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第1376回 近代日本病?      2009年11月30日

 肩こりというと誰もが経験する事で、肩こりを感じていない人の方が少数派と言えるほど、多くの人が日々肩こりに悩まされています。それだけ多くの人に共通した悩みとも言える肩こりですが、意外と歴史は浅く、初めて肩こりらしき症状が文献に登場するのは夏目漱石の小説、「門」の中で「石のように凝っていた」と表現された事が始まりと言われています。

 それ以前の文献だけでなく、日本語以外の言語にも肩こりに相当する言葉は存在せず、肩こりは近代以降の日本固有の症状のように言われる事もあります。固有の症状である事から、日本を出国すると肩こりは解消されるという意見もありますが、真偽のほどは定かではありません。

 極めて短い期間に日本の国中という広範囲に拡大し、国民病と言えるまでに肩こりが浸透した事についてはいくつかの理由が推察されます。特に日本は明治維新という社会情勢の激変を経験している事から、その前後を検証する事で夏目漱石まで待たなければ肩こりの記載を見る事ができない理由が見付かるようにも思えます。

 肩こりの理由の一つとして、諸外国の人と比べて日本人は撫で肩の体型が多いという言い方をされる事があります。撫で肩は骨格による梃子の力が働きにくい事から、何かを持ち上げる力が肩の筋肉単体による部分が大きくなってくるので、日常の生活でも肩への負担が大きくなってしまうというものがあります。そのため日本人は肩に疲労を溜めやすいと考えられます。

 日本人は肩への意識が高い事が、普段の生活の中で肩の凝りを意識させてしまい、肩こりを疾患として顕在化させているという意見もあります。「肩の荷がおりた」「肩に重圧を感じる」「肩で風を切る」「肩を落とす」など、肩によって心情や状態を表現する言葉が多く、肩が露骨な自己主張をしない日本人の表現手段となっている事で、肩への違和感を感じさせ、肩こりを意識させてしまうと言います。

 明治維新を境に考えると、姿勢に関する事に肩こりの原因を見付ける事ができます。明治維新以降、近代国家となった日本は欧米列強に追い付くために、徹底した富国強兵策を進めます。その一環として行われたのが歩行法の変更で、軍隊式の手足が交互に前へ出される現在では一般的となっている歩き方が定着させられています。

 それまでの日本人の歩き方というと、手と足が同時に前後するというものであったと言います。日本人は猫背で前屈みな姿勢の上、草履を愛用していた事から足を引きずるような歩き方が定着していました。手と足を同時に前後する歩き方では背中や腰を不自然に回転させる必要がなく、前傾姿勢でも無理がなかったのですが、歩き方だけを西洋式にした事による身体的ストレスが肩こりを発生させたという考え方もできます。

 社会構造的に多面的なストレスが溜まりやすいという考え方もあり、多くの要因が複雑に絡み合って肩こりを生じているようにも思えます。リラックスした姿勢でいると仕事に集中していないように見えてしまうという思い込みも肩に疲労を溜める元凶となります。とりあえず思い付く限りの原因を取り除いていく事、まずは肩を回す事から初めてみましょう。


 



第1375回 天然、自然とミネラル     2009年11月27日

 身近な調味料である塩について、少々変化が見られています。改めて考えてみると当然の事なのですが、塩の商標名に天然、自然といった表現やミネラルという表示が使われなくなっています。

 天然塩、自然塩というとありがちな名前と思えるのですが、消費者の立場として天然、自然から受ける印象は大自然の中から取り出してきたそのままの状態というもので、岩塩ならばそれに適合するのかもしれませんが、海洋塩は海水を釜で炊いたり塩田で乾燥させたりという工程が加わり、必ずしも自然に得られたとは言えない物となっています。

 そのため天然、自然という表現は誤解を受けやすいという事で、使用が控えられる事となっています。また、ミネラルに関しても「ミネラルが豊富、ミネラルが含まれている」と表現される事がありましたが、塩自体が塩化ナトリウムであり、代表的なミネラルのナトリウムの塊である事から、ミネラルが豊富、ミネラルが含まれている事は明らかな事なので、ミネラルの表示は止め、全体的な栄養成分表示で正しく記載する事となっています。

 最近は一段落してきた感じがありますが、かつてはこだわりの塩によってミネラルを補給し、健康増進に繋げるという商品のアピールが広く行われていました。中でも海洋塩に含まれるにがりは注目の成分で、にがりのみを取り出して製品化した物も多く見られていました。

 にがりに含まれる成分の中で特に健康に関係すると考えられるがマグネシウムで、にがりが豊富とされる塩には1%程度のマグネシウムが含まれる事が考えられます。塩の1日当たりの摂取量を10g程度とすると、1%では100mg程度となり、塩の多くは自分で用意したこだわりの塩ではなく、加工食品から摂取される一般的な食塩である事を考えると、塩から摂取できるマグネシウムの量はかなり少ない事が判り、標準的な絹ごし豆腐1丁の含有量、200mgと比較しても見劣りがすると思えてしまいます。

 健康増進を意図したマグネシウムの補給という点では、塩に対し過剰な期待はできないように思えますが、塩に含まれる微量のミネラルには健康を支える働きがあるとも言われます。また、塩にミネラルを加える事で大きな健康効果を上げた例は多く、海から離れた地域でのヨードの添加や鉄分、亜鉛などを加えた塩が健康に寄与した例は広く知られています。相変わらず減塩風潮は続いていますが、上手に付き合いたい身近な存在でもあります。


 



第1374回 削減と回復     2009年11月26日

 地球温暖化、温室効果ガスの排出といった事に隠れた感じで、最近、オゾン層の存在やオゾン層に穴が開いてしまうオゾンホールについてあまり聞かれなくなったように思えます。

