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第1216回 注目首回り     2009年03月31日

 肥満はさまざまな弊害を生じてしまいますが、特に心臓疾患に関しては、大きなリスクを伴う事が知られています。メタボリックシンドロームへの意識の高まりによって、腹部の周囲のサイズを気にする場面は増えてきましたが、それ以外にも注意しておくべき部分がある事が最近の研究で判ってきています。

 長年、心血管疾患のリスク評価は、内臓脂肪の測定が利用されてきました。さまざまなデータを検証した結果、首の回りの脂肪にもコレステロール値や肥満などの心臓障害因子との間に密接な関連性がある事が判明しています。

 上半身の皮下脂肪組織と内臓脂肪組織が、それぞれ独立して心血管代謝リスクに寄与していると考えられる事から、これまで標準的に行われてきた肥満評価方法である腹部回りの測定、BMI(ボディマスインデックス、肥満に関する指数)の判定に併せ、リスク評価の一環として首回りの肥満を利用できると考えられます。

 従来のリスク評価に加え、新たな判定要素が加わる事は、より精度を高めるという点で評価できる事とされながら、基本的に身体のどの部位であろうと脂肪が多い状態がある事は心臓に良くない事は明白であり、これまでの腹部以外の部位でも脂肪組織量を評価する事で同様のリスク判定が行えるのではという指摘もありますが、測定しやすく変化が判りやすいという点では首回りは良い部位とも言えます。

 上半身の肥満は心血管疾患のリスクに結び付く事は以前から言われていたので、今回の研究は客観的に上半身の肥満リスクの定量化を可能にする事が考えられ、今後の展開が期待されます。BMIが25を超えると脂肪が付いている部位とは関係なく冠動脈のリスクは高まると言われるので、そうなる前に首回りに注意しなければならないのかもしれません。


 



第1215回 ワインの新効果     2009年03月30日

 胸焼けというと誰にでも経験のある事ではないでしょうか。多くの場合、胃の不快感として認識されますが、実際の症状の多くは胃の上、食道で起こっています。胃酸が食道へ逆流する事で食道の粘膜が傷付けられ、炎症を起こしてしまう事でさまざまな不快感が生じている事から、かつては逆流性食道炎と呼ばれていましたが、炎症を伴わない事もあるので胃食道逆流症と呼ばれるようになってきています。

 食道の粘膜は胃粘膜と違い粘液によって保護されていないために、胃液が逆流してしまうと表面が溶かされてしまい食道の動きが悪くなったり、胸焼け、物を飲み込む事が困難になったりします。症状が酷い場合、生じた痛みが狭心症と間違えられたり、喘息のような咳に悩まされる事もあります。

 胃食道逆流症を繰り返していると、食道の粘膜が胃や腸の粘膜のような構造を持った上皮に置き換わってしまう事があります。発見者の名前を採って「バレット食道」と呼ばれる状態ですが、バレット食道になると食道ガン、特に食道腺ガンを引き起こすリスクが40倍近くも高まるとされ、胸焼けといえどもほったらかしにはできない事が判ります。

 毎日適度な量のワインを飲用する事で、心臓病のリスクが低減される事はすでに広く知られていますが、バレット食道のリスクも低減させる事が最近の研究で判ってきています。

 約1000人の男女を対象に調査を実施し、1日に1杯以上のワインを愛飲する人はバレット食道の発症率が56%ほど低い事という結果が得られています。ワインは赤白の区別はなく、ビールやその他の蒸留酒ではリスクの低下が見られていません。ワインの摂取量に関しては、摂取量が増えたからといって比例的にリスクが低下する傾向は見られていません。

 他の研究でもワインを日常的に飲用する事で腺ガンの発症リスクを減らす事や、食道炎の発症リスクが低減されるという結果が示されています。ワインに含まれるポリフェノールの抗酸化作用や、ワインを楽しむというライフスタイルが良いように思えます。難しい事ではないので、心臓への効果も含め生活に取り入れると良いのかもしれません。


 



第1214回 塩分とタンパク質     2009年03月27日

 公共施設などの片隅に自動で血圧を測定してくれる機械が置かれているのを見かける事があり、思わず計ってしまったりもします。血圧は常にさまざまな要因で変動しているものなので、少しでも落ち着かせようという意図からか静かな音楽と優しそうな女性のアナウンスが流れるのですが、毎回それがかえっておかしくて笑いそうになってしまいます。

 計測を終えると結果をレシートのような紙にプリントアウトしてくれるのですが、笑いを堪えながら計測された血圧にどの程度の信憑性があるのだろうと思ってしまいながら、いつも通りの正常値に満足しています。

 血圧というと塩分をすぐに連想してしまいます。最近の研究でナトリウムによる水分の取り込みや神経細胞への影響が解明され、塩分が血圧に影響を与える可能性が説明できるようにはなってきていますが、塩分と血圧の関係を明確に示す根拠は曖昧にされてきていた感があります。

 高血圧の原因として塩分が言われるようになったのは、高血圧の専門家、ダール博士が日本で行った調査が根拠とされ、当時1日14gの塩分を摂取していた南日本での高血圧の発生率が20%程度であるのに対し、その倍、1日28gの塩分を摂取している東北地方では40%近い発生率であった事が元にされています。

 世界的に広く知られたダール博士の報告ですが、日本での調査を終えて米国へ帰国した数年後、ダール博士自らの実験によって高血圧と塩分の関係が否定された事はあまり知られていません。

 塩分を与えると血圧が上がるネズミを集め、何代にも渡って交配を行う事で塩分によって血圧が上昇する血統ができます。逆に塩分を与えても血圧が上昇しないネズミを集めて交配を重ねる事で、塩分を摂取しても血圧が上昇しない血統を作る事ができます。

 それぞれの血統のネズミを使い、さまざまな塩分濃度の食餌を与えて観察を行うと、どのグループにもあまり変化は見られず、標準的な塩分濃度の食餌を行うグループよりも血圧が高めの低塩分濃度グループなども見られるようになってきます。

