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第1575回 いもフライ?     2010年09月29日

 フライドポテトが大好きで、カロリーを気にしなくて済むのなら毎日でもと思っています。学生の頃、夏休みにアルバイトをしていて、2ヶ月の間に5kgも痩せてしまった事があるのですが、アルバイトが終わった次の日に業務用のフライドポテトの大袋をいただき、毎日、心置きなく食べていて1週間で5kgを取り戻したという過去があったりもします。

 お気に入りはワッフルスライサーを使って格子状に切ったジャガイモを揚げ、シンプルに塩とコショウで味付けをしたフライドポテトなのですが、サツマイモを天ぷらにしたイモ天も大好きな食べ物となっています。

 そんなイモ類の揚げ物の中で、ご当地グルメとして異彩を放つ存在といえるのが「いもフライ」ではないかと思います。蒸したジャガイモを適当な大きさに切り、串に刺してフライの衣を付けて揚げた物で、ジャガイモの串揚げと言った方が解りやすいのかもしれません。

 揚げ立てに特製のソースをかけて食べるいもフライは、栃木県の佐野市を中心とした北関東の一部地域に見られる郷土食とも言われ、現地ではあまりに日常的な食べ物であるため、郷土食という地域限定的ま物ではなく全国的に食べられていると思っている人も多いとされます。

 かつて佐野市一帯は繊維産業で栄え、戦後の復興期に工場に勤める女工さんたちが仕事の手を休めずに片手でおやつをとっていた事がいもフライの始まりと考えられ、リヤカーに串に刺したジャガイモと揚げ油を乗せ、注文があればその場で揚げて販売されていたものが一般家庭にも浸透したと言います。

 家庭でも簡単に作る事ができるいもフライは、エネルギーの素となる良質なデンプンや揚げ油の脂質、ソースのアミノ酸といった栄養素が含まれ、仕事中の栄養補給に適したファーストフードであったとも思えます。

 いもフライを提供している店の主の話では、いもフライを上手に作るコツとして、茹でたジャガイモは熱いうちに皮を剥いて粗熱をとり、一晩冷蔵庫で冷しておくと串に刺しても崩れず、きれいに揚げられるという事でした。フライドポテトとコロッケの中間に位置する食べ物のようにも思えるいもフライ、洋食の香りに満ちた郷土食と言えるのかもしれません。


 



第1574回 千切りの展開     2010年09月28日

 それほど日持ちがする食材ではないので、油断していると劣化してしまっていてがっかりする事もあるのですが、キャベツが常備されていると重宝するように思えます。

 キャベツがあるとできる料理は幅広く、炒め物や煮込み料理、蒸して温野菜とするなどさまざまなレパートリーが考えられます。生でも美味しい食材なので、千切りにして料理の付け合せにしたりサラダに使うという点でも非常にありがたい存在となっています。

 特に生のキャベツが大好きな身としては、キャベツを見ると千切りにしてサラダにという発想がすぐに出てきます。その時の料理や食材に合わせて、できる限り細く切って繊細な柔らかさを出したり、太めに切ってパリっとした食感を楽しんだりと、キャベツの千切りにも奥が深いものを感じてしまいます。

 そんなキャベツの千切りですが、キャベツという西洋野菜が元になっている事や、洋食の付け合せに使われる事から、どことなく洋風な食べ方のように思えますが、実は日本固有の食べ方で、日本の食文化の一つとなっています。

 幕末の安政6年、それまで行われてきた鎖国が解かれて開国されると、東海道の神奈川宿の外れにある一寒村に過ぎなかった横浜に外国人居留地が設けられ、多くの外国人が生活する事となります。

 横浜で暮す多くの外国人にとって、祖国で食べていたような食材、特に野菜を入手する事は大変困難な事となっており、彼らを悩ませる事となっていました。個人的なルートを使って輸入しようにもインドや上海からでは輸送に時間がかかり過ぎ、品質的に「新鮮」と呼べるものではない事は容易に想像する事ができます。

 仕方なく西洋野菜の種を手に入れ、自宅の庭に家庭菜園を作って栽培するしか新鮮な西洋野菜を入手する方法はありませんでした。そんな中、イギリスの初代中日総領事のオールコックは、赴任後まもなく西洋野菜の種を入手し、ローレイロの協力を得て外国人居留地に菜園を作り、西洋野菜の栽培に着手しています。

 西洋野菜の栽培が軌道に乗ると横浜近郊の日本人にも西洋野菜の作り方を教え、清水辰五郎や近藤伊勢松、堤春吉らによってキャベツやパセリ、レタスといった西洋野菜の栽培がはじめられました。

 そうしてはじまったキャベツ栽培ですが、当初は外国人居留地に滞在する外国人や船舶関係者向けの栽培であった事から、わずかな量しか生産されておらず、あまり一般化はしておらず、キャベツの食べ方というとスープや煮物の具として加熱して食べられる事が主流となっていました。

 そんなキャベツの一大転機となったのが明治37年(1904年)のポークカツレツとの出会いとされ、銀座の老舗洋食店での事とされています。当時、その洋食店ではフランス料理の仔牛のカットレットをメニューとして提供していましたが、くどい味を好まない日本人には今一つ不評となっていたと言います。

 そこで日本人の好みに合わせるために素材を仔牛から豚肉に替え、調理法も少ない油で焼き付けるソテーから生パン粉の衣を付けて天ぷらのように多量の油で揚げるフライに変更しました。ポークカツレツは好評となり、人気メニューとなりますが、当時の付け合せは温野菜となっていてニンジンのグラッセ、オニオンソテー、フライドポテトが添えられていました。

 その後、ポークカツレツは人気メニューとして定着するのですが、日露戦争がはじまると徴兵によって人手不足になり、それまでの手のかかる温野菜の付け合せを作る事が困難となってしまいます。

 苦肉の策として生のキャベツを添えるようにすると、意外なほど好評となり、庶民の間にキャベツを生で食べるという事が定着していきます。最初は粗く刻んだ物が出されていましたが、客の好みに合わせた工夫がなされ、今日のような細い千切りが定番化する事となっています。

