かされてしまいます。


 



第1185回 島国のスパイス     2009年02月13日

 ワサビというと日本を代表する香辛料ではないかと思います。学名にジャポニカと付いているあたりもその事を示していて、寿司や刺身といった日本料理に欠かせない物である事もワサビが日本固有の香辛料である事を表しているように思えます。

 日本でワサビと呼ばれる物には、沢ワサビ、畑ワサビ、ワサビダイコン、ユリワサビ、アイヌワサビなどがあり、一般的にワサビと言った場合は沢ワサビか畑ワサビの事を指しています。

 沢ワサビと畑ワサビは栽培される環境の違いによって呼び方が変えてあるだけで、植物学的な分類上はまったく同じ植物となっています。食用としては沢ワサビと畑ワサビに加えて、ワサビダイコンが粉ワサビの原料として使われ、ユリワサビ、アイヌワサビはワサビ呼ばれながら食用にはされない別の植物です。

 ワサビダイコンも風味からワサビと呼ばれているだけで実際は別の種類の植物となっていて、セイヨウワサビとも呼ばれ、ホースラディッシュ、レフォール、ホースラディッシュの直訳でウマダイコンなどの別名を持っています。

 セイヨウワサビの名前が示すように明治時代に食用として導入されたワサビダイコンは、もともとは東ヨーロッパ原産でイギリスではローストビーフの薬味として欠かせない物となっています。肉を食べる食文化を持ちながら、あまりイギリスではニンニクが食べられていない理由の一つはワサビダイコンの普及があると考える事もできます。

 日本固有と思っていたワサビですが、実はイギリスでも使われていて、今、ワサビとして最も使われている原料は東ヨーロッパ出身という事になります。ワサビの本格的な辛味は、ワサビをすり下ろしてから10分程度とされ、強烈な辛さが他の香辛料と比べて後をひかないという潔さも日本人に好まれた所以かもしれません。


 



第1184回 増量と炊き分け     2009年02月12日

 前回はおじやと雑炊という微妙な違いに触れましたが、今回はもう少し判りやすい違いの米料理、雑炊とおかゆの違いに触れてみます。どちらも似た感じの仕上がりですが、明確な違いが存在しています。

 一般的に両米料理の違いとして雑炊には具材が入り、おかゆには何も入っていないというものがあります。しかし、何も入っていないおかゆを「白粥」と呼んでいる事から、具材の存在が違いではない事は明らかです。

 雑炊は古くは「増水」と書かれ、水で増量した物という意味合いの物とされていました。野菜や魚介類などの具材が入れられるようになると、米と一緒に他の具材を炊くという事から「雑炊」の文字が当てられるようになっています。

 雑炊と呼ばれるようになった当初は、貴重な米を水だけでなく他の具材によっても増量するという意味から「増炊」の文字も使われていました。

 おかゆは普通に炊くご飯よりも水分量を多めにして炊いた軟らかいご飯とされ、炊湯(かしぎゆ)、濃湯(こゆ)、食湯(けゆ)、加湯(かゆ)などから転じた言葉と言われ、「おかゆをすする」という表現が存在する事から、お湯が関係する事を感じさせてくれます。

 古い時代にはご飯にあたる「飯(いい)」と「粥」は別個の米の料理法として扱われていました。当時の米は蒸して調理されていたので、煮て作る粥とは区別が明確であったためと言えます。さらに当時は粥は固さによって細かく分けられ、固粥、汁粥、重湯の3種類に区別されて、その中の固粥が今日のご飯になっています。

 広辞苑で雑炊の定義を調べると、「大根、ねぎなど具を刻み味付けして炊いた粥」とされていて、雑炊とおかゆは同じ物という認識になりそうですが、雑炊とおかゆでは作り方に明らかな違いがあります。

 雑炊は一度炊いたご飯を野菜や魚介類などの具材と共にだし汁でさっと煮た物で、おかゆはご飯を炊く際、水分量を多くして軟らかく炊いた物。おかゆは米から炊いて初めておかゆとなる事は、五分がゆ、七分がゆ、全がゆなどの水分量の違いによる炊き分けがある事からも明白かもしれません。


 