 オゾン層は上空の成層圏に含まれるオゾンの濃度が濃くなった高度2万キロから3万キロの範囲の事で、オゾンのみで構成されている訳ではありません。私達が呼吸している酸素が酸素原子が2つ繋がってできている事に対し、オゾンは3つの酸素原子が繋がってできています。

 そのためオゾン分子は不安定な存在で、通常は何か他の分子に酸素原子を一つ与えて安定した酸素分子の状態になってしまいます。そんな不安定なオゾンの濃度がオゾン層では濃くなっているのは、高度が高い上空という特殊な環境下でオゾンの生成と分解のバランスが取れている事を上げる事ができます。

 かつては冬場の南極大陸の上空で起こる極夜渦(きょくやうず)と呼ばれる特殊な空気の渦に閉じ込められ、渦巻きという物理的なエネルギーによってオゾンが急速に分解される事からオゾン層に穴が開くという、特殊な現象としてオゾンホールは語られていました。

 本来は特殊な現象であったはずのオゾンホールが都市部の上空でも観測されるようになり、オゾンホールが人類が放出した物質によって形成されている事が指摘されるようになると、オゾンホールの存在が重大な影響に繋がる事を懸念して1987年には「モントリオール議定書」が交わされ、オゾン層の破壊に繋がる物質の製造が段階的に中止されました。

 身近なところではスプレー製品のガスやクーラーや冷蔵庫の冷媒が、それまで使われていたフロンガスから代替フロンと呼ばれる物に代わっています。モントリオール議定書の発効以来、大気中のオゾン層破壊物質の濃度は低下に向かっているとされます。

 しかし、依然としてオゾンホールの減少は進んではおらず、かつて排出されたオゾン層破壊物質の影響が残っているためとも言われます。また、最近では温室効果ガスがオゾンホールに作用しているとも言われ、温室効果ガスの増加がオゾン層破壊物質削減の効果を妨げているとも考えられてきています。

 温室効果ガスのオゾン層への影響については、二通りの働きが考えられます。一つは温室効果ガスが熱を大気圏の下層部分に閉じ込めるために上層部の温度は低下し、オゾン層の破壊という化学反応の速度が抑えられるというオゾン層の保護機能で、もう一つは上層部の温度が下がる事から雲の中に氷の粒が形成され、氷の存在がオゾンの分解を加速してしまうというものです。

 オゾン層破壊物質の削減によって、大気中のオゾン濃度は徐々に増えてきていると言われますが、オゾンホールについては回復の兆しが見られていません。オゾン層破壊物質の排出量とオゾンホールの発生に単純な相関性が見られない事も、オゾン層を巡る問題の難しさを感じさせますが、オゾンホールによって地表にまで届いてしまった有害な紫外線の影響による皮膚ガンの発生には、比較的長い時間がかかるとされます。過去の影響がこれから出始めるという事も含め、大変な問題だとなってくるのではないでしょうか。


 



第1373回 角の謎     2009年11月25日

 食べるという事はほとんどないのですが、砂糖菓子といわれると何故か金平糖が真っ先に思い浮かんできます。広く知られている事ですが、金平糖は1546年、または1550年に南蛮菓子としてポルトガルから伝えられた物が元となり、ポルトガル語のコンフェイトが語源となっています。

 金平糖以外にも金米糖、金餅糖と表記される事もありますが、糖質という直接的なエネルギー源の塊である事を考えると、浄瑠璃の主人公で非常に勇猛な武士として描かれた坂田金平と関連付けられた事が推察される事から、金平糖の表記が適しているように思えます。

 日本に伝えられてから独自の発展を見せる金平糖ですが、独特な表面に多くの突起、「角」を持つ形状で親しまれています。今日、定式化が行われた結果として、正式な金平糖の角の数は24本とされていますが、かつて徳川幕府に献上する際の金平糖の正式な角の数は36本と規定されていたと言われます。

 金平糖の製造は氷砂糖を水に溶かして煮詰めて蜜を作り、核となるケシの粒を銅鑼と呼ばれる特殊な鍋に入れて回転させながら熱した蜜をかけて撹拌し、目的とする大きさと角ができあがるまで2週間近い時間をかけてゆっくりと成長させて仕上げます。

 金平糖の特徴でもある角ですが、実は金平糖最大の謎となっていて、何故角ができるのか、できた角が何故成長するのかについては、多くの数学者や物理学者の頭を悩ませてきました。

 金平糖の角に関する研究が本格化するのは1980年代に入ってからの事で、当時、盛んに研究が進められていたフラクタルやカオスなどの理論と関連して、数式による解析やコンピューターを使ったシミュレーションモデルを中心とした研究などが行われています。

 さまざまな研究の結果、実験室レベルで判っている事としては、金平糖の主成分となるショ糖の結晶は単斜晶系と呼ばれる長方体の形をしており、箱のような長方体の両端から角が出始め、徐々に成長しながら球体へと近づいていきます。

 最初に生える角の数は大きさに関係なく90本近くで、成長に伴って角の数は減少し、最終的には24本程度に落ち着いてくると言います。観察される事象として角の成長過程は判っていても、角の発生、本数の決定、角の成長、角の長さといった諸事項を決定する因子については相変わらずの謎となっています。

 以前、聞いたところでは、熱せられた鍋の表面を結晶が滑り落ちる際、球体ではない結晶が何度も弾みながら鍋肌の蜜に触れる事が、角の発生に繋がっているのではと金平糖製造に長く携わる職人のコメントがありました。

 単純作業のように見えて金平糖を上手に成長させる事は難しいと言います。熟練した職人でも丸一日、熱い鍋に蜜を注ぎ続けて1mmも金平糖を成長させられない事もあるそうです。そんな金平糖の気まぐれさも研究を難しくしているのかもしれません。

 献上品に定められた36本、定式化された24本、どちらも3の倍数である事が円周率と関係あるようで少々気になりますが、できれば金平糖の角はこのまま謎の方が楽しいように思えてしまいます。


 