 その事から血圧を上げているのは塩分ではなく、別の要因にある事が考えられます。世界的にヘルシーな内容として知られる和食ですが、和食だけを食べ続けたグループと洋食だけを食べ続けたグループの血圧を比較すると、和食だけを食べていたグループの方が血圧が高めになる傾向が見られます。

 和食の塩分を減らし、洋食の塩分を多めにしても両グループにあまり大きな変化は見られません。和食、洋食の違いを見ていくと、タンパク質の摂取量と質に大きな違いがある事が判り、洋食の方が体内での吸収率、利用率が高い動物性タンパク質の構成が多くなっています。

 かつて交配によって高い比率で脳卒中を起こす研究用のラットを日本から米国の研究機関へ寄贈したところ、米国では脳卒中を起こさなくなった事があり、餌の違いを分析したところタンパク質の含有量と質に大きな違いがあった事がレポートされています。

 またダール博士によって研究が行われた東北地方と南日本の食の違いを見ていくと、卵の消費に大きな違いがあるとも言われます。南日本で多く消費されるという卵は、良質のタンパク源である事は広く知られています。良質なタンパク質を摂取して血管の柔軟性を確保する事、それが血圧をより良い状態に保つ一つの方策なのかもしれません。


 



第1213回 ダイエット再認識     2009年03月26日

 人それぞれに体質やライフスタイルが異なる事もあり、すべての人に同じような効果があるダイエット方法の開発はなかなか難しいように思えます。売れ筋商品のランキングなどを見ていると、かなり高い比率でダイエット関連の商品が含まれる事から、常に関心の高い分野でもある事は容易に理解できます。

 常にダイエット方法には、何らかの理論的な裏付けが備えられています。そうした理論的な部分から自分に当てはまるものを見つけ出し、実践する事からダイエットは始まると思うのですが、それを否定するかのようなレポートが先日報告されていました。

 ダイエット方法に関しては、理論に基いて効果を上げるための計画と脂質、タンパク質、炭水化物といった必要な栄養素に特化した手法が採られていますが、今回のレポートではダイエットに関しては手法よりもカロリー摂取を減らすという単純な方法の方が効果を上げるかもしれないという事が示唆されています。

 高タンパク低脂肪や基礎代謝の向上など、ダイエットには多くの手法があります。しかし、どの手法が優れているかについては科学的な根拠が得られてはおらず、幾通りかのダイエットプログラムを検証した結果として、どのプログラムも突出して優れたものはなく、心臓などの循環器系によい食事を心がけ、食事量と摂取カロリーに気を付ける事で充分という結果が得られていました。

 摂取カロリーと消費カロリーの収支のバランスが崩れている事が肥満の原因という単純な考え方からは、今回の結果を受け入れる事ができますが、実際はそれほど単純ではないと思えてしまいます。摂取カロリーを減らす事で一時的に体重を減らす事は可能ですが、その後、すぐに身体は低いカロリーでも大丈夫なように基礎代謝を低下させてしまい、元の状態を維持するように努めます。

 そのため今回の研究でもリバウンドが多く見られているらしく、ダイエットによって減量した後の難しさが示されたとも言え、一時的に体重を減少させるだけでなく、体質改善などによってその後の維持を考えたダイエットプログラムが必要という事を明確にした結果になります。ダイエットの難しさを再認識させられただけというところでしょうか。


 



第1212回 鍼治療の応用     2009年03月25日

 猫を撫でていて皮膚の下にある筋肉の構造から、人間とある程度共通したものを感じて、それならばと人間のつぼにあたる部分を押さえてやった事があります。感想を聞かせてもらう訳にはいきませんが、気持ち良さそうにしている事から、猫にもつぼが存在するのだと興味深く見ていました。

 動物のつぼを刺激する治療法、特に鍼治療の歴史は古く、金属製の鍼が作られるようになった紀元前400年頃にはすでに行われていたとされ、それ以前にも動物の骨や竹、陶器などで作られた鍼が使われていたという記録が残されています。

 馬や牛といった家畜が中心となって施術が行われていたようで、鍼治療は行われている事への理解や効果を信じる事が重要とする説があり、それによると施療が理解できない動物へは効果がないという意見もありますが、充分な実績を上げてきているとも言われます。

 鍼治療は長い時間をかけて研究されてきた施術部位=経穴(つぼ)に鍼を刺す事で身体に生理的刺激を与えて効果を得るというもので、身体の構造に共通点があれば経穴の存在にも共通した部分がある事が考えられます。

 そうした考えを元に人間の経穴を動物に変換したマップ作りが進められていると言います。蹄など人間にはない部位もあるので作業は簡単な事ではないとされますが、これまでに関節炎、呼吸器疾患、免疫疾患などで効果を上げ、ネズミや鳥などの小動物への応用も広がってきています。

 長い歴史に裏打ちされ、人間では高い実績を上げてきている鍼治療だけに、動物への応用には期待してしまうものがあります。最初は鍼に抵抗を示す動物もいるそうですが、施療の2、3回目にはほとんどの場合、喜んで治療を受けるようになると言います。ペットのより良い生活の確保に繋がる事を期待したいと思います。


 



第1211回 パッチに注意     2009年03月24日

 以前、MRIの検査を受ける際、身に着けているアクセサリー類を全部外すように言われた事があります。日頃からまったく外さない銀製の物もあり、銀であれば磁力線には影響されない事などを思ったりしたのですが、後から考えると銀であっても導電性がある事からそれなりの危険性がある事が予想されました。

 FDA(米国食品医薬品局)の報告によると、MRIの検査を受診する際、皮膚に直接貼り付けて使用する皮膚パッチ剤を貼ったまま受けた事で熱傷を引き起こすというケースが発生していると警告を発しています。

 皮膚パッチ剤は最近、禁煙の補助剤として使われるニコチンパッチ剤や、痛みをコントロールする疼痛管理剤など利用例が増えてきています。一見薄い1枚のシールのように見えるパッチ剤は幾層かに分かれた構造になっていて、裏打ち層にあたる部分にアルミニウムの薄膜が含まれている物があります。