第1183回 おじやと雑炊     2009年02月10日

 スペイン語で深い鍋やそれを使う煮込み料理を「オジャ」と呼びます。日本を訪れたスペイン人がオジャを作る様子を見て、鍋で具材と米を煮る料理に共通点を感じ、それ以降、その料理を「おじや」と呼ぶようになりましたという話がありますが、実は真っ赤な偽りで単なる俗説と言われます。

 オジャとおじやの発音が近く、鍋で煮込むという調理法に共通点を見出して作られた話だと思われます。元々「おじや」の「お」は接頭語であり、本体は「じや」の方であり、煮込まれる際の擬音からきていると考えられています。

 おじやとよく似た料理に「雑炊」があります。どちらも炊いたご飯をさまざまな具材を煮込んだ出し汁に加えたもので、同じ物とする説もあれば、何らかの違いに言及する事もあります。

 具材を煮込んだ出し汁にご飯を加えておじや、または雑炊を作りますが、ご飯を加える際、ざるを使って流水にさらすなどしてご飯の粘りを除いて加えた物が雑炊、そのまま加えてご飯の粘りが全体にとろみを付けるのがおじやという分け方があります。

 味噌で味を付けた物がおじやでそれ以外が雑炊という分け方もあり、根拠に薄い感じがしてしまいますが、古い文献にはおじやと並んで「おみそ」や「いれみそ」の記述が見られる事から、おじやの味付けには味噌というのが主流だった事が伺えます。

 鍋物の後、残った出し汁にご飯を加えて柔らかく煮込みます。それがおじやで、雑炊は専用のだしを取り、具材とご飯を煮込む料理で、残り物の再利用か最初からそれだけを目的として作られた料理かの違いがおじやと雑炊を分けるという意見もあります。

 そうなると雑炊の方が高級な感じがするのですが、おじやとは宮中の女官が雑炊が煮える音から呼び始めた言葉で、雑炊よりも高貴な呼び名という意見もあります。もしそれが正しいとするとおじやと雑炊は呼び名の違いだけという事になり、本来は同一の物となります。

 さまざまな意見やおじや、雑炊と呼ばれる料理の出来上がりの状態から判断すると、雑炊は比較的米粒の形状がしっかりと残り、おじやは粒の状態が崩れ気味という傾向があります。おじやと雑炊、ほぼ同一の物でありながら微妙な違いとして米粒の状態があるのかもしれません。


 



第1182回 安価健康法     2009年02月09日

 世界的な原料高騰が家計を直撃した後、今度は世界同時株安という事で経済的にはかなり暗い話題がが続いているのではないでしょうか。今回の恐慌の震源地であり、医療コストが非常に高額に上る事でも知られる米国では、景気の低迷によって引き起こされるさまざまな犠牲の中に、健康が含まれてはいけないとして低コストで出来る健康維持の方法が紹介されていました。

 今回紹介されていたのは、ボストンにあるダナ・ファーバー癌研究所の専門化によるもので、多額の費用をかけなくても健康な生活を維持でき、ガン発症のリスクを軽減できると言います。特別目新しい方法という訳でもないので、すぐに実践してみるのはいかがでしょうか。

 まずは体を動かす事で、早足で歩くなどの軽度からエアロビクスなどの中程度の有酸素運動を行う事。心臓に良いばかりか、ガンを克服した後の再発リスクを軽減させるとされ、いくつかのガンのリスクを軽減させる共通した方法として、運動をして肥満を防ぐ事が上げられています。エレベーターの代わりに階段を使うなど、簡単な生活の工夫も有効と考えられます。

 食生活も当然の事ながら大切とされ、加工された糖分、肉類、カロリーの摂取を控え、果物や野菜類を多く摂って健康的な体重を維持する事も推奨されています。

 多くの野菜や果物の有用な栄養素は、皮などの色の濃い部分に集まっているので、そうした部分を積極的に活用する事、野菜や果物が備えている健康成分を有効に活用する事などが言われています。

 喫煙やアルコールの摂取を控える事も言われており、特にそれらは金銭面でも節約になってより効果的に生活の質を向上させるともされています。

 全体的にこれまで繰り返し言われてきた事のようにも思えますが、健康に関する基本的な部分はゆるがないという事でしょうか。日常のちょっとした工夫から健康を作り上げていく事は、実践が難しくないだけにお薦めの健康法となりえるのかもしれません。


 



