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第1237回 糠について(2)     2009年04月30日

 糠というと多くの場合、米糠の事を指しています。しかし、米糠という言葉が用意されているように、米以外の糠も存在しています。よく食物繊維を強化した食品の原材料として見かける「ふすま」は小麦の糠であり、大麦の糠は「麦糠」と呼ばれています。

 ご飯を炊くという事に関してはあまり好ましい存在ではなかった糠ですが、本来は栄養価が高く、精米を行った後も捨てられる事なく利用される例を多く見かけます。

 多くの場合、糠は単品で使用される事はないとされ、最も身近な利用例としては漬物の一種である糠漬けに使われる糠床が思い浮かびます。糠床は「糠味噌」と呼ばれる事もありますが、麹を加えて発酵させるという工程が存在しない事から、厳密な意味では味噌には入らないと思われます。

 そんな糠味噌(糠床)を文字通り味噌のように使うのが、北九州の旧小倉藩に由来した地域に伝えられた「じんだ煮」です。じんだ煮は糠炊きとも呼ばれ、鰯や鯖などの青魚を糠で煮込んで仕上げられます。

 じんだとは戦場での食事を意識した「陣立て」に由来するとする説もありますが、糠味噌を意味する古語が方言化したという説があり、古来、糠を大豆や麹と合わせて味噌に加工した物が存在した事から、じんだ煮はその名残を持つ物とも考える事ができます。

 糠を単体での利用例としてはタケノコを煮る際、アクを抜くために糠で煮る事や石鹸が普及する前は洗剤として利用されていた事、意外と意識されていませんが玄米や小麦の全粒粉などは糠を付加した単体利用例と言えなくもないと思えます。また、健康法として糠を煎った「煎り糠」を愛用するという例もあり、糠の有用性が伺えます。

 最近では油分を多く含む事から、糠油を採取して反応させ、バイオディーゼル燃料とするという取り組みも行われてきています。そうなると精米所は新たな油田となるのかもしれません。どことなく古い物という感じがする糠ですが、まだまだ利用範囲は広がりそうな予感がします。


 



第1236回 糠について(1)     2009年04月28日

 ご飯を炊く際、無洗米を除き米を研ぐという準備が必要になります。他の食材は洗う事に対し、米だけが研ぐとされるのは少量の水で米同士をこすり合わせて手早く洗浄が行われる事にあります。

 米を研ぐ理由としては、米に付いている糠を落とすというものがあります。米は精米する事で殻を外した状態にはなっていますが、完全に除去できなかった糠が残されています。

 その状態で炊いてしまうと、糠の臭味が炊き上がりに残されてしまい、ご飯の風味を損なってしまうだけでなく、糠には苦味がある事から、炊き上がりの美味しさである米の甘味を糠の苦味が邪魔してしまう事も考えられます。

 また、糠には多くの油分が含まれいるので、米が収穫されてから時間が経つ事でその油分が酸化され、糠特有の臭味が生じてしまいます。米の鮮度が落ちてしまうと糠はその影響を一番に受けるという事が言えます。

 米を研ぐという事は、炊き上がりの美味しさを損なう糠を取り除くという意味があり、少量の水で手早く行う事には、水に溶けやすい糠の苦味が水分を吸収しやすい米に入り込まれる事を防ぐためという事ができます。

 糠に含まれるγ‐グロブリンには界面活性作用があるとされ、糠に含まれる油分を水分と結び付ける働きがあり、酸化した油分の臭みを米に吸収させてしまう事も考えられます。手早く少量の水で研ぐ事は、そうした苦味や臭みの再吸収を防ぐという要求からと言えます。

 しかし、糠を落とすという事だけを意識し過ぎて米を研ぎすぎると、米自体の風味や美味しさを失う可能性があり、稲が米の中に蓄えたでんぷんさえも流れ出してしまう事も考えられます。

 米を美味しく炊くには、上手に米を研ぎ上げる事。もし自信がなければ一度無洗米を試してみましょう。無洗米の方が美味しいようなら、研ぎがうまくできていない可能性が高く、無洗米の方が美味しくなければ上手に研げているといえます。糠の香りをわずかに残しながら、米の旨味を損なわず...。奥が深い世界だと思ってしまいます。


 



第1235回 翻弄されてます。     2009年04月27日

 社会情勢の目まぐるしい変化に伴い、グリセリンが翻弄されています。かつては安定的に1kgが350円程度で企業間取引されていたものが、今では半値以下に下落して、それでも価格の下げ止まりがこないと言われています。

 理由の一つは需要の低下にあり、以前は煙草の葉の保湿剤として大量に使用されていたものが、用途の見直しによって使用量が減少した事や喫煙人口が減ってきたのに伴い需要の落ち込みが見られています。

 それ以上の理由としてバイオディーゼルの登場があります。巨大な菜種油の産地であるヨーロッパでは、生産量の半数がバイオディーゼルへ回され、盛んにバイオディーゼルの生産が行われています。

 バイオディーゼルはアルコールを触媒としてエステル交換反応と呼ばれる化学反応を起こし、油脂から脂肪酸メチルエステルを切り離す形で製造されます。油脂から脂肪酸メチルエステルを切り離すと、副産物としてグリセリンができます。原料の油脂から切り離されるグリセリンの量は、全体の10%程度になると言われます。

 グリセリンには植物油由来の植物グリセリンと石油由来の合成グリセリンがあり、植物グリセリンの方が安値で取引されています。合成グリセリンの方が高値になる理由は純度の高さにあるとされ、医薬品には合成グリセリンが使われています。

 植物グリセリンには原料由来の油脂やグリセリンを得るために切り離したはずの脂肪酸が混じってしまう事や、含まれている油脂や脂肪酸を取り除くために蒸留する事でグリセリン自体が劣化する事があり、どうしても品質が低くなってしまいます。

 グリセリンに不純物が含まれていると加熱したりアルカリ性にすると、脂肪酸が変色してそれまで無色透明だった物に色が付いてしまいます。医薬品は加熱殺菌が当たり前のように行われ、アルカリ性になる物もある事から不純物が含まれるグリセリンを使う事ができません。