 現在、約60種類のパッチ剤が販売され、そのうちの4分の1の製品でアルミニウムをはじめとした金属が含まれていると言います。そうした金属に導電性がある場合、MRIの磁力線を受けて熱が発生し、熱傷を引き起こす原因となり得る事が考えられます。

 電子レンジで弁当などを温める際、おかずを小分けしたアルミカップが入っていたり、カップのコーヒーを直接温める際にカップに彩色用の金箔が使われていたりすると、火花が発生して怖い思いをする事があります。MRIとパッチ剤に含まれる金属は、そこまで強力ではないにせよ同じ関係にあると言えます。

 現状、パッチ剤には警告表示がないものが多く、アクセサリー類と違って危険性の認識が低い状態にあると言えます。目立たないように作られているという事も、MRIの検査を受診する際に見落としがちになる原因にもなるので、自己管理による予防策が必要となります。今のところ熱傷はひどい日焼け程度のものしか報告されていないそうですが、誰にでも起こり得る事なので充分な注意が必要なのかもしれません。


 



第1210回 糖質雑感(3)     2009年03月23日

 先日、オーストラリアの研究チームによって、人の遺伝子は砂糖の摂取を約2週間にわたって記憶し、恒久的に不健康な食生活が続くと、DNAが書き換えられてしまう可能性がレポートされていました。

 オーストラリアの心臓病や糖尿病に関する研究機関の研究チームによる今回のレポートは、砂糖を摂取する事でその後2週間にわたって糖尿病や心臓疾患か身体体を防御するための遺伝子制御が停止することも発見しています。

 DNAは環境に応じて書き換えられ、環境に適応する力を持っている事を考えると納得のいく研究結果なのですが、少々疑問に思ってしまうのは砂糖を摂取する事で、その後2週間にわたって糖尿病や心臓疾患から身体を防御するための遺伝子制御が停止してしまうという事です。

 そうであるのならば良質のエネルギー源を摂取した事によって、疾患を引き起こす確立が高められてしまうという事になり、一時的であっても生存に有利な状態にある個体が生存に関するマイナス要因を持つ事となってしまいます。生存により適した個体、遺伝子が残されるという自然淘汰の原則にも反するように思えます。

 今日、砂糖が悪者のように言われてしまう背景には、長い人類の歴史の中で砂糖を充分に摂取するといった事がなく、砂糖によって上げられた血糖値への耐性が確保されていない事や、エネルギー源として使用される事で脂質の燃焼を妨げてしまう事などがあります。

 身体が求める一番の栄養である糖分、それを摂取する事でDNAが書き換えられ、疾患への耐性を低下させてしまうのではなく、何か別なメカニズムと意図の下、重要な働きに繋がっているのではないか。今回のレポートにはそうした問いが強く残されてしまいます。今後の研究を待ちたいと思います。


 



第1209回 糖質雑感(2)     2009年03月20日

 日本に最初に砂糖を伝えたのは、通説では鑑真和尚とされ、754年に日本へ渡来した際の積荷に「石蜜」「蔗糖」が含まれていた事が記載されています。石蜜は現在の氷砂糖の事を指し、蔗糖は黒砂糖の事とされていて、正倉院に残された資料では、それらは薬品として扱われいます。

 その後、日本では製糖技術が未発達だった事もあって、砂糖は非常に貴重な存在となります。砂糖を惜しげもなく使っているお菓子は、輸入品として入ってくる「南蛮菓子」などに限られ、南蛮菓子を最初に食べたのは、文献上では1550年のポルトガルの貿易船から献上された南蛮菓子を食べた平戸領主、松浦隆信だったとされます。

 それから遅れる事、19年。1569年に織田信長が砂糖の塊ともいえるお菓子、「金平糖」を食べている事が「耶蘇会士日本通信」に記されています。豪放なイメージからお酒を飲む場面が描かれる事もある信長ですが、実はほとんど飲酒は行わなかったそうで、意外と甘党だったのかもしれません。

 かなり近代になるまで日本では砂糖は非常に貴重な物で、その事を示すように古い料理書には砂糖を使う記載がそれほど多くはありません。そんな中、例外的な地域が存在し、サトウキビを産出する琉球を支配下に置いた薩摩藩では、他の地域では見られない砂糖の使い方が行われています。

 江戸時代、天明5年(1785年)に出版された「鯛百珍料理秘密箱」には、さまざまな鯛料理が登場しますが、その中に「これはこの国に限られた事で、他の国にはほとんどみられない」という注釈付きで「さつま砂糖漬鯛」なる料理が登場しています。

 作り方としては、鯛を三枚におろして皮を剥き、生干しにしてから3mm程度の厚さに切り、2日ほど味噌に漬けます。味噌を拭き取って砂糖をまぶし、壷にに漬け込むとされています。砂糖には食品を保存する力があるので、「風さえ入らなければいつまでももつ。必要な時に取り出して、軽く洗って何にでも使える」として、汁物の具や酢の物、酒の肴などに良いとされています。

 砂糖の調達を輸入に頼っていた時代、注釈が示しているように製糖を行う技術と原料の栽培ができた薩摩藩ならではの事といえます。当時、鯛も高価な魚だった事から、どれだけの人がこの料理を食べる事ができたかは不明ですが、砂糖を惜しげもなく料理に使う事がいかに珍しい事であったのかを示す資料と言え、現代の食がいかに贅沢になっているのかと言えるものではないかと思えてしまいます。


 
 



第1208回 糖質雑感(1)     2009年03月18日

 糖分というと最近は、どちらかと言えば悪者視されつつあるかもしれません。しかし、本来は直接的なエネルギー源として、身体が最も必要とする物の一つだという事ができます。

