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第1277回 再循環に思う(1)     2009年06月30日

 リサイクル・・・すでに定着した言葉ですが、どことなく不思議なものを感じずにはいられない言葉でもあります。リサイクルを直訳すると再循環となりますが、何をどのように再び循環させるのかについては、かなり曖昧な部分が多いように思えます。

 循環という意味では、自然の中から得られた素材を加工して製品を作り、それを自然界に戻すというのが一連の流れになると思います。二酸化炭素を排出する事は最近の風潮では悪とされますが、多くの天然素材が自然界に存在する二酸化炭素を元に作られる事を考えると、元の二酸化炭素に戻すというのは自然な流れと言う事もできます。

 しかし、そうした循環にはロスが付き物なので、そのロス分を少なくするという意味においては、新たな循環経路を作る事で製品化された物を再資源化して、新たな製品の原料とする事は資源の無駄を少なくするという点ではエコに繋がる事と思えます。

 アルミニウムを精錬する際、原材料のボーキサイトからではなくアルミ缶から精錬する方がエネルギー消費がはるかに少なくて済むので、アルミ缶の再資源化は有効なリサイクル例と言えます。

 リサイクルという言葉が定着するにつれ、家電製品や古着などの中古販売品もリサイクル○○と称して流通するようになりました。製品を新たな循環経路に乗せるという意味でのリサイクルなのかもしれませんが、どちらかと言えば再使用のリユースが正しいように思えます。

 パソコンは中にインストールされるソフトやデータに価値があると考えると、何もない状態は資源に等しいとも言えるので、製品の再資源化とも思えます。そうした再生利用はプロダクトリサイクルと呼ばれ、リユースにかなり近い概念ではありますが、リサイクルの一環として捉えられています。

 プロダクトリサイクルに対して本来のリサイクルとも言える製品の再資源化は、マテリアルリサイクルと呼ばれるようになっています。リサイクルに関してはもう一つの概念が存在し、製品を燃焼する事によって得られる熱量を利用する製品の燃料化、サーマルリサイクルという考え方もあります。

 プラスティック製品は一見単体の素材のように見えて単一ではなく、さまざまな素材が混ざっています。製品自体に複数の素材が混ざっている事もあり、分別する事も難しいと言えます。そのためマテリアルリサイクルに回す事も、プロダクトリサイクルとして再利用する事も難しく、本来であれば利用される事なく廃棄されてしまいます。

 そんな利用不可能と考えられていた製品に与えられたリサイクル方法が、熱エネルギーとしての回収という事になります。熱エネルギーを得るための燃焼という事で、二酸化炭素の排出に繋がってはしまいますが、原油を消費して排出される二酸化炭素量と相殺すると効率的に優れているという事になります。熱エネルギーとしての利用は行われはしますが、最初の循環に戻ってしまう感じがして、相変わらずの不可思議さを感じるのは私だけでしょうか?


 



第1276回 プレ?プロ?     2009年06月29日

 プレバイオティクス・・・聞いたような、聞いた事ないようなと考えてしまいそうですが、良く似た言葉のプロバイオティクスなら馴染みのある言葉ではないでしょうか。

 プロバイオティクスとは大腸の中で働いている善玉菌の事を指し、健康を考える上で欠かす事の出来ない要因とされています。主にヨーグルトなどの製品で耳にする言葉ですが、プレバイオティクスとはその善玉菌のエサとなる物、プロバイオティクスが好んで利用する物質の事を指しています。

 プレバイオティクスの代表的な物としては食物繊維などが知られ、中でもデンプンの一種であり、胃や小腸で消化吸収される事なく大腸まで到達する「難消化性デンプン」は、有効なプレバイオティクスとして注目を集めています。

 難消化性デンプンは英語ではレジスタントスターチと呼ばれ、直訳すると耐性デンプンとなり、実際、中国では「耐性澱粉」と表記されています。消化に対して耐性を持つデンプンという意味で、耐性が完全ではなく、消化が難しいデンプンという意味から日本では難消化性デンプンという呼び名の方が一般化しています。

 デンプンはブドウ糖がたくさん繋がってできた高分子化合物ですが、ブドウ糖の繋がり方が直線的であるとアミロースと呼ばれ、枝分かれしているとアミロペクチンと呼ばれるようになります。難消化性デンプンはアミロースの強力なもので、結晶性が高められている事で消化酵素による分解を免れているために消化吸収されないという性質をもっています。

 プレバイオティクスは大腸の中でさまざまな菌によって発酵され、脂肪酸となる事で健康に貢献するとされますが、難消化性デンプンは発酵される事で多くの酪酸を生じると考えられています。酪酸は大腸の表皮細胞が最も好むエネルギー源であり、大腸の細胞を正常化したり、損傷の修復を助ける働きが知られています。

 最近、難消化性デンプンが豊富な食事を摂ると、血糖値やインシュリンの上昇が緩やかになりますが、その効果が意外なほど長く持続する事から、朝食で難消化性デンプンの豊富な食事を摂る事で、昼食や夕食後の血糖値やインシュリンの上昇まで緩やかにする事が知られてきています。

 単純に消化されないデンプン、食物繊維の一環として見られてきた難消化性デンプンですが、これから注目が集まる成分となるのかもしれません。


 



第1275回 炭水化物注意     2009年06月26日

 健康的な生活を送る上で、よく悪者視される物の中にコーンフレークや精白された小麦粉を使って作られたパンといった、炭水化物を豊富に含む食べ物があります。炭水化物については、低炭水化物ダイエットなどの手法も紹介された事があるので、どことなく健康にマイナスイメージができつつあります。

 過体重、もしくは肥満の状態にある健康な中高年の男女を対象に調査を行ったところ、一晩絶食を行い、翌朝、血糖値が上がりやすいブドウ糖をはじめコーンフレーク、高繊維シリアル、水とGI(血糖値インデックス)順に設定されたいずれかの食品を摂ってもらい、上腕の動脈を超音波を使って血流の遮断前後の状態を計測し、血管の内皮機能の評価を行った結果、GIが高い(血糖値が上がりやすい)食品を摂取したグループでは、食後2時間以降の血管の内皮機能の低下が著しい事が判ってきています。