 キャベツの千切りという食文化は、それまで加熱して食べられていたキャベツの食べ方に新しい展開をもたらしただけでなく、野菜を生で食べるという習慣がなかった日本に新たな方向性を示した革新的なものという事もできます。大好きなキャベツの千切りを食べながら、文化的側面について思いを巡らせたいと思ってしまいます。


 



第1573回 衣の天ぷら?     2010年09月27日

 天ぷらというと和食の代表格の一つでもあり、日本の料理として世界的に広く知られた存在でもあります。格式高い料理のようでもありますが、素材に衣を着せて調理する事から、中身をごまかして大きく見せるという悪い意味で天ぷらという言葉が使われる事もあります。

 特にエビの天ぷらは、エビに衣を付けて油で揚げながら、回りに衣の生地をポタポタと落として飾り付けをして豪華に見えるように仕上げる事から、小さな中身をごまかして大きく見せた見掛け倒しのような印象を与えてしまいます。

 そんな天ぷらの一種として「片方が重たい」という意味を持つカタハランブーと呼ばれる天ぷらがあります。カタハランブーは天ぷらの一種ではあるのですが、衣のみを揚げるという特徴があり、中身がないという点では天ぷらと呼んでよいのか疑問が生じる食べ物でもあります。

 カタハランブーはその響きかた感じられるように沖縄の食べ物で、片側を大きく、もう片側を平たくなるように揚げられた手のひらほどの大きさの天ぷらです。揚げドーナツとして知られたサーターアンダギーと一緒に作られ、ふるまわれる事が多く、子孫繁栄などの願いが込められた縁起物として扱われていると言います。

 かつては結納のお土産としてカタハランブーとサーターアンダギーをセットにして持たせるという事が行われていたそうで、今でもしきたりを重んじる家ではセットで作ったり、仕出し屋などに注文して晴れの日に備えるという習慣が残されています。

 カタハランブーの薄い部分はパリパリと食感で、厚い部分は固めの衣のザクっとした食感が楽しめると言います。カタハランブーに限った事ではありませんが、沖縄の天ぷらは独自の食感を持つとされ、沖縄の気候風土が大きく影響している事が考えられます。

 天ぷらの衣を作る際、氷水を使いあまり混ぜないようにして、小麦粉のグルテンが形成される事を極力抑えてサクっとした食感に仕上がるようにします。沖縄では氷水を用意してもすぐに水温が上ってしまう事から、わざわざ氷水を用意する事はなく、水もアルカリ性の硬水である事からグルテンが形成されやすい条件が整ってしまいます。

 また、卵も多めに使う事から、衣に粘りが出て揚げるとザックリした食感に仕上がる傾向があります。そうした自己主張がしっかりした衣だからこそ、衣のみの天ぷらであるカタハランブーが成り立つのかもしれません。衣だけのエビ天とはずいぶんと違った世界観だと思えてきます。


 



第1572回 隠れた甘味     2010年09月24日

 糖度13度というとリンゴやミカン、イチゴなどを思ってしまいます。味覚に関わってくる酸味などの他の成分の含有量にもよりますが、糖度が13度もあればそれなりに甘い食べ物という印象を得るのではないでしょうか。

 そんな糖度が13度程度の食べ物の一つとしてタマネギを上げる事ができます。タマネギというと辛いというイメージはあっても、果物に匹敵するような甘味を感じる事はあまりない事から意外にも思えてしまいます。

 13度という高い糖度を持っていながらタマネギを甘く感じない理由の多くは、タマネギに含まれる辛味のある成分、硫化アリルによる部分が大きく関係しています。

 硫化アリルはタマネギの効能として血液をさらさらにしてくれる成分としてその名を聞く事もありますが、辛味のある刺激成分でタマネギを調理する際、涙が止まらなくなる原因の成分としても知られています。

 タマネギは炒める事で甘味が増すとされますが、炒める事で水分が蒸発して糖分の比率が増す事や、辛味によって甘味の存在を目立たなくしていた硫化アリルが揮発して少なくなる事からより甘味を感じやすくするためと考えられています。

 また、硫化アリルなどの硫黄化合物は、加熱される事で一部がイソプロピルメルカプタンへと変化します。メルカプタンは硫黄化合物から変化した臭味成分とされていますが、実は非常に強い甘味を持っていて、その甘さは砂糖の50倍とされています。普段は嫌われ者のメルカプタンですが、タマネギを炒めた際の甘味という点では一役かっている事となります。

 タマネギ自身が炒められて甘味を増すという事もありますが、タマネギに含まれている旨味成分のグルタミン酸は味覚の強度を増す働きがあり、タマネギが加えられる事で他の素材や料理自体の甘味をより感じやすくしてくれるという働きもあります。

 旨味成分は他の旨味成分と合わせる事で、飛躍的に味覚強度を高める事ができるので、タマネギと相性の良い素材である肉類(イノシン酸)やキノコ(グアニル酸)と合わせて使う事でより料理を美味しくしてくれます。煮込み料理が美味しく感じられる季節を迎え、タマネギの隠されている果物なみの甘味と旨味を上手に活用しなければと思います。


 



第1571回 魚種交替     2010年09月22日

 以前、漁業を考える会に参加させていただいた際、経験豊かな漁師の方から、「イワシが獲れなくなってきているが、イワシが獲れないときはアジが豊漁となる。両者にはシーソーのような関係がある」という意見を聞かせていただいた事があります。

 長年、漁業に携わってこられた経験からの意見であり、大変勉強になった覚えがあるのですが、イワシとアジのシーソー関係はイワシとアジに限った事ではなく、もっと多くの魚種を巻き込んだ「魚種交替」という学術的に考察された説で説明される事を後に知る事となりました。