 自然の中で糖分を求めようとした場合、花の蜜や果実、一部の樹液などがその供給源と言えます。花が蜜を持つのは、それを狙った動物や昆虫に受粉させてもらうためで、種の保存という極めて重要な作業の一部を分担してもらう対価だという事ができます。

 果物の甘味も動物を呼び寄せるためという事ができ、果物を食べてもらう事で果物の中にある種を運搬してもらい、適度な分布を保つという意味を持っています。

 中には食べられる事を前提にした種もあり、動物の胃酸にさらされる事で硬い外殻を溶かしてもらい、発芽率が向上するという仕組みを備えた種もあります。

 知らず知らずのうちにそうした植物の思惑にはまってしまうほど、糖分とは魅力溢れるものだという事ができます。運動に必要となるエネルギーの約60%は糖分から、30%は脂肪から得ています。それだけ重要で直接的なエネルギー源である事から、動物は糖分を求めてしまいます。

 そんな糖分が製糖技術の発達によって身の回りに溢れてしまった事が、本来ならば非常にありがたがられるはずの糖分が悪者視される元になっていると言えます。また糖分をエネルギーに換える際には、ビタミンB1が不可欠となっています。糖分が溢れ、ビタミンB1の摂取が不足がちという食生活も糖分の過剰摂取をより深刻なものにしているのかもしれません。


 
 



第1207回 ピロリ菌の長い旅     2009年03月17日

 ピロリ菌は広く知られた胃の中という特殊な環境下に生息する細菌で、胃潰瘍や胃ガンの原因となるという悪玉としての面と、アレルギー症状を抑えるという善玉としての面を持つ事から、胃の中に棲みついている事について共生なのか寄生なのかという論議の的でもあります。

 感染力が強く、飲み水などからでも経口感染する事から、成人には高い確率で感染者がいるとされ、感染してしまうと専用の抗生物質を用いるしか駆除できないとされています。

 そんなピロリ菌の地理的分布と系統を比較していくと、人が集団で移動してきた事を反映する可能性が高いとされてきていました。

 世界中の51の民族に由来する769ものピロリ菌の株について、遺伝子の塩基配列を分析したところ、5種類の祖先と呼べる塩基配列とそれらを含む6つの集団が確認されています。それに地域的な遺伝的差異を重ねてみると、対応する人の遺伝的差異と相関している事が示されると言います。

 人類はアフリカで発生したと考えられ、比較的新しい時代にアフリカから移住したとされています。その事はアフリカにおいて遺伝的多様性が高く、アフリカから離れるにつれて多様性が下がる傾向がある事が示しているともされてきました。

 ピロリ菌に関しても同じ傾向がある事が報告され、ピロリ菌が地理的移動を開始した時期と、人がアフリカから各地へ移動始めた時期は符合する事も確認されています。

 住み慣れたアフリカを離れ、各地へと移動していく旅の仲間にはピロリ菌も含まれていたという事になります。それだけ古い付き合いだと考えると、世界的な広い感染が納得できる気がします。善玉なのか悪玉なのか。付き合いの長さを考えると、つい贔屓目で見てしまいそうになってしまいます。


 
 



第1206回 ナノの疑問     2009年03月16日

 秘かに気になっている存在に「ナノバクテリア」があります。ナノバクテリアはその名の通りナノレベルの大きさの極めて小さい生命体と言われ、あまりの小ささに生命体であるかどうかについての論議も行われているほどです。

 ナノバクテリアに関する論争は、1988年にフィンランドの生化学者、カヤンデル博士によって偶然発見された謎の微粒子に端を発しています。最新の設備を使い、充分な注意を払って培養を行っても、哺乳類細胞の培養組織の一部が死滅してしまうという現象があり、原因不明とされてきました。

 その原因調査の一環として培養された細胞を電子顕微鏡で観察していたところ謎の微粒子が発見され、大きさこそ標準的なバクテリアの100分の1と驚異的に小さいながら、バクテリアに似ていて死にかけた細胞の中で成長しているように見えたため、ナノバクテリアと名付けて論文を発表するに至っています。

 ナノバクテリアの大きさ、20〜200ナノメートルというサイズは、生命を維持するために必要となる構成要素を収める事ができないとされ、通常のバクテリアであれば死滅してしまうような条件下でも死滅しないという驚くほどの耐性を示す事から、生命体ではないのではという意見も出てきています。

 常識を覆す大きさの生命体かどうかという議論と共に興味深いのは、ナノバクテリアが病原体となっている可能性があるという事です。電子顕微鏡によるナノバクテリアの観察の結果、ナノバクテリアの微粒子の周囲にはリン酸カルシウムの殻が形成される事が確認され、カルシウム化合物を成分とした腎結石の形成への関与が疑われました。

 その後、腎結石に限らずいくつかの結石の中心部でナノバクテリアの粒子が確認され、卵巣ガン患者の組織標本にあった石灰化した細片からもナノバクテリアの存在が確認されています。結石や卵巣ガン以外でも石灰化を伴う症状の中からは広くナノバクテリアが見付かると言われます。

 病原体の可能性が出てくると急に怖い存在に思えてくるのですが、さらに怖い事にナノバクテリアはそのナノサイズ大きさ故に世界中の大気中に拡散していると言われます。

 病原性については、病巣から見付かるからといって原因と考えるのは短絡的過ぎで、大気中にあるほどありふれた物だから病巣でも見付かる、もしくは病巣に集まりやすい傾向があるとした病原性に否定的な意見もあります。今後、徐々に正体が判っていく事になるとは思うのですが、早く正体を知りたいというのは好奇心の範疇からでしょうか。


 
 



第1205回 軽い羊羹     2009年03月13日

 かるかんというと鹿児島名産のお菓子です。母親の実家が鹿児島だったせいもあって、子供の頃から比較的身近な存在だったように思います。ふわふわとした質感と自然薯を使った独特の風味が気に入っていて、鹿児島のお菓子という事を特に意識する事なく食べていた記憶があります。

