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第1536回 夏の備え     2010年07月30日

 以前、夏に弱い私に、梅酒の要領でマタタビを漬け込んだ「マタタビ酒」を薦められた事があります。動けないくらい激しかった夏バテがマタタビ酒によって乗り切れた経験をして以来、毎年漬けておられるとの事で、当時はマタタビというと猫というイメージしかなかったので、少々意外な感じがした事が思い出されます。

 マタタビはマタタビ科の蔓性の落葉木で、初夏に白い梅に似た甘い香りの花を咲かせる事から、「夏梅(なつうめ)」「蔓梅(つるうめ)」と呼ばれる事もあり、山道で疲れ果て、動けなくなった旅人が、偶然近くにあったマタタビの実を食べたところ、疲れが取れてまた旅を続ける事ができた事から「又旅(またたび)」の名前が付けられています。

 昔から「猫にマタタビ」と言われ、猫にマタタビを与えると転げまわって喜ぶ姿が観察されます。マタタビに含まれる「マタタビラクトン」と呼ばれる成分によって酒酔いに似た状態が作り出されていて、人にとって「酒は百薬の長」と言われるようにマタタビは猫にとって万病に効く薬として、欧米では「キャッツパウダー」と呼んでマタタビの粉末が使われています。

 人に対しても滋養強壮や疲労回復に役立つ薬効性が高い植物として古くから知られ、漢方薬の素材としても使われてきました。

 マタタビの実は正常に育つと縦長な形状になりますが、成長の過程でアブラムシに寄生されてしまうと球形の「虫こぶ」と呼ばれる状態に成長します。

 本来は正常な成長を遂げていない虫こぶのマタタビですが、薬効は通常の実よりも高く評価されていて、「木天蓼(もくてんりょう)」と呼ばれる生薬として扱われます。正常に成長した実が食用とされる事に対し、虫こぶのマタタビは高い付加価値を持つ物として扱われ、マタタビの効能として知られた滋養強壮、疲労回復だけでなく、中風、リュウマチ、冷え性、腹痛に有効性を持つ物とされます。

 猫の物というイメージしかないマタタビですが、マタタビ科のオニマタタビというとお馴染みのキウイの事で、急に身近な物に思えてきます。本格的な夏を前に、漬け込んでおけば良かったという思いだけが高まってくる素材、それがマタタビと私の中ではなっています。


 



第1535回 親子論争     2010年07月29日

 長い歴史を持つ論争に、「卵が先か、鶏が先か...」というものがあります。どちらが先なのかという事を考えていると、いつまでも結論が出ないようにも思われますが、私の中では答えは決まっています。

 鶏は野生の野鶏を祖先に持っています。野鶏が家畜化されていくうちに鶏が誕生したという事になるのですが、突然変異で発生した鶏の雛が入っているにしても野鶏が産んだ卵には違いがないので「野鶏の卵」という事になります。

 その後、卵が孵ると突然変異した風変わりな野鶏が生まれ、風変わりな野鶏はやがて鶏と呼ばれる事になります。その時点で初めて鶏の卵が生まれる事となるので、鶏が先という事になります。

 別な観点では、品種改良には3代同じ形質が発生する事が要件とされます。その意味では野鶏の卵、風変わりな野鶏の卵、風変わりな野鶏の卵、鶏の卵となり、鶏の新種としての認証が先になるので、やはり鶏が先になります。

 先日、新たに発表された学説では、卵の殻を形成するには特定のタンパク質が関与していて、そのタンパク質の存在から鶏が先という結論が得られていました。

 今回の学説には、卵と鶏に関する論争の一つの結論ではありますが、あくまでも一つの意見であり、卵と鶏の関係を決定付ける結論とはなりえないという意見も出されていました。という事であれば、この論争はまだまだ続く事となってしまいます。


 



第1534回 紫外線対策     2010年07月28日

 長雨が一段落すると急に強い日差しが照り付け、それまで晴れ間が懐かしく思えていた事が嘘のように、日差しを遮る雲が恋しく思えてきます。最近はオゾンホールの事もあり、晴れた日の限らず紫外線への対策は特に気を付けなければと思ってしまいます。

 基本的には日中の外出を避け、日差しを浴びない事が第一かもしれませんが、日常の生活を考えると外出を控えて日差しを避けるというのは困難な事と言えます。そのため日焼け止めなどを使って皮膚を守る事が重要ですが、同じくサングラスによって目を保護する事も重要となっています。

 紫外線からの防御という点からは若干離れてしまいますが、美白という事を考えた際、サングラスは重要な意味を持つ物となります。人は目から約80%もの情報を得ているとされ、目から得た情報に体も大きく左右されています。

 強い紫外線を目に受けてしまうと、体が紫外線への対策を必要と判断し、メラニン色素の生成を開始します。そのため単純に紫外線を浴びないだけでは白い肌を保つ事は難しく、目からも紫外線を受けているという情報が入らないようにして、体に紫外線への対策が必要ないと思わせておく必要があります。

 そんな重要な意味を持つサングラスですが、選択を誤ると思わぬ弊害が生じてしまう事となります。最も危険なのは紫外線の防御機能がないレンズが用いられている物で、着色されたレンズのせいで視界が暗くなるため、目に入る光の量を調節する瞳孔が開いた状態で紫外線を受け入れる事となってしまいます。

 紫外線をカットする機能を備えたレンズが使われているサングラスでも、デザイン性が優先されていると危険な場合が存在します。

 サングラスは構造上、目とレンズの間に隙間が必要ですが、そのレンズと目の間の隙間から入り込む紫外線が思わぬ目を傷める原因となるとされています。

 デザイン性が重視されてレンズが目の周りをカバーできていない場合、紫外線をカットできるサングラスであってもレンズの横から入り込んだり、裏側から反射して入り込む紫外線にも注意が必要です。