 海は陸上よりも多様な生物を育んではいますが自然界の営みの中にあり、当然のように食物連鎖のピラミッドが形成されています。植物プランクトンにはじまり動物プランクトン、小魚、中型の魚、大型の魚へと繋がっていくのですが、魚類の中では下位に位置する小魚にイワシやアジなどの大衆魚と呼ばれる青魚は含まれていて、一定の海域での漁獲の多くを占めています。

 水産資源調査に数理統計学的考え方を当てはめ、各海域について考察を行うと、ある一定の周期で漁獲される魚種には大きな変換が起こり、それまで大量に漁獲されていた魚種が全く捕獲されなくなり、別な魚種が大量に獲れはじめるという現象が観察される事が判ってきます。

 魚類の多くは大量の卵を産み落とし、後は海中に浮遊させて運任せで孵化させるという戦略で繁殖しています。食物連鎖の下位に属するイワシやアジ、中位のサバ、カツオ、上位のマグロと大きさは異なりますが、卵の大きさはほとんど同じで1mm程度の大きさしかありません。

 そのため卵の段階では食物連鎖の「大が小を食す」という法則が必ずしも成り立つとは限らず、マグロの卵をイワシが食べる、サバの卵を動物プランクトンが食べるという逆転現象が起こる事も日常的に考える事ができます。

 一定の水域内で海水が富栄養化したり、水温の上昇などによって植物プランクトンが多量に発生るという事はそれほど珍しい事ではありませんが、植物プランクトンの増加によってそれをエサにする動物プランクトンも増加する事が考えられ、そこに最も数が多い小魚の産卵が重なると大量捕食が行われて生存数が激減してしまう事となります。

 その後、植物プランクトンの数が元に戻ると動物プランクトンの数も安定し、そこへ産卵時期が違う別な魚種の産卵が行われると、それまで先に産卵が行われ、孵化して新たに産卵された卵を捕食していた仔魚がいない事から、産卵された卵の生存率は大幅に向上する事となり個体数の増加が起こります。

 仮にイワシのような小魚が一回に10万個の産卵を行うとして、1%というわずかな生存率の向上でも1000尾が成魚となる事となり、1000尾が均等に雄と雌だった場合、500のつがいが産卵に携わる事となります。

 500のつがいから10万個の卵が生まれるとすると、5000万個の卵が産卵される事となり、生存率も大幅に向上する事が考えられるだけでなく、次世代としてさらに多くの産卵を行う事となります。

 そうして魚種変換が起こると考えられるのですが、そのまま一定の魚種の数が増加し続ける事なく、やがてはその海域でも魚種の交替が起こる事を考えると自然界の秩序と厳しさを思ってしまいます。今は漁獲の少なさから高級魚化してきているイワシですが、魚種交替説では2020年には豊漁を迎えると予想されている事から、いろいろな期待を込めてその時を待ちたいと思います。


 



第1570回 ワックス考     2010年09月21日

 季節柄、リンゴを店頭で見かける事が増えてきました。美味しそうなリンゴを手に取り、色づき具合や傷の有無など全体の雰囲気を見た後、手にしたリンゴをカゴに戻すと指先に何かべとついたものを感じる事があります。ミカンなど他の果物でも同じような感じを受ける事があり、果物の表面に広がったワックスの存在を意識してしまいます。

 果物や野菜の表面に広がるワックス層は、果物自身が作り出している組織の一つであり、水分の蒸散を抑えて鮮度を維持するという大切な生理的役割を担っています。そのためワックス層がしっかりしている果実の方が、より鮮度を保つ事ができると考える事もできます。

 リンゴはジョナゴールドなどの品種に顕著に見られる事として、ワックス層にリンゴの皮に含まれているリノール酸やオレイン酸が表皮細胞を通して出てきている事から、より表面に触れた際にワックスのべとつきを感じる傾向があります。

 そうしたワックス層をより良く機能させ、収穫後の鮮度を維持しやすくさせるために樹上でカルシウム剤の散布が行われる事があります。カルシウムが散布された場合、果実の表面に白い粉が付着しているように見え、残留農薬と誤認される事があるのですが、カルシウムの結晶なので無害であり、水洗いで簡単に洗い流す事ができます。

 また果実は収穫後、生育中に付着した汚れや輸送時の埃などを落とすために、全体を水洗いして出荷されます。その際、表面に形成されていたワックス層まで洗い流されてしまう事があるので、後々の鮮度を保つために表面に人工的にワックス層を塗布したり、鮮度の保持をより強力にするために塗布する事もあります。

 人工的に塗布されたワックス分を敬遠する意見は多く、ワックスを塗布していないので安全という表示や、そのために割高な価格設定の販売例を見かける事も珍しくはありません。

 ワックスを農薬と同じような感覚で捉え、健康を害する成分とする意見もありますが、ワックスは果実の表面に塗布される事から食品衛生法の規制を受けており、事前に安全性が確認されて認可されている成分しか使う事ができなくなっています。

 ワックス剤として多く使われているのはカルナバロウやミツロウで、カルナバロウというと車に使われるワックスの原料ともなる事から、工業的な印象がありますが椰子の一種の葉から採られる天然由来の成分であり、最も硬度が高いロウの一つで安全性も高い原料として口紅などの化粧品にも多く使われています。

 ミツロウもハチの巣から得られる天然のロウ分であり、チョコレートの光沢剤やカルナバロウと同じように化粧品にも使われています。登山などの際に所持するロウソクにはミツロウを原料とした物が推奨され、遭難してしまった際に灯りを得る以外に緊急時には食料とする事ができるという安全性を持っています。

 ワックスの危険性については、ワックスそのものよりもワックスが農薬を封じ込めてしまう事の方にあるという意見もありますが、果実に使われている農薬は自然界において光などによって分解され、店頭に並ぶ際にはほとんど農薬が残っていない状態になるように散布体系が採られている事から、光を遮断するような色付きのワックスが使用されていない限りはワックスが農薬を保持するという事はないと考えられます。

 指先に残るべとつき感は、あまり気持ちの良いものではないのですが、植物の営みをよく理解し、無用な不安感から必要なものまで除去してしまわないようにと、萎びてきた果物を見ながら思ってしまいます。