 逆に合成グリセリン、石油由来というとイメージが悪い事から、化粧品などには植物グリセリンが好んで使われます。私達が通常目にする薬局で売られているグリセリンも植物由来の物がほとんどで、手作り化粧品の材料として安価に購入する事ができます。

 日ごろからあまり接点が無いように思われるグリセリンですが、保水性や吸湿性に優れている事から意外なほど多くの物に使われ、ラベルに記載されている原料表示を見ると身近な物である事が伺えます。社会情勢の変化によって翻弄される話はよく聞かされますが、意外な物まで影響を受けているものだと思わされてしまいます。


 



第1234回 衣の秘密     2009年04月24日

 新鮮な魚介類が手に入った時、天ぷらにするかフライにするかと迷ってしまいます。どちらも同じ油で揚げる料理ですが、微妙に調理法が異なり、その微妙な違いが最終的な味わいを大きく違うものにしています。

 一見したところで天ぷらとフライの違いといえば、パン粉の存在があります。実際、店によっては天ぷらの衣のように小麦粉と卵、水を混ぜ合わせたものに素材を漬け込み、パン粉にまぶして揚げているという事も行われていて、パン粉が付けられるかだけの違いしかないともいえます。

 しかし、フライにする手順、小麦粉をまぶして卵に漬け込み、パン粉をまぶすという事には意味があります。最初にまぶす小麦粉には、素材の美味しさを封じ込めるという意味があり、素材が持つ水分の沸点をはるかに超える温度になった油で調理する事から素材の旨味を守るという役目があります。

 また、小麦粉には素材から出た水分で油が弾ける事を防ぐ意味もあり、安全により良い状態で素材を揚げる事にも貢献しています。その小麦粉にしっかりとパン粉を貼り付ける役割を持つのが卵で、卵は水の沸点よりもはるかに低い温度で固まる事から、油の中で食材の温度が沸点を大きく超えて水分が爆発的な膨張を起こす前にパン粉の層を安定させてくれます。

 パン粉には衣の香ばしさと適度に含んだ油分のコクを加えるという目的があり、小麦粉と卵に包まれた素材への熱の伝わり方の調整と、衣の中で素材を蒸された状態にする事で素材の旨味をより濃厚にするという役割を担っています。よく生パン粉を使った方が美味しく仕上がると言われますが、生パン粉の方が柔らかいため、素材の形に馴染みやすく、まんべんなく衣を付ける事ができるためと言う事ができます。

 どことなく面倒に思えてしまう小麦粉→卵→パン粉という手順ですが、一つひとつの工程に意味があり、仕上がりの事を考えるとどれも手を抜けない事が解ります。やはり丁寧に作られた物は美味しいという事だと思います。


 



第1233回 生命力旺盛     2009年04月23日

 個人的に虫が苦手で、できれば関わらずにいたいと思うのですが、その中でもゴキブリというと完全に別格という感じで、既に昆虫の範疇を逸脱しているようにも思えます。あの油まみれの黒い姿は、見た瞬間に嫌悪感に包まれてしまいます。

 現在、世界中で約4000種近くのゴキブリが知られていますが、まだ知られていない種類もいるという事で、これからも新種の発見が行われ、ゴキブリの学名に自分の名前を残す事も可能だと言えます。私は遠慮したいと思いますが。

 4000種のゴキブリの中で、一般的にゴキブリとして認識されているものとなると50種ほどとされ、その中で人家に登場して害虫と呼ばれるものはわずか10種程度となっていて、大多数のゴキブリは熱帯や亜熱帯、温帯の深い森の中でひっそりと静かに暮らしています。

 ゴキブリが嫌われる理由の大部分はその不潔さにあると言えますが、動きや外見が嫌だという意見もあります。しかし、その程度で済んでいるのは日本に限った事とも言え、外国では寝ている間に耳の中に入り込まれたり、瞼や睫、指先や爪などを齧られたり、ゴキブリによるアレルギーが発生したという被害も発生しています。

 ゴキブリは人間が食料とするほとんどの食材を食べる事ができ、それ以外にも紙や絵の具、紙を張り合わせている糊、タバコや建築資材の中にも食べる事ができる物が含まれています。紙しか置かれていないというオフィスの中でもゴキブリを見掛ける事があるといわれますが、充分食料となる物が確保されているという状態にある事になります。

 食料を絶たれてしまっても水さえあれば1ヶ月以上は生きる事ができ、水がなくても3週間ほどは生存か可能とされています。食料がない場合は、共食いという選択肢も備えています。

 そんなゴキブリの日常は意外なほど単純で、夕方の3時間程度の時間と明け方の1時間ほどをエサを探して歩き回る時間とし、それ以外は狭いじめじめした空間に入り込んで休息を取り、触覚をはじめとした感覚器官の手入れをして過ごしています。中には社会性を身に付けたものも存在し、小さな体を活かして蟻の巣穴に入り込み、蟻からバクテリアを分けてもらう代わりに蟻の巣の掃除を行うものもいます。

 ゴキブリが嫌われる理由の一つに、その強力すぎる生命力があります。絶食にも耐え、共食いも行うだけでなく、体内で抗生物質を生成する能力を持ち、再生能力にも優れています。足や触覚なら取れてしまっても再生する事ができ、頭を失ってしまっても生き延びる事ができます。

 頭を失っても生きる事ができる理由は、出血多量となるほどには出血せず、呼吸は気門を使って行っているので通常通りの活動ができます。口がなくなるので食べる事ができなくなってしまいますが、冷血動物なのでそれほど多くのエネルギーを消費せず、3週間ほどは生きていると言われます。

 頭がなくても生きられる最も大きな要因は特殊な身体構造にあり、ゴキブリは頭と腹部の2ヶ所に脳を持っています。脳と呼ぶには原始的な神経の塊といった感じですが、2ヶ所に備える事で通常の動物では急所である頭を攻撃されるリスクを軽減しているとも言えます。