 すべての被験者に期間を開けながら4種類の食品を、すべて試してもらう事で個人差による誤差を省いても同様の結果が得られる事から、高GI食品は血管の内皮機能に悪影響を与えるという結論が得られています。

 また、別の研究では食事内容から炭水化物の量を減らす事で満腹感が増し、食事量を減らす事が可能という結果も出されていました。高タンパク低脂肪は健康の基本のように言われますが、それに低炭水化物を加える必要があるようです。同じ炭水化物でもオートミールや野菜、果物、豆類、ナッツ類などはGI値が低い食品とされているので、食事内容はGI値を元に考えながら設定する必要が感じられます。食事が難しく思えてきました。


 



第1274回 優れ物     2009年06月25日

 身近にある物で、目立たないけど意外な優れ物という事で上げていくと、結構な数がある事に気付きます。その中の一つにマヨネーズの容器を入れておくと、文字通り意外なと思われてしまいそうですが、マヨネーズに容器は紛れもない優れ物と言えます。

 マヨネーズは植物油、卵黄、塩、酢などのシンプルな素材で作られ、保存料を含んでいません。植物油や卵黄が含まれているのに何故と思ってしまうのですが、含まれる塩や酢の作用、油分と水分が混じり合った乳化した状態などの微妙なバランスによって高い保存性を保っています。

 そんなマヨネーズの弱点と言えば、材料の一つである植物油の酸化で、油分の酸化によって腐敗した状態にはなりませんが、風味が落ちて美味しさが損なわれてしまいます。そのため、マヨネーズを入れておく容器には酸素を遮断する事が求められます。

 現在、マヨネーズのほとんどはビンか半透明の柔らかいソフトチューブに入れられて売られています。ビンは通気性が全くない事から、マヨネーズを酸素から遮断してくれ、油分の酸化を防いで風味を長く保ってくれます。そのため、同じ製品でもビン入りの方が美味しいと言われる事が多く、理由があるとすれば酸素の遮断性を上げる事ができます。

 しかし、ビンの遮断性が優れているのは、あくまでも開封前までの事で、一旦ビンの口を開けてしまうと開口部が大きい事もあって、多くの酸素とマヨネーズが接してしまう事になります。

 それに対し、ソフトチューブは酸素の遮断性こそビンよりも落ちますが、開口部が小さく使った分だけ潰れていく事で、マヨネーズが酸素に触れる事を極力小さくしてくれて保存性を高めてくれます。

 ソフトチューブに使われている半透明のビニールに見える素材は、水を通さないポリエチレンでできており、プラスティック製品の中では最も安全性が高い素材と言われています。ポリエチレンは水は遮断できますが、酸素を遮断する事はあまり得意とは言えないので、酸素の遮断にはEVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)という素材をはさみ込む事で酸素の遮断性を持たせています。

 一見一枚物に見えるソフトチューブですが、一般的な物でも5層構造やそれ以上という物もあり、見えないところに意外な工夫がされている事になります。多層構造にする事によって最後まで美味しい風味を保ってくれるのですが、厚みが出てしまい、その復元力で最後まで完全に使えないという不評をかってしまう事もあるのですが、酸素を遮断し、中身を守って破裂する事なく、しかも粘度があるマヨネーズが押し出される際や容器に圧力が加わった際に、口の部分などの破損を免れるといった多くの要件を満たした容器形態とも言えます。

 使い分けなどで本数が増えたりすると圧迫感を感じたり、ビン入りをスプーンですくって使う方がちょっとお洒落に見えたりもするのですが、短期間に使いきってしまわない事を考えると、やはりソフトチューブを選ぶのが正しいように思えます。某大手メーカーのビン入りの製品は、ビンの側面に描かれたウサギの絵が定期的に変わるので、ついつられて買ってしまうのですが、工業製品としての工夫という点では圧倒的にソフトチューブと言えるのかもしれません。


 



第1273回 丸輪さん?     2009年06月24日

 子供の頃、ギョウチュウの検査の為に学校からセロファン製の採卵式検査シートを渡される事があり、子供心に独特の検査方法が強烈な印象として残されていました。当時はギョウチュウ検査「ポキール」としか認識していなかったのですが、後に多くの事を知る事となります。

 ギョウチュウ検査「ポキール」と思っていた検査シートは正式名称を「ウスイ式ぎょう虫検査・セロファン2回採卵式」と言い、駆虫薬「ポキール」の販促品として作られた物で、ポキールという名前は駆虫薬の事で検査シートを指すものではありません。

 ポキールという名前は、すでに製品化して売られていた駆虫薬「ポバン」と「バンキュール」を合わせて作り出された和製英語とされ、そのポキールを使ってくれる患者を探すために使われていたのがセロファンの検査シートだったという事になります。

 また、検査シートに添えられた説明書にはキューピーが描かれ、一目で使い方が判るようにしてあったのですが、そのキューピーも本物のキューピーではなく、キューピーに酷似した「丸輪太郎」なる人物という事で、髪型や背中にある小さな天使の羽には思わず苦笑してしまうものがあります。

 丸輪太郎の丸輪は、検査シートの検査範囲を示す丸印から付けれたものとされ、丸い輪の中心部には「+」が書かれていてその部分を中心に貼り付けるための物と考えられていますが、どちらかと言うと「+」は顕微鏡で検査する際の中心目安に書かれているそうです。

 検査シートは、ほぼ全校生徒が使用した事とは思いますが、なかなか本製品のポキールにまでたどり着いた生徒はいなかったようで、噂に聞く赤い錠剤を見た事はありません。ポキールは発ガン性が指摘された事から1990年に製造が打ち切られ、「コンバントリン」や「パモキサン」に代わっているため、今では陽性反応を示したところで誰も手にする事はありません。

 ポキールが製造されていない以上、検査シートの袋にポキールの名前が書かれている事はないはずなので、あの検査シートをポキールと呼ぶ事もないのかと思い、これも世代を判断する要素の一つとなっていくのかと考えてしまいます。

 ターゲットスコープのようなどことなく凛々しくさえ見えてしまうセロファンを懐かしく思い出してしまうのですが、同じ世代でも関東地方の一部では丸に「+」ではなく渦巻き模様が記されていたと言います。こちらはポキールではなく、ピンテープと呼ばれていたとの事なので、ポキールとは世代と地域に紐付くキーワードとなるのかもしれません。