第1181回 板場の板     2009年02月06日

 料理を始めようとしたとき、最初に取り出す物といえばまな板かもしれません。まな板は食材を切るという加工を施す際に欠かせない物であり、使わずに料理を行おうとするとかなりの不便を感じる事から、料理には欠かせない物である事が理解できます。

 まな板の歴史は古く、弥生時代には使われていたと言います。古い時代のまな板は現在の物よりも厚みがあり、脚も付いているという特徴があります。当時は座った姿勢で調理を行っていたため、ある程度の高さを確保する事と、動物や魚の骨といった硬い物を切るために体重をかけて切っていた事が伺えます。

 まな板の語源はいくつかの説がありますが、「ま」は「真」の字が当てられ、「本当の、優れた」という意味を持ち、「な」には「魚」や「菜」などのおかずを意味する文字が当てられて優れた食材を加工する板であるという事からきているとされます。漢字では「俎板」と書きますが、「俎」には生贄の意味があり、生贄を捧げる供物台として硬い骨を刃物で断ち切るために必要とされた物である事を指しています。日本料理の料理人の事を「板前」と呼びますが、まな板の前に立つ人というところから来ている言葉とされます。

 料理をする事を「台所に立つ」という言い方をする事がありますが、台所の立式化が進んでからはまな板の脚がなくなって一枚の板となり、動物の肉が食べられなってからは骨のような硬い物を切る必要がなくなった事や、刃物の製造技術も向上して少ない力で物が切れるようになってからはまな板の厚みも薄くなっています。

 まな板は機能上、刃物を受け止める硬さが必要とされますが、硬過ぎては刃先を傷めてしまう事や物を切る衝撃を吸収できない事から、思わぬ疲労感を感じさせる物となってしまいます。また、表面に刃物や食材による傷が付く事も多く、微細な傷に溜まる水分や汚れによって雑菌が繁殖する事も考えられます。

 そのためまな板となる素材には、硬過ぎず、軟らか過ぎず、抗菌性があり、食材に余計なにおいを付けてしまわない物が求められ、弾力性がある柳やイチョウの木が多く使われてきました。最近では丈夫で耐熱性があり、柔軟性もあるポリプロピレンや合成ゴムなどのまな板も普及しています。

 ポリプロピレンや合成ゴムには抗菌性のある成分を配合できる事から、天然の抗菌作用を備えた木材よりも強い抗菌性を持たせる事ができ、そうした点を踏まえた上で1973年に厚生労働省から「なるべくプラスティック製のまな板を使うように」というマニュアルが出されてからは、ポリプロピレン製の白いまな板が家庭、飲食店を問わず急速に普及しています。

 木製のまな板は管理が難しいという反面、木の細胞が水を含んで膨張する事から傷の自己修復能力があり、切る際の衝撃を適度に受け止めて刃先を守り、疲労を軽減するといった優れた面を持っています。ポリプロピレンのまな板の方が手軽ではあるのですが、いずれはと思ってしまうものがあります。


 



第1180回 乾式溶解式塩分採取     2009年02月05日

 塩を制する者は料理を制すると言われるくらい、私達の生活にとって塩は重要な物となっています。私達日本人が塩と言った場合、ほとんど海水から作られた海洋塩を思い浮かべ、鉱床から産出される岩塩を思い浮かべる事は稀ですが、世界的に見ると少数派で、世界の塩の消費量の3分の2は岩塩を原料として作られています。

 岩塩は古いものでは5億年前、新しいものでも200万年前くらいに通説となっているオクセニウスの理論によると、海水がせき止められて水分が蒸発する事によって作られたと考えられています。しかし、オクセニウスの理論は岩塩にその頃の海に棲息していた生物の化石が含まれない事や、岩塩層の厚さが数百メートルになる事があり、海の深さからは考えられないとして、懐疑的に見る意見もあります。

 また、海水起源説に決定的に欠けるものとしてマグネシウムの存在があります。塩に含まれる成分として塩化マグネシウム、硫化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムといったにがり成分があります。それらは海洋塩特有のもので、岩塩には含まれる事は稀とされ、岩塩が海水から作られたのではないとする根拠の一つとなっています。

 岩塩は産地や産出の状態によって多量のミネラル分を含む物がありますが、食用とされる事はなく、食用とされる岩塩のミネラル含有量はマグネシウムに限らず低いものとされます。