 毒に対する抵抗力も強く、毒に対する耐性も短期間で獲得する能力を持っているとされます。毒を使って駆除を行うと、一旦はゴキブリの数を減らす事ができますが、その間にゴキブリの天敵の数も減ってしまい、その後ゴキブリの数だけが増えるという事も見られます。

 何でも食べる割にはエサの好みが細かく変わり、味覚も敏感なので少しでも味に変な部分を感じると食べなかったり、最初は食べていても他のエサを好むようになったりして、毒入りのエサも永続的な効果を確保する事は難しいとされます。

 こうして細かく見ていくとますます不気味さだけが増して、見掛けない事だけを願ってしまいます。最近では電磁波や音波で近寄らせなくなる装置もあるようですが、それらも効力はないという事なので、後は祈るだけでしょうかと思ってしまいます。


 



第1232回 レオへの期待     2009年04月22日

 レオウィルスは自然界に広く分布し、人や動物に感染する事ができますが、病原性についてはあまり知られていません。そんなレオウィルスに感染する事で、意外な治療効果が発揮される可能性が出てきています。

 人体に無害なレオウィルスに感染してもレオウィルスは正常な細胞の中では増殖する事ができませんが、ガン細胞の中では急速に増殖する事が明らかになってきています。ガン細胞の中で急激に増殖したレオウィルスはガン細胞を破壊し、自ら他のガン細胞へ移る事ができる事も新たな研究の中で発見されています。

 ガンの研究には実験室内で人工的に培養されたがん細胞が対象として用いられますが、培養されたガン細胞と実際のガン細胞とでは微妙に違いがあるためか、実験段階と実際とでは制ガン作用に差異が見られる事があります。今回の研究では実際に患者から採取された乳ガンの組織細胞を使い、レオウィルスの制ガン作用に関する検証も行われ、レオウィルスはガン細胞を破壊するだけでなく、同時に人体の免疫系に働きかけて有効にガン抑制を行う事も確認されました。

 これまでガンに対して行われてきた化学療法では、短時間で分化が速い細胞を殺す事はできますが、分化が遅い幹細胞に対してはあまり効果が上がらず、化学療法を行うと急速に腫瘍は縮小しても幹細胞が残されるため、しばらくすると腫瘍が再び大きくなる事が見られてきました。

 ガンの幹細胞は絶えず新しいガン細胞を生成しており、少ない幹細胞でも悪性の高い腫瘍を形成する事ができ、その事がガンによる腫瘍が化学療法に対して高い抵抗力を持つ理由として考えられますが、レオウィルスはガンの幹細胞を破壊する事ができ、免疫系を活性化してガン細胞の増殖に備えさせる事もできる事から、有効な治療法と成り得るのでは期待されています。ウィルスというとどうしても悪者視してしまいがちですが、意外な味方もいたものだと思ってしまいます。


 



第1231回 古くて新しくて     2009年04月21日

 結核というと時代劇ファンとしては労咳(ろうがい)と呼んで、不治の病という感じがしてくるのですが、あくまでも時代劇の中の話で現代ではそれほど治療が難しい病気でもなく、不治とされたのは過去の事と思えてしまいます。

 結核は結核菌への感染によって引き起こされる感染症で、結核菌自体は1882年に細菌学者のコッホによって発見されていますが、結核の歴史は古く、紀元前7000年頃と推定されるハイデルベルグ人の脊椎の骨に結核の痕跡が残され、古代ギリシアの医師、ヒポクラテスも「最も重くかつ困難な病気は結核であり、最も多くを死亡させた」という記述を残しています。

 かつては日本でも国民病、亡国病とまで言われるほどの流行が見られましたが、第二次世界大戦以降、抗生物質を使った効果的な治療法が開発された事もあり、患者数が激減しています。そのため結核に対する関心は時と共に低下し、密かに流行の再発が懸念されるようになり、結核は「古くて新しい病気」と呼ばれるようになってきています。

 結核菌への感染は、主に空気感染によるものが多く、症状も呼吸器官における発症が目立っています。一旦感染しても症状が出る事は少なく、無症候性、潜伏感染という状態がほとんどで、潜伏感染者の10分の1が最終的に症状を発症するとされるので、感染に気付かない事が多いと考えられ、世界の人口の3分の1が感染しているとも言われます。

 かつては抗生物質のストレプトマイシンのみを服用する事で充分効果があったとされますが、現在では薬剤耐性菌の発生などの事もあり、複数の薬剤が併用して用いられています。複数の薬剤に耐性を持つ多剤耐性菌の発生は、結核をかつてのような不治の病に戻してしまう怖れがあります。

 先日、新たな結核のワクチンが小規模な第1相試験で安全性が示された事がレポートされていましたが、世界的な流行を考えると一刻も早い研究と撲滅へのステップの開発を願いたいと思ってしまいます。


 



第1230回 キノコは何故、人を殺すのか?(2)     2009年04月20日

 見分ける事が困難な毒キノコ、食毒の区別も完全ではないという現状、安全が確認されていたにも関わらず、毒を持っていたという事例の存在、美味しく身近な存在であるキノコには、危険で怖ろしい一面がある事は忘れる事ができません。

 時として人を死に至らしめるキノコの毒の存在については、実は明確な理由が判っていないと言われます。動物が毒を持つ理由は、外敵から身を守る、獲物を仕留めるという意味があります。植物の場合は、動物に食べられないようにする、自分を好んで食べる動物の繁殖を妨げるという意味があります。

 キノコの場合も植物と同じような事が考えられますが、植物が毒によって食べられないようにする場合は、毒の存在を明確にして食べる気が起きないようにするという工夫が見られるのに対し、キノコの場合、わざわざ食べられるキノコに似ている場合があったり、毒々しい外見を備えているキノコはむしろ少数派であるなど、植物とは違った理由があるように思えてしまいます。

 植物が食べてもらおうとする意味は、種をより遠くに運んでもらうという目的があり、果物のように食べたいという気持ちにさせる物を用意して、その中に種を入れておくという工夫があります。種が充分に熟すまでは食べられては困るので、未熟なうちは毒を供えて食べられないようにして、熟した後は無毒化して食べてもらうという時期的コントロールにも植物の毒は使われますが、キノコの場合、子実体としてキノコの形を作った後は、胞子を風に乗せて飛ばす事で新たな繁殖の場所へ子孫を送る事から、果実として食べてもらうという必要はないと言え、時期的コントロールの意味はない事が判ります。