 後に知った事ですが、私が食べていたのは中に餡が入った丸い形の物で、正式なかるかんではなくかるかん饅頭と呼ばれる物でした。本来のかるかんの形状は長細い羊羹のような形状で、かるかんの由来は諸説がありますが、その中には「軽い羊羹」から名付けられたというものもあります。

 かるかんの歴史は、以前は島津斉彬が江戸から招いた菓子職人によって作られたとされていましたが、元禄年間に記された島津家20代当主綱貴の50歳の祝いの席に用いられたという記載が残されており、さらに古い歴史を持つ物とされています。77万石の大名の50歳という節目に行われた祝いの席で用いられている事から、格式の高いお菓子であった事も伺えます。

 元禄の記述以降、かるかんに関する記載は平和な時代が続き、町人文化が花開く江戸時代の中期に多く出版された料理書の中に見る事ができます。

 文政年間に4編に渡って出版された「料理早指南」初編にいくつかのかるかんに関する記載があり、その中の「芋かるかん」は粗く挽いた米をくちなしで色を付けた水に浸し、長芋を摩り下ろしたに砂糖と共に加えて蒸篭(せいろ)で蒸し上げ、冷ましてから切って食べるという今日のかるかんとほとんど同じ物と言う事ができます。

 同じかるかんの呼び名が用いられている物でも、「かるかんむし」は米の粉に砂糖と塩を加えて味付けをし、赤味噌とうどん粉を加えてよく混ぜ、二つに割った柚子の皮に入れて蒸し上げるという物があります。

 材料に自然薯を使っていない事や、出来上がりの状態、味などを考えると、かなりかるかんからかけ離れた物と言う事ができ、かるかんの語源が軽い羊羹にあるという事を裏付けるものではないかと思ってしまいます。

 私が親しんでいたかるかん饅頭については、かるかんが初めての記載されてから150年後、弘化3年(1846年)に28代当主斉彬が鹿児島で食べていたという記録が残されているので、それなりに古い歴史を持つ物という事ができます。何気なく食べていた純白のお菓子には、しっかりと伝統と格式が備わっていたという事に食の世界の奥深さを感じてしまいます。


 



第1204回 漢方再認識     2009年03月12日

 漢方薬というと新薬と比べ身体に優しく、その分、効き目は穏やかというイメージがあります。薬を飲まなければならない場合、できれば漢方薬でと思ってしまうのは、そうしたイメージによる部分も大きいと思います。

 そんな漢方薬ですが、最近、さまざまな研究で漢方薬の効能について新たな評価が行われるというレポートを見かけます。有効成分のシキミ酸が含まれるという事で、インフルエンザの治療薬、タミフルと同じ効能を持つとして「麻黄湯」が話題になっていたのも記憶に新しいところです。

 子供の夜泣きなどに良いとされる漢方薬、「抑肝散」は、幻覚や妄想などのアルツハイマー病の周辺で起こる症状にも処方される事があります。先日、その抑肝散に症状の原因として考えられている脳の神経細胞死を抑える効果がある事が、明らかにされ、報告されていました。

 細胞内のタンパク質の形を整える働きを持つ小胞体の遺伝子で、遺伝性のアルツハイマー病患者に変異が多いとされる「プレセニリン1(PS1)」と呼ばれる遺伝子があります。PS1が変異した小胞体は、神経伝達に重要なカルシウムの濃度変化に対応する事ができずに機能が低下してしまい、不完全なタンパク質が蓄積する事で細胞死が起きると考えられます。

 PS1を変異させた実験用の神経細胞を使い、小胞体内のカルシウム濃度を変化させる薬剤を用いる事で、遺伝性のアルツハイマー病と同じような状況を作り出します。神経細胞の約60%が死滅した中、抑肝散を与える事で神経細胞の死滅率を約25%に減少させる事に成功しています。

 抑肝散の主な処方は、子供の夜泣きや疳(かん)の虫などを抑えるために使われてきましたが、小胞体に関する事は知られていませんでした。患者の多くを占める老年性アルツハイマー病も小胞体の機能低下が関係している可能性があり、今回の結果と同様の仕組みで周辺症状を抑えている可能性が考えられる事から、新たな治療薬となりえる事も考えられます。漢方薬の新たな可能性として、歓迎できる報告ではないでしょうか。


 



第1203回 発酵?茶     2009年03月11日

 以前、知り合いの家の放置された茶畑で茶摘をした事があります。手入れがまったくされていないので、あまり良い茶葉にはならないだろうとは思いつつ、完全無農薬という事で午前中の暇な時間を使って、自分で試飲して楽しむ程度の量を収穫しました。

 製茶が難しいように思えたのですが、製茶工場へ持ち込むほどの量ではない事や製茶工場では先入先出しになっていて、持ち込んだ茶葉と同じ量の製茶された茶葉が渡されるだけと聞かされたので、せっかくの無農薬という事もあり、自分で製茶する事にしました。

 摘み取った茶葉を家へ持ち帰り、涼しい場所に袋ごとおいて午後の用事を済ませるために出かけ、夜の暇な時間を使ってと思っていたところ、帰宅してみると茶葉はすでに傷んでいます。茶葉自身が持つ酵素の働きによって急速に発酵が進んだようでした。

 よく知られた事ですが、茶葉には酵素が多く含まれ、紅茶は茶葉を発酵させて作られています。摘み取った茶葉に温風を当ててしおれさせ、水分量を調整して柔らかい揉みやすい状態にします。

 揉みやすくなった茶葉を揉んで茶汁を出しながら茶葉の細胞壁を破壊し、酵素が働きやすい状態にします。茶葉の塊をほぐしながら発酵を進め、充分に発酵した後、熱風を当てて酵素の働きを止めながら乾燥させて紅茶の茶葉は作られます。簡単に言ってしまうと紅茶は、そうした工程を経て作り出され、発酵させる事で独特の風味が加わります。

 ここで一つ疑問になるのは、茶葉を発酵させてはいますが、発酵があくまでも茶葉に含まれる酵素の力で行われている事です。発酵とは、狭義の意味では酵母などの微生物を使って、嫌気条件下でアルコール、有機酸、二酸化炭素などを生成させる加工法で、広義においても微生物の力を借りて加工するものと定義されています。