 レンズによっては紫外線をカットする機能を表示してはいても、一部の波長の紫外線しかカットできない物もあり、いずれの場合も視野は暗くなる事から瞳孔は開いた状態で紫外線を受けてしまう事があります。

 昔ほど日光を浴びる事が良い事のように思えなくなった昨今、充分な対策を日常的に用意しておかなければならないというのも少し寂しい感じがしてしまいます。


 



第1533回 遠くの米料理     2010年07月27日

 米というと日本の主食であり、和の特有の食材のようにも思えますが、意外と世界的な食材であり、世界各地にさまざまな米を使った料理を見掛ける事ができます。

 パエリアはスペインの米料理であり、標準的なスペイン語であるカスティーリャ語では「パエージャ」と発音される事から、日本で広く使われている呼び名は正式な発音ではない事が伺えます。

 名前の発音に象徴されるように、パエリアは多くの誤解を受けている料理でもあります。パエリアの語源はラテン語の「パテーラ」にあるとされ、パテーラはフライパンを指す言葉とされています。

 パテーラがバレンシア語のパエージャとなり、同じくフライパンを指す言葉となっていましたが、後に浅く平たい取っ手付きのフライパンを用いて作られる料理全般の名前となり、調理器具名が料理名として使われる事となっています。

 本場スペインではパエリアを炊く人を、女性の場合、「パエジャーラ」、男性の場合、「パエジャーロ」と呼んでいます。それだけスペインに深く根付いているパエリアですが、発祥の地はスペインではなく、9世紀にアンダルシア地方にいたイスラム教徒によって作られていて、アラビアに由来した料理という事ができます。

 パスタをはじめとしたイタリア料理の普及に伴い、わずかに芯を残した火加減の「アルデンテ」が浸透していて、ピラフなどでも本場の食感として芯のある炊き上がりが出されています。パエリアも同じようにアルデンテで出される事がよくありますが、本場のバレンシア地方では芯が残ったパエリアは炊き方が悪い出来損ないとされ、嫌われています。

 芯を残さず柔らかくなり過ぎない、汁気も残らないように炊き上げ、鍋の底にはソカレットと呼ばれるおこげができるように炊くのが上手な仕上がりと言われるため、下からの強火での加熱を考えがちですが、伝統的な調理法としてはある程度炊いて素材に火を通した後、オーブンへ鍋ごと入れて仕上げられます。

 日本ではパエリアというと魚介類が中心に用いられていますが、本来は山の幸が中心に用いられていたと言います。猟師が獲物と米を一緒に煮たのが始まりとされ、使われる米もインディカ米のような長粒種ではなく、日本の米のような短粒種が使われています。

 短粒種の米、山の幸、魚介類、いずれも日本にも手に入る物ばかりですが、似たような料理が存在しない理由は中心となる素材のサフランの不在があるのかもしれない、趣の異なる米料理を見るたびに思ってしまいます。


 



第1532回 豆との出会い     2010年07月26日

 豆というと極めて身近な食材のように思えます。栄養的に優れた面を多く持ち、主食としても充分な機能を備えていると言っても過言ではありません。

 豆と人類の関わりの古さを証明する資料は多く残されており、有史以前からの付き合いである事は確実な事とされています。

 三大栄養素の一つであるタンパク質を肉類や魚にも負けないほど多く含み、糖質、脂質も含む栄養バランスの良さに限らず、保存性に富み、持ち運びも簡単で、運んだ先で栽培にも食料用にも使えるという用途の広さは、理想的な食料とさえ言う事ができます。

 伝説が正しければ中国の五帝の一人である黄帝が五穀を植えたという言い伝えが残されており、その五穀の中に「菽」という文字が含まれ、菽は今日の大豆とされています。黄帝の時代は七千年も前とされ、大豆は七千年も前から栽培されていた事になります。

 菽の文字が大豆である事を考えると、菽という記載が公式に確認されているのが周王朝の時代とされ、三千年前には華北地方には広く普及していた事は確実と考える事ができます。

 古い時代、農業では先進的な部分を多く持っていた新大陸でも豆類の栽培を示す記録は残されており、七千年前の遺跡からインゲン豆やナタ豆が発見される事があり、すでに栽培されて食料となっていた事が伺えます。

 ピラミッドからも豆類は発見されており、エンドウ豆が古代墳墓であるピラミッドの中から出土していて、栽培してみたところ発芽して開花したという有名なニュースも残され、豆類の生命力の高さと人との関わりの深さを表しています。

 日本ではというと、歴史的に重要な意味を持っていた米よりも古い時代から緑豆が栽培されていた形跡が残され、主食となっていた事を示す痕跡が多く残されています。

 緑豆というと春雨やもやしの材料という豆としてよりも加工品の原料としての印象が強いのですが、当時の土器の強度や耐熱性を考えると緑豆を蒸すか煮るかして食べていたのではと考えられます。

 緑豆に限らず豆類の多くは生では食べる事がでず、何らかの加熱調理を行う必要があります。人が火を使うようになった事による恩恵は多くの事が考えられますが、豆類との出会いもその一つといえると思う事は間違いのない事だと思います。


 



第1531回 味噌濾しの中の違い     2010年07月23日

 手前味噌というとあまり良い言葉のようには使われません。自分の事を自慢するという意味で使われますが、自分の家で作った味噌はよその家の味噌よりも美味しいと自慢する事が元となっています。