 一部のキノコが毒を持ち、他のキノコとの判別を難しくする事でキノコ全体の安全を確保するという戦略的な考え方もできますが、最もキノコを食べる可能性が高い昆虫が影響されず、同じく食べる可能性が高いウサギなどの動物に毒素を分解する酵素を持ち合わせている事を思うと、ごくわずかしか食べていない人間が特別に狙われているようにも思えてしまいます。

 キノコが対人間用に毒を用意しているのでは?という疑問に対しては、キノコの歴史の方が人類よりもはるかに古いという事を見ると間違いである事に気付きます。キノコの毒は代謝の過程で発生している事を考えると、キノコは毒を用意しているというよりも人が勝手に中毒を起こしているようにも見えてきます。

 キノコは何故、そのような特殊な成分を作り出してしまうのかについては、キノコの特殊な立場が関係しているといえます。自然界では光合成によって養分を作り出す生産者としての植物と、それを食べる消費者としての動物という関係が成り立っています。キノコはその中間にあって、消費者である動物の死骸を分解して生産者に養分として与える分解者という第三の役割を担っています。

 私達は消費者として農業を通して生産者である植物への理解を深めるという努力は行いましたが、分解者という存在についてはあまりに認識が薄かったと言えます。その認識の薄さがキノコの毒への無防備さへ繋がっているのかもしれません。毒を備える事で、分解すべき素材を得るという意見もありますが、やはりキノコは毒を用意したというより人が勝手に特殊な成分に反応してしまったという方が正しいと思えます。


 



第1229回 キノコは何故、人を殺すのか?(1)     2009年04月17日

 栽培方法の普及もあって、最近ではさまざまな種類のキノコを店頭で見掛ける事ができます。栽培方法が確立されていないマツタケやトリュフを除けば、食用にできて美味しいとされるキノコはほとんど年間を通してスーパーなどで購入できるため、あえてキノコ狩りに行く必要はないのかもしれませんが、それでもキノコ狩りと聞くと楽しげなものを感じてしまいます。

 山中を歩き回り、注意深く観察しているとそれなりにキノコを発見する事ができます。発見はできても、やはり怖いのはそれが食用にできる物なのかという判断が素人では難しいという事です。毒キノコの判別はある程度キノコに詳しい人でも難しく、見分ける簡単な基準は存在しないと言われます。

 食用にできるキノコによく似た毒キノコがある事や食毒不明とされるキノコが自然界にはまだたくさん存在する事、一般的に毒がないとされていたにも関わらず中毒事故を起こしたスギヒラタケの事例などを見ると、素人のキノコ狩りは一見楽しそうではありますが危険なもののように思えてしまいます。

 よく言われる事で、「縦に裂けるキノコは食べられる」という判定方法があります。しかし、キノコは菌糸体が集まって形作られた子実体である事を考えると、縦に裂けるのは食用のキノコに限った事ではなく、毒キノコを含めたキノコ全般に言える事だと思います。

 また、毒キノコは派手な色合いをしているので、地味な外見で香りが良い物は食べられるとも言いますが、最も中毒が多く起きているとされるツキヨタケはシイタケに似た地味な外見を持ち、ツキヨタケ以外にもカキシメジやクサウラベニタケなど多くの毒キノコが地味な色合いになっています。

 虫や他の動物が食べていれば大丈夫という見方もありますが、虫はキノコの毒に影響されない事や、ウサギはキノコの毒を分解する酵素を持っている事を考えると、他の生き物による毒見というのは有効な見分け方とは言えません。

 キノコを煮てその煮汁に銀のスプーンを浸すと、毒がある場合は銀のスプーンが黒変するという説もありますが、銀を黒変させるのは硫化物を含む毒だけで、キノコの毒には硫化物によるものはなく、銀のスプーンを黒変させる事のできるキノコは1種類も存在しないと言います。

 ナスと一緒に煮る事や塩漬けにする、油で炒める、天日干しにするなどの調理法によって毒を無効化させるという方法も言われていますが、ナスには解毒作用がない事や、さまざまな加工方法によってもキノコの毒は影響を受けない事を考えると、毒の無効化は現実的ではなく、逆に油で炒める事によって症状がひどくなる例も報告されています。

 そうした毒キノコに関する俗説が実しやかに言われるようになった背景には、明治初期の官報で一部で流布されていた事を真実と誤認して掲載してしまったためと言われています。実際に起きている中毒の多くは、すでに毒キノコである事が知られているキノコによるものであるという事を考えると、少しでも疑わしきは食べないというのが基本のようにも思えてしまいます。


 



第1228回 アクション療法?     2009年04月16日

 テレビゲームというと目を悪くする物として悪者視されてしまう事がありますが、意外にもそうではないという研究結果が報告されていました。テレビゲーム、特にアクション系のゲームによって、視力の一つであるコントラスト感覚が改善される事が明らかにされています。

 視力を構成するものの一つであるコントラスト感覚は、均一な背景に対する濃度のわずかな変化を認識する能力であり、加齢によって最初に影響が現れる視力の一つとされます。夜間や霧の中などの視界が悪い状態で車の運転をする際などに特に重要視される視力で、コントラスト感覚の低下に対してはメガネやコンタクトレンズなどによる視力矯正や外科手術によって改善が行われています。

 テレビゲームをよく行う人の視力に関する調査を行う中で、特にアクション系のゲームを好む人は、アクション系以外のゲームを好む人よりもコントラスト感覚が優れているという傾向が確認され、コントラスト感覚が優れている人がアクション系のゲームを好む傾向が強い、もしくはコントラスト感覚が優れている人がアクション系のゲームの上達が早く、ゲームを楽しむ事に適しているのではないという事を確認するために、普段アクション系のゲームを行わない人に集中的にアクションゲームを練習してもらい、その結果としてコントラスト感覚の改善が認められています。