第1372回 銀色の温故知新     2009年11月24日

 子供の頃、習字を習わされていた時期があり、日曜日の午前中は近所の習字の先生の家へと通うのが毎週の事となっていました。習字の先生はもともと教職にあった方のようで、高齢の穏やかな方であった事が今でも思い出として残されています。

 当時、高齢の方に多かった印象があるのですが、先生も仁丹を愛用しておられ、ハッカと生薬が混じった特有の香りと、硯に水を足しながら使われていた墨の香りは、ずいぶんと時を隔てていてもすぐに当時の日曜日の午前中へと引き戻してくれる感じがします。

 仁丹は製造メーカーである森下仁丹株式会社の創始者、森下博によって今から100年以上も前の1905年に開発されています。従軍して台湾を訪れた際、現地で伝染病に冒されてしまい、現地の人が清涼剤を口に含む事で伝染病に感染しないようにしているという知恵に触れた事が、後の仁丹開発に繋がったと言えます。

 当時は医療技術の発達が充分ではなかった事から、病気を治す事よりも病気にならない工夫が意識されていた事が伺え、単に清涼剤といった嗜好品の類ではなく、病を防ぐ物として開発された事が判ります。

 仁丹の語源は江戸時代に実在したとされる試し斬りにされた罪人の臓物を使った薬剤、人肝(じんたん)にあるという説がありますが、あくまでも俗説で、儒教の中にある「仁義礼智信」の仁に、薬剤名に「丸」や「散」といった文字と同じようによく使われていた「丹」を繋げて明治33年(1900年)に商標登録されています。

 仁丹の名前と共に親しまれている軍人の肖像、世に言う仁丹将軍については、実は軍人ではなく外交官だとされています。すでに世界的な視野に立ち、薬を広める外交官という意味が込められていたらしく、それを裏付けるかのように仁丹は現地で発音しやすいような現地ごとに微妙に異なるローマ字表記で書かれています。

 マークについては選定した創始者の言葉として、一度決めたからにはやすやすと変更するものではなく、誰が見てもよく判り、裏側からでも簡単に判るものでなくてはならないとされています。今日のブランディングの基本とも言える考え方が、すでに存在していたと言えます。

 今ではそのような感じはしませんが、かつては「仁丹と言えば広告」と言われていたほど広告に力が入れられ、存在自体が珍しかった飛行機を使ったビラ配りや電球を配して夜間でも仁丹の文字が読めるようにしたイルミネーション、電車沿線のホーロー看板、電柱に町名を記した案内板広告など、あらゆる広告媒体を駆使しています。

 丹には赤いという意味もあり、それを示すように仁丹も当初は赤い色をしていました。昭和4年になって現在と同じ銀色の粒が開発され、発売されて今日も銀色の製品が売られています。銀色には金属の銀、食用銀が使われていて、製品の視覚的な部分だけでなく銀イオンによる品質保持作用にも寄与していると言えます。

 子供の頃から古臭い印象を持っていましたが、病気を未然に防ぐ予防療法的観点や商標へのブランディング、その時々の最新のメディアを有効活用し、新たな広告手法をを編み出すメディア戦略、銀イオンの有効活用等、先端的な部分を多く持つ製品であると思えてきます。最近見かけなくなってきていますが、できれば次の100年も元気でいてほしい商品でもあります。


 



第1371回 11月の木曜日     2009年11月20日

 今年もボジョレー・ヌーヴォーの解禁日を迎え、ワインファンの方々を中心に、最盛期ほどではないにしてもそれなりの盛り上がりを見せているニュースが放映されていました。ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は、それぞれの国の現地時間で11月の第3木曜日と定められ、当日の午前0時を迎えると一般への販売が開始されます。

 地理的に日本は最も東に位置している事から、時差の関係上どこよりも早く解禁日を迎える事と、新物を珍重する日本人の気質もあって、日本は世界最大のボジョレー・ヌーヴォーの輸入国となっています。

 毎年、ボジョレー・ヌーヴォーとして、ワインとしては例外的に空輸されるボジョレー産の赤ワインは、ヌーヴォー仕様と呼ばれる他のボジョレー産のワインとは異なる製造工程で作られる物で、ブドウの収穫後、速やかに醸造してボトルに詰め、11月の出荷に間に合わせる事から、軽い仕上がりが特徴となっています。

 同じボジョレー産のヌーヴォーにボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーやボジョレー・○×・ヌーヴォーとラベルに表記してボジョレーの村や製造所名を冠された物があり、ブルゴーニュ地方南部に隣接した丘陵地帯、ボジョレーの中でも地域限定の物とされています。その年に収穫されたブドウのできを確認するためのテスト酒として、急速発酵技術を持ちいて数週間で仕上げられていてる物で、似たような名前ではあっても若干、ボジョレー・ヌーヴォーとは異なる物と言え、ボジョレーという産地を理解するには良い資料となるのかもしれません。

 フランスにはAOC(原産地統制呼称、原産地呼称統制)に代表されるような農業製品などへの認証制度があり、ボジョレー産のワインに関しても、使えるブドウの品種にガメ種とシャルドネ種という限定が行われています。シャルドネ種のブドウを使用したワインであれば白ワインとなる事から、白のボジョレー・ヌーヴォーも存在するのではと思ってしまうのですが、白ワインの生産はボジョレー産のワインの1%にすぎないというわずかなもので、ヌーヴォー仕様のワインは造られていない事から、白いボジョレー・ヌーヴォーは存在しないとされます。

 今年も無事に解禁日を迎えたボジョレー・ヌーヴォーではありますが、今年は少し趣の異なる物が見られています。見慣れたワインのボトルではなく、安価なペットボトルに入れられ、価格も抑えた商品が大手のスーパーや量販店の店頭に登場していました。