 実際、自分で作る手作りの味噌は店頭で売られている物よりも美味しいという評価を聞かされるのですが、かつては家々で自慢や比較ができるほど自家製の味噌は一般的であったのかと思ってしまいます。

 家庭で手作りされた味噌と工場で大量生産された味噌。同じように味噌汁を作ってみると、最後の部分に微妙な違いが生じている事に気付きます。

 味噌による味付けが終わった後、味噌漉しに残った味噌かすの量を比べると、手作りの味噌の方が後に残る味噌かすの量が多く、工場生産の味噌の方が少ない事が判ります。

 味噌は米や麦、大豆などの穀物を米麹や塩と混ぜ合わせ、発酵させて作られています。発酵によって穀物のタンパク質が分解され、旨味成分が生成されるのですが、工場生産の味噌では多くの場合、旨味を強化するためにアミノ酸系の調味料が添加されています。

 そのため工場生産の味噌では味覚強度が増し、少ない量でも充分に味を感じる事ができる事から、旨味が強化されていない手作りの味噌よりも少ない量で味付けをする事ができ、味噌かすが少ないという結果になります。微妙な違いですが、見た目にも違いが出るというのは興味深いものがあります。


 



第1530回 無菌と行水     2010年07月22日

 キノコを栽培する際、最も気を付ける事に「コンタミネーション」があると聞かされた事があります。コンタミネーションとは、特に科学実験などを行う際に生じる汚染を指す言葉で、「実験汚染」「実験室汚染」と訳される事もありますが、もっと広い意味で使われる事もあり、コンタミと略して使われている言葉でもあります。

 キノコの栽培の場合、菌類の生育に適した栄養豊富な培地を用いるため、キノコ以外の雑菌が入り込むとキノコの発育を阻害して繁殖してしまう可能性が考えられます。そのため、キノコの栽培は無菌室で行われ、雑菌が混入する事をコンタミと呼んで警戒しています。

 そのような状態で栽培される事から、最近のきちんと包装されたキノコは洗わなくても大丈夫という意見があります。他の雑菌に触れる事のないクリーンルームで栽培され、清潔な製造ラインを通過してパック詰めされる事から、汚れが入り込む余地がないという事なのですが、やはり調理する前の食材は洗いたいと思ってしまいます。

 もともとキノコという食材は、それほど汚れが付着しやすい物ではなく、洗ってしまう事で美味しさが損なわれてしまう可能性も持っています。

 キノコの旨味は胞子に多く含まれる事から、キノコを洗い過ぎると胞子が洗い流されてしまい、旨味が少なくなってしまう事が考えられ、また、菌糸の塊であるキノコの本体、子実体が脆い場合、洗っている間に欠けたり割れたりしてしまい、食感が悪くなる事もあります。

 マイタケなどのように水分を吸いやすい傾向がある場合、洗った事で料理の仕上がりが水っぽくなってしまったり、ナメコなどのように表面を多糖類のぬめりで覆われている場合、そのぬめりが洗い流されると美味しさが失われてしまう事も考えられます。

 昔から「キノコの行水」と言われるように、少ない水でさっと軽く洗って表面の汚れだけを落とせば良いとされ、あまりしっかり洗う物ではない事が判ります。ついザルにあけて流水でと考えてしまうのですが、キノコの性質を理解して優しく扱いたいと思ってしまいます。


 



第1529回 空飛ぶネギ     2010年07月21日

 よく購入する商品ですが航空会社のマークが袋に描かれ、航空便で運ばれてきた事が記されています。いつも違和感を感じるのは商品が「博多ネギ」なので、福岡空港から出発した事は判るのですが、福岡空港から熊本空港へは直通便がないので大阪か東京を経由してきたのかと思うとずいぶんと遠くまで旅をしてきたなと思える事です。

 博多ネギは「万能ネギ」と呼ばれる事もあります。関西では九条ネギの仲間の葉ネギが好まれていましたが、関東ではネギは軟白させた物が好まれる事から、青い葉の部分が多い葉ネギは好まれない傾向がありましたが、見栄えが良い細い小ネギが薬味として使われるようになると九条ネギの系統が好まれるようになります。

 その頃、福岡の空港から空輸されるようになった小ネギに人気が集まり、運び出される空港がある地名から博多ネギ、空輸される事からフライト野菜、ジェットネギなどと呼ばれて香味野菜として定着する事となりました。

 博多ネギは葉ネギの一種であり、アサツキをヒントに昭和50年代に生み出されています。九条ネギの特徴を受け継ぎ、冬になっても冬眠をせずに成長を続ける事から葉の肉が薄く、全体的に葉が柔らかいという優れた面を持ち、臭味や辛味が少ない事から幅広い料理に使え、万能であるとして万能ネギという呼び方もされるようになっています。

 福岡を代表するかのように博多の名前を持つ博多万能ネギですが、実は意外な秘密があります。博多ネギとして広く根付いていますが、出身地は博多ではなく、福岡の朝倉町で作られています。紅茶など畑の場所よりも積み出された港で呼ばれる例もあるので、博多から出荷されたという事で博多で採れてなくても博多ネギで良いのかもしれません。


 



第1528回 三段活用?     2010年07月20日

 以前、地元で最大手の惣菜屋のチェーン店に不思議なメニューがありました。お好みフライと名付けられたそのメニューは、メンチカツを甘辛いタレで煮込んだ物で、手が掛かっている割には安価な価格設定だった事が印象的な商品でした。

 メンチカツは日本特有の洋食とされ、挽肉にみじん切りにしたタマネギや塩コショウを練り合せ、小麦粉、溶き卵、パン粉による衣を付けて揚げて仕上げます。単純に言ってしまうとハンバーグに衣を付けて揚げた物と言え、ハンバーグよりも手が込んだ物と言える事から、当然ハンバーグよりも高価になる事が考えられます。