 アクションゲームによって改善されたコントラスト感覚は、その後数か月から数年継続した事も報告されているので、テレビゲームによって時間を過ごす事は、必ずしも無駄で非生産的な事ではないという事が示唆された事となります。私もテレビゲームは好きな方なのですが、アクション系のゲームは苦手としています。視力の衰えを感じていない訳ではないので、少しは練習してみるかと考えてしまいます。


 



第1227回 春雨いろいろ     2009年04月15日

 前回の太平燕の主材料となっている春雨、太平燕とは長い付き合いではありますが、春雨が麺類という意識はあまりありません。もともとは中国で緑豆を原料とした緑豆でんぷんから作られる豆麺(とうめん)と呼ばれる物で、言葉の響きで中国から来た麺という事で「唐麺」の文字が当てられたり、製造工程から「凍麺」の文字が当てられる事もあります。

 春雨は緑豆から採れたでんぷんの一部を熱湯で練って糊状にして、そこに残りのでんぷんとお湯を加えながら練り上げて生地を作ります。それを1mm程度の小さな穴が開いた容器から熱湯の中へ押し出して煮沸し、急速に冷却して一旦凍結させ後、解凍して天日乾燥させて仕上げられます。

 凍結させる事で糊化していたでんぷんの状態が変化して独特のこしが生まれ、煮崩れにくい状態になりますが、昔ながらの作り方をする物には凍結させる工程が含まれない物もあり、緑豆でんぷんで作られた春雨が特に凍結させない製法に向いているとされます。

 鎌倉時代に禅僧の精進料理の材料として日本に伝えられたとされる春雨ですが、日本では緑豆でんぷんの入手が容易ではない事から、ジャガイモから作られる馬鈴薯でんぷんを中心にしたものへと変化しています。現在でも春雨には大きく分けると2種類が存在し、緑豆でんぷんから作られる緑豆春雨とジャガイモなどから採れたでんぷんを元にしたでんぷん春雨があります。

 でんぷんから作られる春雨ですが、でんぷんの元となる素材によって性質が異なり、同じでんぷん春雨でもでんぷんの原料がジャガイモ、コーンスターチ、サツマイモなどがあり、ジャガイモの馬鈴薯でんぷんにコーンスターチまたはサツマイモでんぷんを混ぜ合わせる形で作られています。

 一般的に緑豆春雨は煮崩れにくい性質を持つとされ、煮物や鍋物に向くと言われます。馬鈴薯でんぷんの物は柔らかく、味が染みやすいという事から、酢の物や和え物に向くとされます。馬鈴薯でんぷんだけで作られた物には光沢があり、口当たりが滑らか。馬鈴薯でんぷんにサツマイモでんぷんを混ぜ合わせた物では、べたつきが少ないという傾向もあります。

 日本ではほとんど見掛けませんが、東南アジアではタピオカのでんぷんを使用した春雨も作られていると言います。工業的に最も上質とされるタピオカでんぷんの春雨、本家本元の緑豆を上回る春雨になるのでしょうか。春雨を料理に合わせて選んでみるのも面白い事かもしれません。それは面倒という場合は、元祖春雨といえる緑豆を選べば間違いないと思います。


 



第1226回 平和な宴の味     2009年04月14日

 熊本の郷土料理と言って良いのかについては少々疑問が湧いてしまいますが、熊本発祥の中華料理、太平燕(たいぴーえん)は使われている春雨のカロリーの低さがダイエットに繋がる事もあり、静かなブームとなっていました。

 太平燕は高価なツバメの巣の料理を一般の人にも親しんでもらおうとツバメの巣の代わりに春雨、アヒルの卵の代わりに揚げた鶏の卵を使った事が始まりとされ、ツバメの巣がスープであった事に対して麺料理の一つとして成り立っています。

 熊本にいると普通に中華料理の定番メニューの一環として見掛ける物であり、学校給食で出される事もあって特別な感じはしませんが、熊本を離れると熊本に本社がある全国チェーンのラーメン店のメニュー以外では見掛けなくなってしまい、同じ熊本県内でも北部の方では最近まで存在が知られていなかったとされる事から、熊本県中部の郷土色の強さを伺う事ができます。

 太平燕の元になった料理はツバメの巣のスープとされますが、もう一つ、同じ太平燕と書いて「たいぴんいぇん」と読む福建省福州市の郷土料理の存在を上げる事ができます。

 福建省の太平燕は茹でたアヒルの卵を入れたスープ仕立てのワンタン料理で、アヒルの卵の「鴨卵(あっろうん)」という言葉の響きが戦乱を鎮めるという「圧乱」に通じる事から、平和な時代を指す「太平」の文字が当てられ、豚のひき肉をさつまいもから採ったでんぷんと一緒に練り込んだワンタンを「扁肉燕」と呼んだ事から、その二つが使われている料理として「太平燕」と呼ばれています。

 太平燕という名前は「燕」が「宴」と同音である事から、平和な宴を連想させる大変縁起が良い料理名とされ、結婚式などの晴れの席に出される料理として作られてきました。その太平燕が明治時代に華僑によって日本に伝えられ、日本では生産量が少ないアヒルの卵が鶏の卵に置き換わり、ツバメの巣の料理にアレンジし直されていた事が熊本の太平燕誕生の前段階として考えられます。

 太平燕の元祖は熊本市内の老舗中華料理店、中華園とされますが、同じく熊本市内の会楽園、紅蘭亭とする説もあり、定かではないとされます。3軒の創業がほぼ同じ時期である事から、華僑の横の繋がりの強さという情報交換の上でのメニュー開発があったのではと想像してしまいます。

 最近ではカップ麺やレトルトの太平燕も販売されるようになり、全国的に認知度が上がった事もあって中華料理店のメニューに取り入れられる例も増えてきています。太平燕は日本全国どこにでもある定番メニューと勘違いしている熊本市民は少なくないと言われてきましたが、ようやく勘違いとは言われないようになってきたと思いつつ、家庭では作らない料理なので郷土料理に入れて良いものかと首を捻ってしまいます。