 



第1569回 害虫、夏の陣     2010年09月17日

 今年の夏は稀に見る暑さのせいで、害虫の発生が多かったという話を多く聞かされます。特にムカデやスズメバチなどの怖い虫の発生が多く、駆除する事も大変だったと言います。

 最近は殺虫剤も発達してきていて、駆除の確実性が上ってきていたり、虫とのある程度の距離を確保した上で駆除が行えるなど便利になってきています。

 殺虫剤の種類も増え、馴染みのあるスプレータイプの物から据え置きタイプの毒エサタイプ、燻煙タイプなど、虫の種類や棲息環境に合わせた種類の物を選び、対応策を講じる事になります。そうした殺虫剤の多様化、殺虫処理の日常化に伴って、多くの殺虫剤にまつわる事故の報告も多くなってきています。

 夏の暑さが本格化する8月が最も殺虫剤に関する事故の報告例は多く、次いで7月、6月、9月と夏の暑さや湿度と虫の発生との関連性を伺う事ができます。

 最近、特に増えてきているのが燻煙タイプの殺虫剤を外出時に使用し、外出中に害虫駆除を終えて帰宅しようと考え、帰宅した際に部屋に残された殺虫剤の成分によって事故に遭うというもので、咳やめまいによって病院に搬送されるケースも増えてきています。

 また、ゴキブリの駆除用として広く使用されているホウ酸団子についても事故の報告が増えてきていて、子供を中心に誤って食べてしまうなどの事故が相次ぎ、5歳以下の子供が殺虫剤関連の事故で病院に搬送されるケースの6割近くがホウ酸団子などの毒エサタイプの誤嚥によるものとされています。

 スプレータイプに関しても、製品の多様化に合わせてノズルの多機能化が進み、使用法が難解化して組み立て中に眼に噴霧してしまって事故に繋がるケースも増えてきているといいます。

 製品の進化が急速で、消費者の理解が追い付いていない事が事故の多くに繋がっていると言える部分も多く、事前に製品について充分理解しておく事が重要といえ、便利な殺虫剤とはいえ虫を殺す毒物である事を理解する事の重要性を感じてしまいます。便利な物ほど内容を良く理解して使うという典型例なのかもしれません。


 



第1568回 ミネラルの話     2010年09月16日

 食材に含まれる栄養素についての情報を記載する際、ミネラル類と一括して書いてしまう事もありますが、ミネラル類にはカルシウム、カリウム、ナトリウムや鉄分、亜鉛など、人が健康を維持していく上で重要な多くの微量元素が含まれています。

 ミネラル類は無機質と呼ばれる事もあり、現在、栄養素としてのミネラル類は約40種ほどが知られています。栄養素というと3大栄養素のタンパク質、脂質、糖質などの重要性は日々意識されますが、必要摂取量を比べると健康を維持する事に必要と考えられる量が極めて少ない事もあって、あまりミネラル類の積極的な摂取については意識されない事が多いように思えます。

 しかし、それだけ微量でも健康に影響を及ぼす事を考えると、ミネラル類という栄養の存在は大きいと言わざるを得ない物が感じられてしまいます。

 ミネラル類の働きは主に2つが考えられ、骨や歯を作っているカルシウムや血液中の赤血球に使われている鉄分などに代表されるように体を作る成分となる事。もう一つは神経の伝達や血液の酸性やアルカリ性のバランスを適度な範囲に保つなどの機能的な働きがあり、重要な栄養素である事を伺う事ができます。

 厳密にミネラルというと地球上に存在する元素のうち、水素や炭素、窒素、酸素を除いたものを言い、100種類ほどが存在する事となります。その中で、人にとって不可欠な存在というとナトリウムやマグネシウム、リン、カルシウムなどをはじめとした16種類が考えられ、その中から硫黄、塩素、コバルトの3種類を除いた13種類のミネラルが厚生労働省によって摂取基準が設けられています。

 ミネラル類と健康の関連については、過不足なく摂るという特徴が上げられます。ミネラル類は、水溶性ビタミンのように摂りたいだけ摂って、過剰となった分については排出されるといった事はなく、摂取量が多過ぎた場合は過剰症という弊害を発生させてしまいます。

 食材に含まれるミネラル量を理解し、多品目から上手に摂取するイメージを持つ事や、ミネラルによって吸収量が大きく違う事を事前に知っておく事がミネラル類との上手な付き合い方に繋がるのかもしれません。


 



第1567回 天ぷらの謎?     2010年09月15日

 和食、特に外国人から見た場合の日本の食というと、寿司、天ぷらという答えが返ってきそうに思えます。それだけ日本を代表する料理の一つとなっている天ぷらですが、他の和食と比べると調理に多量の油を使うなど、少々異色の存在のようにも思え、いろいろと調べてみると意外と不確かな部分を多く持つ事に驚かされてしまいます。

 すでに「テンプラ」は世界の共通語ともなっていて、小麦粉を卵や水で溶いた衣を魚介類や野菜などのさまざまな食材に付け、油で揚げるという料理は広く親しまれています。日本を代表する料理でありながら、天ぷらの発祥の地は日本ではなく、室町時代にポルトガルから伝来した料理という認識も広く定着しています

 しかし、平安時代にはすでに米粉を衣にした揚物料理が存在し、鎌倉時代には食材の制限から脂質が不足しがちな精進料理の中で、脂質(油分)を摂取できる料理として食されていた記録が残されていて、室町時代にポルトガルから伝来した物は天ぷらというより、今日のフリッターに近い物である事が考えられます。

 天ぷらという名前に関しても初めて文献に登場するのは江戸時代、寛文9年(1669年)の事で、天ぷらの語源に関しても諸説があり、定かにはなっていません。

 有力なところではポルトガル語の「料理」を意味する「テンペロ」や、中国料理の「塔不刺(とうふら)」などが訛ったとするものがあり、天ぷらを漢字で表記する際の「天麩羅」については、江戸時代に入ってから山東京伝が大阪から魚の揚げ物を売りにきた業者のために名付けたとされています。