 それがハンバーグよりもメンチカツ、メンチカツよりもタレで煮込んだお好みフライと、手が込んでいくほど価格が下がっていく事には、初日はハンバーグとして出され、残った分は衣を付けてメンチカツに、残りは甘辛くタレで煮込んでお好みフライとして出されるという秘密があります。

 日頃から食べ物を無駄にしないようにと心掛けている身としては、なかなか見上げた利用法と言えなくもないのですが、そのせいもあって私の中でのメンチカツは非常に価値が低い物となってしまっていました。

 諸説がありますがメンチカツは明治時代に浅草の洋食店が発売した「ミンスミートカツレツ」が起源とする説や、昭和の初期に神戸の三ッ輪屋精肉店二代目店主が、東京の洋食店で出会ったミートボールをヒントに考案したとする説もあり、古くから馴染み深い洋食となっていたメニューでもあります。

 発展形には中にゆで卵を詰めたスコッチエッグと思ってしまうのですが、スコッチエッグは正式なイギリス料理で、1738年にはロンドンのデパートで売られていた事から、メンチカツよりも遥かに歴史が古い物となっています。

 ハンバーグとほとんど同じ内容でありながら、衣を付けて油で揚げる事からずいぶんと違った雰囲気になるメンチカツですが、衣で素材の旨味を逃がさないようにして高温の油で手早く調理するというフライ物の特徴が充分に発揮される料理であり、本来であればもっと評価が高くあるべき物と思えます。再評価のためにも自分で作ってみなければと考えているメニューの一つとなっています。


 



第1527回 缶入り固有文化     2010年07月16日

 古いテレビCMですが、酷寒の明け方、終夜の消火作業を終えたと思える場面で消防士が温かそうな缶コーヒーを飲んでいるというものがありました。かなり強いインパクトがあったためか、いまだに鮮明に場面を覚えているのですが、よく考えてみると少々違和感がある内容といえるのかもしれません。

 コーヒーというと欧米の嗜好品という感じがして、寒い中、放水に濡れながらの作業が終了した後、温かいコーヒーで一息つくという事はありえるのですが、いつでもどこでも自動販売機さえあれば手軽に飲めるようになっている缶コーヒーは日本固有の文化といえる物かもしれず、欧米人には奇異に見えると言われた事が思い出されます。

 一説には最初の缶コーヒーは昭和33年(1958年)、外山食品が発売した「ダイヤモンド缶入りコーヒー」であったとされますが、外山食品はその6年後に倒産してしまっているため、詳細は定かではないとされています。

 別な説では昭和40年(1965年)に島根県のコーヒー店の主、三浦義武によって開発された「ミラ・コーヒー」が世界初の缶コーヒーとするものもありますが、短期間で生産中止となっている事から詳細は不明とされていますが、伝えられていたところでは、製缶が盛んな土地柄の技術を駆使して作られていた事から、長期にわたって品質を保ち続けたとされます。

 その後、昭和44年(1969年)に現在でも大手缶コーヒーのメーカーの一つとなっている上島珈琲本社(現在のUCC上島珈琲)からコーヒー牛乳にヒントを得た初のミルク入り缶コーヒーが発売されると、当時存在していた数少ないコーヒー飲料の一つであったビン入りのコーヒー牛乳ではできなかった自由に持ち運ぶという事が可能となり、缶コーヒーは急速に普及していきました。

 海外における缶コーヒーの歴史はというと、日本よりも遥かに早い1876年には米国のC&Sコーヒーカンパニーにおいて開発されたという記録が残され、1940年には缶コーヒーの製法特許が申請されている記録が残されています。

 1991年に世界的な食品企業であるネスレとコカコーラが合併し、主要ブランドに一つであるネスカフェから缶コーヒーが発売され、海外における缶コーヒーの販売は一大転機を迎えますが、それほど大きな販売には繋がらず、缶コーヒーは日本固有の文化のような色合いを強めていきます。

 その間、日本では喫茶店やインスタントコーヒーのブームがあり、コーヒーがより身近な飲料として定着し、自動販売機の普及も缶コーヒーが定着する後押しをした形になっています。含まれる糖分が多く、悪者視されがちですが、固有の文化と言われると急に良い物に思えるところに変なおかしさを感じてしまいます。


 



第1526回 缶詰と缶切り     2010年07月15日

 セットで扱われながら登場するまでの時間に大きな隔たりがあるものとして、缶詰と缶切りの存在を上げる事ができるかもしれません。缶切りもなしに缶詰をどのように利用するのだろうと考えてしまいますが、缶詰が発明されてから缶切りが登場するまでには60年近い隔たりが存在します。

 缶詰の発明は、遠征において食糧補給の問題に悩まされていたナポレオン・ボナパルトが、懸賞金をかけて一般にアイデアを公募したところニコラ・アベールによって長期保存可能なビン詰めが提案され、今日の缶詰の基礎となる技術が発明されました。

 しかし、戦場においてはガラス製のビンでは重くて破損しやすく、安心して利用できる物ではないという評価で、6年後の1810年に大幅な改良といえる金属容器に食品を入れる缶詰が発明されています。

 初期の缶詰は調理が完了してから密閉していたため殺菌が完全ではなく、中身が発酵して缶が破裂するという事故が見られていました。安全性の確保から缶を頑丈にしてしまうと、缶を開けるために缶に突き立てた銃剣やナイフが破損してしまうという事故が起こるため、1833年に缶の回りをハンダ付けして熱で溶かして缶を開けるという方式が発明されました。