 



第1225回 だぶの不思議     2009年04月13日

 さいの目に切った根菜類と鶏肉、こんにゃくなどを出汁で煮込み、塩、しょうゆで味を整えたら片栗粉や葛粉でとろみを付けて仕上げる「だぶ」は九州北部の郷土料理とされますが、だぶが伝えられてきた地域については諸説があり、福岡の博多とするものや宗像、朝倉、佐賀など、多くの地名が上げられています。

 だぶは根菜類の煮物を作る際、食材を形良く適度に切り分けた後に出る不揃いな部分を、無駄なく有効に活用する生活の知恵が元になっていると言われ、細かく根菜類が刻まれている事やとろみが付けられている事から、小さい子供やお年寄りにも食べやすい料理となっています。

 祝い事の御膳に副菜として添えられ、他の料理が盛切りなのに対してだぶだけは例外的におかわりが自由とされ、浅めに作られただぶ専用のお椀、「だぶ椀」も存在するほど地域に深く根ざした素朴な料理と言えます。

 地域によって違いがあるとは思われますが、だぶの作り方に関しては面白い作法があり、祝い事に出される場合は素材を四角く切り、憂い事に出される場合は三角に切る。祝い事には塩やしょうゆで味付けされて出されますが、憂い事に出される場合はそれに砂糖が加えられる。仏事で出される際は、鶏肉の代わりに油揚げが使われるというものがあります。

 郷土料理に限らず、身近に伝えられてきた物の中には、身近過ぎるとかえって由来が不確かになるという事があります。だぶもその一つという事ができ、いつ頃、どのようにして考案され、どこが中心となって伝えられてきたかなど、さまざまに説が分かれています。

 名前もだぶ、らぶ、ざぶ、さぶなどと呼ばれていて、多めの出汁で煮込む事から「だぶだぶ」「ざぶざぶ」などといった言葉が語源とされますが、お年寄りを中心に「らぶ」の使用例が増える傾向があるとされる事から、多めの出汁が語源と断定できるものではないように思えます。別な説に馬や牛に野菜のくずを与えるために使う桶を「駄桶」と呼んだ事からとするものもありますが、それではらぶやさぶの説明ができなくなってしまいます。どことなく日本語ではなさそうな言葉の響きと、純和風な内容に何か不思議なものを感じてしまうのですが、温かくヘルシーな料理という事だけは間違いないように思えます。


 



第1224回 向上工夫     2009年04月10日

 コーヒーが好きで、休みの日にゆっくり書き物でもしていると、結構な量を飲んでいたりします。そんな時、重宝するのがインスタントコーヒーで、コーヒーの粉をお湯で溶かすだけという手軽さからつい手が伸びてしまいます。

 インスタントコーヒーはラーメンとインスタントラーメンほどの違いではありませんが、やはりレギュラーコーヒーとは別物という感じがしてしまいます。そんなインスタントコーヒーをより美味しく、レギュラーコーヒーに近い味にという個人レベルでの工夫はこれまでいくつか聞かされた事があります。

 簡単なところではカップにコーヒーの粉を入れ、お湯を3分の1ほど注いでよくかき混ぜ、完全に溶かした後で残りのお湯を注ぐというものがあります。溶け残った粉がカップの縁に付着して、味にムラができるのを防ぐという意味からという事ですが、これには最初の3分の1を溶かした段階で風味が飛んでしまい、逆に味を落としてしまうという反論もあります。

 また、カップにコーヒーの粉を入れる際、塩分の存在を感じられないほどの微量の塩を加えておくというものもあります。塩分が隠し味になる事や、微量の塩分が舌の表面にある味を感じる味蕾の感受性を上げる事、複数の味を同時に感じる事で全体の中で突出した味を感じにくくするという事も起こるので、それによって味が円やかになる事も考えられます。

 よく言われるところでは、コーヒーの粉を冷たいままのミネラルウォーターで溶かし、それを加熱して温めるとレギュラーコーヒー並みの風味を出せると言います。沸騰させるとコーヒーの風味が飛ばされてしまう事や、コーヒーを美味しく入れるお湯の温度は90度前後とされ、その場合のできあがり温度は70〜74度くらいとされる事から、75度を超えないように温める事が大切と言えます。インスタントと侮らず、いろいろ工夫して楽しむというのは大事な事かもしれません。


 



第1223回 抗ウィルス性調味料     2009年04月09日

 無人島へ行く際、日常的に使う調味料の中で何か一つを選んで持って行くとしたら?と尋ねられると、すぐにマヨネーズが思い浮かぶほどマヨネーズが好きです。マヨラーと呼ばれるまではないので、何にでもというわけではありませんが、使用量は多めだと思います。

 マヨネーズは卵、酢、サラダ油に塩、香辛料からできているので、鳥インフルエンザが話題になった頃は、マヨネーズを心配する声も若干聞かれていました。そんなマヨネーズ、鳥インフルエンザを防ぐ働きがある事はあまり知られていません。

 大手マヨネーズメーカーの研究によると、マヨネーズに鳥インフルエンザウィルスを入れたところ、毒性が強い事で知られるH5型のウィルスが30分以内に、H7型とH9型では10分以内に感染性を失ってしまう事が確認されています。

 鳥インフルエンザウィルスは酸性が苦手である事から、マヨネーズに含まれる酢の作用によって活性を失ってしまう事や、乳化されたサラダ油によってウィルスの殻が壊されてしまう事が理由として考えられ、鳥インフルエンザウィルスにとってマヨネーズは非常に苦手な物と言う事ができます。

 また、鳥インフルエンザウィルスは耐熱性も低い事で知られ、H5型、H7型のウィルスでは55℃になるとすぐに感染力を失い、比較的熱に強いH9型でも55℃で2分間加熱するか、60℃まで温度を上げると感染力が失われるとされています。