 地表付近にあるものから深い地層に堆積して隠れているもの、地殻変動で岩塩の層が柱状に突出した岩塩ドームと呼ばれるものなど、岩塩が産出される環境はさまざまですが、岩塩の採掘方法は大きく二つに分けられます。

 通常、岩塩といって思い浮かぶ採掘方法は「乾式採掘」と呼ばれるもので、岩塩を掘り出す形で採掘しています。意外にも乾式採掘で産出される岩塩のほとんどは食用とされる事はなく、大きな塊などで売られている食用の乾式採掘岩塩は稀な存在となってます。

 世界中で食用にされる岩塩のほとんどは「溶解採掘」と呼ばれる採掘方法で産出されており、岩塩の層に水を注入して得られる濃い塩水を釜で炊くなどして水分を飛ばし、使いやすい粉末の状態にしています。溶解採掘の場合、釜炊きで製塩を行うと岩塩としての自然に近い成分を残す事も考えられますが、効率よくイオン交換膜などで得られた物はほとんど精製塩と変わらない物となってしまいます。

 乾式採掘による岩塩は、精製塩や海洋塩と比べると硬くて解けにくいという性質があり、そのせいで塩味を感じにくい傾向があります。そのため気を付けていないと使い過ぎるかのうせいはありますが、塩味の立ち上がりが緩やかである事から、表面に直接味付けを施す料理には向いているとも言えます。特徴を理解して上手に付き合うと、塩を制する事に繋がっていくのかもしれません。


 



第1179回 小麦の夢     2009年02月04日

 1CW、HRW、ASWと言われて何の事か判る人は、かなりその筋の情報に詳しい方ではないでしょうか。これからは、私達が日常的に接しているパンや麺類の原料として使われている小麦の品種の事を指しています。

 一見、同じに見える小麦にもいくつかの種類があり、分類法もさまざまに存在しています。栽培している季節を基準に見ると、秋に種を蒔いて冬に成長させ、翌年の夏に収穫するタイプを「冬小麦」、春に蒔いて秋に収穫するタイプを「春小麦」と呼んで分けています。

 粒の色でも分けられていて、外皮が褐色系の色合いの物を「赤小麦」、黄色系の色を「白小麦」と呼んでいます。一番実用的でよく使用されているのが粒の硬さで分ける分類法で、粒が硬いタイプを「硬質小麦」、軟らかい粒のタイプを「軟質小麦」、その中間にあって普通程度の硬さのタイプを「中間質小麦」と呼んで分けています。

 一般的に小麦の硬さは、中に含まれるタンパク質の量で決まるとされ、硬質小麦はタンパク質を多く含み、軟質小麦はタンパク質の含有量が少なく、中間質小麦は中程度のタンパク質を含むという傾向があります。

 小麦粉の性質は含まれるタンパク質の量で決まるので、私達になじみの深い小麦粉の分類、「強力粉」「薄力粉」「中力粉」といった分け方は小麦の硬さによって決められ、強力粉には硬質小麦、薄力粉には軟質小麦、中力粉には中間質小麦が使われている事になります。

 冒頭の謎の文字はそれらを示す品種名でもあり、特にHRWなどはハード(硬質小麦)、レッド(赤小麦)、ウィンター(冬小麦)の頭文字を取ったもので、パンの製造に使われる代表的な銘柄となっています。

 ASWは「オーストラリアンスタンダードホワイト」という中間質小麦の事で、麺類に最適の小麦とされます。オーストラリア産なのにうどんやそうめん用というと、どことなく不似合いな感じがしてしまいますが、日本向けの輸出を意識して品種改良を重ねられた品種で、麺類の原料としては総合的な面からASWを超える品種は現れていないとされます。

 世界的な原料価格の高騰とオーストラリアの記録的な旱魃で、日本ではうどんの原料確保が危ぶまれた事がありますが、うどんの原価が上がってそれまでの価格では提供できないという以上に、麺の質を守る事の難しさも危惧されていました。その際、うどんの名産地、讃岐の名前を持つ「さぬきの夢2000」という国産小麦が注目を集めました。

 「さぬきの夢2000」は食感に優れた「西海173号」に色調が良い「中国142号」を交配して、香川県が8年の歳月をかけて開発した讃岐うどん専用の新品種で、甘味のある味わいと麺としての優れた食感を持つとされます。タンパク質の含有量が少ない事から、麺打ちをこれまで以上に丁寧に行う必要がある事や、麺としての質感が時と共に失われやすい事から作り置きができないといった欠点はありますが、今後、さらに改良が進めば国産の小麦がうどん作りの中心になる可能性は大いにある事と期待が持てます。やはりうどんやそうめんには横文字ではなく国産の小麦と勝手な事を思ってしまいます。