 世界的な景気後退を受けた価格設定、軽量なペットボトルを使用する事で輸送時の二酸化炭素排出量を抑えられてエコであるという苦しい意見もありますが、ワインの文化的背景や低価格化が実現した事で、減少が続いていたボジョレー・ヌーヴォーの販売数の好転に期待できるのではという問いかけに対するAOCボジョレー統制委員会のビュリア会長の発言、「経済的な利点よりも長期的展望に立ち、量より質を選ぶ」という一言には考えさせられるものがあります。

 ワインという固有の文化に関わる上で、安易に価格志向を持ち込んで良いものか、清涼飲料水で見慣れたスクリュー付きの注ぎ口からグラスへ注がれるワインを見ながら、無粋なものを感じずにはいられない解禁日となっていました。


 



第1370回 純粋注意     2009年11月19日

 ウィスキーの飲み方というと水割りが思い浮かびますが、ウィスキーを水で薄めてという飲み方は日本固有のものでもあり、ウィスキーの本場のイギリスやバーボンの本場、アメリカではほとんど見られません。ウィスキーの販売を日本で行う際、欧米人と比べて胃粘膜があまり強くない日本人でも抵抗無く飲めるようにという工夫から考案されたと言います。

 それほど胃粘膜が丈夫ではない日本人なのに、氷酢酸を誤って飲んでしまって、急性胃炎や化学性食道炎を起こすという事故が発生しています。問題の氷酢酸は酢の一種として韓国から輸入された物で、日本語の詳しい説明が添えられていなかった事から、珍しい外国製の清涼飲料水として誤飲されてしまったようです。

 氷酢酸は酢酸としての濃度が高く、純粋な状態に近い酢酸の事で、水分が少ないものは冬場でなくても気温が低い日などに凍ってしまう事から、氷酢酸という名前が付けられています。

 通常、日本では薬局へ行かなければ氷酢酸を入手する事ができず、購入する際も氷酢酸と指定せずに「酢酸を下さい」とだけ言うと、30%濃度の酢酸を出されます。中には氷酢酸を出して、「こちらの方が良いですよ」と薦めてくれる薬剤師もいて、ほとんど値段が変わらないのに、水で3倍に薄めて酢酸としてお得に使える氷酢酸を薦めてくれる事に良心的なものを感じてしまう事があります。

 酢酸は食酢などで身近な存在である事から、それほど意識する事はありませんが、ほとんど水分などを含まず、純粋な状態になった氷酢酸は引火性のある火気厳禁の危険物であり、腐食性を持った劇物であるという面を有しています。

 氷酢酸の酢酸濃度は99%近くとなっており、実験などで使う酢酸が30%程度、食卓に上る食酢が4〜5%程度の酢酸濃度である事を考えると、いかに氷酢酸が濃縮されたものであるかが解ります。

 そのため日本では氷酢酸を食用として売る事はなく、代表的な使い方としては写真を現像する際の停止液として使われていますが、韓国では海苔巻きや刺身のタレを作る際の調味料として食用の販売が行われています。それが今回の事故に繋がった事と思われます。

 食酢を飲むという健康法は広く定着していますが、一般的に食用として流通している合成酢でも胃粘膜には酸度が高いという指摘があります。合成酢の20倍近い濃度となると、考えただけでも怖いものがあります。用法、用量が理解できない物は口にしない。食の基本のように思えてしまいます。


 



第1369回 検査懸念     2009年11月18日

 最近、よく聞くようになってきた検査の一つに、乳ガンのマンモグラフィー検査があるのではないでしょうか。マンモグラフィー検査は乳ガンの早期発見に有効なエックス線撮影検査とされ、乳ガンの早期発見と治療の実施を薦めるテレビやラジオ広告がよく流されています。乳ガンの撲滅を目指した運動は、ピンクリボン運動として関連グッズなど幅広く目にした方も多い事と思います。

 そんなマンモグラフィー検査について、米国予防医療作業部会が40代の定期検診としては勧めないという勧告を発表し、理由としては誤判断や過剰診断を誘発する可能性が高い事を挙げています。誤った判定をしてしまう事や過剰診断によるリスクと受診による利益を比較した場合、40代では他の年代と比べてリスクの方が高いとし、50代以上の女性に関しては隔年で受診すべきともしています。

 マンモグラフィー検査についてはかねてより同様の懸念がされており、公的に組織された検診プログラムでも3例に1例は過剰診断であるという意見もあります。過剰診断が行われると必然的に過剰治療が行われる事となり、患者の負担が大きくなってしまいます。

 ガンの過剰診断は、ガンの進行が非常に遅く、放置していても患者が寿命を全うする前には、何らかの弊害が出る事が考えられないガンや、休眠状態であったり退縮している途中のガンを通常のガンとして診断してしまう事で、治療をするメリットが何もなく、できれば知らない方が良いようにも思えます。

 現状、マンモグラフィー検査によって発見されたガンを、致命的か無害かを見分ける事は不可能とされ、検出されたすべてのガンが治療の対象となる事に問題があると考える事ができます。無害なガンは治療によって刺激する事で有害化する事があるという意見もあるので、検査結果の受け止め方も含め、今回の勧告の行方を注意深く見ておく必要があると思います。


 



第1368回 低成功?     2009年11月17日

 以前、ミーティングが長引いて休憩となり、ミーティングルームを出て、数名が外で喫煙を始めたところを見ていた事があります。興味深く思えたのは、2名が同じタイミングで煙草に火を着け、同じように喫煙していたのに片方の人は吸い終わり、片方の人はまだ煙草が残っています。

 体格に若干の違いがある事から、肺活量によって煙草が燃焼される速度に違いが出るのだろうかと思いながら、二人に話を聞いてみると、煙草の煙に含まれるタールの量に違いがあり、その違いはフィルターによって作り出される事から、通過する空気の量の違いが生じ、吸い終わりまでの時間が違うのだという事でした。日頃から煙草とは縁がないので、気付きもしなかった事なのですが、説明を聞いてみると納得がいくものがあります。