 天麩羅の「天」は天竺を指し、麩は小麦粉、羅は薄い衣を指しているとされ、天竺浪人がぶらりと江戸へやって来て、小麦粉で作った薄い衣を付けた料理を売るという製品コンセプトを表していました。

 その後、天麩羅の麩が婦に置き換わり、天婦羅と書かれる事も見られるようになり、今日に至っています。元となった天ぷらについては、有力なポルトガル説以外にもスペインで獣の肉を食べる事が禁止され、代わりに魚の揚げ物を食べる「天上の日」を意味するテンポラや、手早く調理される事から「早い」を意味するテンペラ、調理が伝えられた場所が寺院であった事から、寺院を意味するテンプロなども語源として見られています。

 天ぷらの名前が一般化する前は、ごま油で揚げられる事がほとんどであった事から「ごま揚げ」の名前で親しまれ、串に素材を刺して揚げられた物を客が手に取り、脇に置かれた天つゆが入れられた丼に漬けて大根おろしを添えて食べていた記録が残され、今日の関西名物の串揚げに近い存在であった事が伺えます。

 江戸の中期には串に指した物は次第に見られなくなり、今日のように箸で食べるスタイルが一般化し、天ぷらの名前も広く使われるようになってきますが、当時、天ぷらというと魚介類を揚げた物に限られ、野菜を揚げた物は「精進揚げ」と呼んで区別されていました。

 衣に関する区別も存在し、卵黄の比率を多くして黄色みを強くした天ぷらを「金ぷら」。卵白だけを使って白く揚げた物を「銀ぷら」と呼ぶ例も見られています。

 徳川家康の死因とされたり、江戸城内で天ぷらを揚げる事が禁止されていたりと、食文化以外の部分でも多くの興味深いものを感じさせる天ぷらですが、料理という点では極めてシンプルで、シンプルさゆえの難しさに溢れた料理という事ができるのかもしれません。


 



第1566回 毒によって...。     2010年09月14日

 「毒をもって」と言われると「毒を制す」と続けてしまうのですが、最近では別なものを制するようになってきているようで、これまでは怖い物としか思えなかった毒が意外な分野で役に立っていたりします。

 最新の毒に関する話題では蛇の毒に注目が集まっているとの事で、蛇の毒が制してくれるのは毒ではなく気になる顔のシワだと言います。

 蛇の毒といっても大きく分けると3種類があり、神経の伝達を阻害して筋肉の動きを止めて活動を不能にし、呼吸に必要な横隔膜の動きを止める事で窒息死させる神経毒。血液の凝固作用を阻害して血液を固まりにくい状態にした上で、血管系の細胞を破壊して出血させる出血毒。強力なタンパク質の分解作用を持ち、筋肉の組織を破壊してしまう筋肉毒がある事が確認されています。

 3種類の毒の中で注目を集めているのは、神経の伝達に関わる神経毒ではないかと思われ、顔の筋肉の動きを制限する事でシワの発生を抑える事が考えられます。

 同様の手法は食中毒菌として知られたボツリヌス菌の毒素においてもすでに実用化されており、ボトックス注射として美容外科などで施術が行われています。

 ボトックス注射はシワの近くや顎の横にある筋肉をボツリヌス菌が作り出す毒素を使って麻痺させる事で、シワを取ったり、小顔に見せたりするというもので、注射によって施術が行われ、手術が必要ではない事からプチ整形として親しまれています。

 話題の蛇の毒は、顔の表情を作っている表情筋が繰り返し動かされる事によって、表情筋稼動部の周辺にシワができる事から、表情筋の動きを強制的に動かない、表情筋がリラックスした状態を作り出し、シワ取りを行うとされています。

 すでに製品化されている物は、蛇の毒と同じ物を合成した合成ペプチドの状態で製造され、クリームなどを塗布する形で愛用するようになっています。

 蛇の毒による筋肉弛緩作用やボツリヌス菌の毒素によって筋肉を弛緩させ、シワ取りが行える事はすでに実績が確認されている事ではありますが、皮膚の表面に塗布する事で充分な効果が上るのかについては若干の疑問が残ります。今後、手術も注射も行わない新たなプチ整形として普及する事と考えられますが、シワは減らせても表情筋の動きが制限されるという事で、表情が乏しくなるという事に抵抗を感じてしまうのは感覚が古いからでしょうか。


 



第1565回 クロレラの新たな恵     2010年09月13日

 最近、臓器移植に関する話題をよく見掛けるようになり、今後、移植を巡るさまざまな議論が活性化してくるのではと思っています。

 臓器移植をより成功へと導く要因の一つに、必要な臓器を取り出すタイミングがあると考えられます。臓器の提供を予定しているドナーの心臓が停止すると、すぐに各臓器に酸素を供給していた血流が滞り、それによって臓器が酸素不足による損傷を受けてしまう事があります。

 最近、そうした心停止から時間が経過した移植用臓器をクロレラの光合成能力を利用する事で、臓器内の酸素と二酸化炭素の濃度を改善し、機能回復させるという試みが進められています。

 今回、新たな研究で、酸素が溶け込みやすい液体にクロレラを入れ、臓器内に送り込んでLED(発光ダイオード)で光を照射すると、それまで低くなっていた臓器内の酸素濃度がクロレラが光合成によって作り出された酸素によって高められ、高濃度になっていた二酸化炭素がクロレラの光合成によって減少する事が確認されています。

 各臓器にとって血液は酸素や栄養、働きの指令ともなるホルモンの運搬という働きを担っています。中でも重要なのが酸素の運搬で、酸素を供給して二酸化炭素を運び出すというガス交換が行われないと臓器を構成する細胞が早い段階で死んでしまいます。

 クロレラの光合成は光を受ける事で二酸化炭素を取り込み、酸素として排出する事から、ちょうど血液が酸素を運び込み、二酸化炭素を運び出す働きに似ているという事ができます。