 



第1178回 冬の恐怖     2009年02月03日

 冬は大好きな季節ですが、それでも苦手なものはいくつかあります。特に冬に限った事ではないのですが、冬場に頻発する静電気は苦手なものの一つとなっています。自称、帯電体質の私としては、冬場のドアノブは恐怖の対象とすらなるほどです。

 静電気とは、プラスとマイナスの電気配列で成り立っている物体の電気配列が摩擦などの運動によってバランスが崩され、電気的に片方の極性に偏った状態を指し、静電気を帯びた状態にある場合、必ずマイナスかプラスのどちらかに帯電しています。

 帯電している(静電気を帯びている)状態の物体が反対の極性に帯電している、もしくは電気が流れやすい物体に触れた際、一気に電子が飛び散る状態、放電が起こります。ドアノブに触れる瞬間、バチッと火花が飛ぶのはこの放電の事で、その際静電気が発生したと言いますが、正確には静電気はそれ以前に発生して帯電していた事になります。

 服の裏地にポリエステルなどが使われていると、歩いているうちに静電気が発生してまとわりついてくる事がありますが、歩く事でいたるところが摩擦して静電気が発生し、人はプラスに帯電しやすい事に対し、ポリエステルはマイナスに帯電しやすいという帯電極性を持つ事から互いに引き合う事で不快な状態が発生しています。

 帯電体質の存在やメカニズムについては、実は科学的には解明されていません。血液がドロドロの人や身体のどこかに疾患がある場合などは帯電体質となりやすいと言われますが、あくまでも俗説のレベルを出ていないというのが実情です。

 一つ考えられるとすれば、乾燥している状態では皮膚の絶縁性が高まるので、静電気を放電しにくく、電気が流れやすい物と接触する際、まとめて一点から電子が放出されるので、より放電が激しくなり、皮膚が水分を多く含んでいる事で電気が流れやすい状態にあると、小刻みに広い面積から放電が行われるので、まとまった大きな放電が起こらないという可能性はありえます。

 冬場は乾燥しやすく、衣類も重ね着をしている事から摩擦も多くなってしまいます。こまめに放電させておくと良いという事で、金属に頻繁に触れておくという対策もありますが、冷たくて触りたくない季節柄でもあります。自然現象とはいえなかなかうまく付き合えないものです。


 



第1177回 組み換えの基準     2009年02月02日

 以前、テレビを見ていて、遺伝子組み換えの大豆を使用せずに豆腐作りを行っているという豆腐屋のご主人が、遺伝子組み換えではない大豆を使っているという根拠を尋ねられ、使っている大豆の箱にそう書かれているからと答えている場面を見て驚ろかされた事があります。

 確かに小規模な豆腐店のレベルでは、使っている大豆の遺伝子を解析して人為的な操作が行われているかどうかを鑑定する事は、非常に困難な事だと思います。それだけに箱の表示が重要になってくるのではないでしょうか。

 現在、遺伝子組み換えではないという表示は、遺伝子組み換え作物の混入が5%以下なら表示する事ができます。この5%が意味するものは、分別生産流通が適切に行われているという前提の上で、意図しない遺伝子組み換え作物の混入が起こるかもしれない事を指しているとされます。

 流通の過程では農産物の区別が難しく、洗浄や選別、保管などの際、充分な注意を行っていても思わぬ混入が起こる可能性は考えられる事です。

 5%の猶予が設けられている事で、5%までは混入させて増量しても大丈夫と考える事もありえますが、分別生産流通管理を行わず、結果的に遺伝子組み換え作物の混入率が5%未満であった場合や、意図的に5%未満の量を混入させた場合は「遺伝子組み換えではない」という表示は許されない事になっています。

 さまざまな偽装が話題となってきた中、偽装に関する罰則が厳しくなるというニュースが報道されていました。遺伝子組み換え作物が珍しいものでもなくなってきた中、クローンによる畜肉の生産という話も出てきています。情報の正確さときちんとした選択肢が与えられる事を切に願いたいと思っています。


 



 

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