 



第1272回 大量消費薬     2009年06月23日

 古い時代のアメリカを描いた映画を見ていると、頻繁に白い錠剤を服用している姿を見かけます。頭痛薬のアスピリンを服用している場面で、特にマフィアが出てくる映画で多く見かけるように思えるのは、禁酒法や大恐慌といった社会的ストレスを背景にアスピリンが一気に普及した事を伺う事ができます。

 アスピリンは脂肪酸のアラキドン酸から作られる炎症や痛みを発生させる物質、プロスタグランジンの生成に関わる酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX−2)の働きを阻害する事で、プロスタグランジンを作らせないようにして痛みや炎症を抑える効果を発揮します。

 プロスタグランジンはガン細胞の増殖にも関わっている事から、COX−2の活性を阻害してアラキドン酸からの生成を抑制するアスピリンはガン、特にCOX−2との関わりが深い大腸ガンの予防効果がある可能性が考えられていました。

 最近、その仮説が正しい事を確認する研究が発表されていました。ステージ1〜3の大腸ガン患者1279人を対象に約12年にわたって追跡調査を行った結果、大腸ガンと診断される前にアスピリンを定期的に服用していた場合、大腸ガンによる死亡率、全死亡率共に服用していない場合と比べて注目すべき差は見られていませんが、大腸ガンと診断されてから定期的服用を始めた場合では、服用していない場合に比べて大腸ガンによる死亡率が30%近くも低下する事が確認されています。

 大腸ガンと診察される前にはアスピリンを服用しておらず、診断後にアスピリンを服用を始めた患者に顕著な結果が出ていて、大腸ガンによる死亡率を半減させるという結果さえ出ていました。

 アスピリンは血小板の凝集を防ぐ働きがあるとされる事から、血管障害を防ぐという意味で常用されてきましたが、先日、血管障害の予防効果については否定的な見解が出されていました。今回の研究を受けて、大量消費され続けているアスピリンとの付き合い方がどのように変化するのか、ちょっと興味があるところではあります。


 



第1271回 パラドックスのその後     2009年06月22日

 すでに広く知られている事ですが、毎日適度に赤ワインを愛飲していると健康、特に心疾患を防ぐと言われています。フランスでワインの消費量が多い事から、あまり健康的とは言えないのではという予想の元に研究が行われ、結果的にその逆であった事からフレンチパラドックスと呼ばれていました。

 その後、研究が進み、ワインに含まれるポリフェノールの一種であるレスベラトロールに疾患予防効果がある事が突き止められていますが、細かなメカニズムについては解明が遅れているという実情がありました。

 レスベラトロールによってもたらされる利益は非常に幅広い事が知られ、ガンの予防から心臓や脳の損傷予防、加齢による炎症などの疾患の軽減、糖尿病や肥満の解消などがが言われ、その他にも多数の効能があると見られています。

 最近判ってきた事では、レスベラトロールは高濃度では細胞内にプログラムされていた細胞の死滅を発動させるアポトーシスを正常に発動させる事を促し、アポトーシスが正常に機能しない事で増殖を続けるガンを抑制するとされ、低い濃度では細胞を保護する働きを発揮して、細胞の損傷を減らす事で心臓の健康状態を改善する事が判ってきています。

 活性酸素を除去する働きや細胞への血液供給を向上する働きも確認され、身体を病気から遠ざけるさまざまな働きが確認されています。そうしたレスベラトロールの効果は消化管内や肝臓内はほとんど不活性化されてしまう事から、いかにして血液中に直接レスベラトロールが吸収されるかについては判っていません。

 今のところ推測ではありますが、ワインを口に含んで味わっているうちに口腔内の粘膜から吸収される事が考えられ、それであれば消化管内で不活性化される前に血液中に入る事が可能となります。健康管理としてワインを愛飲するのではなく、充分に味わって楽しむ事も大事なのかもしれません。


 



第1270回 品目減少     2009年06月19日

 野菜というと大根や人参、カボチャなどが頭に浮かび、文字から連想される野の菜、青菜などはあまり浮かんできません。お隣の中国では野菜は野の菜を指し、他の野菜、蔬菜とは区別して使われています。

 野菜の事を指す言葉に「青物」という言い方がありますが、青物と言われると野の菜の方が思い浮かべられるように感じます。この青物という言葉は、江戸時代に盛んに書かれた料理書によく登場し、実際に野の菜の事を指す例が多く見られています。

 最古の料理専門書とされる「料理物語」には、食材を大きく分けて海の魚、海藻、川魚、鳥、獣、キノコ、青物の7種類に分類しています。青物の中には、今では食材として扱われる事が少ないタンポポやヨモギ、アザミ、ケシの葉、大豆の葉、藤の葉なども含まれ、山野草が広く食材として使われていた事が示されています。

 幕末に書かれた「年中番菜録」には、目次の部分に「四季青物之部」と書かれているのに対し、実際の本文の見出しには「四季野菜之部」と書かれていて、幕末には青物と野菜の違いが曖昧になってきていた事が伺えます。

 ワラビやゼンマイといった山野草は季節が限られていますが、乾燥させる事によって年間を通して使う事が可能となり、野菜とは別な意味の食材となります。江戸時代初期の料理本である「料理物語」と幕末の「年中番菜録」では山野草の扱いが変わってきています。

 「料理物語」では多数の料理で扱われていた山野草の数が、「年中番菜録」では使われる数が限定されて少なくなってきます。流通の発達によって現在の野菜事情に近いものが確立され、畑で栽培される野菜が普及し、山野草が一般的でなくなってきた事が判ります。

 今日では売られる際にはすでに取り除かれていて、姿を見る事すら少なくなってきた大根やカブ、人参などの葉ですが、「年中番菜録」では本体の部分と同格に扱われていて、野菜という言葉が示す範囲が今よりも幅広かった事が判ります。野菜不足が言われる今の食生活、栽培技術や流通の進歩といった要因が品目を減らすという皮肉な流れに繋がっているようにも思えます。


 