 今後、さらに研究が進めば、呼吸不全に陥った患者の治療への応用や、心停止後の臓器提供の機会を増やす事にも繋がる事が考えられ、健康食品の素材として広く知られたクロレラの新たな利用法として注目される事となります。

 脳死に陥った臓器提供者の心停止を待たずに慌しく臓器の摘出手術が行われるのではなく、心停止を待ち、家族が別れを告げる時間を充分に確保した上で摘出手術を行う余裕をクロレラが与えてくれるようになるのかもしれません。


 



第1564回 青魚の缶詰     2010年09月10日

 今年、サンマが不漁から高値が付けられていると言います。同じ青魚でもイワシの高値は数年来続いていて、今や高級魚の仲間入りという事態にもなっています。かつて青魚は評価が低く、下魚と呼ばれる事もあった事を考えると最近の高値という再評価を複雑な思いで眺めてしまいます。

 青魚が健康面から再評価されるきっかけとなった要因の一つに、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の存在が上げられると思います。DHAは細胞膜を柔軟にして脳細胞の繋がりを良くする事から、記憶力を高める成分として注目され、EPAは血液をサラサラにして生活習慣病を予防するとして注目を集めました。

 青魚はそんなDHA、EPAを豊富に含む食材として定着してきていますが、鮮度が落ちやすく、毎日の食材とするには少々難しい面もあるといえます。

 青魚の利用については、意外と重宝するのが缶詰ではないかと思えます。安価に入手できる青魚の缶詰には、鮮魚の際とほぼ同等のDHA、EPAが含まれているとされ、鮮度を気にする必要もなく、保存性も高い事から常備しておく事ができます。

 また、缶詰は日常の調理とは異なり、高温高圧で加熱調理される事からカルシウムをはじめとした栄養素が煮汁に溶け出していて、吸収されやすい状態になっているというすぐれた面を持っています。味付きの物から水煮の物まで、利用法にはさまざまなバリエーションが考えられ、青魚の良い利用法の一つといえます。上手に利用して、健康効果に優れた青魚を毎日の食材とする事ができればと思っています。


 



第1563回 緑のカーテンと赤い種     2010年09月09日

 今年は厳しい暑さに対抗するエコな方策の一環として、ゴーヤーやヘチマなどを使った「緑のカーテン」をたくさん見掛けました。窓の上から地面までネットなどを張り、それに蔓性の植物を這わせる形で緑のカーテンが作られるのですが、効果は思い外大きいとの事で、何もしない場合と比較して2〜5度も温度が違うという事には驚かされてしまいます。

 今年、見た中では蔓性の植物の中でも特に人気が高かったのがゴーヤーで、緑のカーテンとして室温を引き下げるだけでなく、大きく育つ実の部分も暑さに負けない栄養をたくさん含んだ夏野菜となっています。

 ゴーヤーは通常、緑色のうちに若採りされて食用に使われています。緑のカーテンにたくさんゴーヤーができてしまい、食べるのが追い付かなかったり、収穫の時期を逃してしまうと緑色だったゴーヤーはやがて黄緑色となり、黄色からオレンジ色へと変色していき、外皮が弾けて中から赤い種が出てきます。

 地域や気候によって異なりますが、通常ゴーヤーは花が咲いてから14日から20日前後が収穫時期とされ、30日頃には中の種が熟して赤くなっているとされます。種は蔓に付いている頭の部分よりも下の方に多く、ゴーヤー自体も熟してくると柔らかくなってくる事から、種が熟しはじめるとゴーヤーの形が下の方が膨らんだ歪な感じに変化して、食べ頃を逃している事を知らせてくれます。

 オレンジ色に変色して弾け、中から透明なゼリー状のどろどろした物に包まれた赤い種が出てくるという姿にはそれなりのインパクトがあり、毒々しい感じすらしますが実際には毒性はなく、種の回りのゼリー状の部分には甘味があって沖縄などでは子供のおやつとして食べられていたと言います。

 食べ頃を逃してしまったゴーヤーは柔らかくなり、食感が悪くなってしまいますが、そのまま完熟させて種の回りの甘味を楽しんだり、種を保管しておいて来年の緑のカーテンに使うのも新たなゴーヤーの楽しみ方となるのかもしれません。


 



第1562回 みかんの旨味     2010年09月08日

 柑橘類は輸入物や品種の違いなどもあり、年間を通して何らかの種類を店頭で見掛ける事ができます。そんな柑橘類の中でもみかんは手で皮を剥いて食べられるという手軽さもあり、身近な存在となっています。

 みかんは海外でもテーブルオレンジなどと呼ばれ、手軽に食べる事ができる柑橘類として親しまれてきています。そんなみかんの食べ方というと、皮を剥いて白いスジを除いて袋ごと、または袋は食べずに中のさのうのみと分かれるのではと思います。

 白いスジは食感が良いとは言えず、甘味などはなく苦味がある事や、袋も味がないので食べる際は除いてしまう事は理解できるのですが、捨ててしまうには少々惜しいような栄養素が含まれている事はあまり意識されていません。

 最近、みかんに含まれる栄養素としてヘスペリジンの存在が言われるようになってきています。ヘスペリジンはビタミンPとも呼ばれる事があり、毛細血管の強化や血流の改善、アレルギー症状の緩和や発ガンの抑制などの働きがあるとされ、みかんの白いスジに多く含まれています。

 袋の部分には食物繊維が多く、食物繊維の中でも水溶性の食物繊維であるペクチンが多く含まれています。ペクチンはジャムを固める成分としても知られていますが、コレステロールを吸着させて再吸収を抑制し、血中コレステロール値の低下を促す働きや、腸内の善玉菌を育てて腸内細菌の状態を良くしたり有害物質を吸着して排出を促す働きを持っています。

 古来よりみかんの皮は陳皮(ちんぴ)と呼ばれて漢方薬の素材として扱われ、風邪を引いた際は陳皮10gほどを細かく刻み、熱湯を注いで砂糖を少量加えた物を1日に3回ほど飲んでおくと回復へと向かうとされていました。