 タールの量を減らした煙草、「低タール」「ライト」という煙草は多く、ほぼ販売の主流となっています。しかし、タールの量を低くした事によって健康面に利益がもたらされない事は、すでに多くの研究によって指摘されていて、低タール、低ニコチンという事で、身体への負担が少ない事がイメージされますが、吸引する発ガン物質の量は変わらないとされています。

 健康面でのリスクは低減されない割には、低タール、低ニコチンの煙草に切り替えた事で禁煙の成功率が低下してしまうという気になる傾向がある事が報告されていて、低タール、低ニコチンの煙草の愛用には注意が必要です。

 禁煙の成功率の低下は、最大で50%近くに上るという報告もあり、理由としては健康面でのリスクが低減された商品へと切り替えた事によって、健康リスクをそれほど気にする必要がなくなったという誤認があるとされます。

 また、別な見方としては、低タール、低ニコチンの製品に切り替える喫煙者は、すでに煙草への依存度が高く、禁煙しなくて済むように通常の煙草から切り替えを行うため、禁煙の成功率が低いという意見もあります。

 ヨーロッパでは、すでに煙草に低タールなどの安全性に関連付けられる名称を付ける事が禁止され、健康へのリスクを軽減できるものと誤認しないような配慮が行われています。リスクが変わらないというのであれば、満足のいく物をと思ってしまわないでもないのですが、やはりいずれであってもお薦めできる物ではありません。


 



第1367回 各国泣き声事情     2009年11月16日

 先日、幼少期に多言語に接していると、大きくなって語学を学んだ際に速やかに多言語を話せるようになり、ある程度大きくなってからでは、多言語を操る事に苦労するという話を聞かされました。いかにもという感じがしないでもないのですが、実際はもっと早い時期からかもしれないという研究結果が発表されています。

 生後、数日しか経過していない赤ん坊が、母親が離している言語と同じイントネーションで泣く事が明らかにされ、新生児は妊娠後期に胎内で聞いた言語と同じメロディーパターンで泣く事を好むと結論付けられています。

 影響を与えているほとんどは母親の言語と考えられ、本来であれば女性の高い波長の声よりも、より震動が伝わりやすい低い波長の男性の声の方が胎内へ多く伝わると考えられますが、母親の声は声帯の振動が直接体内を通じて伝わる事から、イントネーションなどの部分はより多く伝わっていると考えられます。

 各国の赤ん坊の泣き声の傾向としては、フランス語を話す母親の新生児は、低音から高音へと上がっていくパターンで泣く傾向があり、ドイツ語を話す母親の新生児では高音から低音へと下がっていくパターンの泣き方をする傾向があると音声分析が示していて、それらはフランス語、ドイツ語の特徴に一致しています。

 これまでの研究で、胎児に聞き覚えのある声を聞かせると心拍数が変化する事や、生後間もない新生児でも母親の声を聞き分けられる事から、胎児の聴覚に関する能力が示されてきたいましたが、今回の研究はそれをさらに裏付けるものとなります。

 母親の言語パターンを真似るのは、同じ言語を話す事で母親の関心を引くためとも考えられ、胎児の頃からすでにさまざまな学習が始まっている事を示唆してします。学びが始まっているからと言って、お腹にスピーカーを当てて、胎児に何かを聞かせようとする行為は、胎児の睡眠を妨げ、思わぬストレスを与えてしまう懸念も多いとされます。押し付けではなく、必要な事を学んでほしいものです。


 



第1366回 羊羹一棹     2009年11月13日

 1棹(さお)、2棹と数える物というと和菓子の羊羹があります。羊羹に限らず細長い棒状に仕上げられるお菓子は、棹物菓子と呼ばれ、最近は1本、2本と数えられる事が増えてきましたが、もともとは「棹」という単位で数えられていました。

 棹物と呼ばれる由来については、流し込んで成型するための流し型が舟と呼ばれていた事から、舟に付き物とされる事から棹と呼ばれるようになったと言います。

 羊羹の原形は、羊羹という文字が示しているように「羊の羹(あつもの)」で、羊の肉を煮込んで作るスープ状の食べ物でした。長時間煮込んで調理されるうちに、肉の組織の中からコラーゲンが溶け出し、温度が下がる事で自然に固まって煮凝りの状態になります。

 鎌倉時代から室町時代にかけて禅僧によって日本に羊羹が伝えられていますが、禅宗では肉食が禁止されていたために本来の素材である羊の肉を使う事ができず、肉類を野菜などに置き換える精進料理の知恵によって羊の肉から小豆へと素材が変化して、今日の和菓子の羊羹へと繋がっています。

 羊羹が作られ始めた初期の頃は、小豆と小麦粉や葛粉を混ぜた物を蒸して仕上げる蒸し羊羹が主流となっていました。今日、一般的な羊羹として親しまれている煉羊羹が登場するのは、江戸時代の天正17年(1589年)、駿河屋の岡本善右衛門によって寒天に小豆餡を加え、型に流し込んで仕上げるという製法が考案された、もしくは寛政の頃(18世紀後半)、江戸の菓子職人である喜太郎なる人物が考案したとされています。

 煉羊羹が開発されてからは、羊羹と言えば煉羊羹を指すほど煉羊羹全盛の時代が続きますが、伝統的な蒸し羊羹も作られていました。今日、羊羹を包むパッケージに竹の皮の柄が印刷されている事がよくありますが、竹の皮に包んで蒸していた当初の名残りという事ができ、羊羹の歴史を彷彿とさせられてしまいます。羊の肉と溶け出したコラーゲンから小豆と寒天へ、意外な展開には奥深いものを感じてしまいます。


 



第1365回 卵の保管     2009年11月12日

 本来、卵は非常に日持ちが良い食材で、それは卵の独特な構造に由来しています。卵の構造は大きく分けると卵殻、卵白、卵黄の3つの部分に分ける事ができますが、さらに細かく分けていくと大変複雑な構造をしています。一見して判るのは3つの部分に加えて卵殻膜、白い糸状のカラザくらいでしょうか。