第1269回 日頃が大事     2009年06月18日

 体重をBMI(ボディマスインデックス、肥満指数)21〜23と、標準とされる25付近よりやや低めにする事。成人になってからの体重の増加を避ける事。

 早足で歩くなどの軽い運動を、一日に30分。理想は1時間ほど行うか、少し激しめの運動を30分ほど行う事。テレビを見るなどの座りがちな行動を控える事。

 果物、野菜、全粒穀物などの植物性の食品を多く摂り、糖分の多い食事、加工食品、ファーストフードをなるべく避け、肉類を週500g以内に抑える事。

 塩分の摂取を一日に2.4g以内に留め、アルコールは女性で一日に1杯、男性で2杯程度に抑える事。それらを守ると良い事がありますと言われて、今まで言われてきたような事ばかりで、あまり具体的なイメージがないのですが、実践するとガンの発症率を3分の1に減らす事ができると言います。

 それらに禁煙を合わせると、さらにガンのリスクは半分になるらしく、ガンの発生をある程度避けられないと思いがちな現代人には良い知らせなのかもしれません。

 遺伝子の解析によって、ガンになりやすいというリスク要因が存在する事が解明されてきていますが、あくまでなりやすいというだけで日常の生活習慣次第では大幅にリスクが軽減されると言います。

 これまで健康の秘訣として言われてきた事ばかりではありますが、具体的な数値が判ってきた事で、健康は日頃の生活からという事が改めて提示されたようにも思えます。できる事から実践していく。それが大切なのかもしれません。


 



第1268回 新生活習慣病     2009年06月17日

 子供の頃、後ろの席の友達と話をしようと思い、身体の向きを変えようとして肘を背もたれの角にぶつけて、肘に痺れた感覚が走るというのは、意外と経験している人は多いのではないかと思います。

 大人になると不思議とそんな経験が減ってくるのは、用心深くなったというよりあの椅子に座らなくなった事が大きいようにも思えます。あの特有の痺れ感は、肘の部分にある尺骨神経をぶつけてしまった事によって起こっています。

 最近、その尺骨神経を損傷してしまう新たな現代病の報告が行われていました。医学的には肘部管症候群と呼ばれるもので、その原因と見られる行為から、「携帯電話肘」と呼ばれています。

 携帯電話で頻繁に会話をしたり、長話をしていると尺骨神経が圧迫された状態が長く続き、前腕や手に痺れや痛みが生じるというもので、携帯電話を耳に付けた姿勢による肘の部分の曲がりに問題があるとされ、尺骨神経が伸ばされて血行が悪くなり、神経の炎症が起こる事で症状が発生します。

 患者数の特定はできないとの事ですが、携帯電話の契約数の伸びと共に増加傾向にあると言われ、慢性化すると痺れが続いたり、筋力の低下、薬指と小指がまっすぐ伸ばせなくなるといった症状が起こるとされます。

 重症化すると手術や超音波治療の必要も生じるという事なので、携帯電話の利用頻度はそれほど高くはないのですが、先日、尺骨神経を損傷し、しばらく右手が使えなかった身としては充分に注意しなければと思ってしまいます。便利になると必ず弊害が出ると言われますが、これもその一環なのでしょうか。


 



第1267回 不味い効用?     2009年06月16日

 前回、虫下し用のチョコレートの不味さに触れましたが、駆虫剤という本来の機能から考えると、ずいぶんとましなところまで頑張った言えるのかもしれないと考えてしまいます。

 駆虫剤は体内の寄生虫を対外に駆除するためのもので、伝統的には生薬が使われてきました。大きく分けると寄生虫を麻痺させて動きを止めて排出しやすくする物、寄生虫を殺してしまう物の二つに分ける事ができ、寄生虫の卵が孵化するサイクルに合わせて複数回服用する事や、下剤と併用するなどの使用例が見られています。

 寄生虫を殺すとなると毒物という感じがして、進退に非常に悪いような気がするのですが、人体には無害である事が必須なので、寄生虫だけに作用する毒物である必要があります。

 虫下しという事で特に意識されるギョウチュウやカイチュウ、サナダムシといった寄生虫は主に腸内にいます。腸内はほとんど酸素が存在していないという特殊な環境にあり、わずかでも酸素があれば肺かエラで呼吸できるのですが、それもできない状態になっています。

 そのような環境下、寄生虫はどのようにして呼吸しているかというと、酸素を使わずフマル酸をコハク酸に変換する事でエネルギーを生産するというフマル酸呼吸を行っています。酸素呼吸と比べると、非常に効率が悪いとされますが、酸素がない環境下で生きていくには最良の選択ともいえます。

 酸素の代わりにフマル酸を使い、最終的にコハク酸を生じる事で電子伝達系を完結させますが、そのフマル酸からコハク酸へと変化させる酵素の働きを止めると、寄生虫は呼吸困難になって死んでしまう事になります。人には害にならず、寄生虫だけに作用するという背景には、そうした部分への着眼があります。

 最近、すい臓や大腸のガンが周囲に血管がなく、酸素が乏しい状態でも盛んに増殖を行い、細胞内にコハク酸の高濃度の蓄積が見られる事が判ってきました。

 ガン細胞も寄生虫と同じ呼吸法を行ってエネルギーを得ているのではという仮説の元に、ガン細胞に虫下しの成分を投与するとガン細胞が死滅する事が判ってきました。ガンの治療に新たな血管の生成を抑制する「新造血管抑制剤」が使用される事があります。それでも増殖を続けるガン細胞が見られますが、虫下しと併用すると効果を上げるように思えます。不味いチョコを食べてガン治療とはならないと思いますが、有効な治療法の確立には期待したい思います。


 



第1266回 不味いチョコ     2009年06月15日

 自他共に認めるチョコ好きで、結構な種類、量を食べているのですが、その中で一番のお気に入りは?と聞かれてしまうと、ちょっと悩んでしまうかもしれません。逆に今までで一番美味しくないと思ったチョコレートは?と聞かれると、迷わず自分で作っていてミルクを入れるタイミングを間違ってしまった物か、試食させてもらった虫下し用のチョコと即答する事ができます。