 その後、1860年代に柔らかく加工しやすいブリキが発明されると、密閉後に加熱殺菌する事で発酵による破裂という問題を克服していた缶詰はブリキ製に代わり、1868年に缶の縁を切るという缶切りが登場しています。

 最初の缶切りといえる物は、缶詰の発明当初に使われたノミと金槌であったと言います。戦場では缶を銃で撃って開けるという事が行われ、衝撃で中身が飛び散る事から液体は入れる事ができないとされていました。

 ブリキと缶切りの発明により液体も詰める事が可能となり、缶切りを使わないプルトップタイプのイージーオープン缶が発明されてからは、さらに中身のバリエーションが広がっています。

 最近ではイージーオープン缶が普及して、缶切りを使う事はかなり少なくなったように思えます。イージーオープン缶は中身を取り出した後、捨てる際の事を考えて内側を洗浄しようとして縁に触れてしまい、思わぬ怪我を負ってしまってからは恐怖の対象となっています。どことなく缶切りでギコギコと缶を切っていた頃が懐かしく思えてしまいます。


 



第1525回 リスクの評価     2010年07月14日

 相変わらず風邪一つ縁がない健康体を続けていますが、血液検査をするとコレステロール値だけが高いという結果が出てきます。別段、気にしていない事やコレステロール値が高い事で免疫力は高まる可能性も考えられる事から、これといって何もせずにしています。

 一般的に血液中のコレステロール値が高いと動脈硬化の危険性が高まり、弾力性を失った血管壁の破裂による脳卒中や血管の内径が狭められる事による脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高くなるとされ、健康上の重大なリスクを抱えているようにも言われてしまいます。

 しかし、必ずしもそうとばかりは言えない研究結果が得られていました。それによると血液中のコレステロール値が高く、高脂血症と診断された人の方が、そうでないと診断された人よりも脳卒中の死亡率が低く、症状も軽くなるとされます。

 脳卒中や脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血などで入院した患者、1万6850人を対象に、高脂血症の有無を調べて死亡率と症状の強さを比較したところ、脳梗塞で入院した患者のうち高脂血症ではない患者の死亡率が5.5%であった事に対し、高脂血症の患者の場合、死亡率は半数以下の2.4%に留まるという低い数値が得られています。

 脳内出血やくも膜下出血などの他の疾患でも高脂血症があると、死亡率は半分から3分の1に留まるという結論が得られ、悪玉コレステロールとして知られたLDLコレステロールの数値が高いほど総死亡率は低くなるというデータも得られていて、LDLコレステロール値が高いほど長寿傾向にあるという仮説を裏付ける形となっています。

 これまで多くの信頼できる研究が、LDLコレステロール値が高い事による危険性を示してきました。今回の研究結果を受けて、単純に基準値だけにこだわるのではなく、食生活や運動などの生活習慣による影響も考慮に入れる必要があり、簡単な検査結果だけでは判断できない健康というものの奥深さを感じてしまいます。


 



第1524回 吸血事情     2010年07月13日

 暖かくなってくると苦手な虫が気になってきます。何も考えずに庭に出られていたものが、何らかの対策なしには家の外で作業をする事も難しくなります。

 虫が嫌いな私に限らず、虫が嫌いではない人でも「蚊」が嫌いではないという人は珍しいのではないかと思ってしまいます。身近な虫の中で、ゴキブリ、ハエ、蚊は嫌われ者のトップ3のように思え、中でも音もなく近付き、血を吸った後に痒みを残す蚊は、かなりの嫌われ者ではないかと思えます。

 蚊は細い管状の口で血を吸い、吸われた後に痒みが残ります。それが蚊が嫌われる理由の最大の部分であり、蚊の特徴のように思われていますが、全ての蚊が血を吸う訳ではありません。

 蚊の雄は血を吸わず、雌も産卵に関係がない個体は血を吸いません。血を吸わない蚊は普段の食事として花の蜜などを吸っていて、普通の虫と大して変わらない存在となっています。

 産卵を控えた雌の蚊は、血を吸う事で卵のための栄養を確保し、産卵に備えて卵を成熟させます。血を吸わないと卵を成熟させる事ができず、産卵を行う事も困難となるため、子孫を残すためには嫌われる事が確実な割には自分の栄養とはならない吸血であっても行わなければならないという事情があります。

 蚊に刺されて痒くなる原因は蚊が血を吸う前に体内に送り込む唾液にあり、麻酔物質や消化液、血液凝固抑制剤などが含まれています。

 麻酔物質によって約3分ほどの間、痛みや痒みを抑える事ができ、この3分間が蚊にとって安全な吸血タイムとなっています。しかし、吸血は3分以内に終了しない事も珍しくないので、蚊に刺された現場を発見してしまう事となります。

 唾液として消化液を混ぜる事で血液の消化吸収を助け、血液凝固剤は吸血の途中で血が固まり始めて吸血しにくくなるのを防いでいます。

 蚊は複数の人から連続して血を吸う事があり、血液型が違う人がいた場合、体内で血液凝固が起こらないかという事が心配となりますが、異なる血液型が混ざり合った事による凝固は完全に固体化するのではなく、血管内を流れるには支障がある程度のドロドロな状態なので消化には影響がないため、蚊は血液型を気にする事なく血を吸う事ができます。

 細かな事情や吸われる血液の量も微量という事は理解できるのですが、血を吸われる事には同意しかねるものがあり、やはり迷惑で嫌いな虫である事には違いがないと思ってしまいます。


 



第1523回 蹄と手足     2010年07月12日

 相変わらず終息宣言が出せない状況が続いている口蹄疫は、似たような症状が人間にも存在しています。口蹄疫はピコルナウィルス科アフトウィルス属の口蹄疫ウィルスの感染によって引き起こされ、口や蹄に水疱を生じるという症状が見られます。