 卵殻には気孔と呼ばれる無数の穴が開いていて、その数は7000とも17000とも言われるメッシュ構造になっています。その穴を通じて胚の呼吸に必要な酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するというガス交換を行っています。ガス交換が行われている事から判るように卵は生きている食材で、生きているからこそ長期の保存が可能となっています。

 卵白に含まれるリゾチウムに抗菌作用がある事も、卵を腐敗から守って日持ちを良くしているのですが、そんな卵にそれほど長くない賞味期限が設定されているのは、定められた方法によって保存し、腐敗、変質などの品質劣化に伴い安全性を欠く恐れのない期間という考えに基いていて、期限内であれば生食も可能とされています。

 期限を過ぎたものでも加熱調理を施す事で食べられますが、食べる事ができる期間はちょっとした工夫で長くする事ができます。やり方は簡単で、卵のパックを逆さまにして保存する、それだけというシンプルなものです。

 卵を買ってきた際、透明のパックから取り出して表面を洗い、冷蔵庫のドアポケットに装備されたエッグポケットに並べるという話を聞きますが、実はこれが最悪の保管方法で、卵の鮮度を大幅に損なってしまっています。

 卵の透明なパックは、意外なほど保存に向いている物で、出して保存するよりはパックのままの方が日持ちがするとされています。また卵を洗うと、卵の表面に付いた雑菌が水の浸透圧を使ってメッシュ状の卵殻から中へ入り、卵の変質を早める結果に繋がってしまいます。

 エッグポケットについても意外な盲点となっていて、扉を開閉するたびに大きな温度変化が生じ、場合によっては冷えた卵に暖かい外気が触れて表面に結露を生じ、卵を洗った際と同じ状態になる事があります。

 開閉によって起こる振動も問題で、内部の黄身が振動して卵殻に当たり、思わぬ傷みに繋がってしまいます。そうした点を考慮すると、卵の保存は温度変化が少ない冷蔵庫の奥の方に置くのが良く、卵黄を卵の中心に据えるように設定されたカラザが最も機能する尖った方を下にするという保管方法が最良と言えます。卵という食材は料理のレパートリーも広く、買い置きが重宝するだけに、保管方法にも工夫をしたいものです。


 



第1364回 ロコモ?     2009年11月11日

 メタボ・・・メタボリックシンドロームは、すでに広く生活習慣を通して注意しなければならない事として捉えられています。最近、同じように注意しなければいけない新たな言葉が注目されてきています。その言葉は「ロコモ」というもので、生活の質に関わってくる重要な事とされます。

 ロコモ・・・最初に聞いた際は、どことなく洋風の丼物、ロコモコを思い浮かべてしまったのですが、ロコモはロコモティブシンドロームの略語で、日本整形外科学会によって提唱された骨や関節などの運動器官の障害によって、介護が必要な状態になる危険性が高い事を示す概念となっています。

 介護が必要になる要因として、脳卒中などによる運動機能障害は広く知られ、日ごろから血圧や血中コレステロール値を意識する事は聞かれますが、運動器官への障害はあまり聞かれません。

 近年、運動器官に障害が生じて入院して治療を行い、完治して退院したはずなのに、別の運動器官に障害が現れて再入院となり、やがて介護が必要な状態となるというケースが目立ってきていると言います。

 ロコモの要因となる疾患は主に3種類があるとされ、骨の強度が低下する骨粗鬆症、関節の痛みの原因となる変形性関節症、神経の通りを悪くする脊柱管狭窄症といった疾患が複合して起きたり、積み重なる事で運動機能が著しく低下するとされます。

 片脚で立って靴下がはけない、家の中でつまずいたり滑ったりする、階段を上るのに手すりが必要、15分以上続けて歩けない、横断歩道を青信号の時間内に渡れないといったチェック項目あり、一つでも該当するものがあればロコモの可能性があるとされます。

 ロコモはメタボのような栄養面からのアプローチよりも、日常的な運動が予防には重要と考えられます。栄養と運動は健康を考える上で、常に対を成すものです。メタボ同様、ロコモも意識しなくてはいけないのかもしれません。


 



第1363回 不足と肥満     2009年11月10日

 昔から「寝る子は育つ」と言われ、それが正しい事は多くの研究によって確認されてきました。眠っている間は単純に身体を休めているだけのように見えて、ホルモンの分泌や消化器官のメンテナンス、記憶の整理など実に多くの仕事が行われています。成長が著しい子供達にとって、そうした働きが非常に重要な意味を持っているという事には納得のいくものがあります。

 それだけ重要な眠りという時間ですが、休日の朝、遅くまで子供が寝ている事は生産的な事とは言えず、あまり良い事のようには捉えられません。しかし、子供の休日の遅い朝というのは、それほど悪いものではない事が判ってきています。休日に遅くまで子供を寝かせている事は、子供の過体重や肥満を防ぐ効果がある可能性が出てきています。

 5歳から15歳までの子供、5000人以上を対象に睡眠と生活習慣、身長、体重を1年以上にわたって追跡調査を行った結果として、睡眠時間が少ない子供はBMIが高い、いわゆる過体重、もしくは肥満の傾向を示すという事が判っており、平日に睡眠不足の状態にあっても、休日に遅くまで寝ている事で睡眠不足を補正している子供は、過体重や肥満の比率が有意に低い事が明らかになっています。

 平均した子供の休日の睡眠時間は、明らかに平日よりも長くなっていますが、過体重の子供では休日の睡眠時間が平日よりも短い事が多く、生物学的な要因が睡眠のサイクルに関与している可能性も示唆されています。