 チョコレートを作る際、何故ミルクを入れるタイミングを間違えると激不味のチョコレートになってしまうのかについては、ちょっと話が複雑になってしまうので別の機会に回すとして、今回は虫下しのチョコレートについて話をしたいと思います。

 虫下しのチョコレート、虫下しという言葉から判るように駆虫剤の一種なのですが、言わずと知れた体内の寄生虫を退治する薬です。薬なのに何故チョコレートなのかというと、複雑な歴史がその背景には隠されています。

 昔はセンダンや藁、ザクロ、柿などが駆虫剤として使われていたと言いますが、第二次世界大戦の直前頃からカイニン酸が含まれる天草を使った「マクリ」と呼ばれる薬剤が使われるようになります。

 マクリは効果が3割程度と低い割には不味いという欠点があり、好まれるものではなかったと言います。当時、農作物の肥料に人糞を使った事から、一気に寄生虫が蔓延し、児童の9割が寄生虫に冒されていました。児童に駆虫剤を飲用させる事は急務と言えました。

 しかし、子供には我慢ができないほどの不味さが当時の駆虫剤にはあった事や、国民病とされていた結核の対策が優先されて寄生虫の対策は充分とはいえない状態となっていました。

 そんな中、駆虫剤をチョコレートに混ぜる事で子供に好まれるようにするという案が出されます。今よりもはるかに高級品であったチョコレートであれば駆虫剤の不味さをごまかせるだけでなく、子供に好まれると考えられました。

 物資不足であった事から、サツマイモのデンプンから作ったブドウ糖に駆虫剤を混ぜて、ココアを入れてチョコレートと称した事から始まっていますが、アンテルミンチョコレートという洒落た名前も付けられています。

 アンテルミンの語源は、アンチと寄生虫を意味するヘルミンスから作られた言葉で、対寄生虫チョコレートという意味を持っています。駆虫剤という機能は有していましたが、それまでの駆虫剤のような耐え難い不味さがない事から、「良薬、口に苦し」という固定概念を持つ薬局では取り扱いを敬遠されたという話も残されています。

 その後、製造メーカー自身の地道な努力もあって、アンテルミンチョコレートは広く普及し、学校で行われる寄生虫の検査に何らかの反応が出ると、アンテルミンチョコレートが利用されるようになっています。たくさんの子供達を寄生虫から救ったアンテルミンチョコレートですが、寄生虫の減少に伴い姿を見かけなくなっていきます。

 チョコレートとしては、あまりに薄っぺらい感じの味だけが印象に残されていますが、ブドウ糖に駆虫剤を溶かしてココアを混ぜただけの物からの発展形と思えば、ずいぶんとチョコレートに近付いたと評価すべきなのかもしれません。


 



第1265回 米料理3品     2009年06月12日

 当地、阿蘇の名物に阿蘇高菜があります。その阿蘇高菜を使った名物料理として、高菜飯をメニューに載せている店も多く見られます。メニューの書き方によっては高菜ピラフ、高菜炒飯と記載されている事があり、ちょっと疑問が沸いてきてしまう事があります。

 普段、何気なく食べているピラフと炒飯、焼き飯。一見同じように見えても、実は別物として明確な違いが存在しています。あまりこだわる必要はないと思うのですが、気を付けて見ていると意外と混同されている事が楽しく見えてきます。

 ピラフは生の米を油でよく炒めて、ブイヨンで炊き上げる料理を指します。フライパンでは炒めるというより、焦げ付かないようにかき混ぜながら炊いているという方が正確で、炒めて仕上げる炒飯や焼き飯とは異なっています。

 炒飯は炊き上がったご飯を使って作られます。よく熱した中華鍋に割りほぐした卵を入れ、卵に絡めるようにご飯を炒めていきます。この卵とご飯の関係が炒飯と焼き飯を分けるポイントで、焼き飯はご飯を炒めてしまってから卵を加えます。

 3つの料理の中でピラフだけがかけ離れているように思えますが、中華料理のお隣り、台湾の炒飯はスープで炊き上げたご飯を炒めて仕上げられます。そうなると境目が曖昧になってきた気がするのですが、実は大元をたどると一つの料理に行き着いてしまいます。

 インドの料理で「プラーカ」と呼ばれる米を使った料理があります。このプラーカがトルコに伝えられ、「ピラウ」と呼ばれる料理となりました。ピラウはヨーロッパにも伝わり、フランスでピラフと呼ばれるようになり、時を同じくして東側へ伝わったプラーカは中国で炒飯の原形となっています。

 中国から伝えられた炒飯は、関西で粉物と呼ばれる食文化の影響を受け、メインとなる食材を先に鉄板で焼き上げるという部分が焼き飯のご飯を先に炒め、後で卵を加えるという調理法に繋がっています。改めて掘り下げてみると、シンプルなようで意外と奥が深い、そんな一面に気付いてしまいます。


 



第1264回 不思議甘味     2009年06月11日

 日中の気温が高くなり、冷たい飲み物がほしくなる事も増えてきました。最近は、相変わらずお茶関連の売れ行きが好調らしく、コンビニエンスストアの清涼飲料水のコーナーを見てもお茶関係の商品の比率が高く、炭酸飲料などはかなり少なくなっている印象を受けます。

 年間を通し、炭酸飲料を口にする事がほとんどない身としては、最後に自分用に購入したのはいつの事だろうと考えてしまうのですが、購入時はラベルの裏面の表示を見て、含まれる成分名を見て楽しんでいたりします。

 最近、見た感じではカロリーゼロを標榜する物が多く、成分を見てみるとアスパルテームを含む物が大勢を占めているように思えます。

 さまざまな意味でアスパルテーム嫌いの私としては、それ以外、カロリーゼロではない製品へと目が行くのですが、通常の甘味料を含む製品のラベルには、「ブドウ糖・果糖 液糖」という表示が見られます。

 「ブドウ糖・果糖 液糖」とは、ちょっと判りにくい物のように思えますが、元となっているのはデンプンで、デンプンを分解して作る水飴が原料となっています。

 デンプンを分解すると水飴が得られます。水飴は麦芽糖が元になっていて、麦芽糖はブドウ糖が二つ繋がってできています。その麦芽糖をさらに分解してブドウ糖が得られますが、ブドウ糖は上品な甘さを特徴としています。上品な甘さは良いのですが、あまり甘くないので「転換酵素」を用いて甘味が強い果糖へと変化させ、甘さを強化させます。