 微生物の力を借りて加工される茶葉といえば、プーアル茶に代表される中国茶があります。加工法が近い事から半紅茶という表現される事のあるウーロン茶も、紅茶と同じく茶葉に含まれる酵素のみで発酵されています。

 紅茶もウーロン茶も微生物の力を借りず、自らの力を使って発酵と呼ばれる変化を遂げています。厳密には発酵とは呼べない変化でも、その過程や結果が等しく、慣習的にも発酵によって作られる発酵茶と呼ばれている事から、難しく考えずに良い面だけを利用するというあたりが、いかにも発酵と人との関わりを象徴しているようにも思えます。


 



第1202回 感染源史     2009年03月10日

 インフルエンザの歴史は古く、人類が誕生して集団生活を始めるようになった頃からという言い方もできるのではないでしょうか。古代エジプトの文献に症状に関する記載が登場し、その後もさまざまな地域、さまざまな時代の中でインフルエンザの症状と思えるものが記述されています。

 インフルエンザという言葉が生まれたのは16世紀のイタリアで、当時は感染症という概念がなかった事から、何らかの原因で汚れてしまった空気、「ミアゾマ(瘴気)」が原因で発生する症状と考えられ、教会の鐘の音には空気を浄化する力があるとされていた事から、インフルエンザの防止の意味でも教会の鐘が鳴らされていました。

 冬がくると流行が始まり、春を迎える頃には終息する事から、占星術師たちの間では天体の運行や寒気を伴った季節風の影響で発生すると考えられ、影響を意味するイタリア語からインフルエンザの名前が使われるようになっています。

 症状が知られ、それを示す言葉が生まれてもインフルエンザの正体が捉えられるまでには、長い時間がかかっています。1876年、コッホによって炭疽菌が発見されると、微生物によって引き起こされる病気、感染症という概念が広く浸透するようになります。

 1892年には、北里柴三郎によってインフルエンザ患者の気道から病原体らしきものが分離され、インフルエンザ菌と名付けられていますが、コッホが病原菌に関して定めたコッホの原則に基付いた証明をする事ができず、インフルエンザの原因発見には至っていません。

 当時は病気の原因となる細菌は知られていてもウイルス自体の認知がされておらず、インフルエンザ菌の発見と同じ年にイワノフスキーによってウイルスの存在が初めて報告されるまでは、概念的にもウィルスという病原体は認識されていませんでした。

 その後、人類はスペイン風邪というインフルエンザの世界的大流行を経験しますが、一般的な実験用の動物に感染させる事ができないため、コッホの原則を満たす事ができず、せっかく発見されていたウィルスも病原体としては認定されはいません。ウィルスと細菌という感染源への認識の曖昧さが影響していると言えますが、今日でもインフルエンザに抗生物質が処方されるのは、この頃からの伝統といえるのかもしれません。

 ウィルスがインフルエンザの原因である事の確証は、1933年になって初めてインフルエンザ患者から分離されたウィルスがフェレットの喉に感染して同様の症状を引き起こした事で得られています。

 インフルエンザは、古い時代には突然高熱を発して身体の節々に痛みを生じ、さまざまな体調不良を伴う事から、悪霊の仕業とされてきた例が見られます。肉眼では見る事など到底できない小さなウィルスが原因であると確認されるまでに、分離されてからずいぶんと時間がかかったように見えますが、ウィルスと過ごしてきた時間を思うと、わずかなことにも思えてしまいます。


 



第1201回 暗号解読     2009年03月09日

 昔から風邪の特効薬を作る事ができればノーベル賞がもらえると言われてきました。それだけ開発が難しいという事なのだと想像できますが、風邪の特効薬開発に繋がるかもしれない重要な研究成果が発表されています。

 人に感染する風邪の原因というとライノウィルスが知られていますが、今回、そのライノウィルス99種類の遺伝暗号が解読されていました。

 20年以上にわたって診察室で鼻腔から採取されたウィルスの標本を集め、それらの標本からゲノム配列の解読が行われています。これまでいくつかのライノウィルスの標本からゲノム配列を決定が行われていましたが、今回、新たに80種類が加えられ、それぞれの関係を示す系統図も作製されています。

 多くのウィルスがそうであるようにライノウィルスも進化を続けています。2005年に採取された標本の一部を1970年に採取したものと比較したところ、多数の突然変異が認められたと言います。

 ライノウィルスには変化するための強い力が備わっていますが、大規模に変化する事はできないと考えられます。突然変異によって強い毒性を持つ事は、自分のすみかとなる細胞を破壊してしまう事になるため、毒性を弱めながら細胞へ侵入するための窓を絞り込んでいると思われます。

 今回の研究で判った事として、ライノウィルスは同じ人に感染した2つの異なる株が遺伝物質を交換している事が明らかにされ、ライノウィルスに対するワクチンの開発が不可能とされてきた理由の一つが解明されています。

 ライノウィルスへの感染による風邪の特効薬を作る事を不可能としていた理由のもう一つに、ライノウィルスが鼻腔の表面を覆う粘膜を侵すという事があり、粘膜を保護するワクチンの開発は極めて困難とされます。

 今回の遺伝暗号の解読でライノウィルスへの理解が進み、多くのライノウィルスの弱点に対応できるワクチンの開発に繋がる事が期待できます。年中風邪をひいている人を見かける昨今、風邪問題の解決を待ちたいと思います。


 



第1200回 受動注意     2009年03月06日

 先日、タバコの自動販売機でタバコを買っている人を見掛けました。今までとは違い、タスポカードを使って喫煙が行える年齢である事を機械に認識させている様子で、はじめて見る光景を興味深く見てしまいました。