 皮、スジ、袋。みかんの美味しくない部分には、身体には美味しい成分が多く含まれ、当たり前のように捨てていた事が惜しまれるような成分が多く含まれていて、血流の改善や風邪の治療、血中コレステロール値の上昇抑制など、みかんのシーズンが本格化する季節にありがたい効能に溢れている事が判り、みかんがより一層良いものに思えてしまいます。コタツで皮を剥きながら、考え込んでしまいそうな気がしています。


 



第1561回 骨の健康     2010年09月07日

 60歳以上の女性にとって、約3人に1人というある意味では一般的とさえ言えるあまりありがたくないものが骨粗鬆症ではないかと思います。骨粗鬆症は文字通りというか、「鬆」という馴染みのない文字が使われていますが、骨密度が低下して骨折しやすくなる状態として広く知られています。

 骨粗鬆症は骨の強度が下がり、脆くなってしまう病気とされ、骨の内部の網目状の骨梁が細くなったり折れたりして、骨の強度が大幅に低下してしまう状態を指しています。

 特に閉経後の女性が骨粗鬆症になりやすいとされ、骨の強化という役割を担っている女性ホルモンの減少がその理由と考えられています。

 骨粗鬆症になると、日常のなんでもない動作でも骨折してしまう事があり、特に注意を要する箇所は背骨や太ももの付け根、手首とされています。

 背骨は体の縦方向にかかる重力を支えている事から、これといった動作を伴わなくても圧迫骨折を引き起こす事があり、太ももの付け根の骨は体重を支えるL字型の部分に大きな負荷がかかっている事から骨折しやすくなってしまいます。手首は立ち上がる際などに体重を支えるように手をつく事が多いので、日常的に骨折の危険にさらされているともいえます。

 骨粗鬆症は生活習慣病と同じように気付かないうちに進行している事が多く、骨折して初めて気付くという事もあります。骨折してしまってからは、骨を元に戻す力自体が低下しているので、回復の望みが低く、QOL(生活の質)を大幅に低下させてしまう事が考えられます。

 骨粗鬆症を予防するために必要な事というと、日常的な事の中に多くの注意点があります。骨を作る素となるカルシウムや骨の形成に影響するビタミンDやビタミンKも重要ですが、骨を形成するコラーゲンを初めとしたの成分の確保や、適度な負荷も必要となります。

 体質や遺伝も関係する事から、家族に骨粗鬆症の人がいないかという事や、過去に骨折した経験がある場合はその状況についての考察も行い、骨の強度や身長の推移も確認しておく事も大切です。

 一度骨粗鬆症になると完全な強度を取り戻すことは難しいとされ、そうならないための予防策が重要となります。年齢と共に訪れる症状ではありますが、年のせいにせず、積極的に骨について考えて骨を日常生活で作っていくという意識が予防策となりえるのかもしれません。


 



第1560回 戦国の終わりに     2010年09月06日

 グラスワインに牛肉のステーキ、豚肉のシチューと言われると、何処のレストランのメニューかと思ってしまいますが、同じ頃、流行りはじめた物として、カステラ、金平糖、カルメラ、ビスケットと聞くと、安土桃山時代の事かもしれないと思えてきます。

 安土桃山時代は長く続いた戦国時代が一段落し、都市部において豪商と呼ばれる新興の商人勢力が急成長を遂げ、豊富な富を背景に豪華絢爛な文化が形成されています。

 貿易も盛んに行われ、海外の影響を受けた南蛮菓子をはじめとする食文化や、キリシタン、茶の湯などさまざまな文化が融合して多彩な世界観を創り出していました。

 中でも食に関する部分は、その後、江戸時代に入り仏教の影響を受けて獣肉の摂取が制限された中で成立した和食のイメージからは程遠い豪華な内容となっています。今ではお馴染みとなっている食べ物も、この時期に初めて作られたり、接したりという物も多く、意外に思える物も少なくはありません。

 パンというと戦後や明治維新の頃に入ってきたような感じがしますが、実はこの時期に初めて日本国内で製造されています。正式な記録としては慶長14年(1609)に江戸で製造されたという記載が残されており、明治元年に風月堂が薩摩藩士の兵糧として5千人分のパンを焼いたという記録をずいぶんと遡る事となります。

 もっと古いような感じがしていながら、実はこの時期という物には味噌汁があり、それまで味噌は作られ食べられていましたが、今日のような味噌汁という食べ方が一般化するのは室町時代から安土桃山時代の事となっています。

 意外なところではうどんも室町時代から安土桃山時代に広まった食べ物で、それまでは小麦粉を練って団子状にして食べていた物が室町時代の初期に今日のような麺が登場し、一般化しています。

 それ以外にもがんもどきや雑煮、はんぺん、唐辛子など、後の食文化に影響を与える物が多く登場していて、激動の時代の終焉を彩る文化の豊かさを感じさせてくれます。


 



第1559回 お茶の楽しみ     2010年09月03日

 お茶というと日本人にとって日常的な物であり、毎回の食事の際だけに限らず多くの場面で愛用されている物でもあります。最近ではペットボトル入りのお茶もさまざまなこだわりのある物が売り出され、健康志向の高まりもあって常に好まれている飲み物となっています。

 お茶は急須の茶葉にお湯を注ぐ形で入れられ、豆を挽いて器具ごとに異なるフィルターを用いるコーヒーと比べると手軽な感じがしますが、意外と奥が深く、茶葉やお湯の温度によって味わいに変化が生じるという繊細さを持ち合わせています。

 お茶の旨味はお茶に含まれる旨味成分である「テアニン」が多くを占めており、特有の渋みは「カテキン」によって作り出されています。この二つの成分の扱いによってお茶の入れ方と味わいが変化します。

 旨味成分、テアニンは柔らかく旨味の多いお茶の味を作り出す素となっています。テアニンが溶け出すには50度程度の温度が適していて、お茶を入れるには意外なほど低温となっています。

 渋味成分、カテキンは最近では健康効果だけが言われていますが、お茶特有の渋味を演出する成分であり、カテキンが溶け出すには80度程度という比較的高温の温度が適しています。