 ブドウ糖と果糖は化学的には同じ分子式を持ち、構造が微妙に異なる異性体として存在しています。転化酵素には、そんな微妙な分子構造を変化させる働きがあるのですが、ちょっと困った特性があり、ブドウ糖を果糖へと変化させてくれるのですが、果糖と出会うとブドウ糖へと変化させてしまいます。

 そのため、ブドウ糖を転換酵素で変化させると、ブドウ糖と果糖を半分ずつ含む液糖となり、合わせて砂糖と同じような甘さとなります。甘さは砂糖と同じでも、原料がデンプンである事から製造コストが大幅に安い事から、砂糖を押し退けて使われる事となっています。

 「ブドウ糖・果糖 液糖」と言われると、何を指しているのか判らない感じがしてしまいますが、製造方法による仕方ない部分を考慮すると、納得がいく表示のようにも思えてきます。


 



第1263回 最新報告     2009年06月10日

 人生の質という点で大きなマイナス要因と考えられている認知症ですが、患者数の増大の割には治療法や発症に関するメカニズムの解明という点では遅れている感じがしてしまいます。そんな認知症の大きな原因の一つとなっているものにアルツハイマー病があります。

 アルツハイマー病は特殊なタンパク質、アミロイドβの蓄積が関わっているとされます。アミロイドβが繊維状になって脳内に溜まり、神経細胞を死滅させる事で起きていると考えられていますが、認知症の症状を示し始める段階ではアミロイドβの蓄積はかなり進んでいるという状態にあり、治療は困難とされる事が常態化しています。

 そんなアルツハイマー病に関して、興味深い研究結果が報告されていました。一つは、アミロイドβとは別のタンパク質の増加量を測定する事で、アミロイドβの増加量を測定できるというもので、認知症の初期症状とされる物忘れの症状が発生する以前からアミロイドβの蓄積を検査する事ができると言います。

 アミロイドβが作られる仕組みと同じ仕組みで別のタンパク質の断片であるペプチドが作られているという事に着目し、遺伝性のアルツハイマー病の患者の腰椎から接種した髄液を分析したところ、3種類のペプチドが脳内のアミロイドβの蓄積量に比例して増加している事が突き止められ、アルツハイマー病の早期発見の指標となると考えられています。

 もう一つの報告は、霊長類の中で人だけがアルツハイマー病になるという事が以前から言われていましたが、その理由が明らかにされています。進化的に最も近いチンパンジーをはじめとする霊長類でも、脳内にアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの蓄積を示すプラークと呼ばれるアミロイド斑が見られます。

 人以外の霊長類でもアミロイドβの蓄積が見られるのに、アルツハイマー病の症状が人にだけしか見られない理由について、これまでプラークの増加を知る際の指標とされてきた標識分子が人以外の霊長類のプラークには付着しにくい事から、同じプラークでも基本構造が異なる可能性が示唆されてきています。

 アミロイドβの塩基配列の違いがプラークの構造の違いに繋がっているという仮設が立てられていますが、何故構造が違うのか解明されれば、プラークの毒性の違いが判ってきます。早期発見と治療法の確立に繋がるかもしれない二つの報告の今後に期待したいと思います。


 



第1262回 過信注意     2009年06月09日

 梅雨の時期が近付いてきて、何かと菌への備えが必要なようにも思えてきます。菌への備えという事で最近はさまざまな除菌グッズが売られていますが、真っ先に思い浮かぶのはアルコールではないでしょうか。

 アルコールにはタンパク質を固める作用があり、それでいろいろな菌を殺菌してくれます。つい万能と思いがちなのですが、意外とアルコールが効力を発揮してくれる菌は少ない事はあまり知られておらず、逆にすべての菌を殺せる殺菌剤と思われています。

 人々の期待とは裏腹にという感じで、菌の一種である酵母菌はアルコールを自ら作り出す力を持ち、空気中にたくさんいる酢酸菌はアルコールをエサに酢を作り出しています。アルコールで消毒をして一安心した後、酸っぱい臭いが立ち込めてしまうのは、エサをもらえて酢酸菌が喜んでいるとも言えます。

 漆喰の壁画を保護するためにアルコール消毒を行ったところ、壁面で酢酸菌が元気付き、せっせと酢酸を作り出してしまう事から、酸に弱い漆喰がボロボロになり、酢酸菌が作り出す多糖類の粘膜によって壁画の表面が覆われ、その粘膜を養分に黒カビが繁殖。その黒カビを退治するために、さらにアルコールを散布して自体を悪化させてしまう。そんな悪循環が貴重な古墳の壁画をダメにしてしまった事が以前報道されていました。

 報道では古墳の閉ざされた空間が外気に触れる事で汚染された空気が入り込み、あっという間に壁画をダメにしたという内容でしたが、背景にはアルコールへの過信があった事と思われます。貴重な壁画の損失からはしっかりと学ぶべき事は学び、この梅雨の参考としなければと思ってしまいます。


 



第1261回 こんにゃくに思う     2009年06月08日

 おでんの具というと、何を思い浮かべるでしょうか?いくつか候補が上がると思うのですが、その中にこんにゃくが入っているのではないかと思います。漫画などで串に刺されたおでんが出てきますが、串に刺された具材の先端で三角の特徴的な形をしているのがこんにゃくで、ある意味おでんの代表だとも言えます。

 しかし、おでんにとってこんにゃくは、ちょっと困った存在でもあります。簡単な実験で確認できる事ですが、こんにゃくを入れたおでんと入れていないおでんでは、他の具の固さに違いがあります。こんにゃくを入れたおでんの方が、明らかにこんにゃく以外の具材が固くなっています。

 同じ事はすき焼きでも言う事ができ、定番の具材、糸こんにゃくを入れると他の具が固くなってしまいます。そのため、すき焼きを作る際は、糸こんにゃくを最後に入れるようにします。