 これまでの研究で睡眠不足が子供の肥満に影響する事は示されてきていましたが、休日の睡眠を使った不足分の補正で過体重を防げる事は知られていませんでした。睡眠が充分ではない事で疲れやすく、運動不足になるという単純な理由も予想されないでもないのですが、現代病とも言える子供の睡眠不足と肥満を同時に解消できるというのは嬉しい事のようにも思えます。


 



第1362回 最中とは?     2009年11月09日

 季節柄、夜空の月を眺めているという事が増えてきました。夜風に肌寒さを感じる時期でもあるので、温かいお茶とお菓子でも用意してと考えた際、月に似合うお菓子といえばと考えてしまいます。

 月見となると「月見だんご」がすぐにイメージされてくるのですが、それ以外となるとあまり思い浮かばない事に気が付きます。茶席で出されるような和菓子なら月をテーマにした和の生菓子がありそうですが、もう少し身近な物と考えていくと「もなか」を上げる事ができます。

 もなかはもち米を粉にして水で練り、焼き上げて皮種と呼ばれる外側の皮の部分を作ります。こんがりと焼かれた皮種は、見方によっては月のように見えない事もないのですが、もなかと月の関連はもっと密接なものがあります。

 もなかの原型となるお菓子は、もち米の粉を水で練って蒸し、薄く延ばして円形に切って焼き上げ、仕上げに砂糖をかけた物とされています。宮中で行われていた月見の宴で歓談の最中に出された事から、そのお菓子が「最中の月」と呼ばれるようになったと言います。

 江戸時代に入り、吉原の菓子屋「竹村伊勢」が古事にちなんで皮種に餡を詰めたお菓子を「最中の月」と銘々した事から、後に単に「最中」とだけ呼ばれるようになりますが、皮種に餡を詰めたお菓子がもなかとなる所以なっています。

 また、最中の意味するところについては別な説もあり、中秋の名月を「最中の月」と称する事もあるとされます。歌集「拾遺集」には「水の面に 照る月なみを かぞふれば 今宵ぞ秋の もなかなりける」という歌があり、もなかの語源ともされる事があります。

 子供の頃、好きだった民話に大分の「きっちょむさん」があり、きっちょむさんの話の中で、あるとき藩主がお菓子の品評会を行うという御触れを出し、それに参加するためにでたらめに煮た小豆を薄く切って焼いた餅ではさんで持っていったところ藩主が事のほか気に入り、もっとないのかと催促されるので自分でもお菓子が気になったきっちょむさんは、「もうない」という言葉、「もうなか」を繰り返し、それがお菓子の名前となったというものがあります。

 結構、大きくなるまで信じていたきっちょむさんのもなか語源説ですが、言われてみれば漢字表記の最中を説明する事はできず、根拠に薄い事が判ってしまいます。最中として独立し、月の呪縛を逃れた事でさまざまな形に派生して各地に銘菓を産む事となるのですが、月夜の晩くらいはかつて月と縁が深かった事を思い出しながらいただきたいと考えてしまいます。


 



第1361回 赤の新効能     2009年11月06日

 フレンチパラドックスは南フランスの人々が、他の欧米諸国の人々と同じように脂肪摂取量が多い食事をしているにもかかわらず、動脈硬化の患者が際立って少ないというパラドックス(逆説)から始まり、その原因を研究するうちに南フランスで多く飲まれている赤ワインの効能が解明され、有効成分としてポリフェノールの一種であるレスベラトロールの存在が発見されています。

 赤ワインは原料となるブドウの果肉だけでなく、果皮や種も一緒に潰して発酵させる事から、多くのポリフェノール類を含む事となります。特に南部原産のワインに使われるブドウは日照量が多い中で成長する事から、より多くのポリフェノール類を生成している事が考えられ、そうした事が血液の状態を良くし、血管の障害を低く留めていたと考えられます。

 フレンチパラドックスが一般的に認識されるにつれて、赤ワインの有効成分として知られるようになったレスベラトロールは、赤ワインに限らず赤系のブドウやザクロなどにも含まれ、強力な抗酸化作用を持つ事でしられています。

 そんなレスベラトロールに新たな効能がある事が発見され、注目を集めています。ほとんどの動物では、日常的に摂取する食餌の量を通常の70%程度に抑える事で、延命効果が得られる事が確認されていますが、レスベラトロールを摂取する事で似たような効果が得られる事が判ってきています。

 また、かねてよりレスベラトロールには糖尿病に対する効果が示唆されてきていましたが、レスベラトロールによって高脂肪食を続けていてもインシュリンのレベルが正常値に近い状態に保たれる事が観察されています。レスベラトロールが脳内のサーチュインと呼ばれるタンパク質に作用し、活性化させた事が考えられるとの事で、今後、何らかの治療法に繋げられる可能性もあります。

 今回の研究で使用されたレスベラトロールと赤ワインから摂取できる量とではかなりの違いがある事や、直接的に脳内で作用しなければ効果が発揮できない事から、単純に赤ワインを愛用する事で糖尿病を治療できるとは考えられませんので、糖尿病を理由に赤ワインを飲み始めるのはお薦めできないかもしれません。


 



第1360回 身近な毒     2009年11月05日

 秋はさまざまな食材が旬を迎える美味しい季節でもあります。その中にあって、キノコは秋の味覚を代表する食材ではないかと思われ、キノコを使ったいろんなレシピが思い浮かんできます。しかし、気になる事に気象の変化からか、今年は毒キノコの自生が多く報告されていました。

 三大旨味成分の一つであるグアニル酸を豊富に含む美味しさと共に、キノコには毒キノコという存在のイメージも定着していて、店頭で購入できる安心な物しか料理に使う気にはなれません。年間に起こる天然由来の毒素による食中毒の8割がキノコによるものという事実も、それを裏付けているように思えます。

 キノコに限らず普通に存在している物でも、身の回りには意外なほど危険な毒を持つ物が存在しています。そうした天然毒の一つとしてほとんど意識される事はありませんが、かなり強力な部類に入る物として、夾竹桃(きょうちくとう)の存在を上げる事ができます。