 マヨネーズ自体も熱にはあまり強くなく、高温にさらされると分離してしまいますが、マヨネーズを使った温かい料理であればウィルスへの安全性は大幅に向上している事が考えられます。あくまでもマヨネーズにウィルスが混入した場合の事で、毎日マヨネーズを食べたからといって鳥インフルエンザの予防ができるわけではない事は、マヨネーズ好きとしてはちょっと残念かもしれません。


 



第1222回 食生活検査     2009年04月08日

 尿検査は一般的な健康診断で行われるものからドーピングの検査まで、さまざまな身体内の状態を知らせてくれます。尿検査は大きく分けて、色や比重など尿をそのまま調べる検査方法と尿中の成分を調べる検査方法の二つがあります。

 通常、行われる尿検査は、尿タンパク、尿糖、尿潜血反応、尿ウロビリノーゲン、尿比重などですが、これからそれらにもう一項目、尿カリウム量が加わるかもしれません。尿中のカリウム量は全般的な栄養摂取と密接な関係がある事から、尿中カリウム量の検査を行う事で日常の食生活をある程度判断する事が可能になると言います。

 尿結石と診断された18〜50歳の患者220人の24時間分の畜尿を検査し、被験者に食物の摂取に関する質問表への回答、体重、身長、血圧などを測定して尿中のカリウム量、ナトリウム量と食事の質との関連性を検討したところ、尿中カリウム量が多いほど果物、野菜、穀物をはじめ健康的とされる食物摂取が多く、カリウム量が少ないと肉類、ファーストフード、糖分が多めの清涼飲料水の摂取量が多い傾向がある事が判明しました。

 また、尿中カリウム量が多い人は、少ない人に比べてBMI(ボディマスインデックス、肥満指数)が低く、拡張期血圧や心拍数も低い傾向が見られています。尿中のナトリウム量にはそうした関連性は認められず、尿中カリウム量が客観的に食事の質を評価する尺度となるとする説を裏付けたものとなります。

 24時間の畜尿に手間がかかってしまう部分に実用的ではないとする指摘もありますが、今後、さらに研究が進み、簡略化が進めば1回の測定で診断を行う事も可能になると言われます。自己申告による聞き取り調査では日常の食生活の把握が困難なため、今後の健康診断には重要な情報をもたらすものとなりそうですが、被験者の立場からはちょっと戸惑ってしまうものもあります。


 



第1221回 ふわふわ繋がり     2009年04月07日

 豆腐というと、古くから親しまれてきた大豆の代表的な加工品と言えます。江戸時代には既に広く庶民の食となっていた事が伺え、その事は江戸時代後期に刊行された豆腐料理の専門書、「豆腐百珍」にも見る事ができます。

 さまざまな豆腐料理を集めた「豆腐百珍」の中に「ふハふハ豆腐」という名の不思議な豆腐料理が登場します。ふハふハの「ハ」は今で言う「わ」と考えられ、今風には「ふわふわ豆腐」となるのですが、作り方としては「鶏卵と豆腐、等分に混ぜ、よくすり合わせふハふハ烹にする也。胡椒の末ふる」と記されています。

 ふハふハは「ふわふわ」とすると「烹」は煮る事なので、卵と豆腐をよく混ぜ合わせた物を、ふわふわとした食感に仕上がるように煮た料理となります。仕上げに胡椒の粉末をふりかけて出来上がり!というところですが、気になるのは注釈に添えられた「鶏卵のふハふハと風味かわる事なし。倹約を行う人、専ら用ゆべし」というもので、「鶏卵のふわふわと風味は変わらず、節約している人にお薦めです」という内容になるのですが、一見すると意味不明に思えてしまいます。

 この注釈を理解するには、「豆腐百珍」よりも140年ほど前に発行された「料理物語」という料理本の知識が必要となってきます。「料理物語」の中ではさまざまな食材を用いた料理が紹介されていますが、その中で卵を使った料理として「玉子ふわふわ」という卵をだし汁で伸ばし、蒸し煮にする事でふわふわとした食感に仕上げた料理が登場します。

 ふハふハ豆腐は玉子ふわふわと変わらない料理とされ、節約している人にお薦めという事は、当時、卵が高価な食材であった事から豆腐で増量する事で、料理自体のコストを下げるという節約術であった事が考えられます。豆腐が広く普及した安価で、馴染み深い食材であった事が伺えます。


 



第1220回 丁子の効用     2009年04月06日

 丁子というとあまり馴染みがなく、クローブというと香辛料の一つと判ります。クローブは肉や魚の臭みを消す働きがあるとして使われますが、焼き菓子にも欠かせない香辛料となっています。

 基本的に甘い辛いに関係なくさまざまな料理との相性が良く、幅広く使える事から重宝する香辛料ではありますが、香りが強い事から好き嫌いが分かれるので多用する事には注意が必要とも言われます。

 丁子と呼ばれる由来はその形状からきていて、丁子=釘に良く似た形をしています。他の香辛料やハーブが実や種、葉を使う事に対し、クローブは花蕾をを使っています。その形状を活かして、ブロックの肉などに直接突き刺して下拵えにしている図を見掛ける事もあります。

 クローブというと香辛料としての印象が強くなりますが、丁子というと漢方薬のイメージが強くなってきます。漢方薬としての丁子の効能は多く、胃腸の働きを促して消化機能の促進や体温を高めて身体を温める、健胃薬として吐き気を抑えるなどが知られています。

 また、虫歯の痛みを抑える働きもある事から、クローブの香りが嫌いでなければ患部に丁子から採られた丁子油を塗ったり、丁子その物を咥えておく事で痛みを和らげる事ができると言います。

 香辛料や薬用に限らず丁子はさまざまな用途に使われ、染物として丁子色と言われる色の発色に使われたり、防虫、防カビ剤としても使われてきました。それ以外に丁子には意外な用途があります。丁子特有の芳香をゴキブリが嫌う事から、ゴキブリ除けとして利用する事ができます。ゴキブリは丁子のにおいがかなり嫌いらしく、ゴキブリがよく現れる場所や通り道と思われる場所に丁子油を塗っておく事で見掛ける数が激減すると言います。丁子の香りは室内の芳香剤のも活用できるので、香りが嫌いでなければお薦めかもしれません。