 具材を固くしてしまうのは、こんにゃくに含まれるカルシウムで、こんにゃくをカルシウムを多く含む食品として紹介する書籍もあるくらい多くのカルシウムがこんにゃくには含まれています。こんにゃくの原料となるこんにゃく芋にはカルシウムがそれほど多く含まれている訳ではなく、こんにゃくを固めるために使われる添加物、「水酸化カルシウム」によってこんにゃくのカルシウム含有量は飛躍的に向上しています。

 こんにゃくを固めるにはアルカリ性とカルシウムが必要で、そのために水酸化カルシウムが使われています。同じ理由からアルカリ性の卵殻カルシウムや貝殻カルシウムなどが使われる事もあり、アルカリ性が弱い方が味が良いという意見もある事から使用している製品が増えてきています。

 食べ物の多くは酸性を示します。食べた時に酸っぱさを感じる食べ物はかなりの酸性を示し、酸っぱさを感じずに美味しいと感じる物でも弱酸性を示しています。アルカリ性を示す食品はえぐ味を感じる事が多く、その点でアルカリ性が弱い凝固剤を使ったこんにゃくが好まれると考えられます。

 こんにゃくを作るためにはそうした凝固剤の使用が不可欠なので、無添加のこんにゃく作りというのは考えられない事となってしまいます。本来、こんにゃく芋は白い色をします。そのため、できあがるこんにゃくも白い色をしているはずなのですが、一般的に見かけるこんにゃくは黒っぽい色をしています。

 黒い色にする理由は、西日本で行われていたこんにゃく芋をすり潰して作る製法の名残とされ、芋の皮が含まれて黒くなっていた事を再現しています。この黒い色は着色料かと思ってしまうのですが、アラメやヒジキなどの海藻を使っている事から色を付ける目的の物でも添加物ではありません。製造上不可欠な物が添加物であり、それらしく見せるための物が添加物ではない。こんにゃくを見ていると食品の不思議を感じてしまいます。


 



第1260回 接種入院     2009年06月05日

 先日、アメリカの胸部学会において、毎年インフルエンザワクチンの接種を受けている小児の中で、特に喘息のある小児は、接種を受けていない小児よりも入院する比率が高いという報告が行われていました。予想外の報告という事で、ワクチンに何か不備があるというよりも医師の認識に問題があるのではと考えられています。

 今回の知見に関しては慎重に解釈するべきだという指摘があり、不明な点が多いという意見もあります。現在、米国では6ヶ月〜18歳までの子供はもれなくワクチンを接種する事が勧められ、5歳未満の子供と接触する家族や保育者にもワクチンの接種が勧められています。

 今回の研究は、1999〜2006年までにインフルエンザの診察を受け、インフルエンザである事が確定している6ヶ月〜18歳の子供、263人を対象に行われ、毎年不活性化インフルエンザワクチンを接種していた小児は、接種を受けていない小児のほぼ3倍の比率で入院していた事が判っています。

 ワクチンが入院の原因となっているとは考えにくいとされ、単純に入院を予防するという点で予防接種が役に立っていない事を示していると強調されていましたが、有効ではない事が示されたというのであれば、接種、未接種の小児の間で同じような数値を示すはずです。

 日本では喘息の症状がある場合、予防接種を行わない事が通例となっています。18歳までの小児にもれなくという予防接種の行い方に問題の一端があるように思えてしまいます。


 



第1259回 肥満の功罪     2009年06月04日

 最近、医師を困惑させる統計結果として、「肥満パラドックス」と呼ばれるものがあります。肥満はさまざまな疾患を引き起こす原因の一つと考えられ、特に心疾患には悪影響を与えるとされています。肥満によって心疾患のリスクが高められ、症状が発症する事に繋がりますが、一旦発症した後、肥満が症状の悪化を抑えているという可能性が示唆されてきています。その促進と抑制という相反するものが同居する不可解な働きが、「肥満パラドックス」と呼ばれる現象です。

 肥満は心疾患のリスクを大幅に増大させますが、高血圧や冠動脈の閉塞、抹消動脈の障害などを発症すると、肥満の患者の方がやせた患者よりも経過が良好で、生存率も高いという事が数年前から報告されるようになっています。

 心疾患の患者25万人を対象とした報告では、40の研究データを検討した結果として、肥満が糖尿病や高血圧をはじめとした多数の疾患の危険因子となるだけでなく、肥満自体が独立した危険因子となるしながら、肥満によって心疾患に対する良好な経過がもたらされたと判断できるとしています。

 しかし、肥満が良好な結果をもたらすので、肥満を容認すべきだとはしておらず、あくまで肥満は軽減される方が良く、最も心疾患の経過が良いのは、減量を行っている肥満の患者としています。

 肥満パラドックスについてはいくつかの説明が考えられており、肥満の患者はやせた患者よりも疲労感や呼吸困難などの症状を感じやすく、早期に医師に相談する傾向があり、治療が早めに行われているというものや、日頃から重い体重を支えるためにエネルギーの蓄積量が大きく、それが疾患と闘う元になっているというもの。やせた患者が心疾患になる原因として、別な疾患が潜んでいるため、重症化しやすいなどの意見もあります。発症後の経過が良好とされても、最も良いのは発症しない事だという事を考えると、やはりダイエットが必要なのかもしれません。


 



第1258回 新鮮神話     2009年06月03日

 日頃、食に関する扱いを見ていると、新鮮神話が浸透している事を強く感じてしまいます。確かに新鮮な食べ物は栄養の損失が少なく、美味しく感じる場合が多いと思います。しかし、新鮮である事がすべての価値において勝るという扱いには疑問が生じます。

 グルメ番組などを見ていると、レポーターの方が漁船に同乗し、船上で釣り上げてすぐの魚を刺身にして食べているというシーンを見かけます。その場でしか味わえない特別な味覚で、これまで経験した事のない美味しさとして表現されていますが、釣りたての魚はアミノ酸の分解が進んでおらず、旨味成分が少なめなので、味が淡白すぎて美味しくない事を理解しているとその場面が白々しくしか見えなくなってしまいます。

 自分はどうなのかというと、やはり製造年月日の新しい物を買い求めてしまいます。缶詰などは保存食である事から、しばらく経って味が染み込み、美味しさが最大になるように設計されている事を知りながら、つい製造後間もない物に手が伸びてしまいます。