 夾竹桃は葉が竹に似て、花が桃に似ている事からその名が付けられたという事で、姿の良さと病害虫に強いという性質から園芸品種として親しまれています。公害に強い事でも知られ、排気ガスでほとんどの樹木が枯れてしまっても、夾竹桃だけは無事に残されていた事から、街路樹として利用される例も見られています。

 そんな夾竹桃にはオレアンドリンという有毒成分が含まれ、最悪の場合、心臓麻痺を引き起こして死に至ると言います。オレアンドリンの毒性は青酸カリよりも強く、0.3mgというわずかな量が致死量とされています。

 通常であれば食用にする植物ではないので、中毒死という事はあまり考えられないように思えるのですが、身近にある植物である事から、肉を串焼きにする際の串の材料として使用してしまったために中毒を起こすという例は、歴史的にも確認されています。

 古いところではギリシャのアレクサンドロス3世がインドに遠征した際、追従したセレウコス1世の率いる軍勢の小隊30名が夾竹桃を串焼きの串に使用した事で全滅した記録が残され、近年、フランスでも串として利用した事による死亡例が報告され、日本でも枝を箸として利用した事による死亡者が出ています。

 庭木や街路樹の夾竹桃を串や箸として利用する事は、日常的な事からはあまり考えられない事ではありますが、オレアンドリンは熱で分解されにくい事から、燃やした際の煙に含まれるという例が確認されています。

 庭木や街路樹を剪定して、切り落とした枝や葉を燃やすという事はそれほど珍しい事ではありません。火の始末がある事から、そばについている事は充分ありえる事ですが、その際の煙にも充分な注意が必要となります。夾竹桃の花言葉、用心、危険、油断しないというのは、それを象徴しているようにも思えます。


 



第1359回 ネットサーフィン効用     2009年11月04日

 子供の頃、ハムスターを飼っていた事があります。ネズミと言えばという感じで、内側に入って走る事で回る遊具を買いに行き、様子を観察していたのですが、何故か大人のハムスターは見向きもせず、子供のハムスター達だけが遊んでいます。

 大人になると無邪気な遊びはつまらなく思えてくるのだろうかと、少々がっかりしながら見ていました。やがて子供のハムスター達も成長し、遊具に見向きもしなかった大人のハムスターと同じ年齢になったのですが、相変わらず楽しそうに遊具であそんでいます。

 好奇心が旺盛で、何でも吸収できる年代に接する事ができなかった難解な物は、後々には受け入れにくいものがあるのだろうかと興味深くも思えてしまい、自分に置き換えてみてもどことなく納得がいくものがあります。日々新しい技術が登場する今日、一定以上の年代には馴染めない物が多いのかも知れません。

 登場以来、急速に発達を遂げながら日常生活に溶け込んできたインターネットは、高齢者には馴染みにくいものの一つかもしれませんが、高齢者にこそ必要なものであるという研究結果が出されています。

 それまでインターネットを経験してこなかった人に約1週間、情報の検索を中心としたネットサーフィンを経験してもらう事で、脳機能、特に物事の決定を司る脳の部位の活性が大幅に向上する事が確認されています。

 インターネットで検索を行い、さまざまな情報に触れる際には、与えられた情報を元に行き先を的確に判断する意思決定が要求されます。それまで使われて来なかった事から、機能的な面が低下していた物事の決定を行うという部分を再活性化させには、的確な情報を得るという動機付けが有効なのかもしれません。

 MRIによる脳スキャンにおいても効果は確認されており、あくまでも効果は知的好奇心を満たすためのネットサーフィンにおいての事というのが確認され、ネット上で行われているギャンブルやショッピングでは効果は上がらないとされています。最初は抵抗があっても、慣れてしまえば便利なものでもあります。身近な高齢者に薦めてみるのも良い事かもしれません。


 



第1358回 予防嗜好品     2009年11月02日

 C型肝炎ウィルスに関しては、一定以上の年齢の人の場合、かなり背筋の寒い思いをする事ではないかと思います。かつて行われていた予防接種などの注射針の使い回しや、情報が充分ではなかったために、消毒が不十分な剃刀が理髪店で使われていた事など、感染の可能性が広範囲に上るという話には、他人事では済まされないものが多々あります。

 C型肝炎ウィルスの怖ろしい点は、感染してしまうと症状は発症していなくても、その後、長期にわたってキャリアとなってしまい、感染を拡大させてしまう事や発症してしまった場合の治療の困難さにあります。

 しかし、一旦、感染してしまっても発症しなかったり、他の人に感染を拡大させないのであれば、それほど通常の状態と変わらないという考え方もできます。

 最近の研究で、日常的な事でC型肝炎ウィルスによる慢性的な肝炎の進行を遅らせる事が可能という事が判ってきました。一般的な嗜好品であるコーヒーを愛用する事で、慢性C型肝炎の進行を遅らせられると言います。

 C型肝炎ウィルスに感染した患者に嗜好品についての調査を行い、コーヒー、緑茶、紅茶の摂取を確認し、3か月ごとの診療を4年間継続して行ったところ、1日に3杯以上のコーヒーを摂取する患者は、コーヒーを摂取しない患者に比べ肝疾患の進行が見られる確率が53%ほど低く観察されています。

 今回の調査では、緑茶、紅茶については摂取量が少な過ぎたため、影響に関する正確なデータは取れなかったそうですが、コーヒーの摂取に関しては評価できるものであるとされます。コーヒー特有の効能であるとすれば、他のお茶と共通しない成分としてクロロゲン酸の存在を上げる事ができ、確かにクロロゲン酸の健康効果は評価が上がってきてはいます。

 あくまでもC型肝炎ウィルス感染者に関しての事ではありますが、日常的な嗜好品で健康を確保できるのであれば、何よりよい事ではないでしょうか。



 

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