 よく玉露や上等な煎茶を入れるには低温のお湯という事が言われ、直接急須に高温のお湯を注ぐ前に「湯冷まし」などの器具を介してお湯の温度を調整する工夫が行われています。玉露や上等な煎茶の茶葉にはテアニンが多く含まれ、その旨味を最大限に引き出す入れ方という事ができます。

 それに対し、テアニンの含有量が少なめの茶葉ではカテキンの渋味を楽しむ入れ方が行われ、高温のお湯を使う事でカテキンをより多く抽出して渋味というお茶特有の美味しさを最大限に引き出した入れ方を行います。

 旨味と渋味、そのどちらが多く含まれているかでお茶の入れ方と味わい方が変化しますが、それ以外の要因として香ばしさという楽しみ方もお茶の美味しさの一つとなっています。

 茶葉を再度加熱して処理するという「ほうじ茶」や煎った玄米を加える「玄米茶」は、香ばしさを楽しむお茶の典型であり、旨味や渋味とは違った楽しみ方をするお茶と言えます。

 旨味を楽しんだり、渋味を味わったり、両方をうまくバランスさせる、香ばしさを楽しむ。お茶の楽しみ方にはさまざまな組み合わせが考えられ、単純に茶葉の選定以外にもお茶を入れるお湯の温度などによっても変化してきます。いろいろと試しながら楽しんでみるというのも、お茶の奥深い世界に触れる一環となるのかもしれません。


 



第1558回 マフィンの米英     2010年09月02日

 身の回りの人にはパン好きとして知られている身ですが、中でも大好きなパンの一つにイングリッシュマフィンがあります。イングリッシュマフィンは強力粉を用いた生地を酵母を使って発酵させ、表面にトウモロコシの外皮と胚芽を除いて粗挽きにしたコーンミールをまぶして焼き上げられたパンで、アメリカやイギリスの朝食で広く親しまれています。

 イングリッシュマフィンは盛んに食べられている地域では単にマフィンと呼ばれ、ファーストフード店の朝食メニューとしても販売されています。通常はトーストして食べますが、他のパンとはトーストにする際の作法が異なり、二枚に割いてトーストします。

 二枚に割く際もナイフなどは使わず、外周をフォークで突き刺して割くための穴を開け、そこから手で引き割いて表面を凹凸のある状態にして、焼き上がりのカリカリ感と香ばしさをより大きくするという工夫が行われ、独自の食感を楽しむようにされています。

 また、単純にマフィンというと、薄力粉とベーキングパウダーで焼き上げたお菓子風のアメリカンマフィンも存在しています。アメリカンマフィンでは酵母による発酵は行われず、膨らむという事に関してはベーキングパウダーがその役割を担い、多くの場合、ドライフルーツやナッツ類、チョコレートチップなどが練り込まれています。

 世界的にマフィンというとアメリカンマフィンを指す事が多く、イングリッシュマフィンをマフィンと呼ぶ例は英語圏に限られる少数派とも言えます。

 イングリッシュマフィンに似た存在としては甘い軽食パンのクランペットがあり、アメリカンマフィンに似た存在としてはスコーンを上げる事ができます。

 クランペットはイングランド風とスコットランド風に別れ、イングリッシュマフィンに近いのはイングランド風となっており、スコットランド風のクランペットはどちらかというとホットケーキなどのパンケーキに近い物となっています。

 スコーンは小麦粉または大麦粉、オートミールなどにベーキングパウダーを加えて牛乳で軽く捏ね、成形して焼き上げられます。風味やこくを出すために生地にバターを練りこんだり、ドライフルーツが混ぜ込まれたりする事も多く見られます。

 アメリカンマフィンも薄力粉にベーキングパウダーが加えられ、牛乳で捏ねる事となりますが、スコーンとの違いを上げると、アメリカンマフィンには卵が加えられ、紙製のカップに流し込んで焼き上げられている点が上げられます。

 アメリカではスコーンはビスケットとも呼ばれる事もあるようですが、そうなると似ている食べ物、同じ名前という関係がかなり複雑になってくるように思えて、どこかの段階で世界標準となる規格が必要となるのではと考えてしまいます。


 



第1557回 茄子の色止め     2010年09月01日

 得意料理の一つに「麻婆茄子」があります。茄子を食べやすい大きさに切り分けて下拵えをするのですが、アクを抜くために水に浸すとスポンジ状の果肉によって浮かび上がってしまい、うまくいかないものを感じてしまいます。

 表面に浮かんでいて水面下にほとんど沈んでいない事から、ほとんどアク抜きができていないように思えるのですが、アク抜きに使用した水を見るとほんのりと茶色くなっていて、しっかりと茄子にもアクが含まれていた事が判ります。

 茄子を切り分けた後、アク抜きなどをせずに放置するとすぐに表面の色が茶色く変わってしまい、茄子にもアクが多く含まれている事が伺えます。

 茄子の表面には果肉と比べて固い皮があり、よく知られた紫色のナスニンやアントシアニンといったポリフェノール化合物が含まれています。果肉の部分にもポリフェノール類が含まれ、酵素も含まれている事から切り分けて表面が空気に触れると酸化がはじまり、茄子の白い果肉が茶色く変色してしまいます。

 麻婆茄子のようにすぐに炒めてしまう場合は変色は気になりませんが、数種類の具を用意した天ぷらなどで揚げるまでに時間がかかる場合や、事前に食材を用意する屋外でのバーベキューなどの場合、茄子の変色が気になる事もあります。

 理想は調理する直前に茄子を切るようにして空気に触れる時間を極力短くする事ですが、それができない場合は酢水や塩水に漬けて酵素の働きを阻害する事と、茄子の表面に水の膜を張って空気に触れにくくする事で茄子の変色をある程度防ぐ事ができます。変色したからといって味や栄養にはほとんど影響は出ないのですが、料理に対して一手間をかけるという気分的なものに違いがあるのかもしてません。


 



 

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