 そうした事が影響しているのか、賞味期限表示になっても製造年月日の記載は続いています。食品の表示が賞味期限表示に変わった際、必要が無くなった製造年月日の表示を止めていれば、某有名和菓子の製造年月日偽装という問題は生じなかったと思います。

 和菓子という性質上、非常に日持ちがしない事から、できたての物を冷凍して保存し、解凍した日を製造日としていた事が問題視されていましたが、日持ちのしない食品を安定的に供給するという意味においては、優れた運用だった評価する事もできます。

 天候などさまざまな要因に左右される来店者数と、その中から商品を買ってくれる人の数、売れる商品数を正確に予測する事はほとんど不可能な事に思えます。経験を駆使して予想しても売れ残りが生じればそれは損失となり、足りなければ利益を上げ損なった事になります。

 列に並んで順番を待っていて、製造能力の限界から売り切れとなるのならば納得もいきますが、「これ以上作ると損をするかもしれないので本日は終わりにします」では腹立たしさしか感じられません。

 充分な数を用意するために廃棄分を考慮すると、それが製造原価に上乗せされる事から、商品代金の上昇は避けられない事となってしまいます。それを回避する上では、冷凍保存して必要数を解凍して供給するという事は良い発想だと思います。

 製造工程の一環として冷凍して熟成させるなどの一言を添えて、それが浸透していれば問題なかったのかもしれませんが、製造された後、冷凍されて保存され、出荷のために解凍された日を製造日とした事が、冷凍による保存期間が存在しないかのように思わせていた事は問題だと言えます。

 結局は製造から出荷までの正確な工程を開示せず、勝手なイメージを定着させていた事に問題があった訳ですが、新鮮神話からくる製造年月日表示に端を発した問題だったように思えます。最近は冷凍技術も向上して、冷凍していた物を解凍してもほとんど冷凍前と遜色ない状態に戻りますが、それでも解凍物というと価値が落ちてしまうように感じるのは、新鮮神話に毒されているからかと思えてしまいます。


 



第1257回 種と挽き方     2009年06月02日

 麺というと何を思い浮かべるでしょうか。うどん、そうめん、ラーメン、パスタ...、いずれも小麦粉から作られています。同じ小麦からと言っても、それぞれの麺にはすいぶんと質感に違いがあります。

 うどんやそうめんといった和の麺が小麦粉そのものの白い色をしている事に対し、中華麺のラーメンや洋麺のパスタは黄色い色をしています。中華麺が黄色いのはアルカリ性のかん水を加える事で小麦粉の質が変化し、特有の黄色を発色しています。パスタはかん水は用いませんが、卵を使う場合がある事と元になる小麦粉の色によって黄色い麺に仕上がっています。

 パスタの原料となる小麦粉は、デュラムセモリナと呼ばれる特別な物で、本場イタリアでは1967年にパスタ法を定め、乾燥パスタにはデュラムセモリナと水で作る事を生産業者に義務付けています。

 デュラムセモリナのデュラムとはデュラム種の小麦の事を指し、うどんやラーメンに使われる小麦よりもタンパク質が多く、こしが強い麺を作る事ができます。デュラム種の小麦はガラス質と呼ばれる半透明の胚乳が特徴で、それが仕上がりの麺の色に関係しています。

 デュラムセモリナのセモリナは小麦の挽き方の事で、小麦を粗く挽くセモリナ挽きの事を指しています。デュラム種の小麦を粗く挽くというデュラムのセモリナ挽きがデュラムセモリナで、粗引きによってできる表面のざらつきがパスタソースへの絡みの良さに繋がり、美味しいパスタの条件となっています。

 和の麺の場合、茹で上げると必ず水洗いして表面のぬめりを取ります。パスタの場合、茹で上がりを水洗いする事は絶対にありませんが、それには水洗いする事で表面のざらつきを失ってしまう事を防ぐという意味もあるとされます。

 また、パスタの美味しい茹で加減としてアルデンテという言い方をされます。アルデンテとは、歯ごたえがあるという意味があり、麺の中心部に鍼の頭ほどの芯が残る茹で加減とされます。

 もともとこしが強い麺に芯が残る茹で加減を施すため、麺自体にぬめりが生じない事から、パスタは水洗いをする必要がないとも言えます。パスタを茹でる事は、よく子育てに喩えられます。かまい過ぎてもほったらかしにし過ぎても駄目とされ、適度にかき混ぜる距離感が大事とされます。ほったらかすと麺がくっついたり茹でムラが生じ、かき混ぜ過ぎると麺同士がこすれあって表面のざらつきを損なってしまいます。パスタの茹で方を子育てに喩えるあたり、イタリアの食文化を感じてしまいます。


 



第1256回 黒紫     2009年06月01日

 以前、手作り石鹸に使おうと黒米をアルコール抽出した事があります。黒米をエタノールに浸し、湯銭してゆっくりと温度を上げていくと、すぐにエタノールが透明な紫色へと変わっていきます。黒く見えていたのは紫が濃かっただけで、もともとは紫であった事が判ります。

 黒米は米の一種で玄米の色が黒く、主に種皮の部分に色素が集まっていてます。糠の部分にも色素が含まれているので、五分突きにしておくと紫の米粒になる事から、紫米、黒紫米と言われる事もありますが、精米して糠を完全に取り除いてしまうと白米と同じになってしまいます。

 黒米は古い品種とされ、世界的にも広く分布しています。大きく分けると粒の長さが短いジャポニカ種と粒の長さが長いインディカ種があり、インディカ種の方が多く栽培されています。

 滋養強壮に優れ、造血作用あるとされてきた事から、主食としてよりも薬膳のような料理の素材として使われる方が多く、中国では不老長寿の米として歴代の皇帝に献上されていました。献上品として使われた事もあって、祝いの品とされる事があり、おはぎの起源も黒米で作られたおにぎりからという説もあります。

 白米よりもタンパク質が多く、ビタミンB1、B2、ナイアシン、ビタミンE、カルシウム、マグネシウムなどが多く、民間の伝承では黒米を食べると若返るとまで言われてきたほどです。独特な紫色はアントシアニン色素によるものなので、活性酸素の除去に役立つ事もあり、確かに老化に対抗するには良い食材ではないかと思ってしまいます。


 



 

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