 人の場合、同じピコルナウィルス科のエンテロウィルスの一種に感染する事によって、手のひらや足の裏、口の周辺や中に水疱を生じるという感染例が見られ、症状が出現する部位の名前をとって、口蹄疫と同じように手足口病と呼ばれています。

 手足口病と口蹄疫は同じピコルナウィルス科のウィルスによって引き起こされていますが、両症状に相互関係はなく、口蹄疫が人に感染する事や手足口病が牛や羊に感染する事もありません。

 人には蹄がない事から、直接的な患部の名前の手足口病とどことなく緊張感のない病名や、小児を中心とした風邪のような感染症と考えられているので、それほど重篤化する事を警戒したりする話は聞かれませんが、感染によって脳症や心筋炎を引き起こすと最悪の場合、死に至った例も報告されています。

 夏季に感染例が見られるのが一般的とされ、保育園や幼稚園での流行が中心となったありふれた乳幼児の病気であり、今年も感染例が報告されています。その中に脳症の発生が1件ですが報告されており、最近はありふれた感染症でも警戒を怠る事ができない事を痛感させられてしまいます。


 



第1522回 危険判定法?     2010年07月09日

 今頃の季節、高温多湿な気候もあって、食品の保管には特に気を使ってしまいます。食品を食べる前に状態を確認する意味から、においを嗅いでみるという行為が多く見掛けられる季節でもあります。

 食品のにおいを嗅ぐ事でカビや腐敗といった、その食品を食べても問題ない状態にあるかという一定の判断を下す事ができます。カビは食品の上に白や黒、青緑といったカラフルな色のコロニーを作り、特有のカビ臭さを出す事から外見やにおいからカビの発生を知る事ができ、カビが増殖する際などに発生させる毒素の摂取を避ける事ができます。

 腐敗はカビほど目立つものではありませんが、腐敗菌や真菌、酵母などによって食品に含まれる有機物が分解される事によって、それまで食品には含まれていなかった物質が含まれるようになるなど、食用に適さない状態になる事を言い、同じ微生物による分解作用でも食用に適し、有益な状態になる場合は発酵と呼んで区別されます。

 腐敗菌による分解作用では硫化水素やアンモニアといった悪臭を伴う成分が形成される事から、食品のにおいを嗅ぐ事で悪臭成分の有無を感知して腐敗の状態を判断しています。

 そうして外観やにおいなどから食品の安全性を判断していますが、食中毒を引き起こすウィルスや細菌類はカビや腐敗菌、酵母などとは別な種類の存在である事から、必ずしも外観やにおいだけで安全性を確認する事が難しい部分も残されています。

 食中毒菌は大きく分けて細菌が活動する際に毒素を産出してしまい、その毒素によって食中毒が起こる毒素型と細菌に感染する事で食中毒が起こる感染型の2つに分けられています。

 毒素型の代表例としては、人の皮膚に常在菌として棲息している黄色ブドウ球菌が食品の表面に付着し、増殖して起こるものや、ボツリヌス菌の混入によって起こるものがよく知られています。

 感染型には有名な腸炎ビブリオやサルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌などの存在が知られ、毒素型。感染型の両方の特徴を持つ中間型としてウェルシュ菌、セレウス菌の存在も知られるようになってきています。

 また、近年広範囲な感染例が見られるようになってきたノロウィルスやロタウィルス、A型やE型の肝炎ウィルスも食中毒を起こす事が知られていますが、食中毒菌同様に外観やにおいの変化を伴う事がなく、単純な体感的な判定の難しさを思ってしまいます。食品の管理に充分な注意を払い、「君子危うきに近寄らず」が大切な季節なのかもしれません。


 



第1521回 日本スタイル?     2010年07月08日

 ベーコンというと塩漬けにした豚肉を燻製にした加工食品と思っていますが、本来は豚のバラ肉、もしくは冬の間の保存食料として塩漬けにした豚の枝肉の事を指す言葉だと言います。

 しかし、今日では多くの場合、豚のバラ肉を塩漬けにして燻製にした物を指し、バラ肉の代わりにロース肉で作った物をカナディアンベーコン。バラ肉よりも脂身が少ない肩の肉で作った物をショルダーベーコンと呼んで区別しています。

 日本ではあまり馴染みがありませんが、ウィルトシャーベーコンは、豚そのものを半分に切り、内臓を取り除いて塩漬けにし、燻製にしてベーコンとして仕上げるという豪快なベーコンも存在しています。

 ベーコンというと、弱火でじっくりと時間をかけて炒め、脂を溶け出させてカリカリに仕上げるという調理法が思い浮かびますが、このカリカリのベーコンはフライドベーコンと呼ばれ、ベーコンの代表的な調理法の一つとなっています。

 イタリアのパンチェッタは生ベーコンと呼ばれる事もありますが、実際、ベーコンとの共通点が多く、本来の意味では豚のバラ肉、塩漬けにした物が生と呼ばれるあたりはベーコンそのものといえます。

 ベーコンを使った代表なレシピでもあるパスタ料理のカルボナーラは、本場のローマでは燻製されたベーコンを用いるのではなく、グアンチャーレと呼ばれる豚の頬肉を塩漬けにして寝かせた物が使われ、多くの場合、グアンチャーレはハーブやスパイスがすり込まれていますが、ベーコンの一種という事ができると思えます。

 通常、ベーコンを食べる際は焼いたり炒めたり、煮込んだりという手が加えられますが、塩漬けにして燻製にしたのであれば一定の調理は完了しているといえ、再度、加熱調理される事に違和感が生じると言えなくもない部分が生じてきます。