 



第1219回 ボツリヌス事情     2009年04月03日

 ボツリヌス菌の名前は、長年熊本に住んでいると他の食中毒菌よりちょっと特別な感じがしてしまいます。名物の辛子レンコンに混入し、大変な食中毒事件を引き起こした原因菌であった事は今でも記憶に残されています。

 ボツリヌス菌が作り出す毒素、ボツリヌストキシンは非常に毒性が強く、かつては500gもあれば全人類を滅ぼす事ができると考えられていたため、生物化学兵器としての研究も行われていました。

 実際にボツリヌストキシンの毒性は強力で、1gの殺傷力は100万人に相当すると言われ、青酸カリ1gの殺傷力が5人程度である事を考えると、その強力さが伺え、自然界に存在する毒素の中では最強であるともされます。

 そんなボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンですが、最近では意外な分野で活躍しています。美容整形の分野で皺を取る治療法として使われているボトックスは、ボツリヌストキシンを製剤化して利用しています。美容整形以外の分野でも瞼の痙攣の治療や多汗症、脳性麻痺による歩行障害の治療にも使われ、怖ろしい毒素としてではない一面を伺う事ができます。

 ボトックスによる皺取りはすべての皺に対して有効というわけではなく、表情筋に由来した皺、笑い皺や額の皺に限られるとされます。そんな額の皺に対して新たなボツリヌス製剤が開発され、安全性、有効性が確認された事からボトックスに代わるものとして期待されています。

 ボツリヌス菌毒素A型複合体のレロキシンと呼ばれる新たなボツリヌス製剤は、ボトックスよりもタンパク質の量が少ない事から、体内で分解される速度が遅く、効果が長く続句と考えられ、組織中で拡散する範囲がボトックスの3倍と広いので、注入回数が少なくて済むとされます。

 広く長く効くという事で、額のような比較的広い部位では、患者の負担を軽減する事に役立つ事が可能ですが、目尻の皺のような狭い範囲では拡散しやすさが裏目に出て、ボトックスよりも副作用と言える瞼の下垂が多く見られてしまいます。そうした点を踏まえ、今後さらに研究を進めるべき部分は残されていますが、ボトックスの競合品となる事は確実なようにも思えます。


 



第1218回 適度とは?     2009年04月02日

 健康の秘訣と言われるといくつかの要素が思い浮かびますが、その一つに「適度な運動」というものがある事は広く知られています。しかし、その「適度」とはどのようなものかを的確に知っている人は少ないのではないでしょうか。

 最近出されたガイドラインによると、少なくとも週に通算で2時間半程度の運動を指し、10分間に1000歩の歩行を行う運動に匹敵するきびきびとした動きが要求されるものとされています。

 これまでガイドラインの一つとされてきたものに、30分程度の適度な運動を少なくとも週に5日行うというものがありましたが、先日改定されて単に週に150分の運動とされています。しかし、それでは運動にある程度に負荷が必要な事や適度とされる範囲が判りにくくなっています。

 そうした適度が示す範囲を判定するため、平均年齢32歳の男女約100名を対象にランニングマシンを使って歩行を行ってもらい、エネルギー消費を測定したところ男性では1分間に92〜102歩、女性では1分間に91〜115歩程度が適度といえる運動量に相当する事が判りました。

 1分間に100歩というペースは、何かに遅れそうで急いでいる時の速度に相当するとされ、時間を計りながら歩数を数えて正確なペースを把握する事が望ましいとされていますが、歩きながら歩数を数えるのは難しいため、万歩計の使用が推奨されています。市販の万歩計の半数は正確さに欠けると言われますが、それでも万歩計を使用する方がよりペースの把握には良いとされています。今回明らかにされた適度と言われる運動よりも低い運動量であっても、心血管に及ぼす利益は大きいと言われるので、とにかく体を動かす事からはじめるのが大切なのかもしれません。


 



第1217回 オゾン注入     2009年04月01日

 椎間板ヘルニアは椎骨の間にある海綿状の円盤、椎間板が磨耗や損傷などによって変形し、突出したり破損したりして脊髄神経を圧迫する事で強い痛みを発します。

 椎間板は体内では最大の無血管領域と呼ばれ、血管内部に配備されていません。中央にゼラチン状の髄核と呼ばれる部分があり、その周囲にコラーゲンを豊富に含んだ繊維輪という構造になっています。

 血管がない事から他の器官のように栄養素が常に届けられていない事から修復力が弱いと言われ、一旦、磨耗や変形が生じると、それを元の状態に戻すのは非常に困難とされます。そのため、原則的には保存療法が中心に行われますが、痛みが激しい場合や筋力の低下、排尿困難などがみられる場合は手術によって神経を圧迫している部分の摘出が行われます。

 これまでは直視、もしくは顕微鏡や内視鏡による切除手術が行われてきましたが、オゾンと酸素の混合ガスを患部に注入する事で、安全で有効に治療効果を上げる事が判ってきました。混合ガスの注入によって神経の圧迫が軽減され、疼痛が和らぐ事が確認されています。

 オゾンの酸化作用によって椎間板の容積が減らされ、神経への圧迫が軽減されたと考えられる事から、極めて安全性が高い処置と言う事ができます。13〜94歳までのあらゆるタイプの椎間板ヘルニア患者を対象に検討した結果でも、痛みや機能に著しく改善が見られた事が報告されています。

 今回の新たな療法を受けた患者に、痛みがまったくない状態を0ポイントとし、最も酷い痛みを10ポイントとして疼痛評価を行ってもらったところ、平均で4ポイントの軽減が認められ、日常的な作業を実施する能力においても25%を超える評価尺度の改善が見られています。

 改善状況において従来の切除手術に近いものがありながら、切除手術のような感染症のリスクがはるかに少なく、回復に必要となる時間も短くて済むという利点があるだけでなく、椎間板を切除しない事で残された椎間板の容積が少なくならないので、衝撃吸収という機能が損なわれないという優れた点も評価できます。腰痛に悩まされる人が多い昨今、いち早い普及を待ちたいと思います。


 



 

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