 タバコの害はさまざまな場面で言われる事があります。中でも喫煙を行わない人にまで影響を与えてしまう受動喫煙は、タバコの害の一つとして広く知られています。

 受動喫煙の害が言われる場合、ほとんどは子供に対しての影響が取り沙汰されますが、最近の研究で高齢者の認知症発症リスクを高めてしまう事が示唆されてきています。

 50歳以上の喫煙を行わない人、4800人以上のデータを収集し、タバコの煙にさらされるとその後約25時間にわたって唾液中にニコチンから生成される物質、コチニンの濃度を測定。併せて脳機能と認知力低下を評価する神経心理学的検査を行った結果、コチニン濃度に比例して認知機能の低下を示す傾向が見られたと言います。

 検査では、記憶、数学、言語能力を判定するもので、検査結果の下位10%を認知機能が低下しているという判断基準を用いています。結果としてコチニン濃度が最も高いグループでは他のグループと比較して、認知機能の低下が44%も高い事が判明しています。

 今回の研究結果から認知機能と受動喫煙との間には関連があり、認知機能の低下は必ずしも認知症の前兆とは限らないが、そうである事が多いとして、受動喫煙にさらされる事が多いほど認知症発症リスクが高まる事が示された事になります。

 すでに喫煙と認知症の関連を立証する研究が発表されているので、今回の研究結果はある程度予想されるものではありますが、高齢者の生活の質を大幅に低下させる認知症のリスク回避の一つとして、意識しておくべきポイントを示してくれるものだと評価すべきではないでしょうか。


 



第1199回 紅白     2009年03月05日

 白酒に関する話題をもう一つ。白酒と書くと自然に「しろざけ」と読んでしまいます。白酒に関しては、実は別な読み方もあり、それぞれ意味が異なったものとなっています。

 しろざけと読んだ場合、ひな祭りでお馴染みの甘味のある白い酒を指します。ひな祭りに白酒が結び付けられたのはそれほど古い事ではなく、文献上確認できるのは江戸時代に書かれた「江戸名所図会」の中の「鎌倉町豊島屋酒店、白酒を商う図」に描かれているひな祭りの時期に白酒を求め、夜明けから店の前に並びが出来ているという記述が最も古いひな祭りと白酒が関連したものとされます。

 一説には豊島屋の初代、十右衛門の夢枕にお雛様が現れ、白酒の美味しい作り方を伝授されたという事で、かなり古くから三月に邪気払いの意味で飲まれていた白酒と、同じ時期に行われてきたひな祭りが結び付くきっかけとなったと言われています。

 白酒と書いて、「しろき」と読む事もあり、しろきとは神事に用いられる酒の事を指しています。しろきは米から作った原酒を濾して造った酒で、しろきに久佐木(くさぎ)という植物の根を焼いた灰を加えた黒い酒、黒酒(くろき)と対の物として神酒として扱われています。

 白酒と黒酒の歴史も古く、平安時代中期に醍醐天皇の命で編纂された国家の神事などに関する細かい規定をまとめた「延喜式」には、詳細な酒造法が記されています。

 白酒と書いて、「はくしゅ」と読んだ場合、どぶろくなどの炊いた米に麹や酒粕などに残る酵母を加えて発酵させた酒を指すものとなり、濁り酒を指す言葉となります。

 どぶろくは最も素朴な酒とも言われ、その歴史は古く、一説には中国の揚子江、黄河流域の稲作文化の伝播と共に伝えられたとも言われ、そうなると紀元前3500年頃にまで遡る事となります。

 3世紀後半に書かれた「魏志倭人伝」には「倭人は酒を嗜む」という記述があり、すでに酒作りが行われ、広く飲酒が習慣化されていた事を示すものとなっています。

 日本語ではなくなってしまいますが、「白酒」を「ぱいちゅう」と読む場合、中国の穀物から作られる蒸留酒を指すものとなります。

 同じ蒸留酒であるという事から、日本の焼酎も中国では白酒と呼ぶ事もあり、中国のレストランではメニューに白ワインの事を白酒と記載している事もありますが、ぱいちゅうは焼酎や白ワインとは異なるはるかに高いアルコール度数を誇る蒸留酒を指しています。

 ぱいちゅうの白とは透明の事と言われ、同じ作り方で蒸留しない酒は、茶色を呈している事から黄酒(ほあんちゅう)と呼ばれます。かなりアルコール度数が高く、本来は50度もあったとされますが、近年、アルコール度が下がってきていて、低度酒と呼ばれる38度くらいの物が主流となってきています。

 アルコール度が高めの高度酒と呼ばれる物でも最近は45度程度とされますが、ウィスキーが42度、ブランデーが45度程度というアルコール度数という事を考えると、かなり高めという事ができます。

 白酒が桃の節句に取り入れられた理由の一つに、桃の花の赤に対して白酒の白が紅白の対を成すものであり、縁起の良いものとなっていたという事があります。最近の研究で、アルコールは血栓を溶かす働きがあり、適度な飲酒は血栓による脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ働きがある事が判ってきています。血液の赤、酒の白、紅白は演技のよいものなのかもしれません。


 



第1198回 ノンアルコール     2009年03月04日

 前回、白酒と甘酒について触れました。白酒と甘酒は別物なのですが、意外なほど混同されている事が多く、実際にひな祭り用として甘酒が売られている場面を見かけてしまいます。

 白酒はリキュールにあたり、アルコール含んだ飲料ですが、製法上、甘酒はアルコールを含んでいません。甘酒は蒸したり炊いたりしたご飯、もしくはお粥に米麹を混ぜ、一昼夜55度程度の温度に保温して作ります。麹の力で米に含まれたデンプンが糖化されて甘味のある飲み物となっていますが、アルコール発酵は行われていないのでアルコール度数は1%未満となっています。

 また甘酒は、昼に仕込んでおけば翌朝にはできている事から、一晩で出来るという事で「一夜酒」とも呼ばれて昔から手作り飲み物として親しまれ、子供が飲んでも大丈夫な事からひな祭りに取り入れられた事も考える事ができます。