 一般的に日本でベーコンと呼ばれている製品は、食習慣の違いもあって、ほとんどの物が燻煙時間を短縮させる目的から蒸気を使った加熱が行われています。燻液と呼ばれる燻煙の香りを付けた液体を用いるスチームクッキング工程を持つベーコンは、本来のベーコンとは異なる新たなスタイルの製品と言えなくもない物ではないかと思ってしまいます。


 



第1520回 リスクと評価     2010年07月07日

 最近ではあまり話題にも上らなくなってしまったようなのですが、窒息事故が起きてしまった事を契機に、一頃はずいぶんと危険な食品としてこんにゃく入りゼリーは語られていました。

 先日、そんなこんにゃく入りゼリーについて「法規制は現段階では非常に難しい」として、ゼリーの形状や大きさなどについて、法規制を行わないという意向が消費者庁によって示されていました。

 規制を行うには何らかの基準が必要となりますが、その基準が明確になっていないとして、「餅に次いで、飴と同程度に窒息事故頻度が高い」という評価を与えながらの検討結果となっています。

 こんにゃく入りゼリーの危険性に関する科学的検証データによると、こんにゃく入りゼリーを1億人が一口ずつ食べた場合の死亡事故が発生する頻度を計算すると0.16〜0.33人という人数になり、餅の6.8〜7.6人と比べると圧倒的な低い頻度となるのですが、肉などの一般的な食べ物と比べると2倍以上高い数値という評価になってしまいます。

 そうした数値的な評価から、こんにゃく入りゼリーの危険性が過大に言われる事となり、カップに入ったこんにゃく入りゼリーは、こんにゃく由来の噛み切りにくさとカップから直接吸い込んで食べるというスタイルから危険性の高さだけが言われていました。

 納得がいかないのは、こんにゃく入りゼリーの大手メーカーではそうした危険性を懸念し、喉に詰まった場合の気道の確保ができる形状や、一口で食べられない大きさにするなどの工夫が行われ、窒息事故が起きた後は製造を中止するという措置を行ってたのに対し、類似品を生産していたメーカーでは何ら工夫を行わないまま継続して販売が行われていた事です。

 こんにゃくをゼリーに加えて独自の食感を作り上げたという部分が他の食品よりも高リスクに繋がってしまったという事はありますが、餅と比べると圧倒的にリスクは少なく、餅ですら法規制や命に関わるという議論に上らない事を考えると、こんにゃくという独自の食文化を持つ国民としては、もう少し落ち着いた対応があっても良かったのではと思ってしまいます。


 



第1519回 ワタの正体     2010年07月06日

 エビを料理する際、最初の下拵えとして「背ワタを取る」というものがあります。殻付きのエビの場合、殻の隙間から竹串などを入れやすいようにエビの体を大きく曲げ、中華料理に使うものは背開きにして背ワタを取り除きます。

 新鮮な頭付きのエビの場合、頭を片手で押さえて腹側へ折り曲げ、ゆっくりと引き抜くと背ワタが取れるのですが、途中で切れてしまった場合や無頭の場合は殻を剥いてから背中から竹串などを使って取り除きます。

 殻を剥いたエビの場合、背ワタと同じように腹側にも竹串を入れると背ワタとよく似た物が出てきます。一部の料理本には背ワタと同様に腹ワタも取るという記載がありますが、ほとんどの場合、腹ワタについて言及されている事はありません。

 消化器官というと体の中心部、内側というイメージがありますが、エビの場合、頭の後ろから体の中心部、背中に近い位置を真っ直ぐに尾に向けて伸びていて、それが背ワタの正体となっています。

 消化器官といってもそれほど複雑ではなく、背ワタのほとんどが腸によって構成されているので、真っ直ぐな筒状でも問題ないのかもしれません。

 背ワタを取る意味は背ワタの内容物の方にあるといえ、背ワタにはエビが食べた物や排泄物、エビが砂の中に潜って生活する事から、砂なども含まれています。背ワタを取らないとエビに臭味が出たり、仕上がりの色が悪くなったり、砂が含まれる事で食感が損なわれたりしてしまいます。

 それ故に取り除かれる背ワタですが、背ワタに似た感じの腹ワタの正体はというと、一見、第二の消化管のようにも見えてしまいますが、実は神経の管とされています。

 神経であれば排泄物や砂などが含まれている事はないので取り除く必要はないのですが、腹側にあって消化管に見えてしまう事や背ワタに似ている事から取り除くように記載されたレシピ本が存在する事となっています。解ってはいるのですが、やはり私も取り除いてしまっています。


 



第1518回 青い毒     2010年07月05日

 店頭に青々とした梅が並べられ、如何にもという季節感を感じてしまいます。梅酒を作るには青いままの梅、梅干には完熟の梅とされるのですが、売られているのは青い梅がほとんどなので、完熟の梅が必要な場合は購入後、風通しの良い涼しい場所に寝かせて追熟させます。

 青梅の際はそれほどでもなかったものが2、3日もすると、桃に似た感じの甘くフルーティーな香りがあたりに広がってきます。

 この香りなら果物としても美味しいのではと思ってしまうのですが、完熟していても梅の実を食べる鳥はいないと言われるほど梅の実は酸味が強く、そのままでは食べられないとされます。

 酸味の強い味に限らず、梅は熟していないと毒があるとして生食をしないように昔から言われています。熟していない青い梅には「アミグダリン」という物質が含まれ、それが毒の素となっているとされます。