 同じ甘酒と呼ばれる飲み物に酒粕に砂糖、水、しょうがなどを加えて作られた物があります。こちらにはアルコールが含まれるので、寒い冬の日、甘酒で体が温まるというのはこの作り方の甘酒の事かもしれません。

 意外に思える事ですが、寒い日に温まる印象が強い甘酒ですが、俳句の世界では夏の季語とされています。甘酒は米に含まれているデンプンを糖化させている事から消化吸収が良く、滋養強壮に役立つ事から江戸時代には冷やして夏に栄養ドリンクとして夏バテ防止に売られていた事が元になっています。

 世界中にさまざまな酒造法が考案され、独自の発達を遂げていますが、酒と銘々されていながらアルコールをほとんど含まない甘酒は稀な存在なのかもしれません。日本の食文化の豊かさを感じてしまいます。


 



第1197回 桃の節句     2009年03月03日

 年間を通してさまざまな行事がありますが、その中でひな祭りは最も雅やかな感じがしてしまいます。二十四節気の一つ、雨水の日(2月の中旬)にひな人形を飾ると良縁に恵まれるとされ、この日からひな祭りがはじまる気がします。

 ひな人形を片付ける時期については、早ければ早いほど良いと言われますが、啓蟄の日(3月の上旬)に片付けるのが正式とされ、その日に片付ける事が難しい場合、人形を後ろ向きにする事で片付けた事と同様の意味を持つとされます。雨水から啓蟄までの間が、ひな祭りの春を先取りしたような雰囲気を味わう事ができる期間という事ができます。

 ひな祭りの食というと最初に思い浮かぶのは菱餅でしょうか。菱餅はもともとは正月の鏡餅だったとされ、昔は春分の日から1ヶ月間が正月として祝われていた事から、鏡開きと重なる春の節句に餅を縁起物とする習慣が根付いたと考えられます。

 菱餅の3色、緑、白、桃色は、それぞれ春の木々の芽吹き、雪の大地、生命を意味しているとされ、自然のエネルギーを授かるという大変ありがたいものとなっています。

 菱餅と並んで用意される物に「ひなあられ」があります。あられは餅を乾燥させて小さく砕き、焼いたもので、ひな祭りの最後の行事に菱餅をあられにして食べたものが由来となっています。最近では菱餅とひなあられが並んで飾られている場面を見かける事もありますが、本来は飾られていた菱餅からひなあられが作られる事が正しい流れとなります。

 蛤(はまぐり)も欠かせない物の一つとされますが、食材としてではなく、普段は捨てられる方の殻に意味があります。蛤の殻は、2枚を離すと他の殻とは微妙に形状が異なり、同じものでなければ絶対に合わない事から良縁のシンボルとされ、貝合せという優雅な遊びの素となっています。

 ひな祭りの唄にも登場する白酒は、ひな祭りが盛んでない頃から桃の節句に飲まれていたとも言われ、白酒に桃の花びらを浸した物、または白酒その物を「桃花酒」と呼び、自然の力を体内に取り入れる事で厄払いを行うという意味があるとされます。

 白酒は甘酒と混同される事がよくありますが、実際はまったくの別物で、蒸したもち米にみりんや米麹、焼酎などを混ぜて仕込み、一ヶ月ほどの時間をかけて熟成させたものをすりつぶして作られています。現代の酒税法上はリキュール類に分類され、ひな祭りだからといって子供が飲む事は法律違反と言えます。アルコール度数も10%近くあり、ビールよりも高い度数である事から右大臣が赤い顔になっていた事も納得がいきます。

 それぞれの地域で微妙に異なった風習がありますが、ひな祭りを境に季節は春へと移り変わっていく感じがします。厳しい冬を乗り越え、生命力に溢れた春を迎える。そんな喜びがひな祭りの華やかさにあるように思えて、大好きな冬という季節の終わりを告げるものではありますが、ひな祭りの飾り付けを見かけると楽しいものを感じてしまいます。


 



第1196回 新マーカー発見     2009年03月02日

 身体のどこかに腫瘍ができると、血液や排泄物などにタンパク質や酵素、ホルモンなどの特殊な物質が増える事があります。それらが特定の腫瘍ができた時だけに見られるものであれば、それらを検出する事で腫瘍の存在を知る事ができるようになります。それが腫瘍マーカーと呼ばれるものです。

 腫瘍マーカーは腫瘍の種類や発症部位に特有の物質やそうでない物もあり、腫瘍マーカーを検出して腫瘍の存在や種類、進行具合を判断するものが腫瘍マーカー検査です。

 腫瘍マーカーの数値が高い状態でも、腫瘍が確実に存在するとは言えない事もあり、腫瘍マーカー検査だけでは腫瘍が良性か悪性かを判断する事も難しいとされ、できている臓器を特定する事もできないとされます。

 そのため、より独自性の高い物質を発見できれば、腫瘍マーカー検査の精度が上がる事が考えられます。先日、新たな腫瘍マーカーとして血清イオン化カルシウムの存在が発見されていました。

 血清イオン化カルシウムによって判る事は、致死性前立腺ガンの存在だと言われます。血清イオン化カルシウムの数値が高い男性は、低い男性と比べ前立腺ガンによる死亡率が3倍高く、前立腺ガンを発症するリスクも2倍という高い数値を示していたそうです。

 現在、前立腺ガンの治療を受ける男性の多くが治療が必要かどうかの見極めができない事から、放射線療法や手術といった過剰な治療を受けているとされます。

 血清イオン化カルシウムによる検査が確立されれば、悪性の前立腺ガンの発見が行えるだけでなく、その後の治療を行う方針が決定しやすくなります。さらに今回示された知見では、血清イオン化カルシウムの数値を抑える事で、致死性の前立腺ガンのリスクを軽減させる事も示されています。

 血清イオン化カルシウムは遺伝的に一定にコントロールされていて、食事の影響を受ける事もないと言います。今後、さらに研究が進んで有力な腫瘍マーカーとなる事に期待したいと思います。


 



 

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