 アミグダリン自体は無毒なのですが、酵素のエルムシンによって加水分解されるとグルコースとマンデロニトリルと呼ばれる物質に変わり、マンデロニトリルが分解されるとベンズアルデヒドとシアン化水素を発生させます。シアン化水素は「青酸」とも呼ばれる猛毒なので、青梅は有毒と考えられています。

 アミグダリンを青酸へと変える最初の物質であるエルムシンは、熟していない梅に多く含まれるとされ、熟した梅であればエルムシンが含まれない事からアミグダリンの分解が行われないので毒性が生じないと考えられていますが、人の体内にあるβ−グルコシダーゼもエルムシンの一種であり、アミグダリンを加水分解する事ができます。

 そのため、熟していても梅の毒性は残るようにも思えるのですが、熟すにつれてアミグダリンの含有量も低下するので、梅による食中毒の危険性も低下すると考えられます。

 店頭で見掛ける青い梅は、青く未熟な状態のように見えますが、梅農家では完全に未熟な段階での出荷は行わず、青く見えてもある程度は熟してから出荷するようにしているので、普通に購入する分には危険性を意識する事はほとんどないといえます。アミグダリンの複雑な変化はさておき、今年も大粒の梅で梅干でもと考えています。


 



第1517回 田舎暮らしとは     2010年07月02日

 定年を迎えた後、田舎に引越して農業に従事するという生き方をよく耳にするようになりました。都会での仕事を終え、残った余生を大自然と触れ合いながら過ごすというのは、一つのライフスタイルとして定着してきたようにも感じられます。

 いつも不思議に感じてしまうのですが、農業に従事する事は言われるのですが、あまり漁業という話は聞きません。漁業と農業ではずいぶんと雰囲気が違うからと言われるとそれまでなのですが、養殖業であれば海という畑で魚介類を栽培(養殖)するようなものなので、それほど大きく異なるものではないのではとも思ってしまいます。

 養殖は漁業権の取得や大きい初期投資、失敗した際のリスクの大きさを考えると、農業ほどには気軽に参入できないという壁があるのかもと想像できます。

 漁業への参入は別としても、若い頃は都会で頑張って、年を取ったら田舎で悠々自適。理に適ったライフプランのように思えますが、まったく逆の意見を聞かされた事があります。

 田舎に暮らし、必要な物は極力家庭菜園などで自給するとしても、すべての生活必需品が賄える訳ではありません。そのため定期的な買出しが必要となるのですが、田舎では手に入る品目が限られる事から郊外型の大型店を利用する事となります。

 買出しもそう頻繁に行くという事も手間なので、一週間分をまとめて購入する事となり、車を運転して広い駐車場を利用し、多量の荷物を運搬しなくてはなりません。

 また、田舎では受けられる医療も限られる事から、体調の管理に不安がある高齢者では万が一を想定した場合、不安が付きまとう事となってしまいます。

 そのため、田舎に暮らすのは車の運転や荷物の運搬、通勤のための長時間の移動にも耐えられる体力があり、健康面も気にする必要がない若い頃の方が向いていて、高齢になったら歩いて近所のスーパーやコンビニエンスストア、医療機関などへ行ける都会に暮す方が良いと言います。

 自分の身に照らし合わせてみると、料理を始めて何かが足りないと気付いた時、車を出さないと買い出しには行けず、救急搬送にかかる時間も気にしていないという状態を考えると、体力と健康ゆえに成り立つ田舎暮らしかと思ってしまいます。


 



第1516回 炭酸ガスの作用?     2010年07月01日

 常日頃からいろんな事を体験してみたいと思っています。何事も経験なので、機会があれば積極的に参加するようにしているのですが、さすがにまったく縁がないままになっていて、これからもあまり縁があるように思えない体験の一つに「臨死体験」があります。

 臨死体験は何となくオカルトの範疇の事のように感じられますが、実際にさまざまな体験が報告され、科学的な解明が進んできている現象でもあります。

 死の間際での体験とされ、あの世とこの世の境をさまよううちに体験した事という精神世界的な考え方や、死の間際という特殊な条件下で夢や擬似感覚による仮想の体験で、特に心停止前後に見られるものという科学的な解釈もあり、何らかの記憶が伴っている事は確かな事と考えられます。

 多くの場合、臨死体験が起こるメカニズムとしては、心停止によって脳が酸欠状態に陥り、意識の喪失が起こる直前の状態で、脳が通常とは異なる動作をする事によって起こると考えられ、個人の宗教などの世界観が深く関わっているともされます。

 その為、日本人は三途の川を見る事が多く、欧米人は花畑や光のトンネルの目撃談が多いという傾向があるとされ、キリストや仏陀、ご先祖様といった具体的な人物との遭遇例も報告されています。

 最近の研究によると臨死体験は、血液中の二酸化炭素の濃度が過剰に高まる事で起きる幻覚症状である可能性が高まったとされ、不思議な現象の正体が明らかにされてきています。

 心臓発作で病院に搬入され、生死の境をさまよいながら後に蘇生した患者52人を対象に調査を行った結果、臨死体験を経験した患者は、経験しなかった患者に比べて血液中の二酸化炭素濃度が著しく高かったという傾向がある事が判りました。

 それ以外の要因として、性別や年齢、宗教、救命時に用いられた薬剤や蘇生までにかかった時間などによって臨死体験の有無は左右されないとされ、二酸化炭素の数値のみが臨死体験の有無に関わっていた事が示唆されています。

 今回得られたデータによる二酸化炭素と臨死体験の関連は、現段階では仮説に過ぎないものとなっていましすが、二酸化炭素が実際に脳にどのように作用する事で臨死体験が起こるのかについてのメカニズムの解明が進み、関連が証明されれば臨死体験の正体が明らかにされる事となります。


 



 

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